説明

噛合チェーン式進退作動装置

【課題】装置サイズの増大を回避するとともに装置の低床化を実現し、しかも円滑に噛合チェーンを走行させるとともにチェーン駆動用モータの設置コスト増大を回避し、さらに噛合チェーンの駆動エネルギーの利用効率を向上させる噛合チェーン式進退作動装置を提供すること。
【解決手段】チェーン収納ガイド141が、プレートピッチP以上のガイド長LAを有する直線状ガイド部分141Aと、円弧状のチェーン進入端側円弧状ガイド部分141Bと、円弧状のチェーン退出端側円弧状ガイド部分141Cとを形成したガイド屈曲部分143を有している噛合チェーン式進退作動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いて被駆動体を進退動させる噛合チェーン式進退作動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、チェーンなどの帯体を収納するチェーン収納構造としては、曲線型の収納部(例えば、特許文献1参照)、螺旋状にチェーンを巻き取る巻取輪(例えば、特許文献2参照)、屈曲部分を円弧部分のみで構成したローラ案内用スリット(例えば、特許文献3参照)、および直線状ガイド部や円弧状ガイド部分から構成された渦巻状ガイド(例えば、特許文献4参照)がある。
また、上述の噛合チェーン式進退作動装置では、図5に示すように、相互に噛み合って一体的に駆動される一対の噛合チェーン210、210、所謂、チャックチェーンをチェーン収納ガイド241に出没自在に収納するチェーン収納ガイドプレート240が設けられる。
また、図6に示すように、上述のチェーン収納ガイドプレート240では、チェーン収納ガイド241のガイド屈曲部分243を円弧状に形成してチェーン収納ガイドプレート240のプレート面内領域にチェーン収納ガイド241を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−169693号公報(段落[0021]、図1参照。)
【特許文献2】特開平8−32494号公報(段落[0021]、図1参照。)
【特許文献3】特開平11−278797号公報(段落[0025]、図1参照。)
【特許文献4】特開平7−127332号公報(段落[0006]、図1参照。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した巻取輪または渦巻状ガイドを採用した噛合チェーン式進退作動装置では、平面的にみてチェーン収納ガイドプレートのプレート面内でチェーン収納ガイドを巻回形状に形成するとともに噛合チェーンを螺旋状に巻き取る巻取軸線方向に沿って巻取輪の占有スペースを増大させてチェーン収納長さを確保するため、プレート面内領域のうちチェーン収納ガイドが占めるガイド形成領域の割合を増大させ、しかもプレート厚み方向に沿ったチェーン収納ガイドプレートのプレートサイズを増大させて噛合チェーン式進退作動装置の装置サイズを著しく増大させてしまうという問題点があった。
【0005】
また、図5および図6に示すように、比較例に係る噛合チェーン式進退作動装置200では、チェーン収納ガイド241のガイド屈曲部分243を円弧状ガイド部分のみで形成しているため、チェーン走行時に噛合チェーン210の多角形運動(コーダルアクション)を顕在化させてチェーン収納ガイド241内のチェーン走行を阻害するとともに噛合チェーン210の駆動モーメント蓄積に応じて噛合チェーン210およびチェーン収納ガイド241間に接触抵抗を生じさせて円滑なチェーン走行を困難にしてしまうという問題点があった。
【0006】
また、噛合チェーン210の駆動モーメント蓄積に応じて生じる噛合チェーン210およびチェーン収納ガイド241間の接触抵抗を見込んで高出力のチェーン駆動用モータを設置して噛合チェーン210を走行させたとしても接触抵抗に応じて消費される駆動エネルギーを無駄にしてしまうため、高出力のチェーン駆動用モータの設置コストの増大を生じさせるとともに駆動エネルギーの利用効率を向上させることが困難になるという問題点があった。
また、図6に示すように、チェーン収納ガイド241のガイド屈曲部分243を構成する円弧状ガイド部分におけるチェーン収納軌道の曲率半径R4を曲率半径R5に増大させて噛合チェーン走行時の多角形運動を回避する場合、チェーン収納ガイドプレート240のプレート面内でガイド形成領域S4のサイズをガイド形成領域S5のサイズに増大させてしまうため、チェーン収納ガイドプレート240のサイズを増大させて噛合チェーン式進退作動装置200の低床化を困難にしてしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、装置サイズの増大を回避するとともに装置の低床化を実現し、しかも円滑に噛合チェーンを走行させるとともにチェーン駆動用モータの設置コスト増大を回避し、さらに噛合チェーンの駆動エネルギーの利用効率を向上させる噛合チェーン式進退作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
まず、本請求項1に係る発明の噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に離間配置された一対のフック状内歯プレートからなる内リンクユニットおよび該内リンクユニットに隣接するフック状外歯プレートが前記フック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートのそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、該噛合チェーンを駆動する駆動用スプロケットと、前記噛合チェーンに取り付けられて噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体と、前記駆動用スプロケットから噛み外れて分岐している噛合チェーンをそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイドを形成したチェーン収納ガイドプレートとを備え、前記チェーン収納ガイドが、前記チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士のそれぞれのプレートピッチ以上のガイド長を有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分を規定する直線状ガイド部分と、該直線状ガイド部分の噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端収納軌道部分を規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分と、前記直線状ガイド部分の噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分を規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分とを形成したガイド屈曲部分を有していることにより、前述した課題を解決したものである。
【0009】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン進入端側収納軌道部分およびチェーン退出端側収納軌道部分のそれぞれの曲率半径が、前記噛合チェーンの屈曲半径より大きいことにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に離間配置された一対のフック状内歯プレートからなる内リンクユニットおよび該内リンクユニットに隣接するフック状外歯プレートが前記フック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートのそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、該噛合チェーンを駆動する駆動用スプロケットと、前記噛合チェーンに取り付けられて噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体と、前記駆動用スプロケットから噛み外れて分岐している噛合チェーンをそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイドを形成したチェーン収納ガイドプレートとを備えていることにより、噛合チェーンの進退動作に応じて被駆動体を進退動することができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【0011】
すなわち、本請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置は、前記チェーン収納ガイドが、前記チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士のそれぞれのプレートピッチ以上のガイド長を有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分を規定する直線状ガイド部分と、該直線状ガイド部分の噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分を規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分と、前記直線状ガイド部分の噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分を規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分とを形成したガイド屈曲部分を有していることにより、円弧状ガイド部分のみからなるガイド屈曲部分の曲率半径を大きくする場合に比べてチェーン収納ガイドプレートのプレート面内を占めるチェーン収納ガイドのガイド形成領域増大を回避するとともにガイド屈曲部分における噛合チェーンの多角形運動を回避するため、装置サイズの増大を回避するとともに装置の低床化を実現し、しかも円滑に噛合チェーンを走行させるとともにチェーン駆動用モータの設置コスト増大を回避し、さらに噛合チェーンの駆動エネルギーの利用効率を向上させることができる。
【0012】
そして、本請求項2に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項1に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン進入端側収納軌道部分およびチェーン退出端側収納軌道部分のそれぞれの曲率半径が、前記噛合チェーンの屈曲半径より大きいことにより、噛合チェーンの屈曲半径が制限されている場合であっても、直線状ガイド部分、チェーン進入端側円弧状ガイド部分およびチェーン退出端側円弧状ガイド部分からなるガイド屈曲部分において噛合チェーンの詰まりすなわちチェーン収納ガイドの内壁および噛合チェーン相互の引っ掛かりに起因する駆動モーメントの蓄積を回避するため、より一層円滑に噛合チェーンを走行させるとともに噛合チェーンの進退駆動に要する駆動エネルギーの利用効率を確実に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図。
【図2】噛合チェーンの分解組み立て状態を示す斜視図。
【図3】チェーン収納ガイドの一部平面図。
【図4】噛合チェーンの屈曲状態を示す平面図。
【図5】比較例に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図。
【図6】比較例に係るチェーン収納ガイドの一部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に離間配置された一対のフック状内歯プレートからなる内リンクユニットおよびこの内リンクユニットに隣接するフック状外歯プレートがフック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートのそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、この噛合チェーンを駆動する駆動用スプロケットと、噛合チェーンに取り付けられて噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体と、駆動用スプロケットから噛み外れて分岐している噛合チェーンをそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイドを形成したチェーン収納ガイドプレートとを備え、チェーン収納ガイドが、チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士のそれぞれのプレートピッチ以上のガイド長を有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分を規定する直線状ガイド部分と、この直線状ガイド部分の噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分を規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分と、直線状ガイド部分の噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分を規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分とを形成したガイド屈曲部分を有しているものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置では、チェーン収納ガイドが、直線状ガイド部分、チェーン進入端側円弧状ガイド部分およびチェーン退出端側円弧状ガイド部分からなるガイド屈曲部分を複数有して構成されていてもよい。
【0015】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いるフック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートなどのプレートの具体的な形状については、相互に対向する同種のプレート同士をそれぞれ噛み合せて一体とするとともにそれぞれ噛み外して分岐するものであれば如何なる形状を呈するものであってもよい。
【0016】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置の「噛合チェーンの屈曲半径」は、噛合チェーンを屈曲させた際に、フック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートのそれぞれのプレート幅方向に沿ったプレート中心をチェーン長手方向に沿って相互に隣り合うフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士のそれぞれで結んで構成された円弧状チェーン中心線の曲率半径を意味する。
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置では、直線状ガイド部分の両端のそれぞれに対応する“噛合チェーン進入端”と“噛合チェーン退出端”とは、任意のチェーン走行方向に応じて特定される直線状ガイド部分の“端”を意味する。
すなわち、チェーン収納ガイドに噛合チェーンを収納するチェーン収納時とチェーン収納ガイドから噛合チェーンを送り出すチェーン送り出し時とで相互にチェーン走行方向が逆向きになるため、チェーン進入端側円弧状ガイド部分およびチェーン退出端側円弧状ガイド部分は、チェーン走行方向に応じて相互に入れ替わって定義される。
より具体的には、チェーン収納時に“チェーン進入端側円弧状ガイド部分”と称していた円弧状ガイド部分は、チェーン送り出し時に“チェーン退出端側円弧状ガイド部分”とるガイド部分であり、チェーン送り出し時に“チェーン退出端側円弧状ガイド部分”と称していた円弧状ガイド部分は、チェーン収納時に“チェーン進入端側円弧状ガイド部分”と称されるガイド部分である。
【0017】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても進退動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した進退動作に何ら支障はない。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置100を図1乃至図4に基づいて説明する。
ここで、図1は、本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置100の正面図であり、図2は、一対の噛合チェーン110、110の分解組み立て状態を示す斜視図であり、図3は、チェーン収納ガイドの一部平面図であり、図4は、噛合チェーン110の屈曲状態を示す平面図である。
【0019】
まず、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、図1および図2に示すように、チェーン幅方向Wに離間配置された一対のフック状内歯プレート111、111からなる内リンクユニット111Uおよびこの内リンクユニット111Uに隣接するフック状外歯プレート112がフック状内歯プレート111およびフック状外歯プレート112のそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン113によりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーン110、110と、この噛合チェーン110を駆動する駆動用スプロケット120と、噛合チェーン110に取り付けられて噛合チェーン110の進退動作に応じて進退駆動される被駆動体130と、駆動用スプロケット120から噛み外れて分岐している噛合チェーン110をそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイド141を形成したチェーン収納ガイドプレート140とを基本的な装置構成として備え、設置面Gに据え置き状態で設置されて、重量物などの被搬送物(図示しない)を搭載する被駆動体130を設置面Gに対して平行に昇降させるものである。
【0020】
すなわち、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100では、図1および図2に示すように、一対の噛合チェーン110、110が、フック状内歯プレート111とこのフック状内歯プレート111に対してチェーン長手方向にずらして重なり合うフック状外歯プレート112とをチェーン幅方向Wに連結固定するブシュ114と、フック状外歯プレート112にチェーン幅方向Wで連結固定される連結ピン113とを備え、さらに設置面上Gで相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となることにより、一対の噛合チェーン110、110の昇降動作に応じて被駆動体130を昇降させるようになっている。
【0021】
次に、前述した本実施例の噛合チェーン式進退差動装置100が最も特徴とするチェーン収納ガイド141の具体的な形態について、図1乃至図4により詳しく説明する。
本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100は、図1乃至図4に示すように、チェーン収納ガイド141が、チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート111同士およびフック状外歯プレート112同士のそれぞれのプレートピッチP以上のガイド長LAを有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分142Aを規定する直線状ガイド部分141Aと、この直線状ガイド部分141Aの噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分142Bを規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分141Bと、直線状ガイド部分141Aの噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分142Cを規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分141Cとを形成したガイド屈曲部分143を有していることにより、円弧状ガイド部分のみからなるガイド屈曲部分の曲率半径を大きくする場合に比べてチェーン収納ガイドプレート140のプレート面内を占めるチェーン収納ガイド141のガイド形成領域増大を回避するとともにガイド屈曲部分143における噛合チェーン110の多角形運動を回避するため、装置サイズの増大を回避するとともに装置の低床化を実現し、しかも円滑に噛合チェーン110を走行させるとともにチェーン駆動用モータの設置コスト増大を回避し、さらに噛合チェーン110の駆動エネルギーの利用効率を向上させるようになっている。
【0022】
また、本実施例に係る噛合チェーン式進退作動装置100では、図3および図4に示すように、チェーン進入端側収納軌道部分142Bおよびチェーン退出端側収納軌道部分142Cのそれぞれの曲率半径R1、R2が、噛合チェーン110の屈曲半径、すなわち噛合チェーン110を屈曲させた際にフック状内歯プレート111およびフック状外歯プレート112のそれぞれのプレート幅方向に沿ったプレート中心をチェーン長手方向に沿って相互に隣り合うフック状内歯プレート111同士およびフック状外歯プレート112同士のそれぞれで結んで構成された円弧状チェーン中心線CLの曲率半径R3より大きいことにより、噛合チェーン110の屈曲半径が制限されている場合であっても、直線状ガイド部分141A、チェーン進入端側円弧状ガイド部分141Bおよびチェーン退出端側円弧状ガイド部分141Cからなるガイド屈曲部分143において噛合チェーン110の詰まりすなわちチェーン収納ガイド141の内壁および噛合チェーン110相互の引っ掛かりに起因する駆動モーメントの蓄積を回避するため、より一層円滑に噛合チェーン110を走行させるとともに噛合チェーン110の進退駆動に要する駆動エネルギーの利用効率を確実に向上させるようになっている。
【0023】
このようにして得られた本実施例の噛合チェーン式進退作動装置100は、チェーン幅方向Wに離間配置された一対のフック状内歯プレート111、111からなる内リンクユニット111Uおよびこの内リンクユニット111Uに隣接するフック状外歯プレート112がフック状内歯プレート111およびフック状外歯プレート112のそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン113によりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーン110、110と、この噛合チェーン110を駆動する駆動用スプロケット120と、噛合チェーン110に取り付けられて噛合チェーン110の進退動作に応じて進退駆動される被駆動体130と、駆動用スプロケット120から噛み外れて分岐している噛合チェーン110をそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイド141を形成したチェーン収納ガイドプレート140とを備え、チェーン収納ガイド141が、チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート111同士およびフック状外歯プレート112同士のそれぞれのプレートピッチP以上のガイド長LAを有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分142Aを規定する直線状ガイド部分141Aと、この直線状ガイド部分141Aの噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分142Bを規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分141Bと、直線状ガイド部分141Aの噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分142Cを規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分141Cとを形成したガイド屈曲部分143を有していることにより、装置サイズの増大を回避するとともに装置の低床化を実現し、しかも円滑に噛合チェーン110を走行させるとともにチェーン駆動用モータの設置コスト増大を回避し、さらに噛合チェーン110の駆動エネルギーの利用効率を向上させることができるなど、その効果は甚大である。
【符号の説明】
【0024】
100、200 ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
110、210 ・・・ 噛合チェーン
111 ・・・ フック状内歯プレート
112 ・・・ フック状外歯プレート
113 ・・・ 連結ピン
114 ・・・ ブシュ
120、220 ・・・ 駆動スプロケット
130、230 ・・・ 被駆動体
140、240 ・・・ チェーン収納ガイドプレート
141、241 ・・・ チェーン収納ガイド
141A ・・・ 直線状ガイド部分
141B ・・・ チェーン進入端側円弧状ガイド部分
141C ・・・ チェーン退出端側円弧状ガイド部分
142 ・・・ チェーン収納軌道
142A ・・・ 直線状のチェーン収納軌道部分
142B ・・・ 円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分
142C ・・・ 円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分
143、243 ・・・ ガイド屈曲部分
CL ・・・ 円弧状チェーン中心線
G ・・・ 設置面
LA ・・・ ガイド長
P ・・・ プレートピッチ
R1、R2、R3、R4、R5・・・ 曲率半径
S4、S5 ・・・ ガイド形成領域
W ・・・ チェーン幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーン幅方向に離間配置された一対のフック状内歯プレートからなる内リンクユニットおよび該内リンクユニットに隣接するフック状外歯プレートが前記フック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートのそれぞれに設けられた前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピンによりチェーン長手方向に多数連結され、相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、該噛合チェーンを駆動する駆動用スプロケットと、前記噛合チェーンに取り付けられて噛合チェーンの進退動作に応じて進退駆動される被駆動体と、前記駆動用スプロケットから噛み外れて分岐している噛合チェーンをそれぞれ出没自在に収納する一対のチェーン収納ガイドを形成したチェーン収納ガイドプレートとを備えている噛合チェーン式進退作動装置であって、
前記チェーン収納ガイドが、前記チェーン長手方向に沿って隣り合うフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士のそれぞれのプレートピッチ以上のガイド長を有するとともに直線状のチェーン収納軌道部分を規定する直線状ガイド部分と、該直線状ガイド部分の噛合チェーン進入端に接続されているとともに円弧状のチェーン進入端側収納軌道部分を規定するチェーン進入端側円弧状ガイド部分と、前記直線状ガイド部分の噛合チェーン退出端に接続されているとともに円弧状のチェーン退出端側収納軌道部分を規定するチェーン退出端側円弧状ガイド部分とを形成したガイド屈曲部分を有していることを特徴とする噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項2】
前記チェーン進入端側収納軌道部分およびチェーン退出端側収納軌道部分のそれぞれの曲率半径が、前記噛合チェーンの屈曲半径より大きいことを特徴とする請求項1に記載の噛合チェーン式進退作動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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