説明

噴霧システム

【課題】加圧停止後において、所望しない粗大な霧の噴出を防止し、かつ、ノズルからの最後の液ダレ現象を完全に起こさないようにする。
【解決手段】加圧部2と、加圧液体が通過する送液経路3と、加圧停止後に、液圧が所定の圧力値P以上の条件で開いて、前記送液経路3に存在する残液を前記送液経路外へ排出し、該送液経路3内の残圧を抜くための残圧排出弁6と、液圧が所定の圧力値Pに低下すると閉じて液体Wの供給を物理的に遮断する弁体43が内蔵されており、該弁体43が閉じた後、ノズル噴霧口Hからの液ダレが生じない程度のノズル内部容積とされた噴霧ノズル4と、を備えた噴霧システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧技術に関する。より詳しくは、噴霧停止時において、ノズルからの液ダレを発生させないように工夫した噴霧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧技術は、従来から様々な目的(用途)で利用されてきた。例えば、空間に水を噴霧することで湿度を調整する目的(加湿目的)、芝生養生や植物の生育のために水を散布する目的、農薬や洗剤などの薬剤を散布する目的、消臭成分や香り成分を散布する目的、殺菌成分を散布する目的、コンクリートを養生する目的、燃料を燃焼させる目的などを挙げることができる。このように、噴霧技術は、産業活動や日常生活の様々な場面で重要な技術となっている。
【0003】
近年、地球温暖化現象やヒートアイラインド現象などを背景に、空間を冷却する技術の必要性が益々高まっている中、霧(ミスト)の気化熱を利用した冷却技術(以下、「ミスト冷却技術」という。)も注目され始めている。このミスト冷却技術は、冷房装置が使えない野外での空間冷却にも適しているので、夏場の熱中症対策などにも効果を上げ始めている。
【0004】
また、非常に微細な霧は、即座に気化し易いことから、噴霧対象空間に存在する人、家具、機器類、床、壁面などを濡らすことなく、上記したような各種目的を達成することができるという注目すべき利点がある。このため、気化促進を課題として、霧をより微細化するための技術が追究されてきたところ、現在では、平均粒径が数十ミクロン程度の霧を提供しうる噴霧ノズルが既に開発されている状況にある。
【0005】
ここで、一般の噴霧技術では、加圧された所定の液体をポンプで加圧してノズルへ送り込み霧化を行うという構成が採用されており、噴霧終了(一時停止含む。)のために、加圧を停止すると、ノズルに連通している送液経路内に残る液体の圧力(以下、「残圧」という。)が低下していく過程で、霧粒子が次第に粗大化しながらノズルから噴出され続け、やがては所望する微細な霧とは言い難い状態に至り、最後には液ダレ現象(ノズル吐出口から液体が滴下する現象。「ボタ落ち現象」とも言う。)を起こして終わるという過程を辿る。
【0006】
霧粒子が粗大化していくと、温度や湿度の調整効率が低下するだけでなく、周辺を濡らしてしまい、さらに、最後の液ダレ現象が発生すると、ノズルから落下した液滴が、下方の人、家具、機器類、床、壁面などに付着してしまうという問題が起こる。このため、現在は、このような「濡れる」ことに係わる問題を忌避すべき要請が強い目的や用途(分野)では、噴霧技術を採用することに躊躇せざるを得ない状況にある。
【0007】
ノズルからの上記液ダレ現象を防止するための技術として、ノズルの噴霧口であるオリフィス部分をプレス加工によって所定の形状に加工するように工夫を施した技術(特許文献1)やノズルボディ内部の実質内容積を、該内部にスペーサを介挿することによって減らすことにより液ダレ現象の発生を防止する技術が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−050935号公報。
【特許文献2】特開平7−265753号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上掲した従来技術のように、ノズルのオリフィス構造やノズル内容積を小さくするというノズル改良技術だけでは、ポンプ停止後の粗大化された霧の噴出や液ダレ現象の発生を確実に防止することは現実に困難である。
【0009】
そこで、本発明は、加圧停止後、送液経路内の液圧がゼロになるまでの過程での所望しない粗大な霧の噴出を防止し、かつ、最後の液ダレ現象を完全に起こさないように鋭意工夫を施した噴霧システムを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、まず、本発明では、(1)霧化するための所定の液体を加圧する加圧部、(2)該加圧部で加圧された前記液体が通過する送液経路、(3)加圧停止後、液圧が所定の圧力値P以上の条件で開弁して、前記送液経路に存在する残液を前記送液経路外へ排出し、該送液経路内の残圧を抜くための残圧排出弁、(4)前記送液経路を通過した加圧液体を霧化して噴出するノズルであり、液圧が所定の圧力値に低下すると閉じて液体の供給を遮断する弁体が内蔵されており、該弁体が閉じた後に、ノズル噴霧口からの液ダレが生じない程度のノズル内部空間容積を有する「噴霧ノズル」、以上(1)から(4)を少なくとも備える噴霧システムを提供する。
ここで、上記した「残圧排出弁」は、加圧停止後の所定の液圧条件下で開弁して、送液経路内の残液を所定箇所(例えば、貯留槽)へ排出するという機能を発揮する。この機能によって、加圧停止後に送液経路内に存在する残圧を一気に低減するという役割を果たす。この残圧排出弁が開くことにより、送液経路内の残圧が瞬時に低減されると、ノズルからの噴霧が、事実上、即座に停止される。このように、残圧排出弁の開弁圧力条件を選択することによって、霧の平均粒径を制御でき、加圧停止以後に所望しない粗大な霧がノズルからの噴出されることを有効に防止できる。
ここで、残圧排出弁が開く「圧力値P以上」という条件設定は、目的に応じて要求される微細な霧の平均粒径を所定レベル以上に設定した場合において、この所望する微細な霧を得ることが可能な下限圧力値がP(単位:MPa)以上という意味である。例えば、平均粒径40μmレベルの迅速に気化し易い微細な霧を所望する場合は、液圧が2.5MPa以上の圧力条件で残圧排出弁が開くように工夫しておく必要がある。2.5MPa未満のより低い圧力条件で残圧排出弁が開いた場合は、所望しない平均粒径40μmレベルよりも粗い霧がノズルから吐出されてしまう。なお、本発明において「平均粒径」とは、位相ドップラー法(PDPA法)に基づく平均粒子径(SMD)を指す。
次に、上記残圧排出弁を開くと、上記送液経路内の液体が急激に逆流し、残圧が、瞬時に、一気に低下する。そして、残圧ゼロになる直前の所定の圧力値(説明の便宜上、圧力値Pとする。)になった時に、上記噴霧ノズルでは、該ノズル内に内蔵された弁体が閉じて、ノズルと送液経路は物理的に遮断される。
ここで、加圧停止後における残圧排出弁が開く圧力値Pからノズル弁体が閉じる圧力値Pに至る極僅かな時間帯においては、残圧排出弁が開いた時点でノズル内に滞留している液体(以下、「ノズル残液」と言う。)が、送液経路へ瞬時に負圧吸引されるという、液ダレ防止の観点で大変好ましい現象が得られる。
しかし、弁体が内蔵されているノズル内部空間の容積が一定レベルを越えていると、残圧排出弁の開弁により得られる「負圧吸引作用」をもってしても、ノズル内に液体が極僅かに残留した状態のままでノズル弁体が閉じてしまい、最後には、この極々僅かなノズル残液が噴霧口から押し出されて膨らみ、一滴程度の液ダレ現象を引き起こしてしまうことになる。
そこで、本噴霧システムでは、液ダレ現象防止に寄与する残圧排出弁との密接な関係に基づいて、弁体内蔵箇所であるノズル内部空間の容積を、ノズル噴霧口からの液ダレが生じない程度に工夫しておく。例えば、送液経路の液圧が2.5MPa以上の条件で残圧排出弁が開く場合では、前記バルブ内蔵状態で300μL以下の容積となるように工夫しておく。このような工夫により、ノズル残液は、残圧排出弁の開弁でもたらされる前記負圧吸引作用により送液経路へ可及的完全に引き込まれ得る容量に収まるので、確実に液ダレ現象を防止することができる。
なお、本発明において、ノズル内部容積を所定数値以下に設定するという思想は、残圧排出弁と密接不可分の関係の中から全く新規に見出された着想であり、ノズル内部容積を低減すれば液ダレ現象を防止できるという単純な思想ではないということに言及しておく。
さらに、本噴霧システムでは、前記残圧排出弁の開弁時(開弁と同時)又は開弁直後に、前記送液経路を大気に連通させるための「大気開放弁」を付設してもよい。この大気開放弁を、上記残圧排出弁の開弁と協働的な関係によって開弁させることで、加圧停止後における送液経路の逆流現象を促進する。これにより、ノズル残液の負圧吸引作用をより増強して、該ノズルからの液ダレ現象をより可及的完全に防止する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係わる噴霧装システムは、加圧停止後、送液経路内の液圧がゼロに至るまでの過程での所望しない粗大な霧が噴出されてしまうことを防止することができ、かつ、最後の液ダレ現象も完全に防止することができる。即ち、本噴霧システムにおいては、ノズル噴霧口からの液ダレ現象の徹底的な防止対策が施されているので、これにより噴霧システムの設置場所や用途を一層拡充することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照しながら本発明に係わる噴霧システムの好適な実施形態例について説明する。なお、本発明は、図面に開示された噴霧システムの実施形態例の構成に狭く限定されない。
【0013】
まず、図1は、本発明に係わる噴霧システムの一実施形態例の全体構成を説明するための図である。
【0014】
この図1に示された噴霧システムSは、例えば、水道水、純水、超純水、軟水、硬水、殺菌剤・消臭剤・香り成分などの所定成分を含有する水溶液など、目的に応じて適宜選択された所定の液体Wを噴霧するときに使用される。この噴霧システムSは、噴霧終了又は一時停止時における噴霧ノズル(図1中の符号4、以下、単に「ノズル」と称する。)からの液ダレ現象を可及的完全に防止できるように工夫されていることが特徴である。
【0015】
本噴霧システムSでは、図1中において符号1で示された水槽に一時貯留された(加圧前の)液体Vが、加圧部(例えば、プランジャーポンプ)2の作動開始により吸引されて、所定圧力まで加圧される。そして、加圧部2により得られる高圧な液体Wは、送液経路3を通過して、該送液経路3から分岐される各末端に配設された複数のノズル4,4・・へ供給され、各ノズル4から非常に微細な霧Mとして噴出される。なお、ノズル4の配設数は、目的に応じて決定され、特に限定されない。
【0016】
図1中において符号5で示された部品は、加圧部2へ液体Wが導入されているどうかをモニターすることを目的に、水槽1と加圧部2の間の経路に付設されたフローセンサーである。このフローセンサー5で液流をモニターすることで、仮に、加圧部2へ液体Wが導入されない状態に至ったときには、加圧部2を強制的に停止させる。これにより、加圧部2の空運転(いわゆるポンプの焼き付き)を有効に防止することができる。
【0017】
本噴霧システムSにおける液体供給方式は、目的や環境に応じて自由に選択することができ、いわゆる自吸式であってもよいし、非自吸式であってもよい。また、水槽1を用いることに限定されず、水道等から直接給水する方式等であってもよい。
【0018】
次に、図1中に符号6で示された箇所は、加圧部2の下流側の送液経路3の途上に設けられた「残圧排出弁」を示している。この残圧排出弁6は、加圧停止後の液圧低下過程における選定された所定の液圧条件で作動して、弁が開くように設計されている。
【0019】
より具体的に説明すると、噴霧作業を終了又は一時停止(中断を含む。)するために加圧停止を行うと、送液経路3内の液圧は、噴霧ノズル4から排出されるだけの状態となり、やがて、前記液圧が低下して圧力値Pに至ると、残圧排出弁6が開弁する。このとき、液体Wが送液経路3内を急激に逆流(図1中のWに係わる矢印と反対方向への流れ、図1の矢印R参照。)し始め、それにより、送液経路3が一気に負圧に傾く。実際には、加圧停止から圧力値Pに至るまでの時間は、数秒程度である。なお、本発明において「負圧」とは、加圧状態における液圧方向を「正圧」とした場合に、その逆向きの方向の圧力を言う。
【0020】
この残圧排出弁6の開弁動作により、加圧停止時において送液経路3に残留している加圧状態の液体Wは、図1中に符号7で示されている排液経路を介して水槽1に返送される。これにより、残圧排出弁6は、その開弁動作によって送液経路3内の残圧を一気に外部へ排出するという役割を果たす。その意味で、本発明では、符号6で示すバルブを「残圧排出弁」と称している。図1中の符号W′は、水槽1に返送される液体を示している。この残圧排出弁6の開弁によって、送液経路3内の液圧は一気に低下するため、ノズル4からの噴霧は事実上停止される。
【0021】
ここで、この残圧排出弁6が開弁することで送液経路3内の液体Wが急激に逆流してその残圧が一気に低下すると、送液経路3に連通するノズル4に内蔵されている弁体(後述、図2、3中の符号43)は、所定の作動圧で開弁状態から閉弁状態となり、ノズル4に対する液体Wの供給が物理的に絶たれる。これにより、ノズル4からの噴霧は、物理的に完全停止する。
【0022】
このように、本噴霧システムSでは、残圧排出弁6やノズル4内の弁体43がそれぞれ所定の圧力条件で開閉動作を行うことによって、加圧停止後において、送液経路3の残圧の作用により所望しないレベルの粗大な霧がノズル4から噴出されてしまうことを可及的完全に防止することができる。即ち、本噴霧システムSでは、要求される平均粒径レベルの微細な霧Mに満たないような粗大な霧をノズル4から一切噴出させないように工夫されている。
【0023】
ここで、残圧排出弁6は、要求される霧の平均粒径レベルに応じて適宜選定される圧力値P以上という条件で開弁するように設定しておく。液体Wが、より高圧条件の方が霧はより微細化されるから、要求する霧の平均粒径がより小さい場合(より微細な霧を噴霧する場合)は、当該圧力値Pをより高く設定しておき、要求する霧の平均粒径がより大きいレベルで許容される場合は、圧力値Pをより低く設定しておくことができる。このように、この圧力値Pは、目的にあった霧の平均粒径レベルに応じて、自由に設定可能である。
【0024】
ここで、各ノズル4から一斉に噴出される霧Mは、より微細な粒子サイズであること、即ち、気化が速いことが、いわゆる「濡れない霧」を得る目的においては重要である。本願発明者が長年鋭意研究を重ねたところ、例えば、迅速に気化し易い平均粒径40μmレベルの微細な霧を得る場合は、例えば、送液経路3の液圧が少なくとも2.5MPa以上の圧力条件で残圧排出弁6が開弁するように工夫しておく必要がある。即ち、2.5MPa未満の圧力条件で残圧排出弁6を開弁させる設定にすると、当該圧力条件下で平均粒径40μmレベルに達しない粗い霧がノズル4から噴出されてしまうことになり、好ましくない。
【0025】
残圧排出弁6の弁方式については、特に限定はされず、所定の圧力値Pで開弁し、加圧停止後に送液経路3に滞留する残液(残圧)を該送液経路3から排出可能な構成であればよい。残圧排出弁6は、手動式弁も採用可能であるが、自動化された電磁弁方式がより望ましい。
【0026】
残圧排出弁6は、加圧部2として一般に採用されるポンプの空気溜まりも排除可能な構成であることが望ましい。噴霧システムSで噴霧を行う場合は、まず、加圧部2であるポンプを始動させる必要がある。このポンプの始動に際しては、該ポンプのシリンダー等に発生している空気溜まりを空気抜き弁等によって外部に排出する必要がある。そこで、残圧排出弁6をポンプの空気抜き弁としても機能するように工夫してもよい。
【0027】
この場合、運転開始時において空気抜きに必要な時間だけ残圧排出弁6を開弁する。例えば、ポンプを始動させた後、5〜10秒程度の間、残圧排出弁6が自動開弁するように設定しておくようにする。これにより、運転開始とともに、自動的にポンプの空気溜まりを排除できるので便利である。
【0028】
次に、本噴霧システムSを構成するノズル4は、一般に、目的や用途において、送液経路3から分岐された各末端部位に配設されることになる。本噴霧システムSにおいては、このノズル4には、送液経路3を通過してきた加圧液体Wを霧化して目的の空間に向けて噴出する一流体ノズルが採用される。
【0029】
ここで、図2は、本噴霧システムSにおいて採用可能なノズルの一実施形態例の内部構造を示す図であって、弁体が開いた状態を示す断面図、図3は、同内部構造を示す図であって、弁体が閉じた状態を示す断面図である。
【0030】
このノズル4,4,4のそれぞれは、まず、筒体41(例えば、ステンレス製)を備えており、該筒体41の前端部411の中央位置には、例えば、口径0.1mmに設計されたノズル噴霧口(オリフィス)Hが開口形成されている。
【0031】
この筒体41の内部には、筒体41の内壁面に螺着される通流部42と、該通流部42とノズル噴霧口Hの間に位置するノズル内部空間Zに収容される弁体(例えば、チェックバルブ)43と、液体Wに混入し得る夾雑物を除去するためのフィルター(ストレーナー)44と、が設けられている。尚、符号45は、通流部42を筒体41に対して保持するためのOリングである。
【0032】
ここで、ノズル4の弁体43は、三角錐状の形状をなす封止部431と、該封止部431に装着された弾性体(例えば、コイルバネ)432と、該弾性体432のノズル噴霧口Hに対向する側(封止分431と反対側)に装着された中子433と、から構成されている。
【0033】
なお、符号4331は、中子433の三角錐表面部位に形成された溝構造部分を示しており、ノズル噴霧口Hに連通し得る通流溝である。液体Wは、ノズル4に供給された後、この通流溝4331を通過して噴霧口Hに入り、霧化される。
【0034】
ここで、前記弁体43を付勢する弾性体432は、液体Wの液圧Pが所定圧力(P)を越えていると(P>P)、送液経路3からノズル内部空間Zに液体Wを流入せしめ、該液体Wをノズル噴霧口Hから霧Mとして噴出する(図2参照)。
【0035】
一方、加圧停止後に液圧Pが次第に低下して残圧排出弁6(図1参照)が開き、送液経路3の液体Wの液圧Pが所定圧力(P)以下にまで瞬時に低下すると、弾性体432の付勢力(図3中の点線矢印Uを参照)が勝って、前記弁体43の封止部431を(通流部42の)通流口421に水密状態になるように押し付ける。これにより、液体Wが該通流口421からノズル内部空間Zに流入することを物理的に完全遮断する(図3参照)。
【0036】
ここで、同種ノズル製品間における弾性体432の付勢力の強さのばらつきは、弁体43の閉弁圧力条件(P)に誤差を生じさせる原因となり得る。従って、ノズル4からの液ダレ現象の防止対策をノズル4の弁体43の閉弁動作のみで行うような構成が従来技術の典型的構成であるところ、この種の従来技術では、より安全をみて、弾性体42の付勢力(弾性強度)をより強くしておくという対策が講じられていただけでなく、弾性体42の付勢力(又は弾性強度)に係わる精度も厳しく管理されていた。
【0037】
しかし、本噴霧システムSでは、送液経路3途上に残圧排出弁6を設けている結果、加圧部2による加圧を停止した後、該残圧排出弁6の開弁によって送液経路3に急激な逆流R(図1参照)を形成することで、液圧Pは瞬時に低下する。これにより、事実上の噴霧停止が達成されるだけでなく、ノズル残液が前記逆流Rに伴う負圧の作用により送液経路3へ引き込まれ、液ダレ現象も可及的完全に防止される。
【0038】
残圧排出弁6を設けたことによる副次的効果の一つとして、ノズル4内に内蔵される弁体43の作動圧(P)がより低いノズル4を採用できることを挙げることができる。例えば、本噴霧システムSでは、液圧1.0MPa以下、例えば、液圧0.9MPaという低圧条件で、ノズル4の弁体43が閉じるという構成を採用することができる。この結果、該弁体43を付勢する弾性体432の弾性強度やその精度に対する要求レベルを緩和することができる。
【0039】
図4は、本噴霧システムSに付設され得る「大気開放弁8」の一実施形態例(符号8a)の内部構造を示す断面図である。
【0040】
まず、この大気開放弁8aは、残圧排出弁6の開弁時(開弁と同時)又は開弁直後において、送液経路3を大気に連通させるという役割を果たす。より詳しくは、この大気開放弁8aは、残圧排出弁6と協働的な関係に基づいて開弁し、加圧停止後における送液経路6の液体Wの逆流形成作用、ひいてはノズル2に対して作用する負圧吸引作用をより促進するという機能を発揮する。
【0041】
この機能により、より速やかにノズル4の噴霧を事実上停止させるとともに、該ノズル4内の残液を送液経路6へより強く吸引して、該ノズル4からの液ダレ現象をより万全に防止するという役割を果たす。
【0042】
この大気開放弁8aは、図4に示すような構成の実施形態が典型例である。より詳しくは、外筒体(例えば、ステンレス製)81と、該外筒体81にはめ込み可能な形状の内筒体82と、外筒体81内部に摺動可能に収められた弁体83と、前記内筒体82に形成された凹部821に装着された状態で前記弁体83に当接して付勢を与える弾性体(バネ)84と、前記外筒体81と内筒体82の隙間に装着されるOリング85,86と、を備えている。内筒体82側が大気A側、弁体83側が送液経路3側である(図4参照)。
【0043】
この大気開放弁8aを構成している弁体83は、噴霧作業時においては、送液経路3の液圧Pで押圧されてOリング85に密着して閉弁状態となり、送液経路3中の液体Wが大気A側に漏出してしまうことを有効に防止している。
【0044】
この残圧排出弁6を設けた本噴霧システムSの構成では、この残圧排出弁6が開弁すると、送液経路3の液圧Pは一気に低下する。そして、液圧Pよりも弾性体84の付勢力が勝ると弁体83は送液経路3側に瞬時に移動し、開弁する。即ち、弁体83と外筒体81との間のクリアランス87を介して大気Aと送液経路3とは連通された状態となる。なお、図4は、大気開放弁8aが前記開弁状態の様子を示している。
【0045】
この大気開放弁8aについては、図1や図4に示されているような横置きの設置形態も採用し得るのであるが、大気側開口部88がより上方を向くように傾斜させた状態で設置させたり、あるいは、後述する大気開放弁8bと同様に、鉛直方向に立てて設置したりする方がより好ましい。その理由は、次の通りである。
【0046】
まず、加圧開始直後においては、大気開放弁8aの弁体83が液圧によって押し込まれてOリング85に密着して閉弁状態になるまでの極僅かな時間に、送液経路3内に当初存在していた空気を伴って液体Wがクリアランス87から大気A側に漏洩し得る。しかし、大気開放弁8aに関して、大気側開口部88が上方側に開口するように傾斜させて設置させたり、鉛直縦置きに設置したりした場合は、この漏洩した液体Wが、上方側に開口することになる大気側開口部88からは物理的に滴下することがない(液ダレしない)。この点は、本噴霧システムSの主目的がノズル4からの液ダレ防止、即ち、下方に液体を垂らさないようにすることであるという点から考えても非常に好ましい。
【0047】
加えて、横置き状態とされた大気開放弁8aの場合(図4参照)は、大気側開口部88側に漏洩した液体Wを滴下させることなく回収するための付属配管を設ける必要があるが、例えば、大気側開口部88が上方側に開口する傾斜状態や鉛直縦置きに設置した場合では、このような付属配管は必要がなくなるので、装置構成をより簡易にできるという有利な点もある。
【0048】
次に、大気開放弁8の好適な変形形態例の一つとして、図5、図6に示す如き、鉛直方向に縦置きに設置され、かつ弾性体84が構成部品から排除されている実施形態例(符号8b)を採用することもできる。図5は、大気開放弁8bの開弁状態の断面図、図6は、同大気開放弁8bの閉弁状態の断面図である。まず、大気開放弁8bを採用する主な利点は、次の通りである。
【0049】
第一の利点は、大気開放弁8bは鉛直縦置きに設置されるのに好適な形態であるため、上記大気開放弁8aを鉛直縦置きにした実施態様の場合と同様に、加圧開始直後における大気側開口部88からの液ダレが起こり得ないから、本発明の主目的に照らして非常に好ましいという点である。なお、鉛直縦置きに設置される大気開放弁8bにおいても、液ダレを想定した液滴回収用の付属配管が不要となるという点については、大気開放弁8aの説明で、既に記述した通りである。
【0050】
大気開放弁8bの第2の利点は、大気開放弁8aに設けられている弾性体84が排除されている構成であるため、部品点数が少なくなるので低コスト化に寄与し、また、弾性体84(図4参照)の弾性強度(付勢力)に係わる精度出しは技術的に難しいところ、この精度出しの苦労もなくなることである。
【0051】
ここで、大気開放弁8bの弁体構成によれば、加圧停止に続いて残圧排出弁6が開弁すると、送液経路3に形成される急激な逆流Rが形成され、この逆流形成によって引き起こされる強力な負圧によって、弁体83は送液経路3側に引き込まれて、図5の如き状態となり、符号87で示すクリアランスを介して開弁状態(大気連通状態)となる。
【0052】
ここで、図7は、大気開放弁8bの設置例及びノズル4の配設例を示す簡略図である。
【0053】
送液経路3に連通するように形成した円環状経路31に所定間隔で、必要数のノズル4を配設する(なお、本例では、計6個)。この円環状経路31に連通するように、例えば、図5、図6に示すような構成の大気開放弁8bを鉛直方向に配置することができる。大気開放弁8bについては、鉛直方向に配置することができれば、図7に示す円環状経路31のいずれの箇所に設けてもよい。なお、大気開放弁8bに代わり、大気開放弁8aを採用することは自由である。
【0054】
次に、図8は、本噴霧システムSの噴霧終了又は停止に係わる弁群の動作フローの一例を示す図である。
【0055】
まず、加圧部2を連続運転して噴霧作業を行っているときの液圧をPとする。該液圧Pについては、システムに過剰な圧力負荷を与えない10.0MPa未満、例えば、9.8MPa程度が好適である。この液圧Pの状態では、残圧排出弁6は閉じた状態となっており、加圧された液体Wは、専らノズル4へ供給され、そして、該ノズル4で微細に霧化されて噴出される。
【0056】
次に、噴霧終了又は一時停止するために加圧停止すると、送液経路3の液圧が次第に低下する。そして、該液圧が圧力P(P<P)に至ると残圧排出弁6が作動し開弁する。液圧Pの条件設定は特に限定はされないが、圧力が次第に低下する液圧P〜Pの極僅かな時間帯(例えば、数秒程度)においても、ノズル4から噴出される霧Mの平均粒径を一定レベル以上に確保するという目的を達成するために、液圧Pの条件は高精度に決定されるべきである。例えば、平均粒径が40μmレベルの微細な霧Mを液圧P〜Pの時間帯でも確保するためには、液圧Pの条件を2.5MPa以上に設定する必要がある。
【0057】
次に、上記液圧Pに達したときに残圧排出弁6が開弁すると、そのときに送液経路3に存在する液体は逆流し(図1の矢印R参照)、排液経路7(図1参照)を介して水槽1に返送され(図1の矢印W′参照)、送液経路3の液圧は瞬時に液圧ゼロへ向かって低下する。したがって、残圧排出弁6が開弁するとほぼ同時に、事実上、ノズル4からの噴霧は停止状態となる。
【0058】
残圧排出弁6が開弁し、さらに液圧P(P2<P1)にまで低下した条件でノズル4の弁体43が閉じ(図3参照)、該ノズル4への液体Wの供給は物理的に遮断される。ノズル4の弁体43が閉じる液圧Pの作動圧条件は、採用するノズル4の種類によって異なる。例えば、エバーロイ(EVERLOY)社製ノズル(型式:G1/4KSN 0.3A CV)を採用すれば0.9MPaであり、いけうち社製ノズル(型式:1/4M KB 80031N S303CV-RW)を採用すれば0.7MPaであり、スプレーイングシステム社製ノズル(型式:YB1/8MN-SS3.6V(SUS303))を採用すれば0.4〜1.1MPaである。
【0059】
ここで、加圧停止後における液圧Pから液圧Pに至るまでの極僅かな時間帯では、残圧排出弁6の開弁により送液経路3に一気に形成された逆流Rとその結果招来される負圧によって、ノズル4内に留まっている残液が該送液経路3へ可及的完全に吸引される(以下、ノズル残液吸引作用)。
【0060】
仮に、送液経路3において液圧P未満になった状態でも、依然としてノズル4内に残液が存在していると、ノズル噴霧口(オリフィス)Hから該残液が液滴となって落下してしまうという現象が起こる(液ダレ現象)。しかしながら、本噴霧システムSにおいては、上記ノズル残液吸引作用によってノズル4の液ダレ現象は防止されている。また、大気開放弁8の付設によるノズル残液吸引作用の促進により、ノズル4からの液ダレ現象はより可及的完全に防止することができる。
【0061】
ここで、ノズル4内の内部空間Z部分の容積、より詳しくは、図3に示された状態のときのノズル内部空間Z部分の容積が一定レベルを越えている場合は、残圧排出弁6の開弁によって得られるノズル残液吸引作用をもってしても排除しきれず、ノズル残液が極僅かではあるが存在してしまう可能性が生じる。事実、ノズル4内の内部空間Z部分の容積次第では、本願発明者の詳細な検証実験により、この極僅かなノズル残液が噴霧口から吐出されて膨らみ、やがて一滴程度ではあるが液ダレを起こすという現象が観察される場合があった。
【0062】
そこで、本噴霧システムSでは、残圧排出弁6の開弁によるノズル残液吸引作用によってより完全にノズル残液を排除するべく、ノズル4内に弁体43が収容される箇所であるノズル内部空間Z部分の容積を、ノズル噴霧口Hからの液ダレ現象が完全に起こらない程度に工夫しておく。例えば、ノズル内部空間Z部分の容積を前記バルブ内蔵状態で300μL以下となるように工夫しておく。このような工夫を施しておくことによって、ノズル残液は送液経路3へ可及的完全に吸引される容量以下に抑えることができる。これにより、より確実に液ダレ現象を防止することができる。
【0063】
例えば、エバーロイ(EVERLOY)社製ノズル(型式:G1/4KSN 0.3A CV)のノズル内部空間Zの容積は、実際に測定した結果、バルブ内蔵状態で300μLである。この同社製ノズルを使用した場合では、加圧停止後の残圧排出弁6の開弁による送液経路3の負圧形成の効果により、液ダレ現象を充分に防止することができることを、本願発明者は実際に検証実験(検証実験1)により確認した。
【0064】
さらには、バルブ内蔵状態でのノズル内部空間Zの容積が155μLであるスプレーイングシステム社製ノズル(型式:YB1/8MN-SS3.6V(SUS303))を採用した場合は、残圧排出弁6による前記効果によってノズル残液は可及的完全に送液経路3へ吸引され、その結果、可及的完全に液ダレ現象の防止が達成できることを、本願発明者は実際に行った検証実験(検証実験2)により確認した。
【0065】
これらの検証実験1、2の結果に基づくと、本噴霧システムSを構成する各ノズル4の内部空間Zの容積(弁体43内蔵状態での容積)は、残圧排出弁6によるノズル残液の負圧吸引作用との密接不可分な関係により、300μL以下が好ましく、155μL以下が特に好ましい。
【0066】
なお、上記検証実験1、2は、対象のノズルを分解し、該ノズルに弁体が内蔵された状態で満たされた水をスポイトで吸引するという方法に基づいて、その容量を3回精密に実測し、その平均によって計測容量データとしたものである。
【0067】
ここで、本噴霧システムSを使用する目的、用途、さらには、液ダレ現象防止に対する要求レベルなどとの関係から、大気開放弁8(例えば、8a,8b、以下同様故に記載省略)を付設するか否かについて決定することができる。また、液ダレ現象防止という技術的観点に基づけば、主に、本システムSで採用するノズル4のノズル内部空間Zの容積の程度との関係に基づいて、大気開放弁8を採用するか否かを決定することができる。
【0068】
例えば、バルブ内蔵状態でのノズル内部空間Zの容積が300μLを超えるノズル、例えば、いけうち社製ノズル(型式1/4M KB 80031N S303CV-RW、内部容積:実測500μL)を採用したような実施形態例を想定した場合に液ダレ現象防止を行うためには、残圧排出弁6に併せて大気開放弁8を付設した方が望ましい。換言すると、残圧排出弁6に併せて大気開放弁8を付設しておくことにより、ノズル内部空間Zの容積が300μLを超えるようなノズルを採用した場合であっても、液ダレ現象防止に対して一定の効果を得ることができる。
【0069】
一方、ノズル内部空間Zの容積が300μL以下である場合では、残圧排出弁6を設けただけでも液ダレ現象防止の効果は充分であるが、より可及的完全な液ダレ防止を達成するためには、残圧排出弁6に併せて大気開放弁8を付設した方が望ましい。
【0070】
さらに、ノズル内部空間Zの容積が155μL以下である場合では、残圧排出弁6を設けただけでも液ダレ現象防止の効果は可及的完全と言えるが、より万全な液ダレ防止を達成する上で、残圧排出弁6に併せて大気開放弁8を付設した方が望ましい。
【0071】
ここで、大気開放弁8は、残圧排出弁6の開弁時又は開弁直後に、開くように設定する。即ち、大気開放弁8が開く圧力条件をPとすれば、次の「数式1」に示すような関係が成り立つ設定とする。なお、「P」は、既述したように、加圧停止後に残圧排出弁6が開く下限圧力値、「P」は、ノズル4の弁体43が閉じる圧力値である。
【0072】
【数1】

【0073】
大気開放弁8が開く圧力Pが、ノズル4の弁体43が閉じる圧力Pよりも高く設定される理由は、ノズル4の弁体43が閉じてしまった後に大気開放弁8を開いたとしても、該大気開放弁8の開弁によってもたらされる送液経路3の逆流Rを促進する作用(液圧をより迅速に低下させる作用)が、ノズル残液の吸引に対して何も効果を奏さなくなってしまうからである。即ち、大気開放弁8は、ノズル残液の吸引効果を高めるために、残圧排出弁6の開弁時又は開弁直後からノズル4の弁体43が閉じる前までの時間帯に開弁させる必要がある。
【0074】
大気開放弁8と残圧排出弁6を協働させて、送液経路3に対する逆流形成作用を促進せしめ、ノズル残液の吸引作用を可及的により長い時間にわたりその効果を発揮させるためには、大気開放弁8が開く圧力値Pは、残圧排出弁6の開く圧力値Pと同じであるか(即ち、残圧排出弁6の開弁と同時に大気開放弁8も開く。)、該圧力値Pに限りなく近似する方(即ち、残圧排出弁6の開弁直後に大気開放弁8が開く。)、が望ましい(図8参照)。
【0075】
大気開放弁8の開弁によるノズル残液の吸引作用を可及的により長い時間にわたりその効果を発揮させるという観点からすると、残圧排出弁6の開弁からノズル4の弁体43が閉じるまでの時間はより長い方がよいので、該弁体43の作動圧については、より低い方が望ましい。
【0076】
このような大気開放弁8を採用することによって、加圧停止後に、送液経路3における逆流R(図1参照)及びこれに伴う負圧の形成を促進し、これにより、より速やかにノズル4の噴霧を終了させるとともに、残圧排出弁6の開弁との協働によりノズル残液を送液経路3側により強く吸引し、液ダレ現象をより可及的完全に防止することができる。
【0077】
なお、本噴霧システムSでは、ノズル4の配置箇所のより後方側領域に、送風装置を配置しておき、送風を行いながら噴霧を実施することもできる。例えば、図7に示すような円環状経路31の後方側に送風装置(図示せず。)を配置しておき、該送風装置から発せられる風を円環状経路31の内側領域32から噴霧方向に一致させて放出する。このような方法によって、霧Mを風で拡散するとともに、気化が促進されることで霧Mが微細化され、該霧Mによって周辺がより一層確実に濡れないように工夫することができる。
【0078】
このように、本噴霧システムSを採用することによって平均粒径40μmレベルの霧を確保し、さらに送風装置を併用することによって、風で平均粒径20μm程度に微細化する方法を採用すれば、いわゆる「濡れない霧」を安定的に連続的に噴霧することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る噴霧システムは、加圧停止後、送液経路内の液圧がゼロになるまでの過程での所望しない粗大な霧の噴出を防止することができ、かつ、最後の液ダレ現象も可及的完全に防止することができる。このため、粗大化された霧の噴霧によって周辺が濡れてしまうことやノズルからの液ダレ現象が発生することを忌避すべき要請が強い目的や用途(分野)における噴霧技術として利用することができる。
【0080】
例えば、濡らしたくない精密機械(機器)・人・家具などが存在するような空間(ロビー、ホール、プラットホームなどを含む。)における加湿、温度調整(暖房、冷房)、消臭、殺菌、衛生(感染症対策や食中毒対策)、静電気防除、リラクゼーション、アロマテラピー、コンクリート養生、沈塵等の幅広い分野での噴霧技術として、とくに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係わる噴霧システム(S)の一実施形態例の全体構成を説明するための図である。
【図2】本噴霧システム(S)において採用可能なノズルの一実施形態例の内部構造を示す図であって、弁体が開いた状態を示す断面図である。
【図3】本噴霧システム(S)において採用可能なノズルの一実施形態例の内部構造を示す図であって、弁体が閉じた状態を示す断面図である。
【図4】本噴霧システム(S)に付設してもよい大気開放弁(8)の一実施形態例の内部構造を示す断面図である。
【図5】同大気開放弁(8b)の変形実施形態例の内部構造を示す断面図であって、開弁状態のときの図である。
【図6】同大気開放弁(8b)の変形実施形態例の内部構造を示す断面図であって、閉弁状態のときの図である。
【図7】大気開放弁の設置例及びノズル(4)の配設例を示す簡略図である。
【図8】本噴霧システム(S)の噴霧終了又は停止に係わる弁群の動作フローの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
H ノズル噴霧口
M 霧
R 逆流
S 噴霧システム
W 加圧された液体
Z ノズル内部空間
2 加圧部(例えば、ポンプ)
3 送液経路
4 噴霧ノズル(略、ノズル)
6 残圧排出弁
8(8a,8b) 大気開放弁
43 ノズル4に内蔵される弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化するための所定の液体を加圧する「加圧部」と、
前記加圧部で加圧された前記液体が通過する「送液経路」と、
加圧停止後、液圧が所定の圧力値P以上の条件で開いて、前記送液経路に存在する残液を前記送液経路外へ排出し、該送液経路内の残圧を抜くための「残圧排出弁」と、
前記送液経路を通過した加圧液体を霧化して噴出するノズルであり、液圧が所定の圧力値に低下すると閉じて液体の供給を遮断する弁体が内蔵されており、該弁体が閉じた後に、ノズル噴霧口からの液ダレが生じない程度のノズル内部空間容積を有する「噴霧ノズル」と、
を備えた噴霧システム。
【請求項2】
前記圧力値Pは、2.5MPaであることを特徴とする請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項3】
前記ノズル内部空間容積は、前記弁体が内蔵された状態で300μL以下であることを特徴とする請求項2記載の噴霧システム。
【請求項4】
前記残圧排出弁の開弁時又は開弁直後に、前記送液経路を大気に連通させるための「大気開放弁」が設けられたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の噴霧システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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