説明

噴流浴システム

【課題】浴槽の外側の限られた空間においても、浴槽水を吸込口からポンプへ供給する配管を容易に接続できる噴流浴システムを提供する。
【解決手段】洗い場51と、前記洗い場から見て奥側の長辺側壁2cにおいて貯留した前記浴槽水を吸い込む吸込口5を有する浴槽1と、前記浴槽の外側であって前記洗い場から見て奥側に設けられ、前記吸込口から浴槽水を吸入し加圧して吐出するポンプと、前記長辺側壁とは異なる少なくともいずれかの側壁2a、2bに設けられ、前記ポンプから吐出された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出可能なノズル12、16と、前記吸込口に接続され、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部を通過し、上流配管部6と、下流配管部8とを備え、前記上流配管部の端部と前記下流配管部の端部とは、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側において接続された噴流浴システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴槽内に噴流を噴出させる構成を有する噴流浴システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽水を循環させるなどして浴槽内に噴流を噴出させ、その噴流を使用者の人体表面に当てることによりマッサージ効果を与える浴槽噴出装置がある(特許文献1)。また、浴槽水を循環させて、その浴槽水の浄化や保温を行う浴槽用循環装置がある(特許文献2)。特許文献1および2に記載された装置のように、浴槽水を循環させる装置は、一般的に、浴槽水を吸い込む吸込口と、浴槽水を循環させるポンプと、吸込口とポンプとを接続する配管と、を備えている。
【0003】
ポンプは、一般的に、作業者などがポンプのメンテナンスを容易に行えるように、短辺側浴槽壁の外側であって浴室の洗い場側に配設されている。これに伴い、吸込口とポンプとを接続する配管は、短辺側浴槽壁の外側であって、洗い場側から見た場合にポンプよりも奥側に配設されている。
【0004】
しかしながら、このようなポンプおよび配管の設置形態では、配管の取付作業は困難になるという問題がある。これは、浴槽の外側であって、浴槽と、保温パンや床パンなどと呼ばれる浴槽の周囲に設けられた部材あるいは浴室の壁面と、の間の限られた空間における作業にとって、洗い場側に配設されたポンプが邪魔になるためである。また、ポンプの方が洗い場側に配設されているため、配管の取付位置が見えにくいこともその理由の1つである。
【0005】
また、浴室の外部から導かれた給水用や給湯用の給水配管、あるいは給湯器に接続された保温用や加熱用の循環配管などが、短辺側浴槽壁の外側であって浴室の洗い場側に配設されている場合には、ポンプは洗い場側から見た場合に給水配管や循環配管よりも奥側に配設される。このように、ポンプが洗い場側から見た場合に奥側に配設されると、吸込口とポンプとを接続する配管はさらに奥側に配設されるため、その配管の取付作業は困難になるという問題がある。
【特許文献1】特開平8−164081号公報
【特許文献2】特開平10−263327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、浴槽の外側の限られた空間においても、浴槽水を吸込口からポンプへ供給する配管を容易に接続できる噴流浴システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、洗い場と、前記洗い場に隣接して配置され、浴槽水を貯留可能であると共に、前記洗い場から見て奥側の長辺側壁において貯留した前記浴槽水を吸い込む吸込口を有する浴槽と、前記浴槽の外側であって前記洗い場から見て奥側に設けられ、前記吸込口から浴槽水を吸入し加圧して吐出するポンプと、前記長辺側壁とは異なる少なくともいずれかの側壁に設けられ、前記ポンプから吐出された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出可能なノズルと、前記吸込口に接続され、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部を通過し、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した上流配管部と、前記ポンプに接続され、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した下流配管部と、を備え、前記上流配管部の端部と前記下流配管部の端部とは、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側において接続されたことを特徴とする噴流浴システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、浴槽の外側の限られた空間においても、浴槽水を吸込口からポンプへ供給する配管を容易に接続できる噴流浴システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、洗い場と、前記洗い場に隣接して配置され、浴槽水を貯留可能であると共に、前記洗い場から見て奥側の長辺側壁において貯留した前記浴槽水を吸い込む吸込口を有する浴槽と、前記浴槽の外側であって前記洗い場から見て奥側に設けられ、前記吸込口から浴槽水を吸入し加圧して吐出するポンプと、前記長辺側壁とは異なる少なくともいずれかの側壁に設けられ、前記ポンプから吐出された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出可能なノズルと、前記吸込口に接続され、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部を通過し、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した上流配管部と、前記ポンプに接続され、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した下流配管部と、を備え、前記上流配管部の端部と前記下流配管部の端部とは、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側において接続されたことを特徴とする噴流浴システムである。
この噴流浴システムによれば、上流配管部の端部と下流配管部の端部とは、洗い場から見てポンプよりも手前側において接続されているため、浴槽の外側の限られた空間においても、上流配管部と下流配管部とを容易に接続できる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記下流配管部に予め接続された接続部をさらに備え、前記上流配管部と前記下流配管部とは、前記接続部を介して接続されたことを特徴とする噴流浴システムである。
この噴流浴システムによれば、接続部が洗い場から見てポンプよりも手前側にあるため、上流配管部と下流配管部とを接続部を介して容易に接続できる。また、接続部が例えばゴムなどの弾力性を有する材料である場合には、上流配管部や下流配管部などの位置誤差に対して柔軟に対応できるため、取付作業性を向上することができる。
【0011】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記接続部は、前記上流配管部および前記下流配管部の少なくともいずれかに対して着脱可能に接続されたことを特徴とする噴流浴システムである。
この噴流浴システムによれば、上流配管部および下流配管部の少なくともいずれかから接続部を外すことにより、ポンプのメンテナンスや、上流配管部、接続部、および下流配管部のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0012】
また、第4の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記ポンプは、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部に設けられたことを特徴とする噴流浴システムである。
この噴流浴システムによれば、上流配管部と接続部との接続作業、または上流配管部と下流配管部との接続作業において、ポンプが邪魔になるおそれは少ない。また、ポンプによってその接続箇所の視界が遮られるおそれもない。そのため、浴槽の外側の限られた空間においても、上流配管部と下流配管部とを容易に接続できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる噴流浴システムの構成を表す概略図である。
また、図2は、本実施形態にかかる噴流浴システムを平面方向から見た模式図である。
【0014】
本実施形態に係る噴流浴システムは、主として、浴槽1と、浴槽1内の浴槽水を吸入しノズル12、16から再び浴槽水中に噴出させるための噴流噴出部と、を備える。また、ノズル12、16から噴出される噴流に気泡を混入可能にするエア供給部を備えてもよい。
【0015】
浴槽1は、浴槽水を貯留可能であると共に、貯留された浴槽水を吸い込むための吸込口5を有する。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。吸込口5は、浴槽1における長辺側浴槽壁2cに形成され、上流配管部6と接続部7と下流配管部8とを介してポンプ9の吸入口に接続されている。なお、上流配管部6と下流配管部8とは、接続部7を介することなく直接接続されていてもよい。ポンプ9が駆動されると、浴槽1内に貯留された浴槽水は吸込口5から上流配管部6へと吸い込まれる。
【0016】
対向する一対の長辺側浴槽壁と、対向する一対の短辺側浴槽壁と、を有する通常の浴槽を考えた場合、一般に、入浴者は、一対の短辺側浴槽壁の一方に背をもたれかけて他方の短辺側浴槽壁に足を向けた姿勢で入浴するため、吸込口5を短辺側浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸込口5がふさがれポンプ9に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸込口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺側浴槽壁に形成するのが望ましい。さらに、吸込口5は、例えば髪の毛などによって閉塞された場合を確認しやすいように、浴室の洗い場51側から見やすい位置に形成するのが望ましい。そこで、本実施形態の吸込口5は、洗い場51から見て奥側の長辺側浴槽壁2cに形成されている。
【0017】
ポンプ9の吐出口には吐出管路部10が接続され、その吐出管路部10には、切替弁としての三方弁45を介して2系統の噴流供給系統が接続されている。これら2系統の噴流供給系統は吐出管路部10に対して2つに分岐して設けられ、各系統は他の系統とはつながっておらずそれぞれ独立して噴流噴出動作を行うことができる。
【0018】
第1の噴流供給系統は、三方弁45を介して吐出管路部10に接続された第1のブロー配管部11と、ポンプ9から吐出されて吐出管路部10及び第1のブロー配管部11に導かれた加圧浴槽水を浴槽1の内部に噴出可能な第1のノズル12と、を有する。第1のブロー配管部11は、その下流側が2つに分岐しており、その分岐先にそれぞれ第1のノズル12が接続されている。
【0019】
第2の噴流供給系統は、三方弁45を介して吐出管路部10に接続された第2のブロー配管部15と、ポンプ9から吐出されて吐出管路部10及び第2のブロー配管部15に導かれた加圧浴槽水を浴槽1の内部に噴出可能な第2のノズル16と、を有する。第2のブロー配管部15は、その下流側が2つに分岐しており、その分岐先にそれぞれ第2のノズル16が接続されている。
【0020】
なお、各系統が有するノズルは1つでもよく、その場合各ブロー配管部11、15は先を分岐させる必要はない。あるいは、各系統は3つ以上のノズルをそれぞれ有していてもよい。本実施形態では、例えば2つの第1のノズル12が一方の短辺側浴槽壁2aに取り付けられ、その短辺側浴槽壁2aに対向する他方の短辺側浴槽壁2bには例えば2つの第2のノズル16が取り付けられている。
【0021】
ポンプ9および三方弁45は、使用者による操作部22の操作を受けて、制御部21からの信号に基づいて制御される。使用者の操作による制御信号に基づいて第1のノズル12から噴流を噴出させるときには、三方弁45は、ポンプ9の吐出口に接続された吐出管路部10と、第1のノズル12に接続された第1のブロー配管部11と、を連通させ、第2のノズル16に接続された第2のブロー配管部15と、吐出管路部10と、を遮断する「第1の位置」に切り替わる。そして、吸込口5から吸い込まれポンプ9により加圧された加圧浴槽水は、第1のブロー配管部11を導かれて、第1のノズル12から浴槽水中に噴出される。
【0022】
一方、使用者の操作による制御信号に基づいて第2のノズル16から噴流を噴出させるときには、三方弁45は、吐出管路部10と、第2のノズル16に接続された第2のブロー配管部15と、を連通させ、第1のノズル12に接続された第1のブロー配管部11と、吐出管路部10と、を遮断する「第2の位置」に切り替わる。そして、吸込口5から吸い込まれポンプ9により加圧された加圧浴槽水は、第2のブロー配管部15を導かれて、第2のノズル16から浴槽水中に噴出される。
【0023】
すなわち、ポンプ9の駆動時、第1のノズル12を有する第1の噴流供給系統と、第2のノズル16を有する第2の噴流供給系統と、は同時にはポンプ9の吐出側に連通せず、いずれか1つの系統のみがポンプ9の吐出側に連通して、第1のノズル12と第2のノズル16とのいずれか一方のみから噴流が噴出される。
【0024】
前述したように、本実施形態にかかる噴流浴システムは、ノズル12、16から噴出される噴流に気泡を混入可能にするエア供給部を備えてもよい。そこで次に、エア供給部について、図面を参照しつつ説明する。
浴槽1の内槽の上縁部の周囲に設けられた浴槽リム3において、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aと、の角部近傍にエア取り込み口41が形成されている。
【0025】
エア取り込み口41には第1のエア配管部32が接続され、その第1のエア配管部32にはエア流路を開閉する開閉弁42を介して、第2のエア配管部35が接続されている。さらに、第2のエア配管部35には、逆止弁43を介して第3のエア配管部37が接続されている。第3のエア配管部37は下流側において2つに分岐され、2つの第2のブロー配管部15のそれぞれに接続されている。
【0026】
逆止弁43は、第2のノズル16から第3のエア配管部37を介して、上流側の第2のエア配管部35へ湯水が侵入することを防止する。そのため、逆止弁43よりも上流側の第2のエア配管部35内には、垢などの汚れが付着堆積しにくい。なお、第3のエア配管部37は、2つの第2のノズル16のそれぞれに接続されていてもよい。また、図2に表したように、開閉弁42と逆止弁43とは一体型として設けられてもよい。
【0027】
開閉弁42は、使用者による操作部22の操作を受けて、制御部21からの信号に基づいて制御される。そして、その制御信号に基づいて開閉弁42を開くことで、浴槽リム3に設けたエア取り込み口41と、第1のエア配管部32と、第2のエア配管部35と、第3のエア配管部37と、を介して第2のブロー配管部15または第2のノズル16内に大気中のエアを混入させ、気泡入り噴流を噴出させることができる。これによれば、第2のノズル16が取り付けられた短辺側浴槽壁2bに体の前面側を向け、反対側の短辺側浴槽壁2aに背をもたれかけた入浴者に対して流量の多いパワフルな噴流が噴出され、入浴者の例えば下肢などを局所的に刺激できる。
【0028】
一方、使用者の操作による制御信号に基づいて、開閉弁42を閉じることもできる。その結果、第2のブロー配管部15または第2のノズル16内へのエアの供給は遮断され、第2のノズル16からは気泡なしの噴流が噴出される。これによれば、第2のノズル16が取り付けられた短辺側浴槽壁2bに体の前面側を向け、反対側の短辺側浴槽壁2aに背をもたれかけた入浴者は、水の流れでやさしく体を包まれる感じを体感でき、心をリラックスできる。
【0029】
エア取り込み口41には第4のエア配管部38がさらに接続され、その第4のエア配管部の一端(下流端)は吸込口5に接続されている。また、第4のエア配管部38は、エア取り込み口41を介して大気に連通している。例えば、吸込口5が入浴者の体の一部や髪の毛などによって閉塞され、吸込口5の内部の負圧が高まると、エジェクター効果によりその内部にエア取り込み口41および第4のエア配管部38を介してエアが取り込まれる。その結果、ポンプ9はそのエアを吸い込むことで能力が低下または停止する。これにより、浴槽水が吸い込まれない状況でのポンプ9の無駄な駆動を回避でき、また、吸込口5における吸引力が弱まり、入浴者の体の一部や髪の毛などをその吸込口5から容易に離すことができる。
【0030】
次に、上流配管部6と下流配管部8とが接続された短辺側浴槽壁2aの外側の構造について、図面を参照しつつさらに詳細に説明する。
図3は、短辺側浴槽壁2aの外側を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【0031】
浴槽リム3の下側の浴槽壁2a、2b、2cの周囲には、浴槽1内の浴槽水が冷めることを抑制できる保温パン55が設けられている。本実施形態の上流配管部6の少なくとも一部と、接続部7と、下流配管部8と、ポンプ9と、は短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴槽1と保温パン55との間の空間内に設けられている。
【0032】
ポンプ9は、図3に表したように、短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴室の洗い場51(図2参照)側から見て奥側に設けられている。より具体的には、ポンプ9は、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aと、の角部に設けられている。
【0033】
上流配管部6は、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aと、の角部を通過し、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部6bが位置するように延在している。下流配管部8は、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部8bが位置するように延在している。そして、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されている。
【0034】
接続部7の材料は特に限定されるわけではないが、配管の取付作業性や配管の位置誤差に対する柔軟性などを考慮すると、例えばゴムなどの弾力性を有する材料であることが好ましい。一方、上流配管部6と下流配管部8とは、接続部7のようには弾力性を有していなくともよい。
【0035】
本実施形態にかかる噴流浴システムを浴室に設置する場合には、まず保温パン55を設置する。保温パン55には、後に詳述するように、予めポンプ9が適宜固定されている。そして、ポンプ9には予め下流配管部8が接続され、ポンプ9との接続箇所とは反対側の下流配管部8の端部8bには接続部7が予め接続されている。
【0036】
その後、浴槽1を保温パン55の内部に設置する。浴槽1には予め吸込口5が形成されており、その吸込口5には上流配管部6が予め接続されている。そして、浴槽1を保温パン55の内部に設置した後に、短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴槽1と保温パン55との間の空間内に洗い場51側から手を入れて、上流配管部6と接続部7とを接続する。なお、図1および図2に関して前述したように、接続部7を介することなく上流配管部6と下流配管部8とを直接接続してもよい。
【0037】
ここで、浴槽噴出装置や浴槽用循環装置などのポンプを備えた装置では、作業者などがポンプのメンテナンスを容易に行えるように、短辺側浴槽壁2aの外側であって浴室の洗い場51側にポンプ9が配設される場合がある。しかしながら、ポンプ9が洗い場51側に設けられた場合には、上流配管部6と接続部7と下流配管部8とは、短辺側浴槽壁2aの外側であって、洗い場51側から見た場合にポンプ9よりも奥側に配設される。そのため、上流配管部6と接続部7との接続作業において、ポンプ9が邪魔になるおそれがある。
【0038】
これに対して、本実施形態にかかる噴流浴システムによれば、ポンプ9は短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴室の洗い場51側から見て奥側に設けられているため、上流配管部6と接続部7との接続作業において、ポンプ9が邪魔になるおそれは少ない。また、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されるため、ポンプ9によってその接続箇所の視界が遮られるおそれもない。そのため、浴槽1と保温パン55の間の限られた空間においても、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して容易に接続できる。
【0039】
一方、接続部7は上流配管部6および下流配管部8の少なくともいずれかに対して着脱可能に接続されている。そのため、上流配管部6および下流配管部8の少なくともいずれかから接続部7を外すことにより、ポンプ9のメンテナンスや、上流配管部6、接続部7、および下流配管部8のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0040】
また、短辺側浴槽壁2aの外側の洗い場51側には、浴室の外部から導かれた給水用や給湯用の給水配管、あるいは給湯器に接続された保温用や加熱用の循環配管などが配設されることがある。この場合であっても、本実施形態にかかる噴流浴システムによれば、ポンプ9は、短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴室の洗い場51側から見て奥側に設けられているため、ポンプ9と給水配管や循環配管との干渉を回避できる。これにより、ポンプ9の配置位置の自由度を高めることができる。
【0041】
なお、ポンプ9が洗い場51側から見て奥側に設けられた場合に、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとを洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側まで延在させることなく、吸込口5とポンプ9とを接続した場合には、上流配管部6と接続部7との接続作業が困難になるおそれがある。これは、上流配管部6と接続部7とが洗い場51側から見て奥側に配設されるため、作業者の手が届きにくくなるためである。
【0042】
これに対しても、本実施形態にかかる噴流浴システムによれば、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとを洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側まで延在している。そして、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されている。そのため、ポンプ9が洗い場51側から見て奥側に設けられた場合であっても、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して容易に接続できる。その結果、ポンプ9の配置位置の自由度を高めることができる。
【0043】
図4は、上流配管部と接続部と下流配管部とを上方から眺めた断面模式図である。
また、図5は、上流配管部と接続部と下流配管部とを洗い場側から眺めた側面模式図である。
なお、図4における下側は、図2に表した洗い場51側に相当する。
【0044】
図3に関して前述したように、上流配管部6は、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aと、の角部を通過し、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部6bが位置するように延在している。また、下流配管部8は、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部8bが位置するように延在している。そして、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されている。
【0045】
上流配管部6と接続部7とは、上流配管部6を矢印Aに表したように短辺側浴槽壁2aに略並行に移動させ、接続部7を矢印Bに表したように短辺側浴槽壁2aに略並行に移動させることにより接続される。このとき、接続部7に接続される側の上流配管部6の端部6b近傍には、図4に表したように、鍔部6aが設けられている。そのため、作業者はこの鍔部6aを握り、上流配管部6を洗い場51側から見て手前に引くことにより容易に上流配管部6と接続部7とを接続できる。
【0046】
なお、2つの配管を互いに短辺側浴槽壁2aに略直交する方向に移動させて接続する場合には、短辺側浴槽壁2aに略並行に移動させて接続する場合よりも、使用者の手首や腕をより大きく曲げて接続する必要がある。そのため、短辺側浴槽壁2aに略直交する方向に移動させて接続する場合には、短辺側浴槽壁2aに略並行に移動させて接続する場合よりも、作業者は力を入れづらいおそれがある。そのため、図4に表したように、上流配管部6と接続部7とは、互いを短辺側浴槽壁2aに略並行に移動させることにより接続されることがより好ましい。
【0047】
上流配管部6と接続部7とは、図5に表したように、固定部材61によって固定される。固定部材61は、例えば樹脂により形成され、第1の固定部61aと第2の固定部61bを有する。また、第1の固定部61aには固定歯61cが設けられており、第2の固定部61bには固定歯61dが設けられている。作業者は、第1の固定部61aを矢印Cに表したように固定部材61の中央側へ移動させ、第2の固定部61bを矢印Dに表したように固定部材61の中央側へ移動させることにより、上流配管部6と接続部7とを締め付けて固定することができる。なお、接続部7と下流配管部8との固定についても、固定部材61によって固定されている。
【0048】
固定部材61は、樹脂製に限定されず、例えば金属により形成されてもよい。そして、固定部材61は、いわゆる「Cリング」などと呼ばれる金属製の「止め輪」であってもよい。これによっても、上流配管部6と接続部7とを締め付けて固定することができる。但し、浴槽1と保温パン55との間の限られた空間における作業を考慮すると、取り付けるときの力をより必要としない樹脂製の固定部材であることがより好ましい。
【0049】
なお、図4に表した上流配管部6および下流配管部8については、1つの部材より形成されているが、これだけに限定されるわけではない。すなわち、上流配管部6は複数の部材を有し、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cに略並行した部材と、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aに略並行した部材と、その2つの部材同士を角部において接続し略直角形状をした部材と、を有していてもよい。また、下流配管部8は複数の部材を有し、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cに略並行した部材と、接続部7の接続され略直角形状をした部材と、を有していてもよい。
【0050】
図6は、本実施形態にかかる噴流浴システムを短辺側浴槽壁2aの外側から眺めた模式図である。
図1および図2に関して前述したように、ポンプ9の吐出口には吐出管路部10が接続され、その吐出管路部10には、切替弁としての三方弁45が接続されている。三方弁45は、弁部45aとモータ部45bとを有している。そして、モータ部45bは、図6に表したように、洗い場51側から見て弁部45aよりも奥側に配設されている。
【0051】
これにより、上流配管部6と接続部7との接続作業において、ポンプ9が邪魔になるおそれは少ない。また、モータ部45bによって、上流配管部6と接続部7との接続箇所の視界が遮られることもない。そのため、浴槽1と保温パン55の間の限られた空間においても、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して容易に接続できる。
【0052】
図7は、本実施形態にかかる噴流浴システムを長辺側浴槽壁2dの外側から眺めた模式図である。
また、図8は、ポンプの固定部を拡大して眺めた断面模式図である。
【0053】
図1および図2に関して前述したように、ポンプ9は保温パン55に予め固定されている。ポンプ9は、板状の金属から形成された固定脚部9a、9bを有している。固定脚部9a、9bの一端はポンプ9の下部に適宜固定されており、他端は、図8に表したように鉤形状に形成されている。
【0054】
そして、鉤形状に形成された固定脚部9a、9bの他端は、保温パン55に適宜固定されている。固定方法は、例えば接着であってもよいし、ねじなどにより螺合されていてもよい。ポンプ9には予め下流配管部8が接続され、ポンプ9との接続箇所とは反対側の下流配管部8の端部8bには接続部7が予め接続されている。一方、前述したように、浴槽1には予め吸込口5が形成されており、その吸込口5には上流配管部6が予め接続されている。そのため、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して接続することで、吸込口5とポンプ9とを配管を介して接続できる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、ポンプ9は短辺側浴槽壁2aの外側であって、浴室の洗い場51側から見て奥側に設けられている。また、上流配管部6は、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第1のノズル12が設けられた短辺側浴槽壁2aと、の角部を通過し、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部6bが位置するように延在している。一方、下流配管部8は、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部8bが位置するように延在している。そして、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されている。そのため、浴槽1と保温パン55の間の限られた空間においても、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して容易に接続できる。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、噴流浴システムなどが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやポンプ9や各配管部の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0057】
すなわち、ポンプ9は、短辺側浴槽壁2aの外側ではなく、短辺側浴槽壁2bの外側であって、浴室の洗い場51側から見て奥側に設けられていてもよい。そして、上流配管部6は、吸込口5が形成された長辺側浴槽壁2cと、第2のノズル16が設けられた短辺側浴槽壁2bと、の角部を通過し、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部6bが位置するように延在してもよい。これに伴い、下流配管部8は、洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側に端部8bが位置するように延在し、上流配管部6の端部6bと下流配管部8の端部8bとは、短辺側浴槽壁2bの外側であって洗い場51側から見てポンプ9よりも手前側において接続部7を介して接続されていてもよい。これによっても、浴槽1と保温パン55の間の限られた空間において、上流配管部6と下流配管部8とを接続部7を介して容易に接続できる。
【0058】
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態にかかる噴流浴システムの構成を表す概略図である。
【図2】本実施形態にかかる噴流浴システムを平面方向から見た模式図である。
【図3】短辺側浴槽壁2aの外側を斜め上方から眺めた斜視模式図である。
【図4】上流配管部と接続部と下流配管部とを上方から眺めた断面模式図である。
【図5】上流配管部と接続部と下流配管部とを洗い場側から眺めた側面模式図である。
【図6】本実施形態にかかる噴流浴システムを短辺側浴槽壁2aの外側から眺めた模式図である。
【図7】本実施形態にかかる噴流浴システムを長辺側浴槽壁2dの外側から眺めた模式図である。
【図8】ポンプの固定部を拡大して眺めた断面模式図である。
【符号の説明】
【0060】
1 浴槽、 2a、2b 短辺側浴槽壁、 2c、2d 長辺側浴槽壁、 3 浴槽リム、 5 吸込口、 6 上流配管部、 6a 鍔部、 6b 端部、 7 接続部、 8 下流配管部、 8b 端部、 9 ポンプ、 9a、9b 固定脚部、 10 吐出管路部、 11 第1のブロー配管部、 12 第1のノズル、 15 第2のブロー配管部、 16 第2のノズル、 21 制御部、 22 操作部、 32 第1のエア配管部、 35 第2のエア配管部、 37 第3のエア配管部、 38 第4のエア配管部、 41 エア取り込み口、 42 開閉弁、 43 逆止弁、 45 三方弁、 45a 弁部、 45b モータ部、 51 洗い場、 55 保温パン、 61 固定部材、 61a、61b 固定部、 61c、61d 固定歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗い場と、
前記洗い場に隣接して配置され、浴槽水を貯留可能であると共に、前記洗い場から見て奥側の長辺側壁において貯留した前記浴槽水を吸い込む吸込口を有する浴槽と、
前記浴槽の外側であって前記洗い場から見て奥側に設けられ、前記吸込口から浴槽水を吸入し加圧して吐出するポンプと、
前記長辺側壁とは異なる少なくともいずれかの側壁に設けられ、前記ポンプから吐出された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出可能なノズルと、
前記吸込口に接続され、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部を通過し、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した上流配管部と、
前記ポンプに接続され、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側に端部が位置するように延在した下流配管部と、
を備え、
前記上流配管部の端部と前記下流配管部の端部とは、前記洗い場から見て前記ポンプよりも手前側において接続されたことを特徴とする噴流浴システム。
【請求項2】
前記下流配管部に予め接続された接続部をさらに備え、
前記上流配管部と前記下流配管部とは、前記接続部を介して接続されたことを特徴とする請求項1記載の噴流浴システム。
【請求項3】
前記接続部は、前記上流配管部および前記下流配管部の少なくともいずれかに対して着脱可能に接続されたことを特徴とする請求項2記載の噴流浴システム。
【請求項4】
前記ポンプは、前記長辺側壁と前記少なくともいずれかの側壁との角部に設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の噴流浴システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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