噴流浴装置
【課題】変化に富んで飽きのこない噴流浴装置を提供する。
【解決手段】本発明の噴流浴装置は、浴槽と、浴槽の浴槽壁に開口され浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、加圧装置から供給される浴槽水を浴槽内に噴出させるノズルとを備え、ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行う。
【解決手段】本発明の噴流浴装置は、浴槽と、浴槽の浴槽壁に開口され浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、加圧装置から供給される浴槽水を浴槽内に噴出させるノズルとを備え、ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流ノズルを備えた噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽水中に噴出させるものがあり、例えば特許文献1〜3には、ノズル本体の噴出口が軸芯位置に対して偏心した位置に設けられていることから、オリフィスからの噴流によってノズル本体が回転し、これにより、ジェット噴流の噴射方向が変化する回転噴流が得られるノズル装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−116729号公報
【特許文献2】特開2003−116728号公報
【特許文献3】特開2001−62354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、ノズル本体に一体化されたシャフトの前端部に、制動手段としてのプロペラが固着され、ノズル本体の回転時にプロペラの羽根部に水の抵抗力を作用させて、流量が多い場合であってもノズル本体の回転数を所定値に抑えることが開示されている。同様に、特許文献2には、ノズル本体に制動手段としての羽根が設けられ、その羽根がノズル本体と一体となって回転することにより、水の抵抗力を受けて、流量が多い場合であってもノズル本体の回転数を所定値に抑えることが開示されている。
【0004】
特許文献1、2では、制動手段によりノズル本体の回転数が上がるのを抑えて回転を安定させるものであり、その安定した状態ではほぼ一定回転数となり、その回転ノズルから噴出される旋回した噴流の旋回周波数はほぼ一定であり、入浴者が馴化してしまい刺激に飽きやすい。
【0005】
特許文献3には、ノズル本体の回転を禁止するストッパを設け、このストッパを手動もしくは自動で作動させて、ノズル本体を所定位置に固定させて回転を止めた状態での噴流噴出を実現できるとの開示があるが、噴流の回転が完全に停止してしまうと馴化しやすく、また一箇所に続けて噴流が当たるとかゆくなることもある。
【0006】
さらには、特許文献1〜3のノズル装置では、回転噴流の移動軌跡は円状であり、その移動半径も変化せず、単調で変化に乏しく入浴者は馴化してしまう。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、変化に富んで飽きのこない噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、前記加圧装置から供給される浴槽水を前記浴槽内に噴出させるノズルと、を備え、前記ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行うことを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変化に富んで飽きのこない噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図である。
【0011】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁に開口された吸入口5と、循環路6、8と、循環路6、8の間に接続された加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁に設けられた2つのノズル11とを備える。
【0012】
浴槽1は、略平行に相対向する一対の長辺浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺浴槽壁4a、4bとを有する。
【0013】
吸入口5は一対の長辺浴槽壁3a、3bのうちの一方(図1に示す例では長辺浴槽壁3a)に形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路6へと吸い込まれる。
【0014】
一般に、入浴者は、向かい合う一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方に背をもたれかけて他方の短辺浴槽壁に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺浴槽壁に形成するのが望ましい。
【0015】
循環路6の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸込口に接続されている。循環路8の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端はノズル11に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路6内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路8に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、ノズル11の内部に流入する。なお、使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は吸入口5よりも上方に設けることが望ましい。
【0016】
本実施形態では、一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方(図1に示す例では短辺浴槽壁4a)に、2つのノズル11を取り付けている。2つのノズル11は、略同じ高さに所定距離水平方向に隔てて、短辺浴槽壁4aに保持されている。ノズル11は浴槽1のあふれ縁より下で、浴槽壁4aに対して保持されている。ここで、「あふれ縁」とは、浴槽1内に浴槽水をためていったとき、最初に浴槽1内から溢れる部分の浴槽1の縁(またはリム)を意味する。このような構成のため、ノズル11からの噴流を浴槽1内に貯留された浴槽水中に噴出させることができる。
【0017】
以下、ノズル11の具体例について説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態に係るノズル11aの模式断面図である。このノズル11aは、図1に示すノズル11に対応する。
【0019】
ノズル11aは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体33、噴出角度調整体35、ノズルカバー34を備える。図2において浴槽壁4aの左側が浴槽内であり、右側が浴槽外の例えばリム下空間である。
【0020】
ノズル本体31はリム下空間で固定部材32に結合され、固定部材32は浴槽壁4aに固定して取り付けられている。したがって、ノズル本体31は、固定部材32によって浴槽壁4aに対して固定保持されている。
【0021】
ノズル本体31の上流側にはエルボ形状に屈曲した流水導入路43が設けられている。固定部材32及びこれに結合されたノズル本体31の下流側の大径部31aは筒状に形成され、この筒状の内部空間は、流水導入路43に連通し且つ流水導入路43の径よりも大きな径の空間となっている。
【0022】
その空間内には、円筒状の回転体33が設けられている。回転体33の軸中心を回転軸36が貫通しており、回転軸36は、ノズルカバー34及びノズル本体31に対して支持されている。回転体33は、回転軸36に対して固定され回転軸36と共に回転する、もしくは固定された回転軸36に対してそのまわりに回転する。
【0023】
回転軸36は、ノズル本体31の外部に設けられたギア39a、39bを介して、同じくノズル本体31の外部に設けられたモータ38に連結されている。
【0024】
ノズル本体31の大径部31aの内部にはブレーキ42が設けられている。ブレーキ42は、大径部31aの外部に設けられたアクチュエータ41によって駆動され、回転体33の外周面に押圧可能となっている。ブレーキ42が回転体33の外周面に押圧接触することで、回転体33の回転にブレーキがかけられ回転体33の回転角速度を低下させることができる。
【0025】
回転体33の上流側端部には、回転中心に対して対称的に広がるバッファ室46が形成されている。バッファ室46よりも下流側には、バッファ室46に連通する流路47が形成されている。この流路47は、回転体33における回転中心に対して偏心した位置に設けられている。
【0026】
その流路47の下流側には、噴出角度調整体35が設けられている。噴出角度調整体35は、流路47と連通する貫通孔が形成され、その貫通孔の下流端開口は、浴槽内の浴槽水中に噴流を噴出するための噴出口48として機能する。
【0027】
噴出角度調整体35は、図4に示すように、回転体33の回転中心(回転軸36)に対して偏心した位置に設けられ、回転体33の回転に伴って円を描く軌跡で移動し、周方向の位置を変えていく。
【0028】
さらに、噴出角度調整体35は、径方向に揺動(傾動)可能となっている。図2に示すように、回転軸36は中空となっており、その内部にワイヤ40が通されている。ワイヤ40の一端部は噴出角度調整体35の下流側端部に結合され、他端部は、ノズル本体31の外部に設けられたアクチュエータ37に連結されている。
【0029】
アクチュエータ37の駆動により、ワイヤ40を引っ張ったり押し込むことで、噴出角度調整体35は、上流側の球状に形成された基部を中心として、噴出口48が形成された下流側端部が回転体33の回転面の径方向に揺動する。
【0030】
固定部材32における浴槽内部側の前端にはノズルカバー34が取り付けられている。図3は、ノズルカバー34の、浴槽内に臨む前端部の正面図を示す。
【0031】
ノズルカバー34には、回転体33及び噴出角度調整体35が設けられた空間と、浴槽内とを連通させる開口34aが形成され、その開口34aを通じて、噴出角度調整体35の噴出口48から浴槽内に噴流を噴出させることができる。
【0032】
以上説明したように構成される本実施形態に係る噴流浴装置において、浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、ポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路6内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路8を介して、図2に示すノズル11aの流水導入口44に導入される。
【0033】
流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45に至り、回転体33のバッファ室46に流れ込む。流水流入路45は、流水導入路43に比べ流路断面が縮小されており、そこで流れが加速されてバッファ室46内に流入する。
【0034】
バッファ室46内に流入した流水は、流路47及び噴出角度調整体35の内部を流れ、さらに噴出口48及びノズルカバー34の開口34aを通過して、浴槽内に貯留された浴槽水中に噴流として噴出する。
【0035】
この噴流噴出時、回転体33は、モータ38により回転駆動されており、且つブレーキ42によって回転体33の回転に制動がかけられて回転角速度を変化させながら回転している。さらに、アクチュエータ37でワイヤ40を動かすことにより、噴出角度調整体35を回転体回転面の径方向に揺動(傾動)させている。これにより、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行う。
【0036】
ここで、噴出噴流の断面中心の移動(挙動)について、図5を参照して説明する。
【0037】
図5(a)に示すように、噴出口48から水中に噴出された噴流において、噴流進行方向前方に設けられた被衝突体100に当たった部位を、本明細書において「噴出噴流の断面A」とする。この噴出噴流の断面Aは、入浴者に対する噴流の衝突部位を模したものである。なお、図5(b)は、被衝突体100及び噴出噴流の断面Aを正対する方向から見た模式図である。
【0038】
回転体33の回転に伴って、噴出噴流の断面Aの中心(図5(b)において×印で示す)は、回転体33の回転軸に一致する被衝突体100上における中心Oのまわりに周方向に移動する。ここで、ブレーキ42により制動がかけられて回転体33の回転角速度が変化することで、噴出噴流の断面Aの中心の移動速度は一定ではなく変化している。
【0039】
さらに、本実施形態では、回転体33の回転と併せて、噴出角度調整体35の角度調整も行っており、これにより噴出口48からの噴流噴出角度も変化している。噴流噴出角度の変化は、噴出噴流の断面Aの中心の移動半径(回転体33の回転中心に一致する上記中心Oを中心とする移動半径)が変化する。
【0040】
すなわち、本実施形態によれば、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。
【0041】
この結果、一定移動半径で単一回転数での回転噴流に比べ、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。なお、回転体33の回転角速度を不規則に変化させ、且つ噴出角度調整体35の角度変更も不規則に行えば、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0042】
回転体33の回転に制動をかけるに際しては、回転軸36に対してブレーキを押し当ててもよい。ただし、より径の大きな回転体33に対してブレーキ42を押し当ててブレーキをかけた方が、より小さな押圧で回転数制御が可能となり、制動による回転数制御を円滑に行える。
【0043】
あるいは、モータ38への印加電圧を変えることで、回転体33の回転数制御を行ってもよい。この場合、ブレーキやアクチュエータ等の付加機構が不要であり、機構が単純化され安価に製作が可能となる。
【0044】
また、噴出角度調整体35は、回転体回転面の周方向に揺動(傾動)可能としてもよい。噴出角度調整体35の周方向角度を変化させると、回転体33が流体から受ける周方向反力の大きさが変化し、回転体33を回転駆動させるためのトルク量が変化するため、回転数をより複雑に(不規則に)変化させることが可能である。
【0045】
また、噴流に気泡を混入させないことで、気泡混入に起因する音が発生せず、静かな環境でリラックスして入浴できる。
【0046】
また、人体が気泡入り噴流を受けた場合、噴流が衝突していると感じる部位とそうでない部位との境界は、複数点における気泡の衝突感及び浮力による気泡の上昇によりあいまいとなり、人体表面での水流の移動を明瞭に感じることは難しい。そのため、水流で押されたまま人体表面を移動する感じは受けられず、指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感を得にくい。
【0047】
したがって、噴流に気泡を混入しないことで、気泡の影響を受けずに、人体表面での水流の移動を明瞭に感じることができ、指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感を得ることができる。なお、直径が数十μm以下の気泡(マイクロバブル、ナノバブル等)は噴流に含まれていてもよい。そのような直径が数十μm以下の気泡が噴流に含まれていたとしても人体表面での水流の移動を明瞭に感じることができる。
【0048】
以下、ノズルの他の具体例について説明する。なお、前述した実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係るノズル11bの模式断面図である。このノズル11bも、図1に示すノズル11に対応する。
【0050】
本実施形態に係るノズル11bも、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体33、噴出角度調整体35、ノズルカバー34を備える。
【0051】
本実施形態においても、回転体33における回転中心(回転軸55)に対して偏心した位置に流路56が形成されている。図7に示すように、その流路56における上流側の入口56bの中心と下流側の出口56aの中心とは、回転体33の回転面の周方向にずれており、回転体33は、流路56を通過する流水の反力によって回転する。
【0052】
流路56の下流側には、噴出角度調整体35が設けられている。噴出角度調整体35は、球状の基部を中心として径方向に揺動(傾動)可能となっている。回転体33の下流側の前端軸中心にはバネ受け部33aが設けられ、このバネ受け部33aと、噴出角度調整体35の下流側外周面との間にバネ(コイルバネ)54が連結されている。
【0053】
ノズル本体31には空気導入路51が形成されている。空気導入路51の一端は、流水流入路45の近傍に開口形成されバッファ室46に臨む空気流入口51aに通じ、他端は空気導入管53に接続されている。空気導入管53は、例えば浴槽リム上に形成された空気取入口を介して大気に連通し、その途中には空気流量可変バルブ(例えば電磁弁)52が設けられている。
【0054】
以上のように構成されるノズル11bにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45に至り、回転体33のバッファ室46に流れ込む。流水流入路45は、流水導入路43に比べ流路断面が縮小されており、そこで流れが加速されてバッファ室46内に流入する。
【0055】
バッファ室46内に流入した流水は、流路56及び噴出角度調整体35の内部を流れ、さらに噴出口48及びノズルカバー34の開口34aを通過して、浴槽内に貯留された浴槽水中に噴流として噴出する。
【0056】
ここで、流路56の軸方向の両端開口(入口56bと出口56a)が回転体回転面の周方向にずれるように、流路56が回転軸55に対して傾いているため、流路56内を流れる水流は回転体33の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体33が回転される。
【0057】
回転体33の回転に伴って、噴出角度調整体35は、回転体33の回転中心のまわりを周方向に移動し、これにより、図5を参照して前述した噴出噴流の断面中心も周方向に移動する。
【0058】
また、ノズル本体31の大径部31a内において空気流入口51a付近の静圧は負圧となり、空気導入管53及び空気導入路51を介して大気中からバッファ室46内に空気が自給される。
【0059】
バッファ室46で気液混合されて得られた気泡入り水流は、流路56に流れ込み、気泡入り噴流となって浴槽水中に噴出する。本実施形態では、空気流量可変バルブ52の開度を制御することによって、流路56を流れる気泡入り水流中の気泡混入量を調整できる。流路56を流れる気泡入り水流中の気泡混入量が変化すると、その気泡入り水流から回転体33が受ける反力が変わり、回転体33の回転角速度が変化する。空気混入量が多くなると、回転体33の回転角速度が大きくなる。この回転体33の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0060】
回転体33が回転すると、噴出角度調整体35及びバネ54は回転体33と共に回転する。回転体33が回転すると、噴出角度調整体35に遠心力が作用し、噴出角度調整体35は、球状に形成された基部を中心として径外方へと傾動する。この傾動によりバネ54は伸ばされバネ54に復元力が作用する。この復元力の作用する方向は、遠心力により径外方へと傾動した噴出角度調整体35を径内方側へと戻そうとする方向である。
【0061】
したがって、回転体33の回転中、噴出角度調整体35に作用する遠心力と、バネ54の復元力とのつり合いによって、噴出角度調整体35の角度、すなわち噴流噴出角度が規定される。
【0062】
回転体33の回転角速度が大きくなれば噴出角度調整体35に作用する遠心力も大きくなって、噴流噴出角度は径外方側へとより大きく傾く。噴流の噴出角度が変化することで、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0063】
すなわち、本実施形態によれば、回転体33内の流路56を流れる水流中に混入させる気泡量を変えることで、回転体33の回転角速度を変化させ、且つこれと連動させて噴出角度調整体35の角度も変化させ、噴流噴出の断面中心の移動速度及び移動半径を変化させることができる。
【0064】
このように本実施形態においても、ノズル11bは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。なお、回転体33の回転角速度を不規則に変化させることで、ノズル11bは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0065】
また、噴流中への気泡混入量を変化させることにより、気泡入り噴流の総流量が変化し、人体が受ける噴流刺激の強弱変化がつき、より変化に富んだ刺激感が得られる。また、噴流中に気泡を含むことで噴流の見た目にも変化が生じ、気泡混入量を変化させることで、視覚的にも変化に富んだ噴流を楽しめる。特に、気泡の径が数十μmの微細気泡を混入させた場合には、噴流は白濁化され、より視覚的に変化に富んだ噴流を楽しめる。
【0066】
また、本実施形態では、流体反力により回転体33を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0067】
前述した実施形態では、噴出角度調整体35の角度すなわち噴流噴出角度を変化させることで、噴出噴流の移動半径を変化させたが、噴出口を回転体回転面の径方向に移動させることで噴出噴流の移動半径を変化させるようにしてもよい。
【0068】
例えば、図8に示す具体例では、流路56の下流側に、径方向に沿った溝状のガイド部57を形成し、このガイド部57に移動体58を係合させている。移動体58は、内部が中空に形成されその内部は流路56と連通している。移動体58の下流端開口は噴出口58aとして機能する。移動体58の上流側部分は、径方向に移動可能にガイド部57に係合している。移動体58の下流側外周面と、回転体33の前端軸中心に設けられたバネ受け部33aとの間にはバネ54が連結されている。
【0069】
回転体33が回転すると、移動体58に遠心力が作用し、移動体58は、ガイド部57のガイドを受けながら径外方へと移動する。この移動によりバネ54は伸ばされバネ54に復元力が作用する。この復元力の作用する方向は、遠心力により径外方へと移動した移動体58を径内方側へと戻そうとする方向である。したがって、回転体33の回転中、移動体58に作用する遠心力と、バネ54の復元力とのつり合いによって、移動体58の径方向位置、すなわち噴出口58aの径方向位置が規定される。
【0070】
噴出口58aの径方向位置が変化することにより、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。なお、噴出口の位置を径方向に移動させるよりも、噴流噴出角度を変化させる方が、噴流刺激範囲が広範囲にわたり、刺激位置の変化を感じやすい。
【0071】
[第3の実施形態]
次に、図9は、第3の実施形態に係るノズル11cの模式断面図である。このノズル11cも、図1に示すノズル11に対応する。
【0072】
ノズル11cは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体61、予旋回流形成部64、ノズルカバー63を備える。
【0073】
回転体61の回転軸55の一端はノズルカバー63に支持され、他端は流水流入路45付近に設けられた軸支持部68に支持されている。回転体61における回転中心(回転軸55)に対して偏心した位置に流路62が形成されている。
【0074】
図10(a)は回転体61の斜視図を示し、図10(b)はその下流側の端面図を示す。
【0075】
流路62の上流端開口である入口62b及び下流端開口である出口62aは、回転体61の半径方向を長軸とする長穴形状に形成されている。その入口62bの中心と出口62aの中心とは、回転体61の回転面の周方向にずれており、後述するように回転体61は、流路62を通過する流水の反力によって回転する。
【0076】
ノズル本体31の大径部31aの内部であって回転体61の上流側には、流路62へと流入する流水に予め旋回性を与える機能を有する予旋回流形成部64が設けられている。
【0077】
図11(a)は、予旋回流形成部64の斜視図を示し、図11(b)はその平面図を示す。
【0078】
予旋回流形成部64は、互いに平行に向き合わされた静止板66と回転板65とを有する。静止板66は、円形リング状の外枠部66aと、この外枠部66aの中心から外枠部66aの内周面に向かって放射状に延びる例えば4本の内枠部66bとを有し、内枠部66b間は開口となっている。同様に、回転板65は、円形リング状の外枠部65aと、この外枠部65aの中心から外枠部65aの内周面に向かって放射状に延びる例えば4本の内枠部65bとを有し、内枠部65b間は開口となっている。
【0079】
予旋回流形成部64は、図9に示すように、静止板66を上流側に回転板65を下流側に位置させた状態で回転体61の上流側に設けられる。なお、回転板65を上流側に静止板66を下流側に位置させてもよい。
【0080】
静止板66及び回転板65の各々の中心を回転軸55が貫通している。静止板66は軸支持部68に固定され、回転軸55のまわりに回転しない。回転板65は、ノズル本体31の外部に設けられたアクチュエータ67に連結され、そのアクチュエータ67の駆動により回転軸55のまわりに回転可能となっている。
【0081】
図11に示すように、静止板66の内枠部66bと、回転板65の内枠部65bとの間には、例えばゴムなどの伸縮自在な材料からなる膜部材69が張られている。静止板66の内枠部66bと回転板65の内枠部65bとが周方向に重なった状態では、膜部材69は軸方向に対して略平行となり、予旋回流形成部64を軸方向に通過する流水に対して旋回性を与えない。
【0082】
しかし、静止している静止板66に対して相対的に回転板66をアクチュエータ67の駆動により回転させることで、各々の内枠部66b、65bが周方向にずれると、膜部材69が軸方向に対して傾斜し、いわゆる静翼として機能し、予旋回流形成部64を軸方向に通過する流水に対して旋回性、すなわち、周方向の速度成分を与える。
【0083】
再び図9を参照すると、固定部材32における浴槽内部側の前端には、キャップ状のノズルカバー63が取り付けられている。
【0084】
図12はノズルカバー63の斜視図である。図13(a)はノズルカバー63における、浴槽内に臨むと共に回転体61の下流端面に対向する前端部の正面図であり、図13(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【0085】
ノズルカバー63には、回転体61が設けられた空間と、浴槽内とを連通させる開口63aが形成されている。図示する具体例では、回転体61の回転中心C(回転軸55)を中心としてそのまわりの周方向に例えば3つの開口63aが形成されているが、周方向に連続してつながった一つ開口として形成してもよい。
【0086】
開口63aは、回転体61の回転中心Cからの半径方向位置が周上で異なる。開口63aは例えば半径方向にうねるように形成され、回転体61の回転中心Cに対する開口63aの半径方向の中心位置は周方向で一定ではなく、例えば図13(a)のA−A断面である図13(b)におけるr1とr2とは異なる。
【0087】
ノズルカバー63に形成された開口63aは、回転体61の下流側端面に対向している。回転体61の下流側端面には流路62の出口62aが開口形成されている。流路62を流れてきた流水は、流路62の出口62a(図13(a)において2点鎖線で重ねて示す)と、ノズルカバー63の開口63aとが重なり合う部分から浴槽内の浴槽水中に噴流として噴出する。
【0088】
ノズルカバー63の開口63aは周方向で半径方向位置が異なり、流路62の出口62aは半径方向を長軸とする長穴形状に形成されているため、開口63aと出口62aとが重なり合う部分の径方向位置は回転体61の回転に伴って変化する。すなわち、噴流を浴槽内へと噴出するための噴出口の径方向位置が回転体61の回転に伴って変化することになり、これにより噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0089】
以上のように構成されるノズル11cにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45を通過して、予旋回流形成部64へと流れ込む。
【0090】
そして、予旋回流形成部64では、前述したように、静止板66に対して相対的に回転板66をアクチュエータ67の駆動により回転させることで、静翼として機能する膜部材69の角度や面積を調整して、回転体61の流路62に流入する流水に旋回性を付与したり、その旋回力の大きさを変更することができる。ここで、予旋回流形成部64によって得られる旋回流の旋回方向は、その旋回流が流路62を流れる際の反力によって回転させられる回転体61の回転方向と同じである。
【0091】
流路62における入口62bと出口62aとが回転体回転面の周方向にずれるように、流路62が回転軸55に対して傾いているため、流路62内を流れる水流は回転体61の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体61が回転される。
【0092】
そして、前述したように回転体61の回転に伴って、開口63aと出口62aとが重なり合う部分、すなわち噴出口の径方向位置が変化することになり、これにより噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0093】
本実施形態では、予旋回流形成部64の回転板65を回転させることで流路62を流れる流水が有する旋回力の大きさを変化させて、回転体61の回転角速度を変えることができる。流路62を流れる流水の旋回力が大きければ、回転体61の回転角速度は大きくなる。この回転体61の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0094】
このように本実施形態においても、ノズル11cは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0095】
回転体61の回転角速度を不規則に変化させることで、ノズル11cは、噴出噴流の断面中心の移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0096】
また、ノズルカバー63の開口63aの半径方向幅を周上で異なるようにすることで、周上で噴出口断面積が一定ではなくなるので、噴流強弱の変化も生じ、さらに変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0097】
また、本実施形態では、回転体61上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、簡単な構成で噴出噴流の断面中心の移動半径を変化させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、流体反力により回転体61を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0099】
[第4の実施形態]
次に、図14は、第4の実施形態に係るノズル11dの模式断面図である。このノズル11dも、図1に示すノズル11に対応する。
【0100】
ノズル11dは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体75、ノズルカバー34を備える。
【0101】
回転体75の下流側端面の中心は軸部材85を介して回転自在にノズルカバー34に支持されている。回転体75の上流側端面における中心には回転体75に一体に中空の回転軸77が設けられている。回転軸77は、回転体75の上流側の流水導入路43内に向けて延在し、その一端部はノズル本体31に対して回転自在に支持されている。
【0102】
回転体75における回転中心(回転軸77)に対して偏心した位置に第1の流路76が形成されている。第1の流路76の上流端開口である入口76bの中心と、下流端開口である出口76aの中心とは、回転体75の回転面の周方向にずれており、回転体75は、第1の流路76を通過する流水の反力によって回転する。
【0103】
ノズル本体31における、回転軸77の一端部を支持する部分の近傍には、流水導入部79が設けられている。流水導入部79の内部は中空の回転軸77の内部に形成された第2の流路78に連通している。第2の流路78は、回転軸77の内部に形成された流路と、この流路に続いて回転体75の内部に形成された流路とを有する。
【0104】
第2の流路78における回転体75の内部に形成された部分の下流側部分は、回転体75の半径方向に対して傾斜し、その最下流端開口である第2の流路78の出口78aは、第1の流路76の出口76a付近に臨んでいる。すなわち、第2の流路78は第1の流路76に合流している。第2の流路78は、第1の流路76との合流部近傍では、第1の流路76に対して平行でも垂直でもなく、傾斜して第1の流路76に対して合流している。
【0105】
以上のように構成されるノズル11dにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は流水導入路43を導かれて第1の流路76に流入する。ここで、第1の流路76における入口76bと出口76aとが回転体回転面の周方向にずれるように、第1の流路76が回転体75の回転軸方向に対して傾いているため、第1の流路76内を流れる水流は回転体75の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体75が回転される。
【0106】
流水導入部79を介して第2の流路78に導入された流水は、第1の流路76の出口76a付近で第1の流路76を流れてきた流水と衝突する。このノズル11dの前段(上流側)には、図示しない例えば三方弁などの流量分配機構が設けられ、第1の流路76に導入される流水の流量と、第2の流路78に導入される流水の流量との流量比を変更可能となっている。
【0107】
このように、第1の流路76を流れる流水と、第2の流路78を流れる流水との流量比を変化させることで、第1の流路76と第2の流路78との合流点での衝突噴流の、浴槽水中への噴出角度が変化して、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0108】
また、第1の流路76を流れる流水の流量を変更することで、この反力により回転される回転体75の回転角速度を変えることができる。回転体75の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0109】
このように本実施形態においても、ノズル11dは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0110】
また、第1の流路76を流れる流水の流量、および第1の流路76を流れる流水と第2の流路78を流れる流水との流量比を不規則に変化させることで、ノズル11dは、噴出噴流の断面中心の移動速度及び移動半径を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0111】
また、本実施形態では、回転体75上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、簡単な構成で噴出噴流の断面中心の移動半径を変化させることが可能である。
【0112】
また、回転体75は、前述した実施形態のようにモータにより回転駆動されてもよいが、本実施形態では、回転体75上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、さらに、流体反力により回転体75を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0113】
[第5の実施形態]
次に、図15は、第5の実施形態に係るノズル11eの模式断面図である。このノズル11eも、図1に示すノズル11に対応する。
【0114】
このノズル11eは、大きく分けて、略円筒形状でほぼまっすぐに延在する筒体20と、筒体20の軸方向の上流側端部に設けられた湾曲部30とを有する。筒体20と湾曲部30とは一体成形構造であってもよいし、別体のものを結合させてもよい。また、筒体20は、略円筒形状に限らず、略楕円筒形状であってもよい。
【0115】
湾曲部30の内部には流水導入部22が形成され、その流水導入部22における上流側端部の最上流端には、前述した循環路8と浴槽1の外部で接続される流水導入口21が開口形成されている。筒体20の軸方向の下流側端部には噴出口26が開口形成されている。
【0116】
流水導入部22の下流側端部は、流水導入部22の中で最も流路断面が縮小された流路断面収縮部23として機能する。流路断面収縮部23の最下流端は、筒体20の軸方向の上流側端部に開口している。
【0117】
流水導入部22の流路断面は円形または楕円形であり、その流路断面積は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次減少している。すなわち、流水導入部22の流路は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなっている。
【0118】
流路断面収縮部23と噴出口26との間の筒体20の内部には、筒体20の軸方向に延在するチャンバー25が設けられている。
【0119】
流路断面収縮部23の流路断面の中心は、筒体20の軸中心C1に一致している。流水導入部22の流路断面の中心を通る流路中心線C2は曲率を有する曲線を描き、すなわち、流水導入部22は湾曲している。その流路中心線C2の下流端位置は、チャンバー25の軸中心C1に一致している。
【0120】
流路断面収縮部23は、筒体20の内部に形成されたチャンバー25に連通し、且つチャンバー25に対して流路断面が縮小されている。また、流路断面収縮部23は、その流路断面の中心を、チャンバー25の軸中心C1に一致させて、チャンバー25の軸方向に対して略平行に延在し、径が一定な直管状に形成されている。すなわち、流水導入部22の流路は上流側から下流側に向けて漸次細くなり、その細くなった先には、流路径が一定な直管部として流路断面収縮部23が続いている。
【0121】
チャンバー25の軸方向の上流側端部には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば径が3倍以上急拡大された)された流路断面急拡大部24が設けられている。流路断面急拡大部24は、流路断面収縮部23より下流側で流路断面収縮部23に連通している。
【0122】
チャンバー25の軸方向の下流側端部には噴出口26が開口している。チャンバー25の内壁面は、流路断面急拡大部24から噴出口26の近傍に至るまで、チャンバー25の軸中心C1に対して略平行に延在し、また、チャンバー25は流路断面急拡大部24の内径寸法のまま噴出口26近傍まで続いている。チャンバー25における軸方向の上流側端部が流路断面急拡大部24として機能し、チャンバー25における軸方向の下流側端部が噴出口26として機能する。
【0123】
流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24にかけての流路壁面は略垂直に変化している。すなわち、流路断面収縮部23の流路壁面は、チャンバー25の軸方向に対して略平行であるのに対して、流路断面急拡大部24として機能するチャンバー25の軸方向の上流側端部の壁面は、流路断面収縮部23の流路壁面に対して略垂直に続いて径外方に広がって形成されている。この流路壁面の急変化により、後述するように流路断面急拡大部24にて、壁面からの流れの剥離が生じる。
【0124】
噴出口26近傍のチャンバー25内には、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る遮蔽体27を設けている。遮蔽体27は例えば円盤状に形成され、その中心をチャンバー25の軸中心C1に一致させて、チャンバー25の内部に設けられている。
【0125】
遮蔽体27は、例えば、遮蔽体27とチャンバー25の内壁部との間に放射状に設けられた図示しない複数本の保持部材を介してチャンバー25の内壁部に対して保持されている。それら保持部材は、円盤状の遮蔽体27の外周面のまわりに周方向に沿って等間隔で設けられ、よって、遮蔽体27によってチャンバー25内流路のすべてが遮蔽されず、遮蔽体27とチャンバー25の内壁部との間には、チャンバー25から噴出口26への流水の流れを許容する流路が確保されている。
【0126】
また、チャンバー25の軸方向の下流側端部における噴出口26へと続く内壁面に、チャンバー25の軸中心C1に向けて傾斜した環状の傾斜面28を形成している。傾斜面28は、上流側から下流側に向かうにしたがって徐々に軸中心C1に近づくように傾斜している。
【0127】
以上のように構成されるノズル11eにおいて、流水導入口21から導入された流水は、流水導入部22を流れ、この下流側端部である流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24を経てチャンバー25内に噴流となって流入する。流水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、流路内壁面に沿って流れることができなくなり、流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0128】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の周の一部に流れが再付着する。
【0129】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25内壁面に沿い、遮蔽体27の外周面とチャンバー25内壁面との間を噴出口26に向かって流れ、噴出口26の上流側手前でチャンバー25の軸中心C1に向かうように傾斜して形成された傾斜面28に沿って軸中心C1に対して傾斜した噴流として噴出口26から浴槽1内に噴出する。
【0130】
以上のようにして、チャンバー25内に、主流(図15において太線矢印aで表す)が形成される。
【0131】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されること、さらにチャンバー25内に流路の一部を遮るように遮蔽体27が設けられていることによって、前述した主流の一部は、噴出口26から噴出されず、図15において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0132】
その上流側に戻された流れが、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、流路断面急拡大部24付近で中心軸C1まわりに旋回流が形成され、これにより、主流の流路壁面に対する再付着位置が周方向で不規則に変化し、噴出口26からは中心軸C1まわりに不規則に旋回した噴流が噴出される。
【0133】
ポンプ7から送られノズル11e内に流入する加圧流水の圧力(ノズル流入圧)を変化させることで、ノズル11eから噴出される旋回噴流の旋回範囲及び旋回周波数を変えることができる。すなわち、ノズル流入圧を変えることで、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させることができる。
【0134】
例えば、図16に示すように、制御装置91からの制御信号により、ポンプ7への印加電圧を変更することで、ノズル流入圧を変化させることができる。
【0135】
このように本実施形態においても、ノズル11eは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0136】
また、ノズル流入圧を変化させると、噴出流量の変化が生じ、噴流刺激の強弱の変化も生じることからさらに変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0137】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11eは、内部に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の旋回を励起する構成となっているため、回転摺動部分が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。
【0138】
ここで、図17は、制御装置91の制御信号の一例を示す。この制御信号の時間変化は、噴出噴流の断面中心の移動速度や移動半径の時間変化に対応する。また、この図17に示す制御信号は、図18(a)、(b)、(c)にそれぞれ示す信号を重ね合わせたものである。
【0139】
図18(a)、(b)、(c)は、それぞれ異なる単一周波数の信号であるが、このような信号に基づいてノズル流入圧を制御してもよいが、図17に示すように、異なる周波数を有する複数の信号の重ね合わせにより生成される制御信号とすると、噴流刺激が不規則でより変化に富み、自然なマッサージ感が得られる。
【0140】
好ましくは、0.1〜10Hzの周波数を持つ信号を複数重ね合わせるのがよく、より好ましくは、1〜6Hz程度がよい。このような周波数の制御信号を用いることで、噴出噴流の移動速度や移動範囲の変化を十分に感じることができ、人の指によるマッサージ刺激に似た自然な変化を持った刺激感が得られる。
【0141】
また、制御信号は、例えば、制御信号の周波数fに対する変動が1/fに比例する1/f揺らぎ信号に基づいて生成することができる。あるいは、各種センサを用いて、音(浴室内に流れる音楽やテレビの音)、テレビや映像再生装置からの映像、人の生体情報(脳波、呼吸、心音など)、外の風、海の波などの信号を検出し、その信号に基づいて制御信号を生成することも可能である。これにより、噴出噴流の移動速度や移動範囲の変化に自然な揺らぎ感を与えることができ、リラックス効果を高めることが期待できる。
【0142】
なお、上述してきたような制御信号は、他の実施形態における回転体の回転角速度、噴出角度調整体の駆動、第1の流路を流れる流水と第2の流路を流れる流水との流量比などの制御にも適用することができる。
【0143】
前述した各実施形態において、噴出噴流の断面中心の移動半径は0〜80mmの間で変化することが好ましい。これは、人がマッサージをする際の指の可動範囲であり、人の指によるマッサージ刺激に似た自然な変化を持った刺激感が得られる。
【0144】
さらに好ましくは、噴出噴流の断面中心が、0〜30mm(第1の範囲)と30〜80mm(第2の範囲)とを繰り返して移動するように設定するのがよい。ここで、第1の範囲は、図19における第1の円C1の円内であり、第2の範囲は、第1の円C1と中心を共有し第1の円C1よりも直径が大きな第2の円C2の内側であって且つ第1の円C1の円内(第1の範囲)を除く範囲である。
【0145】
噴流刺激は同じ部位のみに受け続けると馴化したり、押されっぱなしとなるため、もまれる感じは受けにくい。しかし、入浴者に対する噴流衝突部位が、押したい部位(第1の範囲)だけでなくその周囲(第2の範囲)にも移動するので、第1の範囲に押圧力が作用する感じと、その押圧力が解除される感じとを繰り返す実際の指圧マッサージに近いリズム感を実現でき、自然と指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感が得られる。
【0146】
また、指(特に一般的な指圧でよく用いられる親指)でマッサージされている感覚を実現するためには、1cm以上3cm以下の太さの噴流束が望ましく、この太さの噴流束を実現するべく、ノズルの噴出口の直径は1cm以上3cm以下とするのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図3】同ノズルにおけるノズルカバーの正面図。
【図4】同ノズルにおける回転体及び噴出角度調整体の模式斜視図。
【図5】同ノズルからの噴出噴流の挙動を説明するための模式図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図7】同ノズルにおける回転体の端面図。
【図8】同第2の実施形態に係るノズルにおける要部の他の具体例を示す模式断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図10】(a)は同ノズルにおける回転体の模式斜視図であり、(b)は同回転体の端面図。
【図11】(a)は同ノズルにおける予旋回流形成部の模式斜視図であり、(b)はその平面図。
【図12】同ノズルにおけるノズルカバーの模式斜視図。
【図13】(a)は同ノズルカバーの正面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図16】同第5の実施形態における噴出噴流の挙動を変化させる構成を示す模式図。
【図17】図16に示す制御装置の制御信号の一例を示す信号波形図。
【図18】図17の制御信号の合成に用いられる信号の波形図。
【図19】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、ノズルからの噴出噴流の移動軌跡の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0148】
1…浴槽、5…吸入口、7…ポンプ、11,11a〜11e…ノズル、33…回転体、35…噴出角度調整体、51…空気導入路、61…回転体、64…予旋回流形成部、75…回転体、76…第1の流路、78…第2の流路
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内に噴流を噴出させる噴流ノズルを備えた噴流浴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽壁に噴流ノズルを設けて、そのノズルから噴流を浴槽水中に噴出させるものがあり、例えば特許文献1〜3には、ノズル本体の噴出口が軸芯位置に対して偏心した位置に設けられていることから、オリフィスからの噴流によってノズル本体が回転し、これにより、ジェット噴流の噴射方向が変化する回転噴流が得られるノズル装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−116729号公報
【特許文献2】特開2003−116728号公報
【特許文献3】特開2001−62354号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、ノズル本体に一体化されたシャフトの前端部に、制動手段としてのプロペラが固着され、ノズル本体の回転時にプロペラの羽根部に水の抵抗力を作用させて、流量が多い場合であってもノズル本体の回転数を所定値に抑えることが開示されている。同様に、特許文献2には、ノズル本体に制動手段としての羽根が設けられ、その羽根がノズル本体と一体となって回転することにより、水の抵抗力を受けて、流量が多い場合であってもノズル本体の回転数を所定値に抑えることが開示されている。
【0004】
特許文献1、2では、制動手段によりノズル本体の回転数が上がるのを抑えて回転を安定させるものであり、その安定した状態ではほぼ一定回転数となり、その回転ノズルから噴出される旋回した噴流の旋回周波数はほぼ一定であり、入浴者が馴化してしまい刺激に飽きやすい。
【0005】
特許文献3には、ノズル本体の回転を禁止するストッパを設け、このストッパを手動もしくは自動で作動させて、ノズル本体を所定位置に固定させて回転を止めた状態での噴流噴出を実現できるとの開示があるが、噴流の回転が完全に停止してしまうと馴化しやすく、また一箇所に続けて噴流が当たるとかゆくなることもある。
【0006】
さらには、特許文献1〜3のノズル装置では、回転噴流の移動軌跡は円状であり、その移動半径も変化せず、単調で変化に乏しく入浴者は馴化してしまう。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされ、変化に富んで飽きのこない噴流浴装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、浴槽と、前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、前記加圧装置から供給される浴槽水を前記浴槽内に噴出させるノズルと、を備え、前記ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行うことを特徴とする噴流浴装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、変化に富んで飽きのこない噴流浴装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図である。
【0011】
本実施形態に係る噴流浴装置は、浴槽1と、浴槽1の浴槽壁に開口された吸入口5と、循環路6、8と、循環路6、8の間に接続された加圧装置であるポンプ7と、浴槽壁に設けられた2つのノズル11とを備える。
【0012】
浴槽1は、略平行に相対向する一対の長辺浴槽壁3a、3bと、略平行に相対向する一対の短辺浴槽壁4a、4bとを有する。
【0013】
吸入口5は一対の長辺浴槽壁3a、3bのうちの一方(図1に示す例では長辺浴槽壁3a)に形成されている。ポンプ7が駆動されると、浴槽1の内部に貯留された浴槽水(湯も含む)は吸入口5を介して循環路6へと吸い込まれる。
【0014】
一般に、入浴者は、向かい合う一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方に背をもたれかけて他方の短辺浴槽壁に足を向けた姿勢で入浴するため、吸入口5を短辺浴槽壁に形成した場合には、入浴者の背中や足裏で吸入口5がふさがれポンプ7に過剰の負荷がかかることが懸念される。したがって、吸入口5は、入浴者の身体の一部等によってふさがれにくい長辺浴槽壁に形成するのが望ましい。
【0015】
循環路6の一端は吸入口5に接続され、他端はポンプ7の吸込口に接続されている。循環路8の一端はポンプ7の吐出口に接続され、他端はノズル11に接続されている。ポンプ7は、吸入口5から循環路6内に浴槽水を吸い込むと共に、その吸い込んだ浴槽水を加圧してポンプ7の下流側の循環路8に吐出する。このポンプ7から吐出された加圧浴槽水は、ノズル11の内部に流入する。なお、使用していないときに、ポンプ7内部の残留水を抜くために、ポンプ7は吸入口5よりも上方に設けることが望ましい。
【0016】
本実施形態では、一対の短辺浴槽壁4a、4bのうちの一方(図1に示す例では短辺浴槽壁4a)に、2つのノズル11を取り付けている。2つのノズル11は、略同じ高さに所定距離水平方向に隔てて、短辺浴槽壁4aに保持されている。ノズル11は浴槽1のあふれ縁より下で、浴槽壁4aに対して保持されている。ここで、「あふれ縁」とは、浴槽1内に浴槽水をためていったとき、最初に浴槽1内から溢れる部分の浴槽1の縁(またはリム)を意味する。このような構成のため、ノズル11からの噴流を浴槽1内に貯留された浴槽水中に噴出させることができる。
【0017】
以下、ノズル11の具体例について説明する。
【0018】
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態に係るノズル11aの模式断面図である。このノズル11aは、図1に示すノズル11に対応する。
【0019】
ノズル11aは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体33、噴出角度調整体35、ノズルカバー34を備える。図2において浴槽壁4aの左側が浴槽内であり、右側が浴槽外の例えばリム下空間である。
【0020】
ノズル本体31はリム下空間で固定部材32に結合され、固定部材32は浴槽壁4aに固定して取り付けられている。したがって、ノズル本体31は、固定部材32によって浴槽壁4aに対して固定保持されている。
【0021】
ノズル本体31の上流側にはエルボ形状に屈曲した流水導入路43が設けられている。固定部材32及びこれに結合されたノズル本体31の下流側の大径部31aは筒状に形成され、この筒状の内部空間は、流水導入路43に連通し且つ流水導入路43の径よりも大きな径の空間となっている。
【0022】
その空間内には、円筒状の回転体33が設けられている。回転体33の軸中心を回転軸36が貫通しており、回転軸36は、ノズルカバー34及びノズル本体31に対して支持されている。回転体33は、回転軸36に対して固定され回転軸36と共に回転する、もしくは固定された回転軸36に対してそのまわりに回転する。
【0023】
回転軸36は、ノズル本体31の外部に設けられたギア39a、39bを介して、同じくノズル本体31の外部に設けられたモータ38に連結されている。
【0024】
ノズル本体31の大径部31aの内部にはブレーキ42が設けられている。ブレーキ42は、大径部31aの外部に設けられたアクチュエータ41によって駆動され、回転体33の外周面に押圧可能となっている。ブレーキ42が回転体33の外周面に押圧接触することで、回転体33の回転にブレーキがかけられ回転体33の回転角速度を低下させることができる。
【0025】
回転体33の上流側端部には、回転中心に対して対称的に広がるバッファ室46が形成されている。バッファ室46よりも下流側には、バッファ室46に連通する流路47が形成されている。この流路47は、回転体33における回転中心に対して偏心した位置に設けられている。
【0026】
その流路47の下流側には、噴出角度調整体35が設けられている。噴出角度調整体35は、流路47と連通する貫通孔が形成され、その貫通孔の下流端開口は、浴槽内の浴槽水中に噴流を噴出するための噴出口48として機能する。
【0027】
噴出角度調整体35は、図4に示すように、回転体33の回転中心(回転軸36)に対して偏心した位置に設けられ、回転体33の回転に伴って円を描く軌跡で移動し、周方向の位置を変えていく。
【0028】
さらに、噴出角度調整体35は、径方向に揺動(傾動)可能となっている。図2に示すように、回転軸36は中空となっており、その内部にワイヤ40が通されている。ワイヤ40の一端部は噴出角度調整体35の下流側端部に結合され、他端部は、ノズル本体31の外部に設けられたアクチュエータ37に連結されている。
【0029】
アクチュエータ37の駆動により、ワイヤ40を引っ張ったり押し込むことで、噴出角度調整体35は、上流側の球状に形成された基部を中心として、噴出口48が形成された下流側端部が回転体33の回転面の径方向に揺動する。
【0030】
固定部材32における浴槽内部側の前端にはノズルカバー34が取り付けられている。図3は、ノズルカバー34の、浴槽内に臨む前端部の正面図を示す。
【0031】
ノズルカバー34には、回転体33及び噴出角度調整体35が設けられた空間と、浴槽内とを連通させる開口34aが形成され、その開口34aを通じて、噴出角度調整体35の噴出口48から浴槽内に噴流を噴出させることができる。
【0032】
以上説明したように構成される本実施形態に係る噴流浴装置において、浴槽1近傍に設けられた図示しないコントローラのスイッチを入浴者が操作すると、ポンプ7が起動し、浴槽1内に貯留された浴槽水が吸入口5から循環路6内へと吸入される。この吸入された浴槽水は、ポンプ7にて加圧されて、循環路8を介して、図2に示すノズル11aの流水導入口44に導入される。
【0033】
流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45に至り、回転体33のバッファ室46に流れ込む。流水流入路45は、流水導入路43に比べ流路断面が縮小されており、そこで流れが加速されてバッファ室46内に流入する。
【0034】
バッファ室46内に流入した流水は、流路47及び噴出角度調整体35の内部を流れ、さらに噴出口48及びノズルカバー34の開口34aを通過して、浴槽内に貯留された浴槽水中に噴流として噴出する。
【0035】
この噴流噴出時、回転体33は、モータ38により回転駆動されており、且つブレーキ42によって回転体33の回転に制動がかけられて回転角速度を変化させながら回転している。さらに、アクチュエータ37でワイヤ40を動かすことにより、噴出角度調整体35を回転体回転面の径方向に揺動(傾動)させている。これにより、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行う。
【0036】
ここで、噴出噴流の断面中心の移動(挙動)について、図5を参照して説明する。
【0037】
図5(a)に示すように、噴出口48から水中に噴出された噴流において、噴流進行方向前方に設けられた被衝突体100に当たった部位を、本明細書において「噴出噴流の断面A」とする。この噴出噴流の断面Aは、入浴者に対する噴流の衝突部位を模したものである。なお、図5(b)は、被衝突体100及び噴出噴流の断面Aを正対する方向から見た模式図である。
【0038】
回転体33の回転に伴って、噴出噴流の断面Aの中心(図5(b)において×印で示す)は、回転体33の回転軸に一致する被衝突体100上における中心Oのまわりに周方向に移動する。ここで、ブレーキ42により制動がかけられて回転体33の回転角速度が変化することで、噴出噴流の断面Aの中心の移動速度は一定ではなく変化している。
【0039】
さらに、本実施形態では、回転体33の回転と併せて、噴出角度調整体35の角度調整も行っており、これにより噴出口48からの噴流噴出角度も変化している。噴流噴出角度の変化は、噴出噴流の断面Aの中心の移動半径(回転体33の回転中心に一致する上記中心Oを中心とする移動半径)が変化する。
【0040】
すなわち、本実施形態によれば、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。
【0041】
この結果、一定移動半径で単一回転数での回転噴流に比べ、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。なお、回転体33の回転角速度を不規則に変化させ、且つ噴出角度調整体35の角度変更も不規則に行えば、ノズル11aは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0042】
回転体33の回転に制動をかけるに際しては、回転軸36に対してブレーキを押し当ててもよい。ただし、より径の大きな回転体33に対してブレーキ42を押し当ててブレーキをかけた方が、より小さな押圧で回転数制御が可能となり、制動による回転数制御を円滑に行える。
【0043】
あるいは、モータ38への印加電圧を変えることで、回転体33の回転数制御を行ってもよい。この場合、ブレーキやアクチュエータ等の付加機構が不要であり、機構が単純化され安価に製作が可能となる。
【0044】
また、噴出角度調整体35は、回転体回転面の周方向に揺動(傾動)可能としてもよい。噴出角度調整体35の周方向角度を変化させると、回転体33が流体から受ける周方向反力の大きさが変化し、回転体33を回転駆動させるためのトルク量が変化するため、回転数をより複雑に(不規則に)変化させることが可能である。
【0045】
また、噴流に気泡を混入させないことで、気泡混入に起因する音が発生せず、静かな環境でリラックスして入浴できる。
【0046】
また、人体が気泡入り噴流を受けた場合、噴流が衝突していると感じる部位とそうでない部位との境界は、複数点における気泡の衝突感及び浮力による気泡の上昇によりあいまいとなり、人体表面での水流の移動を明瞭に感じることは難しい。そのため、水流で押されたまま人体表面を移動する感じは受けられず、指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感を得にくい。
【0047】
したがって、噴流に気泡を混入しないことで、気泡の影響を受けずに、人体表面での水流の移動を明瞭に感じることができ、指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感を得ることができる。なお、直径が数十μm以下の気泡(マイクロバブル、ナノバブル等)は噴流に含まれていてもよい。そのような直径が数十μm以下の気泡が噴流に含まれていたとしても人体表面での水流の移動を明瞭に感じることができる。
【0048】
以下、ノズルの他の具体例について説明する。なお、前述した実施形態と同じ構成部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
[第2の実施形態]
図6は、第2の実施形態に係るノズル11bの模式断面図である。このノズル11bも、図1に示すノズル11に対応する。
【0050】
本実施形態に係るノズル11bも、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体33、噴出角度調整体35、ノズルカバー34を備える。
【0051】
本実施形態においても、回転体33における回転中心(回転軸55)に対して偏心した位置に流路56が形成されている。図7に示すように、その流路56における上流側の入口56bの中心と下流側の出口56aの中心とは、回転体33の回転面の周方向にずれており、回転体33は、流路56を通過する流水の反力によって回転する。
【0052】
流路56の下流側には、噴出角度調整体35が設けられている。噴出角度調整体35は、球状の基部を中心として径方向に揺動(傾動)可能となっている。回転体33の下流側の前端軸中心にはバネ受け部33aが設けられ、このバネ受け部33aと、噴出角度調整体35の下流側外周面との間にバネ(コイルバネ)54が連結されている。
【0053】
ノズル本体31には空気導入路51が形成されている。空気導入路51の一端は、流水流入路45の近傍に開口形成されバッファ室46に臨む空気流入口51aに通じ、他端は空気導入管53に接続されている。空気導入管53は、例えば浴槽リム上に形成された空気取入口を介して大気に連通し、その途中には空気流量可変バルブ(例えば電磁弁)52が設けられている。
【0054】
以上のように構成されるノズル11bにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45に至り、回転体33のバッファ室46に流れ込む。流水流入路45は、流水導入路43に比べ流路断面が縮小されており、そこで流れが加速されてバッファ室46内に流入する。
【0055】
バッファ室46内に流入した流水は、流路56及び噴出角度調整体35の内部を流れ、さらに噴出口48及びノズルカバー34の開口34aを通過して、浴槽内に貯留された浴槽水中に噴流として噴出する。
【0056】
ここで、流路56の軸方向の両端開口(入口56bと出口56a)が回転体回転面の周方向にずれるように、流路56が回転軸55に対して傾いているため、流路56内を流れる水流は回転体33の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体33が回転される。
【0057】
回転体33の回転に伴って、噴出角度調整体35は、回転体33の回転中心のまわりを周方向に移動し、これにより、図5を参照して前述した噴出噴流の断面中心も周方向に移動する。
【0058】
また、ノズル本体31の大径部31a内において空気流入口51a付近の静圧は負圧となり、空気導入管53及び空気導入路51を介して大気中からバッファ室46内に空気が自給される。
【0059】
バッファ室46で気液混合されて得られた気泡入り水流は、流路56に流れ込み、気泡入り噴流となって浴槽水中に噴出する。本実施形態では、空気流量可変バルブ52の開度を制御することによって、流路56を流れる気泡入り水流中の気泡混入量を調整できる。流路56を流れる気泡入り水流中の気泡混入量が変化すると、その気泡入り水流から回転体33が受ける反力が変わり、回転体33の回転角速度が変化する。空気混入量が多くなると、回転体33の回転角速度が大きくなる。この回転体33の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0060】
回転体33が回転すると、噴出角度調整体35及びバネ54は回転体33と共に回転する。回転体33が回転すると、噴出角度調整体35に遠心力が作用し、噴出角度調整体35は、球状に形成された基部を中心として径外方へと傾動する。この傾動によりバネ54は伸ばされバネ54に復元力が作用する。この復元力の作用する方向は、遠心力により径外方へと傾動した噴出角度調整体35を径内方側へと戻そうとする方向である。
【0061】
したがって、回転体33の回転中、噴出角度調整体35に作用する遠心力と、バネ54の復元力とのつり合いによって、噴出角度調整体35の角度、すなわち噴流噴出角度が規定される。
【0062】
回転体33の回転角速度が大きくなれば噴出角度調整体35に作用する遠心力も大きくなって、噴流噴出角度は径外方側へとより大きく傾く。噴流の噴出角度が変化することで、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0063】
すなわち、本実施形態によれば、回転体33内の流路56を流れる水流中に混入させる気泡量を変えることで、回転体33の回転角速度を変化させ、且つこれと連動させて噴出角度調整体35の角度も変化させ、噴流噴出の断面中心の移動速度及び移動半径を変化させることができる。
【0064】
このように本実施形態においても、ノズル11bは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。なお、回転体33の回転角速度を不規則に変化させることで、ノズル11bは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0065】
また、噴流中への気泡混入量を変化させることにより、気泡入り噴流の総流量が変化し、人体が受ける噴流刺激の強弱変化がつき、より変化に富んだ刺激感が得られる。また、噴流中に気泡を含むことで噴流の見た目にも変化が生じ、気泡混入量を変化させることで、視覚的にも変化に富んだ噴流を楽しめる。特に、気泡の径が数十μmの微細気泡を混入させた場合には、噴流は白濁化され、より視覚的に変化に富んだ噴流を楽しめる。
【0066】
また、本実施形態では、流体反力により回転体33を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0067】
前述した実施形態では、噴出角度調整体35の角度すなわち噴流噴出角度を変化させることで、噴出噴流の移動半径を変化させたが、噴出口を回転体回転面の径方向に移動させることで噴出噴流の移動半径を変化させるようにしてもよい。
【0068】
例えば、図8に示す具体例では、流路56の下流側に、径方向に沿った溝状のガイド部57を形成し、このガイド部57に移動体58を係合させている。移動体58は、内部が中空に形成されその内部は流路56と連通している。移動体58の下流端開口は噴出口58aとして機能する。移動体58の上流側部分は、径方向に移動可能にガイド部57に係合している。移動体58の下流側外周面と、回転体33の前端軸中心に設けられたバネ受け部33aとの間にはバネ54が連結されている。
【0069】
回転体33が回転すると、移動体58に遠心力が作用し、移動体58は、ガイド部57のガイドを受けながら径外方へと移動する。この移動によりバネ54は伸ばされバネ54に復元力が作用する。この復元力の作用する方向は、遠心力により径外方へと移動した移動体58を径内方側へと戻そうとする方向である。したがって、回転体33の回転中、移動体58に作用する遠心力と、バネ54の復元力とのつり合いによって、移動体58の径方向位置、すなわち噴出口58aの径方向位置が規定される。
【0070】
噴出口58aの径方向位置が変化することにより、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。なお、噴出口の位置を径方向に移動させるよりも、噴流噴出角度を変化させる方が、噴流刺激範囲が広範囲にわたり、刺激位置の変化を感じやすい。
【0071】
[第3の実施形態]
次に、図9は、第3の実施形態に係るノズル11cの模式断面図である。このノズル11cも、図1に示すノズル11に対応する。
【0072】
ノズル11cは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体61、予旋回流形成部64、ノズルカバー63を備える。
【0073】
回転体61の回転軸55の一端はノズルカバー63に支持され、他端は流水流入路45付近に設けられた軸支持部68に支持されている。回転体61における回転中心(回転軸55)に対して偏心した位置に流路62が形成されている。
【0074】
図10(a)は回転体61の斜視図を示し、図10(b)はその下流側の端面図を示す。
【0075】
流路62の上流端開口である入口62b及び下流端開口である出口62aは、回転体61の半径方向を長軸とする長穴形状に形成されている。その入口62bの中心と出口62aの中心とは、回転体61の回転面の周方向にずれており、後述するように回転体61は、流路62を通過する流水の反力によって回転する。
【0076】
ノズル本体31の大径部31aの内部であって回転体61の上流側には、流路62へと流入する流水に予め旋回性を与える機能を有する予旋回流形成部64が設けられている。
【0077】
図11(a)は、予旋回流形成部64の斜視図を示し、図11(b)はその平面図を示す。
【0078】
予旋回流形成部64は、互いに平行に向き合わされた静止板66と回転板65とを有する。静止板66は、円形リング状の外枠部66aと、この外枠部66aの中心から外枠部66aの内周面に向かって放射状に延びる例えば4本の内枠部66bとを有し、内枠部66b間は開口となっている。同様に、回転板65は、円形リング状の外枠部65aと、この外枠部65aの中心から外枠部65aの内周面に向かって放射状に延びる例えば4本の内枠部65bとを有し、内枠部65b間は開口となっている。
【0079】
予旋回流形成部64は、図9に示すように、静止板66を上流側に回転板65を下流側に位置させた状態で回転体61の上流側に設けられる。なお、回転板65を上流側に静止板66を下流側に位置させてもよい。
【0080】
静止板66及び回転板65の各々の中心を回転軸55が貫通している。静止板66は軸支持部68に固定され、回転軸55のまわりに回転しない。回転板65は、ノズル本体31の外部に設けられたアクチュエータ67に連結され、そのアクチュエータ67の駆動により回転軸55のまわりに回転可能となっている。
【0081】
図11に示すように、静止板66の内枠部66bと、回転板65の内枠部65bとの間には、例えばゴムなどの伸縮自在な材料からなる膜部材69が張られている。静止板66の内枠部66bと回転板65の内枠部65bとが周方向に重なった状態では、膜部材69は軸方向に対して略平行となり、予旋回流形成部64を軸方向に通過する流水に対して旋回性を与えない。
【0082】
しかし、静止している静止板66に対して相対的に回転板66をアクチュエータ67の駆動により回転させることで、各々の内枠部66b、65bが周方向にずれると、膜部材69が軸方向に対して傾斜し、いわゆる静翼として機能し、予旋回流形成部64を軸方向に通過する流水に対して旋回性、すなわち、周方向の速度成分を与える。
【0083】
再び図9を参照すると、固定部材32における浴槽内部側の前端には、キャップ状のノズルカバー63が取り付けられている。
【0084】
図12はノズルカバー63の斜視図である。図13(a)はノズルカバー63における、浴槽内に臨むと共に回転体61の下流端面に対向する前端部の正面図であり、図13(b)は(a)におけるA−A断面図である。
【0085】
ノズルカバー63には、回転体61が設けられた空間と、浴槽内とを連通させる開口63aが形成されている。図示する具体例では、回転体61の回転中心C(回転軸55)を中心としてそのまわりの周方向に例えば3つの開口63aが形成されているが、周方向に連続してつながった一つ開口として形成してもよい。
【0086】
開口63aは、回転体61の回転中心Cからの半径方向位置が周上で異なる。開口63aは例えば半径方向にうねるように形成され、回転体61の回転中心Cに対する開口63aの半径方向の中心位置は周方向で一定ではなく、例えば図13(a)のA−A断面である図13(b)におけるr1とr2とは異なる。
【0087】
ノズルカバー63に形成された開口63aは、回転体61の下流側端面に対向している。回転体61の下流側端面には流路62の出口62aが開口形成されている。流路62を流れてきた流水は、流路62の出口62a(図13(a)において2点鎖線で重ねて示す)と、ノズルカバー63の開口63aとが重なり合う部分から浴槽内の浴槽水中に噴流として噴出する。
【0088】
ノズルカバー63の開口63aは周方向で半径方向位置が異なり、流路62の出口62aは半径方向を長軸とする長穴形状に形成されているため、開口63aと出口62aとが重なり合う部分の径方向位置は回転体61の回転に伴って変化する。すなわち、噴流を浴槽内へと噴出するための噴出口の径方向位置が回転体61の回転に伴って変化することになり、これにより噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0089】
以上のように構成されるノズル11cにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は、流水導入路43を下流側へと導かれてその下流端の流水流入路45を通過して、予旋回流形成部64へと流れ込む。
【0090】
そして、予旋回流形成部64では、前述したように、静止板66に対して相対的に回転板66をアクチュエータ67の駆動により回転させることで、静翼として機能する膜部材69の角度や面積を調整して、回転体61の流路62に流入する流水に旋回性を付与したり、その旋回力の大きさを変更することができる。ここで、予旋回流形成部64によって得られる旋回流の旋回方向は、その旋回流が流路62を流れる際の反力によって回転させられる回転体61の回転方向と同じである。
【0091】
流路62における入口62bと出口62aとが回転体回転面の周方向にずれるように、流路62が回転軸55に対して傾いているため、流路62内を流れる水流は回転体61の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体61が回転される。
【0092】
そして、前述したように回転体61の回転に伴って、開口63aと出口62aとが重なり合う部分、すなわち噴出口の径方向位置が変化することになり、これにより噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0093】
本実施形態では、予旋回流形成部64の回転板65を回転させることで流路62を流れる流水が有する旋回力の大きさを変化させて、回転体61の回転角速度を変えることができる。流路62を流れる流水の旋回力が大きければ、回転体61の回転角速度は大きくなる。この回転体61の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0094】
このように本実施形態においても、ノズル11cは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0095】
回転体61の回転角速度を不規則に変化させることで、ノズル11cは、噴出噴流の断面中心の移動速度を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0096】
また、ノズルカバー63の開口63aの半径方向幅を周上で異なるようにすることで、周上で噴出口断面積が一定ではなくなるので、噴流強弱の変化も生じ、さらに変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0097】
また、本実施形態では、回転体61上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、簡単な構成で噴出噴流の断面中心の移動半径を変化させることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、流体反力により回転体61を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0099】
[第4の実施形態]
次に、図14は、第4の実施形態に係るノズル11dの模式断面図である。このノズル11dも、図1に示すノズル11に対応する。
【0100】
ノズル11dは、主として、ノズル本体31、固定部材32、回転体75、ノズルカバー34を備える。
【0101】
回転体75の下流側端面の中心は軸部材85を介して回転自在にノズルカバー34に支持されている。回転体75の上流側端面における中心には回転体75に一体に中空の回転軸77が設けられている。回転軸77は、回転体75の上流側の流水導入路43内に向けて延在し、その一端部はノズル本体31に対して回転自在に支持されている。
【0102】
回転体75における回転中心(回転軸77)に対して偏心した位置に第1の流路76が形成されている。第1の流路76の上流端開口である入口76bの中心と、下流端開口である出口76aの中心とは、回転体75の回転面の周方向にずれており、回転体75は、第1の流路76を通過する流水の反力によって回転する。
【0103】
ノズル本体31における、回転軸77の一端部を支持する部分の近傍には、流水導入部79が設けられている。流水導入部79の内部は中空の回転軸77の内部に形成された第2の流路78に連通している。第2の流路78は、回転軸77の内部に形成された流路と、この流路に続いて回転体75の内部に形成された流路とを有する。
【0104】
第2の流路78における回転体75の内部に形成された部分の下流側部分は、回転体75の半径方向に対して傾斜し、その最下流端開口である第2の流路78の出口78aは、第1の流路76の出口76a付近に臨んでいる。すなわち、第2の流路78は第1の流路76に合流している。第2の流路78は、第1の流路76との合流部近傍では、第1の流路76に対して平行でも垂直でもなく、傾斜して第1の流路76に対して合流している。
【0105】
以上のように構成されるノズル11dにおいて、流水導入口44から流水導入路43内に導入された流水は流水導入路43を導かれて第1の流路76に流入する。ここで、第1の流路76における入口76bと出口76aとが回転体回転面の周方向にずれるように、第1の流路76が回転体75の回転軸方向に対して傾いているため、第1の流路76内を流れる水流は回転体75の回転面の接線方向成分を持ち、その水流の反力により回転体75が回転される。
【0106】
流水導入部79を介して第2の流路78に導入された流水は、第1の流路76の出口76a付近で第1の流路76を流れてきた流水と衝突する。このノズル11dの前段(上流側)には、図示しない例えば三方弁などの流量分配機構が設けられ、第1の流路76に導入される流水の流量と、第2の流路78に導入される流水の流量との流量比を変更可能となっている。
【0107】
このように、第1の流路76を流れる流水と、第2の流路78を流れる流水との流量比を変化させることで、第1の流路76と第2の流路78との合流点での衝突噴流の、浴槽水中への噴出角度が変化して、噴出噴流の断面中心の移動半径が変化する。
【0108】
また、第1の流路76を流れる流水の流量を変更することで、この反力により回転される回転体75の回転角速度を変えることができる。回転体75の回転角速度の変化により、噴出噴流の断面中心の移動速度が変化する。
【0109】
このように本実施形態においても、ノズル11dは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0110】
また、第1の流路76を流れる流水の流量、および第1の流路76を流れる流水と第2の流路78を流れる流水との流量比を不規則に変化させることで、ノズル11dは、噴出噴流の断面中心の移動速度及び移動半径を不規則に変化させながら噴流噴出を行い、人の手もみ感覚に近い自然なマッサージ感が得られ、よりリラックス効果を高めることができる。
【0111】
また、本実施形態では、回転体75上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、簡単な構成で噴出噴流の断面中心の移動半径を変化させることが可能である。
【0112】
また、回転体75は、前述した実施形態のようにモータにより回転駆動されてもよいが、本実施形態では、回転体75上に噴流噴出方向を変更させるための可動部材を設けておらず、さらに、流体反力により回転体75を駆動する構成のため、機構が単純化され安価に製作が可能である。
【0113】
[第5の実施形態]
次に、図15は、第5の実施形態に係るノズル11eの模式断面図である。このノズル11eも、図1に示すノズル11に対応する。
【0114】
このノズル11eは、大きく分けて、略円筒形状でほぼまっすぐに延在する筒体20と、筒体20の軸方向の上流側端部に設けられた湾曲部30とを有する。筒体20と湾曲部30とは一体成形構造であってもよいし、別体のものを結合させてもよい。また、筒体20は、略円筒形状に限らず、略楕円筒形状であってもよい。
【0115】
湾曲部30の内部には流水導入部22が形成され、その流水導入部22における上流側端部の最上流端には、前述した循環路8と浴槽1の外部で接続される流水導入口21が開口形成されている。筒体20の軸方向の下流側端部には噴出口26が開口形成されている。
【0116】
流水導入部22の下流側端部は、流水導入部22の中で最も流路断面が縮小された流路断面収縮部23として機能する。流路断面収縮部23の最下流端は、筒体20の軸方向の上流側端部に開口している。
【0117】
流水導入部22の流路断面は円形または楕円形であり、その流路断面積は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次減少している。すなわち、流水導入部22の流路は、上流側端部から下流側端部である流路断面収縮部23に向けて漸次細くなっている。
【0118】
流路断面収縮部23と噴出口26との間の筒体20の内部には、筒体20の軸方向に延在するチャンバー25が設けられている。
【0119】
流路断面収縮部23の流路断面の中心は、筒体20の軸中心C1に一致している。流水導入部22の流路断面の中心を通る流路中心線C2は曲率を有する曲線を描き、すなわち、流水導入部22は湾曲している。その流路中心線C2の下流端位置は、チャンバー25の軸中心C1に一致している。
【0120】
流路断面収縮部23は、筒体20の内部に形成されたチャンバー25に連通し、且つチャンバー25に対して流路断面が縮小されている。また、流路断面収縮部23は、その流路断面の中心を、チャンバー25の軸中心C1に一致させて、チャンバー25の軸方向に対して略平行に延在し、径が一定な直管状に形成されている。すなわち、流水導入部22の流路は上流側から下流側に向けて漸次細くなり、その細くなった先には、流路径が一定な直管部として流路断面収縮部23が続いている。
【0121】
チャンバー25の軸方向の上流側端部には、流路断面収縮部23に対して流路断面が急拡大(例えば径が3倍以上急拡大された)された流路断面急拡大部24が設けられている。流路断面急拡大部24は、流路断面収縮部23より下流側で流路断面収縮部23に連通している。
【0122】
チャンバー25の軸方向の下流側端部には噴出口26が開口している。チャンバー25の内壁面は、流路断面急拡大部24から噴出口26の近傍に至るまで、チャンバー25の軸中心C1に対して略平行に延在し、また、チャンバー25は流路断面急拡大部24の内径寸法のまま噴出口26近傍まで続いている。チャンバー25における軸方向の上流側端部が流路断面急拡大部24として機能し、チャンバー25における軸方向の下流側端部が噴出口26として機能する。
【0123】
流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24にかけての流路壁面は略垂直に変化している。すなわち、流路断面収縮部23の流路壁面は、チャンバー25の軸方向に対して略平行であるのに対して、流路断面急拡大部24として機能するチャンバー25の軸方向の上流側端部の壁面は、流路断面収縮部23の流路壁面に対して略垂直に続いて径外方に広がって形成されている。この流路壁面の急変化により、後述するように流路断面急拡大部24にて、壁面からの流れの剥離が生じる。
【0124】
噴出口26近傍のチャンバー25内には、噴出口26へと通じるチャンバー25内流路の一部を遮る遮蔽体27を設けている。遮蔽体27は例えば円盤状に形成され、その中心をチャンバー25の軸中心C1に一致させて、チャンバー25の内部に設けられている。
【0125】
遮蔽体27は、例えば、遮蔽体27とチャンバー25の内壁部との間に放射状に設けられた図示しない複数本の保持部材を介してチャンバー25の内壁部に対して保持されている。それら保持部材は、円盤状の遮蔽体27の外周面のまわりに周方向に沿って等間隔で設けられ、よって、遮蔽体27によってチャンバー25内流路のすべてが遮蔽されず、遮蔽体27とチャンバー25の内壁部との間には、チャンバー25から噴出口26への流水の流れを許容する流路が確保されている。
【0126】
また、チャンバー25の軸方向の下流側端部における噴出口26へと続く内壁面に、チャンバー25の軸中心C1に向けて傾斜した環状の傾斜面28を形成している。傾斜面28は、上流側から下流側に向かうにしたがって徐々に軸中心C1に近づくように傾斜している。
【0127】
以上のように構成されるノズル11eにおいて、流水導入口21から導入された流水は、流水導入部22を流れ、この下流側端部である流路断面収縮部23から流路断面急拡大部24を経てチャンバー25内に噴流となって流入する。流水が、流路断面収縮部23からチャンバー25内に流入する際、流路断面の急拡大により、流路内壁面に沿って流れることができなくなり、流路内壁面に対して流れの剥離が生じる。
【0128】
一般的に、噴流は、外部流体との運動量交換により外部流体を加速し、噴流内部に巻き込む。このとき、噴流近傍に壁面が存在すると、外部流体を内部に引き込むように作用する引きつけ力の反作用により、噴流自身が壁面に向かって曲げられ、再び流れが壁面に沿うようになる。つまり、チャンバー25の内壁面の周の一部に流れが再付着する。
【0129】
チャンバー25の内壁面に付着した主流は、そのままチャンバー25内壁面に沿い、遮蔽体27の外周面とチャンバー25内壁面との間を噴出口26に向かって流れ、噴出口26の上流側手前でチャンバー25の軸中心C1に向かうように傾斜して形成された傾斜面28に沿って軸中心C1に対して傾斜した噴流として噴出口26から浴槽1内に噴出する。
【0130】
以上のようにして、チャンバー25内に、主流(図15において太線矢印aで表す)が形成される。
【0131】
流路断面収縮部23に比べて噴出口26の流路断面が大きく、流れは下流に向かって減速、すなわち、チャンバー25内部では下流に向かって静圧が増加する逆圧力勾配が形成されること、さらにチャンバー25内に流路の一部を遮るように遮蔽体27が設けられていることによって、前述した主流の一部は、噴出口26から噴出されず、図15において矢印bで表すように、チャンバー25の上流側に戻される。
【0132】
その上流側に戻された流れが、流路断面急拡大部24付近にて主流が剥離したよどみ領域に流れ込むことで、流路断面急拡大部24付近で中心軸C1まわりに旋回流が形成され、これにより、主流の流路壁面に対する再付着位置が周方向で不規則に変化し、噴出口26からは中心軸C1まわりに不規則に旋回した噴流が噴出される。
【0133】
ポンプ7から送られノズル11e内に流入する加圧流水の圧力(ノズル流入圧)を変化させることで、ノズル11eから噴出される旋回噴流の旋回範囲及び旋回周波数を変えることができる。すなわち、ノズル流入圧を変えることで、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させることができる。
【0134】
例えば、図16に示すように、制御装置91からの制御信号により、ポンプ7への印加電圧を変更することで、ノズル流入圧を変化させることができる。
【0135】
このように本実施形態においても、ノズル11eは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行い、図5(b)においてLで示される軌跡が一定半径の円ではなく、曲率が変化する曲線を描き、その移動速度も一定ではなく変化している。この結果、機械的ではない変化に富んだ噴流刺激感が得られ、長時間入浴していても飽きがなくゆったりとリラックスできる。
【0136】
また、ノズル流入圧を変化させると、噴出流量の変化が生じ、噴流刺激の強弱の変化も生じることからさらに変化に富んだ噴流刺激が得られる。
【0137】
また、本実施形態に係る噴流ノズル11eは、内部に導入された流体自身が、前述したようにチャンバー25内での還流作用によって、噴出口26から噴出される噴流の旋回を励起する構成となっているため、回転摺動部分が不要であり、ノズル構造が単純化され、安価に作製することができ、またメンテナンスも容易になる。
【0138】
ここで、図17は、制御装置91の制御信号の一例を示す。この制御信号の時間変化は、噴出噴流の断面中心の移動速度や移動半径の時間変化に対応する。また、この図17に示す制御信号は、図18(a)、(b)、(c)にそれぞれ示す信号を重ね合わせたものである。
【0139】
図18(a)、(b)、(c)は、それぞれ異なる単一周波数の信号であるが、このような信号に基づいてノズル流入圧を制御してもよいが、図17に示すように、異なる周波数を有する複数の信号の重ね合わせにより生成される制御信号とすると、噴流刺激が不規則でより変化に富み、自然なマッサージ感が得られる。
【0140】
好ましくは、0.1〜10Hzの周波数を持つ信号を複数重ね合わせるのがよく、より好ましくは、1〜6Hz程度がよい。このような周波数の制御信号を用いることで、噴出噴流の移動速度や移動範囲の変化を十分に感じることができ、人の指によるマッサージ刺激に似た自然な変化を持った刺激感が得られる。
【0141】
また、制御信号は、例えば、制御信号の周波数fに対する変動が1/fに比例する1/f揺らぎ信号に基づいて生成することができる。あるいは、各種センサを用いて、音(浴室内に流れる音楽やテレビの音)、テレビや映像再生装置からの映像、人の生体情報(脳波、呼吸、心音など)、外の風、海の波などの信号を検出し、その信号に基づいて制御信号を生成することも可能である。これにより、噴出噴流の移動速度や移動範囲の変化に自然な揺らぎ感を与えることができ、リラックス効果を高めることが期待できる。
【0142】
なお、上述してきたような制御信号は、他の実施形態における回転体の回転角速度、噴出角度調整体の駆動、第1の流路を流れる流水と第2の流路を流れる流水との流量比などの制御にも適用することができる。
【0143】
前述した各実施形態において、噴出噴流の断面中心の移動半径は0〜80mmの間で変化することが好ましい。これは、人がマッサージをする際の指の可動範囲であり、人の指によるマッサージ刺激に似た自然な変化を持った刺激感が得られる。
【0144】
さらに好ましくは、噴出噴流の断面中心が、0〜30mm(第1の範囲)と30〜80mm(第2の範囲)とを繰り返して移動するように設定するのがよい。ここで、第1の範囲は、図19における第1の円C1の円内であり、第2の範囲は、第1の円C1と中心を共有し第1の円C1よりも直径が大きな第2の円C2の内側であって且つ第1の円C1の円内(第1の範囲)を除く範囲である。
【0145】
噴流刺激は同じ部位のみに受け続けると馴化したり、押されっぱなしとなるため、もまれる感じは受けにくい。しかし、入浴者に対する噴流衝突部位が、押したい部位(第1の範囲)だけでなくその周囲(第2の範囲)にも移動するので、第1の範囲に押圧力が作用する感じと、その押圧力が解除される感じとを繰り返す実際の指圧マッサージに近いリズム感を実現でき、自然と指で押されたまま人体表面上を移動するような指圧マッサージ感が得られる。
【0146】
また、指(特に一般的な指圧でよく用いられる親指)でマッサージされている感覚を実現するためには、1cm以上3cm以下の太さの噴流束が望ましく、この太さの噴流束を実現するべく、ノズルの噴出口の直径は1cm以上3cm以下とするのがよい。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の実施形態に係る噴流浴装置の概略構成を示す模式図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図3】同ノズルにおけるノズルカバーの正面図。
【図4】同ノズルにおける回転体及び噴出角度調整体の模式斜視図。
【図5】同ノズルからの噴出噴流の挙動を説明するための模式図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図7】同ノズルにおける回転体の端面図。
【図8】同第2の実施形態に係るノズルにおける要部の他の具体例を示す模式断面図。
【図9】本発明の第3の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図10】(a)は同ノズルにおける回転体の模式斜視図であり、(b)は同回転体の端面図。
【図11】(a)は同ノズルにおける予旋回流形成部の模式斜視図であり、(b)はその平面図。
【図12】同ノズルにおけるノズルカバーの模式斜視図。
【図13】(a)は同ノズルカバーの正面図であり、(b)は(a)におけるA−A断面図。
【図14】本発明の第4の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図15】本発明の第5の実施形態に係るノズルの模式断面図。
【図16】同第5の実施形態における噴出噴流の挙動を変化させる構成を示す模式図。
【図17】図16に示す制御装置の制御信号の一例を示す信号波形図。
【図18】図17の制御信号の合成に用いられる信号の波形図。
【図19】本発明の実施形態に係る噴流浴装置において、ノズルからの噴出噴流の移動軌跡の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0148】
1…浴槽、5…吸入口、7…ポンプ、11,11a〜11e…ノズル、33…回転体、35…噴出角度調整体、51…空気導入路、61…回転体、64…予旋回流形成部、75…回転体、76…第1の流路、78…第2の流路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、
前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、
前記加圧装置から供給される浴槽水を前記浴槽内に噴出させるノズルと、
を備え、
前記ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行うことを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記ノズルは、回転体を有し、
前記回転体は、前記加圧装置から供給される浴槽水が流入し、回転中心に対して偏心した位置に設けられた流路を有し、
前記回転体の回転角速度の変化により前記噴出噴流の断面中心の移動速度が変化することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記流路における入口の中心と出口の中心とは前記回転体の回転面の周方向にずれており、前記流路を通過する流水の反力によって前記回転体が回転することを特徴とする請求項2記載の噴流浴装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記流路へと流入する流水に予旋回を与える予旋回流形成部を有し、
前記予旋回流形成部は、予旋回流の旋回性を変更可能な構造を有することを特徴とする請求項3記載の噴流浴装置。
【請求項5】
前記ノズルは、前記回転体の下流端面に対向して設けられたノズルカバーを有し、
前記流路の下流端開口は、前記回転体の半径方向を長軸とする長穴形状に形成され、
前記ノズルカバーには、半径方向位置が周上で異なる開口が形成され、
前記流路の下流端開口と、前記ノズルカバーの前記開口とが重なり合う部分から噴流が噴出し、その重なり合う部分の径方向位置が前記回転体の回転に伴って変化することで前記噴出噴流の断面中心の移動半径が変化することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の噴流浴装置。
【請求項6】
前記ノズルは、回転体を有し、
前記回転体は、
前記加圧装置から供給される浴槽水が流入し、回転中心に対して偏心した位置に設けられた第1の流路と、
前記回転体の半径方向に対して傾斜して設けられ、前記第1の流路に合流する第2の流路とを有し、
前記第1の流路を流れる流水と前記第2の流路を流れる流水との流量比を変化させることで前記第1の流路と前記第2の流路との合流点での衝突噴流の噴出角度が変化して前記噴出噴流の断面中心の移動半径が変化することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項1】
浴槽と、
前記浴槽の浴槽壁に開口され前記浴槽の内部に貯留された浴槽水が吸い込まれる吸入口と、
前記吸入口から浴槽水を吸入し加圧して吐出する加圧装置と、
前記加圧装置から供給される浴槽水を前記浴槽内に噴出させるノズルと、
を備え、
前記ノズルは、噴出噴流の断面中心の移動半径及び移動速度を変化させながら噴流噴出を行うことを特徴とする噴流浴装置。
【請求項2】
前記ノズルは、回転体を有し、
前記回転体は、前記加圧装置から供給される浴槽水が流入し、回転中心に対して偏心した位置に設けられた流路を有し、
前記回転体の回転角速度の変化により前記噴出噴流の断面中心の移動速度が変化することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【請求項3】
前記流路における入口の中心と出口の中心とは前記回転体の回転面の周方向にずれており、前記流路を通過する流水の反力によって前記回転体が回転することを特徴とする請求項2記載の噴流浴装置。
【請求項4】
前記ノズルは、前記流路へと流入する流水に予旋回を与える予旋回流形成部を有し、
前記予旋回流形成部は、予旋回流の旋回性を変更可能な構造を有することを特徴とする請求項3記載の噴流浴装置。
【請求項5】
前記ノズルは、前記回転体の下流端面に対向して設けられたノズルカバーを有し、
前記流路の下流端開口は、前記回転体の半径方向を長軸とする長穴形状に形成され、
前記ノズルカバーには、半径方向位置が周上で異なる開口が形成され、
前記流路の下流端開口と、前記ノズルカバーの前記開口とが重なり合う部分から噴流が噴出し、その重なり合う部分の径方向位置が前記回転体の回転に伴って変化することで前記噴出噴流の断面中心の移動半径が変化することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の噴流浴装置。
【請求項6】
前記ノズルは、回転体を有し、
前記回転体は、
前記加圧装置から供給される浴槽水が流入し、回転中心に対して偏心した位置に設けられた第1の流路と、
前記回転体の半径方向に対して傾斜して設けられ、前記第1の流路に合流する第2の流路とを有し、
前記第1の流路を流れる流水と前記第2の流路を流れる流水との流量比を変化させることで前記第1の流路と前記第2の流路との合流点での衝突噴流の噴出角度が変化して前記噴出噴流の断面中心の移動半径が変化することを特徴とする請求項1記載の噴流浴装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−160134(P2009−160134A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341033(P2007−341033)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
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