噴流浴装置
【課題】簡単な構造の共通のノズルにて、まっすぐな噴流と往復自励振動する噴流の両方を切り換えて噴出可能な噴流浴装置の提供。
【解決手段】噴流ノズル11と、気泡を混入させるための空気導入管と、気泡を含む噴流と気泡を含まない噴流とを噴出する状態を切り換える切換装置とを備えた噴流浴装置であって、噴流ノズルは流水導入部とチャンバーとを有し、流水導入部は、加圧水が導入される上流側端部と、上流側端部に対して流路が細くされると共にチャンバーに連通する下流側端部とを有し、チャンバーは、上流側端部に設けられ下流側端部に対して流路断面が急拡大された断面急拡大部と、下流側端部に開口された噴出口とを有し、断面急拡大部から噴出口にかけての断面形状が略長方形に形成され、下流側端部におけるチャンバー内に臨む下流端開口は、正面視でチャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、下流端開口の開口縁部と輪郭線との間に隙間が存在する。
【解決手段】噴流ノズル11と、気泡を混入させるための空気導入管と、気泡を含む噴流と気泡を含まない噴流とを噴出する状態を切り換える切換装置とを備えた噴流浴装置であって、噴流ノズルは流水導入部とチャンバーとを有し、流水導入部は、加圧水が導入される上流側端部と、上流側端部に対して流路が細くされると共にチャンバーに連通する下流側端部とを有し、チャンバーは、上流側端部に設けられ下流側端部に対して流路断面が急拡大された断面急拡大部と、下流側端部に開口された噴出口とを有し、断面急拡大部から噴出口にかけての断面形状が略長方形に形成され、下流側端部におけるチャンバー内に臨む下流端開口は、正面視でチャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、下流端開口の開口縁部と輪郭線との間に隙間が存在する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流ノズルを備えた噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽内に噴出させるものがあるが、その多くは、まっすぐに噴流を噴出させるものであり(例えば特許文献1)、噴流が入浴者の体の一部に局所的にあたり、噴流により受ける刺激が単調で飽きやすく、多様なマッサージ感は得られ難かった。
【0003】
また、特許文献2〜4には、ノズル自体に可動部を設けない構造にて、噴出方向を変化させつつ噴流噴出可能な構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ノズル内における流体自身の作用にて、噴流の発振現象を生じさせることが開示されている。特許文献3によれば、配管内の三方弁の開度を調整して流量比率を変化させて、浴槽水面下で2流路からの吐水によって2流体衝突を行い、気液2相流で往復振動噴流させて、リンパの流れに沿って噴流マッサージを行わせるとの開示がある。特許文献4には、吐水流を往復振動させるための制御流の切換流路を設けて、浴槽水面下において気液2相流でゆっくりとした往復振動噴流を実現する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平7−178142号公報
【特許文献2】特開平4−176461号公報
【特許文献3】特開2006−325992号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第4409656号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同じ浴槽装置にて、特許文献1に開示されたような直進噴流と、特許文献2〜4に開示されたような噴出方向が変化する噴流とを切り換えて選択したい場合には、それぞれの噴流を実現する別構成のノズルを設ける必要があり、ノズル数の増大は、コストや設置スペースの増大につながってしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、簡単な構造の同じ共通のノズルにて、まっすぐな噴流噴出と往復自励振動する噴流噴出の両方を切り換えて実現可能な噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、前記浴槽のあふれ縁より下で前記浴槽壁に対して保持される一重構造の筒体を有し、前記筒体の内部に導入された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、前記噴流ノズルの内部に気泡を混入させるための空気導入管と、前記噴流ノズルが気泡を含む噴流を噴出する状態と、前記噴流ノズルが気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置と、を備えた噴流浴装置であって、前記噴流ノズルは、流水導入部と、前記筒体の軸方向に延在して前記筒体の内部に形成されたチャンバーと、を有し、前記流水導入部は、前記加圧装置から送られる加圧浴槽水が導入される上流側端部と、前記上流側端部に対して流路が細くされると共に前記チャンバーに連通する下流側端部と、を有し、前記チャンバーは、前記軸方向の上流側端部に設けられ前記流水導入部の前記下流側端部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部と、前記軸方向の下流側端部に開口され前記浴槽の内部に臨む噴出口と、を有し、前記流路断面急拡大部から前記噴出口にかけての断面形状が略長方形状に形成され、前記流水導入部の前記下流側端部における前記チャンバー内に臨む下流端開口は、前記噴出口から前記チャンバー内を見た正面視で前記チャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、前記流水導入部の前記下流端開口の開口縁部と前記輪郭線との間に隙間が存在することを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構造の同じ共通のノズルにて、まっすぐな噴流噴出と往復自励振動する噴流噴出の両方を切り換えて実現可能な噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図である。
【0010】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁に開口された吸入口5と、循環路6、8と、循環路6、8の間に接続された加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁に設けられた2つの噴流ノズル11とを備える。
【0011】
浴槽1は、略平行に相対向する一対の長辺浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺浴槽壁4a、4bとを有する。
【0012】
吸入口5は一対の長辺浴槽壁3a、3bのうちの一方(図1に示す例では長辺浴槽壁3a)に形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路6へと吸い込まれる。
【0013】
一般に、入浴者は、向かい合う一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方に背をもたれかけて他方の短辺浴槽壁に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺浴槽壁に形成するのが望ましい。
【0014】
循環路6の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸込口に接続されている。循環路8の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端は噴流ノズル11に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路6内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路8に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、噴流ノズル11の内部に流入する。なお、使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は吸入口5よりも上方に設けることが望ましい。
【0015】
本実施形態では、一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方(図1に示す例では短辺浴槽壁4a)に、2つの噴流ノズル11を取り付けている。2つの噴流ノズル11は、略同じ高さに所定距離水平方向に隔てて、短辺浴槽壁4aに保持されている。なお、入浴者が噴流ノズル11が設けられた短辺浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴すれば、噴流ノズル11からの噴流を背中や腰に受けることができるし、その短辺浴槽壁4aに足を向けた姿勢で入浴すれば足裏や脹脛に噴流ノズル11からの噴流を受けることができる。
【0016】
図3は、噴流ノズル11の模式断面図である。
図4は、図3における噴流ノズル11を噴出口26側から見た正面図である。
【0017】
噴流ノズル11は、大きく分けて、略円筒形状でほぼまっすぐに延在する筒体20と、筒体20の軸方向の上流側端部に設けられた湾曲部30とを有する。筒体20は筒状の外側カバー31の内部に設けられ、湾曲部30はエルボカバー32の内部に設けられている。筒体20と湾曲部30とは一体成形構造であってもよいし、別体のものを結合させてもよい。
【0018】
外側カバー31の下流側端部には、図4に示すようにその中央部分に円形の貫通孔34aが形成された円環状のフランジ部34が設けられている。その貫通孔34aから筒体20の噴出口26を含む下流側端面が露出している。
【0019】
湾曲部30の内部には流水導入部22が形成され、その流水導入部22における上流側端部の最上流端に開口形成された流水導入口21は、前述した循環路8と接続される配管33と接続されている。
【0020】
図1において、噴流ノズル11は、その噴出口26を、浴槽1のあふれ縁より下で浴槽1の内部に臨ませて短辺浴槽壁4aに保持されている。ここで、「あふれ縁」とは、浴槽1内に浴槽水をためていったとき、最初に浴槽1内から溢れる部分の浴槽1の縁(またはリム)を意味する。このような構成のため、浴槽1内に浴槽水を溜めて人が入浴した状態で、噴流ノズル11からの噴流を確実に浴槽水中に噴出させることができる。
【0021】
流水導入部22の下流側端部は、流水導入部22の中で最も流路断面が縮小された流路断面収縮部23として機能する。流路断面収縮部23の最下流端は、筒体20の軸方向の上流側端部に開口している。
【0022】
流水導入部22の流路断面は円形または楕円形であり、その流路断面積は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次減少している。すなわち、流水導入部22の流路は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなっている。
【0023】
流路断面収縮部23の流路断面の中心は、筒体20及びチャンバー25の中心軸C1に一致している。流水導入部22の流路断面の中心を通る流路中心線C2は曲率を有する曲線を描き、流水導入部22は湾曲している。その流路中心線C2の下流端位置は、筒体20及びチャンバー25の中心軸C1に一致している。
【0024】
筒体20の内部には筒体20の軸方向に延在するチャンバー25が形成され、流路断面収縮部23は、そのチャンバー25に連通し、且つチャンバー25に対して流路断面が縮小されている。また、流路断面収縮部23は、その流路断面の中心を、チャンバー25の中心軸C1に一致させて、チャンバー25の軸方向に対して略平行に延在し、径が一定な直管状に形成されている。すなわち、流水導入部22の流路は上流側から下流側に向けて漸次細くなり、その細くなった先には、流路径がほぼ一定な直管部(流路断面収縮部23)が続いている。
【0025】
チャンバー25の軸方向の上流側端部には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば噴出口26からチャンバー25内を見た正面視でチャンバー25の略長方形状の長手方向の長さが4倍以上)された流路断面急拡大部24が設けられている。
【0026】
筒体20の外形は円筒状であるが、その内部に中空穴として形成されたチャンバー25は、チャンバー25のみを抽出して模式的に示す図5に示すように、流路断面急拡大部24から噴出口26にかけての断面形状が略長方形状に形成されている。すなわち、噴出口26からチャンバー25内を見た正面視でチャンバー25及び噴出口26の断面形状が略長方形状となっている。ここで、「略長方形状」とは、4つの角が直角に形成された矩形状に限らず、図6に示すように矩形において4つの角が丸まった(アールが付いた)形状や、図7に示すように略平行に対向する一対の直線を長辺として有すると共に短辺部分が曲線で構成されたオーバルもしくはレーストラック形状も含む。
【0027】
チャンバー25の軸方向の下流側端部には、チャンバー断面と同じ「略長方形状」の噴出口26が開口している。チャンバー25の内壁面は、流路断面急拡大部24から噴出口26に至るまで、チャンバー25の中心軸C1に対して略平行に延在し、また、チャンバー25は流路断面急拡大部24の断面形状が略長方形状のまま噴出口26まで続いている。チャンバー25における軸方向の上流側端部が流路断面急拡大部24として機能し、チャンバー25における軸方向の下流側端部が噴出口26として機能する。
【0028】
流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24にかけての流路壁面は略垂直に変化している。すなわち、流路断面収縮部23の流路壁面は、チャンバー25の軸方向に対して略平行であるのに対して、流路断面急拡大部24として機能するチャンバー25の軸方向の上流側端部の端面は、流路断面収縮部23の流路壁面に対して略垂直に続いて径外方に広がって形成されている。この流路壁面の急変化により、後述するように流路断面急拡大部24にて、壁面からの流れの剥離が生じる。
【0029】
流路断面収縮部23におけるチャンバー25内に臨む下流端開口は円形状に形成され、その中心はチャンバー25の軸中心に位置している。その流路断面収縮部23の下流端開口は、噴出口26からチャンバー25内を見た正面視において、チャンバー25の断面形状を形作る輪郭線よりも内側に位置し、図4において円形で表される流路断面収縮部23の下流端開口の開口縁部は、同じ図4において矩形状に表されるチャンバー25断面の輪郭線に対して離間し、それら開口縁部と輪郭線との間には上記正面視で隙間が存在する。
【0030】
また、本実施形態に係る噴流浴装置は、噴流ノズル11の内部に気泡を混入させるためのエア供給系統も備えている。そのエア供給系統の一具体例を図2に示す。
【0031】
ノズル11が取り付けられた短辺浴槽壁4a側の浴槽リム2の下方(裏側)には、前述したポンプ7や循環路8と共に、空気導入管43、電磁弁41、逆止弁42が設けられている。
【0032】
空気導入管43において、空気の流れの上流側の一端は、浴槽リム2に形成された空気取入口2aに通じ、下流側の他端側は2つに分岐してそれぞれ2つのノズル11に接続されている。空気導入管43の途中には、この空気導入管43内のエア流路を開閉する電磁弁41が切換装置として設けられている。また、切換装置は手動弁でも良いが、電磁弁だと制御も容易である。この具体例では、電磁弁41が、ノズル11が気泡を含む噴流を噴出する状態と、気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置として機能する。
【0033】
電磁弁41より下流側の空気導入管43には、空気取入口2aと通じる上流側からノズル11に通じる下流側に向かう方向を順方向とする逆止弁42が設けられ、浴槽水の空気取入口2a側への逆流が阻止されている。
【0034】
図3に示すように、チャンバー壁を構成する筒体20の周面の一部にチャンバー25内に通じる空気導入口37が開口形成されている。また、筒体20において空気導入口37が形成された部分には周方向にわたって溝36が形成されており、その溝36の底面の一部に空気導入口37が開口し、両者は連通している。外側カバー31において上記溝36と対向する部分にはニップル35が取り付けられている。ニップル35は、溝36と連通すると共に、上記空気導入管43に連通している。
【0035】
外側カバー31は浴槽壁に対して保持固定され、その内部に設けられた筒体20は外側カバー31に対して中心軸C1のまわりに回動自在となっている。図4に示すように、筒体20の下流側端面には噴出口26が開口しているが、その下流側端面において噴出口26の長辺部の外側には、噴出口26を挟んで位置する2つのくぼみ38が形成されている。くぼみ38は、図4において紙面奥側にくぼんでいる。これら2つのくぼみ38を指でつまみながら筒体20を外側カバー31に対して回動させることができ、この筒体20の回動によって、噴出口26の長手方向を任意の向きに設定することができる。図4においては、噴出口26の長手方向は縦向きにされているが、横向きにしたり、縦横に対して傾いた向きにしたりと、自由にその向きを変えることができる。
【0036】
筒体20の回動に伴って筒体20に形成された空気導入口37と、外側カバー31に固定されたニップル35との周方向の位置がずれるが、これら両者の間に隙間として存在する溝36は周方向の全周にわたって形成されているため、ニップル35と空気導入口37との位置が一致しなくても、溝36を介してニップル35と空気導入口37とは通じている。したがって、空気取入口2a、空気導入管43、ニップル35、溝36および空気導入口37を介して、チャンバー25内に大気中から空気を導入することができる。しかしながらこの度の構造では、空気導入口37は一つでも良いため、チャンバー壁面が凸凹にならずノズルの噴流性能に影響がない。また、構造的にも強いままで、加工や製造が簡単である。
【0037】
次に、本実施形態に係る噴流浴装置の作用について説明する。
【0038】
浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、前述したポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路6内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路8を介して、噴流ノズル11の流水導入部22に導入される。
【0039】
ここで、図8(a)〜(d)において左側に表される図は、前述した電磁弁41を閉じて気泡混入をしない状態におけるチャンバー25内での流水の挙動を説明するための模式図であり、その図の右側には噴出口26側から見た正面図を示す。この正面図において、噴出噴流の正面側から見た位置を1点鎖線の円で模式的に表す。(a)において左側の図は、その右側の図におけるA−A断面に対応し、(b)〜(d)の各図においても同様である。
【0040】
流水導入部22に導入された加圧浴槽水は、流路断面収縮部23および流路断面急拡大部24を順に経てチャンバー25内に噴流となって流入する。加圧浴槽水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、筒体20の内壁面に沿って流れることができなくなり、すなわち流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0041】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の一部に流れが再付着する。
【0042】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25の内壁面に沿って噴出口26に向かって流れ、噴出口26の出口断面の一部に偏って浴槽1内に噴出する。
【0043】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されることによって、前述した主流の一部は噴出口26から噴出されず、図8(b)において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0044】
その上流側に戻された流れが、図8(c)に表すように、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、図8(d)に表すように、流路断面急拡大部24付近で中心軸C1まわりに旋回流が形成され、これにより、主流の内壁面に対する再付着位置が不規則に変化し、チャンバー25内には中心軸C1まわりに不規則に旋回する流れが形成される。ここで、流路断面収縮部23のチャンバー25に臨む下流端開口の開口縁部(図示の例では円形状)と、チャンバー25の略長方形状の輪郭線(すなわちチャンバー25の周囲を囲む4つの内壁面)と、の間には前述した隙間が存在することから、チャンバー25内における上記よどみ領域に、流路断面収縮部23の下流端開口径よりも広がった空間が流路断面収縮部23の下流端開口の全周方向に存在し、そこでの旋回流の形成を可能とする。
そして、噴出口26も含めたチャンバー25の断面形状は前述したように略長方形状であるため、その短手方向への旋回流の広がり(膨らみ)は規制され、結果として噴出口26からはその長手方向に不規則に往復移動する噴流が噴出される。図8(d)の右側の正面図において、正面側から見た噴出噴流の位置の移動軌跡を1点鎖線の矢印で模式的に表す。
【0045】
流路断面収縮部の流路径(図3におけるd)を8.3mm、チャンバー25の軸方向長さ(図3におけるL)を76.6mm、チャンバー25及び噴出口26の断面における長手方向寸法(図4におけるD)を34mm、チャンバー25及び噴出口26の断面における短手方向寸法(図4におけるW)を14mm、流路断面収縮部23におけるチャンバー25内に臨む下流端開口の開口縁部と、チャンバー25の断面輪郭線における長辺部との間の距離(図4におけるX)を2.85mmにそれぞれ設計し、ノズル内への供給流量を25〜45リットル/分とした場合に、噴出口26の長手方向に往復して振れるような噴流の噴出を確認できた。
【0046】
ここで、本発明者等は、本実施形態に係るノズル11からの噴出噴流を、噴出口26から70mmの位置に設けた面状に広がる観測体に衝突させ、その観測体に対する噴流衝突部分を可視化した状態で噴出口26に対して正対する方向から撮像装置で撮影することで、噴出噴流の挙動を調べた。
【0047】
ノズル11における各寸法を前述した値に設計し、ノズル11内への供給流量を40リットル/分とした。
【0048】
撮影画像の解析結果を図9に示す。
【0049】
図9(a)は、上記観測体に対する噴流衝突部分の中心位置の時間変化に伴う衝突面内分布(移動軌跡)であり、小さな○印が観測体に対する噴流衝突部分の中心位置を示す。これら分布図の横軸のx方向及び縦軸のy方向における0は、矩形状の噴出口26の中心を表し、x方向はその矩形状の噴出口26の長手方向に、y方向は短手方向にそれぞれ対応する。
【0050】
図9(a)に示される噴流衝突部分中心位置の移動軌跡において、x方向の位置の時間変化(移動軌跡)を表したのが図9(b)であり、y方向の位置の時間変化(移動軌跡)を表したのが図9(c)である。
【0051】
画像解析フレーム数は600フレームであり、時間ステップは0.01秒、解析総時間は6秒である。
【0052】
図9の結果より、噴出噴流は、y方向すなわち矩形状の噴出口26の短手方向への変位はわずかで、x方向すなわち噴出口26の長手方向に大きく振れていることが確認できた。
【0053】
入浴者は、噴流ノズル11から噴出される気泡を含まない往復噴流を、腰、背、肩、手、足等の身体の一部に受けることにより、マッサージ効果を得ることができる。前述したように筒体20を回動させることで噴出口26の長手方向を縦向きにしたり、横向きにしたり、斜め向きにしたりと任意にその向きを設定できるため、例えば噴出口26を縦向きにした場合に、入浴者がノズル11が取り付けられた短辺浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴すれば、背骨に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。
【0054】
同じく噴出口26を縦向きにした場合において、入浴者が足裏をノズル11側に向けた姿勢で入浴すれば、足裏における足先と踵との間の足裏縦方向に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。また、噴出口26を横向きにした場合において、入浴者が足裏をノズル11側に向けた姿勢で入浴すれば、足の指の付け根部分に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。
【0055】
このような気泡を含まず往復移動する噴流によるマッサージは、一般に広く知られる気泡混入による細くて強く、まっすぐに噴出する直線的な噴流では得られないものである。しかも、そのような直線噴流に比べて、本実施形態によって実現される往復振動噴流は太くてやわらかいため、局所的に強い刺激感ではなく、もみほぐすような手もみに近いマッサージ感を得ることができ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0056】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11は、チャンバー25の流路断面急拡大部24から断面形状が略長方形状のまま噴出口26まで続いており、内部に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の往復移動を励起する構成となっているため、チャンバー25が凸凹の少ない形状になっているため、汚れも付き難くメンテナンスや製作も容易である。また、噴出方向切り換え用の三方弁が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、細い制御用流路がないため、ゴミ詰まりなどの心配もない。
【0057】
また、本実施形態では、チャンバー25を囲む筒体20は一重構造である。すなわち、ひとつの筒体20によって周囲が囲まれる単一空間(流路)内で、噴出口26へと向かう主流、および主流とは逆方向に流れる還流が形成され、浴槽水中に往復噴流として噴出される。したがって、構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、ゴミ詰まりの心配もない。
【0058】
また、本実施形態では、チャンバー25への流入口として機能する流路断面収縮部23は、チャンバー25を囲む筒体20の周壁部には形成されてはおらず、チャンバー25の軸方向の上流側端部に開口している。したがって、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入した主流は、流路断面急拡大部24で流路壁面から剥離した後、チャンバー25の内周面に再付着して、ある程度の直進性を保ったまま噴出口26から噴出し、さらに、その主流の流路壁面(チャンバー25の内周面)への再付着位置がチャンバー25内に形成される循環流(戻り流)により変化することで、噴出方向が変化するため、刺激箇所が時間とともに変化するような変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0059】
また、本実施形態では、一つのノズルに対する流水の入力系統は1系統であり、2系統の入力流路や、三方弁、制御流の制御手段等を必要とせず、システムを簡単にしてゴミ詰まりも無く、コストやメンテナンス性に優れる。
【0060】
前述した噴流噴出動作では、空気導入管43を開閉する電磁弁41を「閉」にして気泡を含まない噴流を噴出させた場合について説明したが、噴流噴出中チャンバー25内は、噴出口26面に比べ圧力が低く、チャンバー25内は概ね負圧となるため、電磁弁41を「開」にすれば、空気取入口2a、空気導入管43、溝36、空気導入口37を介して、大気中の空気をチャンバー25内流水に自吸混入させ、噴出口26から気泡を含む噴流を浴槽水中に噴出させることができる。
【0061】
気泡を混入させた場合、チャンバー25内水流の偏ろうとする力が弱くなり、前述した流路断面急拡大部24側へと戻される戻り流が形成されなくなる、もしくは減少することで、チャンバー25内水流の内壁面への付着位置の変化が起こりにくくなる。この結果、噴出口26からは気泡を含むまっすぐな直進噴流が噴出される。この直進噴流は、略長方形状の噴出口26の形状に合わせた幅の噴流束として噴出される。この気泡を含む直進噴流は、前述した気泡を含まないやわらかな往復振動噴流とは異なり、勢いがあり刺激が強めの噴流である。このような直進噴流を入浴者は局部的に受けることでその部分の血行を促進したり、凝りの軽減が図れる。
【0062】
前述したように、噴流噴出動作中、チャンバー25内における特に内壁面近傍に負圧領域が生じるため、空気導入口はチャンバー25のどこの面に開口させても、その開口を通じてチャンバー25内に空気が吸い込まれ、噴流に気泡が混入されることになる。そこで、このことを検証するため、本発明者等は図9の写真図に示す試作品を作製し、流路断面収縮部の流路径を8.3mm、チャンバー内への供給流量を40リットル/分として、以下に説明する実験を行った。
【0063】
図10に示すものは、前述した噴流ノズル11の筒体20に相当する部分であり、図10(a)はその筒体を、矩形状の噴出口側から撮影した写真図であり、図10(b)は同筒体への流水の導入口(流路断面収縮部のチャンバー内に臨む下流端開口)側から撮影した写真図である。
【0064】
図11(a)〜(c)は、矩形状断面のチャンバーの短辺部に対向する筒体壁に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図である。図11(a)は、流路断面収縮部がチャンバー内に開口する面(以下オリフィス面という)から軸方向に沿って下流側に10mmの位置に空気導入口を形成した場合を示し、図11(b)は、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に30mmの位置に空気導入口を形成した場合を示し、図11(c)は、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に60mmの位置に空気導入口を形成した場合を示す。また、図11(d)は、矩形状断面のチャンバーの長辺部に対向する筒体壁における、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に10mmの位置に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す。
【0065】
また、筒体の周壁にではなく筒体の上流側の軸方向端面に相当するオリフィス面に、図12に示すように空気導入口を形成した構成についても噴流噴出実験を行った。図12(a)は、流路断面収縮部の下流端開口の直径を8.3mmとし、その近くにそれよりも小さな径の空気導入口を3つ形成した場合を示し、図12(b)は、同じく流路断面収縮部の下流端開口の直径を8.3mmとし、その近くに8.3mmよりも幅の小さな曲がった長穴形状の空気導入口を形成した場合を示す。
【0066】
図13(a)は、図12(a)の空気導入口を形成した場合に空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図であり、図13(b)は、図12(b)の空気導入口を形成した場合に空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図である。
【0067】
以上の実験結果より、チャンバーを囲む面のどこに空気導入口を形成しても、チャンバー内流水に空気自吸混入が可能であり、気泡を含む直進噴流を噴出させることができた。なお、チャンバー内において特に流路断面収縮部付近の流速が速く、最も負圧を生じさせやすいため、確実に空気自吸混入を行わせるためには、流路断面収縮部近傍の筒体壁に空気導入口を形成するのが好ましい。
【0068】
また、大気中から空気導入管43内に空気を取り入れるための空気取入口2aは、浴槽リム2の上に設けている。これにより、浴槽内にいっぱいまで浴槽水が貯留されたとしても、空気取入口2aは浴槽水に浸からず、空気の取り込みが妨げられない。一方ここで浴槽リム下の、閉鎖された空間の空気を取り込むことは良くない。なぜなら、浴槽リム下の閉鎖された空間の空気は、流れがよどんでいるからである。なお、本実施形態のように構成しておくと、浴室内の換気された空気を取り込むため、空気が新鮮で清潔である。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、気泡を含む比較的強い刺激感が得られる直進噴流と、略長方形状の噴出口26の長手方向に振れながら噴出し手もみマッサージに近い刺激感が得られる気泡無しの往復振動噴流といった、モードの異なる噴流を、可動部がなく簡単な構造の同じノズル11を使って、単に電磁弁41の開閉制御により両モードを選択切換して実現できる。
【0070】
すなわち、各モードごとに専用のノズルを用意することなく、各モード間で同じ共通のノズルを使ってコストや設置スペースの増大を抑えつつ、多様なマッサージを実現する。さらに、ノズル内流水に気泡を混入させるにあたっては、チャンバー内に生じる負圧を利用して空気を自吸する構成としており、且つ空気混入有無の切り換えは単に空気導入管43に設けた電磁弁41の開閉制御で簡単に行うことができ、エア供給系統の構成を簡単にし、コストや設置スペースの点で優れている。
【0071】
図14に、エア供給系統の他の具体例を示す。この具体例では、ノズル11内への空気の供給を自吸ではなく、空気導入管51に接続されたエアコンプレッサ52を用いて行う。空気導入管51は、浴槽リム2に設けた空気取入口2aと、ポンプ7の吐出側の管路8との間に接続されている。エアコンプレッサ52は、空気取入口2aを介して大気中から取り込んだ空気を管路8に圧送し、これにより、管路8をノズル11内に向けて流れる加圧浴槽水中に気泡が混入され、この気泡混入流水はノズル11内に導入されて噴出口26から気泡入りの直進噴流が噴出される。
【0072】
エアコンプレッサ52より下流側の空気導入管51には、エアコンプレッサ52からノズル11側に向かう方向を順方向とする逆止弁53が設けられ、浴槽水のエアコンプレッサ52側への逆流が阻止されている。
【0073】
この具体例では、エアコンプレッサ52が空気混入有無の切換装置として機能し、エアコンプレッサ52を駆動させればノズル11内に空気が送られ、気泡を含む直進噴流が噴出され、エアコンプレッサ52を停止させれば、ノズル11内に空気は送られず、気泡を含まない前述した往復振動噴流が噴出される。エアコンプレッサ52を使用することで大量の空気を強制的に導入することができ、大流量の気泡噴流が可能になる。そうした場合、気泡を含まない往復振動噴流の感じ方と、変化度合いが大きく変わって、その変化度合いを楽しむことができる。さらに、ノズル11に空気導入用開口などの空気導入機構を設ける必要がないため構成が簡単になる。また、ノズル11の取り付けについても取り付ける配管を少なくすることができ、取り付けが容易になる。
【0074】
また、図15には、エア供給系統のさらに他の具体例を示す。この具体例では、空気導入管63の上流側の一端は浴槽リム2に設けられた空気取入口2aに通じ、下流側の他端はポンプ7の吸込側の管路6に通じている。
【0075】
空気導入管63の上流側には、ノズル11内への空気混入有無の切換装置としえ機能する電磁弁61が設けられている。電磁弁61より下流側の空気導入管63には、空気取入口2a側から管路6側に向かう方向を順方向とする逆止弁62が設けられ、浴槽水の空気取入口2a側への逆流が阻止されている。
【0076】
空気導入管63が管路6につながれる部分は、ポンプ7の吸込口近くの管路6の下流側に設けられ、ポンプ7の引き込み力によって負圧が生じる。
【0077】
電磁弁61を「開」にすれば、負圧により、空気取入口2a及び空気導入管63を介して大気中から空気が管路6内に自吸されて流水中に気泡として混入され、この気泡混入流水はポンプ7に吸い込まれて管路8を介してノズル11に向けて圧送される。これにより気泡混入流水がノズル11内に導入され、噴出口26から気泡を含む直進噴流が噴出される。
【0078】
電磁弁61を「閉」にすれば、空気の自吸は行われず、したがって、気泡を含まない前述した往復振動噴流がノズル11の噴出口26から噴出される。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0080】
噴流ノズルの流水導入部における流水導入口から流路断面収縮部へと続く部分は流路径がほぼ一定のまま湾曲させた構造としてもよい。ただし、図3に示す前述した実施形態のように、流水導入部22の流路径を上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなるようにし、且つその流水導入部22の流路断面中心線C2の下流端位置をチャンバー25の中心軸C1に一致させることで、流路径一定のまま湾曲させた場合に比べて、湾曲部の突出長を抑えて、限られた浴室内スペースでの設置に有利となる小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統の一具体例を示す模式図。
【図3】同噴流浴装置における噴流ノズルの模式断面図。
【図4】同噴流ノズルを噴出口側から見た正面図。
【図5】同噴流ノズルにおけるチャンバーの模式図。
【図6】同噴流ノズルにおけるチャンバー及び噴出口の断面形状の他の具体例を示す模式図。
【図7】同噴流ノズルにおけるチャンバー及び噴出口の断面形状のさらに他の具体例を示す模式図。
【図8】同噴流ノズル内における気泡を混入させないときの流水の挙動を説明するための模式図。
【図9】同噴流ノズルからの噴出噴流を、噴出口から70mmの位置に設けた面状に広がる観測体に衝突させ、その観測体に対する噴流衝突部分の中心位置の時間変化に伴う挙動を示す模式図。
【図10】本発明の実施形態に係る噴流ノズルの筒体に相当する部分の試作品の写真図。
【図11】図10に示す筒体壁に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図。
【図12】図10に示す筒体の上流側の軸方向端面に相当するオリフィス面に形成した空気導入口を示す写真図。
【図13】図12に示す空気導入口から空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図。
【図14】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統の他の具体例を示す模式図。
【図15】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統のさらに他の具体例を示す模式図。
【符号の説明】
【0082】
1…浴槽、5…吸入口、11…噴流ノズル、20…筒体、22…流水導入部、23…流路断面収縮部、24…流路断面急拡大部、25…チャンバー、26…噴出口、41,61…電磁弁、43,51,63…空気導入管、52…エアコンプレッサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流ノズルを備えた噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽内に噴出させるものがあるが、その多くは、まっすぐに噴流を噴出させるものであり(例えば特許文献1)、噴流が入浴者の体の一部に局所的にあたり、噴流により受ける刺激が単調で飽きやすく、多様なマッサージ感は得られ難かった。
【0003】
また、特許文献2〜4には、ノズル自体に可動部を設けない構造にて、噴出方向を変化させつつ噴流噴出可能な構成が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ノズル内における流体自身の作用にて、噴流の発振現象を生じさせることが開示されている。特許文献3によれば、配管内の三方弁の開度を調整して流量比率を変化させて、浴槽水面下で2流路からの吐水によって2流体衝突を行い、気液2相流で往復振動噴流させて、リンパの流れに沿って噴流マッサージを行わせるとの開示がある。特許文献4には、吐水流を往復振動させるための制御流の切換流路を設けて、浴槽水面下において気液2相流でゆっくりとした往復振動噴流を実現する構成が開示されている。
【特許文献1】特開平7−178142号公報
【特許文献2】特開平4−176461号公報
【特許文献3】特開2006−325992号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第4409656号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
同じ浴槽装置にて、特許文献1に開示されたような直進噴流と、特許文献2〜4に開示されたような噴出方向が変化する噴流とを切り換えて選択したい場合には、それぞれの噴流を実現する別構成のノズルを設ける必要があり、ノズル数の増大は、コストや設置スペースの増大につながってしまう。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、簡単な構造の同じ共通のノズルにて、まっすぐな噴流噴出と往復自励振動する噴流噴出の両方を切り換えて実現可能な噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、前記浴槽のあふれ縁より下で前記浴槽壁に対して保持される一重構造の筒体を有し、前記筒体の内部に導入された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、前記噴流ノズルの内部に気泡を混入させるための空気導入管と、前記噴流ノズルが気泡を含む噴流を噴出する状態と、前記噴流ノズルが気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置と、を備えた噴流浴装置であって、前記噴流ノズルは、流水導入部と、前記筒体の軸方向に延在して前記筒体の内部に形成されたチャンバーと、を有し、前記流水導入部は、前記加圧装置から送られる加圧浴槽水が導入される上流側端部と、前記上流側端部に対して流路が細くされると共に前記チャンバーに連通する下流側端部と、を有し、前記チャンバーは、前記軸方向の上流側端部に設けられ前記流水導入部の前記下流側端部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部と、前記軸方向の下流側端部に開口され前記浴槽の内部に臨む噴出口と、を有し、前記流路断面急拡大部から前記噴出口にかけての断面形状が略長方形状に形成され、前記流水導入部の前記下流側端部における前記チャンバー内に臨む下流端開口は、前記噴出口から前記チャンバー内を見た正面視で前記チャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、前記流水導入部の前記下流端開口の開口縁部と前記輪郭線との間に隙間が存在することを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡単な構造の同じ共通のノズルにて、まっすぐな噴流噴出と往復自励振動する噴流噴出の両方を切り換えて実現可能な噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図である。
【0010】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁に開口された吸入口5と、循環路6、8と、循環路6、8の間に接続された加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁に設けられた2つの噴流ノズル11とを備える。
【0011】
浴槽1は、略平行に相対向する一対の長辺浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺浴槽壁4a、4bとを有する。
【0012】
吸入口5は一対の長辺浴槽壁3a、3bのうちの一方(図1に示す例では長辺浴槽壁3a)に形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路6へと吸い込まれる。
【0013】
一般に、入浴者は、向かい合う一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方に背をもたれかけて他方の短辺浴槽壁に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺浴槽壁に形成するのが望ましい。
【0014】
循環路6の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸込口に接続されている。循環路8の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端は噴流ノズル11に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路6内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路8に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、噴流ノズル11の内部に流入する。なお、使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は吸入口5よりも上方に設けることが望ましい。
【0015】
本実施形態では、一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方(図1に示す例では短辺浴槽壁4a)に、2つの噴流ノズル11を取り付けている。2つの噴流ノズル11は、略同じ高さに所定距離水平方向に隔てて、短辺浴槽壁4aに保持されている。なお、入浴者が噴流ノズル11が設けられた短辺浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴すれば、噴流ノズル11からの噴流を背中や腰に受けることができるし、その短辺浴槽壁4aに足を向けた姿勢で入浴すれば足裏や脹脛に噴流ノズル11からの噴流を受けることができる。
【0016】
図3は、噴流ノズル11の模式断面図である。
図4は、図3における噴流ノズル11を噴出口26側から見た正面図である。
【0017】
噴流ノズル11は、大きく分けて、略円筒形状でほぼまっすぐに延在する筒体20と、筒体20の軸方向の上流側端部に設けられた湾曲部30とを有する。筒体20は筒状の外側カバー31の内部に設けられ、湾曲部30はエルボカバー32の内部に設けられている。筒体20と湾曲部30とは一体成形構造であってもよいし、別体のものを結合させてもよい。
【0018】
外側カバー31の下流側端部には、図4に示すようにその中央部分に円形の貫通孔34aが形成された円環状のフランジ部34が設けられている。その貫通孔34aから筒体20の噴出口26を含む下流側端面が露出している。
【0019】
湾曲部30の内部には流水導入部22が形成され、その流水導入部22における上流側端部の最上流端に開口形成された流水導入口21は、前述した循環路8と接続される配管33と接続されている。
【0020】
図1において、噴流ノズル11は、その噴出口26を、浴槽1のあふれ縁より下で浴槽1の内部に臨ませて短辺浴槽壁4aに保持されている。ここで、「あふれ縁」とは、浴槽1内に浴槽水をためていったとき、最初に浴槽1内から溢れる部分の浴槽1の縁(またはリム)を意味する。このような構成のため、浴槽1内に浴槽水を溜めて人が入浴した状態で、噴流ノズル11からの噴流を確実に浴槽水中に噴出させることができる。
【0021】
流水導入部22の下流側端部は、流水導入部22の中で最も流路断面が縮小された流路断面収縮部23として機能する。流路断面収縮部23の最下流端は、筒体20の軸方向の上流側端部に開口している。
【0022】
流水導入部22の流路断面は円形または楕円形であり、その流路断面積は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次減少している。すなわち、流水導入部22の流路は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなっている。
【0023】
流路断面収縮部23の流路断面の中心は、筒体20及びチャンバー25の中心軸C1に一致している。流水導入部22の流路断面の中心を通る流路中心線C2は曲率を有する曲線を描き、流水導入部22は湾曲している。その流路中心線C2の下流端位置は、筒体20及びチャンバー25の中心軸C1に一致している。
【0024】
筒体20の内部には筒体20の軸方向に延在するチャンバー25が形成され、流路断面収縮部23は、そのチャンバー25に連通し、且つチャンバー25に対して流路断面が縮小されている。また、流路断面収縮部23は、その流路断面の中心を、チャンバー25の中心軸C1に一致させて、チャンバー25の軸方向に対して略平行に延在し、径が一定な直管状に形成されている。すなわち、流水導入部22の流路は上流側から下流側に向けて漸次細くなり、その細くなった先には、流路径がほぼ一定な直管部(流路断面収縮部23)が続いている。
【0025】
チャンバー25の軸方向の上流側端部には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば噴出口26からチャンバー25内を見た正面視でチャンバー25の略長方形状の長手方向の長さが4倍以上)された流路断面急拡大部24が設けられている。
【0026】
筒体20の外形は円筒状であるが、その内部に中空穴として形成されたチャンバー25は、チャンバー25のみを抽出して模式的に示す図5に示すように、流路断面急拡大部24から噴出口26にかけての断面形状が略長方形状に形成されている。すなわち、噴出口26からチャンバー25内を見た正面視でチャンバー25及び噴出口26の断面形状が略長方形状となっている。ここで、「略長方形状」とは、4つの角が直角に形成された矩形状に限らず、図6に示すように矩形において4つの角が丸まった(アールが付いた)形状や、図7に示すように略平行に対向する一対の直線を長辺として有すると共に短辺部分が曲線で構成されたオーバルもしくはレーストラック形状も含む。
【0027】
チャンバー25の軸方向の下流側端部には、チャンバー断面と同じ「略長方形状」の噴出口26が開口している。チャンバー25の内壁面は、流路断面急拡大部24から噴出口26に至るまで、チャンバー25の中心軸C1に対して略平行に延在し、また、チャンバー25は流路断面急拡大部24の断面形状が略長方形状のまま噴出口26まで続いている。チャンバー25における軸方向の上流側端部が流路断面急拡大部24として機能し、チャンバー25における軸方向の下流側端部が噴出口26として機能する。
【0028】
流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24にかけての流路壁面は略垂直に変化している。すなわち、流路断面収縮部23の流路壁面は、チャンバー25の軸方向に対して略平行であるのに対して、流路断面急拡大部24として機能するチャンバー25の軸方向の上流側端部の端面は、流路断面収縮部23の流路壁面に対して略垂直に続いて径外方に広がって形成されている。この流路壁面の急変化により、後述するように流路断面急拡大部24にて、壁面からの流れの剥離が生じる。
【0029】
流路断面収縮部23におけるチャンバー25内に臨む下流端開口は円形状に形成され、その中心はチャンバー25の軸中心に位置している。その流路断面収縮部23の下流端開口は、噴出口26からチャンバー25内を見た正面視において、チャンバー25の断面形状を形作る輪郭線よりも内側に位置し、図4において円形で表される流路断面収縮部23の下流端開口の開口縁部は、同じ図4において矩形状に表されるチャンバー25断面の輪郭線に対して離間し、それら開口縁部と輪郭線との間には上記正面視で隙間が存在する。
【0030】
また、本実施形態に係る噴流浴装置は、噴流ノズル11の内部に気泡を混入させるためのエア供給系統も備えている。そのエア供給系統の一具体例を図2に示す。
【0031】
ノズル11が取り付けられた短辺浴槽壁4a側の浴槽リム2の下方(裏側)には、前述したポンプ7や循環路8と共に、空気導入管43、電磁弁41、逆止弁42が設けられている。
【0032】
空気導入管43において、空気の流れの上流側の一端は、浴槽リム2に形成された空気取入口2aに通じ、下流側の他端側は2つに分岐してそれぞれ2つのノズル11に接続されている。空気導入管43の途中には、この空気導入管43内のエア流路を開閉する電磁弁41が切換装置として設けられている。また、切換装置は手動弁でも良いが、電磁弁だと制御も容易である。この具体例では、電磁弁41が、ノズル11が気泡を含む噴流を噴出する状態と、気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置として機能する。
【0033】
電磁弁41より下流側の空気導入管43には、空気取入口2aと通じる上流側からノズル11に通じる下流側に向かう方向を順方向とする逆止弁42が設けられ、浴槽水の空気取入口2a側への逆流が阻止されている。
【0034】
図3に示すように、チャンバー壁を構成する筒体20の周面の一部にチャンバー25内に通じる空気導入口37が開口形成されている。また、筒体20において空気導入口37が形成された部分には周方向にわたって溝36が形成されており、その溝36の底面の一部に空気導入口37が開口し、両者は連通している。外側カバー31において上記溝36と対向する部分にはニップル35が取り付けられている。ニップル35は、溝36と連通すると共に、上記空気導入管43に連通している。
【0035】
外側カバー31は浴槽壁に対して保持固定され、その内部に設けられた筒体20は外側カバー31に対して中心軸C1のまわりに回動自在となっている。図4に示すように、筒体20の下流側端面には噴出口26が開口しているが、その下流側端面において噴出口26の長辺部の外側には、噴出口26を挟んで位置する2つのくぼみ38が形成されている。くぼみ38は、図4において紙面奥側にくぼんでいる。これら2つのくぼみ38を指でつまみながら筒体20を外側カバー31に対して回動させることができ、この筒体20の回動によって、噴出口26の長手方向を任意の向きに設定することができる。図4においては、噴出口26の長手方向は縦向きにされているが、横向きにしたり、縦横に対して傾いた向きにしたりと、自由にその向きを変えることができる。
【0036】
筒体20の回動に伴って筒体20に形成された空気導入口37と、外側カバー31に固定されたニップル35との周方向の位置がずれるが、これら両者の間に隙間として存在する溝36は周方向の全周にわたって形成されているため、ニップル35と空気導入口37との位置が一致しなくても、溝36を介してニップル35と空気導入口37とは通じている。したがって、空気取入口2a、空気導入管43、ニップル35、溝36および空気導入口37を介して、チャンバー25内に大気中から空気を導入することができる。しかしながらこの度の構造では、空気導入口37は一つでも良いため、チャンバー壁面が凸凹にならずノズルの噴流性能に影響がない。また、構造的にも強いままで、加工や製造が簡単である。
【0037】
次に、本実施形態に係る噴流浴装置の作用について説明する。
【0038】
浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、前述したポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路6内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路8を介して、噴流ノズル11の流水導入部22に導入される。
【0039】
ここで、図8(a)〜(d)において左側に表される図は、前述した電磁弁41を閉じて気泡混入をしない状態におけるチャンバー25内での流水の挙動を説明するための模式図であり、その図の右側には噴出口26側から見た正面図を示す。この正面図において、噴出噴流の正面側から見た位置を1点鎖線の円で模式的に表す。(a)において左側の図は、その右側の図におけるA−A断面に対応し、(b)〜(d)の各図においても同様である。
【0040】
流水導入部22に導入された加圧浴槽水は、流路断面収縮部23および流路断面急拡大部24を順に経てチャンバー25内に噴流となって流入する。加圧浴槽水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、筒体20の内壁面に沿って流れることができなくなり、すなわち流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0041】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の一部に流れが再付着する。
【0042】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25の内壁面に沿って噴出口26に向かって流れ、噴出口26の出口断面の一部に偏って浴槽1内に噴出する。
【0043】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されることによって、前述した主流の一部は噴出口26から噴出されず、図8(b)において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0044】
その上流側に戻された流れが、図8(c)に表すように、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、図8(d)に表すように、流路断面急拡大部24付近で中心軸C1まわりに旋回流が形成され、これにより、主流の内壁面に対する再付着位置が不規則に変化し、チャンバー25内には中心軸C1まわりに不規則に旋回する流れが形成される。ここで、流路断面収縮部23のチャンバー25に臨む下流端開口の開口縁部(図示の例では円形状)と、チャンバー25の略長方形状の輪郭線(すなわちチャンバー25の周囲を囲む4つの内壁面)と、の間には前述した隙間が存在することから、チャンバー25内における上記よどみ領域に、流路断面収縮部23の下流端開口径よりも広がった空間が流路断面収縮部23の下流端開口の全周方向に存在し、そこでの旋回流の形成を可能とする。
そして、噴出口26も含めたチャンバー25の断面形状は前述したように略長方形状であるため、その短手方向への旋回流の広がり(膨らみ)は規制され、結果として噴出口26からはその長手方向に不規則に往復移動する噴流が噴出される。図8(d)の右側の正面図において、正面側から見た噴出噴流の位置の移動軌跡を1点鎖線の矢印で模式的に表す。
【0045】
流路断面収縮部の流路径(図3におけるd)を8.3mm、チャンバー25の軸方向長さ(図3におけるL)を76.6mm、チャンバー25及び噴出口26の断面における長手方向寸法(図4におけるD)を34mm、チャンバー25及び噴出口26の断面における短手方向寸法(図4におけるW)を14mm、流路断面収縮部23におけるチャンバー25内に臨む下流端開口の開口縁部と、チャンバー25の断面輪郭線における長辺部との間の距離(図4におけるX)を2.85mmにそれぞれ設計し、ノズル内への供給流量を25〜45リットル/分とした場合に、噴出口26の長手方向に往復して振れるような噴流の噴出を確認できた。
【0046】
ここで、本発明者等は、本実施形態に係るノズル11からの噴出噴流を、噴出口26から70mmの位置に設けた面状に広がる観測体に衝突させ、その観測体に対する噴流衝突部分を可視化した状態で噴出口26に対して正対する方向から撮像装置で撮影することで、噴出噴流の挙動を調べた。
【0047】
ノズル11における各寸法を前述した値に設計し、ノズル11内への供給流量を40リットル/分とした。
【0048】
撮影画像の解析結果を図9に示す。
【0049】
図9(a)は、上記観測体に対する噴流衝突部分の中心位置の時間変化に伴う衝突面内分布(移動軌跡)であり、小さな○印が観測体に対する噴流衝突部分の中心位置を示す。これら分布図の横軸のx方向及び縦軸のy方向における0は、矩形状の噴出口26の中心を表し、x方向はその矩形状の噴出口26の長手方向に、y方向は短手方向にそれぞれ対応する。
【0050】
図9(a)に示される噴流衝突部分中心位置の移動軌跡において、x方向の位置の時間変化(移動軌跡)を表したのが図9(b)であり、y方向の位置の時間変化(移動軌跡)を表したのが図9(c)である。
【0051】
画像解析フレーム数は600フレームであり、時間ステップは0.01秒、解析総時間は6秒である。
【0052】
図9の結果より、噴出噴流は、y方向すなわち矩形状の噴出口26の短手方向への変位はわずかで、x方向すなわち噴出口26の長手方向に大きく振れていることが確認できた。
【0053】
入浴者は、噴流ノズル11から噴出される気泡を含まない往復噴流を、腰、背、肩、手、足等の身体の一部に受けることにより、マッサージ効果を得ることができる。前述したように筒体20を回動させることで噴出口26の長手方向を縦向きにしたり、横向きにしたり、斜め向きにしたりと任意にその向きを設定できるため、例えば噴出口26を縦向きにした場合に、入浴者がノズル11が取り付けられた短辺浴槽壁4aに背中を向けた姿勢で入浴すれば、背骨に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。
【0054】
同じく噴出口26を縦向きにした場合において、入浴者が足裏をノズル11側に向けた姿勢で入浴すれば、足裏における足先と踵との間の足裏縦方向に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。また、噴出口26を横向きにした場合において、入浴者が足裏をノズル11側に向けた姿勢で入浴すれば、足の指の付け根部分に沿って往復移動する噴流マッサージを受けることができる。
【0055】
このような気泡を含まず往復移動する噴流によるマッサージは、一般に広く知られる気泡混入による細くて強く、まっすぐに噴出する直線的な噴流では得られないものである。しかも、そのような直線噴流に比べて、本実施形態によって実現される往復振動噴流は太くてやわらかいため、局所的に強い刺激感ではなく、もみほぐすような手もみに近いマッサージ感を得ることができ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0056】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11は、チャンバー25の流路断面急拡大部24から断面形状が略長方形状のまま噴出口26まで続いており、内部に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の往復移動を励起する構成となっているため、チャンバー25が凸凹の少ない形状になっているため、汚れも付き難くメンテナンスや製作も容易である。また、噴出方向切り換え用の三方弁が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、細い制御用流路がないため、ゴミ詰まりなどの心配もない。
【0057】
また、本実施形態では、チャンバー25を囲む筒体20は一重構造である。すなわち、ひとつの筒体20によって周囲が囲まれる単一空間(流路)内で、噴出口26へと向かう主流、および主流とは逆方向に流れる還流が形成され、浴槽水中に往復噴流として噴出される。したがって、構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。さらには、ゴミ詰まりの心配もない。
【0058】
また、本実施形態では、チャンバー25への流入口として機能する流路断面収縮部23は、チャンバー25を囲む筒体20の周壁部には形成されてはおらず、チャンバー25の軸方向の上流側端部に開口している。したがって、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入した主流は、流路断面急拡大部24で流路壁面から剥離した後、チャンバー25の内周面に再付着して、ある程度の直進性を保ったまま噴出口26から噴出し、さらに、その主流の流路壁面(チャンバー25の内周面)への再付着位置がチャンバー25内に形成される循環流(戻り流)により変化することで、噴出方向が変化するため、刺激箇所が時間とともに変化するような変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0059】
また、本実施形態では、一つのノズルに対する流水の入力系統は1系統であり、2系統の入力流路や、三方弁、制御流の制御手段等を必要とせず、システムを簡単にしてゴミ詰まりも無く、コストやメンテナンス性に優れる。
【0060】
前述した噴流噴出動作では、空気導入管43を開閉する電磁弁41を「閉」にして気泡を含まない噴流を噴出させた場合について説明したが、噴流噴出中チャンバー25内は、噴出口26面に比べ圧力が低く、チャンバー25内は概ね負圧となるため、電磁弁41を「開」にすれば、空気取入口2a、空気導入管43、溝36、空気導入口37を介して、大気中の空気をチャンバー25内流水に自吸混入させ、噴出口26から気泡を含む噴流を浴槽水中に噴出させることができる。
【0061】
気泡を混入させた場合、チャンバー25内水流の偏ろうとする力が弱くなり、前述した流路断面急拡大部24側へと戻される戻り流が形成されなくなる、もしくは減少することで、チャンバー25内水流の内壁面への付着位置の変化が起こりにくくなる。この結果、噴出口26からは気泡を含むまっすぐな直進噴流が噴出される。この直進噴流は、略長方形状の噴出口26の形状に合わせた幅の噴流束として噴出される。この気泡を含む直進噴流は、前述した気泡を含まないやわらかな往復振動噴流とは異なり、勢いがあり刺激が強めの噴流である。このような直進噴流を入浴者は局部的に受けることでその部分の血行を促進したり、凝りの軽減が図れる。
【0062】
前述したように、噴流噴出動作中、チャンバー25内における特に内壁面近傍に負圧領域が生じるため、空気導入口はチャンバー25のどこの面に開口させても、その開口を通じてチャンバー25内に空気が吸い込まれ、噴流に気泡が混入されることになる。そこで、このことを検証するため、本発明者等は図9の写真図に示す試作品を作製し、流路断面収縮部の流路径を8.3mm、チャンバー内への供給流量を40リットル/分として、以下に説明する実験を行った。
【0063】
図10に示すものは、前述した噴流ノズル11の筒体20に相当する部分であり、図10(a)はその筒体を、矩形状の噴出口側から撮影した写真図であり、図10(b)は同筒体への流水の導入口(流路断面収縮部のチャンバー内に臨む下流端開口)側から撮影した写真図である。
【0064】
図11(a)〜(c)は、矩形状断面のチャンバーの短辺部に対向する筒体壁に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図である。図11(a)は、流路断面収縮部がチャンバー内に開口する面(以下オリフィス面という)から軸方向に沿って下流側に10mmの位置に空気導入口を形成した場合を示し、図11(b)は、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に30mmの位置に空気導入口を形成した場合を示し、図11(c)は、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に60mmの位置に空気導入口を形成した場合を示す。また、図11(d)は、矩形状断面のチャンバーの長辺部に対向する筒体壁における、オリフィス面から軸方向に沿って下流側に10mmの位置に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す。
【0065】
また、筒体の周壁にではなく筒体の上流側の軸方向端面に相当するオリフィス面に、図12に示すように空気導入口を形成した構成についても噴流噴出実験を行った。図12(a)は、流路断面収縮部の下流端開口の直径を8.3mmとし、その近くにそれよりも小さな径の空気導入口を3つ形成した場合を示し、図12(b)は、同じく流路断面収縮部の下流端開口の直径を8.3mmとし、その近くに8.3mmよりも幅の小さな曲がった長穴形状の空気導入口を形成した場合を示す。
【0066】
図13(a)は、図12(a)の空気導入口を形成した場合に空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図であり、図13(b)は、図12(b)の空気導入口を形成した場合に空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図である。
【0067】
以上の実験結果より、チャンバーを囲む面のどこに空気導入口を形成しても、チャンバー内流水に空気自吸混入が可能であり、気泡を含む直進噴流を噴出させることができた。なお、チャンバー内において特に流路断面収縮部付近の流速が速く、最も負圧を生じさせやすいため、確実に空気自吸混入を行わせるためには、流路断面収縮部近傍の筒体壁に空気導入口を形成するのが好ましい。
【0068】
また、大気中から空気導入管43内に空気を取り入れるための空気取入口2aは、浴槽リム2の上に設けている。これにより、浴槽内にいっぱいまで浴槽水が貯留されたとしても、空気取入口2aは浴槽水に浸からず、空気の取り込みが妨げられない。一方ここで浴槽リム下の、閉鎖された空間の空気を取り込むことは良くない。なぜなら、浴槽リム下の閉鎖された空間の空気は、流れがよどんでいるからである。なお、本実施形態のように構成しておくと、浴室内の換気された空気を取り込むため、空気が新鮮で清潔である。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、気泡を含む比較的強い刺激感が得られる直進噴流と、略長方形状の噴出口26の長手方向に振れながら噴出し手もみマッサージに近い刺激感が得られる気泡無しの往復振動噴流といった、モードの異なる噴流を、可動部がなく簡単な構造の同じノズル11を使って、単に電磁弁41の開閉制御により両モードを選択切換して実現できる。
【0070】
すなわち、各モードごとに専用のノズルを用意することなく、各モード間で同じ共通のノズルを使ってコストや設置スペースの増大を抑えつつ、多様なマッサージを実現する。さらに、ノズル内流水に気泡を混入させるにあたっては、チャンバー内に生じる負圧を利用して空気を自吸する構成としており、且つ空気混入有無の切り換えは単に空気導入管43に設けた電磁弁41の開閉制御で簡単に行うことができ、エア供給系統の構成を簡単にし、コストや設置スペースの点で優れている。
【0071】
図14に、エア供給系統の他の具体例を示す。この具体例では、ノズル11内への空気の供給を自吸ではなく、空気導入管51に接続されたエアコンプレッサ52を用いて行う。空気導入管51は、浴槽リム2に設けた空気取入口2aと、ポンプ7の吐出側の管路8との間に接続されている。エアコンプレッサ52は、空気取入口2aを介して大気中から取り込んだ空気を管路8に圧送し、これにより、管路8をノズル11内に向けて流れる加圧浴槽水中に気泡が混入され、この気泡混入流水はノズル11内に導入されて噴出口26から気泡入りの直進噴流が噴出される。
【0072】
エアコンプレッサ52より下流側の空気導入管51には、エアコンプレッサ52からノズル11側に向かう方向を順方向とする逆止弁53が設けられ、浴槽水のエアコンプレッサ52側への逆流が阻止されている。
【0073】
この具体例では、エアコンプレッサ52が空気混入有無の切換装置として機能し、エアコンプレッサ52を駆動させればノズル11内に空気が送られ、気泡を含む直進噴流が噴出され、エアコンプレッサ52を停止させれば、ノズル11内に空気は送られず、気泡を含まない前述した往復振動噴流が噴出される。エアコンプレッサ52を使用することで大量の空気を強制的に導入することができ、大流量の気泡噴流が可能になる。そうした場合、気泡を含まない往復振動噴流の感じ方と、変化度合いが大きく変わって、その変化度合いを楽しむことができる。さらに、ノズル11に空気導入用開口などの空気導入機構を設ける必要がないため構成が簡単になる。また、ノズル11の取り付けについても取り付ける配管を少なくすることができ、取り付けが容易になる。
【0074】
また、図15には、エア供給系統のさらに他の具体例を示す。この具体例では、空気導入管63の上流側の一端は浴槽リム2に設けられた空気取入口2aに通じ、下流側の他端はポンプ7の吸込側の管路6に通じている。
【0075】
空気導入管63の上流側には、ノズル11内への空気混入有無の切換装置としえ機能する電磁弁61が設けられている。電磁弁61より下流側の空気導入管63には、空気取入口2a側から管路6側に向かう方向を順方向とする逆止弁62が設けられ、浴槽水の空気取入口2a側への逆流が阻止されている。
【0076】
空気導入管63が管路6につながれる部分は、ポンプ7の吸込口近くの管路6の下流側に設けられ、ポンプ7の引き込み力によって負圧が生じる。
【0077】
電磁弁61を「開」にすれば、負圧により、空気取入口2a及び空気導入管63を介して大気中から空気が管路6内に自吸されて流水中に気泡として混入され、この気泡混入流水はポンプ7に吸い込まれて管路8を介してノズル11に向けて圧送される。これにより気泡混入流水がノズル11内に導入され、噴出口26から気泡を含む直進噴流が噴出される。
【0078】
電磁弁61を「閉」にすれば、空気の自吸は行われず、したがって、気泡を含まない前述した往復振動噴流がノズル11の噴出口26から噴出される。
【0079】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、それらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0080】
噴流ノズルの流水導入部における流水導入口から流路断面収縮部へと続く部分は流路径がほぼ一定のまま湾曲させた構造としてもよい。ただし、図3に示す前述した実施形態のように、流水導入部22の流路径を上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなるようにし、且つその流水導入部22の流路断面中心線C2の下流端位置をチャンバー25の中心軸C1に一致させることで、流路径一定のまま湾曲させた場合に比べて、湾曲部の突出長を抑えて、限られた浴室内スペースでの設置に有利となる小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統の一具体例を示す模式図。
【図3】同噴流浴装置における噴流ノズルの模式断面図。
【図4】同噴流ノズルを噴出口側から見た正面図。
【図5】同噴流ノズルにおけるチャンバーの模式図。
【図6】同噴流ノズルにおけるチャンバー及び噴出口の断面形状の他の具体例を示す模式図。
【図7】同噴流ノズルにおけるチャンバー及び噴出口の断面形状のさらに他の具体例を示す模式図。
【図8】同噴流ノズル内における気泡を混入させないときの流水の挙動を説明するための模式図。
【図9】同噴流ノズルからの噴出噴流を、噴出口から70mmの位置に設けた面状に広がる観測体に衝突させ、その観測体に対する噴流衝突部分の中心位置の時間変化に伴う挙動を示す模式図。
【図10】本発明の実施形態に係る噴流ノズルの筒体に相当する部分の試作品の写真図。
【図11】図10に示す筒体壁に空気導入口を開口して空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図。
【図12】図10に示す筒体の上流側の軸方向端面に相当するオリフィス面に形成した空気導入口を示す写真図。
【図13】図12に示す空気導入口から空気をチャンバー内に自吸させ、気泡を含む噴流を噴出口から水中に噴出させた様子を示す写真図。
【図14】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統の他の具体例を示す模式図。
【図15】本発明の実施形態に係る噴流浴装置においてエア供給系統のさらに他の具体例を示す模式図。
【符号の説明】
【0082】
1…浴槽、5…吸入口、11…噴流ノズル、20…筒体、22…流水導入部、23…流路断面収縮部、24…流路断面急拡大部、25…チャンバー、26…噴出口、41,61…電磁弁、43,51,63…空気導入管、52…エアコンプレッサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、
前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、
前記浴槽のあふれ縁より下で前記浴槽壁に対して保持される一重構造の筒体を有し、前記筒体の内部に導入された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、
前記噴流ノズルの内部に気泡を混入させるための空気導入管と、
前記噴流ノズルが気泡を含む噴流を噴出する状態と、前記噴流ノズルが気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置と、
を備えた噴流浴装置であって、
前記噴流ノズルは、流水導入部と、前記筒体の軸方向に延在して前記筒体の内部に形成されたチャンバーと、を有し、
前記流水導入部は、前記加圧装置から送られる加圧浴槽水が導入される上流側端部と、前記上流側端部に対して流路が細くされると共に前記チャンバーに連通する下流側端部と、を有し、
前記チャンバーは、前記軸方向の上流側端部に設けられ前記流水導入部の前記下流側端部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部と、前記軸方向の下流側端部に開口され前記浴槽の内部に臨む噴出口と、を有し、前記流路断面急拡大部から前記噴出口にかけての断面形状が略長方形状に形成され、
前記流水導入部の前記下流側端部における前記チャンバー内に臨む下流端開口は、前記噴出口から前記チャンバー内を見た正面視で前記チャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、前記流水導入部の前記下流端開口の開口縁部と前記輪郭線との間に隙間が存在することを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記噴流ノズルは、気泡を含む場合には直進噴流を噴出し、気泡を含まない場合には前記略長方形状の噴出口の長手方向に振れる噴流を噴出することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記空気導入管は、前記筒体に開口された空気導入口を介して、噴流噴出時に負圧が生じる前記チャンバー内に連通し、
前記切換装置は、前記空気導入管を開閉する電磁弁であることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項4】
前記空気導入管は前記加圧装置の吸込側に通じ、前記切換装置は前記空気導入管を開閉する電磁弁であることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項5】
前記切換装置は、前記空気導入管に接続されたエアコンプレッサであることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項6】
前記空気導入管は、浴槽リム上に設けられた空気取入口を通じて大気に連通していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の噴流浴装置。
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、
前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、
前記浴槽のあふれ縁より下で前記浴槽壁に対して保持される一重構造の筒体を有し、前記筒体の内部に導入された浴槽水を前記浴槽の内部に噴出する噴流ノズルと、
前記噴流ノズルの内部に気泡を混入させるための空気導入管と、
前記噴流ノズルが気泡を含む噴流を噴出する状態と、前記噴流ノズルが気泡を含まない噴流を噴出する状態とを切り換える切換装置と、
を備えた噴流浴装置であって、
前記噴流ノズルは、流水導入部と、前記筒体の軸方向に延在して前記筒体の内部に形成されたチャンバーと、を有し、
前記流水導入部は、前記加圧装置から送られる加圧浴槽水が導入される上流側端部と、前記上流側端部に対して流路が細くされると共に前記チャンバーに連通する下流側端部と、を有し、
前記チャンバーは、前記軸方向の上流側端部に設けられ前記流水導入部の前記下流側端部に対して流路断面が急拡大された流路断面急拡大部と、前記軸方向の下流側端部に開口され前記浴槽の内部に臨む噴出口と、を有し、前記流路断面急拡大部から前記噴出口にかけての断面形状が略長方形状に形成され、
前記流水導入部の前記下流側端部における前記チャンバー内に臨む下流端開口は、前記噴出口から前記チャンバー内を見た正面視で前記チャンバーの輪郭線よりも内側に位置し、前記流水導入部の前記下流端開口の開口縁部と前記輪郭線との間に隙間が存在することを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記噴流ノズルは、気泡を含む場合には直進噴流を噴出し、気泡を含まない場合には前記略長方形状の噴出口の長手方向に振れる噴流を噴出することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記空気導入管は、前記筒体に開口された空気導入口を介して、噴流噴出時に負圧が生じる前記チャンバー内に連通し、
前記切換装置は、前記空気導入管を開閉する電磁弁であることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項4】
前記空気導入管は前記加圧装置の吸込側に通じ、前記切換装置は前記空気導入管を開閉する電磁弁であることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項5】
前記切換装置は、前記空気導入管に接続されたエアコンプレッサであることを特徴とする請求項1または2に記載の噴流浴装置。
【請求項6】
前記空気導入管は、浴槽リム上に設けられた空気取入口を通じて大気に連通していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の噴流浴装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図14】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図14】
【図15】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−153907(P2009−153907A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338141(P2007−338141)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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