説明

噴出ノズル構造および循環アダプタ

【課題】気泡を含む気泡噴流を浴槽内に噴出する噴出ノズル構造および循環アダプタにおいて、気泡噴流を周囲に拡散させることなく、目標方向に進行可能な気泡噴流を得る。
【解決手段】噴出ノズル48は、気泡噴流噴出口24を中心とした同心円状の外側ガード52と、外側ガード52の内方に内側ガード53とから構成している。内側ガード53は、浴槽1に向かってテーパ状に拡開すると共に十字状の開口54を有する内壁部55と、内壁部55の浴槽1側縁部と内側ガード53の反浴槽1側縁部とを連結する円筒状の外壁部56と、上下左右の4ヶ所に形成され、内側ガード53の内外を連通可能に貫通する還流孔57とから構成される。尚、外側ガード52は、内壁部55と略平行となるように、浴槽1に向かってテーパ状に拡開している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風呂給湯器から浴槽に湯水を供給するために浴槽に取付けて使用される循環アダプタに関し、特に、気泡噴流を噴出する噴出ノズル構造及びそのノズルを備えた循環アダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の風呂給湯システムは、風呂給湯器から新規な高温の湯水が供給される湯張運転モード、浴槽内の湯水を再度風呂給湯器に戻して加熱、再供給する追焚運転モード、微細な気泡を湯水に混在させて気泡噴流を浴槽に噴出させる気泡運転モード等消費者のニーズに合せて様々な湯水の供給形態を有している。
【0003】
浴槽に取付けられる湯水噴出口、所謂循環アダプタにおいてはアダプタ単体で複数の運転モードの噴流を実現可能としなければならない。例えば、追焚運転モードでは安全の側面から高温の噴流が使用者に向かないよう浴槽下方に向けて噴出する必要がある一方、気泡運転モードでは噴流を使用者に向けて前方へ集中噴出する必要があり、これを一つの循環アダプタによって運転モード毎に噴出方向を切替える必要がある。
【0004】
一方、循環アダプタの噴出口、特に、気泡運転モードの噴出口は正面に向かって設置されていることから、噴出口に指を挿入して噴出口を閉塞することがあり、この場合、噴出口から湯水が全く噴出されなくなり、噴流流路内で湯水の流れの停止を生じていた。
【0005】
特許文献1には、気泡噴流噴出口の周囲に設けられるノズル構造であって、ノズルの周壁にノズルの内外を連通する連通孔を設けると共に、ノズル内部に対する指詰防止板を設置した技術が提案されている。この構成により、ノズル内部に指の挿入を防止しつつ、仮にノズル先端を閉塞したとしても、湯水は連通孔からノズル外部に進行できるため、湯水の流れの停止を防止できる。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2549011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のノズル構造では、噴出口の閉塞を防止しつつ、指詰めによる湯水の流れの停止を防止でき、更に、ノズルの設置により、噴流の前方へ向けた集中噴出に有効である。
しかしながら、ノズル出口直後における噴流の進行方向が定まらないという新たな問題が発生する。
【0008】
図8に、本出願人が現在開発中の循環アダプタを示す。
図8に示すように、気泡運転モードでは、高速高圧の噴流を噴出口前方に向けて噴出するため、進行する噴流の圧力と噴出口周囲の湯水圧力とに圧力差が生じる。噴出ノズルの設置により、噴流の進行方向をガイドした場合、流速が高められた噴流とノズル出口周囲の圧力差は、更に大きくなる。
【0009】
噴流とノズル出口周囲とに大きな圧力差が生じると、ノズル出口周囲に負圧が発生したと同じ状況となり、ノズル直後の噴流は、図8に模式的に示すように、噴出された途端にノズル出口外周に拡散し、目標とされる使用者に向かって進行しないという現象が生じる。前記のような噴流の拡散現象は、噴流の圧力が高い程、また流速が速い程顕著になる傾向にある。また、湯水に比べて、気泡に作用する圧力の影響は大きいことが原因と考えられる。
【0010】
本発明の目的は、気泡を含む気泡噴流を浴槽内に噴出する噴出ノズル構造および循環アダプタにおいて、噴出口から噴出された気泡噴流を周囲に拡散させることなく、目標方向に進行可能な気泡噴流を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、気泡を含む気泡噴流を浴槽内に噴出する噴出ノズル構造において、気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から噴出口側に還流させる還流孔を形成したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から前記噴出口側に還流させる還流孔を形成することにより、噴出口直後に発生する負圧を内側ガードの外側の噴流に作用させることができる。また、内側ガードと同心円状の外側ガードが存在しているため、前記負圧をノズル出口近傍に集中して作用させることができる。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、内側ガードに複数の還流孔を周方向に所定間隔おきに形成したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項3の発明は、新規湯水の供給を行う湯張運転モードと、浴槽の湯水を循環加熱して再度浴槽に供給を行う追焚運転モードと、気泡噴流の供給を行う気泡運転モードとを有し、夫々の運転モードで噴流と噴出口とを切替え可能な循環アダプタであって、気泡運転モードのとき、気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から噴出口側に還流させる還流孔を形成したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項4の発明は、請求項3において、追焚運転モードと気泡運転モードとに応じて切替え可能な夫々の噴出口と、追焚運転モードと気泡運転モードとの噴流流路を切替え可能な切替手段とを有し、切替手段は温度感応部材によって付勢される開閉可能な弁体を有し、この弁体は噴流温度の変化によって駆動されると共に、所定温度以上で追焚運転モードの噴流流路に切替えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、気泡を含む気泡噴流を浴槽内に噴出する噴出ノズル構造において、気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から噴出口側に還流させる還流孔を形成したため、ノズル出口直後の噴流を周囲に拡散させることなく、目標方向に進行可能とできる。
【0017】
つまり、噴出口直後に発生する負圧を内側ガードの外側で、且つノズル出口近傍に作用させることで、目標方向に進行する噴流の周囲にリング状の流れ、所謂流体による噴流ガイドを形成し、気泡噴流を目標位置に向かって周囲に拡散させることなく進行させることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、内側ガードに複数の還流孔を周方向に所定間隔おきに形成したため、流体によるガイドが進行する噴流の周囲に亙って形成されることから、更に、気泡噴流を周囲に拡散させることなく目標位置に向かって進行させることができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、新規湯水の供給を行う湯張運転モードと、浴槽の湯水を循環加熱して再度浴槽に供給を行う追焚運転モードと、気泡噴流の供給を行う気泡運転モードとを有し、夫々の運転モードで噴流と噴出口とを切替え可能な循環アダプタであって、気泡運転モードのとき、気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から噴出口側に還流させる還流孔を形成したため、基本的に請求項1と同様の効果を有する循環アダプタを得ることができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、追焚運転モードと気泡運転モードとに応じて切替え可能な夫々の噴出口と、追焚運転モードと気泡運転モードとの噴流流路を切替え可能な切替手段とを有し、切替手段は温度感応部材によって付勢される開閉可能な弁体を有し、この弁体は噴流温度の変化によって駆動されると共に、所定温度以上で追焚運転モードの噴流流路に切替えるため、循環アダプタ内で噴流温度を感応し噴流流路を切替えることによって、コントローラ等既存の設備から独立した自律動作が循環アダプタ単体で可能となる。しかも、気泡噴流噴出口から適した温度の気泡噴流しか噴出されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施する為の最良の形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0022】
図1に示すように、実施例の風呂供給システムは、浴槽1、風呂給湯器2、循環回路3及び循環アダプタ4から構成される。風呂給湯器2は燃焼部と熱交換部とからなる熱供給部5と水や湯水を循環させるためのポンプ6とから構成され、夫々の機器はコントローラ7によって制御される。また、コントローラ7は操作パネル8に電気的に接続されており、使用者が操作パネル8上に設置されている運転モード毎に設けられた押し釦を押すことによって風呂の湯張指示や各種モード選択信号がコントローラ7に伝達され風呂給湯器2の作動が開始される。
【0023】
湯張時及びその他給湯時の水や湯水の流通回路について説明する。導入路9に導入された水が第1流量センサ10を経て熱供給部5に供給され、排出路11を通って浴槽1及びその他の給湯系装置に供給される経路となっている。
気泡運転時及び追焚運転時には、循環回路3は復路12と往路13とから構成されている。ポンプ6の作動により循環アダプタ4から吸入された浴槽1の湯水は復路12を経て熱供給部5で加熱されて往路13を通り循環アダプタ4から浴槽1に供給される経路となっている。ポンプ6の下流の復路12には第2流量センサ14が設けられ、安全上の観点から3.5L/分以上の流量がなければ熱供給部5の加熱動作は行われない。尚、排出路11と復路12とは分岐排出路15で接続されており、その連通は電磁弁16により制御される。尚、17はガス供給路を示している。
【0024】
次に、循環アダプタ4について図2及び図3に基づいて説明する。
図2は循環アダプタ4の断面図、図3は循環アダプタ4の各機構を平面状に展開し、模式化して表した作動模式図を示す。
図2に示すように、循環アダプタ4は、浴槽1の外側に配設される第1筒状体18と、浴槽1の内部側から槽壁1aに貫通状に配設されて第1筒状体18に螺合される第2筒状体19とを有している。第1、第2筒状体18,19は夫々フランジを備えており、環状パッキン20,21により槽壁1aと両フランジとのシール性を確保している。
【0025】
第2筒状体19の内周側には、第2筒状体19にボルト22により固定される切替弁ケース23が配設され、この切替弁ケース23の表面前方には水平方向に開口する気泡噴流噴出口24と吸込口25とが設けられると共に、槽底方向に向かって横穴状の追焚噴流噴出口26(図3参照)が形成されている。循環アダプタ4の浴槽側表面部分には、切替弁ケース23を覆う形で、噴出ノズル48を備えるカバー部27が装着されている。
【0026】
第1筒状体18の端壁部28には、吸入管29と吐出管30と吸気管31の3つのポート部分が形成されており、吸入管29は往路13と、吐出管30は復路12とに夫々連結されている。吸気管31は、フィルタ、オリフィス及び逆止弁等を備えた図示しない吸気ユニットと吸気パイプを介して接続されている。
【0027】
切替弁ケース23は、第2筒状体19の内周面に嵌合する外筒部32と、外筒部32と協働して複数の機能空間を形成する内筒部33とを備える。つまり、外筒部32と内筒部33とによって切替弁ケース23内部には、気泡噴流噴出口24が設けられる円柱状の旋回室34及び吸込口25が設けられる吸込室35、更に、図3に示すように、旋回室34と並設されると共に連通路36で接続される旋回予備室37、旋回予備室37と並設されると共に追焚噴流噴出口26と連通可能な供給室38及び旋回予備室37と供給室38とに対して反浴槽側に直列状に配置される吸入室39の5つの機能空間が存在している。尚、旋回予備室37、供給室38及び吸入室39等は、図2において、紙面後方側に配置されている。
【0028】
旋回室34には浴槽側先端が円錐形状の吸気ノズル40が設置されている。この吸気ノズル40の内部には吸気管31と連続する吸気孔41が設けられており、吸気孔41から導入された空気を旋回室34の長手方向中央部分に設けられた連通路36の開口に向けて供給するように構成されている。
【0029】
連通路36はその接続方向が円柱状の旋回室34に対して接線方向となるように連通されている。この構成により、旋回予備室37から導入される湯水が旋回室34の内周形状に沿って高速旋回することになり、空気の吸引、気泡の微細化及び所定周波数の超音波の発生等に適した旋回回転数を得ることができる。尚、本循環アダプタ4においては、旋回回転数を30,000〜40,000回転/分となるように構成されている。
旋回予備室37には、反浴槽側にバネで付勢される逆止弁42が設置されており、吸入室39からの湯水の流れのみを許容している。
【0030】
切替弁ケース23には、内筒部33を貫通し、湯水の噴出口を気泡噴流噴出口24と追焚噴流噴出口26とに切替え制御する噴出口切替部43が設けられている。噴出口切替部43は、第1切替弁44と、この第1切替弁44を浴槽側端部に固定する軸部45と、この軸部45の反浴槽側端部に固定される第2切替弁46とで構成されている。
【0031】
第2切替弁46は、旋回予備室37と吸入室39との連通状態を制御すると共に、吸入室39と供給室38とを常時連通させるように構成される。第1切替弁44と第2切替弁46との位置関係は、第1切替弁44が供給室38を閉鎖している時は第2切替弁46が開弁し、逆に、第2切替弁46が旋回予備室37を閉鎖している時は第1切替弁44が開弁するようにされている。
【0032】
端壁部28と第2切替弁46との間には形状記憶合金製バネ47が配置されている。
具体的に説明すると、湯水が低温或いは常温時では、形状記憶合金製バネ47は収縮状態となっている。この時、第1切替弁44は供給室38を閉鎖すると共に第2切替弁46は開弁していることから湯水は旋回予備室37、連通路36を経て旋回室34に供給される。次に、高温の湯水、例えば48℃の湯水が循環アダプタ4内に供給されると、形状記憶合金製バネ47が温度変化に感応して伸張し、第1切替弁44が開弁し第2切替弁46が閉弁する。
【0033】
図1、図3及び図4に基づいて、各運転モードにおける作動について説明する。尚、図1は気泡運転モード、図3は湯張運転モード、図4は追焚運転モードを示している。
操作パネル8の操作によって、循環アダプタ4は、湯張運転モード、追焚運転モード及び気泡運転モードが実行可能である。
【0034】
(気泡運転モード)
図1に示すように、操作パネル8上で気泡運転モードを選択すると、コントローラ7がポンプ6を作動させ、浴槽内の湯水を吸込口25から吸込室35を経て復路12に導入する。この時、熱供給部5は作動しておらず、復路12に導入された温度のまま湯水は循環し往路13を通り吸入室39に導入される。吸入室39内部に設置された形状記憶合金製バネ47がこの湯水温度に感応して収縮動作を行い、第1切替弁44を閉弁すると共に第2切替弁46を開弁動作させる。尚、既に形状記憶合金製バネ47が収縮している場合は、その状態を維持することになる。
【0035】
吸入室39から旋回予備室37に入った湯水は連通路36を通り連通路開口から旋回室34に導入される。
連通路36は旋回室34の接線方向に接続されているため、湯水は旋回室34の長手方向の中心軸を中心に高速旋回を行い、所定の負圧が旋回室34内に発生する。この負圧により、空気は吸気ユニットから吸気孔41を経由して旋回室34の中央部分に吸引され、湯水と混合されることになる。この気泡混合湯水が旋回しながら水平方向に開口する気泡噴流噴出口24から噴出される。
【0036】
(湯張運転モード)
図1に示すように、操作パネル8で湯張運転モードを選択すると、水が導入路9に導入され熱供給部5に移動した水は加熱された後、排出管11に進行する。この時、コントローラ7の指示により、電磁弁16が開作動して湯は分岐排出管15を経由して復路12に導かれて一部の湯水は復路12から循環アダプタ4へ導入され、吸込口25から供給される。尚、吸込口25から湯水が供給されるのは湯張運転モードの時のみである。
【0037】
図3に示すように、残りの湯水は往路13を通り吸入室39に導入される。吸入室39に導入された湯水の温度(例えば、50℃)を吸入室39内部に設置された形状記憶合金製バネ47が温度感応して伸張し、第2切替弁46が旋回予備室37への経路を遮断すると共に第1切替弁44を開作動する。湯水を供給室38から浴槽下向きの追焚噴流噴出口26に送られる。
【0038】
(追焚運転モード)
図4に示すように、追焚運転モードを選択すると、コントローラ7の指示によりポンプ6及び熱供給部5が作動を開始し、浴槽内の湯水を吸込口25から復路12に導入する。熱供給部5により加熱された湯水は往路13を通り吸入室39に導入される。吸入室39以降の経路は湯張運転モードと同様である。尚、電磁弁16は非作動となっており、分岐排出管15と循環回路3との接続は遮断されている。
【0039】
図5〜図7に基づき、気泡噴流噴出口24の噴出ノズル48について説明する。
図5はカバー部27の正面図、図6は図5のVI−VI線断面図、図7は図5のVII−VII線断面図を示す。
カバー部27は、カバー部27の前方表面の大半を形成する金属製の網部材からなる金網部49と、金網部49の中央下方で吸込口25の正面に位置する樹脂製の中央部50と、中央部50の上方に隣接し、気泡噴流噴出口24の正面に装着される樹脂製の噴出ノズル48と、第2筒状体19と切替弁ケース23のフランジに装着可能な外周フランジ部51とから構成している。
【0040】
噴出ノズル48は、気泡噴流噴出口24を中心とした同心円状の外側ガード52と、外側ガード52の内方に内側ガード53とから構成している。
内側ガード53は、浴槽1に向かってテーパ状に拡開すると共に十字状の開口54を有する内壁部55と、内壁部55の浴槽1側縁部と外側ガード52の反浴槽1側縁部とを連結する円筒状の外壁部56と、上下左右の4ヶ所に90°毎に形成され、内側ガード53の内側と外側とを連通可能に貫通する還流孔57とから構成される。尚、外側ガード52は、内壁部55と略平行となるように、浴槽1に向かってテーパ状に拡開している。
【0041】
本噴出ノズル48の作用効果について、説明する。
図6に示すように、気泡運転モードが選択された場合、破線で示す気泡が混合されたA方向の噴流が旋回しながら循環アダプタ4の気泡噴流噴出口24から噴出され、開口54を通過進行する。
内側ガード53により、気泡噴流噴出口24から噴出された噴流の進行をガイドするため、高速のA方向の噴流と噴出ノズル48の出口直後の周囲との圧力差は大きくなり、A方向の噴流は出口周囲の負圧によって外周方向、例えば矢印Cで表す方向に吸引されることになる。このC方向の噴流が連続的に発生した場合、A方向の噴流が噴出ノズル48の出口直後で強制的にその軌道を変更され、目標位置、所謂使用者に向かう進行が阻害される。(図8参照)
【0042】
気泡噴流噴出口24直後には、高速噴流の噴出に基づくベンチュリ効果により負圧が発生している。
また、内側ガード53の周囲には90°間隔に4ヶ所の還流孔57が形成され、内側ガード53の内外を連通可能に貫通しているため、気泡噴流噴出口24直後の負圧をC方向の噴流に作用させることができる。浴槽1に向かってテーパ状に拡開している外側ガード52は、前記負圧をC方向の噴流に集中して作用させるガイド機構となっている。
【0043】
負圧により吸引されたC方向の噴流は、図6に示すB方向の流れとなって気泡噴流噴出口24直後に向かって進行する。このとき、外側ガード52は吸引された噴流を気泡噴流噴出口24から噴出されるA方向の噴流に合流させるガイド機構となっている。
【0044】
前記内壁部55の浴槽1側縁部を中心とするリング状のB方向の噴流が、内側ガード53の上下左右の4箇所に形成されることから、噴出ノズル48の出口周囲の圧力を上昇させることができ、A方向の噴流と噴出ノズル48の出口周囲の圧力差を減少できる。
換言すれば、B方向の噴流による噴流ガイドを形成することで、C方向の噴流を遮断し、A方向に向かう噴流が弱まることを防止している。
以上のことから、A方向に向かう噴流は2点鎖線で示す軌道を通って使用者に向かって進行することができる。
【0045】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、還流孔を4ヶ所に形成した例について説明したが、周方向に所定の小間隔おきに更に細かく形成することで、気泡噴流の指向性を更に上昇させることができる。
【0046】
2〕前記実施例においては、噴出ノズルの内外ガードを浴槽に向かってテーパ状に拡開した形状とした例について説明したが、その拡開角度は仕様に応じて変更可能であり、少なくとも流体による噴流ガイドを形成できるものであればよく、円筒形状の噴出ノズルにも適用できる。
【0047】
3〕前記実施例においては、湯張運転モードと追焚運転モードと気泡運転モードとの3モードを備える例について説明したが、その他のモードを備えてもよく、少なくとも、高速高圧で噴出される運転モードを有するものであれば何れの噴出口にも適用できる。
【0048】
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施例に係る風呂給湯システムの全体説明図である。
【図2】本実施例に係る循環アダプタの断面図である。
【図3】湯張運転時における循環アダプタの作動模式図である。
【図4】追焚運転時における循環アダプタの作動模式図である。
【図5】本実施例に係る循環アダプタの正面図である。
【図6】図5におけるVI−VI線断面を示す図である。
【図7】図5におけるVII−VII線断面を示す図である。
【図8】本発明の課題を説明する循環アダプタの模式図である。
【符号の説明】
【0050】
1 浴槽
2 風呂給湯器
4 循環アダプタ
24 気泡噴流噴出口
25 吸込口
26 追焚噴流噴出口
43 噴出口切替部
44 第1切替弁
46 第2切替弁
47 形状記憶合金製バネ
48 噴出ノズル
52 外側ガード
53 内側ガード
57 還流孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡を含む気泡噴流を浴槽内に噴出する噴出ノズル構造において、
気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、
前記二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から前記噴出口側に還流させる還流孔を形成したことを特徴とする噴出ノズル構造。
【請求項2】
前記内側ガードに複数の還流孔を周方向に所定間隔おきに形成したことを特徴とする請求項1に記載の噴出ノズル構造。
【請求項3】
新規湯水の供給を行う湯張運転モードと、浴槽の湯水を循環加熱して再度浴槽に供給を行う追焚運転モードと、気泡噴流の供給を行う気泡運転モードとを有し、夫々の運転モードで噴流と噴出口とを切替え可能な循環アダプタであって、
前記気泡運転モードのとき、気泡噴流を噴出する噴出口の周囲に同心円状の二重ガードを設け、
前記二重ガードのうち、内側ガードに気泡噴流を内側ガードの外側から前記噴出口側に還流させる還流孔を形成したことを特徴とする循環アダプタ。
【請求項4】
追焚運転モードと気泡運転モードとに応じて切替え可能な夫々の噴出口と、
追焚運転モードと気泡運転モードとの噴流流路を切替え可能な切替手段とを有し、
前記切替手段は温度感応部材によって付勢される開閉可能な弁体を有し、この弁体は噴流温度の変化によって駆動されると共に、所定温度以上で追焚運転モードの噴流流路に切替えることを特徴とする請求項3に記載の循環アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−17374(P2010−17374A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181003(P2008−181003)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】