説明

噴射装置

【課題】屋外の環境に拘わらず、屋外に設置された室外機に液体を確実に到達させることができる噴射装置を提供する。
【解決手段】風が遮断された包囲体2の内側にて噴霧ノズル5から液体を噴射し、液体を冷却フィン14に確実に付着させることができる。冷却フィン14に付着した液体は蒸発するので、気化熱によって冷却フィン14の熱交換の効率を向上させることができる。また通気孔23から空気を吸入して、室外機10の風量を確保する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を噴射する噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に室外機を設置する空気調和機は、室外機に設けた熱交換器にて空気の熱交換を行い、適温にした空気を室内へ供給している。一般に空気調和機の運転は電力によって行われ、空気調和機の消費電力は、熱交換の効率性によって変動する。従来、熱交換器に液体を噴射する噴射装置が提案されており、該噴射装置から熱交換器に噴射された液体は蒸発し、気化熱によって熱交換の効率性が向上する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−243754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の噴射装置は、噴霧ノズルから霧状の液体を噴射するようにしてある。そのため屋外にて風が発生している場合に、噴霧ノズルから噴射された液体は風に流されて熱交換器に到達せず、熱交換の効率性を向上させることができない。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、屋外の環境に拘わらず、屋外に設置された室外機へ液体を確実に到達させることができる噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る噴射装置は、ポンプから供給された液体をノズルから室外機へ噴射する噴射装置において、前記ノズルから噴射された液体を囲う包囲体を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、ノズルから噴射された液体を包囲体によって風などの屋外環境から保護し、液体を室外機に確実に到達させる。
【0008】
本発明に係る噴射装置は、前記包囲体の一部に開口を設けてあり、前記開口に対向する前記包囲体の他部に前記ノズルが配置される穴を設けてあることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、包囲体の開口を室外機に対向させて、開口に対向する包囲体の他部に設けた穴にノズルを配置することによって、ノズルから噴射された液体は開口を通過し、室外機に到達する。
【0010】
本発明に係る噴射装置は、前記穴の縁部分から前記開口側へ突出した筒部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、穴に配置されたノズルから液体が噴射された場合に、筒部の突出端部側が負圧となり、気流が発生する。発生した気流によって液体は加速する。
【0012】
本発明に係る噴射装置は、前記包囲体の他部に孔が設けてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、室外機は孔から円滑に空気を取り込む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る噴射装置にあっては、ノズルから噴射された液体を包囲体によって風などの屋外環境から保護し、液体を室外機に確実に到達させることができる。
【0015】
本発明に係る噴射装置にあっては、包囲体の開口を室外機に対向させて、開口に対向する包囲体の他部に設けた穴にノズルを配置することによって、ノズルから噴射された液体は開口を通過し、室外機に到達するので、液体を無駄にすることなく、効率良く噴射することができる。
【0016】
本発明に係る噴射装置にあっては、穴に配置されたノズルから液体が噴射された場合に、筒部の突出端部側が負圧となり、気流が発生する。発生した気流によって液体は加速するので、液体が霧状になっている場合でも、空気抵抗に抗して液体を室外機に付着させることができる。
【0017】
本発明に係る噴射装置にあっては、室外機は孔から円滑に空気を取り込んで風量を確保することができ、また取り込んだ空気の気流によって、液体を加速させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係る噴射装置の略示斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る噴射装置の略示縦断面図である。
【図3】実施の形態2に係る噴射装置の略示斜視図である。
【図4】実施の形態2に係る噴射装置の略示縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る噴射装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は噴射装置の略示斜視図、図2は噴射装置の略示縦断面図である。
【0020】
図において1は噴射装置であり、該噴射装置1は、一面全体に開口21を形成した矩形箱状の包囲体2を備えている。前記開口21の面積は、後述する室外機10の吸気口12の面積と略同じかまたは吸気口12の面積よりも大きい。前記一面に対向する包囲体2の他面には、矩形横長の穴22、22が上下に二つ並設してあり、また多数の通気孔23、23、・・・、23が設けてある。包囲体2の一面は他面よりも面積が大きく、包囲体2の側面の一部又は全部が傾斜し、他面から一面に向かうに従って包囲体2が拡幅している。包囲体2の側面の傾斜角は、後述する噴霧ノズル5から噴霧された液体の噴射角度を考慮して設定されており、噴射された液体が可能な限り側面に付着しないようにしてある。
【0021】
噴射装置1はポンプ3を備えており、該ポンプ3には導水管4が接続してある。該導水管4は、前記穴22に平行になるように分岐しており、分岐した管は、包囲体2の外側において各穴22、22に対向している。分岐した管には複数の噴霧ノズル5、5、・・・、5が接続してある。該噴霧ノズル5は、分岐した管から穴22に向けて突出している。噴霧ノズル5の先端部は穴22に挿通している。なお穴22は、噴霧ノズル5の噴霧範囲を考慮して設計してあり、噴霧ノズル5から噴射された液体が後述する吸気口12の内側を通過するようにしてある。
【0022】
ポンプ3には水源から液体が供給されている。ポンプ3は、供給された液体を導水管4に送出する。送出された液体は、図2の破線にて示すように、包囲体2の内側において噴霧ノズル5から霧状に噴射される。
【0023】
包囲体2は室外機10に隣接している。室外機10は筐体11を備えており、該筐体11の一側面に吸気口12を設けてある。該吸気口12には、異物の吸入を防止する吸気網13が設けてある。該吸気網13に熱交換器の冷却フィン14が隣接しており、冷却フィン14は筐体11の内側に位置している。筐体11の上側面には排気口15が設けてあり、該排気口15の縁から排気筒16が上側に突出している。該排気筒16の内側にファン17が設けてある。排気筒16の上端部には安全のための排気網18が設けてある。筐体11の下面には室外機10を支持する複数の支持脚19が設けてある。
【0024】
ファン17の駆動によって、室外機10は吸気口12から空気を吸入する。吸入された空気は、冷却フィン14を冷却し、排気口15及び排気筒16を通流して排出される(図2の白抜矢符参照)。包囲体2の開口21は前記吸気口12に対向しており、噴霧ノズル5から噴射された液体は空気と共に吸気口12に吸入され、冷却フィン14に付着し、蒸発する。
【0025】
実施の形態1に係る噴射装置1にあっては、噴霧ノズル5から噴射された液体は、風が遮断された包囲体2の内側にて噴射されるので、噴射された液体は冷却フィン14に確実に付着する。冷却フィン14に付着した液体は蒸発するので、気化熱によって冷却フィン14の熱交換の効率を向上させることができる。
【0026】
また実施の形態1に係る噴射装置1にあっては、包囲体2の一面に設けた開口21を冷却フィン14に対向させて、包囲体2の他面に設けた穴22に噴霧ノズル5を配置することによって、噴霧ノズル5から噴射された液体は開口21を通過し、冷却フィン14に付着する。噴霧ノズル5の噴霧範囲を考慮して、穴22を設計することで吸気口12の内側に液体を噴射することができ、液体を無駄にすることなく効率良く噴射することができる。
【0027】
また実施の形態1に係る噴射装置1にあっては、室外機10は多数の通気孔23から円滑に空気を取り込んで風量を確保することができ、また取り込んだ空気の気流によって、噴霧ノズル5から噴射された液体を加速させることができる。加速した液体は、空気抵抗に抗して冷却フィン14に付着する。
【0028】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る噴射装置1を示す図面に基づいて詳述する。図3は噴射装置1の略示斜視図、図4は噴射装置1の略示縦断面図である。
【0029】
包囲体2の他面には横方向に沿って複数の円形の穴25、25、・・・、25が二列に並んでいる。導水管4は分岐しており、分岐した管は、穴25の各列に沿って包囲体2の外側に位置している。分岐した管は穴25の各列に対向しており、分岐した管には複数の噴霧ノズル5、5、・・・、5が接続してある。各噴霧ノズル5の先端部は前記穴25にそれぞれ挿通している。
【0030】
包囲体2の内側において、各穴25の縁部分から筒部26が開口21に向けて突出している。噴霧ノズル5の先端部は、噴霧ノズル5から噴射された液体が筒部26に衝突しないように、筒部26の内側に位置している。
【0031】
実施の形態2に係る噴射装置1にあっては、穴25に配置された噴霧ノズル5から液体が噴射された場合に、筒部26の突出端部側が負圧となる。そのため図4の矢印にて示すように、筒部26の内側に空気が吸入され、高速の気流が発生する。発生した気流によって液体は加速するので、液体が霧状になっている場合でも、空気抵抗に抗して液体を冷却フィン14に付着させることができる。
【0032】
実施の形態2に係る噴射装置1の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0033】
なお実施の形態1及び2に係る噴射装置1は、包囲体2の側面の一部又は全部が傾斜しているが、傾斜していなくても良い。また実施の形態1及び2に係る噴射装置1は、通気孔23を包囲体2の他面に設けているが、包囲体2の上面に更に通気孔23を設けても良い。また実施の形態1及び2に係る噴射装置1の包囲体2は矩形箱状をなしているが、包囲体2はその他の形状(例えば球体状)をなしてもよい。また実施の形態1及び2に係る噴射装置1は、霧状に液体を噴射しているが、これに限定されるものではなく、例えばシャワー状に液体を噴射しても良い。また包囲体2の内側を通過する液体は、風のみならず、雨及び紫外線などの環境変化からも保護されることは言うまでもない。
【0034】
実施の形態1及び2に係る噴射装置1は、噴霧ノズル5を配置する専用の穴と専用の通気孔とを包囲体2の他面に設ける構成であっても良く、包囲体2の他面に多数の孔を設けて、多数の孔の内、液体の噴霧に適した孔を噴霧ノズル5を配置する穴として使用し、残余の孔を通気孔として使用する構成であっても良い。
【0035】
以上説明した実施の形態は本発明の例示であり、本発明は特許請求の範囲の記載に基づいて定まる範囲内において種々変更した形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 噴射装置
2 包囲体
3 ポンプ
4 導水管
5 噴霧ノズル
22、25 穴
23 通気孔(孔)
26 筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプから供給された液体をノズルから室外機へ噴射する噴射装置において、
前記ノズルから噴射された液体を囲う包囲体を備えることを特徴とする噴射装置。
【請求項2】
前記包囲体の一部に開口を設けてあり、
前記開口に対向する前記包囲体の他部に前記ノズルが配置される穴を設けてあること
を特徴とする請求項1に記載の噴射装置。
【請求項3】
前記穴の縁部分から前記開口側へ突出した筒部を備えることを特徴とする請求項2に記載の噴射装置。
【請求項4】
前記包囲体の他部に孔が設けてあることを特徴とする請求項2又は3に記載の噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−163731(P2011−163731A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30249(P2010−30249)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000250007)有光工業株式会社 (30)
【Fターム(参考)】