説明

噴気用ノズル

【課題】掃除できる面積がより大きくなるが、噴出した空気の圧力が低くならず、且つ、噴気力も従来の小面積型と同じ、乃至それを超えるように均一であり、また、操作も簡便な噴気用ノズルを提供する。
【解決手段】噴気用ノズルは、その内室40が一側から他側へと段々広くなっており、且つ、一側に空気の受け入れ口411が形成されており、他側に空気の噴出し口412が形成されているケーシング4と、内室40にそれぞれ一側から他側へと延長する延長方向を横断するように散在している複数の分流突起5と、からなっており、それにより、複数の分流突起5で受け入れ口411から受け入れて噴出し口412へ流れる空気を分散させてから、噴出し口412により噴出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業上使われる噴気用ノズルに関し、特に、加工設備や検査設備などに用いられる噴気用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースに加工や検査をする際、精度を向上させるために、普通は、高圧空気を噴気用ノズルから噴出してワークピースの表面についている埃などを掃除することが行われる。
【0003】
従来の噴気用ノズル12は、通常、導管11を介して空気源(図示せず)から高圧空気を導入して使用するが、図1に示すように、表面積の大きいワークピースを処理する場合、それをもってワークピースの処理面上に繰り返し往復して掃除を行わなければならず、時間がかなりかかる。
【0004】
もちろん、ノズル12を大きくし、噴気面積を広目にすることも考えられるが、そうすれば、ノズルから噴出した空気の圧力が低くなる上、噴気力も均一でないようになるため、操作し難くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記問題点に鑑みて、本発明は、掃除できる面積がより大きくなるが、噴出した空気の圧力が低くならず、且つ、噴気力も従来の小面積型と同じ、乃至それを超えるように均一であり、また、操作も頗る簡便である噴気用ノズルを提供しようとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、その内室が一側から他側へと段々広くなっており、且つ、前記一側に空気の受け入れ口が形成されており、前記他側に空気の噴出し口が形成されているケーシングと、前記内室にそれぞれ前記一側から他側へと延長する延長方向を横断するように散在している複数の分流突起と、からなっており、それにより、前記複数の分流突起で前記受け入れ口から受け入れて前記噴出し口へ流れる空気を分散させてから、前記噴出し口により噴出することができることを特徴とする噴気用ノズルを提供する。
【0007】
本発明の好ましい実施形態として、前記内室の、前記延長方向に対して所定角度で裁断したあらゆる横断面がいずれも細長い直線状の形状となっており、前記内室の前記他側における最後の横断面は、前記噴出し口となっており、また、前記複数の分流突起は、いずれも前記内室の細長い横断面における短辺方向の長さ全体にわたって設けられている上、複数の、前記噴出し口と平行する配列となっているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
前記構成による本発明の噴気用ノズルは、複数の分流突起が段々広くなっている内室に散在しているので、空気の受け入れ口から入って噴出し口へ流れる空気を何回も繰り返し分散させてから噴出するので、噴出の総面積が広いものの、噴出した空気の圧力が高い上、噴出力も極めて均一である。
【0009】
なお、その内室の、前記延長方向に対して所定角度で裁断したあらゆる横断面がいずれも細長い直線状の形状となった場合、掃除は、該噴気用ノズルをもってワークピースの一側から他側へと一回だけ掠めることで済み、非常に簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】使用中の従来の噴気用ノズルの斜視図である。
【図2】本発明の実施例である噴気用ノズルの斜め前方から見た斜視図である。
【図3】前記噴気用ノズルの後ろの斜め下方から見た斜視図である。
【図4】前記噴気用ノズルのケーシングにおける第2半側部が除去された場合の斜視図である。
【図5】本発明の噴気用ノズルを備えた加工設備の一例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図2〜図5を参照しながら本発明の噴気用ノズルを説明する。
【実施例】
【0012】
図2に示すのは本発明の実施例である噴気用ノズルの斜め前方から見た斜視図であり、図3に示すのは本発明の噴気用ノズルの後ろの斜め下方から見た斜視図であり、図4は、そのケーシング4の第2半側部42が除去された場合の斜視図である。
【0013】
図2および図3から分かるように、本実施例である噴気用ノズル全体は、薄い扁平状となっている。もっと詳しく見ると、そのケーシング4は、割合に厚い平板体となった第1半側部41と、割合に薄い平板体となった第2半側部42とを合わせてなっており、図中の上端面には、空気の受け入れ口(通孔)411が形成され(図2参照)、下端面には空気の噴出し口412が形成されている(図3参照)。
【0014】
さらに、図面をよく見ると、空気の受け入れ口411は、導管3を介して空気源(図示せず)と連通している。空気の噴出し口412は、一列の通孔に区切られている。
【0015】
そして、第2半側部42は平板状になっており、第1半側部41は、図4に示すように、その一側面が第2半側部42の平板面と合わせて上端から下端へと段々広くなっている内室40を有する形状となっている。
【0016】
もっと詳しく説明すると、噴気用ノズル全体乃至ケーシング4は、薄い扁平状となっているので、内室40も薄い扁平状となっており、即ち、内室40の、受け入れ口411から噴出し口412への方向に対して所定の角度で裁断した一連の横断面がいずれも細長い直線状の形状となっている上、その直線の長さが受け入れ口411に近い程短くなり、噴出し口412に近い程長くなり、また、前記一連の横断面の最後の一つが噴出し口412となっている。
【0017】
なお、図4をもっと詳しく見てみると、第1半側部41の前記一側面にある前記形状は、底面が、図中の上端の近くのより深い平面401と、下端の近くのより浅い平面402と、この両平面の間に形成されている垂直面403とからなった窪み400からなっている。即ち、内室40の、噴出し口412に近い所定範囲内の細長い横断面における短辺方向の長さが範囲外のそれより短くなっている上、範囲内の前記底面となっている周壁が範囲外にあるものより高くなり、この範囲内外の間に前記垂直面403が階段面となっている。すなわち、細長い横断面における両長辺のいずれかにある周壁は、階段面を介して範囲外の周壁と連続している。
【0018】
さらに、前記より深い平面401にもより浅い平面402にも複数の分流突起5が散在している。この複数の分流突起5は、いずれも、空気の受け入れ口側(前記深い平面のより狭い箇所)から空気の噴出し口側へと延長する延長方向を横断して第2半側部42の内側面に当接している。即ち、分流突起5は、いずれも、内室40の細長い横断面における短辺方向の長さ全体にわたって設けられている。
【0019】
また、図示のように、複数の分流突起5は、複数の、噴き出し口412と平行する配列となっている。
【0020】
そして、図4に示すように、本実施例における分流突起5の配列は、まず、前記所定範囲外にあるもののうち、所定範囲に近い1列(以下、二段目52と称す)は、いずれも、複数の、断面が下流側でより狭い分流突起からなり(即ち、下流側における分流突起と分流突起との隙間が上流側のそれより大であること)、それ以外の2列(以下、一段目51と称す)は、複数の、断面が上流側でより狭い分流突起からなっている(即ち、上流側における分流突起と分流突起との隙間が下流側のそれより大であること)。
【0021】
それがために、前記範囲外の複数配列の分流突起では、受け入れ口411から受け入れた空気を一段目51で二回も分散させてから、一度遅滞させ、その圧力を上げ、そして二段目52でその圧力を突然下げて膨張させ、よく分散させることができる。
【0022】
そして、本実施例における分流突起5の配列の、前記所定範囲内にあるもの(即ち、噴出し口412の内口縁近くにある配列)は2列あり、いずれも所定間隔をあけた複数の、断面方形の分流突起からなっているので、前記範囲外で分散させられた空気は、圧力が一度上げられてから均一に分散されて噴出することができる。
【0023】
即ち、この実施例の噴気用ノズルは、複数の分流突起5が段々広くなっている内室40に散在していて、空気の受け入れ口411から入って噴出し口412へ流れる空気を何回も繰り返し分散させてから噴出するので、噴出の総面積が広いものの、噴出した空気の圧力が低くならず、且つ、噴気力も従来の小面積型と同じ、乃至それを超えるように均一である。
【0024】
最後に、図5に示すのは本発明の噴気用ノズルを備えた加工設備の一例の斜視図である。
【0025】
図5に示すように、この加工設備6は、ワークピース(図示せず)を輸送ベルト61に載せてから右の方から左の方へと加工用工具62の下方を通過するように移動させながら加工用工具62で加工するものである。図面における63は、前記本発明の実施例である噴気用ノズルである。図示のように、この噴気用ノズルは、断面が細長い扁平状となっている上、加工用工具62の右側に取り付けられているので、噴気で、右の方から左の方へ移動するワークピースをこの1回の処理だけで加工前に綺麗に掃除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
叙上のように、前記構成による本発明の噴気用ノズルは、複数の分流突起が段々広くなっている内室に散在しているので、受け入れ口から入って噴出し口へ流れる空気を何回も繰り返し分散させてから噴出するので、噴出面積が広いものの、噴出した空気の圧力が高い上、噴出力も極めて均一である。
【0027】
なお、その内室の横断面を細長い直線状の形状となし、即ち、その段々広くなって増加する面積をその長さの方向に割り当て、長さをなるべく長くさせた場合、該噴気用ノズルをもってワークピースの一側から他側へと一回だけ掠めることで掃除が済む。なお、手で操作しない、即ち、工具移動型の設備に使用する場合に移動の工具台先頭に取り付けることや、ワークピース移動型の設備に使用する場合に、ワークピースが移動して加工または検査を受ける前の機台の所定箇所に取り付けることも考えられ、操作は非常に簡便である。
【符号の説明】
【0028】
3 導管
4 ケーシング
40 内室
400 窪み
401 深い平面
402 浅い平面
403 垂直面
41 第1半側部
411 空気の受け入れ口
412 空気の噴出し口
42 第2半側部
5 分流突起
51 一段目
52 二段目
6 加工設備
61 輸送ベルト
62 加工用工具
63 噴気用ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その内室が一側から他側へと段々広くなっており、且つ、前記一側に空気の受け入れ口が形成されており、前記他側に空気の噴出し口が形成されているケーシングと、
前記内室にそれぞれ前記一側から他側へと延長する延長方向を横断するように散在している複数の分流突起と、からなっており、
それにより、前記複数の分流突起で前記受け入れ口から受け入れて前記噴出し口へ流れる空気を分散させてから、前記噴出し口により噴出することができることを特徴とする噴気用ノズル。
【請求項2】
前記噴出し口の内口縁にも、前記分流突起が散在していて該噴出し口に到達する空気を均一に噴出させることができることを特徴とする請求項1に記載の噴気用ノズル。
【請求項3】
前記内室の、前記延長方向に対して所定角度で裁断したあらゆる横断面がいずれも細長い直線状の形状となっており、
前記内室の前記他側における最後の横断面は、前記噴出し口となっており、
また、前記複数の分流突起は、いずれも前記内室の細長い横断面における短辺方向の長さ全体にわたって設けられている上、複数の、前記噴出し口と平行する配列となっていることを特徴とする請求項2に記載の噴気用ノズル。
【請求項4】
前記内室の、前記噴出し口に近い所定範囲内の、前記細長い横断面における短辺方向の長さが前記範囲外のそれより短くなる上、前記細長い横断面における両長辺のいずれかにある周壁が階段面を介して前記範囲外の周壁と連続していることを特徴とする請求項3に記載の噴気用ノズル。
【請求項5】
前記分流突起の前記複数の配列は、前記所定範囲内にあるものは、いずれも、所定間隔をあけた複数の、断面方形の分流突起からなっており、前記所定範囲外にあるもののうち、前記所定範囲に近いのは複数の、断面が下流側でより狭い分流突起からなり、それ以外は、複数の、断面が上流側でより狭い分流突起からなっていることを特徴とする請求項4に記載の噴気用ノズル。
【請求項6】
前記ケーシングは、
平板体であって、その一側面に、一側から他側へと段々広くなっており、且つ、その底面が、前記一側の近くのより深い平面と、前記他側の近くのより浅い平面と、前記階段面として前記両平面の間に形成されている垂直面とからなっている窪みがある上、前記深い平面のより狭い箇所に前記空気の受け入れ口としての通孔が開けてある第1半側部と、
平板体であって前記第1半側部と合わせて前記窪みの前記より浅い平面を有する部分と前記空気の噴出し口及び前記空気の噴出し口の口縁内における所定範囲を形成し、また、前記窪みの前記より深い平面を有する部分と前記所定範囲以外の内室を形成することができる第2半側部とからなっており、
前記複数の分流突起は、前記第1半側部の両平面から突出するように形成されている上、前記第1半側部と合わせた前記第2半側部の内側面と当接していることを特徴とする請求項5に記載の噴気用ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−255052(P2009−255052A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31345(P2009−31345)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(508211096)由田新技股▲分▼有限公司 (12)
【Fターム(参考)】