説明

器具管理システム及び器具管理方法

【課題】 作業区画に持ち込まれた器具を適切に管理して、作業区画内への器具の置き忘れを検出するとともに、置き忘れた器具を特定して、迅速な探索に寄与する。
【解決手段】 工具を作業区画に持ち込む際に、カメラ23により工具を撮影し画像データを得るとともに、計量機器22で当該工具の重量を測定して重量データを得る。一方、工具を作業区画から持ち出す際には、計量機器22で工具の重量を測定し、持ち込む際に測定した工具の重量データと照合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業区画に器具を持ち込んで所定の作業を行う際に、持ち込んだ器具の所在を管理するための器具管理システム及び器具管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の作業をするために、必要な工具や使い慣れた工具などの器具を作業区画に持ち込んで作業に使用することは、一般的に行われる作業形態である。例えば、電力会社の場合、発電所内の設備を定期・不定期に点検・補修しているが、その際、点検・補修を実施する作業区画(以下、建屋とも称する)に工具を持ち込んで作業を行うこととなる。
【0003】
この点検・補修作業のときに、持ち込まれる工具は厳重に管理されなければならない。例えば、持ち込んだ工具を発電用タービンが配設された建屋内に置き忘れた場合、タービンを再稼働したとき、置き忘れた工具がタービンに接触して、タービンを傷つけたり、ひいては発電停止に至る大きな故障や事故につながることにもなりかねない。
【0004】
このような事態を回避するために、現状では、建屋の入口に管理表を置き、この管理表に持ち込む工具を書き込むことで人為的に管理していた。管理表の利用方法としては、例えば、工具を建屋に持ち込む際に工具の名称、数量などを記入し、工具を建屋から持ち出す際に記入された内容と一致しているかを確認することで工具の所在を判別していた。
【0005】
しかしながら、管理表による自主的な管理方法では、作業員による管理表への記入漏れや記入ミスが多々発生し、厳格な工具管理がされるわけではなかった。このような状況から、工具をより確実に管理できる工具管理システムの適用が望まれていた。工具を管理する管理システムとしては、特許文献1に開示された「工具、用具点検管理システム及び点検管理方法」がある。
特許文献1の工具管理システムは、個々の工具、用具に個体識別ラベルを貼付して、この個体識別ラベルを一括管理データとして登録するシステムである。
【特許文献1】特開2004−54553公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、設備の点検・補修作業には、種々の工具が必要とされる。それらの工具の中には、例えば、複数種類のサイズや形状をした同一種類の工具をまとめてケースに同梱したレンチ工具セットやドライバ工具セットなどの工具セットもある。これらの工具セットに対して、特許文献1の工具管理システムによれば、セットに含まれる個々の工具にそれぞれ個体識別ラベルを付与するか、あるいは工具セットとして一括した個体識別ラベルを付与するか、のどちらかとなる。
【0007】
しかし、セットに含まれる個々の工具にそれぞれ個体識別ラベルを付与することは、煩雑であり、レンチ工具セットに含まれる各種ソケットなどは小さく個体識別ラベルを付すことができないこともある。一方、一括した工具セットとして個体識別ラベルを付与した場合は、工具セットの中の工具に不足が生じていても、それを認識することはできない。 さらに、点検・補修作業者と工具の返却者が異なる場合や、建屋内での作業日数が長い場合には、実際に工具が足りないと分かっても、足りない工具がどのようなものか分からず捜索するのに大変な手間がかかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、作業区画に持ち込まれた器具を適切に管理して、作業区画内への器具の置き忘れを検出するとともに、置き忘れた器具を特定して、迅速な探索に寄与することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、担当者が作業区画に持ち込む器具を撮影してその画像データを得る撮影手段と、
担当者が作業区画に持ち込む器具の重量を測定して重量データを得る重量測定手段と、
担当者が作業区画に持ち込む器具の画像データと重量データとを記憶する記憶手段と、
作業区画から持ち出される器具の重量を測定し、対応する持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示する機能を備えた管理手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、本発明は、作業区画に持ち込む器具のそれぞれに器具識別情報を付与するとともに、
担当者が作業区画に持ち込む器具に対し、当該識別情報を読み取る器具識別情報読取手段を備え、
記憶手段が、読み取られた識別情報についても記憶することを特徴とする。
【0011】
ここで、管理手段は、作業区画から持ち出される器具の識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、対応する持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示する構成としてもよい。
【0012】
更に、本発明の器具管理システムは、
作業区画に器具を持ち込む担当者のそれぞれに担当者識別情報を付与するとともに、
作業区画に器具を持ち込む担当者に対し、当該担当者識別情報を読み取る担当者識別情報読取手段を備え、
記憶手段が、読み取られた担当者識別情報を、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具と関連付けて記憶することを特徴とする。
【0013】
ここで、管理手段は、作業区画から出てくる担当者の担当者識別情報を読み取り、当該担当者識別情報に基づいて、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示する構成としてもよい。
【0014】
また、管理手段は、作業区画から持ち出される器具の重量と、対応する持ち込まれた器具の重量との間に、あらかじめ設定した許容差以上の重量差があったとき、当該器具の一部に関し作業区画内への置き忘れが発生していると判別する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、作業区画に持ち込まれる器具の重量データと画像データを利用して、
作業区画に持ち込まれた器具を適切に管理し、作業区画内への器具の置き忘れを検出するとともに、置き忘れた器具を特定して、迅速な探索に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図5は、本実施形態の器具管理システムを示す図である。図1は、本実施形態の器具管理システムを適用した建屋の概略図であり、図2は、器具管理システムの概要を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の器具管理システムは、電力会社の発電所に設置されたタービン2(作業対象物)の建屋1(作業区画)に適用したシステムである。このタービン2の点検・補修作業に対して、必要な工具を持ち込む場合の器具管理システムについて説明する。なお、本実施形態の器具管理システムは、このような建屋1だけでなく、器具を持ち込んで作業する種々の作業区画に適用できることはもちろんである。
【0017】
本実施形態の器具管理システムでは、まず、建屋1に持ち込む工具の情報をコンピュータ10に保存しておく。保存しておく工具の情報としては、工具の識別番号A、重量データB、画像データCを主として扱うが、この工具の情報以外にも、名称、種別、メーカーなどの種々の情報を必要に応じて付加してもよい。一方、持ち込み工具にICタグ等を用いて固有の識別情報を付与しておき、この識別情報と、工具の重量データおよび画像データを対応付けてコンピュータ10に保存しておくだけでもよい。
コンピュータ10への保存は、事前に処理しておくこともでき、また建屋1へ入る際にその場で処理することもできる。
【0018】
タービン2の点検・補修作業に用いられる工具には、ICタグ30が個々に貼付してあり、このICタグ30に各工具の識別番号A(器具識別情報)が付与されている。また、新しく持ち込む工具には、例えば、無情報のICタグ30が器具管理システム付近に用意してあり、建屋1内に持ち込む際にそれぞれの工具に識別番号AをICタグ30に割り当てて、貼るつけることも可能である。なお、本実施形態では、工具の識別番号をICタグ30によって付与したが、種々の方法があることはもちろんである。例えば、バーコードに識別番号Aを付与して工具を管理することもできる。
【0019】
また、タービン2の点検・補修作業を担当する作業者にも、担当者識別情報としての作業者識別番号D(以下、作業者IDともいう)が付与されている。この作業者識別番号Dは、工具にICタグ30を貼付したように、作業者のヘルメットまたは作業着に作業者用ICタグ31を貼り付けておき、作業者の入退場とともにこの作業者用ICタグ31を読み取る方式としている。
【0020】
図1及び図2に示すように、器具管理システムは、工具の各種測定器としてICタグリーダ/ライタ21、計量機器22、カメラ23、タグリーダゲート24、管理手段となるコンピュータ10の各機器を、作業者が建屋1内に入退場する入出口周辺に設置した構成となっている。この器具管理システムは、各種測定機器21、22、23及びタグリーダゲート24によって工具及び作業者の情報を読み取らせ、その読み取った情報をコンピュータ10にデータ化して保存するシステムである。
【0021】
計量機器22は、重量測定手段として工具の重量を測定する機器である。器具管理システムは、計量機器22によって算出された工具の重量データBを、工具の情報としてコンピュータ10に保存させる。なお、器具管理システムに適用される計量機器22としては、測定値がデジタル値で算出されるデジタル式計量器が好ましい。デジタル式計量器で測定された工具の重量データBを、コンピュータ10に自動的に送信させる構成とすれば、工具管理作業の手間を軽減させることができる。しかし、デジタル式計量器に限定されるわけではなく、アナログ計量器によって工具の重量を測定し、コンピュータ10に手作業で入力させてもよい。
【0022】
カメラ23は、撮影手段として工具の画像データCを作成する機器である。したがって、カメラ23は撮影した画像をデータとして保存するデジタルカメラを適用することが好ましい。また、本実施形態のカメラ23は、工具を撮影位置にセットすると自動的に撮影を開始して、得られた画像データCをコンピュータ10に保存する構成としている。このように構成することで、工具管理作業の手間を軽減させることができる。
【0023】
ICタグリーダ/ライタ21は、器具識別情報読取手段として工具に貼付された識別番号Aを検出する、或いは、識別番号Aが付与されていないICタグ30に識別番号Aのデータを割り当てる機器である。器具管理システムは、ICタグリーダ/ライタ21を工具のICタグに近接させることにより、工具の識別番号Aを読み取ることができる。
【0024】
器具管理システムは、カメラ23によって撮影された工具の画像データCと、ICタグリーダ/ライタ21から読み取った識別番号Aとを、工具の重量データBとともにコンピュータ10のメモリ12に保存する。
【0025】
ここで、工具の持ち込み時の入力作業の負担を軽減させるため、工具を計量機器22に置いた状態で、カメラ23による工具の撮影と、ICタグリーダ/ライタ21による識別番号Aの読み取りを実行できるように調整してある。ICタグリーダ/ライタ21が工具の識別番号Aを読み取るとともに、計量機器22が工具の重量を測定して重量データBを算出し、さらにカメラ23が工具を撮影して画像データCを作成する。このようにして得られた工具の識別番号A、重量データB、画像データCは、コンピュータ10に自動的に送信され、工具情報として各データがメモリ12にデータベース化して保存される。
【0026】
タグリーダゲート24は、建屋1に入退場する作業者の作業者識別番号Dを自動的に読み取る装置である。このタグリーダゲート24によって読み取った作業者識別番号Dは、工具情報とともにコンピュータ10のメモリ12に保存される。この作業者識別番号Dを管理することで、誰がどのような工具を建屋1内に持ち込んでいるのか判別することができる。
【0027】
管理手段となるコンピュータ10は、計算機として機能する演算装置11と、記憶手段として機能するメモリ12とを内部に備えた汎用のコンピュータを適用することができる。メモリ12には、あらかじめ本実施形態の器具管理システムを実行するための制御プログラムが記憶されており、コンピュータ10の中央処理部(CPU)は、この制御プログラムに従って器具管理システムを実行する。
また、コンピュータ10には、各種測定器21、22、23及びタグリーダゲート24の接続コードが入力インターフェースにつなげられ、読み取られたデータを受信する機能が備えられている。また、コンピュータ10には、外部入出力機器として、モニタ13、キーボード14、警報ブザー15が接続されている。
【0028】
コンピュータ10のメモリ12にデータベース化して保存された工具情報A、B、C、および作業者識別番号Dは、キーボード14等からの操作をもってメモリ12から呼び出してモニタ13に表示することができる。
【0029】
図3は、本実施形態の器具管理システムに適用したモニタでの表示画面の一例を示す概略図である。
同図に示すように、建屋1への入退場時に各種測定機器21、22、23で測定された工具の識別番号A(工具ID)、重量データB、画像データCが表示される。更に、表示画面には、作業を行う内容欄40と、作業期間41と、作業者名欄42と、作業者識別番号を入力する作業者ID欄43と、作業者が建屋に入退場する時間が入力される入場時間欄44及び退場時間欄45とが作業者の入力情報として用意されている。
【0030】
作業者が工具を持ち込む場合には、建屋1に持ち込む工具の情報が画面左側の持ち込み確認の一覧表46に工具の各データとして蓄積されていく。一方、建屋1から作業者が工具を持ち出す場合には、持ち出す工具の情報が画面右側の持ち出し確認の表47に書き込まれていく。このように持ち込み工具と持ち出し工具を一覧表示することで、工具の管理がいっそう分かりやすくなる。
なお、レンチ工具セットのように複数の工具が収められている工具セットは、一つの工具データとして入力される。
【0031】
次に、本実施形態の器具管理システムによる器具管理方法を説明する。
図4は、本実施形態の器具管理システムによる器具管理方法のフローチャートである。
器具管理システムでは、建屋1に作業者が入場する際に所定の作業を行う代表作業者がコンピュータ10への入力を行う。同図に示すように、ステップS1では、代表作業者が器具管理システムを起動させ、作業の必要情報が入力される。この作業の必要情報としては、作業内容、作業期間、作業者名などがある。
【0032】
ステップS1の処理が終了すると、建屋1に持ち込まれる工具の情報を読み取る操作を開始する。ステップS2では、工具に貼付したICタグ30がICタグリーダ/ライタ21によって読み取られる。そして、読み取られた工具の識別番号Aがコンピュータ10に送信され、データベースが作成される(ステップS3)。
【0033】
その後、計量機器22によって工具の重量が測定される。得られた重量データBはコンピュータ10に送信されて上記データベースに書き込まれる(ステップS4)。さらに、カメラ23が工具の画像を撮影して画像データCが作成される。得られた画像データCはコンピュータ10に送信されて、上記データベースに書き込まれる(ステップS5)。
ステップS2〜S4の作業は、持ち込む工具の全てについて行われる(ステップS6)。なお、これらのステップS2〜S5は任意の順序で処理することができる。例えば、まずデータベースを作成しておき(ステップS3)、次いで、工具画像の撮影(ステップS5)、工具の重量の測定(ステップS4)、ICタグ30の読み取り(ステップS2)を任意の順序で実行することもできる。
【0034】
持ち込まれる工具に関する情報の保存が終了すると、作業者がタグリーダゲート24を通過する。ここで、作業者用ICタグ31が読み取られる。またこのとき作業者が入場した時間が計測されており、作業者識別番号Dと入場時間が、上記持ち込まれる工具の情報と関連付けて上記データベースに書き込まれる(ステップS7)。建屋1への入場する際の器具管理システムの作業はこれで終了し、上記データベースに書き込まれた情報が、コンピュータ10のメモリ12に保存される(ステップS8)。また、作業者は、建屋1内に入場してタービン2の作業を開始することとなる。
【0035】
作業が終了して建屋1から作業者が工具を持ち出す際は、タグリーダゲート24を通過することで作業者用ICタグ31が読み取られる(ステップS9)。読み取られた作業者識別番号Dがコンピュータ10に送信されると、工具情報が保存されたデータベース内を検索する(ステップS10)。そして、入場時に登録された作業者識別番号Dのデータベースを、メモリ12から呼び出してモニタ13に表示する(ステップS11)。
【0036】
その後、建屋1から退場した作業者が持ち出す工具の確認を行う。まず、工具の識別番号AがICタグリーダ/ライタ21によって読み取られる(ステップS12)。このとき、コンピュータ10は、持ち込まれた工具と持ち出される工具の一致を確認している。データベースの表示画面では、既述したように、持ち出す工具が、持ち込み前の工具と同一行に書き込まれるため、作業者が目視によって容易に確認することもできる。
【0037】
さらに、計量機器22が工具の重量の測定を開始して、得られた重量データBがコンピュータ10に送信される(ステップS13)。コンピュータ10は、持ち出される工具と持ち込み前の工具の重量差を比較する(ステップS14)。この重量差が許容差(例えば、0〜2%程度の差)である場合は、工具が持ち出されたと判断され、ステップS15に進む。一方、重量差が許容差以上である場合は、工具が不足していると判断し、ステップS17へ進む。
【0038】
ステップS15では、持ち出される工具が持ち込まれた工具と一致しているかが判断される。持ち出される工具が持ち込まれた工具の識別番号Aが全て一致した場合は、工具が建屋1から確実持ち出されたことになり、器具管理システムは終了する。また、持ち出される工具が足りていない場合は、ステップS16へ進む。
【0039】
ステップS16では、作業者が入力した作業期間が検索され、継続的に作業がなされるか否か判断される。継続して作業が行われる場合は、工具を建屋1内に置いて退場したと判断され、器具管理システムは終了する。作業が終了予定となっている場合は、工具が建屋1内にあると判断され、ステップS17へ進む。
【0040】
工具が足りない、または、工具が建屋1内にあると判断されると、警報ブザー15が鳴らされる。また、データベースが表示されているモニタ13にも、工具の不足を知らせる警告文字が表示される(ステップS17)。さらに、モニタ13には足りない工具の映像データCが表示される(ステップS18)。したがって、作業者は、足りない工具を表示画面を一目するだけで確認できる。作業員が建屋1内を探索し工具を見つけ出した際は、ステップS12に戻って処理が続行される。このようにして、持ち出す工具が持ち込み前と完全に一致するまで繰り返される。
【0041】
図5は、本実施形態の器具管理システムにより撮影される工具画像データの一例を示す図であり、(a)は工具セットを持ち込む前の画像データ、(b)は工具セットを持ち出す際の画像データを示している。
同図に示すように、器具管理システムでは、レンチ工具セット50など複数の工具(複数のソケット51とレンチ52など)を含む工具セットを一つの工具として管理する。すなわち、カメラ23によってレンチ工具セット50を一括して撮影するとともに、重量を測定する。したがって、セットに含まれる小さな工具(例えば、レンチ工具セット50の小型ソケット51など)にICタグ30を貼付したり、個々に重量を測定する必要がない。
【0042】
このレンチ工具セット50を建屋1から持ち出す際には、持ち込む前との重量を比較することによって、レンチ工具セット50の各工具が全て揃っているかが判断できる。また、重量比較の結果、レンチ工具セット50の中の一部が不足すると判別された場合は、持ち込み前に撮影した画像データ(図5(a))と、持ち出し時の画像データ(図5(b))とを比較対照することで、不足している工具をすぐに判別することができる。
【0043】
また、例えば、建屋1内での作業が長期間に及んだ場合には、工具を持ち込んだ作業者と、工具を持ち出す作業者が異なることがある。このとき、工具が足りないと判別された場合は、データベースに保存された画像データCを確認することで、工具を持ち出す作業者が、どのような工具が足りないのか知ることができ、足りない工具の捜索が容易に行える。
【0044】
以上、本実施形態の器具管理システムによれば、建屋に持ち込まれる工具の所在の管理を容易且つ確実に行うことができる。
なお、本発明の器具管理システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、病院等の医療機関において、手術室(作業区画)に持ち込まれる手術用具(器具)の管理にも適用することができる。
また、必要に応じて種々の応用実施または変形実施が可能であることは勿論である。以下に、本発明の器具管理システムの変形例を例示する。
【0045】
〔変形例1〕
器具管理システムは、作業者識別番号Dを会社内で汎用されている社員IDカードなどの磁気カードやICカードを適用してもよい。この場合、社員IDを作業者識別番号として読み取る読取機器をコンピュータとともに設置しておくことで、社員IDによる管理も可能となる。また、コンピュータに作業者が手作業で社員IDを入力してもよい。
【0046】
〔変形例2〕
器具管理システムは、一度識別番号Aを管理した工具の重量データB及び画像データCをコンピュータ10に保存しておくこともできる。これら工具の情報をコンピュータ10に保存しておき、再度工具を持ち込む際に識別番号Aを読み取るだけで保存してある各データB、Cを呼び出すようにシステムを構成してもよい。このように構成することで、再度作業をする場合に、工具の重量の測定や撮影などの工具の登録作業の手間を省くことができる。
【0047】
〔変形例3〕
器具管理システムは、工具の識別番号であるICタグ30を、建屋への入場時、すなわち工具を持ち込む際に貼り付けて、持ち出す際に貼り付けたICタグ30を取り外す管理方法としてもよい。
【0048】
〔変形例4〕
器具管理システムは、工具の重量を個々に計量する方法としたが、持ち込む工具の総重量を計量するようにシステムを構成してもよい。このように構成しても、工具の持ち込み前と持ち出し時の総重量が異なれば工具が足りないことが判別できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態の器具管理システムを適用した建屋の概略図である。
【図2】本実施形態の器具管理システムの概略を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の器具管理システムにおける工具情報の表示画面を示す概略図である。
【図4】本実施形態の器具管理方法を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の器具管理システムにおいて撮影される工具画像データの一例を示す図であり、(a)は工具セットを持ち込む前の画像データ、(b)は工具セットを持ち出す際の画像データを示している。
【符号の説明】
【0050】
1:建屋、2:タービン、
10:コンピュータ、11:演算装置、12:メモリ、13:モニタ、14:キーボード、15:警報ブザー、
21:ICタグリーダ/ライタ、22:計量機器、23:カメラ、24:タグリーダゲート、
30:ICタグ、31:作業者用ICタグ、
40:内容欄40、41:作業期間、42:作業者名欄、43:作業者ID欄、44:入場時間欄、45:退場時間欄、46:持ち込み確認の一覧表、47:持ち出し確認の一覧表、
50:レンチ工具セット、51:小型ソケット、52:レンチ
A:識別番号、B:重量データ、C:画像データ、D:作業者識別番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
担当者が作業区画に持ち込む器具を撮影してその画像データを得る撮影手段と、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具の重量を測定して重量データを得る重量測定手段と、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具の画像データと重量データとを記憶する記憶手段と、
前記作業区画から持ち出される器具の重量を測定し、対応する前記持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示する機能を備えた管理手段と、
を備えたことを特徴とする器具管理システム。
【請求項2】
請求項1の器具管理システムにおいて、
前記作業区画に持ち込む器具のそれぞれに器具識別情報を付与するとともに、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具に対し、当該識別情報を読み取る器具識別情報読取手段を備え、
前記記憶手段が、前記読み取られた識別情報についても記憶することを特徴とする器具管理システム。
【請求項3】
請求項2の器具管理システムにおいて、
前記管理手段は、前記作業区画から持ち出される器具の前記識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、対応する前記持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示することを特徴とする器具管理システム。
【請求項4】
請求項1の器具管理システムにおいて、
前記作業区画に器具を持ち込む担当者のそれぞれに担当者識別情報を付与するとともに、
前記作業区画に器具を持ち込む担当者に対し、当該担当者識別情報を読み取る担当者識別情報読取手段を備え、
前記記憶手段が、前記読み取られた担当者識別情報を、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具と関連付けて記憶することを特徴とする器具管理システム。
【請求項5】
請求項4の器具管理システムにおいて、
前記管理手段は、前記作業区画から出てくる担当者の前記担当者識別情報を読み取り、当該担当者識別情報に基づいて、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示することを特徴とする器具管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の器具管理システムにおいて、
前記管理手段は、前記作業区画から持ち出される器具の重量と、対応する前記持ち込まれた器具の重量との間に、あらかじめ設定した許容差以上の重量差があったとき、当該器具の一部に関し前記作業区画内への置き忘れが発生していると判別する重量判別手段を含むことを特徴とする器具管理システム。
【請求項7】
担当者が作業区画に持ち込む器具を撮影してその画像データを得る撮影ステップと、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具の重量を測定して重量データを得る重量測定ステップと、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具の画像データと重量データとを記憶する記憶ステップと、
前記作業区画から持ち出される器具の重量を測定し、対応する前記持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示する管理ステップと、
を備えたことを特徴とする器具管理方法。
【請求項8】
請求項7の器具管理方法において、
前記作業区画に持ち込む器具のそれぞれに器具識別情報を付与するとともに、
前記担当者が作業区画に持ち込む器具に対し、当該識別情報を読み取る器具識別情報読取ステップを備え、
前記記憶ステップでは、前記読み取られた識別情報についても記憶することを特徴とする器具管理方法。
【請求項9】
請求項8の器具管理方法において、
前記管理ステップでは、前記作業区画から持ち出される器具の前記識別情報を読み取り、当該識別情報に基づいて、対応する前記持ち込まれた器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示することを特徴とする器具管理方法。
【請求項10】
請求項7の器具管理方法において、
前記作業区画に器具を持ち込む担当者のそれぞれに担当者識別情報を付与するとともに、
前記作業区画に器具を持ち込む担当者に対し、当該担当者識別情報を読み取る担当者識別情報読取ステップを備え、
前記記憶ステップでは、前記読み取られた担当者識別情報を、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具と関連付けて記憶することを特徴とする器具管理方法。
【請求項11】
請求項10の器具管理方法において、
前記管理ステップでは、前記作業区画から出てくる担当者の前記担当者識別情報を読み取り、当該担当者識別情報に基づいて、当該担当者が作業区画に持ち込んだ器具の重量データと照合するとともに、当該持ち込まれた器具の画像データを表示することを特徴とする器具管理方法。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれか一項に記載の器具管理方法において、
前記管理ステップでは、前記作業区画から持ち出される器具の重量と、対応する前記持ち込まれた器具の重量との間に、あらかじめ設定した許容差以上の重量差があったとき、当該器具の一部に関し前記作業区画内への置き忘れが発生していると判別することを特徴とする器具管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−226488(P2007−226488A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46134(P2006−46134)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(000144452)株式会社三宅 (14)
【Fターム(参考)】