説明

噛合チェーン式昇降装置

【課題】被昇降体の傾き発生を回避し、しかも被搬送物を設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置まで正確に移動させる噛合チェーン式昇降装置を提供すること。
【解決手段】2つのチェーンモジュール120、120が、チェーン噛み外れ方向Hに沿って相互に離間して配置され、駆動モータ140が、2つのチェーンユニット120U、120Uで共用され、被昇降体140の鉛直方向位置Dと設置面Gに対する被昇降体130の傾きCとのうち少なくとも一つの制御パラメータPに基づいて駆動モータ140、140を制御する駆動モータ制御部150が、駆動モータ140、140に電気的に接続されている噛合チェーン式昇降装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて昇降テーブルなどの被昇降体を昇降移動させる噛合チェーン式昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、噛合チェーン式昇降装置としては、相互に噛み合って一体的に駆動される一対の噛合チェーン、所謂、チャックチェーンによって荷重支持部材を昇降移動させる昇降装置(例えば、特許文献1参照。)や一対の噛合チェーンを一組配置した状態で昇降テーブルなどの被昇降体をリンク機構で支持しながら昇降移動させるものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−278797号公報(特許請求の範囲、図2参照。)
【特許文献2】特開2009−1377号公報(特許請求の範囲、図1参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の噛合チェーン式昇降装置では、一対の噛合チェーンを一組とするチェーンユニットを複数組配置していない方向すなわちチェーン幅方向に交差する方向について複数個所で昇降テーブルなどの被昇降体を支持していないため、チェーンユニットを複数組配置していない方向に沿って被昇降体に偏荷重を作用させた状態で被昇降体の傾き発生を回避して被搬送物を平行に移動させることを困難にさせてしまうという装置構成上の問題点があった。
また、上述のチェーンユニット毎に駆動モータを設けた場合、駆動モータの駆動状態に応じて複数のチェーンユニットの動作について相互にずれを生じさせてしまうため、被昇降体の傾きを回避した状態で設置面すなわち装置設置面に平行に支持した被昇降体を平行に昇降移動させることを困難にさせてしまうとともに被昇降体の鉛直方向に沿った昇降位置にずれを生じさせて被昇降体上の被搬送物を所定の昇降位置まで移動させることを困難にさせてしまうという装置動作上の問題点があった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、昇降テーブルなどの被昇降体の傾き発生を回避するとともに被昇降体に載置された被搬送物を設置面に平行に昇降移動させ、しかも被搬送物を所定の鉛直方向位置まで正確に移動させることを実現する噛合チェーン式昇降装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本請求項1に係る発明は、設置面に沿ったプレート面を有するベースプレートと、前記プレート面上で相互に噛み合って剛直化するとともに相互に噛み分かれて分岐する一対の噛合チェーンからなるチェーンユニットをチェーン幅方向に沿ってそれぞれ2つずつ配置した2つのチェーンモジュールと、前記4つのチェーンユニットの先端に固定された状態で鉛直方向に沿って昇降駆動される平板状の被昇降体とを備えた噛合チェーン式昇降装置であって、前記2つのチェーンモジュールが、前記プレート面内で前記チェーン幅方向に交差するチェーン噛み外れ方向に沿って相互に離間して配置されていることにより、前述した課題を解決したものである。
【0007】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る噛合チェーン式昇降装置において、前記2つのチェーンユニットを駆動する駆動モータが、少なくとも前記2つのチェーンユニットで共用され、前記被昇降体の鉛直方向位置と設置面に対する被昇降体の傾きとのうち少なくとも一つの制御パラメータに基づいて前記駆動モータを制御する駆動モータ制御部が、前記駆動モータに電気的に接続されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0008】
また、本請求項3に係る発明は、請求項2に係る噛合チェーン式昇降装置において、前記チェーンモジュールに含まれる2つのチェーンユニットにそれぞれ係合する2つのチェーン駆動用スプロケットの駆動軸が、前記チェーン幅方向に沿った軸方向を有するとともに前記2つのチェーン駆動用スプロケットにそれぞれ固定接続され、前記駆動モータが、前記駆動軸にそれぞれ接続された状態で前記チェーンモジュール毎に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0009】
また、本請求項4に係る発明は、請求項3に係る噛合チェーン式昇降装置において、前記チェーン駆動用スプロケットが、前記チェーンユニットを構成する一対の噛合チェーンの一方にのみ係合することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4に係る噛合チェーン式昇降装置において、前記被昇降体が、前記チェーン噛み外れ方向に沿った長手方向を有し、前記4つのチェーンユニットの先端が、前記長手方向に沿って片持状態で前記被昇降体に接続されていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る噛合チェーン式昇降装置は、設置面に沿ったプレート面を有するベースプレートと、前記プレート面上で相互に噛み合って剛直化するとともに相互に噛み分かれて分岐する一対の噛合チェーンからなるチェーンユニットをチェーン幅方向に沿ってそれぞれ2つずつ配置した2つのチェーンモジュールと、前記4つのチェーンユニットの先端に固定された状態で鉛直方向に沿って昇降駆動される平板状の被昇降体とを備えていることにより、昇降テーブルなどの被昇降体を4つのチェーンユニットの進退動作に応じて昇降駆動することができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【0012】
すなわち、本請求項1に係る噛合チェーン式昇降装置は、前記2つのチェーンモジュールが、前記プレート面内で前記チェーン幅方向に交差するチェーン噛み外れ方向に沿って相互に離間して配置されていることにより、チェーン幅方向及びチェーン噛み外れ方向に沿って4つのチェーンユニットを配置しない状態で被昇降体に偏荷重を作用させた場合と異なり設置面上の4つの支持点で被昇降体を支持した状態で被昇降体を平行に支持するため、リンク機構などのガイドを設けないガイドレス状態で被昇降体の傾きを回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体に載置された被搬送物を設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の昇降位置すなわち所定の鉛直方向位置まで正確に移動させることができる。
【0013】
そして、本請求項2に係る噛合チェーン式昇降装置は、請求項1に係る噛合チェーン式
昇降装置が奏する効果に加えて、前記2つのチェーンユニットを駆動する駆動モータが、少なくとも前記2つのチェーンユニットで共用され、前記被昇降体の鉛直方向位置と設置面に対する被昇降体の傾きとのうち少なくとも一つの制御パラメータに基づいて前記駆動モータを制御する駆動モータ制御部が、前記駆動モータに電気的に接続されていることにより、2つのチェーンモジュールについて相互に駆動モータを制御してチェーンユニットの進退駆動を同期させるため、昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体の傾き発生を確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体に載置された被搬送物を設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置までより一層正確に移動させることができる。
【0014】
そして、本請求項3に係る噛合チェーン式昇降装置は、請求項2に係る噛合チェーン式
昇降装置が奏する効果に加えて、前記チェーンモジュールに含まれる2つのチェーンユニットにそれぞれ係合する2つのチェーン駆動用スプロケットの駆動軸が、前記チェーン幅方向に沿った軸方向を有するとともに前記2つのチェーン駆動用スプロケットにそれぞれ固定接続され、前記駆動モータが、前記駆動軸にそれぞれ接続された状態で前記チェーンモジュール毎に設けられていることにより、チェーンユニット毎に駆動モータの設置する場合に比べて制御対象となる駆動モータの設置数を減らした状態で4つのチェーンユニットを駆動させるため、4つのチェーンユニット相互の動作のずれを低減して昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体の傾き発生をより確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体に載置された被搬送物を設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置までより一層正確に移動させることができる。
【0015】
そして、本請求項4に係る噛合チェーン式昇降装置は、請求項3に係る噛合チェーン式
昇降装置が奏する効果に加えて、前記チェーン駆動用スプロケットが、前記チェーンユニットを構成する一対の噛合チェーンの一方にのみ係合することにより、一対の噛合チェーンの両側から2つの駆動用スプロケットを係合させてこれら2つの駆動用スプロケットの駆動を相互に同期させる場合に比べて駆動用スプロケットの制御を簡素化するため、昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体の傾き発生をより確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体に載置された被搬送物を設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置までより一層正確に移動させることができる。
【0016】
そして、本請求項5に係る噛合チェーン式昇降装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに係る噛合チェーン式昇降装置が奏する効果に加えて、前記チェーン噛み外れ方向に沿った長手方向を有し、前記4つのチェーンユニットの先端が、前記長手方向に沿って片持状態で前記被昇降体に接続されていることにより、チェーンユニットの昇降駆動時に長手方向に沿って被昇降体から各チェーンユニットに作用する偏荷重に抗して被昇降体を支持するため、昇降テーブルなどの被昇降体に生じ易い長手方向に沿った傾きを確実に回避するとともに被昇降体に載置された被搬送物を設置面に対して正確に平行に昇降移動させ、しかも被搬送物を所定の鉛直方向位置までより一層正確に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置の斜視図。
【図2】一対の噛合チェーンを一組とするチェーンユニットの組立斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置の拡大斜視図。
【図4】本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置の平面図。
【図5】本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置のブロック図。
【図6】設置面に対して平行な被昇降体と傾いた被昇降体とを比較した正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、設置面に沿ったプレート面を有するベースプレートと、前記プレート面上で相互に噛み合って剛直化するとともに相互に噛み分かれて分岐する一対の噛合チェーンからなるチェーンユニットをチェーン幅方向に沿ってそれぞれ2つずつ配置した2つのチェーンモジュールと、前記4つのチェーンユニットの先端に固定された状態で鉛直方向に沿って昇降駆動される平板状の被昇降体とを備え、前記2つのチェーンモジュールが、前記プレート面内で前記チェーン幅方向に交差するチェーン噛み外れ方向に沿って相互に離間して配置されているものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0019】
噛合チェーンの具体的な構成については、相互に対向する同種のプレート同士をそれぞれ噛み合わせて一体とするとともにそれぞれ噛み外して分岐するものであれば如何なる形状を呈するものであってもよい。
例えば、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のプレート間に設けられたブシュに連結ピンを挿嵌させた状態で複数のプレートをチェーン長手方向に連結して噛合チェーンを構成するとともに駆動用スプロケットのスプロケット歯をブシュに係合させて噛合チェーンを駆動してもよいし、ブシュを遊嵌したローラに駆動用スプロケットのスプロケット歯を係合させてもよい。
また、ブシュを設けないで連結ピンに直接スプロケット歯を係合させてもよい。
また、被昇降体は、チェーン噛み外れ方向に沿ってその一部を出没自在に延出させて片持状態を実現する延出機構を備えていてもよい。
また、本発明における「片持状態」は、被昇降体のうち4本のチェーンユニットで囲まれた平面領域の外側に延びている部分に被搬送物を載置して4本のチェーンユニットに偏荷重を作用させた状態を意味する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100を図1乃至図6に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100の斜視図であり、図2は、一対の噛合チェーン120A、120Aを一組とするチェーンユニット120Uの組立斜視図であり、図3は、本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100の拡大斜視図であり、図4は、本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100の平面図であり、図5は、本発明の実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100のブロック図であり、図6は、設置面Gに対して平行な被昇降体130と傾いた被昇降体130Aとを比較した正面図である。
【0021】
図1乃至図6に示すように、本実施例に係る噛合チェーン式昇降装置100は、設置面Gに沿ったプレート面110Sを有するベースプレート110と、プレート面110S上で相互に噛み合って剛直化するとともに相互に噛み分かれて分岐する一対の噛合チェーン120A、120Aからなるチェーンユニット120Uをチェーン幅方向Wに沿ってそれぞれ2つずつ配置した2つのチェーンモジュール120、120と、4つのチェーンユニット120Uの先端に固定された状態で鉛直方向に沿って昇降駆動される平板状の被昇降体130とを備え、設置面Gに据え置かれた状態で昇降テーブルなどの被昇降体130を4つのチェーンユニット120Uの昇降動作に応じて昇降駆動して重量物などの被搬送物Bを設置面Gに対して平行状態で昇降させるものである。
【0022】
また、図2に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100に用いられる一対の噛合チェーン120A、120Aは、チェーン幅方向Wに沿って一対で離間配置されるフック状内歯プレート121A、121Aに前後一対のブシュ124Aを圧入嵌合してなる内リンクユニットとチェーン幅方向Wの最も外側に配置されたフック状外歯プレート122Aとを前後一対の連結ピン123A、123Aによりそれぞれチェーン長手方向に多数連結して構成されたものである。
一対の噛合チェーン120A、120Aは、後述する駆動用スプロケット160にブシュ124Aを係合させた状態で鉛直方向に進退駆動される。
【0023】
図1乃至図3に示すように、チェーンユニット120Uは、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分120Gを形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーン120A、120Aから構成されている。
本実施例の噛合チェーン式昇降装置100は、被昇降体130の昇降駆動時において、チェーンユニット120Uの側方位置から一対の噛合チェーン120A、120Aの一方の噛合チェーン120Aに駆動用スプロケット160を係合させた状態で一対の噛合チェーン120A、120Aを進退自在に駆動するとともに一対の噛合チェーン120A、120Aの股間領域に設けられたチェーン位置決めガイド部127によって一方の噛合チェーン120Aに他方の噛合チェーン120Aを位置決め噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝126を形成したチェーンガイド125とを備え、ベースプレート110上で4つのチェーンユニット120Uの進退動作に応じて被昇降体140を昇降駆動させるようになっている。
【0024】
次に、前述した本実施例の噛合チェーン式昇降装置100が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図1乃至図6に基づいて詳しく説明する。
図1乃至図6に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、2つのチェーンモジュール120、120が、プレート面110S内でチェーン幅方向Wに交差するチェーン噛み外れ方向Hに沿って相互に離間して配置されていることにより、チェーン幅方向W及びチェーン噛み外れ方向Hに沿って4つのチェーンユニット120Uを配置しない状態で被昇降体130に偏荷重を作用させた場合と異なり設置面G上の4つの支持点で被昇降体130を支持した状態で被昇降体130を平行に支持するため、リンク機構などのガイドを設けないガイドレス状態で被昇降体130の傾きCを回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面Gに平行に昇降移動させるとともに所定の昇降位置すなわち所定の鉛直方向位置まで正確に移動させるようになっている。
【0025】
また、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、2つのチェーンユニット120Uを駆動する駆動モータ140が、少なくとも2つのチェーンユニット120Uで共用され、被昇降体130の鉛直方向位置と設置面Gに対する被昇降体130の傾きとのうち少なくとも一つの制御パラメータPに基づいて駆動モータ140を制御する駆動モータ制御部150が駆動モータ140に電気的に接続されていることにより、2つのチェーンモジュール120、120について相互に駆動モータを制御してチェーンユニット120Uの進退駆動を同期させるため、昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体130の傾きCの発生を確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面Gに平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置Dまでより一層正確に移動させるようになっている。
【0026】
また、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、チェーンモジュール120に含まれる2つのチェーンユニット120U、120Uにそれぞれ係合する2つのチェーン駆動用スプロケット160、160の駆動軸161、161が、チェーン幅方向Wに沿った軸方向を有するとともに2つのチェーン駆動用スプロケット160,160にそれぞれ固定接続され、駆動モータ140が、駆動軸161にそれぞれ接続された状態でチェーンモジュール120毎に設けられていることにより、チェーンユニット120U毎に駆動モータ140の設置する場合に比べて制御対象となる駆動モータ140の設置数を減らした状態で4つのチェーンユニット120Uを駆動させるため、4つのチェーンユニット120U相互の動作のずれを低減して昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体130の傾きCの発生をより確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面に平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置Dまでより一層正確に移動させるようになっている。
【0027】
また、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、チェーン駆動用スプロケット160が、チェーンユニット120Uを構成する一対の噛合チェーン120A、120Aの一方にのみ係合することにより、一対の噛合チェーン120A、120Aの両側から2つの駆動用スプロケット160を係合させてこれら2つの駆動用スプロケット160の駆動を相互に同期させる場合に比べて駆動用スプロケット160の制御を簡素化するため、昇降動作中における昇降テーブルなどの被昇降体130の傾きCの発生をより確実に回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面Gに平行に昇降移動させるとともに所定の鉛直方向位置Dまでより一層正確に移動させるようになっている。
【0028】
また、図1乃至図6に示すように、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、被昇降体130が、チェーン噛み外れ方向Hに沿った長手方向を有し、4つのチェーンユニット120Uの先端が、被昇降体130の長手方向に沿って片持状態で被昇降体130に接続されていることにより、チェーンユニット120Uの昇降駆動時に被昇降体130の長手方向に沿って被昇降体130から各チェーンユニット120Uに作用する偏荷重に抗して被昇降体130を支持するため、昇降テーブルなどの被昇降体130に生じ易い長手方向に沿った傾きCを確実に回避するとともに被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面Gに対して正確に平行状態を維持して昇降移動させ、しかも被搬送物Bを所定の鉛直方向位置D、すなわち被搬送物Bを移動させるべき位置までより一層正確に移動させるようになっている。
【0029】
このようにして得られた本実施例の噛合チェーン式昇降装置100は、2つのチェーンモジュール120、120が、プレート面110S内でチェーン幅方向Wに交差するチェーン噛み外れ方向Hに沿って相互に離間して配置されていることにより、リンク機構などのガイドを設けないガイドレス状態で被昇降体130の傾きCを回避し、しかも昇降テーブル等の被昇降体130に載置された被搬送物Bを設置面Gに平行に昇降移動させるとともに所定の昇降位置すなわち所定の鉛直方向位置Dまで正確に移動させることができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0030】
100 ・・・ 噛合チェーン式昇降装置
110 ・・・ ベースプレート
110S ・・・ ベースプレートのプレート面
120 ・・・ チェーンモジュール
120U ・・・ チェーンユニット
120A ・・・ 噛合チェーン
120G ・・・ チェーン剛直化部分
120H ・・・ チェーン噛み外れ部分
121A ・・・ フック状内歯プレート
122A ・・・ フック状外歯プレート
123A ・・・ 連結ピン
124A ・・・ ブシュ
125 ・・・ チェーンガイド
126 ・・・ チェーンガイド溝
127 ・・・ チェーン位置決めガイド部
130 ・・・ 被昇降体
140 ・・・ 駆動モータ
150 ・・・ 駆動モータ制御部
160 ・・・ チェーン駆動用スプロケット
161 ・・・ チェーン駆動用スプロケットの駆動軸
C ・・・ 被昇降体の傾き
D ・・・ 鉛直方向位置
G ・・・ 設置面
H ・・・ チェーン噛み外れ方向
P ・・・ 制御パラメータ
W ・・・ チェーン幅方向



【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面に沿ったプレート面を有するベースプレートと、前記プレート面上で相互に噛み合って剛直化するとともに相互に噛み分かれて分岐する一対の噛合チェーンからなるチェーンユニットをチェーン幅方向に沿ってそれぞれ2つずつ配置した2つのチェーンモジュールと、前記4つのチェーンユニットの先端に固定された状態で鉛直方向に沿って昇降駆動される平板状の被昇降体とを備えた噛合チェーン式昇降装置であって、
前記2つのチェーンモジュールが、前記プレート面内で前記チェーン幅方向に交差するチェーン噛み外れ方向に沿って相互に離間して配置されていることを特徴とする噛合チェーン式昇降装置。
【請求項2】
前記2つのチェーンユニットを駆動する駆動モータが、少なくとも前記2つのチェーンユニットで共用され、
前記被昇降体の鉛直方向位置と設置面に対する被昇降体の傾きとのうち少なくとも一つの制御パラメータに基づいて前記駆動モータを制御する駆動モータ制御部が、前記駆動モータに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式昇降装置。
【請求項3】
前記チェーンモジュールに含まれる2つのチェーンユニットにそれぞれ係合する2つのチェーン駆動用スプロケットの駆動軸が、前記チェーン幅方向に沿った軸方向を有するとともに前記2つのチェーン駆動用スプロケットにそれぞれ固定接続され、
前記駆動モータが、前記駆動軸にそれぞれ接続された状態で前記チェーンモジュール毎に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の噛合チェーン式昇降装置。
【請求項4】
前記チェーン駆動用スプロケットが、前記チェーンユニットを構成する一対の噛合チェーンの一方にのみ係合することを特徴とする請求項3に記載の噛合チェーン式昇降装置。
【請求項5】
前記被昇降体が、前記チェーン噛み外れ方向に沿った長手方向を有し、
前記4つのチェーンユニットの先端が、前記長手方向に沿って片持状態で前記被昇降体に接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の噛合チェーン式昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−188256(P2012−188256A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54318(P2011−54318)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)