説明

噴流破砕器を含む多段カラムにおける新規な流体分配および収集のシステム

【課題】擬似移動床吸着等の多段カラムにおける分配/混合装置の性能を最適化する。
【解決手段】多段カラムにおける流体分配器10に関し、多段カラムの各プレートは、所定数のパネルに分割され、各パネルは、本発明の分配器を備え、流体分配器10は、a)パネルの収集バッフル5の出口開口のほぼ軸中に位置する固体噴流破砕器9;b)固体噴流破砕器9を超えて横に延び、10〜40%の範囲の開口度を有する中間穿孔プレート8;c)パネル全体にわたって延び、5〜20%の開口度を有する分配プレート7を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状媒体と称される固体粒子媒体中の流体の流れを利用する多段カラムにおいて該流体の分配および収集を行うための新規な装置に関する。
【0002】
用語「多段カラム」は、実質的に垂直な軸に沿って配置される複数のプレートによって構成されるカラムであって、各プレート(支持プレートと称される)は、粒状固体床を支持し、種々の連続的な床は、カラムにおいて用いられる流体(単数種または複数種)によって順次に通過されるものに適用される。連続的な床中を通過する流体は、第一流体と称され、これは、第二流体と称される他の流体と区別される。第二流体は、分配装置を介して第一流体に加えられ得、この分配装置は、一般的には、2つの連続的な床の間に位置し、分配器プレートと称される。
【0003】
本発明は、第二流体の注入を可能にし、かつ、該第二流体を第一流体と混合するシステムと関連するものではなく、直ぐ下流に位置する粒状床上で第一流体および第二流体を混合することに由来する流体を分配することを目的とする分配器にのみ関連する。本明細書の以降は、簡単に、本発明の分配器の直ぐ下流に位置する粒状床を指定するために「下流」床という。
【0004】
それ故に、本発明は、第一流体および第二流体を混合し、先行する粒状床、すなわち、より正確には、第一流体の流れの方向の意味で「上流」床を備えるシステムから来る噴流の形態にある流体を、各粒状床または少なくともその一部に供給し得る分配装置に関連する。
【0005】
本明細書の残りにおいて、用語「可変抵抗性分配装置(variable resistance distribution device)」(略してVRD)は、本発明の分配器の原理を示すために用いられることになる。
【0006】
より特定的には、本発明は、この分配器の構成に関連する。
【0007】
カラムの各プレートは、プレートが複数のセクターに分割される方法で連結された複数のVRD分配器を有する。
【0008】
一般的に、プレートの各セクターは、1つのVRD分配器を含む。
【0009】
本発明は、本質的に、列Pのプレートの各セクターと関連する分配器が、第一流の流れの方向において、
・収集バッフルからの出口より下、そこから7〜25mmの範囲の距離にある固体噴流破砕器(solid jet breaker);
・噴流破砕器を超えて延びる幅を有する中間穿孔プレート;
・考慮中であるパネルの全体表面を超えて延びる分配プレート
を含むことに存する。
【0010】
本発明は、下流の粒子床におけるプラグタイプの流れが概算され得、これにより、擬似移動床吸着等の多段カラムにおいて行われる種々の方法の性能が最適化されることを意味する。
【0011】
本発明はまた、混合室を出る噴流に対して直角の溝(furrow)形成の現象を低減させ得る;そのような溝は、考慮中である装置の直ぐ下流に位置する粒状床の上表面の平坦性を大なり小なり混乱させる。
【0012】
本発明の装置は、それ故に、2つの基準の面:流れの品質および下流の粒状床の上表面における溝の形成の欠如において評価される。
【背景技術】
【0013】
固体粒子を含む容器、特に、多段カラムにおいて流体の分配、混合または収集を行うための多くの装置が知られている。分配/混合装置の作用は、一般的に、カラムの断面にわたって可及的に均一に流体を分配し、カラムの種々の床中を通過する第一流体を、各床に導入された1種以上の第二流体と効率的に混合し、場合によっては2つの床の間の流体の流れを収集し、最終的には、床からの出口における濃度を、次の固体粒子の床、すなわち、考慮中である装置の直ぐ下流に位置する床に入る前にできる限り均一にすることである。
【0014】
さらに、分配/混合装置は、所定数の制約、例えば、できる限り少ない軸方向分散を発生させること、最小限の圧力降下を発生させること、および方法の性能を変更し得る水力学的摂動を生じさせないことを満たさなければならない。
【0015】
特許文献1〜3には、擬似移動(simulated moving bed:SMB)床吸着の場合に用いられる分配/混合装置の例が供給されている。
【0016】
分配/混合装置は、当業者に知られている所定数の特徴を有する。明確にするために、第一流体の流れの方向において直ぐ下流に位置するプレートを指定するためにプレートPおよびプレートP+1とすることにすると:
・カラムのプレートPは、種々の形状を有し得る領域またはパネルに分割され、最も通常には、角度のある扇形(angular sector)または経線パネル(meridional panel)、すなわち、実質的に同一長さの平行パネルに分割され;
・プレートPの各パネルにおいて、第一流体は、「収集バッフル」システムを介して収集され;
・粒状床を出る第一流体は、注入室において終結する分配ネットワークを介して考慮中であるパネルに注入され得る第二流体と混合され;
・収集された第一流体および注入された第二流体の混合物は、分配器と称される分配装置(スクリーン、穿孔プレートその他)を介して次のプレートP+1のパネルの断面にわたって再分配される。
【0017】
分配器を出る流体は、次いで、固体粒子床P+1に入る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0074815号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0108274号明細書
【特許文献3】仏国特許発明第2708480号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
粒子床は、分配器によって塞がれ得、すなわち、分配器と粒子床P+1との間に空のスペースがない。
【0020】
対照的に、空のスペースは、例えば特許文献2の図3Bに示されるように、分配器と床との間に存在し得る。
【0021】
特許文献2において記載されているように分配器と床との間に空のスペースがある場合、分配器は、粒子床の部分的な流動化を引き起こさないために、床の入口においてあまりに高すぎる局所的な流体速度を生じさせないように設計されなければならない。
【0022】
そのような現象は、方法の性能に関してマイナスの効果を有し得る。
【0023】
この現象は、特許文献2において詳細に記載されている。当該特許には、下流の粒状床への入口における前記噴流の高い速度を制限するために、分配器の上方および液体噴流の出口に対応する開帯域の下に配置される噴流破砕プレートが記載されている。しかしながら、これは、この現象を除くのに十分でないかもしれず、それ故に、他の解決策に頼る必要がある。
【0024】
この現象をさらに低減させるために、従来技術は、複数のタイプの解決策を提案する:
・分配スクリーンの下流に、粒子床への入口における混乱および高速度を制限するためにスクリーンの要素または穿孔プレート型を配置する;
・流体が分配/混合装置中を通過する速度を低減させるためにパネル数および収集バッフルの開口を増加させる。
【0025】
さらに、十分な圧力降下を生じさせる任意の装置が、原則として、当該装置からの出口における速度分布を均一化し得ることは当業者に周知である。この理由のために、分配スクリーンの選択は、下流に位置する固体粒子床に入る流体についての速度分布に影響を有し得る。分配器において大なり小なり圧力降下を大きくするという事実は、それ故に、粒子床入口における水力学的摂動の危険性を制限し得る。しかしながら、この解決策は、理想的ではない。パネルの表面全体にわたる圧力降下の増大は、強度的な理由のために望ましくない可能性があり、または、分配/混合装置における水力学が劣化するからである。
【0026】
さらに、高い圧力降下を有する分配器の使用は、付着物の潜在的な源であり得、さらには、分配/混合装置を部分的に目詰まりさせ得る。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明により解決すべき課題は、多段カラムと称される、複数のプレートを含み、それぞれが粒状固体の床を有する、カラムの内側の流体の流れを改善することである。
【0028】
本発明の関連において用いられる用語「流れを改善する」とは、流れが栓流(plug flow)に可及的に近いこと(すなわち、カラムの種々の連続床を通過する流体の軸方向分散が可及的に小さい流れ)を意味し、さらに、下流の粒状床の表面上の溝形成の現象が最少にされるさらには小出しにされることも意味する。
【0029】
概して、カラムは粒状媒体を構成し、種々のプレートの間を流通する第一流体は、下降流態様の液体である。
【0030】
本発明は、プレートPによって支持される粒状床を供給し得、上流の粒状床は、プレートP−1によって支持される分配装置からなり、該分配装置は、第一流体を収集し、かつ、該第一流体を1以上の二次流体と混合するためのシステムを有し、該第二流体は、収集バッフルと称されるバッフルにおいて終結し、該バッフルは、0.5〜4m/sの速度を有する液体噴流を生じさせる少なくとも1つの出口開口部を有する。
【0031】
第一流体は、垂直下方に流れる。
【0032】
より正確には、本発明は、一連のプレートを有する多段カラムの各粒状床に供給する流体を分配するための装置であって、各プレートPは、粒状固体の床を支持し(簡単化のためにPと表記される場合もある)、Paと表記されるパネルに分割され、各パネルPaは、前記パネルPaを出る流体を収集するためのシステムを備え、該システムは、本質的に、収集バッフルと称されるバッフルからなり、該バッフルは、出口開口部を有する装置であって、流体の流れの方向において上から下に配置される以下の3つの要素:
a)パネルPaの収集バッフルの出口開口部の軸中に実質的に位置する固体噴流破砕器;
b)噴流破砕器を超えて横方向に延びる中間穿孔プレートであって、10〜40%、好ましくは15〜30%の開口度を有する、プレート;
c)パネルPaの全体を超えて延びる分配プレートであって、5〜20%、好ましくは7〜15%の開口度を有する、プレート
を含む装置として規定され得る。
【0033】
本発明の好ましい変形例によると、分配器を構成する3つの要素は、流体流れの方向で、
a)固体噴流破砕器;
b)中間穿孔プレート;
c)分配プレート
の順に配置される。
【0034】
3つの要素は、好ましくは、それらが相互に並置されているという意味で、隣接している。依然として本発明の範囲内である所定の場合には、それらは、互いに別個であり得、この場合、それらを分ける距離は、長くとも10mm、好ましくは長くとも5mmである。
【0035】
用語「距離」は、考慮中の2つの要素の中の最も近い部分または端部を分ける距離として規定される。
【0036】
パネルへのプレートの分割は、従来技術において知られている。2つの最も通常のタイプの分割は、経線パネルへの分割および角度のある扇形に対応するパネルへの分割である。経線パネルは、前記プレートの径に沿って方向を向けられた、実質的に同一の幅を有する平行要素にプレートを分割することに対応する。本発明の装置は、プレートのパネルへのあらゆるタイプの分割、より特定的には、経線パネルおよび角度のある扇形への分割に匹敵する。
【0037】
本発明の変形例において、本発明の流体分配装置は、「ジョンソン(登録商標)」タイプのスクリーンの分配プレートを有し、「ジョンソン(登録商標)」スクリーンのスロットは、パネルの長手(経線)軸に対して実質的に垂直である。本発明の別の変形例によると、分配プレートは、単純な穿孔プレートによって構成される。
【0038】
本発明の別の変形例において、流体分配装置は、「ジョンソン(登録商標)」タイプのスクリーンである中間プレートを有し、「ジョンソン(登録商標)」スクリーンのスロットは、パネルの長手軸に対して実質的に垂直である
本発明の別の変形例において、中間プレートは、0.5〜1.5mmの径を有する穴によって穿孔されたプレートによって構成される。
【0039】
一般的に、中間プレートは、噴流破砕器の幅と、考慮中のパネルの長さの半分に等しい値±5cmとの間の範囲の幅を超えて延びる。
【0040】
好ましくは、中間プレートの幅は、10〜30cmである。
【0041】
一般的に、噴流破砕器は、2〜6cmの範囲、好ましくは3〜5cmの範囲の幅を超えて延びる。
【0042】
本発明の変形例によると、パネルPaの収集バッフルの下端とパネルPaの噴流破砕器の上端との間に含まれる距離は、4〜30mmの範囲、好ましくは7〜25mmの範囲である。
【0043】
本発明はまた、本発明の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、7〜9個の炭素原子を含有する芳香族化合物の任意の混合物である、方法として記載され得る。
【0044】
本発明はまた、本発明の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、ノルマルパラフィンおよびイソパラフィンの混合物である、方法として想定され得る。
【0045】
本発明はまた、本発明の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、ノルマルオレフィンおよびイソオレフィンの混合物である、装置として想定され得る。
【0046】
本発明はまた、本発明の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、前記装置を通過する第一流体は、600〜950kg/mの密度および0.1〜0.6×10−3Pa.s.の粘度を有する、方法として見なされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明に従い、3つの連続するプレートを有する多段カラムであって、各プレートは、第二流体を収集・注入するシステムおよび本発明の分配器を備えるものを示す。
【図2A】図2Aは、従来技術に従い、経線パネルと称されるセクターに分割されたプレートの平面図を示す。
【図2B】図2Bは、本発明に従い、経線パネルの平面図を示し、かつ、噴流破砕器、中間プレートおよび分配プレートの範囲を示す。
【図3A】図3Aは、従来技術に従い、放射状セクターに分割されたプレートの平面図を示す。
【図3B】図3Bは、本発明に従い、放射状セクターの平面図を示し、かつ、噴流破砕器、中間プレートおよび分配プレートの範囲を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明は、上流の収集バッフルと称される収集システムに由来する流体を分配するための装置であって、流体が出るための開口を有し、0.5〜4m/sの範囲の速度の噴流の形態で前記流体を供給する装置として規定され得る。
【0049】
本発明の分配装置は、前記装置の下流に位置する粒状床に、流体の流れが可及的に栓流に近くなるように供送し、下流の粒状床の上表面上に溝の形成を最少にするか防止し得る。
【0050】
本発明の装置は、本質的に、3つの要素を含む:
a)パネルPa−1の収集バッフルの出口開口部の軸中に実質的に位置する固体噴流破砕器(9);
b)噴流破砕器を超えて横方向に延びる中間穿孔プレート(8);10〜40%の範囲、好ましくは15〜30%の範囲の開口度を有する;
c)パネルPa全体にわたって延びる分配プレート(7);5〜20%の範囲、好ましくは7〜15%の範囲の開口度を有する。
【0051】
パネルPaの収集バッフルの出口開口部は、一般的には、考慮中のパネルの長さ全体にわたって延びる。
【0052】
a)の段落における収集バッフルの出口開口部の「実質的に軸中」の表現は、噴流破砕器が、収集バッフルの出口開口部の下に位置し、前記収集バッフル開口部の中央軸(median axis)周りを中心とすることを意味し、パネルの長さ全体にわたっても伸びる。
【0053】
b)の段落において用いられている用語「横方向に」は、経線パネルの場合に中間穿孔プレート(8)の幅が噴流破砕器(9)の幅より広いことを意味し、その幅は、考慮中の経線パネルの長手寸法に垂直な寸法である。
【0054】
角度のある扇形の形状を有するパネルの場合、用語「横方向に」は、中間穿孔プレート(8)の幅が、噴流破砕器(9)の幅より広いことを意味し、該幅は、ここでは、考慮中のセクターの半径方向の寸法に放射に対応する。
【0055】
詳細な説明の以降は、添付の図を用いてより良好に理解されるだろう。
【0056】
図1は、2つの固体粒子床によって構成されるカラムの断面図を示し、カラム中の第一流体の流れの方向において上流の床についてはPで表示され、下流の床についてはP+1で表示される。
【0057】
2つの床のみが示されているが、本発明はまた、カラムへの入口に位置する最初のプレートを含むカラムの構成プレートの全部に適用可能である。
【0058】
カラムは、供給ネットワーク(3)と称される、1以上の第二流体を導入するための装置によって分けられた複数の固体粒子床(2)に分割され、供給ネットワーク(3)は、粒状床Pから所定量の流体を注入または抜き出すための注入−抽出室(4)において終端する。
【0059】
上部スクリーン(6)または任意の他の等価な装置は、粒子の床Pを支持する。
【0060】
収集バッフル(5)は、プレートPの粒状床中を流れる第一流体を回収し得る。
【0061】
収集バッフル(5)における開口部は、一般的には、上流の床から来る第一流体が、注入室(4)の単数または複数の開口部の近くを通過するように配置される。
【0062】
そこで収集される第一流体は、室(4)を出る第二流体と混合される。
【0063】
混合された第一流体および第二流体は、分配器(10)を通過することによってカラムの断面にわたって再分配される。本発明による分配器(10)は、第一流体の流れの方向で直列に配置された3つの要素:
a)収集バッフル(5)のほぼ軸中に位置する噴流破砕器(9):
b)噴流破砕器下に配置され、前記噴流破砕器を超えて横に延びる中間プレート(8);10〜40%の範囲、好ましくは15〜30%の範囲の開口度を有する:
c)中間プレート(8)の下に位置し、パネルPa全体にわたって延びる分配プレート(7);5〜20%の範囲、好ましくは7〜15%の範囲の開口度を有する
によって構成される。
【0064】
本発明の装置の一つの利点は、高い流体速度が存在し得る収集バッフル(5)における開口部の下で、中間穿孔プレート(8)が、下流の粒状床P+1にわたる前記流体の分配を改善しながら分配プレート(7)の中を通過する流体の速度を大幅に低減させ得るという事実にある。
【0065】
従来技術による図2Aは、平行な経線パネルに分割された粒状床Pのための支持プレートを例証する。カラム(1)は、経線パネル(11)に分割される。
【0066】
この場合のカラムは、種々のパネルまたはそれを支持している任意の桁(beam)のための支持点として作用し得る中央支持部(12)を備えている。
【0067】
図2Aは、注入−抜き出し室(4)および収集バッフル(5)を示す。各経線パネル(11)は、それ故に、注入/抜き出し室(4)および収集バッフル(5)を含む。軸(この軸に沿って、プレートPのパネルは配列される)は、プレートP+1に移動した場合に変動し得ることが留意されるべきである。本発明は、プレートPのパネルおよびプレートP+1のパネルの間の任意の補正角に完全に両立できる。
【0068】
図2Bは、経線パネルに適用される本発明の分配器の平面図である。分配器(10)は、パネルの表面全体を覆う分配スクリーン(7)からなり、この上に、中間穿孔プレート(8)および噴流破砕器(9)が隣接する。この平面図は、本発明によると、中間穿孔プレート(8)は、噴流破砕器(9)を超えて横に延びることを示す。経線パネルの絡みにおける用語「横に」は、噴流破砕器(9)に対する中間スクリーン(8)の延長は、考慮中のパネルの長手寸法に垂直な方向であることを意味する。
【0069】
従来技術による図3Aは、角度のある扇形に形成されたプレートの分割を例証する。
【0070】
図3Bは、角度のある扇形の形態でパネルに適用された本発明の分配器の平面図である。
【0071】
この場合、分配器(10)は、角度のある扇形の表面全体を覆う分配器スクリーン(7)からなり、角度のある扇形上に、中間穿孔プレート(8)および噴流破砕器(9)が隣接させられている。この平面図は、本発明によると、中間穿孔プレート(8)は、噴流破砕器(9)を超えて横に延びることを示す。
【0072】
角度のある扇形パネルの絡みにおいて用いられた用語「横に」は、噴流破砕器(9)に対するこの中間スクリーン(8)の延長は、考慮中のパネルの半径方向であること意味する。
【0073】
(実施例)
本発明の装置の有効性が、Plexiglass実物大模型(mock-ups)を用いて試験された。
【0074】
実物大模型は、図1に示されるような、床の一部および本発明の装置を再現した。
【0075】
プレートは、経線パネルに分割された。
【0076】
経線パネルの幅は1.2mであり、一つの床の高さは、1.2mであった。
【0077】
実物大模型の深さは18cmであった。粒状床Pの下に位置する収集バッフル(5)は、径30mmおよび中心間距離60mmの穴により穿孔された。
【0078】
実物大模型は、約610μmを中心とする粒度分布を有するゼオライトシーブにより充填された。
【0079】
実物大模型は、本発明の分配器より下10mmの高さに充填された。
【0080】
実物大模型は、2cm/sの表面速度で水を供給された。
【0081】
分配器の複数の構成が試験され、表1において記録された。
【0082】
試験の分配器は、以下の要素からなる:
a)種々の幅を有する噴流破砕器(9);
b)種々の開口度および幅を有する1mm径の穴で穿孔された中間プレート(8);
c)実物大模型の全体を覆う種々の開口度を有するスクリーンによって構成された分配プレート(7)。
【0083】
要素の全部は、収集バッフル(5)の開口部より下に集められた。
【0084】
粒子床の摂動の場合には、溝が、一般的には、収集バッフル(5)の開口部のほぼ直下に観察された。この溝は、収集バッフルからの出口における高い噴流速度の存在によって誘導された粒子の局所的な流動化の結果であった。
【0085】
装置の下流に位置する粒状床の上表面上に形成された溝の高さ(最大溝)は、各試験について測定され、分配器の性能を評価するための第一のパラメータを構成した。
【0086】
第二に、滞留時間分布(residence time distribution:RTD)についての測定が、研究下の分配器によって供給された床における軸方向分散を定量するために行われた。この目的のために、実物大模型は、ゼオライトビーズの充填と類似したやり方で1mm径のガラスビーズを充填され、ガラスビーズは、RTDの測定により適していた。
【0087】
RTD法は、D.Scweichによる「Genie de la reaction chimique(化学反応エンジニアリング)」,2001,Tec&Doc,publishers,Parisを含む多くの著書において説明されている。
【0088】
結果は、流体の転化率および軸方向分散の間の比を表現するペクレ数の形で示されている。ペクレ数がより大きい程、軸方向分散がより小さくなる。
【0089】
軸方向分散を最少にすることは、一般的に、固体粒子床を用いる方法、特に吸着法に有益である。軸方向分散は、分配器の性能を評価するための第二のパラメータを構成する。
【0090】
【表1】

【0091】
事例1は、従来技術に合致する。
【0092】
事例1は、噴流破砕器を有していない。それは、参照事例として機能し、その性能は、280のペクレ数および5cmの深さを有する溝により乏しいと観察された。
【0093】
事例2に対応する本発明の分配器により最良の結果が得られ、このものは、
a)94cmの広さである噴流破砕器(9);
b)1mm穴により穿孔され、噴流破砕器の下に位置し、前記噴流破砕器の軸上に集められ中間プレート(8);20cm幅であり、20%の開口を有する、
c)12%の開口を有し、パネルの断面全体にわたって延びる分配スクリーン(7)
からなる。
【0094】
この分配機は、下流の粒状床における溝の形成を除きながらペクレ数を最大にした(370)。
【0095】
本発明に合致する事例3、4および5は、中間穿孔プレートの開口度の最適化を示す。中間穿孔プレートの3%(事例3)および10%(事例4)の開口は、30%の開口度を有する中間プレート(事例5)の結果に対して劣った結果を引き出した。
【0096】
同様に、本発明の事例6、7および8は、中間プレートの幅についての最適化された値があり、この最適化された値は、20cm近くであることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段カラムの少なくとも1つの粒状床に供給する流体を分配するための装置であり、該多段カラムは、一連のプレートを有し、各プレート(P)は、粒状固体床を支持し、(Pa)と表記されるパネルに分割されており、該装置は、該装置の直ぐ上流に位置する収集バッフル(5)を備えたプレート(P)の各パネル(Pa)に適用される、装置であって、流体の流れの方向において頂部から底部に配列される3つの要素:
a)パネル(Pa)の収集バッフルの出口開口のほぼ軸中に位置し、前記収集バッフル軸上に集められる固体噴流破砕器(9);
b)前記噴流破砕器の幅からパネルの幅の半分に等しい値±5cmまでの範囲の幅にわたって、噴流破砕器を超えて横に延び、15〜30%の範囲の開口度を有する中間穿孔プレート(8)、および
c)パネル(P)のセクション全体にわたって延び、7〜15%の範囲の開口度を有する分配プレート(7)
を含む、装置。
【請求項2】
3つの要素である、固体噴流破砕器(9)、中間穿孔プレート(8)および分配プレート(7)は、互いに隣接する、請求項1に記載の分配装置。
【請求項3】
3つの要素である固体噴流破砕器(9)、中間穿孔プレート(9)および分配プレート(7)は、互いに別個であり、それらを分ける距離は、長くとも10mm、好ましくは長くとも5mmである、請求項1に記載の分配装置。
【請求項4】
パネル(Pa)は、経線タイプのもの、すなわち、前記プレートの径に沿って方向が向けられた平行要素へのプレートの分割に対応し、かつ、実質的に同一の幅を有するものである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の分配装置。
【請求項5】
分配プレート(7)は、「ジョンソン(登録商標)」タイプのスクリーンであり、該スクリーンのスロットは、パネルの長手軸に対して実質的に垂直である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の流体分配装置。
【請求項6】
中間穿孔プレート(8)は、「ジョンソン(登録商標)」タイプのスクリーンであり、前記スクリーンのスロットは、パネルの長手軸に対して実質的に垂直である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の流体分配装置。
【請求項7】
固体噴流破砕器(9)は、2〜6cmの範囲、好ましくは3〜5cmの範囲の長さを超えて延びる、請求項1〜6のいずれか1つに記載の流体分配装置。
【請求項8】
収集バッフル(5)の下端と噴流破砕器(9)の上端との間の距離は、4〜30mmの範囲、好ましくは7〜25mmの範囲である、請求項1〜7のいずれか1つに記載の流体分配装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、7〜9個の炭素原子を含有する芳香族化合物のあらゆる混合物である、方法。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、ノルマルパラフィンおよびイソパラフィンの混合物である、方法。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、分離されるべき仕込原料は、ノルマルオレフィンおよびイソオレフィンの混合物である、方法。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか1つに記載の装置を用いる擬似移動床分離のための方法であって、前記装置を通過する第一流体は、600〜950kg/mの範囲の密度および0.1〜0.6cPoの範囲の粘度を有する、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2010−46655(P2010−46655A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−151674(P2009−151674)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(591007826)イエフペ (261)
【Fターム(参考)】