噴流浴装置
【課題】回転摺動部分を設けずに、噴出方向を変化させながらの噴流噴出を実現できる噴流浴装置を提供する。
【解決手段】加圧浴槽水を噴出方向を変化させながら浴槽の内部に噴出する噴流ノズルを備え、この噴流ノズルは、加圧浴槽水が導入される流水導入部と、流水導入部より下流側で流水導入部に連通し流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、流路断面収縮部より下流側で流路断面収縮部に連通し流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられチャンバーと連通すると共に浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体とを有する。
【解決手段】加圧浴槽水を噴出方向を変化させながら浴槽の内部に噴出する噴流ノズルを備え、この噴流ノズルは、加圧浴槽水が導入される流水導入部と、流水導入部より下流側で流水導入部に連通し流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、流路断面収縮部より下流側で流路断面収縮部に連通し流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられチャンバーと連通すると共に浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流浴装置に関し、特にノズル中心軸まわりに旋回した噴流を噴出させる噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽内に噴出させるものがあるが、その多くは、まっすぐに噴流を噴出させるものであり、噴流が入浴者の体の一部に局所的にあたり、噴流により受ける刺激が単調で飽きやすく、多様なマッサージ感は得られ難かった。
【0003】
特許文献1には、外形形状が略円形で内部に設けた噴流孔の噴流口が軸芯位置より偏心すると共にユニット噴流口カバー内に回転自在に収容配置されたノズル本体と、バスタブ内の水を所定圧力でノズル本体の噴流孔内に噴射するオリフィスとを備えたノズル装置が開示されている。バスタブ内の水は、オリフィスを介してノズル本体の噴流孔内に所定圧力で噴射され、空気と混合して気泡混合噴流となり、噴流孔の噴流口からバスタブ内にジェット噴流として噴射される。この時、ノズル本体の噴流口が軸芯位置に対して偏心した位置に設けられていることから、オリフィスからの噴流によってノズル本体が回転し、これにより、ジェット噴流の噴射方向が変化する回転噴流が得られる。
【0004】
しかし、特許文献1では、ノズル本体を回転させることで回転噴流を生じさせる構成であるため、そのノズル本体を回転自在に支持するための構造が複雑になり、安価に作製できない。さらには、回転摺動部分の摩耗やゴミ詰まりなどによる回転性能の低下が懸念される。
【特許文献1】特開2001−8998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回転摺動部分を設けずに、噴出方向を変化させながらの噴流噴出を実現できる噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込む吸入口と、前記吸入口に連通した循環路と、前記循環路の途中に設けられ、前記吸入口から吸い込んだ浴槽水を加圧して吐出する加圧装置と、前記循環路を介して前記加圧装置から送られる加圧浴槽水を、噴出方向を変化させながら前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、を備え、前記噴流ノズルは、前記加圧浴槽水が導入される流水導入部と、前記流水導入部より下流側で前記流水導入部に連通し、前記流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、前記流路断面収縮部より下流側で前記流路断面収縮部に連通し、前記流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、前記浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、前記ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられ、前記チャンバーと連通すると共に前記浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、前記噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ、前記噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体と、を有することを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転摺動部分を設けずに、噴出方向を変化させながらの噴流噴出を実現できる噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図3は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を表す模式図である。
図4は、同噴流浴装置において浴槽を側面方向から見た模式図である。
【0010】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁3bに開口された吸入口5と、吸入口5に連通した循環路13、14と、循環路13、14の途中に設けられた加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁4aに対して保持された噴流ノズル11とを備える。
【0011】
浴槽1は、図3に表すように、略平行に相対向する一対の長辺側浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺側浴槽壁4a、4bとを有する。
【0012】
吸入口5は長辺側浴槽壁3bに形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路13へと吸い込まれる。
【0013】
一般に、入浴者は、一方の短辺側浴槽壁(図3に表す具体例では短辺側浴槽壁4a)に背をもたれかけて、他方の短辺側浴槽壁(図3に表す具体例では短辺側浴槽壁4b)に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺側浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺側浴槽壁に形成するのが望ましい。なお、図3に表す具体例では、吸入口5を、長辺側浴槽壁3bに形成したが長辺側浴槽壁3aに形成してもよい。
【0014】
循環路13の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸入口に接続されている。循環路14の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端は噴流ノズル11の流水導入口に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路13内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路14に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、噴流ノズル11の流水導入口に流入する。使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は噴流ノズル11よりも上方に設けることが望ましい。
【0015】
本具体例では、図3に表すように、一方の短辺側浴槽壁4aに、2つの噴流ノズル11を取り付けている。2つの噴流ノズル11は、略同じ高さに所定距離間して設けられている。噴流ノズル11が取り付けられた一方の短辺側浴槽壁4aの反対側の他方の短辺側浴槽壁4bの上方には浴槽側水栓が設けられ、またその他方の短辺側浴槽壁4b近傍の浴槽底部には排水口が設けられる。したがって、通常、入浴者は自然と噴流ノズル11が設けられた側の短辺側浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴する。
【0016】
図1は、噴流ノズル11の模式断面図である。
【0017】
噴流ノズル11は、一端(上流端)に、循環路14と連通される流水導入口21が設けられた筒状のノズル本体40を備える。
【0018】
ノズル本体40において、他端側(下流側)の外周面のまわりには、フランジ状に径方向に出っ張った取付部42が一体に設けられている。その取付部42の一端(下流端)における径内方部分には、段付き孔43が形成されている。段付き孔43における環状の底面44の下流側に形成された環状面45のまわりには、その環状面45から径外方に張り出したフランジ部46が設けられている。
【0019】
ノズル本体40は、フランジ付き取付部材70を介して、短辺側浴槽壁4aに対して保持される。フランジ付き取付部材70は、筒部70bと、この筒部70bの一端に一体に設けられたフランジ部70aとを有する。フランジ付き取付部材70は、その中空孔を、短辺側浴槽壁4aに形成された開口に対向させて短辺側浴槽壁4aの外側に取り付けられる。フランジ付き取付部材70のフランジ部70aと、短辺側浴槽壁4aの外壁面との間にはシールリング71が介在される。
【0020】
ノズル本体40の取付部42の外周面が、フランジ付き取付部材70の筒部70b内周面に螺着されることで、ノズル本体40は短辺側浴槽壁4aに対して保持される。ノズル本体40の取付部42の下流端は、短辺側浴槽壁4aに形成された開口を通じて浴槽内部に臨み、ノズル本体40のフランジ部46が短辺側浴槽壁4aの内壁面に対向している。そのフランジ部46と、短辺側浴槽壁4aの内壁面との間にはシールリング72が介在される。
【0021】
ノズル本体40の段付き孔43には、遮蔽体27及びノズルキャップ60が、ノズル本体40に対して着脱自在に取り付けられる。
【0022】
ノズル本体40の上流端に設けられた流水導入口21は、浴槽1の外部で、循環路14に接続されている。流水導入口21と、ノズルキャップ60の下流端に形成された噴出口26との間のノズル本体40内部には、上流側(流水導入口21側)から順に、流水導入部22、流路断面収縮部23、チャンバー25が設けられている。
【0023】
流水導入部22は、流水導入口21と流路断面収縮部23との間に設けられ、その流路断面は流水導入口21から流路断面収縮部23に向かうにしたがって徐々に狭められている。流路断面収縮部23は、ノズル本体40の軸中心に位置し、流水導入口21及び流水導入部22に対して流路断面が縮小されている。
【0024】
流路断面収縮部23の下流側には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば3倍以上急拡大された)された流路断面急拡大部24を一端部(上流側端部)に有するチャンバー25が設けられている。チャンバー25は、流路断面急拡大部24の内径寸法のまま段付き孔43形成部まで続いている。チャンバー25の内壁面は、ノズル本体40の軸中心Cに対して略平行に延在している。
【0025】
段付き孔43の底部(上流側端部)には、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る遮蔽体27及びその支持体50が設けられている。
【0026】
図2(a)は、遮蔽体27及び支持体50の断面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
【0027】
遮蔽体27は円盤状に形成され、支持体50は遮蔽体27の外周面を囲むようにリング状に形成されている。遮蔽体27は、支持体50の内周壁との間に放射状に設けられた例えば3本の棒状の支持部31を介して支持体50に対して支持されている。3本の支持部31は、遮蔽体27の外周面のまわりに周方向に沿って等間隔で設けられている。
【0028】
支持体50は、その一方の端面を、図1に表すように、段付き孔43の環状の底面44に当接させて段付き孔43に嵌め込まれる。この状態で、遮蔽体27は、その中心をノズル本体40の軸中心Cに一致させてチャンバー25内部に臨む。
【0029】
遮蔽体27は、チャンバー25内流路のすべてを遮蔽しておらず、遮蔽体27とチャンバー25内壁面との間には、チャンバー25から噴出口26への流水の流れを許容する流路25aが確保される。
【0030】
遮蔽体27は、流水導入口21から導入されチャンバー25を経て噴出口26へと流れる加圧浴槽水の圧力(動圧)を受けるため、支持部31が1本だけであると前記圧力に耐え得る十分な強度が得られず遮蔽体27が外れてしまう可能性があり、支持部31が2本だけであると、遮蔽体27表面に作用する前記圧力が軸中心Cに対して非軸対称分布になることにより生じる支持部周りのモーメントの影響を受け、遮蔽体27が回転してしまう可能性がある。したがって、支持部31は、3本以上設けるのが望ましい。
【0031】
段付き孔43において遮蔽体27よりも下流側には、ノズルキャップ60がねじ込まれる。ノズルキャップ60は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部51が一体に設けられている。ノズルキャップ60は、他端(上流端)を遮蔽体27の支持体50の下流側端面に当接させて、外周面が段付き孔43に螺着される。ノズルキャップ60の中空部は、チャンバー25の一部を構成し、遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に設けられ、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ60のフランジ部51は、段付き孔43の下流側に形成された環状面45に当接する。遮蔽体27の支持体50は、段付き孔43の底面44と、ノズルキャップ60との間に挟み込まれることで、遮蔽体27は、チャンバー25内に保持される。噴出口26は浴槽1の内部に臨み、他方の短辺側浴槽壁4bに向いている。噴出口26の内周縁部には、ノズル本体40の軸中心Cに向かうように傾斜した傾斜面28が形成されている。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の作用について説明する。
【0033】
浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、ポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路13内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路14を介して、噴流ノズル11の流水導入口21に導入される。噴流ノズル11内に導入された加圧浴槽水は、以下に説明するように、噴出方向を不規則に変化させた旋回噴流として浴槽1内に噴出される。
【0034】
図5(a)〜(d)は、噴流ノズル11にて旋回噴流が形成される様子を説明するための模式図である。
【0035】
流水導入口21から導入された加圧浴槽水は、流水導入部22、流路断面収縮部23および流路断面急拡大部24を順に経てチャンバー25内に噴流となって流入する。加圧浴槽水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、ノズル本体40内壁面に沿って流れることができなくなり、すなわち流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0036】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の周方向の一部に流れが再付着する。
【0037】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25内壁面に沿い、遮蔽体27の外周面とチャンバー25内壁面との間を噴出口26に向かって流れ、噴出口26の手前(上流側)でノズル本体40の軸中心Cに向かうように傾斜して形成された傾斜面28に沿って軸中心Cに対して傾斜した噴流として噴出口26から浴槽1内に噴出する。
【0038】
以上のようにして、噴流ノズル11内に、主流(図5(a)において太線矢印aで表す)が形成される。
【0039】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されること、さらにチャンバー25内に流路の一部を遮るように遮蔽体27が設けられていることによって、前述した主流の一部は、噴出口26から噴出されず、図5(b)において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0040】
その上流側に戻された流れが、図5(c)に表すように、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、図5(d)に表すように、流路断面急拡大部24付近で中心軸Cまわりに旋回流が形成され、これにより、主流の内壁面に対する再付着位置が周方向で不規則に変化し、噴出口26からは中心軸Cまわりに不規則に旋回した噴流が噴出される。
【0041】
入浴者は、噴流ノズル11から噴出される旋回噴流を、腰、背、肩、手、足等の身体の一部に受けることにより、マッサージ効果を得ることができる。噴流ノズル11から噴出される噴流は、細く強い直線的な噴流ではなく、太くやわらかい旋回噴流であるため、腰を包み込む、背中、腰全体を押すようにもみほぐすなど、局所的に強い刺激感ではなく、広範囲をもみほぐすような手もみに近いマッサージ感を得ることができ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。また、直線的な強い噴流を局所的に受ける場合には、所望の部位にその噴流を受けるべく姿勢を保つために緊張状態になりがちであったが、本実施形態の旋回噴流は広範囲にわたってやわらかい刺激を与えるため、入浴者に緊張を強いることなく、力を抜いたリラックスした状態にさせやすい。
【0042】
本実施形態に係る噴流ノズル11から噴出される噴流は旋回しているので、気泡が混入されなくても、マッサージ感を受けるのに十分な刺激感が得られる。気泡を混入しない分、噴流の噴出音及び気泡混入時の音を低減して、静かな環境でよりリラックスできる。もちろん、本実施形態に係る旋回噴流に気泡を混入してもよく、その場合、気泡を混入しない場合よりも噴流の旋回力が弱まり、よりやわらかな刺激感を受けることが可能である。さらには、気泡混入有無の切り替え、もしくは気泡混入量の調整により多彩な刺激感を実現することが可能である。
【0043】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11は、噴流ノズル11内に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の旋回を励起する構成となっているため、特許文献1のような回転摺動部分が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、回転摺動部分における摩耗やゴミ詰まりなどによる旋回性能低下の心配もない。
【0044】
前述したように、チャンバー25内静圧は、浴槽1内に貯留された浴槽水の静圧より低く、チャンバー25内部では下流側に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されるため、遮蔽体27を設けなくても、主流の一部をチャンバー25上流側に戻す還流を形成することは可能である。ただし、遮蔽体27を設けた方が、逆静圧勾配(流れ方向に対して静圧が上昇)による還流形成に比べ、より安定した(確実性の増した)還流が形成されることから、噴流の旋回が安定する。
【0045】
噴出口26の手前(上流側)に傾斜面28を設けなくても、上述したように主流がチャンバー25内壁の周方向の一部に偏ることから偏向した噴流が実現されるが、傾斜面28を設け、その傾斜面28に主流を沿わせることで、主流の偏向を促進することができ、より広範囲にわたるやわらかな旋回噴流を形成しやすくなる。
【0046】
また、流水導入部22の流路断面を、流水導入口21から流路断面収縮部23に向けて徐々に狭めることで、噴流ノズル11内での圧力損失が小さくなり、噴出に際して大きな圧力を与えなくて済む。すなわち、ポンプ7を大きなものにしなくて済み、設置スペース及びコスト低減が図れる。
【0047】
噴出口26の近傍で、ノズル内流路の大部分を遮蔽する遮蔽体27は、チャンバー25内を清掃する際に邪魔になる。しかし、本実施形態では、遮蔽体27を支持する支持体50を、ノズル本体40とノズルキャップ60との間で挟み込むことで遮蔽体27を保持する構造としており、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ60をまわしてノズル本体40からノズルキャップ60を取り外すことで、遮蔽体27をノズル本体40から取り外すことができ、チャンバー25内の清掃性が向上する。これにより、チャンバー25内における湯水の垢などの汚れや細菌を除去することができ、清潔な噴流を浴槽内に噴出させることができる。
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る噴流ノズルの他の具体例について説明する。なお、前述した噴流ノズル11と同じ構成部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図6は、噴流ノズルの第2の具体例を表す模式断面図である。
図7(a)は、第2の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ73の断面図であり、図7(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。
図8は、第2の具体例の噴流ノズルにおける遮蔽体27及びその支持体71の断面図である。
【0050】
遮蔽体27は円盤状に形成され、その支持体71は遮蔽体27の外周面を囲むようにリング状に形成されている。支持体71の外周面には、周方向に等間隔で設けられ、径外方に突出した3つの突起部72が設けられている。
【0051】
本具体例では、遮蔽体27はその支持体71と共にノズルキャップ73に保持された状態で、ノズルキャップ73ごとノズル本体40に対して取り付け、または取り外し可能となっている。
【0052】
ノズルキャップ73は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部77が一体に設けられている。
【0053】
図7(a)、(b)に表すように、ノズルキャップ73の筒部32における噴出口26側の内壁面には、環状の溝79が形成され、筒部32の上流側端部には、溝79に連通する3つの切り欠き孔74が周方向に等間隔に形成されている。
【0054】
遮蔽体27の支持部71の外周面に設けられた突起部72を、ノズルキャップ73の切り欠き孔74に一致させてその切り欠き孔74から突起部72を溝79内に嵌め入れて、支持体71を回転させることで突起部72が溝79内で保持され、これにより、図6に表すように、遮蔽体27及びその支持体71が、ノズルキャップ73の筒部32内に保持される。
【0055】
ノズルキャップ73は、その筒部32外周面が、ノズル本体40の下流側端部に形成された段付き孔75に螺着されることで、ノズル本体40に対して取り付けられる。遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に臨み、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ73のフランジ部77は、段付き孔75の下流側に形成された環状面76に当接する。遮蔽体27の支持体71は、チャンバー壁端面78と、ノズルキャップ73との間に挟み込まれ、遮蔽体27はチャンバー25内に保持される。
【0056】
本具体例によれば、予め遮蔽体27をノズルキャップ73に対して保持させた上で、遮蔽体27をノズルキャップ73ごとノズル本体40に対して取り付けることができるので、遮蔽体27とノズルキャップ73とを別々にノズル本体40に対して取り付ける場合よりも手間がかからない。また、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ73をまわしてノズル本体40からノズルキャップ73を取り外すことで、そのノズルキャップ73と一緒に遮蔽体27もノズル本体40から取り外すことができるので、取り外しに要する手間も少なくできる。支持体71をノズルキャップ73に対して回転させて突起部72を切り欠き孔74に一致させ、その切り欠き孔74から突起部72を噴出口26とは反対側に抜くことで、遮蔽体27及びその支持体71を、ノズルキャップ73から取り外すことができる。
【0057】
図9は、噴流ノズルの第3の具体例を表す模式断面図である。
図10は、第3の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ83及び遮蔽体27を、上流側の端面側から見た模式図である。
【0058】
遮蔽体27は、ノズルキャップ83の筒部33の内周壁との間に放射状に設けられた例えば3本の棒状の支持部31を介してノズルキャップ83に対して保持されている。遮蔽体27、支持部31及びノズルキャップ83は一体に成形されている。
【0059】
ノズルキャップ83は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部87が一体に設けられている。
【0060】
ノズルキャップ83は、その筒部33外周面が、ノズル本体40の下流側端部に形成された段付き孔75に螺着されることで、ノズル本体40に対して取り付けられる。遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に臨み、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ83のフランジ部87は、段付き孔75の下流側に形成された環状面76に当接する。
【0061】
本具体例においても、遮蔽体27をノズルキャップ83ごとノズル本体40に対して取り付けることができるので、遮蔽体27とノズルキャップ83とを別々にノズル本体40に対して取り付ける場合よりも手間がかからない。また、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ83をまわしてノズル本体40からノズルキャップ83を取り外すことで、そのノズルキャップ83と一体な遮蔽体27もノズル本体40から取り外すことができるので、取り外しに要する手間も少なくできる。ノズルキャップ83と遮蔽体27とを一体に成形することで、安価に作製できる。
【0062】
図11は、噴流ノズルの第4の具体例を表す模式断面図である。
図12(a)は、第4の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ90及びこれに一体に設けられた遮蔽体27の断面図であり、図12(b)は図12(a)におけるC−C断面図である。
【0063】
ノズルキャップ90は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部91が一体に設けられている。
【0064】
ノズルキャップ90の筒部33の外周面には、周方向に等間隔で設けられ、径外方に突出した3つの突起部95が設けられている。
【0065】
ノズル本体40の下流側端部に設けられた段付き孔43の内周面には、環状の溝が形成され、その上流側には、その溝に連通する例えば3つの切り欠き孔92が周方向に等間隔に形成されている。
【0066】
ノズルキャップ90の筒部33の外周面に設けられた突起部95を、段付き孔43の内周面に形成された切り欠き孔92に一致させてその切り欠き孔92から突起部95を上記溝内に嵌め入れて、ノズルキャップ90を回転させることで突起部95が溝内で保持され、これにより、遮蔽体27及びノズルキャップ90がノズル本体40に対して保持される。ノズルキャップ90の筒部33の先端面(上流側端面)は、段付き孔43の環状の底面44に当接し、ノズルキャップ90のフランジ部91は、段付き孔43の下流側に形成された環状面45に当接する。
【0067】
本具体例においても、遮蔽体27をノズルキャップ90ごとノズル本体40に対して取り付け、または取り外すことができるので、遮蔽体27とノズルキャップ90とを別々にノズル本体40に対して取り付けたり、取り外したりする場合よりも手間がかからない。また、ノズルキャップ90と遮蔽体27とを一体に成形することで、安価に作製できる。
【0068】
図13は、噴流ノズルの第5の具体例を表す模式断面図である。
図14は、第5の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体40の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部46を浴槽側から見た模式図である。
【0069】
噴出口26の径外方側に設けられ、浴槽内に臨んでいるノズル本体40のフランジ部46は、噴出口26よりも浴槽内部に出っ張っているため、入浴者が短辺側浴槽壁4aに背をもたれても、その入浴者の背中がフランジ部46に接触し、入浴者の背中と噴出口26との間に隙間が確保され、噴出口26が入浴者の背中によって塞がれにくい。
【0070】
そして、本具体例のように、フランジ部46に、例えば球面状の突起105を、周方向に沿って間欠的に設ければ、突起105が出っ張っている分、フランジ部46が入浴者の背中で完全に密着されることがなく、噴出口26から噴出された噴流を突起105間の隙間を介して浴槽内に噴出させることができる。
【0071】
図15は、噴流ノズルの第6の具体例を表す模式断面図である。
図16は、第6の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体40の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部46を浴槽側から見た模式図である。
【0072】
本具体例では、フランジ部46に、放射状の溝107を周方向に沿って間欠的に設けたため、フランジ部46が入浴者の背中で完全に密着されることがなく、噴出口26から噴出された噴流を溝107を介して浴槽内に噴出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置における噴流ノズルの模式断面図である。
【図2】(a)は、図1に表す噴流ノズルの遮蔽体及び支持体の断面図であり、(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を表す模式図である。
【図4】同噴流浴装置において浴槽を側面方向から見た模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る噴流浴装置における噴流ノズルにて旋回噴流が形成される様子を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第2の具体例を表す模式断面図である。
【図7】(a)は、第2の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップの断面図であり、(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。
【図8】第2の具体例の噴流ノズルにおける遮蔽体及びその支持体の断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第3の具体例を表す模式断面図である。
【図10】第3の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ及び遮蔽体を、上流側の端面側から見た模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第4の具体例を表す模式断面図である。
【図12】(a)は、第4の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ及びこれに一体に設けられた遮蔽体の断面図であり、(b)は図12(a)におけるC−C断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第5の具体例を表す模式断面図である。
【図14】第5の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部を浴槽側から見た模式図である。
【図15】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第6の具体例を表す模式断面図である。
【図16】第6の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部を浴槽側から見た模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1…浴槽、5…吸入口、11…噴流ノズル、22…流水導入部、23…流路断面収縮部、24…流路断面急拡大部、25…チャンバー、26…噴出口、27…遮蔽体、40…ノズル本体、60…ノズルキャップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流浴装置に関し、特にノズル中心軸まわりに旋回した噴流を噴出させる噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽内に噴出させるものがあるが、その多くは、まっすぐに噴流を噴出させるものであり、噴流が入浴者の体の一部に局所的にあたり、噴流により受ける刺激が単調で飽きやすく、多様なマッサージ感は得られ難かった。
【0003】
特許文献1には、外形形状が略円形で内部に設けた噴流孔の噴流口が軸芯位置より偏心すると共にユニット噴流口カバー内に回転自在に収容配置されたノズル本体と、バスタブ内の水を所定圧力でノズル本体の噴流孔内に噴射するオリフィスとを備えたノズル装置が開示されている。バスタブ内の水は、オリフィスを介してノズル本体の噴流孔内に所定圧力で噴射され、空気と混合して気泡混合噴流となり、噴流孔の噴流口からバスタブ内にジェット噴流として噴射される。この時、ノズル本体の噴流口が軸芯位置に対して偏心した位置に設けられていることから、オリフィスからの噴流によってノズル本体が回転し、これにより、ジェット噴流の噴射方向が変化する回転噴流が得られる。
【0004】
しかし、特許文献1では、ノズル本体を回転させることで回転噴流を生じさせる構成であるため、そのノズル本体を回転自在に支持するための構造が複雑になり、安価に作製できない。さらには、回転摺動部分の摩耗やゴミ詰まりなどによる回転性能の低下が懸念される。
【特許文献1】特開2001−8998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、回転摺動部分を設けずに、噴出方向を変化させながらの噴流噴出を実現できる噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込む吸入口と、前記吸入口に連通した循環路と、前記循環路の途中に設けられ、前記吸入口から吸い込んだ浴槽水を加圧して吐出する加圧装置と、前記循環路を介して前記加圧装置から送られる加圧浴槽水を、噴出方向を変化させながら前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、を備え、前記噴流ノズルは、前記加圧浴槽水が導入される流水導入部と、前記流水導入部より下流側で前記流水導入部に連通し、前記流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、前記流路断面収縮部より下流側で前記流路断面収縮部に連通し、前記流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、前記浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、前記ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられ、前記チャンバーと連通すると共に前記浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、前記噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ、前記噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体と、を有することを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回転摺動部分を設けずに、噴出方向を変化させながらの噴流噴出を実現できる噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
図3は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を表す模式図である。
図4は、同噴流浴装置において浴槽を側面方向から見た模式図である。
【0010】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁3bに開口された吸入口5と、吸入口5に連通した循環路13、14と、循環路13、14の途中に設けられた加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁4aに対して保持された噴流ノズル11とを備える。
【0011】
浴槽1は、図3に表すように、略平行に相対向する一対の長辺側浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺側浴槽壁4a、4bとを有する。
【0012】
吸入口5は長辺側浴槽壁3bに形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路13へと吸い込まれる。
【0013】
一般に、入浴者は、一方の短辺側浴槽壁(図3に表す具体例では短辺側浴槽壁4a)に背をもたれかけて、他方の短辺側浴槽壁(図3に表す具体例では短辺側浴槽壁4b)に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺側浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺側浴槽壁に形成するのが望ましい。なお、図3に表す具体例では、吸入口5を、長辺側浴槽壁3bに形成したが長辺側浴槽壁3aに形成してもよい。
【0014】
循環路13の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸入口に接続されている。循環路14の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端は噴流ノズル11の流水導入口に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路13内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路14に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、噴流ノズル11の流水導入口に流入する。使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は噴流ノズル11よりも上方に設けることが望ましい。
【0015】
本具体例では、図3に表すように、一方の短辺側浴槽壁4aに、2つの噴流ノズル11を取り付けている。2つの噴流ノズル11は、略同じ高さに所定距離間して設けられている。噴流ノズル11が取り付けられた一方の短辺側浴槽壁4aの反対側の他方の短辺側浴槽壁4bの上方には浴槽側水栓が設けられ、またその他方の短辺側浴槽壁4b近傍の浴槽底部には排水口が設けられる。したがって、通常、入浴者は自然と噴流ノズル11が設けられた側の短辺側浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴する。
【0016】
図1は、噴流ノズル11の模式断面図である。
【0017】
噴流ノズル11は、一端(上流端)に、循環路14と連通される流水導入口21が設けられた筒状のノズル本体40を備える。
【0018】
ノズル本体40において、他端側(下流側)の外周面のまわりには、フランジ状に径方向に出っ張った取付部42が一体に設けられている。その取付部42の一端(下流端)における径内方部分には、段付き孔43が形成されている。段付き孔43における環状の底面44の下流側に形成された環状面45のまわりには、その環状面45から径外方に張り出したフランジ部46が設けられている。
【0019】
ノズル本体40は、フランジ付き取付部材70を介して、短辺側浴槽壁4aに対して保持される。フランジ付き取付部材70は、筒部70bと、この筒部70bの一端に一体に設けられたフランジ部70aとを有する。フランジ付き取付部材70は、その中空孔を、短辺側浴槽壁4aに形成された開口に対向させて短辺側浴槽壁4aの外側に取り付けられる。フランジ付き取付部材70のフランジ部70aと、短辺側浴槽壁4aの外壁面との間にはシールリング71が介在される。
【0020】
ノズル本体40の取付部42の外周面が、フランジ付き取付部材70の筒部70b内周面に螺着されることで、ノズル本体40は短辺側浴槽壁4aに対して保持される。ノズル本体40の取付部42の下流端は、短辺側浴槽壁4aに形成された開口を通じて浴槽内部に臨み、ノズル本体40のフランジ部46が短辺側浴槽壁4aの内壁面に対向している。そのフランジ部46と、短辺側浴槽壁4aの内壁面との間にはシールリング72が介在される。
【0021】
ノズル本体40の段付き孔43には、遮蔽体27及びノズルキャップ60が、ノズル本体40に対して着脱自在に取り付けられる。
【0022】
ノズル本体40の上流端に設けられた流水導入口21は、浴槽1の外部で、循環路14に接続されている。流水導入口21と、ノズルキャップ60の下流端に形成された噴出口26との間のノズル本体40内部には、上流側(流水導入口21側)から順に、流水導入部22、流路断面収縮部23、チャンバー25が設けられている。
【0023】
流水導入部22は、流水導入口21と流路断面収縮部23との間に設けられ、その流路断面は流水導入口21から流路断面収縮部23に向かうにしたがって徐々に狭められている。流路断面収縮部23は、ノズル本体40の軸中心に位置し、流水導入口21及び流水導入部22に対して流路断面が縮小されている。
【0024】
流路断面収縮部23の下流側には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば3倍以上急拡大された)された流路断面急拡大部24を一端部(上流側端部)に有するチャンバー25が設けられている。チャンバー25は、流路断面急拡大部24の内径寸法のまま段付き孔43形成部まで続いている。チャンバー25の内壁面は、ノズル本体40の軸中心Cに対して略平行に延在している。
【0025】
段付き孔43の底部(上流側端部)には、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る遮蔽体27及びその支持体50が設けられている。
【0026】
図2(a)は、遮蔽体27及び支持体50の断面図であり、図2(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
【0027】
遮蔽体27は円盤状に形成され、支持体50は遮蔽体27の外周面を囲むようにリング状に形成されている。遮蔽体27は、支持体50の内周壁との間に放射状に設けられた例えば3本の棒状の支持部31を介して支持体50に対して支持されている。3本の支持部31は、遮蔽体27の外周面のまわりに周方向に沿って等間隔で設けられている。
【0028】
支持体50は、その一方の端面を、図1に表すように、段付き孔43の環状の底面44に当接させて段付き孔43に嵌め込まれる。この状態で、遮蔽体27は、その中心をノズル本体40の軸中心Cに一致させてチャンバー25内部に臨む。
【0029】
遮蔽体27は、チャンバー25内流路のすべてを遮蔽しておらず、遮蔽体27とチャンバー25内壁面との間には、チャンバー25から噴出口26への流水の流れを許容する流路25aが確保される。
【0030】
遮蔽体27は、流水導入口21から導入されチャンバー25を経て噴出口26へと流れる加圧浴槽水の圧力(動圧)を受けるため、支持部31が1本だけであると前記圧力に耐え得る十分な強度が得られず遮蔽体27が外れてしまう可能性があり、支持部31が2本だけであると、遮蔽体27表面に作用する前記圧力が軸中心Cに対して非軸対称分布になることにより生じる支持部周りのモーメントの影響を受け、遮蔽体27が回転してしまう可能性がある。したがって、支持部31は、3本以上設けるのが望ましい。
【0031】
段付き孔43において遮蔽体27よりも下流側には、ノズルキャップ60がねじ込まれる。ノズルキャップ60は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部51が一体に設けられている。ノズルキャップ60は、他端(上流端)を遮蔽体27の支持体50の下流側端面に当接させて、外周面が段付き孔43に螺着される。ノズルキャップ60の中空部は、チャンバー25の一部を構成し、遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に設けられ、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ60のフランジ部51は、段付き孔43の下流側に形成された環状面45に当接する。遮蔽体27の支持体50は、段付き孔43の底面44と、ノズルキャップ60との間に挟み込まれることで、遮蔽体27は、チャンバー25内に保持される。噴出口26は浴槽1の内部に臨み、他方の短辺側浴槽壁4bに向いている。噴出口26の内周縁部には、ノズル本体40の軸中心Cに向かうように傾斜した傾斜面28が形成されている。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の作用について説明する。
【0033】
浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、ポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路13内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路14を介して、噴流ノズル11の流水導入口21に導入される。噴流ノズル11内に導入された加圧浴槽水は、以下に説明するように、噴出方向を不規則に変化させた旋回噴流として浴槽1内に噴出される。
【0034】
図5(a)〜(d)は、噴流ノズル11にて旋回噴流が形成される様子を説明するための模式図である。
【0035】
流水導入口21から導入された加圧浴槽水は、流水導入部22、流路断面収縮部23および流路断面急拡大部24を順に経てチャンバー25内に噴流となって流入する。加圧浴槽水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、ノズル本体40内壁面に沿って流れることができなくなり、すなわち流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0036】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の周方向の一部に流れが再付着する。
【0037】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25内壁面に沿い、遮蔽体27の外周面とチャンバー25内壁面との間を噴出口26に向かって流れ、噴出口26の手前(上流側)でノズル本体40の軸中心Cに向かうように傾斜して形成された傾斜面28に沿って軸中心Cに対して傾斜した噴流として噴出口26から浴槽1内に噴出する。
【0038】
以上のようにして、噴流ノズル11内に、主流(図5(a)において太線矢印aで表す)が形成される。
【0039】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されること、さらにチャンバー25内に流路の一部を遮るように遮蔽体27が設けられていることによって、前述した主流の一部は、噴出口26から噴出されず、図5(b)において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0040】
その上流側に戻された流れが、図5(c)に表すように、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、図5(d)に表すように、流路断面急拡大部24付近で中心軸Cまわりに旋回流が形成され、これにより、主流の内壁面に対する再付着位置が周方向で不規則に変化し、噴出口26からは中心軸Cまわりに不規則に旋回した噴流が噴出される。
【0041】
入浴者は、噴流ノズル11から噴出される旋回噴流を、腰、背、肩、手、足等の身体の一部に受けることにより、マッサージ効果を得ることができる。噴流ノズル11から噴出される噴流は、細く強い直線的な噴流ではなく、太くやわらかい旋回噴流であるため、腰を包み込む、背中、腰全体を押すようにもみほぐすなど、局所的に強い刺激感ではなく、広範囲をもみほぐすような手もみに近いマッサージ感を得ることができ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。また、直線的な強い噴流を局所的に受ける場合には、所望の部位にその噴流を受けるべく姿勢を保つために緊張状態になりがちであったが、本実施形態の旋回噴流は広範囲にわたってやわらかい刺激を与えるため、入浴者に緊張を強いることなく、力を抜いたリラックスした状態にさせやすい。
【0042】
本実施形態に係る噴流ノズル11から噴出される噴流は旋回しているので、気泡が混入されなくても、マッサージ感を受けるのに十分な刺激感が得られる。気泡を混入しない分、噴流の噴出音及び気泡混入時の音を低減して、静かな環境でよりリラックスできる。もちろん、本実施形態に係る旋回噴流に気泡を混入してもよく、その場合、気泡を混入しない場合よりも噴流の旋回力が弱まり、よりやわらかな刺激感を受けることが可能である。さらには、気泡混入有無の切り替え、もしくは気泡混入量の調整により多彩な刺激感を実現することが可能である。
【0043】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11は、噴流ノズル11内に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の旋回を励起する構成となっているため、特許文献1のような回転摺動部分が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、回転摺動部分における摩耗やゴミ詰まりなどによる旋回性能低下の心配もない。
【0044】
前述したように、チャンバー25内静圧は、浴槽1内に貯留された浴槽水の静圧より低く、チャンバー25内部では下流側に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されるため、遮蔽体27を設けなくても、主流の一部をチャンバー25上流側に戻す還流を形成することは可能である。ただし、遮蔽体27を設けた方が、逆静圧勾配(流れ方向に対して静圧が上昇)による還流形成に比べ、より安定した(確実性の増した)還流が形成されることから、噴流の旋回が安定する。
【0045】
噴出口26の手前(上流側)に傾斜面28を設けなくても、上述したように主流がチャンバー25内壁の周方向の一部に偏ることから偏向した噴流が実現されるが、傾斜面28を設け、その傾斜面28に主流を沿わせることで、主流の偏向を促進することができ、より広範囲にわたるやわらかな旋回噴流を形成しやすくなる。
【0046】
また、流水導入部22の流路断面を、流水導入口21から流路断面収縮部23に向けて徐々に狭めることで、噴流ノズル11内での圧力損失が小さくなり、噴出に際して大きな圧力を与えなくて済む。すなわち、ポンプ7を大きなものにしなくて済み、設置スペース及びコスト低減が図れる。
【0047】
噴出口26の近傍で、ノズル内流路の大部分を遮蔽する遮蔽体27は、チャンバー25内を清掃する際に邪魔になる。しかし、本実施形態では、遮蔽体27を支持する支持体50を、ノズル本体40とノズルキャップ60との間で挟み込むことで遮蔽体27を保持する構造としており、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ60をまわしてノズル本体40からノズルキャップ60を取り外すことで、遮蔽体27をノズル本体40から取り外すことができ、チャンバー25内の清掃性が向上する。これにより、チャンバー25内における湯水の垢などの汚れや細菌を除去することができ、清潔な噴流を浴槽内に噴出させることができる。
【0048】
以下、本発明の実施形態に係る噴流ノズルの他の具体例について説明する。なお、前述した噴流ノズル11と同じ構成部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
図6は、噴流ノズルの第2の具体例を表す模式断面図である。
図7(a)は、第2の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ73の断面図であり、図7(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。
図8は、第2の具体例の噴流ノズルにおける遮蔽体27及びその支持体71の断面図である。
【0050】
遮蔽体27は円盤状に形成され、その支持体71は遮蔽体27の外周面を囲むようにリング状に形成されている。支持体71の外周面には、周方向に等間隔で設けられ、径外方に突出した3つの突起部72が設けられている。
【0051】
本具体例では、遮蔽体27はその支持体71と共にノズルキャップ73に保持された状態で、ノズルキャップ73ごとノズル本体40に対して取り付け、または取り外し可能となっている。
【0052】
ノズルキャップ73は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部77が一体に設けられている。
【0053】
図7(a)、(b)に表すように、ノズルキャップ73の筒部32における噴出口26側の内壁面には、環状の溝79が形成され、筒部32の上流側端部には、溝79に連通する3つの切り欠き孔74が周方向に等間隔に形成されている。
【0054】
遮蔽体27の支持部71の外周面に設けられた突起部72を、ノズルキャップ73の切り欠き孔74に一致させてその切り欠き孔74から突起部72を溝79内に嵌め入れて、支持体71を回転させることで突起部72が溝79内で保持され、これにより、図6に表すように、遮蔽体27及びその支持体71が、ノズルキャップ73の筒部32内に保持される。
【0055】
ノズルキャップ73は、その筒部32外周面が、ノズル本体40の下流側端部に形成された段付き孔75に螺着されることで、ノズル本体40に対して取り付けられる。遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に臨み、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ73のフランジ部77は、段付き孔75の下流側に形成された環状面76に当接する。遮蔽体27の支持体71は、チャンバー壁端面78と、ノズルキャップ73との間に挟み込まれ、遮蔽体27はチャンバー25内に保持される。
【0056】
本具体例によれば、予め遮蔽体27をノズルキャップ73に対して保持させた上で、遮蔽体27をノズルキャップ73ごとノズル本体40に対して取り付けることができるので、遮蔽体27とノズルキャップ73とを別々にノズル本体40に対して取り付ける場合よりも手間がかからない。また、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ73をまわしてノズル本体40からノズルキャップ73を取り外すことで、そのノズルキャップ73と一緒に遮蔽体27もノズル本体40から取り外すことができるので、取り外しに要する手間も少なくできる。支持体71をノズルキャップ73に対して回転させて突起部72を切り欠き孔74に一致させ、その切り欠き孔74から突起部72を噴出口26とは反対側に抜くことで、遮蔽体27及びその支持体71を、ノズルキャップ73から取り外すことができる。
【0057】
図9は、噴流ノズルの第3の具体例を表す模式断面図である。
図10は、第3の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ83及び遮蔽体27を、上流側の端面側から見た模式図である。
【0058】
遮蔽体27は、ノズルキャップ83の筒部33の内周壁との間に放射状に設けられた例えば3本の棒状の支持部31を介してノズルキャップ83に対して保持されている。遮蔽体27、支持部31及びノズルキャップ83は一体に成形されている。
【0059】
ノズルキャップ83は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部87が一体に設けられている。
【0060】
ノズルキャップ83は、その筒部33外周面が、ノズル本体40の下流側端部に形成された段付き孔75に螺着されることで、ノズル本体40に対して取り付けられる。遮蔽体27は、噴出口26近傍のチャンバー25内に臨み、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る。ノズルキャップ83のフランジ部87は、段付き孔75の下流側に形成された環状面76に当接する。
【0061】
本具体例においても、遮蔽体27をノズルキャップ83ごとノズル本体40に対して取り付けることができるので、遮蔽体27とノズルキャップ83とを別々にノズル本体40に対して取り付ける場合よりも手間がかからない。また、ノズル本体40に対して螺着されているノズルキャップ83をまわしてノズル本体40からノズルキャップ83を取り外すことで、そのノズルキャップ83と一体な遮蔽体27もノズル本体40から取り外すことができるので、取り外しに要する手間も少なくできる。ノズルキャップ83と遮蔽体27とを一体に成形することで、安価に作製できる。
【0062】
図11は、噴流ノズルの第4の具体例を表す模式断面図である。
図12(a)は、第4の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ90及びこれに一体に設けられた遮蔽体27の断面図であり、図12(b)は図12(a)におけるC−C断面図である。
【0063】
ノズルキャップ90は、一端側に噴出口26が形成された円筒状を呈し、噴出口26の径外方にはフランジ部91が一体に設けられている。
【0064】
ノズルキャップ90の筒部33の外周面には、周方向に等間隔で設けられ、径外方に突出した3つの突起部95が設けられている。
【0065】
ノズル本体40の下流側端部に設けられた段付き孔43の内周面には、環状の溝が形成され、その上流側には、その溝に連通する例えば3つの切り欠き孔92が周方向に等間隔に形成されている。
【0066】
ノズルキャップ90の筒部33の外周面に設けられた突起部95を、段付き孔43の内周面に形成された切り欠き孔92に一致させてその切り欠き孔92から突起部95を上記溝内に嵌め入れて、ノズルキャップ90を回転させることで突起部95が溝内で保持され、これにより、遮蔽体27及びノズルキャップ90がノズル本体40に対して保持される。ノズルキャップ90の筒部33の先端面(上流側端面)は、段付き孔43の環状の底面44に当接し、ノズルキャップ90のフランジ部91は、段付き孔43の下流側に形成された環状面45に当接する。
【0067】
本具体例においても、遮蔽体27をノズルキャップ90ごとノズル本体40に対して取り付け、または取り外すことができるので、遮蔽体27とノズルキャップ90とを別々にノズル本体40に対して取り付けたり、取り外したりする場合よりも手間がかからない。また、ノズルキャップ90と遮蔽体27とを一体に成形することで、安価に作製できる。
【0068】
図13は、噴流ノズルの第5の具体例を表す模式断面図である。
図14は、第5の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体40の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部46を浴槽側から見た模式図である。
【0069】
噴出口26の径外方側に設けられ、浴槽内に臨んでいるノズル本体40のフランジ部46は、噴出口26よりも浴槽内部に出っ張っているため、入浴者が短辺側浴槽壁4aに背をもたれても、その入浴者の背中がフランジ部46に接触し、入浴者の背中と噴出口26との間に隙間が確保され、噴出口26が入浴者の背中によって塞がれにくい。
【0070】
そして、本具体例のように、フランジ部46に、例えば球面状の突起105を、周方向に沿って間欠的に設ければ、突起105が出っ張っている分、フランジ部46が入浴者の背中で完全に密着されることがなく、噴出口26から噴出された噴流を突起105間の隙間を介して浴槽内に噴出させることができる。
【0071】
図15は、噴流ノズルの第6の具体例を表す模式断面図である。
図16は、第6の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体40の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部46を浴槽側から見た模式図である。
【0072】
本具体例では、フランジ部46に、放射状の溝107を周方向に沿って間欠的に設けたため、フランジ部46が入浴者の背中で完全に密着されることがなく、噴出口26から噴出された噴流を溝107を介して浴槽内に噴出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置における噴流ノズルの模式断面図である。
【図2】(a)は、図1に表す噴流ノズルの遮蔽体及び支持体の断面図であり、(b)は図2(a)におけるA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を表す模式図である。
【図4】同噴流浴装置において浴槽を側面方向から見た模式図である。
【図5】本発明の実施形態に係る噴流浴装置における噴流ノズルにて旋回噴流が形成される様子を説明するための模式図である。
【図6】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第2の具体例を表す模式断面図である。
【図7】(a)は、第2の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップの断面図であり、(b)は図7(a)におけるB−B断面図である。
【図8】第2の具体例の噴流ノズルにおける遮蔽体及びその支持体の断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第3の具体例を表す模式断面図である。
【図10】第3の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ及び遮蔽体を、上流側の端面側から見た模式図である。
【図11】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第4の具体例を表す模式断面図である。
【図12】(a)は、第4の具体例の噴流ノズルにおけるノズルキャップ及びこれに一体に設けられた遮蔽体の断面図であり、(b)は図12(a)におけるC−C断面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第5の具体例を表す模式断面図である。
【図14】第5の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部を浴槽側から見た模式図である。
【図15】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、噴流ノズルの第6の具体例を表す模式断面図である。
【図16】第6の具体例の噴流ノズルにおいて、ノズル本体の下流側端部の径外方側に設けられたフランジ部を浴槽側から見た模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1…浴槽、5…吸入口、11…噴流ノズル、22…流水導入部、23…流路断面収縮部、24…流路断面急拡大部、25…チャンバー、26…噴出口、27…遮蔽体、40…ノズル本体、60…ノズルキャップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込む吸入口と、
前記吸入口に連通した循環路と、
前記循環路の途中に設けられ、前記吸入口から吸い込んだ浴槽水を加圧して吐出する加圧装置と、
前記循環路を介して前記加圧装置から送られる加圧浴槽水を、噴出方向を変化させながら前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、
を備え、
前記噴流ノズルは、
前記加圧浴槽水が導入される流水導入部と、前記流水導入部より下流側で前記流水導入部に連通し、前記流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、前記流路断面収縮部より下流側で前記流路断面収縮部に連通し、前記流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、前記浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、
前記ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられ、前記チャンバーと連通すると共に前記浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、
前記噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ、前記噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体と、
を有することを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、前記ノズルキャップに対して着脱自在に保持されたことを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記遮蔽体と前記ノズルキャップとが一体に成形されたことを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水を吸い込む吸入口と、
前記吸入口に連通した循環路と、
前記循環路の途中に設けられ、前記吸入口から吸い込んだ浴槽水を加圧して吐出する加圧装置と、
前記循環路を介して前記加圧装置から送られる加圧浴槽水を、噴出方向を変化させながら前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、
を備え、
前記噴流ノズルは、
前記加圧浴槽水が導入される流水導入部と、前記流水導入部より下流側で前記流水導入部に連通し、前記流水導入部に対して流路断面が縮小された流路断面収縮部と、前記流路断面収縮部より下流側で前記流路断面収縮部に連通し、前記流路断面収縮部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部を上流側の端部に有するチャンバーとが内部に設けられ、前記浴槽壁に対して保持されるノズル本体と、
前記ノズル本体に対して着脱自在に取り付けられ、前記チャンバーと連通すると共に前記浴槽の内部に臨む噴出口を有するノズルキャップと、
前記噴出口の近傍で前記チャンバーに臨んで設けられ、前記噴出口へと通じる流路の一部を遮る遮蔽体と、
を有することを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記遮蔽体は、前記ノズルキャップに対して着脱自在に保持されたことを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記遮蔽体と前記ノズルキャップとが一体に成形されたことを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−136589(P2008−136589A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−324243(P2006−324243)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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