噴流ノズル、はんだ噴流装置及び噴流はんだの形成方法
【課題】噴流ノズルの内側に溶融はんだを噴流してスポットはんだ付けを可能とする噴流ノズルを提供する。
【解決手段】噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽5内から供給される溶融はんだの流通路33を形成した全体筒状であり、ノズル口38が設けられたノズル体35と、ノズル体35の内側にノズル体35よりも小径であってノズル口38の高さよりも下位にはんだ流入口39が設けられているとともに、溶融はんだをノズル体35の側面に設けられたはんだ排出口40に流通させる流通路37を形成するはんだ排出部材36とから構成される。噴流ノズル2は、はんだ槽5内で生成した噴射圧により、ノズル口38から噴流した溶融はんだをはんだ流入口39を介して流通路37に流入することで、ノズル口38の内側に溶融はんだを噴流して噴流はんだ9Aを形成する。
【解決手段】噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽5内から供給される溶融はんだの流通路33を形成した全体筒状であり、ノズル口38が設けられたノズル体35と、ノズル体35の内側にノズル体35よりも小径であってノズル口38の高さよりも下位にはんだ流入口39が設けられているとともに、溶融はんだをノズル体35の側面に設けられたはんだ排出口40に流通させる流通路37を形成するはんだ排出部材36とから構成される。噴流ノズル2は、はんだ槽5内で生成した噴射圧により、ノズル口38から噴流した溶融はんだをはんだ流入口39を介して流通路37に流入することで、ノズル口38の内側に溶融はんだを噴流して噴流はんだ9Aを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ槽内に貯留した溶融はんだを噴流して基板の実装部品にスポットはんだ付け処理を施す噴流ノズル、はんだ噴流装置及び噴流はんだの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に用いられる回路基板は、回路パターンやランド等がプリント形成されるともに多数個のスルーホールが形成された基板に、各種の電子部品が実装される。回路基板は、はんだ装置に供給されてスルーホールを貫通させた各端子とランドとにはんだ付けを施すことにより、電子部品等を電気的かつ機械的に結合して実装する。近年、電子機器が小型化されており、製品を構成する部品の回路基板に実装されるチップ部品の実装密度が高くなってきている。このような理由から、隣接部品を除いて目的部分だけをはんだ付けする技術が必要となる。
【0003】
例えば、従来のはんだ噴流装置においては、図11に示すように、筒状の噴流ノズル100の開口部100Aから溶融はんだ101が円周方向の全域に亘って溢れ出し、開口径に応じた外径の噴流はんだ101Aを生成する。従来のはんだ噴流装置においては、回路基板102のランド102Aや端子103Aが、半球状に盛り上がった噴流はんだ101Aの一部に浸漬される。
【0004】
また、スポット的にはんだ付け処理を行うはんだ噴流装置として、特許文献1に記載された噴流ノズルを用いたものもある。特許文献1のはんだ噴流装置は、噴流ノズルがはんだ槽の溶融はんだの液面より突出させて設けられるとともに、噴流ノズルの外側に外筒が設けられ、外筒の上端がノズル開口端位置より高く設定されている。特許文献1のはんだ噴流装置では、ノズル先端から噴出された溶融はんだの一部が噴流ノズルと外筒との間を通って還流し、溶融はんだの一部が外筒の外筒の外側を通って還流し、両還流量の差異に基づいてノズル開口端の上方に溶融はんだの層(はんだ溜まり)が形成される。特許文献1のはんだ噴流装置では、噴流ノズルの内部から溶融はんだの層を通して溶融はんだを噴流させることで、噴流はんだを生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−44612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図11に示す従来のはんだ噴流装置では、噴流はんだ101Aが噴流ノズル100の開口部100Aの外周より大きくなり、噴流はんだ101Aの接触範囲が広くなってしまう。したがって、図11に示す従来のはんだ噴流装置では、噴流はんだ101Aに浸漬させようとするランド102Aや端子103Aに隣接した不要な部分についてもはんだ付けがなされてしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載されたはんだ噴流装置では、噴流ノズルの外側に溶融はんだの流れを形成しているため、溶融はんだが噴流ノズルの外側に流れ落ちてしまい、噴流はんだの接触範囲が大きくなってしまう。したがって、特許文献1に記載されたはんだ噴流装置でも、回路基板102の不要な部分に対してはんだ付け処理がなされてしまう。
【0008】
ここで、不要な部品がはんだ付けされないようにするために、図12(A)に示すように、回路基板102の端子103A以外の部分をマスク治具104で覆う方法や、図12(B)に示すように回路基板102のランド102A以外の部分にマスキングテープ105を貼り付ける方法もある。しかしながら、図12(A)、(B)に示す方法では、マスク治具104の作成、取付け及び取外しや、マスキングテープ105の貼り付け及び剥がす作業が必要となるため、処理工程数が増加してしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、溶融はんだを噴流ノズルの内側に噴流して、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポット的なはんだ付けを可能とする噴流ノズル、はんだ噴流装置及び噴流はんだの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る噴流ノズルは、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、はんだ槽のはんだ供給部に接続され、他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成され、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【0011】
また、本発明に係るはんだ噴流装置は、溶融はんだを貯留するはんだ槽と、内部に長さ方向に貫通して上記はんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、上記はんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルと、上記はんだ槽内の溶融はんだに噴流圧を付与することで上記第1の流通路に溶融はんだを供給するはんだ供給部とを備え、上記噴流ノズルは、上記はんだ供給部から供給された溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【0012】
また、本発明に係る噴流はんだの形成方法は、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部がはんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルを用いた噴流はんだの形成方法であって、上記噴流ノズルは、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入させることで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノズル口から噴流した溶融はんだをノズル体の内側に形成されたはんだ排出部材のはんだ流入口を介してはんだ流通路に流入することにより、ノズル口から噴流した溶融はんだを噴流ノズルの内側に噴流できるため、溶融はんだが噴流ノズルの外側に溢れ出さず、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポットはんだ付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】噴流ノズルを用いたはんだ噴流装置の断面図である。
【図2】噴流ノズルによる回路基板のはんだ付け動作の説明図である。
【図3】噴流ノズルを示す斜視図である。
【図4】噴流ノズルを示す正面図である。
【図5】噴流ノズルの変形例を示す斜視図である。
【図6】噴流ノズルの変形例を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す平面図である。
【図9】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す正面図である。
【図10】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す側面図である。
【図11】従来の噴流ノズルにおける溶融はんだの噴流形態の説明図である。
【図12】(A)は、マスク治具で覆ったプリント基板を示す断面図であり、(B)は、マスキングテープを貼り付けたプリント基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態とする)について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1に示す本実施の形態に係るはんだ噴流装置1では、後に詳述する噴流ノズル2によって溶融はんだを噴流ノズル2の内側に噴流させ、供給される様々な仕様の回路基板3に対してはんだ付け処理を施すことが可能である。また、噴流はんだ装置1では、後に詳述するように溶融はんだを噴流ノズル2の内側に噴流させて溶融はんだが噴流ノズル2の外側に溢れ出ないようにすることで、噴流ノズル2の外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる。
【0017】
はんだ噴流装置1は、図1に示すように、筐体4の内部に詳細を省略する断熱固定構造を介して断熱空間部4Aを構成して溶融はんだを貯留する小型のはんだ槽5を設置する。はんだ槽5は、従来の大型のはんだ噴流装置と同等のはんだ付け処理を施すことが可能な小型のはんだ噴流装置である。はんだ槽5には、その開口を閉塞して取り付けられることにより内部に密閉空間部を構成する蓋体の機能を奏するとともに各構成部位の取付機能を奏するシャーシ6が組み合わされる。
【0018】
はんだ噴流装置1は、後に詳述するように噴流ノズル2が、ノズル取付部7に直立状態で着脱自在に取り付けられる。また、はんだ噴流装置1においては、はんだ槽5の内部にヒータ8が設けられ、はんだ槽5内に投入されたはんだ材を溶融して所定量の溶融はんだ9を貯留する。
【0019】
また、はんだ噴流装置1においては、詳細を省略するが、溶融はんだ9の貯留量が検出手段により検出され、貯留量が規定値よりも少なくなると検出手段から出力される検出信号に基づいて適宜のアラームが行われる。このアラームにより、はんだ噴流装置1においては、はんだ材の投入が行われるようにする。
【0020】
はんだ噴流装置1においては、はんだ槽5の内部に、後に詳述するはんだ供給部10が設けられ、はんだ供給部10から供給された溶融はんだ9を噴流ノズル2から噴流させる。また、はんだ噴流装置1においては、筐体4に、後に詳述するはんだ流生成駆動部11が設けられ、はんだ流生成駆動部11によって、はんだ供給部10を駆動して噴流ノズル2への溶融はんだ9の供給が行われるようにする。
【0021】
はんだ噴流装置1においては、筐体4に、はんだ流生成駆動部11を覆ってカバー部材13が取り付けられており、カバー部材13に開口部13Aが形成される。
【0022】
はんだ付け処理が施される回路基板3は、例えば、図2に示すように主面に所定の回路パターンやランド等の導体部をプリント形成するとともに、多数個のスルーホールを形成した基板15の主面上に、端子16Aをスルーホールに貫通させて電子部品16を組み付けて構成される。回路基板3は、スルーホールを貫通された端子16A及びランド15Aにはんだ付けを施して、電子部品16を基板15に電気的かつ機械的に結合して実装する。
【0023】
はんだ供給部10は、はんだ槽5内において溶融はんだ9に流れを生成して噴流ノズル2から溶融はんだ9を噴流させるポンプ手段を構成する。はんだ供給部10は、図1に示すように、ケース17と、ケース17内に設けられたインペラ(回転羽根)18とから構成される。はんだ供給部10は、ケース17が、筒状の取付スタッド19を介してシャーシ6に取り付けられ、はんだ槽5内に漬けられた状態で設置されている。ケース17には、一方側に位置してインペラ18が内蔵されているとともに、他方側に溶融はんだ9を噴流ノズル2に供給するはんだ供給口20が形成されている。
【0024】
はんだ供給部10は、インペラ18の支軸21が、ケース17を貫通して取付スタッド19内を嵌挿され、シャーシ6を貫通してはんだ流生成駆動部11と連結されている。また、はんだ供給部10は、ケース17のインペラ18を設けた一方側に、図示を省略するが溶融はんだ9の流入口が形成され、インペラ18の回転動作によって溶融はんだ9がケース17の内部に流れ込むように構成されている。はんだ供給部10では、インペラ18の回転動作によってケース17内において溶融はんだ9にはんだ供給口方向への流れを生成する。また、はんだ供給部10においては、インペラ18の回転速度により溶融はんだ9の流速を設定することが可能である。
【0025】
また、はんだ供給部10には、ケース17にノズル取付部7を構成する取付管部材22が取り付けられている。取付管部材22は、図1に示すように溶融はんだ9が流れる内部孔22Aを有し、上下端部の周回りに突出する上部フランジ部22Bと下部フランジ部22Cが一体に形成されている。取付管部材22は、内部孔22Aをはんだ供給口20に連通させて下部フランジ部22Cがケース17に固定されている。取付管部材22には、図1に示すように上部フランジ部22Bに締付けナット24がねじ込まれる複数のネジ付きスタッド23が一体に突設され、ネジ付きスタッド23と締付けナット24とにより上部フランジ部22Bに対して噴流ノズル2が着脱される。取付管部材22の取付構造は、例えばボルトとナットによるものであってもよい。また、はんだ噴流装置1は、はんだ供給部10のケース17に取付管部材22を固定してノズル取付部7を構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。例えば、はんだ噴流装置1は、ケース17に取付管部材22と同等の部位を一体に形成することにより、はんだ供給部10の一部にノズル取付部7を形成した構造であってもよい。
【0026】
はんだ流生成駆動部11においては、上述したはんだ供給部10のインペラ18を回転駆動してはんだ供給部10のケース17内において溶融はんだ9に流れを生成させる。はんだ流生成駆動部11は、図1に示すように、筐体4の一方側面に固定されたブラケット25に取り付けられたモータ26と、モータ26の出力軸26Aに固定された駆動スプロケット27と、シャーシを貫通したインペラ18の支軸21の先端部に固定された従動スプロケット28と、駆動スプロケット27と従動スプロケット28との間に架け渡した無端チェーン29とから構成されている。
【0027】
はんだ流生成駆動部11では、モータ26に電源が投入されて出力軸26Aが駆動されると、出力軸26Aに固定された駆動スプロケット27が回転する。はんだ流生成駆動部11では、駆動スプロケット27の回転が無端チェーン29により従動スプロケット28に伝達され、従動スプロケット28に固定した支軸21を回転させる。そして、はんだ流生成駆動部11では、支軸21を介してインペラ18を回転駆動させることにより、はんだ供給部10のケース17内において溶融はんだ9に流れを生成させる。
【0028】
また、はんだ流生成駆動部11では、詳細を省略するが、モータ26に回転出力を調整する適宜の調速手段を設け、この調速手段の設定により、インペラ18の回転を調整して溶融はんだ9の流速が調整されるようにする。なお、はんだ流生成駆動部11では、可動部位がカバー部材13によって覆われることにより、安全性を確保することができる。
【0029】
なお、はんだ噴流装置1は、はんだ供給部10とはんだ流生成駆動部11とにより、はんだ槽5内から溶融はんだ9を所定の流速を以って噴流ノズル2に供給するようにしたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、はんだ噴流装置1においては、適宜の噴流ポンプ手段により溶融はんだ9に噴流圧を生成して、はんだ槽5内から噴流ノズル2に供給するようにしてもよい。
【0030】
次に、噴流ノズル2について詳細に説明する。はんだ噴流装置1においては、図1に示すように、噴流ノズル2が、はんだ槽5の内部からシャーシ6を貫通して上方へと突出するようにしてノズル取付部7に取り付けられている。噴流ノズル2は、基端部の外周に上述したノズル取付部に固定される固定部34を構成するフランジ部が周回りに突出して一体に形成されている。固定部34には、上述した取付管部材22の上部フランジ部22Bに立設したネジ付きスタッド23に相対して複数の貫通孔が形成されている。噴流ノズル2は、貫通孔にネジ付きスタッド23を嵌挿して固定部34を上部フランジ部22Bに重ね合わせ、ネジ付きスタッド23の先端から締付けナット24をねじ込んで固定部34上に締め付けることにより、取付管部材22に直立状態で固定する。換言すれば、噴流ノズル2は、ノズル取付部7に直立状態で固定されている。
【0031】
噴流ノズル2は、図1に示す流通路33の一端部における内径が、上述した取付管部材22の内部孔22Aとほぼ同径とされる。また、噴流ノズル2は、耐熱性、耐化学特性及びはんだ濡れ特性を有する金属材等で形成されており、図2に示すようにノズル体35と、ノズル体35の内側に設けられたはんだ排出部材36とから構成される。
【0032】
ノズル体35は、図2に示すように全体筒状に形成され、内側に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだの流通路33が形成されている。ノズル体35は、一端部が、取付管部材22を介してはんだ供給部10に接続されている。ノズル体35の他端部には、はんだ槽5内の溶融はんだ9を噴流させるノズル口38が設けられている。
【0033】
はんだ排出部材36は、ノズル体35の側面から所定間隔離されるようにしてノズル体35の内側に設けられている。はんだ排出部材36の一端部には、内径がノズル体35のノズル口38よりも小さなはんだ流入口39が設けられ、ノズル口38から噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39に流入される。はんだ排出部材36は、はんだ流入口39に流入した溶融はんだをノズル体35の側面に設けられたはんだ排出口40に流通させる流通路37を形成する。噴流ノズル2は、はんだ流入口39が、ノズル体35においてノズル口38が設けられている一端部の高さよりも下位となるように、ノズル体35にはんだ排出部材36が組み合わされている。
【0034】
ここで、噴流ノズル2では、回路基板3に対してノズル口38の内側から噴流した噴流はんだでスポットはんだ付け処理を施すとともに、ノズル口38の外側に溢れ出す溶融はんだによるはんだブリッジ等の発生を防止するために、溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出ないようにする必要がある。そこで、噴流ノズル2には、上述したようにノズル体35の内側に、ノズル体35よりも小径であってノズル口38の高さよりも下位にノズル口38から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口39が設けられている。また、噴流ノズル2には、ノズル体35の側面であってはんだ槽5に貯留される溶融はんだ9の液面より上方側に、はんだ排出口40が設けられている。さらに、噴流ノズル2は、ノズル口38の開口面積とはんだ流入口39の開口面積とを同じ程度にすることが好ましい。噴流ノズル2は、かかる構成のノズル体35とはんだ排出部材36とから構成されていることにより、はんだ排出部材36の内部から外部へ圧力がかかるようにして、ノズル口38から噴流した溶融はんだがはんだ流入口39に流れるようにすることで、溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出さないようにする。
【0035】
つまり、はんだ排出部材36では、はんだ流入口39に流入した溶融はんだが、流通路37を通ってはんだ排出口40から排出されてはんだ槽5内に戻る。噴流ノズル2では、流通路37を通して溶融はんだ9の流れを造り、ノズル体35の外側に広がらない噴流はんだを形成することで、図2に示すように、ノズル口38から湧き上がるように安定した半球状(楕円状)の噴流はんだ9Aを形成することができる。噴流はんだ9Aは、片寄った噴流形状とはならず、噴流ノズル2の外側に溢れ出さない安定した噴流はんだとして使用できるため、回路基板3にスポットはんだ付け処理を施すことが可能となる。
【0036】
また、図1、図3及び図4に示すように、噴流ノズル2には、はんだ排出口40から排出された溶融はんだが、はんだ槽5内に戻る際に飛散するのを防止するためのはんだ排出板42と、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整するためのはんだ量調整機構43とが設けられている。
【0037】
はんだ排出板42は、はんだ排出口40と溶融はんだ9の液面との間に、ノズル体35の外形形状に沿って曲線形状となるように形成されている。はんだ排出板42としては、溶融はんだに対する耐熱性を有し、はんだ濡れ性の低い材質が好ましく、例えば、セラミックスを用いることができる。また、溶融はんだとして鉛フリーはんだを用いる場合には高い温度領域での使用となるため、はんだ排出板42としては、ステンレス鋼の表面に窒化処理を施して硬化層を形成したものや、ステンレス鋼の表面にセラミック皮膜を形成したものが好ましい。窒化処理としては、例えば、真空窒化処理方法の一種であるカナック処理が用いられる。
【0038】
はんだ噴流装置1では、はんだ排出板42を介してはんだ排出口40から排出された溶融はんだをはんだ槽5内に戻すことにより、溶融はんだがはんだ槽内5に戻る際の衝撃を少なくして、溶融はんだの飛散を少なくすることができる。なお、はんだ排出板42は、上述したようなノズル体35の外形形状に沿って曲線形状のものに限定されず、はんだ排出口40から排出された溶融はんだが、はんだ槽5内に戻る際の衝撃を少なくして飛散を防止できる形状であれば他の形状を適用してもよい。
【0039】
はんだ噴流装置1では、噴流ノズル2のノズル口38とはんだ流入口39との間の長さ、ノズル口38及びはんだ流入口39の内径、はんだ供給部10で生成する噴流圧力等を変更することで、噴流はんだ9Aの噴流形状を変更することができる。また、はんだ噴流装置1では、はんだ供給部10で生成する噴流圧力を変更することで、ノズル口38から噴流する溶融はんだ量を調整することができる。しかし、はんだ噴流装置1では、ノズル口38が小さな噴流ノズル2を用いるため、上述したようにノズル口38の内側で噴流はんだ9Aの噴流形状が安定した半球状となるように噴流圧力等を調整するのは難しい。そこで、はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43を設けることにより、噴流はんだ9Aの噴流形状を調整する。
【0040】
図4に示すように、はんだ量調整機構43は、はんだ排出量調整板44と調整板取付部45とから構成されている。はんだ量調整機構43では、調整板取付部45を緩めることによってはんだ排出量調整板44を垂直方向に移動させてはんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整可能とする。はんだ量調整機構43では、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38からはんだ流入口39に流入する溶融はんだ量を調整し、安定した半球状の噴流はんだ9Aをノズル口38から噴流することを可能とする。また、はんだ量調整機構43は、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38から噴流した溶融はんだがノズル口38の外側に溢れ出てしまうのを防止する。はんだ量調整機構43では、溶融はんだがノズル口38の外側に溢れ出ないようにすることで、ノズル口38の外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することを可能とする。なお、はんだ量調整機構43は、上述したはんだ排出量調整板44と調整板取付部45とによって構成されるものに限定されず、はんだ排出口40から排出される溶融はんだの量を調整できるものであれば他の構成を適用してもよい。
【0041】
また、図1に示すように、はんだ噴流装置1には、ノズル加熱部47が設けられている。はんだ噴流装置1では、ノズル加熱部47から加熱した窒素ガスによって噴流ノズル2を加熱するとともにノズル口38の周囲を窒素ガス雰囲気として、溶融はんだ9の酸化を抑制する。ノズル加熱部47は、図1に示すように、フード体48とノズルヒータ49と窒素ガス供給部50とから構成されている。
【0042】
ノズル加熱部47は、図1に示すように、フード体48とノズルヒータ49とをユニットとして、カバー部材13の開口部13Aに組み付けられている。フード体48は、噴流ノズル2のノズル体35の外側の上方部位を取り囲むようにして略ハの字状に形成され、カバー部材13の開口部13Aに取り付けられている。ノズルヒータ49は、噴流ノズル2の上方部位を取り囲む内部空間を有する略筒状のケース内にヒータを収納して構成され、カバー部材13の下方に位置してシャーシ6に取り付けられている。また、ノズルヒータ49には、詳細を省略するが内周壁部に多数個のガス吹出し口が形成されている。
【0043】
ノズル加熱部47は、フード体48とノズルヒータ49のケースとシャーシ6とにより、噴流ノズル2を取り囲む空間部51を構成する。ノズル加熱部47は、ノズルヒータ49のケース内に窒素ガス供給部50から窒素ガスを供給し、ノズルヒータ49のケース内でヒータにより加熱された窒素ガスをガス吹出し口から空間部51に吹き出す。そして、ノズル加熱部47においては、空間部51内に吹き出した窒素ガスをフード体48によって噴流ノズル2のノズル口38の周囲に導出させる。
【0044】
ノズル加熱部47では、ノズル口38の周囲に導出させた窒素ガスによって、ノズル口38の周囲を加熱状態の窒素ガス雰囲気とし、外気の影響によってノズル口38から噴流する噴流はんだ9Aが温度低下してしまうのを抑制する。また、ノズル加熱部47においては、空間部51からノズル口38の周囲に導出させた窒素ガスによってノズル口38から噴流する溶融はんだの表面を覆うことにより、溶融はんだ表面の酸素濃度を下げて溶融はんだ9の酸化を抑制する。なお、上述したフード体48としては、噴流ノズル2を取り囲むように形成してノズル口38の周囲を加熱状態の窒素ガス雰囲気にできるものであれば、他の形状のものを適用してもよい。
【0045】
次に、噴流ノズル2を用いたはんだ噴流装置1における動作について説明する。図1に示すように、はんだ噴流装置1では、モータ26を駆動すると、モータ26の回転が駆動スプロケット27と無端チェーン29と従動スプロケット28とを介して支軸21に伝達されインペラ18が回転する。はんだ噴流装置1では、インペラ18の回転によって、はんだ槽5に貯留される溶融はんだ9がケース17の内部に押し出される。はんだ噴流装置1では、図1及び図2に示すように、ケース17内部に押し出された溶融はんだ9が、取付管部材22を介して噴流ノズル2内に流入し、流通路33を通ってノズル口38から噴出する。はんだ噴流装置1では、ノズル口38から噴流した溶融はんだ9が、ノズル体35の外側に溢れ出さずに、はんだ流入口39から流通路37に流入して噴流はんだ9Aを形成する。そして、流通路37に流入した溶融はんだ9は、はんだ排出口40から排出され、はんだ排出板42に導かれてはんだ槽5内に戻る。
【0046】
はんだ噴流装置1では、図2に示すように噴流ノズル2のノズル口38から噴流した溶融はんだ9をはんだ流入口39を介して流通路37に流入させることで、ノズル体35の内側に噴流はんだ9Aを形成する。すなわち、はんだ噴流装置1では、噴流ノズル2のはんだ排出部材36の内部に形成された流通路37を通して溶融はんだ9の流れを造ることで、ノズル体35の外側に広がらないスポット的な噴流はんだ9Aを形成する。はんだ噴流装置1では、噴流はんだ9Aを形成することで、回路基板3の狭い範囲の目的部位だけをはんだ付けすることが可能となる。また、はんだ噴流装置1では、回路基板3の不要部分にはんだ付けがされないようにすることで、はんだ付け不良が発生してしまうのを防止して、品質を向上させることが可能となる。例えば、はんだ噴流装置1では、図2に示す回路基板3の端子16A以外の部品、すなわち、ランド15Aにはんだ付け処理がされるのを防止できるため、端子16Aに対してスポットはんだ付け処理を行うことが可能となる。また、はんだ噴流装置1では、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなく溶融はんだを狭い範囲に噴流させることができるため、処理工数を削減することが可能となる。
【0047】
はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43によってはんだ排出口40から排出する溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38からはんだ流入口39に流入する溶融はんだ量を調整し、ノズル口38から安定した半球状の噴流はんだ9Aを形成できる。また、はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43によりはんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38から噴流した溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出てしまうのを防止できる。はんだ噴流装置1では、溶融はんだが噴流ノズル2の外側に溢れ出してしまう場合と比較して、外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる。
【0048】
次に、噴流ノズル2の変形例について説明する。図5に示すように、噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通して中空円筒状に形成されたノズル体35と、ノズル体35の内部に設けられたはんだ排出部材36とから構成されていてもよい。また、図6に示すように、噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通して中空矩形筒状に形成されたノズル体35と、ノズル体35の内部に設けられたはんだ排出部材36とから構成されていてもよい。図5に示すような中空円筒状の噴流ノズル2を用いた場合には、ノズル体35及びはんだ排出部材36の内部において溶融はんだを効率よく通過させることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図7〜図10を参照しながら、第2の実施形態に係る噴流ノズル2Aについて説明する。噴流ノズル2Aにおいて、噴流ノズル2と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明については省略する。噴流ノズル2Aは、ノズル体35の内部に流通路が複数設けられている点、及び、後に詳述するはね防止板が設けられている点で噴流ノズル2と異なる。噴流ノズル2Aにおいては、ノズル体35の内部に流通路を複数設けることにより、ノズル口から噴流する溶融はんだのバランスをとることで、噴流はんだの形状を微調整することが可能となる。
【0050】
図7〜図10に示すように、噴流ノズル2Aを構成するはんだ排出部材36A、36Bは、それぞれノズル体35の内側に全体矩形筒状に形成され、ノズル口38A、38B、38Cの高さよりも下位にはんだ流入口39A、39Bが設けられている。また、図8に示すように、噴流ノズル2Aは、噴流はんだのバランスをとって噴流形状を調整可能とするために、ノズル口38A、38B、38C及びはんだ流入口39A、39Bがそれぞれ略同じ開口面積であって交互の位置となるように、ノズル体35とはんだ排出部材36A、36Bとが組み合わされている。はんだ排出部材36A、36Bには、ノズル体35の側面に貫通したはんだ排出口40A、40Bが設けられている。噴流ノズル2Aには、加工性を考慮して、図7及び図9に示すように、ノズル体35の一側面側に、はんだ排出口40A、40Bが設けられることが好ましい。
【0051】
噴流ノズル2Aには、図10に示すように、はんだ排出口40A、40Bから排出される溶融はんだ量を調整するためのはんだ量調整機構43が設けられている。噴流ノズル2Aは、はんだ量調整機構43によってはんだ排出口40A、40Bから排出される溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38A、38B、38Cから噴流する溶融はんだの流量の調整が可能となる。噴流ノズル2Aでは、はんだ量調整機構43によってノズル口38A、38B、38Cから噴流する溶融はんだの流量のバランスをとることで噴流はんだの形状を微調整し、安定した半球状の噴流はんだを形成することが可能となる。
【0052】
また、図10に示すように、噴流ノズル2Aには、はんだ排出口40から排出した溶融はんだが不要な部品に付着するのを防止するために、はね防止板55が設けられる。はね防止板55は、はんだ排出口40に対向する位置に設けられ、はね防止板取付部56に取り付けられている。噴流はんだ装置1では、はね防止板55によって、はんだ排出口40から排出した溶融はんだが不要な部品に付着するのを防止することではんだ付け不良を防止し、信頼性を向上することが可能となる。また、噴流はんだ装置1では、はね防止板55を設けることにより、はんだ排出口40から排出した溶融はんだを大気と触れにくくして、溶融はんだから酸化物が発生してしまうのを抑制できる。
【0053】
次に、噴流ノズル2Aにおける噴流動作について説明する。図9に示すように、噴流ノズル2Aでは、流通路33から整流板60を通ってノズル口38Aから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Aに流入し、流通路37Aを通ってはんだ排出口40Aから排出されてはんだ槽5内に戻る。また、噴流ノズル2Aでは、ノズル口38Bから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Bに流入し、流通路37Bを通ってはんだ排出口40Bから排出されてはんだ槽5内に戻る。また、噴流ノズル2Aでは、ノズル口38Cから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Bに流入し、流通路37Bを介してはんだ排出口40Bから排出される。はんだ排出口40A、40Bから排出された溶融はんだは、図7及び図10に示すように、はんだ排出板42を介してはんだ槽5内に戻される。
【0054】
以上説明したように、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1は、上述したようにノズル体35の内側に複数のはんだ排出部材36とはんだ量調整機構43とが設けられていることにより、はんだ排出口40A、40Bから排出する溶融はんだの量の調整が可能となる。噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、はんだ排出口40A、40Bから排出する溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38A、38B、38Cからの噴流はんだの形状を微調整して安定した半球状の噴流はんだ9Aを形成できる。したがって、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポットはんだ付けができる。また、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、溶融はんだを噴流ノズル2Aの内側に噴流させて溶融はんだが噴流ノズル2Aの外側に溢れ出ないようにすることで、噴流ノズル2Aの外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる
【符号の説明】
【0055】
1 はんだ装置、2 噴流ノズル、3 回路基板、5 はんだ槽、9 溶融はんだ、9A 噴流はんだ、10 はんだ供給部、11 はんだ流生成駆動部、20 はんだ供給口、35 ノズル体、36 はんだ排出部材、37 流通路、38 ノズル口、39 はんだ流入口、40 はんだ排出口、42 はんだ排出板、43 はんだ量調整機構、44 はんだ排出量調整板、45 調整板取付部、47 ノズル加熱部、48 フード体、49 ノズルヒータ、50 窒素ガス供給部、51 空間部、55 はね防止板
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ槽内に貯留した溶融はんだを噴流して基板の実装部品にスポットはんだ付け処理を施す噴流ノズル、はんだ噴流装置及び噴流はんだの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器等に用いられる回路基板は、回路パターンやランド等がプリント形成されるともに多数個のスルーホールが形成された基板に、各種の電子部品が実装される。回路基板は、はんだ装置に供給されてスルーホールを貫通させた各端子とランドとにはんだ付けを施すことにより、電子部品等を電気的かつ機械的に結合して実装する。近年、電子機器が小型化されており、製品を構成する部品の回路基板に実装されるチップ部品の実装密度が高くなってきている。このような理由から、隣接部品を除いて目的部分だけをはんだ付けする技術が必要となる。
【0003】
例えば、従来のはんだ噴流装置においては、図11に示すように、筒状の噴流ノズル100の開口部100Aから溶融はんだ101が円周方向の全域に亘って溢れ出し、開口径に応じた外径の噴流はんだ101Aを生成する。従来のはんだ噴流装置においては、回路基板102のランド102Aや端子103Aが、半球状に盛り上がった噴流はんだ101Aの一部に浸漬される。
【0004】
また、スポット的にはんだ付け処理を行うはんだ噴流装置として、特許文献1に記載された噴流ノズルを用いたものもある。特許文献1のはんだ噴流装置は、噴流ノズルがはんだ槽の溶融はんだの液面より突出させて設けられるとともに、噴流ノズルの外側に外筒が設けられ、外筒の上端がノズル開口端位置より高く設定されている。特許文献1のはんだ噴流装置では、ノズル先端から噴出された溶融はんだの一部が噴流ノズルと外筒との間を通って還流し、溶融はんだの一部が外筒の外筒の外側を通って還流し、両還流量の差異に基づいてノズル開口端の上方に溶融はんだの層(はんだ溜まり)が形成される。特許文献1のはんだ噴流装置では、噴流ノズルの内部から溶融はんだの層を通して溶融はんだを噴流させることで、噴流はんだを生じさせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−44612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図11に示す従来のはんだ噴流装置では、噴流はんだ101Aが噴流ノズル100の開口部100Aの外周より大きくなり、噴流はんだ101Aの接触範囲が広くなってしまう。したがって、図11に示す従来のはんだ噴流装置では、噴流はんだ101Aに浸漬させようとするランド102Aや端子103Aに隣接した不要な部分についてもはんだ付けがなされてしまう。
【0007】
また、特許文献1に記載されたはんだ噴流装置では、噴流ノズルの外側に溶融はんだの流れを形成しているため、溶融はんだが噴流ノズルの外側に流れ落ちてしまい、噴流はんだの接触範囲が大きくなってしまう。したがって、特許文献1に記載されたはんだ噴流装置でも、回路基板102の不要な部分に対してはんだ付け処理がなされてしまう。
【0008】
ここで、不要な部品がはんだ付けされないようにするために、図12(A)に示すように、回路基板102の端子103A以外の部分をマスク治具104で覆う方法や、図12(B)に示すように回路基板102のランド102A以外の部分にマスキングテープ105を貼り付ける方法もある。しかしながら、図12(A)、(B)に示す方法では、マスク治具104の作成、取付け及び取外しや、マスキングテープ105の貼り付け及び剥がす作業が必要となるため、処理工程数が増加してしまう。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、溶融はんだを噴流ノズルの内側に噴流して、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポット的なはんだ付けを可能とする噴流ノズル、はんだ噴流装置及び噴流はんだの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明に係る噴流ノズルは、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、はんだ槽のはんだ供給部に接続され、他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成され、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【0011】
また、本発明に係るはんだ噴流装置は、溶融はんだを貯留するはんだ槽と、内部に長さ方向に貫通して上記はんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、上記はんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルと、上記はんだ槽内の溶融はんだに噴流圧を付与することで上記第1の流通路に溶融はんだを供給するはんだ供給部とを備え、上記噴流ノズルは、上記はんだ供給部から供給された溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【0012】
また、本発明に係る噴流はんだの形成方法は、内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部がはんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルを用いた噴流はんだの形成方法であって、上記噴流ノズルは、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入させることで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノズル口から噴流した溶融はんだをノズル体の内側に形成されたはんだ排出部材のはんだ流入口を介してはんだ流通路に流入することにより、ノズル口から噴流した溶融はんだを噴流ノズルの内側に噴流できるため、溶融はんだが噴流ノズルの外側に溢れ出さず、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポットはんだ付けが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】噴流ノズルを用いたはんだ噴流装置の断面図である。
【図2】噴流ノズルによる回路基板のはんだ付け動作の説明図である。
【図3】噴流ノズルを示す斜視図である。
【図4】噴流ノズルを示す正面図である。
【図5】噴流ノズルの変形例を示す斜視図である。
【図6】噴流ノズルの変形例を示す斜視図である。
【図7】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す斜視図である。
【図8】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す平面図である。
【図9】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す正面図である。
【図10】第2の実施形態に係る噴流ノズルを示す側面図である。
【図11】従来の噴流ノズルにおける溶融はんだの噴流形態の説明図である。
【図12】(A)は、マスク治具で覆ったプリント基板を示す断面図であり、(B)は、マスキングテープを貼り付けたプリント基板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態とする)について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
<第1の実施形態>
図1に示す本実施の形態に係るはんだ噴流装置1では、後に詳述する噴流ノズル2によって溶融はんだを噴流ノズル2の内側に噴流させ、供給される様々な仕様の回路基板3に対してはんだ付け処理を施すことが可能である。また、噴流はんだ装置1では、後に詳述するように溶融はんだを噴流ノズル2の内側に噴流させて溶融はんだが噴流ノズル2の外側に溢れ出ないようにすることで、噴流ノズル2の外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる。
【0017】
はんだ噴流装置1は、図1に示すように、筐体4の内部に詳細を省略する断熱固定構造を介して断熱空間部4Aを構成して溶融はんだを貯留する小型のはんだ槽5を設置する。はんだ槽5は、従来の大型のはんだ噴流装置と同等のはんだ付け処理を施すことが可能な小型のはんだ噴流装置である。はんだ槽5には、その開口を閉塞して取り付けられることにより内部に密閉空間部を構成する蓋体の機能を奏するとともに各構成部位の取付機能を奏するシャーシ6が組み合わされる。
【0018】
はんだ噴流装置1は、後に詳述するように噴流ノズル2が、ノズル取付部7に直立状態で着脱自在に取り付けられる。また、はんだ噴流装置1においては、はんだ槽5の内部にヒータ8が設けられ、はんだ槽5内に投入されたはんだ材を溶融して所定量の溶融はんだ9を貯留する。
【0019】
また、はんだ噴流装置1においては、詳細を省略するが、溶融はんだ9の貯留量が検出手段により検出され、貯留量が規定値よりも少なくなると検出手段から出力される検出信号に基づいて適宜のアラームが行われる。このアラームにより、はんだ噴流装置1においては、はんだ材の投入が行われるようにする。
【0020】
はんだ噴流装置1においては、はんだ槽5の内部に、後に詳述するはんだ供給部10が設けられ、はんだ供給部10から供給された溶融はんだ9を噴流ノズル2から噴流させる。また、はんだ噴流装置1においては、筐体4に、後に詳述するはんだ流生成駆動部11が設けられ、はんだ流生成駆動部11によって、はんだ供給部10を駆動して噴流ノズル2への溶融はんだ9の供給が行われるようにする。
【0021】
はんだ噴流装置1においては、筐体4に、はんだ流生成駆動部11を覆ってカバー部材13が取り付けられており、カバー部材13に開口部13Aが形成される。
【0022】
はんだ付け処理が施される回路基板3は、例えば、図2に示すように主面に所定の回路パターンやランド等の導体部をプリント形成するとともに、多数個のスルーホールを形成した基板15の主面上に、端子16Aをスルーホールに貫通させて電子部品16を組み付けて構成される。回路基板3は、スルーホールを貫通された端子16A及びランド15Aにはんだ付けを施して、電子部品16を基板15に電気的かつ機械的に結合して実装する。
【0023】
はんだ供給部10は、はんだ槽5内において溶融はんだ9に流れを生成して噴流ノズル2から溶融はんだ9を噴流させるポンプ手段を構成する。はんだ供給部10は、図1に示すように、ケース17と、ケース17内に設けられたインペラ(回転羽根)18とから構成される。はんだ供給部10は、ケース17が、筒状の取付スタッド19を介してシャーシ6に取り付けられ、はんだ槽5内に漬けられた状態で設置されている。ケース17には、一方側に位置してインペラ18が内蔵されているとともに、他方側に溶融はんだ9を噴流ノズル2に供給するはんだ供給口20が形成されている。
【0024】
はんだ供給部10は、インペラ18の支軸21が、ケース17を貫通して取付スタッド19内を嵌挿され、シャーシ6を貫通してはんだ流生成駆動部11と連結されている。また、はんだ供給部10は、ケース17のインペラ18を設けた一方側に、図示を省略するが溶融はんだ9の流入口が形成され、インペラ18の回転動作によって溶融はんだ9がケース17の内部に流れ込むように構成されている。はんだ供給部10では、インペラ18の回転動作によってケース17内において溶融はんだ9にはんだ供給口方向への流れを生成する。また、はんだ供給部10においては、インペラ18の回転速度により溶融はんだ9の流速を設定することが可能である。
【0025】
また、はんだ供給部10には、ケース17にノズル取付部7を構成する取付管部材22が取り付けられている。取付管部材22は、図1に示すように溶融はんだ9が流れる内部孔22Aを有し、上下端部の周回りに突出する上部フランジ部22Bと下部フランジ部22Cが一体に形成されている。取付管部材22は、内部孔22Aをはんだ供給口20に連通させて下部フランジ部22Cがケース17に固定されている。取付管部材22には、図1に示すように上部フランジ部22Bに締付けナット24がねじ込まれる複数のネジ付きスタッド23が一体に突設され、ネジ付きスタッド23と締付けナット24とにより上部フランジ部22Bに対して噴流ノズル2が着脱される。取付管部材22の取付構造は、例えばボルトとナットによるものであってもよい。また、はんだ噴流装置1は、はんだ供給部10のケース17に取付管部材22を固定してノズル取付部7を構成したが、かかる構成に限定されないことは勿論である。例えば、はんだ噴流装置1は、ケース17に取付管部材22と同等の部位を一体に形成することにより、はんだ供給部10の一部にノズル取付部7を形成した構造であってもよい。
【0026】
はんだ流生成駆動部11においては、上述したはんだ供給部10のインペラ18を回転駆動してはんだ供給部10のケース17内において溶融はんだ9に流れを生成させる。はんだ流生成駆動部11は、図1に示すように、筐体4の一方側面に固定されたブラケット25に取り付けられたモータ26と、モータ26の出力軸26Aに固定された駆動スプロケット27と、シャーシを貫通したインペラ18の支軸21の先端部に固定された従動スプロケット28と、駆動スプロケット27と従動スプロケット28との間に架け渡した無端チェーン29とから構成されている。
【0027】
はんだ流生成駆動部11では、モータ26に電源が投入されて出力軸26Aが駆動されると、出力軸26Aに固定された駆動スプロケット27が回転する。はんだ流生成駆動部11では、駆動スプロケット27の回転が無端チェーン29により従動スプロケット28に伝達され、従動スプロケット28に固定した支軸21を回転させる。そして、はんだ流生成駆動部11では、支軸21を介してインペラ18を回転駆動させることにより、はんだ供給部10のケース17内において溶融はんだ9に流れを生成させる。
【0028】
また、はんだ流生成駆動部11では、詳細を省略するが、モータ26に回転出力を調整する適宜の調速手段を設け、この調速手段の設定により、インペラ18の回転を調整して溶融はんだ9の流速が調整されるようにする。なお、はんだ流生成駆動部11では、可動部位がカバー部材13によって覆われることにより、安全性を確保することができる。
【0029】
なお、はんだ噴流装置1は、はんだ供給部10とはんだ流生成駆動部11とにより、はんだ槽5内から溶融はんだ9を所定の流速を以って噴流ノズル2に供給するようにしたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、はんだ噴流装置1においては、適宜の噴流ポンプ手段により溶融はんだ9に噴流圧を生成して、はんだ槽5内から噴流ノズル2に供給するようにしてもよい。
【0030】
次に、噴流ノズル2について詳細に説明する。はんだ噴流装置1においては、図1に示すように、噴流ノズル2が、はんだ槽5の内部からシャーシ6を貫通して上方へと突出するようにしてノズル取付部7に取り付けられている。噴流ノズル2は、基端部の外周に上述したノズル取付部に固定される固定部34を構成するフランジ部が周回りに突出して一体に形成されている。固定部34には、上述した取付管部材22の上部フランジ部22Bに立設したネジ付きスタッド23に相対して複数の貫通孔が形成されている。噴流ノズル2は、貫通孔にネジ付きスタッド23を嵌挿して固定部34を上部フランジ部22Bに重ね合わせ、ネジ付きスタッド23の先端から締付けナット24をねじ込んで固定部34上に締め付けることにより、取付管部材22に直立状態で固定する。換言すれば、噴流ノズル2は、ノズル取付部7に直立状態で固定されている。
【0031】
噴流ノズル2は、図1に示す流通路33の一端部における内径が、上述した取付管部材22の内部孔22Aとほぼ同径とされる。また、噴流ノズル2は、耐熱性、耐化学特性及びはんだ濡れ特性を有する金属材等で形成されており、図2に示すようにノズル体35と、ノズル体35の内側に設けられたはんだ排出部材36とから構成される。
【0032】
ノズル体35は、図2に示すように全体筒状に形成され、内側に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだの流通路33が形成されている。ノズル体35は、一端部が、取付管部材22を介してはんだ供給部10に接続されている。ノズル体35の他端部には、はんだ槽5内の溶融はんだ9を噴流させるノズル口38が設けられている。
【0033】
はんだ排出部材36は、ノズル体35の側面から所定間隔離されるようにしてノズル体35の内側に設けられている。はんだ排出部材36の一端部には、内径がノズル体35のノズル口38よりも小さなはんだ流入口39が設けられ、ノズル口38から噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39に流入される。はんだ排出部材36は、はんだ流入口39に流入した溶融はんだをノズル体35の側面に設けられたはんだ排出口40に流通させる流通路37を形成する。噴流ノズル2は、はんだ流入口39が、ノズル体35においてノズル口38が設けられている一端部の高さよりも下位となるように、ノズル体35にはんだ排出部材36が組み合わされている。
【0034】
ここで、噴流ノズル2では、回路基板3に対してノズル口38の内側から噴流した噴流はんだでスポットはんだ付け処理を施すとともに、ノズル口38の外側に溢れ出す溶融はんだによるはんだブリッジ等の発生を防止するために、溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出ないようにする必要がある。そこで、噴流ノズル2には、上述したようにノズル体35の内側に、ノズル体35よりも小径であってノズル口38の高さよりも下位にノズル口38から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口39が設けられている。また、噴流ノズル2には、ノズル体35の側面であってはんだ槽5に貯留される溶融はんだ9の液面より上方側に、はんだ排出口40が設けられている。さらに、噴流ノズル2は、ノズル口38の開口面積とはんだ流入口39の開口面積とを同じ程度にすることが好ましい。噴流ノズル2は、かかる構成のノズル体35とはんだ排出部材36とから構成されていることにより、はんだ排出部材36の内部から外部へ圧力がかかるようにして、ノズル口38から噴流した溶融はんだがはんだ流入口39に流れるようにすることで、溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出さないようにする。
【0035】
つまり、はんだ排出部材36では、はんだ流入口39に流入した溶融はんだが、流通路37を通ってはんだ排出口40から排出されてはんだ槽5内に戻る。噴流ノズル2では、流通路37を通して溶融はんだ9の流れを造り、ノズル体35の外側に広がらない噴流はんだを形成することで、図2に示すように、ノズル口38から湧き上がるように安定した半球状(楕円状)の噴流はんだ9Aを形成することができる。噴流はんだ9Aは、片寄った噴流形状とはならず、噴流ノズル2の外側に溢れ出さない安定した噴流はんだとして使用できるため、回路基板3にスポットはんだ付け処理を施すことが可能となる。
【0036】
また、図1、図3及び図4に示すように、噴流ノズル2には、はんだ排出口40から排出された溶融はんだが、はんだ槽5内に戻る際に飛散するのを防止するためのはんだ排出板42と、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整するためのはんだ量調整機構43とが設けられている。
【0037】
はんだ排出板42は、はんだ排出口40と溶融はんだ9の液面との間に、ノズル体35の外形形状に沿って曲線形状となるように形成されている。はんだ排出板42としては、溶融はんだに対する耐熱性を有し、はんだ濡れ性の低い材質が好ましく、例えば、セラミックスを用いることができる。また、溶融はんだとして鉛フリーはんだを用いる場合には高い温度領域での使用となるため、はんだ排出板42としては、ステンレス鋼の表面に窒化処理を施して硬化層を形成したものや、ステンレス鋼の表面にセラミック皮膜を形成したものが好ましい。窒化処理としては、例えば、真空窒化処理方法の一種であるカナック処理が用いられる。
【0038】
はんだ噴流装置1では、はんだ排出板42を介してはんだ排出口40から排出された溶融はんだをはんだ槽5内に戻すことにより、溶融はんだがはんだ槽内5に戻る際の衝撃を少なくして、溶融はんだの飛散を少なくすることができる。なお、はんだ排出板42は、上述したようなノズル体35の外形形状に沿って曲線形状のものに限定されず、はんだ排出口40から排出された溶融はんだが、はんだ槽5内に戻る際の衝撃を少なくして飛散を防止できる形状であれば他の形状を適用してもよい。
【0039】
はんだ噴流装置1では、噴流ノズル2のノズル口38とはんだ流入口39との間の長さ、ノズル口38及びはんだ流入口39の内径、はんだ供給部10で生成する噴流圧力等を変更することで、噴流はんだ9Aの噴流形状を変更することができる。また、はんだ噴流装置1では、はんだ供給部10で生成する噴流圧力を変更することで、ノズル口38から噴流する溶融はんだ量を調整することができる。しかし、はんだ噴流装置1では、ノズル口38が小さな噴流ノズル2を用いるため、上述したようにノズル口38の内側で噴流はんだ9Aの噴流形状が安定した半球状となるように噴流圧力等を調整するのは難しい。そこで、はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43を設けることにより、噴流はんだ9Aの噴流形状を調整する。
【0040】
図4に示すように、はんだ量調整機構43は、はんだ排出量調整板44と調整板取付部45とから構成されている。はんだ量調整機構43では、調整板取付部45を緩めることによってはんだ排出量調整板44を垂直方向に移動させてはんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整可能とする。はんだ量調整機構43では、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38からはんだ流入口39に流入する溶融はんだ量を調整し、安定した半球状の噴流はんだ9Aをノズル口38から噴流することを可能とする。また、はんだ量調整機構43は、はんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38から噴流した溶融はんだがノズル口38の外側に溢れ出てしまうのを防止する。はんだ量調整機構43では、溶融はんだがノズル口38の外側に溢れ出ないようにすることで、ノズル口38の外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することを可能とする。なお、はんだ量調整機構43は、上述したはんだ排出量調整板44と調整板取付部45とによって構成されるものに限定されず、はんだ排出口40から排出される溶融はんだの量を調整できるものであれば他の構成を適用してもよい。
【0041】
また、図1に示すように、はんだ噴流装置1には、ノズル加熱部47が設けられている。はんだ噴流装置1では、ノズル加熱部47から加熱した窒素ガスによって噴流ノズル2を加熱するとともにノズル口38の周囲を窒素ガス雰囲気として、溶融はんだ9の酸化を抑制する。ノズル加熱部47は、図1に示すように、フード体48とノズルヒータ49と窒素ガス供給部50とから構成されている。
【0042】
ノズル加熱部47は、図1に示すように、フード体48とノズルヒータ49とをユニットとして、カバー部材13の開口部13Aに組み付けられている。フード体48は、噴流ノズル2のノズル体35の外側の上方部位を取り囲むようにして略ハの字状に形成され、カバー部材13の開口部13Aに取り付けられている。ノズルヒータ49は、噴流ノズル2の上方部位を取り囲む内部空間を有する略筒状のケース内にヒータを収納して構成され、カバー部材13の下方に位置してシャーシ6に取り付けられている。また、ノズルヒータ49には、詳細を省略するが内周壁部に多数個のガス吹出し口が形成されている。
【0043】
ノズル加熱部47は、フード体48とノズルヒータ49のケースとシャーシ6とにより、噴流ノズル2を取り囲む空間部51を構成する。ノズル加熱部47は、ノズルヒータ49のケース内に窒素ガス供給部50から窒素ガスを供給し、ノズルヒータ49のケース内でヒータにより加熱された窒素ガスをガス吹出し口から空間部51に吹き出す。そして、ノズル加熱部47においては、空間部51内に吹き出した窒素ガスをフード体48によって噴流ノズル2のノズル口38の周囲に導出させる。
【0044】
ノズル加熱部47では、ノズル口38の周囲に導出させた窒素ガスによって、ノズル口38の周囲を加熱状態の窒素ガス雰囲気とし、外気の影響によってノズル口38から噴流する噴流はんだ9Aが温度低下してしまうのを抑制する。また、ノズル加熱部47においては、空間部51からノズル口38の周囲に導出させた窒素ガスによってノズル口38から噴流する溶融はんだの表面を覆うことにより、溶融はんだ表面の酸素濃度を下げて溶融はんだ9の酸化を抑制する。なお、上述したフード体48としては、噴流ノズル2を取り囲むように形成してノズル口38の周囲を加熱状態の窒素ガス雰囲気にできるものであれば、他の形状のものを適用してもよい。
【0045】
次に、噴流ノズル2を用いたはんだ噴流装置1における動作について説明する。図1に示すように、はんだ噴流装置1では、モータ26を駆動すると、モータ26の回転が駆動スプロケット27と無端チェーン29と従動スプロケット28とを介して支軸21に伝達されインペラ18が回転する。はんだ噴流装置1では、インペラ18の回転によって、はんだ槽5に貯留される溶融はんだ9がケース17の内部に押し出される。はんだ噴流装置1では、図1及び図2に示すように、ケース17内部に押し出された溶融はんだ9が、取付管部材22を介して噴流ノズル2内に流入し、流通路33を通ってノズル口38から噴出する。はんだ噴流装置1では、ノズル口38から噴流した溶融はんだ9が、ノズル体35の外側に溢れ出さずに、はんだ流入口39から流通路37に流入して噴流はんだ9Aを形成する。そして、流通路37に流入した溶融はんだ9は、はんだ排出口40から排出され、はんだ排出板42に導かれてはんだ槽5内に戻る。
【0046】
はんだ噴流装置1では、図2に示すように噴流ノズル2のノズル口38から噴流した溶融はんだ9をはんだ流入口39を介して流通路37に流入させることで、ノズル体35の内側に噴流はんだ9Aを形成する。すなわち、はんだ噴流装置1では、噴流ノズル2のはんだ排出部材36の内部に形成された流通路37を通して溶融はんだ9の流れを造ることで、ノズル体35の外側に広がらないスポット的な噴流はんだ9Aを形成する。はんだ噴流装置1では、噴流はんだ9Aを形成することで、回路基板3の狭い範囲の目的部位だけをはんだ付けすることが可能となる。また、はんだ噴流装置1では、回路基板3の不要部分にはんだ付けがされないようにすることで、はんだ付け不良が発生してしまうのを防止して、品質を向上させることが可能となる。例えば、はんだ噴流装置1では、図2に示す回路基板3の端子16A以外の部品、すなわち、ランド15Aにはんだ付け処理がされるのを防止できるため、端子16Aに対してスポットはんだ付け処理を行うことが可能となる。また、はんだ噴流装置1では、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなく溶融はんだを狭い範囲に噴流させることができるため、処理工数を削減することが可能となる。
【0047】
はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43によってはんだ排出口40から排出する溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38からはんだ流入口39に流入する溶融はんだ量を調整し、ノズル口38から安定した半球状の噴流はんだ9Aを形成できる。また、はんだ噴流装置1では、はんだ量調整機構43によりはんだ排出口40から排出される溶融はんだ量を調整することで、ノズル口38から噴流した溶融はんだがノズル体35の外側に溢れ出てしまうのを防止できる。はんだ噴流装置1では、溶融はんだが噴流ノズル2の外側に溢れ出してしまう場合と比較して、外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる。
【0048】
次に、噴流ノズル2の変形例について説明する。図5に示すように、噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通して中空円筒状に形成されたノズル体35と、ノズル体35の内部に設けられたはんだ排出部材36とから構成されていてもよい。また、図6に示すように、噴流ノズル2は、内部に長さ方向に貫通して中空矩形筒状に形成されたノズル体35と、ノズル体35の内部に設けられたはんだ排出部材36とから構成されていてもよい。図5に示すような中空円筒状の噴流ノズル2を用いた場合には、ノズル体35及びはんだ排出部材36の内部において溶融はんだを効率よく通過させることができる。
【0049】
<第2の実施形態>
図7〜図10を参照しながら、第2の実施形態に係る噴流ノズル2Aについて説明する。噴流ノズル2Aにおいて、噴流ノズル2と同一の構成については同一の符号を付してその詳細な説明については省略する。噴流ノズル2Aは、ノズル体35の内部に流通路が複数設けられている点、及び、後に詳述するはね防止板が設けられている点で噴流ノズル2と異なる。噴流ノズル2Aにおいては、ノズル体35の内部に流通路を複数設けることにより、ノズル口から噴流する溶融はんだのバランスをとることで、噴流はんだの形状を微調整することが可能となる。
【0050】
図7〜図10に示すように、噴流ノズル2Aを構成するはんだ排出部材36A、36Bは、それぞれノズル体35の内側に全体矩形筒状に形成され、ノズル口38A、38B、38Cの高さよりも下位にはんだ流入口39A、39Bが設けられている。また、図8に示すように、噴流ノズル2Aは、噴流はんだのバランスをとって噴流形状を調整可能とするために、ノズル口38A、38B、38C及びはんだ流入口39A、39Bがそれぞれ略同じ開口面積であって交互の位置となるように、ノズル体35とはんだ排出部材36A、36Bとが組み合わされている。はんだ排出部材36A、36Bには、ノズル体35の側面に貫通したはんだ排出口40A、40Bが設けられている。噴流ノズル2Aには、加工性を考慮して、図7及び図9に示すように、ノズル体35の一側面側に、はんだ排出口40A、40Bが設けられることが好ましい。
【0051】
噴流ノズル2Aには、図10に示すように、はんだ排出口40A、40Bから排出される溶融はんだ量を調整するためのはんだ量調整機構43が設けられている。噴流ノズル2Aは、はんだ量調整機構43によってはんだ排出口40A、40Bから排出される溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38A、38B、38Cから噴流する溶融はんだの流量の調整が可能となる。噴流ノズル2Aでは、はんだ量調整機構43によってノズル口38A、38B、38Cから噴流する溶融はんだの流量のバランスをとることで噴流はんだの形状を微調整し、安定した半球状の噴流はんだを形成することが可能となる。
【0052】
また、図10に示すように、噴流ノズル2Aには、はんだ排出口40から排出した溶融はんだが不要な部品に付着するのを防止するために、はね防止板55が設けられる。はね防止板55は、はんだ排出口40に対向する位置に設けられ、はね防止板取付部56に取り付けられている。噴流はんだ装置1では、はね防止板55によって、はんだ排出口40から排出した溶融はんだが不要な部品に付着するのを防止することではんだ付け不良を防止し、信頼性を向上することが可能となる。また、噴流はんだ装置1では、はね防止板55を設けることにより、はんだ排出口40から排出した溶融はんだを大気と触れにくくして、溶融はんだから酸化物が発生してしまうのを抑制できる。
【0053】
次に、噴流ノズル2Aにおける噴流動作について説明する。図9に示すように、噴流ノズル2Aでは、流通路33から整流板60を通ってノズル口38Aから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Aに流入し、流通路37Aを通ってはんだ排出口40Aから排出されてはんだ槽5内に戻る。また、噴流ノズル2Aでは、ノズル口38Bから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Bに流入し、流通路37Bを通ってはんだ排出口40Bから排出されてはんだ槽5内に戻る。また、噴流ノズル2Aでは、ノズル口38Cから噴流した溶融はんだが、はんだ流入口39Bに流入し、流通路37Bを介してはんだ排出口40Bから排出される。はんだ排出口40A、40Bから排出された溶融はんだは、図7及び図10に示すように、はんだ排出板42を介してはんだ槽5内に戻される。
【0054】
以上説明したように、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1は、上述したようにノズル体35の内側に複数のはんだ排出部材36とはんだ量調整機構43とが設けられていることにより、はんだ排出口40A、40Bから排出する溶融はんだの量の調整が可能となる。噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、はんだ排出口40A、40Bから排出する溶融はんだの量を調整することで、ノズル口38A、38B、38Cからの噴流はんだの形状を微調整して安定した半球状の噴流はんだ9Aを形成できる。したがって、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、マスク治具やマスキングテープ等を用いることなくスポットはんだ付けができる。また、噴流ノズル2Aを用いたはんだ噴流装置1では、溶融はんだを噴流ノズル2Aの内側に噴流させて溶融はんだが噴流ノズル2Aの外側に溢れ出ないようにすることで、噴流ノズル2Aの外側に溢れ出した溶融はんだの温度低下によるはんだブリッジ等の発生を防止できるため、信頼性を向上することが可能となる
【符号の説明】
【0055】
1 はんだ装置、2 噴流ノズル、3 回路基板、5 はんだ槽、9 溶融はんだ、9A 噴流はんだ、10 はんだ供給部、11 はんだ流生成駆動部、20 はんだ供給口、35 ノズル体、36 はんだ排出部材、37 流通路、38 ノズル口、39 はんだ流入口、40 はんだ排出口、42 はんだ排出板、43 はんだ量調整機構、44 はんだ排出量調整板、45 調整板取付部、47 ノズル加熱部、48 フード体、49 ノズルヒータ、50 窒素ガス供給部、51 空間部、55 はね防止板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、はんだ槽のはんだ供給部に接続され、他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、
上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成され、
上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する噴流ノズル。
【請求項2】
上記はんだ排出口に、該はんだ排出口から排出される溶融はんだ量を調整するはんだ量調整機構が設けられた請求項1記載の噴流ノズル。
【請求項3】
上記はんだ排出口と上記溶融はんだの液面との間に、上記ノズル体の外形形状と上記溶融はんだの液面とに沿って、曲線形状のはんだ排出板が設けられており、該はんだ排出板を介して上記はんだ排出口から排出された溶融はんだを上記はんだ槽内に戻す請求項1又は2記載の噴流ノズル。
【請求項4】
上記はんだ排出部材が複数設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の噴流ノズル。
【請求項5】
上記ノズル体の一端側が、上記はんだ供給部に接続固定される固定部を構成し、該固定部が上記はんだ供給部に対して着脱される請求項1記載の噴流ノズル。
【請求項6】
溶融はんだを貯留するはんだ槽と、
内部に長さ方向に貫通して上記はんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、上記はんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルと、
上記はんだ槽内の溶融はんだに噴流圧を付与することで上記第1の流通路に溶融はんだを供給するはんだ供給部とを備え、
上記噴流ノズルは、上記はんだ供給部から供給された溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流するはんだ噴流装置。
【請求項7】
上記溶融はんだの液面を覆うように上記はんだ槽に組み合わされ、上記噴流ノズルを外方に臨ませるフード体が一体に形成されたカバー部材と、
上記溶融はんだの液面と上記カバー部材との間に形成されている空間部に窒素ガスを供給する窒素ガス供給部とを備え、
上記カバー部材によって、上記窒素ガス供給部から上記空間部に供給された窒素ガスを上記ノズル口の周囲に導出させることにより、上記噴流ノズルは、上記ノズル口から上記溶融はんだを窒素ガス雰囲気で噴流する請求項6記載のはんだ噴流装置。
【請求項8】
上記噴流ノズルの周囲に設けられており、上記窒素ガス供給部から供給された窒素ガスを加熱する加熱部をさらに備える請求項7記載のはんだ噴流装置。
【請求項9】
内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部がはんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルを用いた噴流はんだの形成方法であって、
上記噴流ノズルは、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入させることで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する噴流はんだの形成方法。
【請求項1】
内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、はんだ槽のはんだ供給部に接続され、他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、
上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成され、
上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する噴流ノズル。
【請求項2】
上記はんだ排出口に、該はんだ排出口から排出される溶融はんだ量を調整するはんだ量調整機構が設けられた請求項1記載の噴流ノズル。
【請求項3】
上記はんだ排出口と上記溶融はんだの液面との間に、上記ノズル体の外形形状と上記溶融はんだの液面とに沿って、曲線形状のはんだ排出板が設けられており、該はんだ排出板を介して上記はんだ排出口から排出された溶融はんだを上記はんだ槽内に戻す請求項1又は2記載の噴流ノズル。
【請求項4】
上記はんだ排出部材が複数設けられている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の噴流ノズル。
【請求項5】
上記ノズル体の一端側が、上記はんだ供給部に接続固定される固定部を構成し、該固定部が上記はんだ供給部に対して着脱される請求項1記載の噴流ノズル。
【請求項6】
溶融はんだを貯留するはんだ槽と、
内部に長さ方向に貫通して上記はんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部が、上記はんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルと、
上記はんだ槽内の溶融はんだに噴流圧を付与することで上記第1の流通路に溶融はんだを供給するはんだ供給部とを備え、
上記噴流ノズルは、上記はんだ供給部から供給された溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入することで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流するはんだ噴流装置。
【請求項7】
上記溶融はんだの液面を覆うように上記はんだ槽に組み合わされ、上記噴流ノズルを外方に臨ませるフード体が一体に形成されたカバー部材と、
上記溶融はんだの液面と上記カバー部材との間に形成されている空間部に窒素ガスを供給する窒素ガス供給部とを備え、
上記カバー部材によって、上記窒素ガス供給部から上記空間部に供給された窒素ガスを上記ノズル口の周囲に導出させることにより、上記噴流ノズルは、上記ノズル口から上記溶融はんだを窒素ガス雰囲気で噴流する請求項6記載のはんだ噴流装置。
【請求項8】
上記噴流ノズルの周囲に設けられており、上記窒素ガス供給部から供給された窒素ガスを加熱する加熱部をさらに備える請求項7記載のはんだ噴流装置。
【請求項9】
内部に長さ方向に貫通してはんだ槽内から供給される溶融はんだを流通させる第1の流通路を形成した全体筒状であり、一端部がはんだ槽のはんだ供給部に接続され他端部に上記溶融はんだを噴流させるノズル口が設けられたノズル体と、上記ノズル体の内側に、上記ノズル体よりも小径であって上記ノズル口の高さよりも下位に上記ノズル口から噴流した溶融はんだが流入するはんだ流入口が設けられているとともに、上記はんだ流入口に流入した溶融はんだを上記ノズル体の側面に設けられたはんだ排出口に流通させる第2の流通路を形成するはんだ排出部材とから構成された噴流ノズルを用いた噴流はんだの形成方法であって、
上記噴流ノズルは、上記はんだ槽内で生成した噴射圧により、上記ノズル口から噴流した溶融はんだを上記はんだ流入口を介して上記第2の流通路に流入させることで、上記ノズル口の内側に上記溶融はんだを噴流する噴流はんだの形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−35044(P2011−35044A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177664(P2009−177664)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(392002929)株式会社弘輝テック (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(392002929)株式会社弘輝テック (8)
【Fターム(参考)】
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