説明

噴霧ユニット及び静電噴霧装置

【課題】ノズルの先端から液体を噴霧するための噴霧ユニット及び静電噴霧装置において、安全性の向上を図る。
【解決手段】液体が充填された容器と、該容器に取り付けられて液体通路を有するノズル本体(21)とを備え、容器内の液体に所定の電圧を印加すると共に容器内を加圧して液体をノズル本体(21)の先端から噴霧する静電噴霧装置の噴霧カートリッジを前提とする。該噴霧カートリッジのノズル本体(21)の容器に対する取付部分よりも先端側の突出部(21a)を、ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると変形する一方、外力が取り除かれると元の形状に復元されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧するためのノズルを備えた噴霧ユニット及び静電噴霧装置に関し、特に、安全対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、人体に有用な物質を含む液体を室内へ噴霧するため、液体を充填した容器の先端にノズルを設けた噴霧ユニットを備え、容器内の液体に電圧を印加すると共に容器内を加圧して液体をノズルの先端に供給し、該ノズルの先端に形成される電界によって液体を噴霧するようにした静電噴霧装置が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、上述のような静電噴霧装置では、金属材料によって針状に形成されたノズルが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−138081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような金属材料によって針状に形成されたノズルを用いると、使用者が誤ってノズルの先端等に触れてしまった場合に指等に刺さってしまい、負傷する虞があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安全性に優れた噴霧ユニット及び静電噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(構成)
第1の発明は、液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられて液体通路を有するノズル(21)とを備え、上記容器(11)内の液体に所定の電圧を印加すると共に上記容器(11)内を加圧して液体を上記ノズル(21)の先端から噴霧する静電噴霧装置(1)に設けられる噴霧ユニットであって、上記ノズル(21)の上記容器(11)に対する取付部分よりも先端側の突出部(21a)は、上記ノズル(21)の先端に外力が加えられると変形する一方、上記外力が取り除かれると元の形状に復元されるように構成されている。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、上記液体通路が内側に形成されたコイル部材によって構成されている。
【0009】
第3の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、1つに束ねられて各々の間に上記液体通路が形成された複数の線条部材によって構成されている。
【0010】
第4の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、針状に形成された先端部(21b)と、該先端部(21b)に連続して伸縮自在な蛇腹部(21c)とを備えている。
【0011】
第5の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、シリコンによって針状に形成されている。
【0012】
第6の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、ゲル状部材によって針状に形成されている。
【0013】
第7の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、天然ゴムによって針状に形成されている。
【0014】
第8の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、可撓性を有する材料によって形成され、針状の先端部(21d)と、該先端部(21d)に連続し、上記先端部(21d)と等しい肉厚で且つ上記先端部(21d)よりも大径に形成された大径部(21e)とを備えている。
【0015】
第9の発明は、第1の発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、可撓性を有する材料によって形成され、互いに対向して噴霧方向に延び、対向面間に上記液体通路が形成された2枚の板状部材を備えている。
【0016】
第10の発明は、第2乃至第9のいずれか1つの発明において、上記ノズル(21)の突出部(21a)は、突出長さが6mm以上の長さになるように形成されている。
【0017】
第11の発明は、第1乃至第10のいずれか1つの発明における噴霧ユニット(10)を備え、上記容器(11)内の液体に所定の電圧を印加すると共に上記容器(11)内を加圧して液体を上記ノズル(21)の先端から噴霧する静電噴霧装置である。
【0018】
(作用)
第1乃至第11の発明では、ノズル(21)の先端に外力が加えられると、ノズル(21)の容器(11)に対する取付部分よりも先端側の突出部(21a)が変形し、ノズル(21)の先端が移動する。
【0019】
具体的には、第2の発明では、内側に液体通路が形成されたコイル部材によって構成されたノズル(21)の突出部(21a)が収縮する又は撓むことにより、ノズル(21)の先端が移動する。
【0020】
また、第3の発明では、ノズル(21)の突出部(21a)を構成する複数の線条部材が撓むことによってノズル(21)の先端が移動する。
【0021】
また、第4の発明では、ノズル(21)の突出部(21a)の一部である蛇腹部(21c)が伸縮する又は撓むことによってノズル(21)の先端が移動する。
【0022】
また、第5乃至第7の発明では、それぞれシリコン、ゲル状部材、天然ゴムによって針状に形成されたノズル(21)の突出部(21a)が撓むことによってノズル(21)の先端が移動する。
【0023】
また、第8の発明では、可撓性を有する材料によって形成されたノズル(21)の突出部(21a)のうちの針状の先端部(21d)が、該先端部(21d)と等しい肉厚で且つ大径に形成された大径部(21e)の内側に陥入するように撓むことによってノズル(21)の先端が移動する。
【0024】
また、第9の発明では、可撓性を有する材料によって形成されてノズル(21)の突出部(21a)を構成する2枚の板状部材が撓むことによってノズル(21)の先端が移動する。
【0025】
一方、第1乃至第11の発明では、ノズル(21)の先端に加えられた外力が取り除かれると元の形状に復元し、噴霧可能な状態となる。
【0026】
また、第10の発明では、ノズル(21)の突出部(21a)の突出長さが6mm以上となるようにノズル(21)が構成されているため、突出部(21a)が変形し易くなる。
【発明の効果】
【0027】
第1乃至第11の発明によれば、ノズル(21)の突出部(21a)を変形可能に構成したことにより、使用者が誤ってノズル(21)の先端に触れてしまっても、ノズル(21)の突出部(21a)が変形してノズル(21)の先端が移動するため、ノズル(21)の先端が使用者の指等に刺さってしまうことを防止することができる。従って、噴霧ユニット(10)及び静電噴霧装置(1)の安全性の向上を図ることができる。
【0028】
また、第2乃至第4の発明によれば、使用者が負傷しないように突出部(21a)が変形するノズル(21)を容易な構成によって実現することができる。
【0029】
また、第5乃至7の発明によれば、可撓性を有する材料によってノズル(21)の突出部(21a)を構成することで、使用者が負傷しないように突出部(21a)が変形するノズル(21)を容易に構成することができる。
【0030】
また、第8及び第9の発明によれば、ノズル(21)の突出部(21a)を可撓性を有する材料によって構成すると共に、上述のように撓み易い形状に形成することで、ノズル(21)の先端がより使用者の指等に刺さり難くなり、安全性の更なる向上を図ることができる。
【0031】
また、第10の発明によれば、ノズル(21)の突出部(21a)の突出長さを6mm以上とすることで、ノズル(21)の突出部(21a)を撓み易くなるように形成することができる。そのため、ノズル(21)の先端がより使用者の指等に刺さり難くなり、さらなる安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を第1カバー側から視て示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を第2カバー側から視て示す斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を示す正面図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る静電噴霧装置の構成を示す縦断面図である。
【図5】図5は、加圧手段の構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、ノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【図7】図7は、実施形態2に係る静電噴霧装置のノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【図8】図8は、実施形態3に係る静電噴霧装置のノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【図9】図9は、実施形態4に係る静電噴霧装置のノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【図10】図10は、実施形態5に係る静電噴霧装置のノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【図11】図11は、実施形態6に係る静電噴霧装置のノズル本体の突出部の動作を示す図であり、(A)は通常状態を示し、(B)は変形状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】
《発明の実施形態1》
図1〜図5に示すように、本実施形態の静電噴霧装置(1)は、卓上等に設置されて使用されるものである。この静電噴霧装置(1)は、本体部(40)と、台座用カバー(42)と、支持部(43)とを備えている。
【0035】
上記本体部(40)は、ハウジング(41)と、該ハウジング(41)に着脱自在に装着される噴霧カートリッジ(10)と、加圧手段(8)とを備えている。
【0036】
上記ハウジング(41)は、ハウジング本体(41a)と、ハウジング本体(41a)の両端をそれぞれ覆う一対のカバー部材(41b,41c)とを備えている。
【0037】
上記ハウジング本体(41a)は、円筒状に形成されている。ハウジング本体(41a)の下部には、該ハウジング本体(41a)を支持する支持部(43)が設けられている。一方、ハウジング本体(41a)の上部には、後述する噴霧カートリッジ(10)のノズル本体(21)を保護するためのシュラウド部(31)が形成されている。このシュラウド部(31)は、ハウジング本体(41a)の周方向の一部が外部へ膨出してなっている。シュラウド部(31)の中央には、ノズル本体(21)の周囲を覆うように凹部(32)が形成されている。
【0038】
また、上記ハウジング本体(41a)の外周面において、シュラウド部(31)の下側にはLEDライト(46)が取り付けられている(図1では2個)。このLEDライト(46)は、噴霧カートリッジ(10)のノズル本体(21)の先端から噴霧される液体に向かって照射され、使用者が噴霧状態を確認するためのものである。
【0039】
上記カバー部材(41b,41c)は、対となる第1カバー(41b)と第2カバー(41c)とで構成されている。
【0040】
図1に示すように、上記第1カバー(41b)は、ハウジング本体(41a)の一端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の一端面を覆うように取り付けられている。第1カバー(41b)は、使用者が、ハウジング本体(41a)の周方向に回すことができるように取り付けられている。また、第1カバー(41b)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、第1カバー(41b)の裏面には、図示はしないが、第1カバー(41b)より小径の円筒状の巻上部が形成されている。この巻上部には、巻上部の周方向に沿って螺旋状に切り込まれた切り欠きが形成され、後述する加圧ステージ(52)の移動を規制している。
【0041】
一方、図2に示すように、上記第2カバー(41c)は、ハウジング本体(41a)の他端面とほぼ同外形の円形に形成され、ハウジング本体(41a)の他端面を覆うように取り付けられている。第2カバー(41c)の表面には、電荷を帯びた液体に対する帯状の対向電極(44)が設けられる一方、電源部の出力調整ボリューム(図示せず)と連動するボリュームつまみ(45)が設けられている。ボリュームつまみ(45)を回転させることで、電源部からの出力電圧が適宜調整される。なお、電源部は、0kV以上で、12kV以下の値に電圧を変換するように構成されていればよい。
【0042】
上記台座用カバー(42)は、ハウジング本体(41a)の円筒状の側面に沿った碗状に形成されている。台座用カバー(42)は、使用時には支持部(43)に取り付けられて台座として用いられる(図1や図2を参照)。また、台座用カバー(42)は、不使用時(保管時)には本体部(40)のシュラウド部(31)を覆うように取り付けられてノズル本体(21)を保護する。なお、この静電噴霧装置(1)は、支持部(43)から台座用カバー(42)を取り外して使用することで、静電噴霧装置(1)の高さを2段階に調節することができる。
【0043】
上記加圧手段(8)は、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)を圧迫して該容器(11)内の液体をノズル本体(21)の先端に搬送するためのものである。加圧手段(8)は、図5に示すように、上記第1カバー(41b)と、2つの定荷重ゼンマイ(51)と、加圧ステージ(52)と、仕切板(53)とを備えている。
【0044】
上記加圧ステージ(52)は、有底円筒形状の本体部(52a)と、2つのゼンマイ支持部(52b)とを有している。有底円筒形状の本体部(52a)は、その底部が第2カバー(41c)側を向くように配設されている。一方、2つのゼンマイ支持部(52b)は、本体部(52a)の軸心を中心に180°反転させた位置に形成され、それぞれ本体部(52a)の外周面から径方向外側に向かって平行に突出する一対の板状部材を有している。該一対の板状部材には、上記2つの定荷重ゼンマイ(51)の軸(51a)の両端部と回転自在に係合する切り欠きがそれぞれ形成されている。
【0045】
また、加圧ステージ(52)の本体部(52a)の第1カバー(41b)側端部の内側面には、軸心方向に向かって突出する凸部(52c)が形成されている。この凸部(52c)を第1カバー(41b)の巻上部に形成された切り欠きに係合させて、第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)の周方向に回転させると、上記凸部(52c)が、螺旋状の切り欠きに沿って第1カバー(41b)側に案内される。これに伴って、加圧ステージ(52)が第1カバー(41b)側に移動し、第1カバー(41b)に保持される。この状態において、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)は、加圧ステージ(52)と離間している。一方、第1カバー(41b)を逆回転させると、凸部(52c)が巻上部の螺旋状の切り欠きに沿って第2カバー(41c)側に案内され、凸部(52c)はやがて巻上部から外れる。このときに、加圧ステージ(52)は、第1カバー(41b)に対して移動可能な状態となる。つまり、第1カバー(41b)を回転させることで、加圧ステージ(52)の保持と解放とを切り換えるよう構成されている。
【0046】
上記定荷重ゼンマイ(51)は、軸(51a)と、該軸(51a)周りに一定の曲率で巻き付けられた帯状の金属板(51b)とを有している。また、定荷重ゼンマイ(51)は、金属板(51b)を引き出すときに復元力(荷重)が生じ、その金属板(51b)の引き出し量(ストローク)が所定の長さを越えると、復元力(荷重)がストロークに拘わらず一定となるように構成されている。また、軸(51a)は、加圧ステージ(52)のゼンマイ支持部(52b)の切り欠きに回転自在に係合されている。一方、金属板(51b)は、一部が第2カバー(41c)側に引き出された状態で、その終端(51c)がハウジング本体(41a)に固定されている。
【0047】
上記仕切板(53)は、平板状の板部材で形成され、ハウジング(41)内において、加圧ステージ(52)に対して、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)を挟んで対向するよう設置されている。仕切板(53)は、ハウジング本体(41a)に取り付けられている。
【0048】
なお、加圧手段(8)の第1カバー(41b)を除く各要素は、ハウジング本体(41a)内の第1カバー(41b)から第2カバー(41c)に向かって順に、加圧ステージ(52)(定荷重ゼンマイ(51)が係合)、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)、仕切板(53)の順に配設されている。
【0049】
以上の構成により、上記加圧手段(8)では、第1カバー(41b)を所定方向に回動させて該第1カバー(41b)に保持されていた加圧ステージ(52)が解放されると、該加圧ステージ(52)が定荷重ゼンマイ(51)の復元力によって第2カバー(41c)側に押圧されて移動する。これにより、噴霧カートリッジ(10)の容器(11)は、加圧ステージ(52)の本体部(52a)によって第2カバー(41c)側に押圧され、仕切板(53)との間において圧迫されて加圧される。一方、第1カバー(41b)を上記所定方向と逆方向に回動させると、加圧ステージ(52)が第1カバー(41b)と再び係合して該第1カバー(41b)側に移動すると共に該第1カバー(41b)に保持される。これにより、加圧ステージ(52)が容器(11)から離間して加圧が解除される。
【0050】
また、上記ハウジング(41)内には電圧用スイッチ(47)が設けられ、加圧ステージ(52)には電圧用スイッチ(47)をオンオフするためのプッシャー(49)が設けられている。このプッシャー(49)は、第1カバー(41b)がハウジング本体(41a)に対して相対的に回動して加圧ステージ(52)が移動することで、電圧用スイッチ(47)に接触するようになっている。加圧手段(8)が加圧動作にあるときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)に接触し続けて該電圧用スイッチ(47)がオン状態に維持される。これにより、容器(11)内の液体に高電圧が印加される。加圧手段(8)の加圧動作が解除されたときは、プッシャー(49)が電圧用スイッチ(47)から離間して該電圧用スイッチ(47)がオフ状態となる。これによって、容器(11)内の液体への電圧印加が解除される。
【0051】
このように、本実施形態では、第1カバー(41b)を回動させることで、容器(11)への加圧動作と電圧用スイッチ(47)のオンオフが同時に行われる。
【0052】
上記噴霧カートリッジ(10)は、図4に示すように、容器(11)と、導電部材(12)と、ノズル部(20)と、ノズルベース(33)とを備えている。そして、これら容器(11)、導電部材(12)、ノズル部(20)及びノズルベース(33)は一体に組み付けられている。
【0053】
上記容器(11)は、扁平な袋状に形成されている。具体的に、容器(11)は液体を浸透させない比較的柔軟な材料で構成された2枚の矩形状のシートを重ね合わせることによって形成されている。これらの2枚のシートは、互いの4辺が張り合わされ、短辺側の1辺には、外側に突出して開口する口(11a)が形成されている。容器(11)の内部には、保湿成分や抗酸化成分を含んだ化粧用の液体(例えば、ヒアルロン酸を含む溶液)が充填されている。この液体は、電気抵抗率が1.0×10Ωcm以上1.0×10Ωcm以下となるように濃度が調整されている。
【0054】
上記導電部材(12)は、導電性の樹脂で形成され、容器(11)内の液体に電荷を付与する(高電圧を印加する)ための電圧印加手段を構成している。導電部材(12)は、容器(11)の口(11a)に挿入され、容器(11)内の液体に接触する挿入部(12a)と、該挿入部(12a)の外側端に一体形成され、容器(11)の口(11a)よりも大径に形成されたフランジ(12b)とで構成されている。この導電部材(12)は、フランジ(12b)が電源部(図示せず)と電気的に接続され、挿入部(12a)を介して容器(11)内の液体に高電圧を印加するように構成されている。
【0055】
上記ノズル部(20)は、本発明に係るノズルを構成するノズル本体(21)と、該ノズル本体(21)を保持するノズル保持部(22)とを備えている。ノズル本体(21)はノズル保持部(22)に挿通されて該ノズル保持部(22)に保持されている。
【0056】
上記ノズル本体(21)は、本実施形態では金属材料で形成されている。また、図6(A)に先端側の一部を示すように、ノズル本体(21)は、線条部材を螺旋状に巻いたコイル部材によって構成されている。そして、該コイル部材の内側に噴霧液体を流通させる液体通路が形成されている。また、ノズル本体(21)は、液体通路の通路径が0.2mm以下となるように形成されている。そして、ノズル本体(21)は、ノズル保持部(22)の外側端面(ノズル本体(21)の先端側の端面)よりも先端側の部分を構成する突出部(21a)の長さ(ノズル保持部(22)の外側端面から先端までの距離)が6mm以上(本実施形態では10mm程度)となるように形成されている。
【0057】
一方、図5に示すように、ノズル保持部(22)は、樹脂材料によって形成され、ノズル本体(21)よりも大径の円筒部と、中央部分に上記ノズル本体(21)が貫通する3つの円板状の脚部とを備えている。3つの脚部は、円筒部の軸方向の両端部及び中央部にそれぞれ平行に設けられ、該円筒部と一体的に形成されている。つまり、ノズル保持部(22)は、ノズル本体(21)を3箇所で支持している。また、ノズル保持部(22)は、型枠内にノズル本体(21)を設置した状態でインサート成形される。そして、ノズル保持部(22)は、容器(11)側の内端部が導電部材(12)のフランジ(12b)の外端面に形成された凹部に係合するように設けられている。
【0058】
また、上記ノズル部(20)には、非使用時にノズル本体(21)内の液体の乾燥を防止するためにノズルキャップ(23)が着脱自在に取り付けられるようになっている。そして、噴霧カートリッジ(10)は、ノズル本体(21)の先端が斜め上方に向いてシュラウド部(31)の凹部(32)に露出するように、ハウジング(41)内に着脱自在に配設される。
【0059】
上記ノズルベース(33)は、図4に示すように、容器(11)や導電部材(12)に固定されている。ノズルベース(33)の内側端には、導電部材(12)が収容される取付凹部(36)が形成されている。ノズルベース(33)の外側端には、ノズル本体(21)の先端部が収容されるノズル凹部(34)が設けられている。ノズル本体(21)の先端はノズル凹部(34)から突出しないようになっている。このノズル凹部(34)の底部には、取付凹部(36)と連通する貫通孔(35)が形成されていて、この貫通孔(35)にノズル部(20)のノズル保持部(22)が収容されるようになっている。
【0060】
また、上記ノズルベース(33)は、図1や図2に示すように、ハウジング本体(41a)のシュラウド部(31)の一部を構成している。つまり、ノズルベース(33)のノズル凹部(34)がシュラウド部(31)の凹部(32)の一部となる。ノズルベース(33)は、シュラウド部(31)の周方向に延びるように形成され、シュラウド部(31)に嵌め込まれている。ノズルベース(33)の両端部には、取出し用つまみ(3a)が形成されている。
【0061】
上記噴霧カートリッジ(10)は、加圧手段(8)によって容器(11)が圧迫されると、容器(11)内の液体がノズル本体(21)へ供給される。一方、容器(11)内の液体に導電部材(12)を介して高電圧が印加されると、ノズル本体(21)の先端に電界が形成される。これにより、ノズル本体(21)の先端から液体が連続して霧状に噴射される。噴霧カートリッジ(10)は、容器(11)内の液体がなくなるか、少なくなると交換される。噴霧カートリッジ(10)を交換する際には、ノズルベース(33)の取出し用つまみ(3a)を引っ張ることで、ノズルベース(33)を含む噴霧カートリッジ(10)が一体でハウジング(41)から取り出される。そして、ノズルベース(33)を含む新たな噴霧カートリッジ(10)が装着される。つまり、本実施形態では、ノズルベース(33)がノズル部(20)等と一体で交換される。したがって、噴霧カートリッジ(10)を交換する際、少なくともシュラウド部(31)の一部であるノズルベース(33)とノズル本体(21)の先端との位置関係が変動することはない。
【0062】
−運転動作−
次に、本実施形態の静電噴霧装置(1)の動作について説明する。この静電噴霧装置(1)では、いわゆるコーンジェットモードのEHD噴霧が行われる。
【0063】
先ず、使用者が手動で第1カバー(41b)をハウジング本体(41a)の周方向に回すと、加圧ステージ(52)に対する第1カバー(41b)の規制が解除される。規制が解除されると、加圧ステージ(52)には定荷重ゼンマイ(51)の復元力による第2カバー(41c)側向きの力が作用し、加圧ステージ(52)が仕切板(53)に向かって移動する。移動した加圧ステージ(52)と仕切板(53)とで、容器(11)を圧迫する。圧迫された容器(11)内の液体は、ノズル本体(21)を構成するコイル部材の内側に形成された液体通路に流入する。該液体通路に流入した液体は、ノズル本体(21)の先端に移動する。
【0064】
一方、第1カバー(41b)を周方向の一方側に回すと、電圧用スイッチ(47)がオンされ、電源部より導電部材(12)を介して容器(11)内の液体に高電圧が印加される。高電圧が印加されて電荷を帯びた液体は分極し、ノズル本体(21)の先端の気液界面の近傍に+(プラス)の電荷を帯びた液体が集まる。そして、ノズル本体(21)の先端では、対向電極(44)との電位差によって気液界面が引き延ばされて円錐状(コーン状)となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水液体が引きちぎられて液滴化する。なお、本実施形態の印加電圧の大きさ及び液体の電気抵抗率であれば、ノズル本体(21)の先端から飛散する液滴の大きさは、概ね50μmから200μmの範囲の大きさになる。ノズル本体(21)から飛散した液体は、ノズル本体(21)の先端から40〜50cm程度離れた距離まで到達する。使用者が、50cm程度前方に、顔面にノズル本体(21)の先端を向けて静電噴霧装置(1)を設置すると、飛散した液滴が使用者の顔面に付着する。そして、使用者が手動で第1カバー(41b)を周方向の他方側に回すと、加圧ステージ(52)が第1カバー(41b)に規制されると共に、電源部からの電圧が停止して噴霧が停止する。最後に、使用者が、ノズル本体(21)にノズルキャップ(23)を装着する。
【0065】
−ノズル本体の動作−
本実施形態の静電噴霧装置(1)では、ノズル本体(21)がコイル部材によって構成されているため、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)を変形させて、使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0066】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると、コイル部材によって構成されたノズル本体(21)の突出部(21a)が収縮する(図6(B)の実線参照)又は撓む(図6(B)の二点鎖線参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0067】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、収縮する又は撓んでいたノズル本体(21)の突出部(21a)が元の状態に復元される(図6(A)参照)。
【0068】
−実施形態1の効果−
以上により、上記実施形態1によれば、ノズル本体(21)の突出部(21a)をコイル部材によって構成したことにより、使用者が誤ってノズル本体(21)の先端に触れてしまっても、ノズル本体(21)の突出部(21a)を変形させる(収縮させる又は撓ませる)ことにより、ノズル本体(21)の先端を移動させることができる。よって、ノズル本体(21)の先端が使用者の指等に刺さってしまうことを回避することができる。従って、噴霧カートリッジ(10)及び静電噴霧装置(1)の安全性の向上を図ることができる。
【0069】
また、上記実施形態1によれば、ノズル本体(21)をコイル部材によって構成することで、使用者が負傷しないように突出部(21a)が変形するノズル本体(21)を、容易な構成によって実現することができる。
【0070】
また、上記実施形態1によれば、ノズル本体(21)の突出部(21a)の突出長さを6mm以上とすることで、ノズル本体(21)の突出部(21a)を撓み易くなるように形成することができる。そのため、ノズル本体(21)の先端がより使用者の指等に刺さり難くなり、さらなる安全性の向上を図ることができる。
【0071】
なお、上記実施形態1では、ノズル本体(21)全体をコイル部材によって構成していたが、ノズル本体(21)の突出部(21a)のみをコイル部材によって構成し、それ以外の部分を細管によって構成することとしても、上記効果と同様の効果を奏することができる。また、突出部(21a)は、金属材料以外の材料で形成されていてもよい。
【0072】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1のノズル本体(21)の構成を変更したものである。
【0073】
具体的には、図7(A)に示すように、実施形態2に係るノズル本体(21)は、1つに束ねられた複数の線条部材によって構成されている。複数の線条部材は、それぞれの間に噴霧液体が流通する液体通路が形成されるように束ねられている。つまり、複数の線条部材は、液体の表面張力による毛細管現象を利用して噴霧液体が先端まで搬送されるように、各々の間に所定の隙間を空けて束ねられている。
【0074】
このようにノズル本体(21)を複数の線条部材によって構成しても、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)を変形させて、使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0075】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると、複数の線条部材によって構成されたノズル本体(21)の突出部(21a)が撓む(図7(B)参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0076】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、撓んでいたノズル本体(21)の突出部(21a)が元の状態に復元される(図7(A)参照)。
【0077】
以上より、実施形態2によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0078】
また、上記実施形態2では、ノズル本体(21)全体を上記複数の線条部材によって構成していたが、ノズル本体(21)の突出部(21a)のみを上記複数の線条部材によって構成し、それ以外の部分を細管によって構成することとしても、上記効果と同様の効果を奏することができる。
【0079】
《発明の実施形態3》
実施形態3に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1のノズル本体(21)の構成を変更したものである。
【0080】
具体的には、図7(A)に示すように、実施形態3に係るノズル本体(21)の突出部(21a)は、針状に形成された先端部(21b)と、該先端部(21b)に連続して伸縮自在な蛇腹部(21c)によって構成されている。先端部(21b)は、円筒形状に形成されている。一方、蛇腹部(21c)は、環状に形成されて外周側に突出する山折り部と、該山折り部に連続するように環状に形成されて内周側に突出する谷折り部とが軸方向に交互に形成されている。このような構成により、蛇腹部(21c)は、伸縮自在に構成されている。
【0081】
上記ノズル本体(21)の突出部(21a)以外の部分はいかなる形状であってもよいが、本実施形態では、細管によって構成されている。そして、該細管並びに突出部(21a)の蛇腹部(21c)及び先端部(21b)の内部には、上記細管から先端部(21b)に亘って噴霧液体が流通する液体通路が形成されている。
【0082】
このようにノズル本体(21)の突出部(21a)を、針状の先端部(21b)と、該先端部(21b)に連続する蛇腹部(21c)とによって構成しても、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)の突出部(21a)を変形させて、使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0083】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該先端に外力が加えられると、蛇腹部(21c)の隣り合う山折り部どうしの距離及び隣り合う谷折り部どうしの距離がそれぞれ縮まり、蛇腹部(21c)が収縮する(図8(B)実線参照)。若しくは、蛇腹部(21c)の一部分の隣り合う山折り部どうしの距離及び隣り合う谷折り部どうしの距離がそれぞれ縮まり、蛇腹部(21c)が撓む(図8(B)二点鎖線参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0084】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、収縮していた又は撓んでいたノズル本体(21)の突出部(21a)の蛇腹部(21c)が元の状態に復元される(図8(A)参照)。
【0085】
以上より、実施形態3によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0086】
《発明の実施形態4》
実施形態4に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1のノズル本体(21)の構成を変更したものである。
【0087】
具体的には、図9(A)に示すように、実施形態4に係るノズル本体(21)は、シリコンによって針状の細管に形成されている。
【0088】
このようにノズル本体(21)の材料としてシリコンを用いることによって、ノズル本体(21)を針状に形成しても、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)を変形させて、使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0089】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると、シリコンによって形成された針状のノズル本体(21)の突出部(21a)が撓む(図9(B)参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0090】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、撓んでいたノズル本体(21)の突出部(21a)が元の状態に復元される(図9(A)参照)。
【0091】
以上より、実施形態4によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0092】
また、上記実施形態4では、ノズル本体(21)全体をシリコンによって針状に形成していたが、ノズル本体(21)の突出部(21a)のみをシリコンによって針状に形成し、それ以外の部分は別部材によって形成することとしてもよい。そのような場合であっても、上記効果と同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、上記ノズル本体(21)全体又はノズル本体(21)の突出部(21a)のみを、シリコンの他、ゲル状部材や天然ゴムによって針状に形成しても同様の効果を奏することができる。
【0094】
《発明の実施形態5》
実施形態5に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1のノズル本体(21)の構成を変更したものである。
【0095】
具体的には、図10(A)に示すように、実施形態5に係るノズル本体(21)の突出部(21a)は、シリコン等の可撓性を有する材料によって形成され、針状に形成された先端部(21d)と、該先端部(21d)に連続して該先端部(21d)よりも大径に形成された大径部(21e)とを有している。先端部(21d)は、略円筒形状に形成されている。一方、大径部(21e)は、上記先端部(21d)から上記ノズル保持部(22)に近づくに従って拡径するように形成されている。また、大径部(21e)は、先端部(21b)と等しい肉厚で薄肉状に構成されている。
【0096】
上記ノズル本体(21)の突出部(21a)以外の部分はいかなる形状であってもよいが、本実施形態では、細管によって構成されている。そして、該細管並びに突出部(21a)の大径部(21e)及び先端部(21d)の内部には、上記細管から先端部(21d)に亘って噴霧液体が流通する液体通路が形成されている。
【0097】
このようにノズル本体(21)の突出部(21a)を、針状の先端部(21d)と、該先端部(21d)に連続する大径部(21e)とによって構成しても、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)の突出部(21a)を変形させて使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0098】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると、ノズル本体(21)の突出部(21a)が拉げる(図10(B)参照)。より詳しくは、ノズル本体(21)の先端に容器(11)側向きの外力が加えられると、針状の先端部(21d)と大径部(21e)との連結部分が径方向内側に折り畳まれるように撓んで先端部(21d)が大径部(21e)の内側に陥入する(図10(B)参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0099】
なお、上記大径部(21e)は、先端部(21d)よりも大径で且つ等しい肉厚で薄肉状に形成されている。これにより、先端部(21d)から大径部(21e)に亘って形成された液体通路は、先端部(21d)よりも大径部(21e)において大径に形成されることとなる。そのため、先端部(21d)の容器(11)側には、大径部(21e)によって形成された大径の液体通路により、先端部(21d)に容器(11)側向きの外力が加えられた際に、先端部(21d)が陥入するスペースが形成されることとなる。よって、ノズル本体(21)の突出部(21a)を上述のように構成することで、該突出部(21a)が拉げ易くなり、ノズル本体(21)の先端が容器(11)側に移動し易くなる。
【0100】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、拉げていたノズル本体(21)の突出部(21a)が元の状態に復元される(図8(A)参照)。
【0101】
以上より、実施形態5によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0102】
なお、上記実施形態5では、大径部(21e)を先端部(21d)と等しい肉厚に形成して内部に形成される液体通路が先端部(21d)よりも大径部(21e)の方が大径になるように構成していたが、大径部(21e)の肉厚を厚くし、液体通路が先端部(21d)から大径部(21e)に亘って一定の通路径となるように細孔によって液体通路を形成することとしてもよい。上記のような突出部(21a)の場合、使用者がノズル本体(21)の先端に触れると、突出部(21a)が先端部(21d)と大径部(21e)との連結部分において撓むことによって、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0103】
《発明の実施形態6》
実施形態6に係る静電噴霧装置(1)は、実施形態1のノズル本体(21)の構成を変更したものである。
【0104】
具体的には、図11(A)に先端側の一部を示すように、実施形態6に係るノズル本体(21)は、シリコン等の可撓性を有する材料によって形成され、互いに対向する2枚の板状部材によって構成されている。2枚の板状部材は、対向面間に噴霧液体が流通する液体通路が形成されている。つまり、2枚の板状部材は、液体の表面張力による毛細管現象を利用して噴霧液体が先端まで搬送されるように、所定の隙間を空けて設けられている。
【0105】
このようにノズル本体(21)を2枚の板状部材によって構成しても、使用者が誤ってノズル本体(21)に触れてしまった場合に、ノズル本体(21)を変形させて、使用者の指等の負傷を回避することができる。
【0106】
具体的には、使用者の指がノズル本体(21)の先端に触れて該ノズル本体(21)の先端に外力が加えられると、2枚の板状部材によって構成されたノズル本体(21)の突出部(21a)が撓む(図11(B)参照)。これにより、ノズル本体(21)の先端が、外力が加えられる前の位置よりも容器(11)側の位置に移動するため、上記ノズル本体(21)の先端が使用者の指に突き刺さることを回避することができる。
【0107】
一方、使用者の指がノズル本体(21)の先端から離れる等して該ノズル本体(21)の先端に加えられていた外力が取り除かれると、撓んでいたノズル本体(21)の突出部(21a)が元の状態に復元される(図11(A)参照)。
【0108】
以上より、実施形態6によっても、実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0109】
また、上記実施形態6では、ノズル本体(21)全体を上記2枚の板状部材によって構成していたが、ノズル本体(21)の突出部(21a)のみを上記2枚の板状部材によって構成し、それ以外の部分を細管によって構成することとしても、上記効果と同様の効果を奏することができる。
【0110】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0111】
以上説明したように、本発明は、液体を噴霧するためのノズルを備えた噴霧ユニット及び静電噴霧装置について有用である。
【符号の説明】
【0112】
1 静電噴霧装置
10 噴霧カートリッジ(噴霧ユニット)
11 容器
21 ノズル本体(ノズル)
21a 突出部
21b 先端部
21c 蛇腹部
21d 先端部
21e 大径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が充填された容器(11)と、該容器(11)に取り付けられて液体通路を有するノズル(21)とを備え、上記容器(11)内の液体に所定の電圧を印加すると共に上記容器(11)内を加圧して液体を上記ノズル(21)の先端から噴霧する静電噴霧装置(1)に設けられる噴霧ユニットであって、
上記ノズル(21)の上記容器(11)に対する取付部分よりも先端側の突出部(21a)は、上記ノズル(21)の先端に外力が加えられると変形する一方、上記外力が取り除かれると元の形状に復元されるように構成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、上記液体通路が内側に形成されたコイル部材によって構成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項3】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、1つに束ねられて各々の間に上記液体通路が形成された複数の線条部材によって構成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項4】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、針状に形成された先端部(21b)と、該先端部(21b)に連続して伸縮自在な蛇腹部(21c)とを備えている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項5】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、シリコンによって針状に形成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項6】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、ゲル状部材によって針状に形成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項7】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、天然ゴムによって針状に形成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項8】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、可撓性を有する材料によって形成され、針状の先端部(21d)と、該先端部(21d)に連続し、該先端部(21d)と等しい肉厚で且つ該先端部(21d)よりも大径に形成された大径部(21e)とを備えている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項9】
請求項1において、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、可撓性を有する材料によって形成され、互いに対向して噴霧方向に延び、対向面間に上記液体通路が形成された2枚の板状部材を備えている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項10】
請求項2乃至9のいずれか1つにおいて、
上記ノズル(21)の突出部(21a)は、突出長さが6mm以上の長さになるように形成されている
ことを特徴とする噴霧ユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1つの噴霧ユニット(10)を備え、上記容器(11)内の液体に所定の電圧を印加すると共に上記容器(11)内を加圧して液体を上記ノズル(21)の先端から噴霧する静電噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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