説明

噴出装置

【課題】ロック操作及びアンロック操作を容易に行うことができる噴出装置を提供する。
【解決手段】スプレー缶の噴霧剤を導くガイド部材111のガイド本体112に前方リブ115aを設け、トリガーレバー91をロックするロック機構141をロックバー142と操作部で構成する。ロックバー142先端を首部73に支持し、ロックバー142基端に、首部73外側に配置された操作部を固定する。操作部後方スライド時に、ロックバー142を前方リブ115aの下部に配置してガイド本体112の噴出方向125への移動を阻止したロック状態を形成し、操作部前方スライド時に、ロックバー142を前方フランジ下部より前方へ離し、ガイド本体112の噴出方向125への移動を許容したアンロック状態を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体に収容された内容物を噴出する噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器体に収容された内容物を噴出する噴出装置は、販売時での内容物の不用意な噴出を防止する為のストッパがノズル部に設けられている。
【0003】
このストッパは、前記ノズル部にヒンジを介して切り離し可能に設けられたものや、ノズル部とは別体で構成されたものが知られている。前記ヒンジを介して設けられたストッパは、使用時にノズル部から切り離されるため、切り離し後において、ノズル部からの噴出を防止する為に使用することはできなかった。また、ノズル部と別体で構成されたストッパは、ノズル部から抜き取った際に紛失してしまうことがあった。
【0004】
そこで、ストッパの紛失を防止する噴出ポンプ装置が考案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
この噴出ポンプ装置は、容器体と該容器体に設けられたノズル部とによって構成されており、このノズル部には、前記容器体内の内容物を噴出するためのピストンが設けられている。該ピストンの軸部には、ストッパ部材が外嵌しており、該ストッパ部材は、前記ピストンの周面に沿ってロック位置とロック解除位置との間で回動できるように構成されている。
【0006】
これにより、前記ストッパ部材を前記ロック位置に回動した際には、前記ピストンを押下するトリガーレバーの操作を防止する一方、前記ロック解除位置に回動した際には、前記トリガーレバーの操作を許容できるように構成されており、前記ノズル部には、前記トリガーレバーの操作を解除可能にロックするロック機構が構成されている。
【特許文献1】特開2003−230854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の噴出装置にあっては、ピストンの軸部に外嵌したストッパ部材を操作する際には、噴射状態(手がトリガーを引くことができる状態)のままでは操作しにくく、一度噴射状態から持ち替えてストッパ部材を操作しなければならない。また、トリガーレバーと容器体との間に指を入れて前記ストッパ部材を回動しなければならず、操作性が悪かった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、ロック操作及びアンロック操作を容易に行うことができる噴出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の噴出装置にあっては、ノズル部に、容器体に収容された内容物を導くパイプ状部材と、該パイプ状部材を軸方向に作動するトリガーレバーとが設けられ、該トリガーレバーを操作して前記パイプ状部材を噴出方向に作動した際に、前記容器部の前記内容物を前記パイプ状部材を介して導出する噴出装置において、前記ノズル部に、前記パイプ状部材の外周部に配置された周壁と、該周壁を横断し前記パイプ状部材に係合して当該パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止したロック状態及び前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容したアンロック状態を形成する横断部材とを設けるとともに、該横断部材を操作する操作部を前記周壁より外側に設けた。
【0010】
すなわち、容器体の内容物を導くパイプ状部材の外周部には、周壁が設けられており、この周壁の外側には、当該周壁を横断した横断部材を操作する為の操作部が設けられている。
【0011】
そして、この操作部を操作して前記横断部材を作動することによって、該横断部材が前記パイプ状部材に係合し当該パイプ状部材の噴出方向への移動を阻止したロック状態を形成することができる。
【0012】
この状態において、前記パイプ状部材を作動するトリガーレバーが誤って操作された場合には、前記横断部材が前記パイプ状部材の噴出方向への移動を阻止する。このため、容器部の内容物の前記パイプ状部材を介した導出が防止される。
【0013】
また、使用時には、前記操作部を操作して前記横断部材を作動することで、該横断部材による前記パイプ状部材との係合状態を解除して当該パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容したアンロック状態を形成することができる。
【0014】
この状態において、前記パイプ状部材を作動するトリガーレバーを操作した際には、該トリガーレバーによって前記パイプ状部材が前記噴出方向に作動され、前記容器部の前記内容物が前記パイプ状部材を介して導出される。
【0015】
また、請求項2の噴出装置においては、前記パイプ状部材に前記横断部材と係合する突起を設け、前記横断部材の一端を、前記周壁に支持するとともに、前記横断部材の他端を、前記周壁にスライド自在に設けられた前記操作部に支持し、該操作部をスライドして前記横断部材を前記一端を中心に傾動した際に、前記横断部材が前記突起に当接して前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止する位置に配置した前記ロック状態と、前記横断部材を前記突起から離し前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容する位置に配置した前記アンロック状態を形成するロック機構を構成した。
【0016】
すなわち、パイプ状部材には、横断部材と係合する突起が設けられており、前記横断部材の一端は、周壁に支持されるとともに、当該横断部材の他端は、前記周壁にスライド自在に設けられた前記操作部に支持されている。
【0017】
このため、この操作部をスライドして前記横断部材が前記突起に当接して前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止する位置に移動することで、前記ロック状態を形成することができる。
【0018】
一方、操作部をスライドして前記横断部材を前記突起から離し、前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容する位置に移動することによって、前記アンロック状態を形成することができる。
【0019】
これにより、前記ロック状態及び前記アンロック状態を形成するロック機構を構成することができる。また、このロック機構を構成する前記操作部を前記周壁に沿ってスライドさせるだけで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切り替えを行うことができる。
【0020】
さらに、請求項3の噴出装置では、前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に前記横断部材と当接する突起を当該パイプ状部材に設け、前記操作部を、前記横断部材の一端に設けられた第1ボタン及び前記横断部材の他端に設けられた第2ボタンで構成し、前記周壁より後退可能に突出した一方のボタンを操作して後退させた際に他方のボタンが前記周壁から突出する長さ寸法に前記横断部材を設定するとともに、一方のボタンを後退させた状態で前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に前記突起との当接を回避する回避部を前記横断部材に形成した。
【0021】
すなわち、パイプ状部材には、横断部材と係合する突起が設けられており、前記周壁を横断する横断部材は、前記周壁から突出した一方のボタンを操作して後退させた際に他方のボタンが前記周壁から突出する長さ寸法に設定されている。また、この横断部材には、一方のボタンを後退させた状態において、前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に該パイプ状部材に設けられた突起との当接を回避する回避部が形成されている。
【0022】
このため、前記周壁から突出した前記一方のボタンを後退させることによって、前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動を許容したアンロック状態を形成することができる。このとき、前記他方のボタンが前記周壁から突出することとなる。
【0023】
この状態において、前記周壁から突出した前記他方のボタンを後退させることにより、前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止したロック状態を形成することができる。このとき、前記一方のボタンが前記周壁から突出することとなり、前記アンロック状態を形成する為の操作を可能とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように本発明の請求項1の噴出装置にあっては、容器体の内容物を導くパイプ状部材の外周部には、周壁が設けられており、この周壁の外側に、トリガーレバーの操作を禁止したロック状態及び操作を許容したアンロック状態を形成する操作部が設けられている。
【0025】
このため、ピストンの軸部に外嵌したストッパ部材を回転操作しなければならなかった従来と比較して、ロック操作及びアンロック操作を容易に形成することができる。
【0026】
また、前記ロック操作及びアンロック操作を行う前記操作部は、前記周壁に設けられているので、切り離されるストッパや別部材で構成されたストッパでロック状態を形成する場合のように、ストッパを紛失するといった不具合を確実に防止することができる。
【0027】
さらに、前記パイプ状部材を、その外周部に設けられた周壁で覆うことができるため、外観品質を高めることもできる。
【0028】
また、請求項2の噴出装置においては、パイプ状部材に横断部材と係合する突起を設け、前記横断部材の一端を周壁に支持するとともに、当該横断部材の他端を前記周壁にスライド自在に設けられた前記操作部に支持することによって、前記ロック状態及び前記アンロック状態を形成するロック機構を構成することができる。
【0029】
そして、このロック機構では、噴射状態(手がトリガーを引くことができる状態)のまま持ち替えることなく、前記操作部を前記周壁に沿ってスライドさせるだけで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切り替えを行うことができる。これにより、操作性を高めることができる。
【0030】
さらに、請求項3の噴出装置では、パイプ状部材に、横断部材と係合する突起を設ける一方、前記横断部材の両端に設けられたボタンのうち前記周壁から突出した一方のボタンを後退させた際に他方のボタンが前記周壁から突出する長さ寸法に前記横断部材を設定するとともに、一方のボタンを後退させた状態において、前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に該パイプ状部材に設けられた前記突起との当接を回避する回避部を前記横断部材に形成することで、前記ロック状態及び前記アンロック状態を形成するロック機構を構成することができる。
【0031】
そして、このロック機構では、噴射状態(手がトリガーを引くことができる状態)のまま持ち替えることなく、前記周壁から突出したボタンを操作して後退させるだけで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切り替えを行うことができる。これにより、操作性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施の形態)
【0033】
以下、本発明の第1の実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる噴出装置1を示す図であり、該噴出装置1は、芳香剤や消臭剤や殺虫剤などの噴霧剤を必要に応じて任意に噴霧する装置である。
【0034】
この噴出装置1は、噴霧剤が収容された金属製の容器体としてのスプレー缶11と、該スプレー缶11の上端部に取り付けられたノズル部12とによって構成されており、該ノズル部12から前記スプレー缶11を取り外すことによって、当該スプレー缶11を交換できるように構成されている。
【0035】
このスプレー缶11の缶本体21は、図2にも示すように、円筒容器状に形成されており、当該缶本体21の上端部は、球面状に形成されショルダー部22が形成されている。この上端部の中央部には、噴霧剤を収容する為の収容口が設けられており、該収容口は、蓋体によって閉鎖されている(図示省略)。該蓋体の周縁は、前記缶本体21の上縁と共にカシメられており、当該缶本体21の上端部には、下方へ向けて折り返された折返し部23が全周に渡って形成されている。
【0036】
前記蓋体からは、前記缶本体21に収容された前記噴霧剤を噴出するためのパイプ25が後退可能に延出しており、該パイプ25には、前記噴霧剤の不用意な吹き出しを防止する図外のバルブ機構が設けられている。このバルブ機構は、前記パイプ25を缶本体21側へ後退させた際に該缶本体21内の噴霧剤を当該パイプ25から噴出できるように構成されている。
【0037】
前記ノズル部12は、弾性を有した合成樹脂によって形成されており、弾性が付与されている。このノズル部12は、前記スプレー缶11に取り付けられるノズル本体31と、該ノズル本体31の上部開口部32を閉鎖する上部閉鎖部33とによって構成されている。
【0038】
前記ノズル本体31には、前記スプレー缶11に取り付けた取付状態において、当該スプレー缶11の周面に沿って延在するカバー部41が一体形成されており、該カバー部41は、前記スプレー缶11の周面に密着するように構成されている。このカバー部41は、ノズル操作時に前記スプレー缶11を握持する手で把持できる長さに設定されている。
【0039】
このカバー部41の内側面には、前記スプレー缶11の前記折返し部23に外嵌する筒状の外嵌部51が一体形成されており、該外嵌部51は、その上縁部が前記カバー部41内面に連結されている。この外嵌部51の下縁部には、前記スプレー缶11に取り付けた状態で、前記折返し部23と前記ショルダー部22との間に挿入される係止爪52,・・・が内側へ向けて突設されており、前記外嵌部51を前記折返し部23に外嵌した状態で前記係止爪52,・・・が前記折返し部23に係合することで、当該ノズル部12が前記スプレー缶11に固定されるように構成されている。
【0040】
前記カバー部41の上縁には、図2〜図4に示したように、前記スプレー缶11の前記蓋体に沿って延在する棚部71が形成されている。この棚部71の中央には、前記パイプ25が挿通する円形穴72が形成されており、該円形穴72の開口縁部には、上方に起立したフランジ部72aが全周に渡って形成されている。
【0041】
また、前記カバー部41の上縁には、前記棚部71を包囲する筒状の首部73が形成されており、該首部73によって周壁が構成されている。そして、この首部73の前方には、図2及び図4に示すように、開口部74が形成されている。
【0042】
この首部73の上部には、大径のヘッド部81が形成されており、該ヘッド部81は、前記上部閉鎖部33が取り付けられることによって、前記上部開口部32が閉鎖されるように構成されている。前記ヘッド部81の後端部には、相対向する支持壁82,82が形成されており、該支持壁82,82には、図4に示したように、上方開口状の上方開口溝83,83が形成されている。
【0043】
前記ヘッド部81内には、図2に示したように、前記スプレー缶11の前記噴霧剤を噴霧する際に操作されるトリガーレバー91が設けられており、該トリガーレバー91は、への字状に形成された相対向する側面部92,92を備えている。両側面部92,92の後端部には、回転軸93が架橋されており、該回転軸93は、前記支持壁82,82に設けられた前記上方開口溝83,83に回動自在に支持されている。
【0044】
前記両側面部92,92の中央部には、中央壁101によって連結されており、該中央壁101には、下方に延出した一対の下方延出片102,102が形成されるとともに、両下方延出片102,102には、下方開口溝103,103が形成されている。前記両側面部92,92の前端部は、前壁104によって連結されており、当該トリガーレバー91の前端部には、前記首部73の前記開口部74を挿通して斜め下方に延出したトリガー105が形成されている。
【0045】
また、前記ヘッド部81内には、前記スプレー缶11から噴出された前記噴霧剤を導くガイド部材111が収容されており、該ガイド部材111は、前記棚部71の前記円形穴72に挿入される円筒状のパイプ状部材としてのガイド本体112を備えている。該ガイド本体112の外周面には、上下方向に延在する補強用のリブ115が等間隔をおいた四カ所に形成されており、図3に示したように、前記ノズル部12前方へ向けて突出した前方リブ115aは、本発明の突起を構成している。
【0046】
前記ガイド本体112には、図2に示したように、前記スプレー缶11より延出した前記パイプ25が挿入される挿入穴113が設けられており、該挿入穴113上部の内側面には、傾斜面114が形成されている。これにより、前記パイプ25の先端が、前記傾斜面114に当接するように構成されている。
【0047】
前記ガイド本体112の上部側面には、円柱部121,121が突設されており、該円柱部121は、前記トリガーレバー91の前記下方延出片102,102に設けられた下方開口溝103,103に回動自在に支持されている。
【0048】
これにより、前記トリガーレバー91の前記トリガー105を指で引いて操作した際に、当該ガイド部材111の前記ガイド本体112が当該ガイド本体112の軸方向下方である噴出方向125に作動して、前記スプレー缶11より延出した前記パイプ25を下方へ後退させるように構成されており、これによって、前記スプレー缶11の前記パイプ25から前記噴霧剤を放出するとともに、この放出された噴霧剤を前記ガイド部材111の前記ガイド本体112を介して導出できるように構成されている。
【0049】
前記ガイド本体112の上端部からは、筒状のガイド部131が前記ノズル部12の前端開口部132へ向けて延出されており、該ガイド部131は、前記ガイド本体112に接続されている。これにより、該ガイド本体112内に放出された前記噴霧剤を当該ガイド部131の先端に設けられた噴出口133を介して噴霧できるように構成されている。
【0050】
そして、このノズル部12には、前記トリガーレバー91をロックするロック機構141が設けられており、該ロック機構141は、前記ガイド部材111の前記ガイド本体112の外周部に配置された前記首部73を横断する横断部材としてのロックバー142と、図1及び図3に示したように、該ロックバー142を操作する操作部143とによって構成されている。
【0051】
前記ロックバー142の先端部は、図3に示したように、前記首部73の内側面に設けられた挿入穴151に挿入された状態で支持されており、当該ロックバー142の基端部は、前記首部73に開設された挿通穴152を貫通するように構成されている。この挿通穴152を貫通した前記ロックバー142の基端部には、前記操作部143が嵌着固定されており、当該操作部143は、前記首部73の外側に配置されている。前記ロックバー142が挿通した前記挿通穴152は、前後方向に延在する長穴で構成されており、前記操作部143を前後方向にスライドできるように構成されている。
【0052】
これにより、前記操作部143を前記首部73に沿って後方へスライドして前記ロックバー142を前記一端を中心に傾動した際に、前記ロックバー142の中央部が前記ガイド本体112に突設された前方リブ115aの下部に配置され、当該ロックバー142が前方リブ115aに当接して前記ガイド本体112の前記噴出方向125への移動を阻止するロック位置161に配置されたロック状態を形成できるように構成されている(図2参照)。このとき、前記ロックバー142は、前記前方リブ115aと前記棚部71に形成された前記フランジ部72aとの間に配置されるように構成されており、前記ロックバー142の下方への撓みが前記フランジ部72aによって阻止されるように構成されている。
【0053】
また、前記操作部143を前記首部73に沿って前方へスライドして前記ロックバー142を前記前方フランジ113a下部より前方へ離した状態で、前記ガイド本体112の前記噴出方向125への移動を許容するアンロック位置165に配置した前記アンロック状態を形成できるように構成されている。
【0054】
以上の構成にかかる本実施の形態において、スプレー缶11より放出された噴霧剤を導くガイド部材111のガイド本体112の外周部には、周壁を構成する首部73が設けられており、この首部73の外側には、当該首部を横断したロックバー142を操作する為の操作部143が設けられている。
【0055】
そして、この操作部143を後方へスライド操作して、前記ロックバー142が前記ガイド本体112の前方リブ115aの下部に配置されたロック位置161に移動することで、前記ロックバー142が前記ガイド本体112の前方リブ115aに当接して、当該ガイド本体112の噴出方向125への移動を阻止したロック状態を形成することができる。
【0056】
この状態において、前記ガイド部材111を作動するトリガーレバー91が誤って操作された場合には、前記ロックバー142が前記ガイド本体112の前記噴出方向125への移動を阻止する。このため、前記スプレー缶11の噴霧剤の前記ガイド部材111を介した噴霧が防止される。
【0057】
また、使用時には、前記操作部143を操作して前記ロックバー142を前記ガイド本体112の前記前方リブ115aの下部から前方へ離間させることで、前記ロックバー142による前記ガイド本体112との係合状態を解除し、当該ガイド本体112の前記噴出方向125への移動を許容したアンロック状態を形成することができる。
【0058】
この状態において、前記ガイド本体112を作動する前記トリガーレバー91を操作した際には、該トリガーレバー91によって前記ガイド本体112が前記噴出方向125に作動され、前記スプレー缶11の噴霧剤が前記ガイド部材111を介して噴霧される。
【0059】
このように、前記ガイド本体112の外周部に設けられた首部73の外側には、前記トリガーレバー91の操作を禁止したロック状態及び操作を許容したアンロック状態を形成する操作部143が設けられている。このため、ピストンの軸部に外嵌したストッパ部材を回転操作しなければならなかった従来と比較して、ロック操作及びアンロック操作を容易に形成することができる。
【0060】
また、前記ロック操作及びアンロック操作を行う前記操作部143は、前記首部73に設けられているので、切り離されるストッパや別部材で構成されたストッパでロック状態を形成する場合のように、ストッパを紛失するといった不具合を確実に防止することができる。
【0061】
さらに、前記ガイド本体112を、その外周部に設けられた前記首部73で覆うことができるため、外観品質を高めることもできる。
【0062】
そして、前記ガイド本体112に、前記ロックバー142と係合する前方リブ115aを設け、前記ロックバー142の一端を前記首部73に支持するとともに、当該ロックバー142の他端を、前記首部73にスライド自在に設けられた前記操作部143に支持することで、前記ロック機構141を構成することができる。また、このロック機構141を構成する前記操作部143を噴射状態(手がトリガーを引くことができる状態)のまま持ち替えることなく、前記首部73に沿ってスライドさせるだけで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切り替えを行うことができる。これにより、操作性を高めることができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
【0064】
図5は、本発明の第2の実施の形態を示す図であり、第1の実施の形態と異なる部分に付いてのみ説明し、同一又は同等部分に付いては、同符号を付して説明を割愛する。
【0065】
すなわち、前記首部73を横断するロックバー142の一端には、操作部を構成する第1ボタン171が設けられており、前記ロックバー142の他端には、前記操作部を構成する第2ボタン172が設けられている。
【0066】
また、前記ロックバー142は、その両端部が前記首部73を貫通する長さに設定されているとともに、該首部73から後退可能な突出量分いずれか一方のボタンを突出できる長さに設定されており、突出した一方のボタンを操作して後退させた際に他方のボタンが前記首部73から突出する長さ寸法に設定されている。
【0067】
そして、このロックバー142には、前記第1ボタン171を後退させた状態で前記ガイド本体112を前記噴出方向125へ移動した際に前記前方リブ115aとの当接を回避する下方に突出したクランク状の回避部181が中途部に形成されている。
【0068】
以上の構成にかかる本実施の形態において、首部73から突出した第2ボタン172を押圧操作して後退させることによって、前記ガイド部材112の噴出方向125へ移動を許容したアンロック状態を形成することができる。このとき、第1ボタン171は、前記首部73より後退可能に突出することとなり、アンロック状態を形成する為の操作を可能とすることができる。
【0069】
この状態において、前記首部73から突出した前記第1ボタン171を押圧操作して後退させることにより、前記ガイド部材112の前記噴出方向125への移動を阻止したロック状態を形成することができる。このとき、前記第2ボタン172が前記首部73から後退可能に突出することとなり、前記アンロック状態を形成する為の操作を可能とすることができる。
【0070】
このように、前記首部73から突出したいずれかのボタンを、噴射状態(手がトリガーを引くことができる状態)のまま持ち替えることなく押圧操作して後退させるだけで、前記ロック状態と前記アンロック状態との切り替えを行うことができる。これにより、操作性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、(a)は要部の側面図であり、(b)は平面図である。
【図2】同実施の形態の要部を示す断面図である。
【図3】同実施の形態のノズル本体を示す正面から見た一部断面図である。
【図4】同実施の形態のノズル本体を示す側面から見た断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態のノズル本体の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 噴出装置
11 スプレー缶
12 ノズル部
73 首部
91 トリガーレバー
112 ガイド本体
115a 前方リブ
125 噴出方向
141 ロック機構
142 ロックバー
143 操作部
161 ロック位置
165 アンロック位置
171 第1ボタン
172 第2ボタン
181 回避部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル部に、容器体に収容された内容物を導くパイプ状部材と、該パイプ状部材を軸方向に作動するトリガーレバーとが設けられ、該トリガーレバーを操作して前記パイプ状部材を噴出方向に作動した際に、前記容器部の前記内容物を前記パイプ状部材を介して導出する噴出装置において、
前記ノズル部に、前記パイプ状部材の外周部に配置された周壁と、該周壁を横断し前記パイプ状部材に係合して当該パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止したロック状態及び前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容したアンロック状態を形成する横断部材とを設けるとともに、該横断部材を操作する操作部を前記周壁より外側に設けたことを特徴とする噴出装置。
【請求項2】
前記パイプ状部材に前記横断部材と係合する突起を設け、前記横断部材の一端を、前記周壁に支持するとともに、前記横断部材の他端を、前記周壁にスライド自在に設けられた前記操作部に支持し、該操作部をスライドして前記横断部材を前記一端を中心に傾動した際に、前記横断部材が前記突起に当接して前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を阻止する位置に配置した前記ロック状態と、前記横断部材を前記突起から離し前記パイプ状部材の前記噴出方向への移動を許容する位置に配置した前記アンロック状態を形成するロック機構を構成したことを特徴とする請求項1記載の噴出装置。
【請求項3】
前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に前記横断部材と当接する突起を当該パイプ状部材に設け、
前記操作部を、前記横断部材の一端に設けられた第1ボタン及び前記横断部材の他端に設けられた第2ボタンで構成し、前記周壁より後退可能に突出した一方のボタンを操作して後退させた際に他方のボタンが前記周壁から突出する長さ寸法に前記横断部材を設定するとともに、一方のボタンを後退させた状態で前記パイプ状部材を前記噴出方向へ移動した際に前記突起との当接を回避する回避部を前記横断部材に形成したことを特徴とする請求項1記載の噴出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−111602(P2007−111602A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304063(P2005−304063)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000102544)エステー化学株式会社 (127)
【Fターム(参考)】