説明

器物端部防護用物品

【課題】テーブルやデスク等の器物端部である脚端部等の防護用物品の提供。
【解決手段】
合成繊維ヤーンからなる三本のストランドを撚り合わせ、所定長さと直径の一本のロープから、横方向の断面が環状の側壁13と、上部開口11と、下部開口14とを有する物品10が解き戻し可能に編成され、下部開口14は、上部開口11の内周径よりも小さい内周径を有する環状の底部15によって形成されている器物端部防護用物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、器物端部防護用物品、詳しくは、テーブルやデスク等の脚端部、建造物におけるハンドレールの端部、植木鉢の底近傍部等の、器物端部に被着して使用に供する器物端部防護用物品に関するものである。
【0002】
従来、例えば、特許文献1において、編み地で構成した家具の脚カバーが知られている。この脚カバーは、筒形の編み地の一端を綴じ合わせ、他端に形成した嵌め口を椅子、テーブル等の家具の脚部の下端に嵌め、編み地が有する伸縮性を利用して脚部のキャップとして嵌着するようにしたものである。
【特許文献1】特開2003−24159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に開示の脚カバーは、伸縮性を有する編み地から構成してあるので、椅子、テーブル等の脚部の多少の太さの差異に適用可能であるという利点は認められる。しかしながら、既製の編み地を綴じ合わせて構成してあるので、前記差異がかなり大きい場合には適用不可能であるばかりでなく、比較的強い衝撃を受けたとき、それを吸収緩和して脚部等それ自体や衝撃を与える対象物等を防護する機能が低いし、インテリヤ装飾品としても利用価値が低いなどの解決すべき課題がある。
【0004】
この発明の課題は、前記課題を解決することができるばかりでなく、原状に解き戻したり、他の形態に編み替えたりすることなどができる手芸用品として利用することができる器物端部防護用物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、器物端部防護用物品と、その形成方法とを含むものである。
【0006】
<器物端部防護用物品>
この発明は、縦方向、横方向、周回方向及び径方向と、前記縦方向の上端に上部開口とを有し、熱溶着性合成繊維の編成組織から形成された器物端部防護用物品に向けられている。
【0007】
この発明の特徴とするところは、前記物品において、多数本の合成繊維ヤーンからなる三本のストランドを撚り合わせ、所定長さと直径の一本のロープから、前記横方向の断面が環状の側壁と、前記上部開口と前記縦方向の下端に下部開口とを有する前記物品が解き戻し可能に編成され、前記下部開口は、前記上部開口の内周径よりも小さい内周径を有する環状の底部によって形成されていること、にある。
【0008】
<前記器物端部防護用物品の形成方法>
この発明の特徴とするところは、前記器物端部防護用物品の形成方法であって、下記の工程を含むことにある。
前記ロープが、所定長さと直径の主体と、前記主体の一端部に位置する第1端部と、前記主体の他端部に位置する第2端部とを有し、前記第1端部において前記主体を前記第1端部から差し通すことが可能な程度のループが形成されるように前記第1端部を含むその近傍部を環状に曲げて前記第1端部をその近傍部の前記主体に止着してアイループを形成する第1工程。
前記第2端部を加圧下に熱溶着し固化し前記第2端部における三本の前記ストランドを一体化して前記主体よりも硬い差し通し開始端部を形成する第2工程。
前記アイループに前記主体を前記第2端部から差し通して前記環状の底部に位置すべき適宜大きさのベースループを形成する第3工程。
前記ベースループの一部を形成する部分に前記主体を交差させて前記主体と前記ベースループとで第1ループを形成するとともに、前記第1ループに前記第2端部を差し通して前記第1ループを前記ベースループに締め付ける状態で巻き付け、
次いで、前記ベースループに沿う時計又は反時計方向側における前記第1ループに隣接する部位において、前記ベースループの一部を形成する部分に前記主体を交差させて前記主体と前記ベースループとで第2ループを形成するとともに前記第2ループに前記第2端部を差し通して前記第2ループを前記ベースループに締め付ける状態で巻き付け、
以後、前記同様の操作で前記ベースループを一周するように前記第2ループに続く第3ループからnループまでを順次形成し、これによって前記周回方向へ前記第1ループから前記nループまでが並列する第1ループ列を形成するとともに、前記第1ループ列の内周によって前記下部開口を形成する第4工程。
前記第1ループ列の前記nループに隣接する前記第1ループ列の前記第1ループに前記第2端部を差し通して前記主体で第2ループ列となるべき列の第1ループを形成するとともに、前記第1ループに前記第2端部を差し通して締め付ける状態で巻き付け、
次いで、前記第1ループ列に沿う前記一方の方向側における前記第1ループ列の前記第1ループに隣接する前記第1ループ列の前記第2ループに前記第2端部を差し通して前記主体で第2ループ列となるべき列の第2ループを形成するとともに、前記第2ループに前記第2端部を差し通して締め付ける状態で巻き付け、
以後、前記同様の操作で前記第1ループ列を一周するように前記第2ループに続く第3ループからnループまでを順次形成し、これによって前記周回方向へ前記第1ループから前記nループまでが並列する第2ループ列を形成し、前記第2ループ列に続いて、前記同様の操作で前記第1ループ列からnループ列までを形成するとともに、前記nループ列によって前記上部開口を形成する第5工程。
前記第1工程から前記第5工程までの間で、編成作業者は、手先によって、前記第1ループ列以降の前記各ループ列がほぼ前記縦方向上側へ延びて前記環状の側壁が形成されるように、編成方向を適宜操作することと、
前記第5工程の後、前記第2端部を前記第1〜nループ列中の任意の編み目に差し込み止着する第6工程。
【0009】
この発明の好ましい実施の形態として、下記を含む。
【0010】
前記ロープは、その直径が2〜24mmであること。
【0011】
前記合成繊維ヤーンが、エステルスパンからなること。
【発明の効果】
【0012】
<器物端部防護用物品>
この発明に係る器物端部防護用物品によれば、この物品が多数本の合成繊維ヤーンからなるストランドを三つ撚りした所定長さと直径の一本のロープから編成されているので、下記の効果が奏する。
【0013】
編成作業者が手先によって、環状の側壁を径方向外側への拡開圧を加えると、編み目が拡大するとともに直径が拡大し、反対に、環状の側壁をいわば絞るように径方向内側への挟圧を加えると、編み目が縮小するとともに直径が縮小する。このため、たとえば、この物品をテーブルやデスクの被着対象部である脚端部に被着するとき又は被着したのち、その脚端部の太さに応じてこの物品の直径を脚端部にフィットするように適宜調節することができる。
【0014】
この物品を被着対象部に被着した状態で、これに他の器物が衝突したり、させたりしたとき、その対象部又はこれに衝撃を与える対象体(物又は人体)に対する衝撃を吸収緩和し、それら対象部又は対象体をその損傷等から未然に防護することができる。
【0015】
ロープの直径や着色等を適宜選択して器物端部防護用を兼ねるインテリヤ装飾品として利用することができる。
【0016】
編成した適宜のループ列に止着したロープの第2端部(最終端末部)をそのループ列から抜脱したのち、単なる一本のロープの状態に編成を解き戻して他の所望の形態に編み替えることができる。このため、手芸用品として利用することができる。
【0017】
<器物端部防護用物品の形成方法>
この発明に係る器物端部防護用物品の形成方法によれば、この物品を容易に編成することができるとともに、既述のとおり、この物品を解き戻すことが容易であって、手芸趣向に供することができる。
【0018】
第2端部を加圧下に熱溶着し固化し第2端部における三本のストランドを一体化して主体よりも硬い差し通し開始端部を形成するので、編成過程において各ループに第2端部を差し通し易く、編成作業能率を向上させることができる。
【0019】
<この発明の好ましい実施の形態>
ロープの直径が2〜24mmである形態においては、編成作業者がその手で編成し易いうえ、テーブルやデスクの脚端部、建造物におけるハンドレールの端部、植木鉢の底部近傍部等の防護用として好適である。
【0020】
合成繊維ヤーンが、エステルスパンからなる形態においては、適度の柔軟性、圧縮弾性回復性、摩擦強度及び引張強度に優れるロープからなる物品を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図示例を参照して、この発明に係る器物端部防護用物品としての、テーブルやデスクの脚端部を例にして、実施の形態を説明すると、以下のとおりである。
【0022】
図1は物品の編成最終工程へ移行する直前の側面図、図2は図1のII−II線に沿う編成組織を省略した断面図、図3はロープの端部におけるストランドの撚り合わせを解いた状態の斜視図である。
【0023】
物品10は、縦方向、横方向、周回方向及び径方向と、縦方向の上端に上部開口11とを有し、熱溶着性合成繊維ヤーンからなるストランド12a,12b,12cを三つ撚りし、所定長さと直径の一本のロープ12によって編成組織を有するほぼ円筒状体に形成されている。物品10は、横方向の断面が環状の側壁13と、上部開口11と縦方向の下端に下部開口14とを有する。下部開口14は、側壁13の下端部が径方向内側へ曲がることによって上部開口11よりも小さい内周径を有する環状の底部15によって形成されている。
【0024】
環状の底部15は、上部開口11よりも小さい内周径を有することが、テーブルやデスクの脚端部、建造物におけるハンドレールの端部、植木鉢の底部近傍部等の器物端部に被着するうえで、好ましい。
【0025】
ロープ12は、その直径が2〜24mm、特に6〜12mmであることが、編成作業者がその手で編成し、テーブルやデスクの脚端部、建造物におけるハンドレールの端部、植木鉢の底部近傍部等の防護用物品を形成するうえで、好ましい。
【0026】
合成繊維ヤーンは、エステルスパンからなることが、適度の柔軟性、圧縮弾性回復性、摩擦強度及び引張強度に優れるロープからなる物品を得るうえで、好ましい。
【0027】
前記編成組織を有する物品10は、たとえば、下記の形成方法によって形成することが好ましい。
【0028】
図4(a)〜(l)は、物品の形成工程を示す斜視図である。
【0029】
<第I工程>
図1に示すように、ロープ12は、所定長さと直径の主体16と、第1端部17と、第2端部18とを有する。第1端部17において主体16を第2端部18から差し通すことが可能な程度のループが形成されるように第1端部17を含むその近傍部を環状に曲げて第1端部17をその近傍部の主体16に止着してアイループ19を形成する。具体的には、図3に示すように、ロープ12の第1端部17においてストランド12a,12b,12cの撚り合わせを解く。次いで、図4(a)に示すように、第1端部17を環状に曲げて、主体16のストランド12a,12b,12cの撚り合わせ目に、解いたそれらストランドを差し込んで止着することにより、アイループ19を形成する。アイループ19は、図示例とは異なり、それが複数重なるようにロープ12を複数回環状に巻いて形成してもよい。かくすると、物品10の下端部が環状の側壁13の径方向内側及び/又は外側へフランジ状に隆起し、物品10の使用場所によっては、安定感や美感を向上させることができる。
【0030】
かくして、アイループ19を形成することが、その形成方法として、最も簡便であるが、これに替えて、第1端部17におけるストランド12a,12b,12cの撚り合わせを解くことなく、第1端部17を含む近傍部を環状に曲げて主体16に第1端部17を加圧下に熱溶着する形成方法によっても、アイループ19を比較的容易に形成することができる。
【0031】
したがって、この発明においては、前記両形成方法を任意に採択することができ、そのいずれかに限定するものではない。
【0032】
<第2工程>
第2端部18を加圧下に熱溶着し固化し第2端部18における三本のストランド12a,12b,12cを一体化して主体16よりも硬い差し通し開始端部を形成する(図4(a)参照)。この際、第2端部18の固化した先端部が先細になるように形成することが、後述する差し通し操作を容易にするうえで、好ましい。
【0033】
なお、前記第1及び第2工程の「第1、第2」は、工程の順序を規定するものではなく、前記第1工程を前記第2工程の後に実施してもよい。
【0034】
<第3工程>
図4(b)に示すように、アイループ19に主体16を第2端部18から差し通して前記環状の底部15に位置すべき適宜大きさのベースループ20を形成する。
【0035】
<第4工程>
以下の工程は、図4(b)に示すように、前記物品10の編成作業者がベースループ20をほぼ水平に片手で保持すると仮定した状態において、記述するものとする。
【0036】
図4(c),(d),(e)に示すように、第2端部18をベースループ20の外側に交差させて主体16とベースループ20とで第1ループ21を形成するとともに、第1ループ21に第2端部18を差し通してベースループ20の外側へ引っ張り、第1ループ21をベースループ20に締め付ける状態で巻き付ける。
【0037】
次いで、図4(f)に示すように、ベースループ20に沿う時計方向の側における第1ループ21に隣接する部位において、第2端部18をベースループ20の外側から交差させて主体16とベースループ20とで第2ループ22を形成するとともに、第2ループ22に第2端部18を差し通してベースループ20の外側へ引っ張り、第2ループ22をベースループ20に締め付ける状態で巻き付ける。
【0038】
以後、図4(g)に示すように、前記同様の操作でベースループ20を一周するように第2ループ22に続く第3ループからnループまでを順次形成し、これによって周回方向へ第1ループ21から前記nループまでが並列する第1ループ列R1を形成するとともに、第1ループ列R1の内周縁によって前記下部開口14を形成する。
【0039】
<第5工程>
図4(g),(h),(i)に示すように、第1ループ列R1の前記nループに隣接する第1ループ列R1の第1ループ21に第2端部18を差し通して主体16で第2ループ列R2(図4(k)参照)となるべき列の第1ループ121を形成するとともに、第1ループ121に第2端部18を差し通して第1ループ列R1の外側へ引っ張って第1ループ21に第1ループ121を締め付ける状態で巻き付ける。
【0040】
次いで、図4(j)に示すように、第1ループ列R1に沿う時計方向の側における第1ループ列R1の第1ループ21に隣接する第1ループ列R1の第2ループ22に第2端部18を差し通して主体16で第2ループ列R2となるべき列の第2ループ122を形成するとともに、第2ループ122に第2端部18を差し通して第1ループ列R1の外側へ引っ張って第2ループ22に第2ループ122を締め付ける状態で巻き付ける。
【0041】
以後、図4(k),(l)に示すように、前記同様の操作で第1ループ列R1を一周するように第2ループ122に続く第3ループから前記nループまでを順次形成し、これによって周回方向へ第1ループ121から前記nループまでが並列する第2ループ列R2を形成する。第2ループ列R2に続いて、前記同様の操作で、第3ループ列R3からnループ列Rnまでを形成するとともに、nループ列Rnによって前記上部開口11を形成する。
【0042】
前記第1工程から前記第5工程までの間で、編成作業者は、手先によって、第1ループ列R1以降の前記各ループ列がほぼ縦方向上側へ延びて前記環状の側壁13が形成されるように、編成方向を操作しながら、前記各ループ列の向きを整える。
【0043】
前述のようにロープ12を編成すると、第1ループ列R1で形成された環状の前記下部開口14の直径よりも第1ループ列R1を除く他の第2〜nループ列R2〜Rnで形成される環状の側壁13の直径がほぼ一本のロープ12の直径分だけ大きくなる。これは、第1ループ列R1の下端部ではロープ12が三重状態になるところ、第2ループ列R2からnループ列Rnでは、ロープ12が四重状態になるからである。したがって、完成した物品10の状態では、第1ループ列R1が前記環状の底部15を形成することになる。なお、第1ループ列R1は、たとえば、脚端部に圧接してその荷重を受けると、前記環状の側壁13の径方向内側へより明確に屈曲して前記環状の底部15の機能を充分に果たす。
【0044】
前記編成方向を操作しなければ、第2ループ列R2からnループ列Rnまでがほぼ円盤状に延びることになる。もっとも、このように形成された場合でも、編成作業者が手先の操作では円筒状に変形させることが可能である。
【0045】
<第6工程>
前記第5工程の後、第2端部18を前記第1〜nループ列R1〜Rnの編み目に差し込み止着する。この場合、好ましくは、前記第5工程の後に編成されないロープ12が適宜長さ残るようにし、その残った部分のロープ12を、前記上端開口11を形成する前記nループ列Rnに好ましくない凹凸が生じている場合、nループ列Rnの編み目に第2端部18から主体16を差し込んでその列の上端を整え、また、前記底部15を形成する第1ループ列R1に同様に凹凸が生じている場合も同様にその下端を整えることに利用する。
【0046】
なお、第2端部18を差し通すべき各ループが比較的強く締め付けられていてその差し通しが容易でない場合には、各ループの締め付け程度や大きさにもよるが、たとえば、先細の、通常用いられる鉛筆程度の直径の棒状物を各ループに差し込んで、各ループの締め付けを緩め又は大きくすると、編成作業を容易ならしめることができる。
【0047】
前記記述における各方向は、あくまでも図示例を基準とするものであって、別の図示例によっては、それら各方向が異なることはいうまでもないが、その場合でも、発明の構成自体は本質的に同じになる。
【0048】
完成した物品10は、編成作業者が、物品10の内部に両手先を差し入れ、環状の側壁13を径方向外側への拡開圧を加えると、比較的容易に、編み目が拡大するとともに直径が拡大し、反対に、環状の側壁13を両手先でいわば絞るように径方向内側への挟圧を加えると、比較的容易に、編み目が縮小するとともに直径が縮小する。これは、物品10がロープ12から編成されていることと、ロープ12が合成繊維ヤーンからなるストランドの撚り合わせから形成されていていわば腰が比較的強く、ロープ周面の滑性及びロープ径方向の圧縮弾性回復性を有していることなどによるものと認められる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明に係る器物端部防護用物品の完成直前の側面図。
【図2】図1のII−II線に沿う概略断面図。
【図3】ロープの一端部のストランドの撚り合わせを解いた状態の概略拡大図。
【図4】(a)〜(l)で示す前記物品を形成するための各工程を前記物品の底部から斜め上方へ見た図。
【符号の説明】
【0050】
10 器物端部防護用物品
11 上部開口
12 ロープ
12a,12b,12c ストランド
13 側壁
14 下部開口
16 主体
17 第1端部
18 第2端部
19 アイループ
20 ベースループ
21 第1ループ
22 第2ループ
121 第1ループ
122 第2ループ
n nループ
R1 第1ループ列
R2 第2ループ列
Rn nループ列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦方向、横方向、周回方向及び径方向と、前記縦方向の上端に上部開口とを有し、熱溶着性合成繊維の編成組織から形成された器物端部防護用物品において、
多数本の合成繊維ヤーンからなる三本のストランドを撚り合わせ、所定長さと直径の一本のロープから、前記横方向の断面が環状の側壁と、前記上部開口と、前記縦方向の下端に下部開口とを有する前記物品が解き戻し可能に編成され、前記下部開口は、前記上部開口の内周径よりも小さい内周径を有する環状の底部によって形成されていることを特徴とする前記物品。
【請求項2】
前記ロープは、その直径が2〜24mmである請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記合成繊維ヤーンが、エステルスパンからなる請求項1又は2に記載の物品。
【請求項4】
請求項1に記載の器物端部防護用物品の形成方法であって、
前記ロープが、所定長さと直径の主体と、前記主体の一端部に位置する第1端部と、前記主体の他端部に位置する第2端部とを有し、前記第1端部において前記主体を前記第1端部から差し通すことが可能な程度のループが形成されるように前記第1端部を含むその近傍部を環状に曲げて前記第1端部をその近傍部の前記主体に止着してアイループを形成する第1工程と、
前記第2端部を加圧下に熱溶着し固化し前記第2端部における三本の前記ストランドを一体化して前記主体よりも硬い差し通し開始端部を形成する第2工程と、
前記アイループに前記主体を前記第2端部から差し通して前記環状の底部に位置すべき適宜大きさのベースループを形成する第3工程と、
前記ベースループの一部を形成する部分に前記主体を交差させて前記主体と前記ベースループとで第1ループを形成するとともに、前記第1ループに前記第2端部を差し通して前記第1ループを前記ベースループに締め付ける状態で巻き付け、
次いで、前記ベースループに沿う時計又は反時計方向側における前記第1ループに隣接する部位において、前記ベースループの一部を形成する部分に前記主体を交差させて前記主体と前記ベースループとで第2ループを形成するとともに前記第2ループに前記第2端部を差し通して前記第2ループを前記ベースループに締め付ける状態で巻き付け、
以後、前記同様の操作で前記ベースループを一周するように前記第2ループに続く第3ループからnループまでを順次形成し、これによって前記周回方向へ前記第1ループから前記nループまでが並列する第1ループ列を形成するとともに、前記第1ループ列の内周によって前記下部開口を形成する第4工程と、
前記第1ループ列の前記nループに隣接する前記第1ループ列の前記第1ループに前記第2端部を差し通して前記主体で第2ループ列となるべき列の第1ループを形成するとともに、前記第1ループに前記第2端部を差し通して締め付ける状態で巻き付け、
次いで、前記第1ループ列に沿う前記一方の方向側における前記第1ループ列の前記第1ループに隣接する前記第1ループ列の前記第2ループに前記第2端部を差し通して前記主体で第2ループ列となるべき列の第2ループを形成するとともに、前記第2ループに前記第2端部を差し通して締め付ける状態で巻き付け、
以後、前記同様の操作で前記第1ループ列を一周するように前記第2ループに続く第3ループからnループまでを順次形成し、これによって前記周回方向へ前記第1ループから前記nループまでが並列する第2ループ列を形成し、前記第2ループ列に続いて、前記同様の操作で前記第1ループ列からnループ列までを形成するとともに、前記nループ列によって前記上部開口を形成する第5工程と、
前記第1工程から前記第5工程までの間で、編成作業者は、手先によって、前記第1ループ列以降の前記各ループ列がほぼ前記縦方向上側へ延びて前記環状の側壁が形成されるように、編成方向を適宜操作することと、
前記第5工程の後、前記第2端部を前記第1〜nループ列中の任意の編み目に差し込み止着する第6工程と
を含む。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−127715(P2008−127715A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314859(P2006−314859)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(506389425)杉田船用品工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】