説明

噴射装置、及びスプレー缶用蓋部材

【課題】 圧縮ガスの圧力によって圧送される噴射物の噴射量を確実に制御できる噴射装置、及びスプレー缶用蓋部材を提供する。
【解決手段】原料容器本体部(31)に接続されるスプレー缶用蓋部材(32)には、原料容器本体部(31)内で圧送された原液が原料容器(30)の外部へ噴出されるまでの噴射通路に、液バルブ(50)が設けられる。噴射装置(1)の使用時に押しボタン(60)を押すと、液バルブ(50)が開放され、原液が原料容器(30)の外部に噴出される。一方、噴射装置(1)の使用後に押しボタン(60)を離すと、液バルブ(50)が閉鎖され、原料容器(30)の外部への噴霧動作が速やかに停止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料容器に貯留された噴射物を外部に噴出する噴射装置、及び原料容器本体部の開口に接続されるスプレー缶用蓋部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄液、塗料、殺虫剤、及び消臭剤などの噴射物を噴霧するための噴射装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、噴射物としての原液を貯留する原料容器と、原液を圧送するための圧縮ガスが充填されるガス容器とを備えた噴射装置が開示されている。この噴射装置では、一端が上記ガス容器の吐出口と接続し、他端が原料容器内の気相部に開口するガス通路と、一端が原料容器内の液相部に開口し、他端が噴射装置の噴出口と接続する噴射通路とが形成されている。また、この噴射装置には、上記ガス容器の吐出口を開閉する開閉弁と、該開閉弁の開閉状態を切り換える押しボタンとが設けられている。
【0004】
この噴射装置を使用する際には、操作者が上記押しボタンを操作して開閉弁を開放させる。その結果、ガス容器内の圧縮ガスは、吐出口及びガス通路を介して原料容器の気相部へ導入される。このように圧縮ガスを原料容器内に導入すると、原料容器内の内圧が上昇し、原液は圧縮ガスに押圧されて噴射通路に搬送される。この原液は噴射通路を流出した後、噴出口より噴霧対象に噴出される。
【特許文献1】特開昭60−129160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に開示されている噴射装置では、ガス容器の吐出口を開閉弁で開閉させることで、噴出口から噴出される原液の流量を制御するようにしている。しかしこの構成では、操作者が押しボタンを離して開閉弁を閉鎖したとしても、原料容器から噴出口までの間は噴射通路を介して相変わらず連通した状態となる。このため、噴射装置の使用後に原料容器内の残圧が大気圧に至るまでの間、原液が噴出口から継続して噴出されることになる。したがって、原液及び圧縮ガスを無駄に消費してしまうと共に、使用者の要求に応じて噴出量を制御するのが困難となってしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧縮ガスの圧力で圧送される噴射物の噴出量を確実に制御できる噴射装置、及びスプレー缶用蓋部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の噴射装置は、噴射物を貯留する原料容器と、圧縮ガスを上記原料容器の外部から内部へ導くガス通路と、上記圧縮ガスの圧力によって圧送される噴射物を原料容器の内部から外部へ導いて噴出させる噴射通路と、上記噴射通路に接続されて噴射物の流量を制御する流量制御機構とを備えていることを特徴とするものである。ここで、上記「噴射物」は、噴射装置の用途に応じて原料容器に貯留されるものであって、例えば有機溶剤や塗料などの原液や、消火剤や制汗剤などの粉体を含むものである。
【0008】
第1の発明の噴射装置では、ガス通路を介して原料容器内へ圧縮ガスが供給される。この圧縮ガスによって原料容器内が昇圧すると、この原料容器内の噴射物は、圧縮ガスによって押圧され、噴射通路を介して外部へ噴出される。
【0009】
ここで、本発明では、この噴射通路に噴射物の流量を調節する流量制御機構を設けている。このため、この噴射装置の使用時には、噴射通路を噴射物が流れるように流量制御機構を調節することで、噴射装置から所定量の噴射物を噴出させることができる。一方、この噴射装置の使用を終えた際には、噴射通路における噴射物の流通を禁止するように流量制御機構を調節することで、噴射装置からの噴射物の噴出動作を速やかに停止させることができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の噴射装置において、上記ガス通路を開閉自在なガスバルブと、上記噴射通路を開閉自在な上記流量制御機構としての噴射バルブとを備え、上記ガスバルブと噴射バルブとを同時に閉鎖状態とする第1操作位置と、該ガスバルブと噴射バルブとを同時に開放状態とする第2操作位置とに切り換え可能な操作機構を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明では、上記ガス通路にガスバルブが設けられる一方、上記噴射通路に噴射バルブが設けられる。また、第2の発明の噴射装置には、上記ガスバルブと噴射バルブとの開閉状態を切り換える操作機構が設けられる。
【0012】
上記操作機構を第1操作位置とすると、上記ガスバルブと噴射バルブとが閉鎖状態となる。その結果、ガス通路から原料容器内部への圧縮ガスの供給は、ガスバルブによって禁止される。同時に、噴射通路から原料容器外部への噴射物の供給は、噴射バルブによって禁止される。つまり、この噴射装置を使用しない場合には、操作機構を第1操作位置とすることで、噴射装置からの噴射物の噴出動作が確実に停止される。
【0013】
上記操作機構を第2操作位置とすると、上記ガスバルブと噴射バルブとが開放状態となる。その結果、ガス通路から原料容器内部へ圧縮ガスが供給されると同時に、圧縮ガスで押圧された噴射物は、噴射通路を介して原料容器外部へ噴出される。つまり、この噴射装置の使用時には、操作機構を第2操作位置とすることで、噴射装置から噴射物が速やかに噴出される。
【0014】
第3の発明は、第1又は第2の発明の噴射装置において、上記原料容器が、先端に開口を有する原料容器本体部と、該原料容器本体部の開口を封止するように接続される蓋部とで構成され、上記蓋部は、その内側に上記ガスバルブと上記噴射バルブとを径方向に隣接させた状態で保持するように該ガスバルブと噴射バルブの外縁に沿って形成されており、上記蓋部を貫通して上記ガスバルブと接続し、上記ガス通路の一部を構成するガス管と、上記蓋部を貫通して上記噴射バルブと接続し、上記噴射通路の一部を構成する噴射管とを備えていることを特徴とするものである。
【0015】
第3の発明では、原料容器本体部の開口に接続される蓋部の内側に上記ガスバルブと噴射バルブとが隣接して収納される。
【0016】
第4の発明は、第1の発明の噴射装置において、上記圧縮ガスが充填されると共に該圧縮ガスを外部へ吐出させる吐出口を有するガス容器と、一端が上記ガス容器の吐出口と連通し、他端が上記原料容器のガス通路と連通する連絡通路とを備え、上記連絡通路には、原料容器側からガス容器側への流体の流れを禁止する逆止弁が設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
第4の発明では、ガス容器の吐出口と上記ガス通路とが連絡通路で接続される。ガス容器内に充填された圧縮ガスは、連絡通路を介してガス通路へ流入し、原料容器内へ導入される。ここで、本発明では、上記連絡通路に逆止弁が設けられる。このため、原料容器内の噴射物が、連絡通路を介してガス容器側へ逆流してしまうのを逆止弁によって確実に阻止することができる。
【0018】
第5の発明は、第1の発明の噴射装置において、上記圧縮ガスが充填されると共に該圧縮ガスを外部へ吐出させる吐出口を有するガス容器と、一端が上記ガス容器の吐出口と連通し、他端が上記原料容器のガス通路と連通する連絡通路とを備え、上記ガス容器には、圧縮ガスとして圧縮空気が充填されていることを特徴とするものである。
【0019】
第5の発明では、原料容器内の噴射物を圧送するための圧送源として、圧縮空気がガス容器に充填される。
【0020】
第6の発明は、噴射物を貯留する原料容器本体部の先端の開口を封止するように該原料容器本体部に接続される蓋部を有するスプレー缶用蓋部材を前提としている。そして、このスプレー缶用蓋部材は、圧縮ガスを原料容器本体部の外部から内部へ導くガス管と、上記圧縮ガスで圧送される噴射物を原料容器本体部の内部から外部へ導く噴射管と、該噴射管に接続されて噴射物の流量を制御する流量制御機構とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
第6の発明では、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部が接続されることで、上記第1の発明と同様の作用を有する噴射装置が構成される。
【0022】
第7の発明は、第6の発明のスプレー缶用蓋部材において、上記ガス管の流路を開閉自在なガスバルブと、上記噴射管の流路を開閉自在な上記流量制御機構としての噴射バルブと、上記ガスバルブと噴射バルブとを同時に閉鎖状態とする第1操作位置と、該ガスバルブと噴射バルブとを同時に開放状態とする第2操作位置とに切り換え可能な操作機構を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
第7の発明では、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部が接続されることで、上記第2の発明と同様の作用を有する噴射装置が構成される。
【0024】
第8の発明は、第7の発明のスプレー缶用蓋部材において、上記蓋部が、その内側に上記ガスバルブと噴射バルブとを径方向に隣接させた状態で保持するように該ガスバルブと噴射バルブの外縁に沿って形成されており、上記ガス管は蓋部を貫通して上記ガスバルブと接続し、上記噴射管は蓋部を貫通して噴射バルブと接続していることを特徴とするものである。
【0025】
第8の発明では、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部が接続されることで、上記第3の発明と同様の作用を有する噴射装置が構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、原料容器内の噴射物が外部へ噴出されるまでの噴射通路に流量制御機構を設けるようにしている。このため、この噴射装置の使用時には、流量制御機構で噴射通路における噴射物の流通を許容するようにして、噴射物を外部へ噴出させることができる。一方、噴射装置の使用を終えた際には、この流量制御機構で噴射通路における噴射物の流通を禁止することができる。このようにすると、噴射装置の使用を終えた際に、原料容器内に圧縮ガスが残余し、この内圧が大気圧よりも高いような条件においても、噴射物が噴射通路を流通して外部へ噴出されることはない。即ち、従来の噴射装置の使用後には、原料容器内の残圧が大気圧に至るまでの間、噴射物が噴出し続けることがあったのに対し、本発明の噴射装置では、噴射装置の終了後に速やかに噴射物の噴霧動作を停止させることができる。したがって、使用者の要求に応じて噴射物の噴射量を確実に制御することができると共に、噴射物や圧縮ガスの無駄な消費を回避することができる。
【0027】
特に第2の発明によれば、噴射装置の使用時には、操作機構を第2操作位置とすることで、ガスバルブと噴射バルブとの双方を開放させて噴霧動作を行うことができる。一方、噴射装置の噴霧動作終了時には、操作機構を第1操作位置とすることで、ガスバルブと噴射バルブとの双方を閉鎖させて噴霧動作を停止させることができる。このようにガスバルブと噴射バルブとの双方を閉鎖させると、原料容器内への圧縮ガスの供給を停止すると同時に、原料容器外への噴射物の供給を停止できるので、速やかかつ確実に噴射物の噴出動作を停止させることができる。また、噴射装置の不使用時にガスバルブを閉鎖状態とすると、原料容器を傾けた場合等に、原料容器内の噴射物がガス通路を介して原料容器の外部へ流出してしまうのを防ぐことができる。
【0028】
また、第3の発明によれば、蓋部の内側において、上記ガスバルブと噴射バルブとを隣接させた状態で保持するようにしている。このため、上記ガスバルブと噴射バルブとを蓋部によって一体的に保持することができ、蓋部の簡素化を図ることができる。また、ガスバルブと噴射バルブとは、蓋部の内壁に沿うようにして原料容器内に配置されるので、これらガスバルブと噴射バルブとを原料容器の内部にコンパクトに収納することができる。
【0029】
第4の発明によれば、ガス容器と原料容器との間の連絡通路に逆止弁を設けるようにしている。このため、この噴射装置の不使用時等に原料容器を傾けた際等に、原料容器内の噴射物がガス容器へ逆流してしまうのを確実に防止することができる。したがって、この噴射装置の信頼性の向上を図ることができる。
【0030】
また、第5の発明によれば、噴射物の圧送源として圧縮空気を用いるようにしている。この圧縮空気は、引火性を有しないため、この噴射装置を安全に取り扱うことができる。また、圧縮空気は、自然環境や人体に対して無害であるため、いわゆる環境負荷の低減を図ることができる。また、圧縮空気であれば、エアコンプレッサ等でガス容器内に簡便に再充填できる。このため、ガス容器を容易に再利用することができ、廃棄物の削減を図ることができる。
【0031】
第6の発明によれば、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部を接続することで、上記第1の発明と同様の効果を奏する噴射装置を構成することができる。
【0032】
第7の発明によれば、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部を接続することで、上記第2の発明と同様の効果を奏する噴射装置を構成することができる。
【0033】
第8の発明によれば、原料容器本体部に本発明のスプレー缶用蓋部材の蓋部を接続することで、上記第3の発明と同様の効果を奏する噴射装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0035】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0036】
実施形態1の噴射装置(1)は、圧縮ガスの圧力を利用して噴射物を噴霧対象に噴射するものである。本実施形態では、上記圧縮ガスとして圧縮空気が、上記噴射物として有機溶剤の原液が用いられる。そして、噴射装置(1)では、圧縮空気で圧送された有機溶剤を噴霧対象に噴射することで、噴霧対象の洗浄が行われる。図1に示すように、この噴射装置(1)は、ガス容器(10)及び原料容器(30)を備えている。このガス容器(10)と原料容器(30)とは、導入管(26)によって接続されている。
【0037】
<ガス容器の構成>
ガス容器(10)は、原液(噴射物)の圧送源となる圧縮ガスが充填されるものである。このガス容器(10)は、ガス容器本体部(11)、ガス容器蓋部(12)、ガス容器バルブ(20)、及びキャップ(28)を備えている。
【0038】
図2に示すように、上記ガス容器本体部(11)は、上端側に開口を有する有底筒状の容器で構成されている。このガス容器本体部(11)の上端には、上方に突出する環状のガス容器突出部(13)が形成されており、このガス容器突出部(13)の径方向内側に円形の開口が形成されている。
【0039】
上記ガス容器蓋部(12)は、ガス容器本体部(11)の開口を封止するように該ガス容器本体部(11)に接続されている。このガス容器蓋部(12)には、その外周側において上記ガス容器突出部(13)に沿って上方に突出した環状の第1突部(14)と、その中心側において上方に突出した円筒状の第2突部(15)とが設けられている。
【0040】
上記ガス容器バルブ(20)は、上記第2突部(15)の内周壁に狭持されるようにしてガス容器本体部(11)内の上部に保持されている。このガス容器バルブ(20)は、第1弁ケーシング(21)、第1弁体(22)、吐出管(23)、及び第1バネ(24)を備えている。
【0041】
上記第1弁ケーシング(21)は、その上部に第1弁体(22)の収納空間が形成され、その下部にガス流入路(21a)が形成されている。また、第1弁ケーシング(21)の下部には、ガス吸入管(25)が接続されている。このガス吸入管(25)は、上端が上記ガス流入路(21a)と接続し、下端がガス容器本体部(11)の上部空間に開口している。
【0042】
上記第1弁体(22)は、縦断面が凸状の円柱状に形成され、第1弁ケーシング(21)内を上下に進退可能に構成されている。この第1弁体(22)の上端には、第1弁ケーシング(21)内の上端に取り付けられた第1ゴムパッキン(22a)及び上記第2突部(15)の上板を貫通する上記吐出管(23)が接続されている。一方、第1弁体(22)の下端には、上記第1バネ(24)が接続されており、第1弁体(22)及び吐出管(23)は、この第1バネ(24)によって上方に付勢されている。また、上記吐出管(23)の内部には、軸方向に延びると共に下端部が径方向外側に開口する吐出通路(23a)が形成されている。
【0043】
上記キャップ(28)は、円柱状に形成されており、その下部には第2突部(15)及び吐出管(23)に嵌り込む縦断面凸状の溝が形成されている。また、キャップ(28)の内部には、一端が上記吐出通路(23a)と接続するキャップ内通路(28a)が形成されている。このキャップ内通路(28a)の他端は、キャップ(28)の外周側から接続される導入管(26)内の導入通路(26a)と連通している。
【0044】
このガス容器(10)では、キャップ(28)が第2突部(15)に装着されると、吐出管(23)及び第1弁体(22)が第1バネ(24)の付勢力に抗して下方に押圧される。その結果、図2に示すように、吐出通路(23a)の開口部が第1弁体(22)の上側の空間に臨む状態となり、ガス容器本体部(11)の内部空間と上記吐出通路(23a)とが連通する。一方、キャップ(28)が第2突部(15)から取り外されると、吐出管(23)及び第1弁体(22)が第1バネ(24)によって上方に付勢される。その結果、吐出通路(23a)が第1ゴムパッキン(22a)の内周面によって閉塞される状態となり、ガス容器本体部(11)の内部空間と上記吐出通路(23a)との連通が解除される。
【0045】
つまり、このガス容器(10)では、キャップ(28)が装着されると、上記ガス容器バルブ(20)が開放され、ガス容器本体部(11)の内部と外部とが連通する一方、キャップ(28)が取り外されると、上記ガス容器バルブ(20)が閉鎖され、圧縮ガスはガス容器本体部(11)内で封止された状態となる。
【0046】
<原料容器の構成>
原料容器(30)は、圧縮ガスで圧送される原液(噴射物)を貯留し、この原液を噴霧対象に噴霧するものである。図1に示すように、この原料容器(30)は、原料容器本体部(31)と、この原料容器本体部(31)に接続されるスプレー缶用蓋部材(32)を備えている。更に、このスプレー缶用蓋部材(32)は、原料容器蓋部(33)、ガスバルブ(40)、液バルブ(噴射バルブ)(50)、及び押しボタン(60)を備えている。
【0047】
図3に示すように、上記原料容器本体部(31)は、上記ガス容器本体部(11)と同様、上端側に開口を有する有底筒状の容器で構成されている。この原料容器本体部(31)の上端には、上方に突出する環状の原料容器突出部(34)が形成されており、この原料容器突出部(34)の径方向内周側に円形の開口が形成されている。
【0048】
上記原料容器蓋部(33)は、原料容器本体部(31)の開口を封止するように該原料容器本体部(31)に接続されている。この原料容器蓋部(33)には、その外周側において上記原料容器突出部(34)に沿って上方に突出した環状の第3突部(35)と、その中心側において上方に突出した円筒状の第4突部(36)とが設けられている。そして、この第4突部(36)の内側には、上記ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とを収容する空間が形成されている。
【0049】
具体的に、上記ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とは、第4突部(36)の内側において、径方向に隣接して配置されている。これらガスバルブ(40)と液バルブ(50)とは、下側が開放された縦断面コの字型の保持部材(40a,50a)内にそれぞれ収納されている。上記第4突部(36)は、これらガスバルブ(40)と液バルブ(50)の外縁に沿うようにして形成されている。そして、ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とは、上記保持部材(40a,50a)を介して第4突部(36)の内壁に狭持されるように原料容器本体部(31)内の上部に保持されている。
【0050】
上記ガスバルブ(40)は、第2弁ケーシング(41)、第2弁体(42)、ガス管(43)、及び第2バネ(44)を備えている。上記第2弁ケーシング(41)は、その上部に第2弁体(42)の収納空間が形成され、その下部に圧縮ガスのガス流出路(41a)が形成されている。また、第2弁ケーシング(41)の下部には、ガス流出管(45)が接続されている。このガス流出管(45)は、上端が上記ガス流出路(41a)と接続し、下端が原料容器本体部(31)の上部空間に開口している。
【0051】
上記第2弁体(42)は、縦断面がH型の円柱状に形成され、第2弁ケーシング(41)内を上下に進退可能に構成されている。この第2弁体(42)の上端には、第2弁ケーシング(41)内の上端に取り付けられた第2ゴムパッキン(42a)及び上記第4突部(36)の上板を貫通する上記ガス管(43)の下端が接続可能となっている。一方、第2弁体(42)の下端には、上記第2バネ(44)が接続されており、第2弁体(42)は、この第2バネ(44)によって上方に付勢されている。また、上記ガス管(43)の内部には、軸方向に延びると共にその下端部に径方向両側に延びる切り欠きを有する流入通路(43a)が形成されている。
【0052】
上記液バルブ(50)は、第3弁ケーシング(51)、第3弁体(52)、液管(噴射管)(53)、及び第3バネ(54)を備え、本発明の流量制御機構を構成している。上記第3弁ケーシング(51)は、その上部に第3弁体(52)の収納空間が形成され、その下部に原液の液流入路(51a)が形成されている。また、第3弁ケーシング(51)の下部には、液導入管(55)を介して原液チューブ(56)が接続されている。この原液チューブ(56)は、上端が上記液流入路(51a)と接続し、下端は原料容器本体部(31)内の底部に開口している(図1参照)。
【0053】
上記第3弁体(52)は、縦断面が凸状の円柱状に形成され、第3弁ケーシング(51)内を上下に進退可能に構成されている。この第3弁体(52)の上端には、第3弁ケーシング(51)の上端に取り付けられた第3ゴムパッキン(52a)及び上記第4突部(36)の上板を貫通する上記液管(53)が接続されている。一方、第3弁体(52)の下端には、上記第3バネ(54)が接続されており、第3弁体(52)及び液管(53)は、この第3バネ(54)によって上方に付勢されている。また、上記液管(53)の内部には、軸方向に延びると共に下端部が径方向外側に開口する流出通路(53a)が形成されている。
【0054】
上記押しボタン(60)は、略円柱状に形成されており、本発明の操作機構を構成している。この押しボタン(60)の下部には、上記ガス管(43)の上端部と、上記液管(53)の上端部とがそれぞれ嵌り込んで固定されている。押しボタン(60)の内部には、一端が上記ガス管(43)の流入通路(43a)と連通するボタン内ガス通路(61)が形成されている。このボタン内ガス通路(61)の他端は、押しボタン(60)の外周側から接続される導入管(26)内の導入通路(26a)と連通している。また、押しボタン(60)の内部には、一端が上記液管(53)の流出通路(53a)と連通するボタン内噴射通路(62)も形成されている。このボタン内噴射通路(62)の他端は、押しボタン(60)の外周側から接続される噴射ノズル(65)内のノズル通路(65a)と連通している。
【0055】
−噴霧動作−
次に、本実施形態の噴射装置(1)の噴霧動作について説明する。
【0056】
噴射装置(1)の使用時には、操作者が押しボタン(60)を下方向に押圧する。その結果、押しボタン(60)は、図3に示す第1操作位置から図4に示す第2操作位置に変位し、押しボタン(60)に固定されるガス管(43)及び液管(53)も下方向に移動する。
【0057】
ガス管(43)が下方向に移動すると、第2弁体(42)は第2バネ(44)の付勢力に抗して下方に押圧される。その結果、ガス管(43)の流入通路(43a)と、第2弁体(42)の下側の空間とが連通し、ガスバルブ(40)が開放状態となる。一方、液管(53)が下方向に移動すると、第3弁体(52)は第3バネ(54)の付勢力に抗して下方に押圧される。その結果、液管(53)内の流出通路(53a)と第3弁体(52)の下側の空間とが連通し、液バルブ(50)が開放状態となる。
【0058】
以上のような押しボタン(60)の操作によってガスバルブ(40)及び液バルブ(50)が開放されると、ガス容器本体部(11)に充填された圧縮ガスは、ガス流入路(21a)及び開放状態のガス容器バルブ(20)を通過して、吐出通路(23a)に流入する。この圧縮ガスは、キャップ内通路(28a)及び導入通路(26a)を経由して原料容器(30)側へ送られる。
【0059】
原料容器(30)側へ送られた圧縮ガスは、押しボタン(60)のボタン内ガス通路(61)及びガス管(43)を流通した後、開放状態のガスバルブ(40)を通過して、ガス流出管(45)から原料容器本体部(31)内へ導入される。以上のようにして原料容器本体部(31)内が圧縮ガスで満たされると、該原料容器本体部(31)内の圧力が次第に上昇する。その結果、圧縮ガスで押圧された原液は、原液チューブ(56)へ流入する。
【0060】
原液チューブ(56)へ押し込まれた原液は、液流入路(51a)を流通した後、開放状態の液バルブ(50)を通過して、液管(53)内の流出通路(53a)に流入する。この原液は、押しボタン(60)のボタン内噴射通路(62)及び噴出通路(65a)を経由して外部に流出し、噴霧状となって噴霧対象に噴出される。
【0061】
一方、噴射装置(1)の噴霧動作を終了する際には、操作者が押しボタン(60)の押圧を解除する。その結果、押しボタン(60)は、第2バネ(44)及び第3バネ(54)によって上方に付勢され、図4に示す第2動作位置から図3に示す第1操作位置に変位する。
【0062】
このように押しボタン(60)が第1操作位置となる状態では、ガス管(43)の流入通路(43a)と、第2弁体(42)の下側の空間とが第2ゴムパッキン(42a)によって遮断され、ガスバルブ(40)が閉鎖状態となる。同時に、液管(53)の流出通路(53a)と第3弁体(52)の下側の空間とが第3ゴムパッキン(52a)によって遮断され、液バルブ(50)も閉鎖状態となる。その結果、ガス容器(10)から原料容器(30)への圧縮ガスの供給は、閉鎖状態となるガスバルブ(40)によって禁止され、同時に、原料容器(30)内から噴射ノズル(65)への原液の供給が、閉鎖状態となる液バルブ(50)によって禁止される。このため、使用者が押しボタン(60)の押圧を解除すると、噴射ノズル(65)からの原液の噴霧動作が速やかに停止される。
【0063】
以上のような噴射装置(1)を長期に亘って使用すると、上記噴射ノズル(65)の内部に滞った原液が乾燥固化し、噴射ノズル(65)が目詰まりしてしまう場合がある。このような目詰まりが生じた場合には、図1の噴射装置(1)を上下逆さまにする。その結果、原料容器(30)内では、原液と圧縮ガスとが上下反転した位置関係となり、原液チューブ(56)の流入開口は圧縮ガスに臨む状態となる。この状態で、押しボタン(60)を押さえると、原料容器(30)内の圧縮ガスは原液チューブ(56)及び液バルブ(50)を通過して、噴射ノズル(65)から外部に噴出される。その結果、噴射ノズル(65)内で固化した付着物が吹き飛ばされ、噴射ノズル(65)の目詰まりが解消される。
【0064】
−実施形態1の効果−
上記実施形態1では、以下の効果が発揮される。
【0065】
上記実施形態1では、原料容器本体部(31)内の原液が外部へ噴出されるまでの噴射通路に流量制御機構としての液バルブ(50)を設け、ガス容器(10)から供給される圧縮ガスが原料容器本体部(31)内に導入されるまでのガス通路にガスバルブ(40)を設けるようにしている。そして、噴射装置(1)の使用時には、流量制御機構となる押しボタン(60)を第2操作位置として、ガスバルブ(40)及び液バルブ(50)を開放させて噴霧動作を行うようにする一方、噴射装置(1)の噴霧動作終了時には、押しボタン(60)を第1操作位置として、ガスバルブ(40)及び液バルブ(50)を閉鎖させて噴霧動作を停止させるようにしている。
【0066】
このようにすると、噴霧動作終了時には、噴射通路が液バルブ(50)で確実に遮断されるので、仮に原料容器本体部(31)の内圧が大気圧よりも高い条件においても、原液が噴射通路を介して噴射ノズル(65)から噴出してしまうのを確実に防止できる。したがって、使用者の要求に応じて原液の噴射量を確実に制御することができると共に、原液や圧縮ガスの無駄な消費を回避することができる。
【0067】
また、噴射装置(1)の噴霧動作終了時には、上述のようにガスバルブ(40)が閉鎖状態となるので、ガス容器(10)から原料容器(30)への圧縮ガスの供給も確実に停止される。このため、原液が噴射ノズル(65)から噴出してしまうのを確実に抑止できる。また、このようにガスバルブ(40)を閉鎖状態とすると、噴射装置(1)を傾けた際等に、原料容器本体部(31)内の原液がガス容器(10)へ逆流してしまうのを未然に回避することができる。
【0068】
また上記実施形態1によれば、原料容器蓋部(33)の内側において、上記ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とを隣接させた状態で保持するようにしている。このため、上記ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とを原料容器蓋部(33)によって一体的に保持させることができるので、この原料容器蓋部(33)の簡素化を図ることができる。また、ガスバルブ(40)と液バルブ(50)とを原料容器本体部(31)の内部にコンパクトに収納することができる。
【0069】
更に、上記実施形態1によれば、原液の圧送源として圧縮空気を用いるようにしている。この圧縮空気は、引火性を有しないため、この噴射装置(1)を安全に取り扱うことができる。また、圧縮空気は、自然環境や人体に対して無害であるため、いわゆる環境負荷の低減を図ることができる。また、圧縮空気であれば、エアコンプレッサ等でガス容器内に簡便に再充填できる。このため、ガス容器(10)を容易に再利用することができ、廃棄物量の削減を図ることができる。
【0070】
<実施形態1の変形例>
上記実施形態1の変形例について説明する。図5に示すように、変形例の噴射装置(1)は、ガス容器(10)のキャップ(28)の上端部に圧縮ガス注入用の注入口が形成されているものである。具体的に、キャップ(28)には、一端がキャップ内通路(28a)と接続し、他端がキャップ(28)の上面から外部へ開口する注入用通路(70)が形成されている。この注入用通路(70)の上部には、注入弁(71)と、該注入弁(71)を上方に付勢するバネ(72)が収納されている。注入弁(71)は、通常時には、注入用通路(70)を閉鎖しており、キャップ内通路(28)を流れる圧縮ガスが注入用通路(70)を介して外部へ排出されてしまうのを禁止している。一方、注入用通路(70)の上端開口にガス充填装置等のホースのノズルを接続すると、注入弁(71)が下側に押し込まれて注入用通路(70)が開放される。その結果、ガス充填装置から供給される圧縮ガスは、注入用通路(70)、キャップ内通路(28a)、及び吐出管(23)内を経由してガス容器(10)内に充填される。
【0071】
以上のように、この変形例では、キャップ(28)に圧縮ガス注入用の注入口を設けるようにしたので、ガス容器(10)をキャップ(28)に装着したまま、ガス容器(10)内への圧縮ガスの補充を簡便に行うことができる。
【0072】
《発明の実施形態2》
次に、実施形態2の噴射装置(1)について説明する。
【0073】
図6に示すように、実施形態2の噴射装置(1)は、上記実施形態1のガス容器(10)のキャップ(28)に逆流防止機構(80)が付与される一方、原料容器(30)のガスバルブ(40)を省略する構成としたものである。
【0074】
具体的に、実施形態2のガス容器(10)では、キャップ(28)におけるキャップ内通路(28a)の中間位置に逆流防止機構(80)が収納されている。この逆流防止機構(80)は、逆止弁(81)と、逆止弁バネ(82)とを備えている。そして、逆流防止機構(80)の逆止弁(81)は、ガス容器(10)側から原料容器(30)側への流体の流れを許容する一方、原料容器(30)側からガス容器(10)側への流体の流れを禁止している。
【0075】
また、実施形態2の原料容器(30)では、押しボタン(60)と原料容器蓋部(33)との間に円筒状の液バルブケース(90)が設けられている。この液バルブケース(90)の内部には、上記実施形態1と同様の液バルブ(50)が収納されている。また、液バルブケース(90)の外周には、導入管(26)の端部が貫通している。そして、導入管(26)の導入通路(26a)は、液バルブ(50)の下側空間(91)、及び液バルブケース(90)の内部に形成された円形の開口(92)を介して原料容器本体部(31)内の上部空間と連通している。
【0076】
−噴霧動作−
実施形態2の噴射装置(1)の使用時にも、操作者が押しボタン(60)を下方向に押圧する。その結果、押しボタン(60)は、図6に示す第1操作位置から図7に示す第2操作位置に変位し、押しボタン(60)に固定される液管(53)も下方向に移動する。
【0077】
液管(53)が下方向に移動すると、第3弁体(52)は第3バネ(54)の付勢力に抗して下方に押圧される。その結果、液管(53)内の流出通路(53a)と第3弁体(52)の下側の空間とが連通し、液バルブ(50)が開放状態となる。
【0078】
以上のような押しボタン(60)の操作によって液バルブ(50)が開放されると、ガス容器本体部(11)に充填された圧縮ガスは、ガス流入路(21a)及び開放状態のガス容器バルブ(20)を通過して、吐出通路(23a)に流入する。この圧縮ガスは、キャップ内通路(28a)、逆流防止機構(80)、及び導入通路(26a)を経由して原料容器(30)側へ送られる。
【0079】
原料容器(30)側へ送られた圧縮ガスは、液バルブケース(90)内の下側空間(91)を流通し、開口(92)を介して原料容器本体部(31)内へ導入される。以上のようにして原料容器本体部(31)内が圧縮ガスで満たされると、該原料容器本体部(31)内の圧力が次第に上昇する。その結果、圧縮ガスで押圧された原液は、原液チューブ(56)へ流入する。
【0080】
原液チューブ(56)へ押し込まれた原液は、液流入路(51a)を流通した後、開放状態の液バルブ(50)を通過して、液管(53)内の流出通路(53a)に流入する。この原液は、押しボタン(60)のボタン内噴射通路(62)及び噴出通路(65a)を経由して外部に流出し、噴霧状となって噴霧対象に噴出される。
【0081】
一方、噴射装置(1)の噴霧動作を終了する際には、操作者が押しボタン(60)の押圧を解除する。その結果、押しボタン(60)は、第2バネ(44)及び第3バネ(54)によって上方に付勢され、図7に示す第2動作位置から図6に示す第1操作位置に変位する。
【0082】
このように押しボタン(60)が第1操作位置となる状態では、液管(53)の流出通路(53a)と第3弁体(52)の下側の空間とが遮断され、液バルブ(50)が閉鎖状態となる。その結果、原料容器(30)内から噴射ノズル(65)への原液の供給は、閉鎖状態となる液バルブ(50)によって禁止される。このため、使用者が押しボタン(60)の押圧を解除すると、噴射ノズル(65)からの原液の噴霧動作が速やかに停止される。
【0083】
−実施形態2の効果−
上記実施形態2においても、原料容器本体部(31)内の原液が外部へ噴出されるまでの噴射通路に流量制御機構としての液バルブ(50)を設けるようにしている。このため、噴霧動作終了時には、噴射通路が液バルブ(50)で確実に遮断されるので、仮に原料容器本体部(31)の内圧が大気圧よりも高い条件においても、原液が噴射通路を介して噴射ノズル(65)から噴出してしまうのを確実に防止できる。したがって、上記実施形態1と同様、使用者の要求に応じて原液の噴射量を確実に制御することができると共に、原液や圧縮ガスの無駄な消費を回避することができる。
【0084】
また、実施形態2によれば、ガス容器(10)と原料容器(30)との間の連絡通路の一部となるキャップ内通路(28a)に逆流防止機構(80)を設けるようにしている。このため、この噴射装置(1)の不使用時等に原料容器(30)を傾けた際、原料容器(30)内の原液がガス容器(10)側へ逆流してしまうのを確実に防止することができる。したがって、この噴射装置(1)の信頼性の向上を図ることができる。
【0085】
<実施形態2の変形例>
図8に示すように、上記実施形態2においても、上記実施形態1の変形例と同様にして、キャップ(28)に圧縮ガス注入用の注入口を設けることができる。即ち、この変形例においても、ガス充填装置等のホースのノズルを注入用通路(70)の上端開口に接続すると、注入弁(71)が開放されて圧縮ガスが注入用通路(70)内へ流入し、ガス容器(10)内に充填される。したがって、この変形例においても、ガス容器(10)をキャップ(28)に装着したまま、ガス容器(10)内への圧縮ガスの補充を簡便に行うことができる。
【0086】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0087】
上記実施形態では、原料容器(30)内の原液(噴射物)を圧送するための圧縮ガスとして、圧縮空気を用いるのようにしている。しかしながら、圧縮ガスはこれに限られるものではなく、例えばLPG(液化石油ガス)、窒素、炭酸ガス等の他の圧縮ガスを用いるようにしてもよい。
【0088】
また、上記実施形態の噴射装置(1)は、洗浄用のスプレーを構成しており、原料容器(30)内の噴射物として有機溶剤を用いるようにしている。しかしながら、この噴射装置(1)を他の用途に用いるようにしてもよく、この場合にはその用途に応じて原料容器(30)に他の噴射物を貯留すればよい。具体的に、この噴射装置(1)の他の噴射物として、殺虫用の殺虫剤、ヘアースプレー用の整髪料、塗装用の塗料等の液体や、ドライタイプ制汗剤としてのタルク、消火用の重炭酸カリウム、乾性潤滑剤としての二流化モリブデン等を用いることもできる。
【0089】
更に、図9に示すように、上記実施形態のような噴射装置(1)において、ガス容器(10)と原料容器(30)とを一体的に保持する保持機構(100)を設けるようにしてもよい。この保持機構(100)は、上記ガス容器(10)の上部外周に固定される第1保持部(101)と、上記原液容器(30)の上部外周に固定される第2保持部(102)と、これら第1保持部(101)と第2保持部(102)とに跨って配設される連結部(103)とで構成されている。上記連結部(103)には、回転軸(104)を軸に回動自在なレバー(105)が取り付けられており、このレバー(105)を操作することで、上記実施形態で上述したような押しボタン(60)を押し下げたり、引き上げたりすることができる。
【0090】
この図9の噴射装置(1)では、ガス容器(10)と原料容器(30)とが保持機構(100)によって互いに固定された状態となるので、使用者は例えば原料容器(30)のみを握って噴射装置(1)を使用することができる。更に、使用者は、このような状態でレバー(105)を操作して噴射装置(1)の噴霧動作を切り換えることができるので、噴射装置(1)を簡便に取り扱うことができる。
【0091】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上説明したように、本発明は、原料容器に貯留された噴射物を外部に噴出する噴射装置、及び原料容器本体の開口に接続されるスプレー缶用蓋部材について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施形態1の噴射装置の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】実施形態1のガス容器の縦断面図である。
【図3】実施形態1の不使用時における原料容器の縦断面図である。
【図4】実施形態1の使用時における原料容器の縦断面図である。
【図5】実施形態1の変形例に係る噴射装置のガス容器の縦断面図である。
【図6】実施形態2の不使用時の噴射装置の要部を拡大した縦断面図である。
【図7】実施形態2の使用時の噴射装置の要部を拡大した縦断面図である。
【図8】実施形態2の変形例に係る噴射装置の要部を拡大した縦断面図である。
【図9】その他の実施形態の噴射装置の外観を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0094】
1 噴射装置
10 ガス容器
11 ガス容器本体部
30 原料容器
31 原料容器本体部
32 スプレー缶用蓋部材
33 原料容器蓋部(蓋部)
40 ガスバルブ
43 ガス管
50 液バルブ(噴射バルブ、流量制御機構)
53 液管(噴射管)
60 押しボタン(操作機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射物を貯留する原料容器と、
圧縮ガスを上記原料容器の外部から内部へ導くガス通路と、
上記圧縮ガスの圧力によって圧送される噴射物を原料容器の内部から外部へ導いて噴出させる噴射通路と、
上記噴射通路に接続されて噴射物の流量を制御する流量制御機構とを備えていることを特徴とする噴射装置。
【請求項2】
請求項1において、
上記ガス通路を開閉自在なガスバルブと、
上記噴射通路を開閉自在な上記流量制御機構としての噴射バルブとを備え、
上記ガスバルブと噴射バルブとを同時に閉鎖状態とする第1操作位置と、該ガスバルブと噴射バルブとを同時に開放状態とする第2操作位置とに切り換え可能な操作機構を備えていることを特徴とする噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
上記原料容器は、先端に開口を有する原料容器本体部と、該原料容器本体部の開口を封止するように接続される蓋部とで構成され、
上記蓋部は、その内側に上記ガスバルブと上記噴射バルブとを径方向に隣接させた状態で保持するように該ガスバルブと噴射バルブの外縁に沿って形成されており、
上記蓋部を貫通して上記ガスバルブと接続し、上記ガス通路の一部を構成するガス管と、
上記蓋部を貫通して上記噴射バルブと接続し、上記噴射通路の一部を構成する噴射管とを備えいていることを特徴とする噴射装置。
【請求項4】
請求項1において、
上記圧縮ガスが充填されると共に該圧縮ガスを外部へ吐出させる吐出口を有するガス容器と、
一端が上記ガス容器の吐出口と連通し、他端が上記原料容器のガス通路と連通する連絡通路とを備え、
上記連絡通路には、原料容器側からガス容器側への流体の流れを禁止する逆止弁が設けられていることを特徴とする噴射装置。
【請求項5】
請求項1において、
上記圧縮ガスが充填されると共に該圧縮ガスを外部へ吐出させる吐出口を有するガス容器と、
一端が上記ガス容器の吐出口と連通し、他端が上記原料容器のガス通路と連通する連絡通路とを備え、
上記ガス容器には、圧縮ガスとして圧縮空気が充填されていることを特徴とする噴射装置。
【請求項6】
噴射物を貯留する原料容器本体部の先端の開口を封止するように該原料容器本体部に接続される原料容器蓋部を有するスプレー缶用蓋部材であって、
圧縮ガスを原料容器本体部の外部から内部へ導くガス管と、
上記圧縮ガスで圧送される噴射物を原料容器本体部の内部から外部へ導く噴射管と、
該噴射管に接続されて噴射物の流量を制御する流量制御機構とを備えていることを特徴とするスプレー缶用蓋部材。
【請求項7】
請求項6において、
上記ガス管の流路を開閉自在なガスバルブと、
上記噴射管の流路を開閉自在な上記流量制御機構としての噴射バルブと、
上記ガスバルブと噴射バルブとを同時に閉鎖状態とする第1操作位置と、該ガスバルブと噴射バルブとを同時に開放状態とする第2操作位置とに切り換え可能な操作機構を備えていることを特徴とするスプレー缶用蓋部材。
【請求項8】
請求項7において、
上記蓋部は、その内側に上記ガスバルブと噴射バルブとを径方向に隣接させた状態で保持するように該ガスバルブと噴射バルブの外縁に沿って形成されており、
上記ガス管は蓋部を貫通して上記ガスバルブと接続し、上記噴射管は蓋部を貫通して噴射バルブと接続していることを特徴とするスプレー缶用蓋部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−62777(P2007−62777A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250026(P2005−250026)
【出願日】平成17年8月30日(2005.8.30)
【出願人】(000197975)石原薬品株式会社 (83)
【出願人】(000236698)不二空機株式会社 (6)
【Fターム(参考)】