説明

噴霧器及び電動工具

【課題】 電池電圧が異なる複数種類の電池パックが選択的に接続可能な電動工具及び電動工具及び噴霧器を提供する。
【解決手段】 噴霧器100は、電池パック6の電池電圧を変換して所望電圧の電力を出力する変換手段10、13と、電池電圧を検出する電池電圧検出手段12と、変換手段から出力される電力によって駆動されるモータ1aとを有し、変換手段には、電池電圧が異なる複数種類の電池パック6が選択的に電気的に接続可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パックからの給電によって動作する電動工具に関し、特に噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
噴霧器のうち、電池パックからの給電により動作するタイプのものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−001179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記噴霧器に給電可能な電池パックとして、一定の電圧を出力する特定タイプの電池パックしか使用することができなかった。
【0005】
本発明は、斯かる実情に鑑み、汎用性の高い電動工具及び噴霧器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の噴霧器は、電池パックの電池電圧を変換して所望電圧の電力を出力する変換手段と、前記電池電圧を検出する電池電圧検出手段と、前記変換手段から出力される電力によって駆動されるモータと、を有し、前記変換手段には、前記電池電圧が異なる複数種類の電池パックが選択的に電気的に接続可能であることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、前記変換手段は、前記電池電圧に拘わらず一定電圧の電力を出力することを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記変換手段は、前記電池電圧を降圧して出力することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記電池パックが着脱自在に装着される本体をさらに有し、前記本体は、前記電池パックを覆う蓋部を有し、前記電池パックを覆った状態で前記蓋部を前記本体に固定する固定機構をさらに有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、電池パックが接続され、ユーザの操作によって動作可能な状態になると、電池電圧検出手段が電池パックの電池電圧を検出し、変換手段は、電池パックからの出力電圧を変換して一定電圧の電力を出力する。変換手段から出力された一定電圧の電力によって、モータは駆動されて、噴霧器は使用可能となる。また、変換手段は、電池パックの電池電圧の大小に拘わらず一定電圧の電力をモータに向けて出力する。
【0011】
本発明の電動工具は、電池電圧が異なる複数の電池パックを選択的に接続可能な電池ユニットと、前記電池ユニットからの給電により駆動されるモータと、を備え、前記電池ユニットは、前記電池電圧を所定の電圧に変換する変換手段を有し、前記変換手段は、前記電池電圧にかかわらず一定の電圧を前記モータに供給するように動作することを特徴とする。
【0012】
好ましくは、前記変換手段は、前記モータと直列に接続されたスイッチング素子を含み、前記スイッチング素子のスイッチング動作により前記電池電圧を降圧して出力することを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、電池パックが接続され、ユーザの操作によって動作可能な状態になると、変換手段は、電池パックからの出力電圧を変換して一定の電圧をモータに供給するように動作する。変換手段から出力された一定電圧によって、モータは駆動されて、電動工具は使用可能となる。また、変換手段が、スイッチング動作により電池電圧を降圧して一定電圧を出力することにより、モータは駆動される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電池電圧が異なる複数種類の電池パックを選択的に接続して、噴霧器を動作させることができる。また、電池電圧が異なっても、常に一定電圧の電力をモータに供給することができ、接続される電池パックの電池電圧に拘わらず、電動工具及び噴霧器を安定して動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による一実施の形態である噴霧器の回路構成図。
【図2】本発明による一実施の形態である噴霧器の正面図。
【図3】図2に示す噴霧器の側面図。
【図4】図1に示す噴霧器に使用される電池ユニットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
まず、図2及び図3を参照して、本発明による噴霧器100の構成を説明する。噴霧器100は、本体としての電動工具本体1と、水や農薬等の液体を収容し収容口用のキャップ102が着脱可能に取り付けられるタンク101と、タンク101に収容された液体を霧状にして出力する噴霧管104を備える。噴霧器100は、作業者が背負って作業するため、タンク101には背負い用のベルト105が取り付けられている。更に、電動工具本体1には、駆動源となる電池パック6を備えた電池ユニット4が着脱可能に取り付けられている。
【0018】
作業者が電動工具本体1を背負い、噴霧管104に取り付けられたトリガスイッチ2を操作すると、噴霧管104の先端から液体が噴射される。液体の噴射量は、電池ユニット4に設けられた調整スイッチ106により調整可能となっている。調整スイッチ106は、高圧用スイッチと低圧用スイッチが設けられており、何れかを選択的にオンすることで噴射量を変更することができる。
【0019】
次に、図4を参照して電池ユニット4の構成を説明する。電池ユニット4は、電動工具本体11に着脱可能に取り付けられる。電池ユニット4には、複数種類の電池パック6が選択的に且つ着脱可能に取り付け可能である。電池ユニット4では、接続される電池パック6の種類、例えば定格電圧(14.4Vや18.0V)に応じて電圧切替用レバー4aが切り替えられる。なお、図4では電池パック6が電池ユニット4に取り付けた状態を示しているが、電池ユニット4に取り付けられる蓋部としてのカバーによって電池パック6を覆う構成にしてもよい。この場合、電圧切替用レバー4aは、固定機構としてカバー側に取り付けられる構成となり、切替用レバー4aによりカバーの開閉を規制する構成とすることができる。例えば、レバー4aが電池パック6の定格電圧(14.4V又は18.0V)の位置にセットされているときは、カバーは開状態となることが規制される(閉状態を維持)。一方、レバー6aが定格電圧の位置以外にセットされているときは、カバーを開けることができる。なお、レバー4aは、図中、時計回り又は反時計回りのいずれか一方に回転させることで、定格電圧の位置等にセットされる。
【0020】
次に、図1を参照して、電動工具(噴霧器)100及び電池ユニット4の回路構成を説明する。図1に示すように、電動工具100は、電動工具本体1と、電動工具本体1に装着可能な電池ユニット4とを含む。電動工具本体1は、対をなす入力端子3a、3bの間に電気的に接続されたモータ1aと、モータ1aへの給電をオンオフするトリガスイッチ2とを有する。トリガスイッチ2は、一端がモータ1aに接続され、他端が信号端子T2に接続されている。
【0021】
電池ユニット4は、対をなす出力端子5a、5bと、電池パック6と、制御回路7と、を含む。電池パック6は、電池ユニット4に着脱可能に装着され、複数の2次電池セル6aが直列に接続された電池セル部6aと、電池セル部6aに直列に接続された電池種類判別抵抗6bとを有する。電池種類判別抵抗6bは信号端子Tを介して後述するマイコン13に接続される。電池セル部6aでは、直列に接続される2次電池セルの個数や、並列に接続される2次電池セルの個数などの構成は、2次電池セルの種類や電動工具本体1の用途に応じて適宜に選択することができる。電池種類判別抵抗6bは、電池電圧検出手段または電池種類判別手段として、例えばリチウムイオン電池セル(3.6V/セル)やニッケルカドミウム電池セル(1.2V/セル)などの2次電池セルの種類や、電池セル部6aの構成に応じた抵抗値を有する。本実施の形態では、電池電圧が定格14.4Vの電池パック6と、電池電圧が定格18.0Vの電池パックとを選択的に使用することができる。すなわち、電池ユニット4は定格電圧や電池種類が異なる複数の電池パック6を着脱可能に装着することができる。
【0022】
制御回路7は、FET10と、電流検出抵抗9と、過電流検出回路14と、電圧検出回路12と、マイコン13と、スイッチ回路15とを含む。
【0023】
FET10は、変換手段として、電池セル部6aを含んでモータ1aに給電するために形成される電流路Lを開閉するスイッチング素子である。FET10では、マイコン13によるPWMによってスイッチング動作が行われる。
電流は、電池パック6のプラス端子から、出力端子5a、入力端子3a、モータ1a、入力端子3b、出力端子5b、FET10、電流検出抵抗9、及び電池パック6のマイナス端子の順に流れて電流路Lを形成する。
【0024】
電流検出抵抗9は、一端9aが電池パック6の負極側に接続されると共に、他端9bがFET10に接続されて、電流路Lに挿入されている。電流検出抵抗9は、電池セル部6aから流れる出力電流(負荷電流)を検出し、検出結果を過電流検出回路14に向けて出力する。なお、電流検出抵抗9は、出力電流が流れることで生じる電圧降下を電流値として出力する。
【0025】
過電流検出回路14は、電池セル部6aからの出力電流に基づいて、過負荷によるモータ1aの不動、すなわちロックを検出すると共に、電流路Lのショート、すなわち短絡を検出する。過電流検出回路14は、4つのオペアンプ14a、14b、14c、14dと、ラッチ回路16とからなる。オペアンプ14aは、反転入力端子が抵抗14iを介して電流検出抵抗9の一端9aに接続され、非反転入力端子が抵抗14kを介して電流検出抵抗9の他端9bに接続されている。オペアンプ14aの出力端子は、抵抗14lを介して反転入力端子に接続されると共に、オペアンプ14cの非反転入力端子に接続されている。
【0026】
オペアンプ14cは、反転入力端子には、第1の基準電位が入力される。第1の基準電位は、基準電位Vsを抵抗14r、14sによって分圧することによって生成され、ショートの発生を判別する、いわゆるショート電流値(ショート電流閾値)に対応する。オペアンプ14cの出力端子は、ダイオード14fを介してラッチ回路16に接続されている。また、マイコン13からの信号により、抵抗14tを抵抗14sに並列に接続することによって、第1の基準電位を下げてショート電流値(ショート電流閾値)を変更、具体的には小さくすることができる。ラッチ回路16は、出力信号として通常の動作ではHIGHを出力する。しかし、ラッチ回路16は、オペアンプ14cの非反転入力端子への入力電位が第1の基準電位を上回るとき、すなわち電流路Lのショートの発生を検出したときは、オペアンプ14cからの出力に応答して、出力信号としてLOWを出力する。このように、オペアンプ14a、14cは、短絡検出手段として機能する。
【0027】
一方、オペアンプ14bは、反転入力端子が抵抗14hを介して電流検出抵抗9の一端9aに接続され、非反転入力端子が抵抗14jを介して電流検出抵抗9の他端9bに接続されている。オペアンプ14bの出力端子は、抵抗14mを介して反転入力端子に接続されると共に、遅延回路14uを経由してオペアンプ14dの非反転入力端子に接続されている。
【0028】
オペアンプ14dは、反転入力端子には、第2の基準電位が入力される。遅延回路14uは、抵抗14nとコンデンサ14eとから構成され、オペアンプ14bの出力信号がオペアンプ14dへ入力されることを少なくとも所定時間遅延させる機能を有する。この所定時間は、モータ1aのロックが発生してから検出するまでの不感時間に相当する。第2の基準電位は、基準電位Vsを抵抗14o、14pによって分圧することによって生成され、モータ1aのロックの発生を判別する、いわゆるロック電流値(ロック電流閾値)に相当する。オペアンプ14dの出力端子は、ダイオード14gを介してラッチ回路16に接続されている。また、マイコン13からの信号により、抵抗14qを抵抗14pと並列に接続することによって、第2の基準電位を下げてロック電流値(ロック電流閾値)を変更、例えば小さくすることが可能となる。ラッチ回路16は、通常の動作ではHIGHを出力する。しかしながら、オペアンプ14dの非反転入力端子への入力電位が第2の基準電位を上回ったときのオペアンプ14dからの出力に応答して、ラッチ回路16はLOWを出力する。すなわち、オペアンプ14b、14dは、モータロック検出手段として機能する。
【0029】
また、過電流検出回路14において、ロック電流値(ロック電流閾値)は、ショート電流値(ショート電流閾値)よりも小さく設定されている。仮に、ロック電流閾値とショート電流閾値とが同じであり、過電流検出回路14が遅延回路14u)を備えないとした場合、モータ1aの起動時等に過渡的に生じる過大の起動電流を、短絡検出手段が短絡(ショート)の発生として検出してしまい、その結果、モータ1aを含む電流路Lを遮断することが起こりえる。そこで、ロック電流とショート電流とを区別するために、短絡(ショート)電流閾値とロック電流閾値との2つを別々に設けている。そして、短絡検出手段が起動電流等を短絡電流として検出することを防止するために、短絡(ショート)電流閾値をロック電流閾値よりも大きく設定している。
【0030】
また、本実施の形態では、短絡検出手段側には遅延回路14uを設けず、ロック検出手段側にのみ遅延回路14uを設けている。短絡検出手段側に遅延回路を設けていないのは、短絡電流は、ロック電流や起動電流よりも電流量が多いために、電流路L等の保護のため、速やかに電流路Lを開放して電流を遮断したいためである。
【0031】
電圧検出回路12は、電池セル部6aの電池電圧を検出し、検出した電池電圧をマイコン13に出力する。
【0032】
マイコン13は、電池セル部6aから定電圧回路11を経由した給電(基準電位Vs、例えば5V)によって動作可能となる。マイコン13は、電池種類判別抵抗6bにより、電池セルの種類及び電池パック6の構成を判別し、電池セルの種類及び電池パック6の構成に応じて、抵抗14t、14qの過電流検出回路14への電気的な接続の有無を設定する。電池パック6の電池電圧が18.0Vであれば、マイコン13は、抵抗14t、14qを過電流検出回路14に電気的に接続しない。
【0033】
一方、電池パック6の電池電圧が14.4Vであれば、抵抗14t、14qを過電流検出回路14に電気的に接続して、ショート電流値(閾値)及びロック電流値(閾値)を共に下げる。また、マイコン13は、FET10のスイッチング動作を制御して、電池パック6からの出力電流を制御する。なお、電池パック6の種類(定格電圧やセル種別)に応じて抵抗14t、14qのどちらか一方のみを対応する抵抗14s、14pのどちからに並列接続するようにしてもよい。更に、抵抗14s、14pと並列接続可能な抵抗を複数設ければ、電池ユニット4は、多くの種類の電池パック6に対応することができる。
【0034】
スイッチ回路15は、FET15a、15bを有し、マイコン13への給電を制御する。FET15aは、ソースが電池セル部6aの正極側に接続され、ドレインが定電圧回路11に接続され、ゲートが抵抗15dを介してFET15bのソースに接続されている。また、FET15aのソースとゲートとは、抵抗15cを介して接続されている。FET15bは、ドレインが基準電位Gに接続され、ゲートとドレインとの間には、抵抗15fとコンデンサ15gとが並列に接続されている。さらに、FET15bのゲートは、抵抗15eを介して信号端子T2に接続されるとともに、ラッチ回路16の出力端子に接続されている。
【0035】
次に、電池ユニット4による電動工具本体1への給電について説明する。
【0036】
電動工具本体1に、電池電圧が18Vの電池パック6を接続した電池ユニット4を接続すると、電動工具本体1の入力端子3a,3bと、電池ユニット4の出力端子5a,5bとがそれぞれ接続される。更に信号端子T2同士も接続される。電動工具100を使用するために、トリガスイッチ2をオンにする。トリガスイッチ2のオンにより、電池パック6の電池電圧が、電動工具本体1のトリガスイッチ2と抵抗15eとを経由してFET15bのゲートに印加され、FET15bがオンになり、さらにFET15aがオンになって、すなわちスイッチ回路15がオンになって、電池パック6の電池電圧がFET15aを介して定電圧回路11に供給される。定電圧回路11は、マイコン13の動作電圧(例えば5V)を出力して、マイコン13への給電を開始するので、マイコン13が起動される。
【0037】
マイコン13は、起動すると、信号端子Tを介して電池種類判別抵抗6bの抵抗値を読み取って、電池セル部6aの電池電圧及び電池セルの種類を判別する。判別した電池電圧及び電池セルの種類に応じて、マイコン13は、FET10にスイッチング動作を行わせて、モータ1aへの給電を開始すると共に、過電流検出回路14がモータ1aのロック及びショートを検出するモータロック電流値及びショート電流値をそれぞれ設定する。本実施の形態においては、例えば、電池電圧が18.0Vの場合は、マイコン13からの信号によって抵抗14t、14qを過電流検出回路14から電気的に切り離してモータロック電流値及びショート電流値をそれぞれ高めに設定する。また、電池電圧が18.0Vよりも低い14.4Vの場合は、マイコン13からの信号によって抵抗14t、14qを過電流検出回路14に電気的に接続、すなわち対応する抵抗14s、14pにそれぞれ並列接続して、モータロック電流値及びショート電流値を、それぞれ18Vの場合よりも低く設定する。また、本実施の形態において、モータ1aの定格電圧は12Vである。従って、マイコン13は、電池種類判別抵抗6bからの電池種情報(電池電圧、電池セル種)に基づいてFET10をスイッチング制御して電池電圧を12Vに降圧して出力する。
【0038】
また、モータ1aへ給電開始時には、起動電流としてロック電流とほぼ同じまたはそれを上回る電流量の出力電流が瞬間的に電流路Lを流れることがある。しかしながら、ロック電流の検出によりFET10をオフとするためは、遅延回路14uにより、ロックの状態が、ロックの発生から少なくとも第1の所定時間継続することが必要となっているため、起動電流がロック電流として検出されることによって、モータ1aへの電力供給が遮断されることを防いでいる。また、モータ1aの起動時のみではなく、モータ1aが駆動中に瞬間的に電流がロック電流閾値以上に上昇した場合にも、即座に電流路Lを遮断するのではなく、少なくとも所定期間の間ロックの発生の検出を遅延させる不感期間を設けている。それにより、構成部品等を破損する恐れの少ない過渡的な電流上昇を看過することができ、作業効率を向上することができる。
【0039】
一方、トリガスイッチ2のオンにより、FET10のスイッチング動作に応じた出力電流が、モータ1aを含む電流路Lに流れる。出力電流は、電流検出抵抗9によって連続的に検出される。過電流検出回路14は、電流検出抵抗9によって、電流路Lに流れる電流を検出する。また、マイコン13は、過電流検出回路14からの出力によりモータ1aのロック及び電流路Lのショートの発生を連続してモニタする。
【0040】
例えば、入力端子3a,3bまたは出力端子5a,5bが、なんらかの理由によりショートして、予め設定されたショート電流値(閾値)を越える過電流が電流路Lを流れた場合、この過電流は、過電流検出回路14によってショート電流として検出される。ショート電流が検出されると、直ちに、ラッチ回路16の出力は、HIGHからLOWに切り替わって、スイッチ回路15のFET15bはオフになり、次にFET15aがオフになる。従って、マイコン13への給電が強制的に遮断されるので、FET10は、強制的にオフとなって電流路Lは遮断され、出力電流は、ゼロ、すなわち電流が流れない状態になる。
【0041】
一方、モータ1aのロックが発生した場合、遅延回路14uのために、ラッチ回路16の出力をHIGHからLOWに切り替えるためには、少なくとも第1の所定期間を要する。従って、モータ1aのロック状態が少なくとも第1の所定期間継続した場合は、ラッチ回路16の出力がHIGHからLOWに切り替わり、ショートの場合と同様に、マイコン13への給電が強制的に遮断されて、FET10がオフとなって電流路Lは遮断され、出力電流はゼロになる。これに対し、モータ1aのロックが発生したが、第1の所定時間の経過前に、モータの1aのロックが解消すると、出力電流は、ロック電流値より減少する(ロック電流閾値より小さくなる)ので、ラッチ回路16の出力は、LOWに切り替わらずにHIGHを維持する。従って、FET10は、スイッチング動作を継続し、モータ1aへの給電を継続することができる。
【0042】
また、ショートやモータのロックのいずれも、オペアンプを用いてアナログ的に検出し、ラッチ回路16及びスイッチ回路15により強制的にマイコン13への給電を遮断することによって電流路Lを開放しているので、電流路Lの開放を速やかに行うことができる。すなわち、マイコン13の処理速度に依存せず電流路Lを遮断することができる。
【0043】
更に、電動工具100が過剰負荷状態になってモータ1aのロックが少なくとも所定時間に亘り継続した場合、または、電流路Lのショートが発生した場合に、確実にモータ1aを停止することができ、過負荷による電池パック6やモータ1a等の破損を抑制することができる。このように、過電流検出回路において、モータロックとショートとの発生をそれぞれ独立に検出しているため、確実に過負荷状態を検出することができる。
【0044】
また、上記電動工具100は、電池パック6の電池電圧に応じてロック電流及びショート電流のいずれも検出値(閾値)を変更することができるので、モータを含む電動工具や電池パックに含まれる電気部品を、ロックや短絡から効率良く保護することができる。さらに、電池ユニット4は、昇圧回路を設けていないので、噴霧器100を簡単に構成できる。
【0045】
さらに、上記実施の形態では、電池電圧の異なる複数種類の電池パックを選択的に噴霧器100に接続して、噴霧器100を使用することができる。また、接続された電池パックの電池電圧が異なる場合であっても、噴霧器100のモータ1aには、変換手段によって電池電圧が一定電圧に変換されて一定電圧の電力が供給されるので、噴霧器100の使用を安定したものにできる。
【0046】
なお、上記実施の形態では、過電流検出回路14を電池ユニット4の内部に設けたが、電動工具本体1の内部や電池パック6の内部に設けることもできる。また、抵抗14p、14sと並列に接続される抵抗を増やし、ロック電流及びショート電流の閾値を複数段階に変更できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 本体
1a モータ
4 電池ユニット
6 電池パック
6b 電池種類判別抵抗
13 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの電池電圧を変換して所望電圧の電力を出力する変換手段と、
前記電池電圧を検出する電池電圧検出手段と、
前記変換手段から出力される電力によって駆動されるモータと、
を有し、前記変換手段には、前記電池電圧が異なる複数種類の電池パックが選択的に電気的に接続可能であることを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
前記変換手段は、前記電池電圧に拘わらず一定電圧の電力を出力することを特徴とする請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
前記変換手段は、前記電池電圧を降圧して出力することを特徴とする請求項1及び2のいずれか一に記載の噴霧器。
【請求項4】
前記電池パックが着脱自在に装着される本体をさらに有し、
前記本体は、前記電池パックを覆うは蓋部を有し、
前記電池パックを覆った状態で前記電池パックの蓋部を前記本体に固定する固定機構をさらに有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一に記載の噴霧器。
【請求項5】
電池電圧が異なる複数の電池パックを選択的に接続可能な電池ユニットと、
前記電池ユニットからの給電出力により駆動されするモータと、
を備え、
前記電池ユニットは、前記電池電圧を所定の電圧に変換する変換手段を有し、
前記変換手段は、前記電池電圧にかかわらず一定の電圧を前記モータに供給するように動作することを特徴とする電動工具。
【請求項6】
前記変換手段は、前記モータと直列に接続されたスイッチング素子を含み、
前記スイッチング素子のスイッチング動作により前記電池電圧を降圧して出力することを特徴とする請求項5に記載の電動工具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−213690(P2012−213690A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79679(P2011−79679)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】