噴霧器用乱流発生部材
【課題】噴霧器の噴霧圧力を増大できる噴霧器用乱流発生部材を提供する。
【解決手段】本発明の噴霧器用乱流発生部材1は、各種噴霧器の内部に配置される。噴霧器用乱流発生部材1は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路113,114を有する本体11を含む。複数の液体通路113,114は、本体11の両端面を貫通する直線通路である。液体通路113,114により、噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、従来の流体を回転させるコアを有する噴霧器よりも噴霧圧力が増大される。
【解決手段】本発明の噴霧器用乱流発生部材1は、各種噴霧器の内部に配置される。噴霧器用乱流発生部材1は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路113,114を有する本体11を含む。複数の液体通路113,114は、本体11の両端面を貫通する直線通路である。液体通路113,114により、噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、従来の流体を回転させるコアを有する噴霧器よりも噴霧圧力が増大される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧器の部材に関し、特に、複数の直線の液体通路を有し、噴霧器の内部に配置されることにより、噴霧器の内部において複数の流れが混合され、噴霧器の噴霧圧力を増大することができる噴霧器用乱流発生部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノズルの種類は、扇形ノズル、充円錐ノズルおよび空円錐ノズルの三種類である。その中で、各種の扇形ノズルAは、全て、所定の角度を有する噴射口A1(図1を参照)を有する。扇形ノズルAの噴射口A1の角度を調整することにより、噴霧流量および噴霧角度を変化させることができる。充円錐ノズルBは、内部にコアB1が配置される。コアB1は、X形のコアまたは複数の孔を有する(multi−slotted)コアとすることができる(図2を参照)。この種のコアは、螺旋溝構造を有し、流体を回転させることにより、断面が充円形状の噴霧を行う。
【0003】
図3Aは、扇形ノズルAの正面の噴霧角度を示す模式図である。図3Bは、扇形ノズルAの側面の噴霧角度を示す模式図である。この中で、噴射された霧の側面には、縮流現象(Vena contracta effect)が発生することにより、長さが約50m/m〜70m/mのウォータカーテンが発生する(圧力および流量によって、形成されるウォータカーテンの長さは異なる。高圧洗浄器へ応用される場合、噴霧角度は、25度〜32度である。同時に、安定装置(stabilizer)が配置されることにより、ウォータカーテンの長さが増大され、これにより、洗浄効果が増強される)。その後、噴射された霧は、膨張するため、粉砕されて小さな水滴が発生する。膨張した部分では、噴霧角度が約10度〜15度の間となるが、有効な衝突力は、噴霧の中間部分に集中するため、有効な噴霧範囲は、略直線となる(一般に、工業において使用される場合、ノズルが配置される高さは、通常、100m/m〜180m/mである)。
【0004】
ある工業分野において、扇形ノズルまたは充円錐ノズルが使用されるが、両者の特徴は異なる。プリント基板(printed circuit)の製造工程において、エッチングは、回路を形成するステップの1つである。プリント基板は、現在、薄型化および線路の細化がなされている。水槽および配列されるローラによる制限の下で、扇形ノズルを使用することができる。図4Aおよび図4Bを参照する。図4Aおよび図4Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に扇形ノズルAが配置される。図4Aは、側面の噴霧範囲aを示し、図4Bは、扇形ノズルが形成した噴霧面積bを示す。エッチングの過程において、扇形ノズルを使用する長所は、(1)矩形に噴霧することができるため、水槽を使用するときのように、不均一にならない。(2)側面の噴霧範囲が狭いため、ローラによって遮蔽されることがなく、不均一にならない。しかし、欠点は、(1)薄板をエッチングするとき、衝突力が大きすぎるため、薄板が湾曲しやすい。(2)エッチングを行う機構は、物質移動(mass transfer)を行うため、扇形ノズルを使用する場合、噴霧しない時間が噴霧時間よりも大幅に長くなり、均一な濃度を維持するのが困難になる。即ち、エッチング速度を正確に制御することができず、過度にエッチングを行ってしまいやすい。
【0005】
扇形ノズルのほかに、充円錐ノズルBを使用することができる。図5Aおよび図5Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に充円錐ノズルBが配置される。図5Aは、側面の噴霧範囲cを示し、図5Bは、充円錐ノズルBが形成した噴霧面積dを示す。エッチングの過程において、充円錐ノズルBを使用する長所は、(1)噴霧面積が扇形ノズルの噴霧面積よりも大きいため、扇形ノズルよりも衝突力が弱く、薄板が湾曲しにくい。(2)噴霧時間が長くなるため、均一の濃度を維持しやすく、過度のエッチングを行うことが少ない。欠点は、(1)ノズルを配置する高さを下げる必要があり、そうしない場合、噴霧範囲が広くなりすぎてローラに噴霧することにより、ローラに遮蔽され、エッチングが不均一になる。このため、ノズルを配置する数を増加させる必要がある。(2)螺旋溝を有するコアにより、流体を回転させるため、有効な噴霧圧力が低減し、充円形に均一に噴霧するのが困難になる。そこで、図6Aに示すような噴霧範囲eを達成でき、図6Bに示すような矩形の噴霧面積fを達成できるノズルが求められていた。
【0006】
また、従来の矩形の噴霧を行う技術において、図7に示すように、扇形ノズルAの入口に、中間に孔を有するオリフィスプレート(orifice plate)Eが配置されるものが存在する。流体は、オリフィスを通過した後、流れが変更され、側面に噴霧角度を有する形状となることにより、矩形の扇形の噴霧を行う。しかし、この従来技術の欠点は、(1)流体がオリフィスを通過するとき、5%〜10%の圧力が損失し、衝突力が低減する。(2)流体がオリフィスを通過した後、その流れが徐々に回復するため、側面の衝突力が中間部分に集中し、均一に分布させることができない。
【0007】
また、他の従来技術において、オリフィスプレートEは、小さな角度(通常30度)が形成された充円錐ノズルB(図8を参照)に使用される。この充円錐ノズルBは、主に、食品工業における瓶の洗浄に使用される。この従来技術は、前述の扇形ノズルと同様に、流体がオリフィスを通過した後、5%〜10%の圧力が損失し、衝突力が低減するという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−13594
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来の扇形ノズルの欠点と、従来の螺旋溝を有するコアが配置された充円錐ノズルの欠点と、従来のオリフィスプレートが配置された扇形ノズルおよび充円錐ノズルに存在する圧力が損失することにより、衝突力が低減するという欠点と、を解決できる扇形ノズル、充円錐ノズルなどの噴霧器およびウォータージェット式噴霧器に配置される噴霧器用乱流発生部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、噴霧器用乱流発生部材を提供するものである。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、各種の噴霧器に配置することができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、本体を含む。本体は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を含む。液体通路は、基本的に、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する通孔、或いは、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する垂直溝または斜め溝である。これにより、噴霧器の内部で少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大する。
噴霧器は、一般に、矩形の噴霧を行うのに使用される扇形ノズル、充円錐ノズルまたはウォータージェット式噴霧器である。
【0011】
本発明は下記の特徴を有する。
(1)噴霧器の内部に配置され、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する本体を含み、前記複数の液体通路は、前記本体の両端面を貫通する直線通路であり、前記液体通路により、前記噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大されることを特徴とする噴霧器用乱流発生部材。
(2)前記液体通路は、2つの大きさの異なる円形、矩形または他の幾何学形状の通路であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(3)前記液体通路は、2つの形状の異なる通路であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(4)前記液体通路は、一方が前記本体の両端を縦方向に貫通する円形、矩形または他の幾何学形状の通路であり、他方が、前記本体の辺縁に等角度間隔に設けられ、前記本体を貫通する複数の切欠であることを特徴とする(3)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(5)前記切欠は、前記本体を縦方向に貫通する垂直切欠であることを特徴とする(4)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(6)前記切欠は、前記本体を斜め方向に貫通する斜め切欠であることを特徴とする(4)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(7)前記本体は、柱状であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(8)前記本体は、長板状であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(9)前記噴霧器は、矩形の噴霧を行う扇形ノズルであることを特徴とする(1)または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
(10)前記噴霧器は、充円錐ノズルであることを特徴とする(1)または(7)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(11)前記噴霧器は、ウォータージェット式噴霧器であることを特徴とする(1)または(8)記載の噴霧器用乱流発生部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴は、2種類以上の液体通路により、噴霧器の内部で、少なくとも2種類の流れが混合されることにある。総運動量バランス(overall momentum balance)を計算することにより、下流の圧力が増大することが分かる。複数の流れが同時に混合されることにより、本来の流線形の流れを変更することができ、流体力学における縮流現象(Vena contracta effect)の問題を解決することができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材が扇形ノズルに配置された場合、衝突力が増大すると共に、噴霧の側面角度が増加することにより、均一な矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材が角度の小さい充円錐ノズルに配置された場合、噴霧器用乱流発生部材の液体通路は、直線通路であり、流体を回転させる螺旋溝またはその他の湾曲溝がないため、従来のコアが配置された噴霧器のように圧力が損失することがない。従って、従来のコアが配置された噴霧器よりも衝突力が高く、重複しない充円形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材がウォータージェット式噴霧器に配置された場合も均一な矩形の噴霧を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の扇形ノズルを示す断面図である。
【図2】従来の充円錐ノズルを示す一部切開斜視図である。
【図3A】従来の扇形ノズルの正面の噴霧角度を示す模式図である。
【図3B】従来の扇形ノズルの側面の噴霧角度を示す模式図である。
【図4A】従来の扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図4B】従来の扇形ノズルの噴霧面積を示す模式図である。
【図5A】従来の充円錐ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図5B】従来の充円錐ノズルの噴霧面積を示す模式図である。
【図6A】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図6B】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧面積を示す模式図である。
【図7】従来のオリフィスプレートが配置された扇形ノズルを示す断面図である。
【図8】従来のオリフィスプレートが配置された充円錐ノズルを示す断面図である。
【図9A】本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図9B】本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図9C】本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図10A】扇形ノズルに本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す断面図である。
【図10B】充円錐ノズルに本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す断面図である。
【図10C】ウォータージェット式噴霧器に本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す斜視図である。
【図11A】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの正面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図11B】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当該技術を熟知する者が本発明を実施できるように、符号を記した図面を使用して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明の噴霧器用乱流発生部材は、噴霧器の内部に配置される。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する。複数の液体通路は、基本的に、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する通孔、或いは、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する垂直溝または斜め溝である。液体通路により、噴霧器の内部で、少なくとも2種類の流れが混合され、噴霧圧力が増大する。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、複数の実施形態が存在し、以下に好適な実施形態を示す。
【0016】
(第1実施形態)
図9Aは、本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1は、略円柱形である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1は、本体11を含む。本体11は、盤部111と、盤部111に垂直に設けられる軸部112と、から構成される。本体11の中央には、軸部112および盤部111を貫通する円形の液体通路113が縦方向に設けられる。また、盤部111の辺縁には、盤部111を軸向に貫通する液体通路114が等角度間隔に設けられる。各液体通路114の両端の深度は、同一であり、直線通路を形成する。しかし、液体通路113,114の大きさ、形状および数は、限定されない。例えば、液体通路113は、複数の大きさが異なり、対称に配置される多辺形通路(図示せず)とすることができる。また、液体通路114は、内部に陥没する弧形(図示せず)とすることができる。
【0017】
(第2実施形態)
図9Bは、本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1’の形状は、前述の実施形態と略同一である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1’は、盤部111’および軸部112’を有する本体11’を含む。また、軸部112’および盤部111’を縦方向に貫通する液体通路113’を有する。しかし、本実施形態では、盤部111’の辺縁に等間隔で設けられる各液体通路114’の一方の端部と他方の端部の深さが異なり、斜度を有する液体通路114’が形成される点が前述の第1実施形態と異なる。
【0018】
また、液体通路は、上述の実施形態に示す2種の異なる端面形状を有する液体通路以外に、噴霧器用乱流発生部材に、端面形状が同一であるが、大きさの異なる複数の直線の通孔が対称に設けられた液体通路(図示せず)とすることができる。これにより、2種類の異なる流れが形成される。
【0019】
(第3実施形態)
前述の略円柱形の噴霧器用乱流発生部材は、一般の矩形の噴射口を有する扇形ノズルの内部と、充円錐ノズルの内部と、に適用される。図9Cは、本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図であり、本実施形態による噴霧器用乱流発生部材は、ウォータージェット式噴霧器の内部に適用される。本実施形態による噴霧器用乱流発生部材2の本体21は、適当な厚さを有する。本体21の中央には、本体21を縦方向に貫通する液体通路22が等間隔に複数設けられる。本体21の両辺には、鋸歯状の辺縁が対称に形成され、鋸歯状の辺縁の切欠部には、直線の液体通路23が形成される。液体通路22,23の形状、大きさおよび数は、限定されない。例えば、液体通路22は、一方の端面と他方の端面の大きさが異なる錐形の通路(図示せず)とすることができる。また、液体通路23は、一方の端面と他方の端面の切欠の深さが異なり、斜度を有する液体通路(図示せず)とすることができる。
【0020】
本発明の噴霧器用乱流発生部材を噴霧器に配置した状態を図10A、図10Bおよび図10Cに示す。前述の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材1および第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材1’は、何れも、扇形ノズルまたは充円錐ノズルの内部に適用される。図10Aは、第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材1を扇形ノズル3の内部に配置した状態を示す断面図である。図10Bは、第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材1’を充円錐ノズル4の内部に配置した状態を示す断面図である。図10Cは、第3実施形態による板状の噴霧器用乱流発生部材2をウォータージェット式噴霧器5の内部に配置した状態を示す斜視図である。しかし、本発明の噴霧器用乱流発生部材が適用される噴霧器の種類は、限定されない。噴霧器用乱流発生部材の好適な配置位置は、噴霧器のキャビティ内の噴射口に近い位置であるが、噴射口との間には、間隔が保持される。図10Aの状態を例に挙げて説明すると、高圧液体が噴霧器のキャビティに充満したとき、一部の液体は、液体通路111を通過し、他の一部の液体は、液体通路114を通過する。これにより、2種類(本発明では少なくとも2種類)の流れが形成される。2種類の流れは、噴霧器用乱流発生部材1と噴射口31との隙間において混合されることにより、高圧で噴射される。
【0021】
図6A、図6B、図11Aおよび図11Bを参照する。図6Aおよび図6Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に、本発明の噴霧器用乱流発生部材を有する扇形ノズル3が配置される。図6Aは、側面の噴霧範囲eを示し、図6Bは、扇形ノズルが形成した噴霧面積fを示す。図11Aは、扇形ノズルの正面の噴霧範囲を示す模式図である。図11Bは、扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【0022】
扇形ノズル3の内部には、噴霧器用乱流発生部材(図示せず)が配置されるため、噴霧器用乱流発生部材により、2種類以上の液体通路に発生する2種類以上の流れが混合される。これにより、本来(噴霧器用乱流発生部材が配置されないとき)、流線形に流れる扇形ノズル3のキャビティの内部の液体が乱流する。また、液体が液体通路を通過するとき、従来のオリフィスプレートが配置されたノズルのように圧力が低減することがない。スプレーパターンの正面の形状は、広角の扇形であり、側面の形状は、扇形ノズル3の噴射口部分に約30度の噴霧角度が形成される。側面角度は、必要に応じて設計することができ、従来の噴霧器用乱流発生部材が配置されない扇形ノズルのように、縮流現象が発生することがない。噴霧範囲が増大されるため、拡大された矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材の液体通路は、直線の通路であり、流体を回転させる螺旋溝または他の湾曲溝を有さないため、従来のコアを有する噴霧器のように、圧力が低減することがない。従って、総運動量バランス計算から分かるように、衝突力を増大することができる。従って、噴霧範囲がエッチング設備の2つのローラの間になるように、噴霧器の高さが限定されても、強力な衝突力を有し、エッチングの均一性が影響を受けることがない。また、生成される衝突力は、均一であるため、エッチングされる板面が湾曲することがない。
【0023】
瓶の洗浄によく使用される充円錐ノズルに、本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置した場合、強力な衝突力を発生させることができる。ノズルの噴射口に、約30度の噴霧角度が形成され、瓶内部および瓶底を確実に洗浄することができる(噴霧器用乱流発生部材が配置されない従来の充円錐ノズルが形成する直線の噴霧では、瓶底しか洗浄できない)。30度未満の噴射口(従来は、通常30度)を有するノズルに、本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置することにより、同様の噴霧効果を達成することができる。
【0024】
ウォータージェット式噴霧器に本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置した場合、図6Bに示すような均一で重複しない矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、流体が流動することによって重量の伝達が不均一になる現象を完全に解決できるため、様々な工業への応用に有益である。
【0025】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態を示したものであり、本発明を限定するものではない。従って、本発明の主旨を逸脱しない範囲における修飾または変更は、全て、本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1 噴霧器用乱流発生部材
11 本体
111 盤部
112 軸部
113 液体通路
114 液体通路
1’ 噴霧器用乱流発生部材
11’ 本体
111’ 盤部
112’ 軸部
113’ 液体通路
114’ 液体通路
2 噴霧器用乱流発生部材
21 本体
22 液体通路
23 液体通路
3 扇形ノズル
31 噴射口
4 充円錐ノズル
5 ウォータージェット式噴霧器
A 扇形ノズル
A1 噴射口
B 充円錐ノズル
B1 コア
C プリント基板
D1 後列ローラ
D2 前列ローラ
E オリフィスプレート
a 側面噴霧範囲
b 噴霧面積
c 側面噴霧範囲
d 噴霧面積
e 側面噴霧範囲
f 噴霧面積
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧器の部材に関し、特に、複数の直線の液体通路を有し、噴霧器の内部に配置されることにより、噴霧器の内部において複数の流れが混合され、噴霧器の噴霧圧力を増大することができる噴霧器用乱流発生部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ノズルの種類は、扇形ノズル、充円錐ノズルおよび空円錐ノズルの三種類である。その中で、各種の扇形ノズルAは、全て、所定の角度を有する噴射口A1(図1を参照)を有する。扇形ノズルAの噴射口A1の角度を調整することにより、噴霧流量および噴霧角度を変化させることができる。充円錐ノズルBは、内部にコアB1が配置される。コアB1は、X形のコアまたは複数の孔を有する(multi−slotted)コアとすることができる(図2を参照)。この種のコアは、螺旋溝構造を有し、流体を回転させることにより、断面が充円形状の噴霧を行う。
【0003】
図3Aは、扇形ノズルAの正面の噴霧角度を示す模式図である。図3Bは、扇形ノズルAの側面の噴霧角度を示す模式図である。この中で、噴射された霧の側面には、縮流現象(Vena contracta effect)が発生することにより、長さが約50m/m〜70m/mのウォータカーテンが発生する(圧力および流量によって、形成されるウォータカーテンの長さは異なる。高圧洗浄器へ応用される場合、噴霧角度は、25度〜32度である。同時に、安定装置(stabilizer)が配置されることにより、ウォータカーテンの長さが増大され、これにより、洗浄効果が増強される)。その後、噴射された霧は、膨張するため、粉砕されて小さな水滴が発生する。膨張した部分では、噴霧角度が約10度〜15度の間となるが、有効な衝突力は、噴霧の中間部分に集中するため、有効な噴霧範囲は、略直線となる(一般に、工業において使用される場合、ノズルが配置される高さは、通常、100m/m〜180m/mである)。
【0004】
ある工業分野において、扇形ノズルまたは充円錐ノズルが使用されるが、両者の特徴は異なる。プリント基板(printed circuit)の製造工程において、エッチングは、回路を形成するステップの1つである。プリント基板は、現在、薄型化および線路の細化がなされている。水槽および配列されるローラによる制限の下で、扇形ノズルを使用することができる。図4Aおよび図4Bを参照する。図4Aおよび図4Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に扇形ノズルAが配置される。図4Aは、側面の噴霧範囲aを示し、図4Bは、扇形ノズルが形成した噴霧面積bを示す。エッチングの過程において、扇形ノズルを使用する長所は、(1)矩形に噴霧することができるため、水槽を使用するときのように、不均一にならない。(2)側面の噴霧範囲が狭いため、ローラによって遮蔽されることがなく、不均一にならない。しかし、欠点は、(1)薄板をエッチングするとき、衝突力が大きすぎるため、薄板が湾曲しやすい。(2)エッチングを行う機構は、物質移動(mass transfer)を行うため、扇形ノズルを使用する場合、噴霧しない時間が噴霧時間よりも大幅に長くなり、均一な濃度を維持するのが困難になる。即ち、エッチング速度を正確に制御することができず、過度にエッチングを行ってしまいやすい。
【0005】
扇形ノズルのほかに、充円錐ノズルBを使用することができる。図5Aおよび図5Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に充円錐ノズルBが配置される。図5Aは、側面の噴霧範囲cを示し、図5Bは、充円錐ノズルBが形成した噴霧面積dを示す。エッチングの過程において、充円錐ノズルBを使用する長所は、(1)噴霧面積が扇形ノズルの噴霧面積よりも大きいため、扇形ノズルよりも衝突力が弱く、薄板が湾曲しにくい。(2)噴霧時間が長くなるため、均一の濃度を維持しやすく、過度のエッチングを行うことが少ない。欠点は、(1)ノズルを配置する高さを下げる必要があり、そうしない場合、噴霧範囲が広くなりすぎてローラに噴霧することにより、ローラに遮蔽され、エッチングが不均一になる。このため、ノズルを配置する数を増加させる必要がある。(2)螺旋溝を有するコアにより、流体を回転させるため、有効な噴霧圧力が低減し、充円形に均一に噴霧するのが困難になる。そこで、図6Aに示すような噴霧範囲eを達成でき、図6Bに示すような矩形の噴霧面積fを達成できるノズルが求められていた。
【0006】
また、従来の矩形の噴霧を行う技術において、図7に示すように、扇形ノズルAの入口に、中間に孔を有するオリフィスプレート(orifice plate)Eが配置されるものが存在する。流体は、オリフィスを通過した後、流れが変更され、側面に噴霧角度を有する形状となることにより、矩形の扇形の噴霧を行う。しかし、この従来技術の欠点は、(1)流体がオリフィスを通過するとき、5%〜10%の圧力が損失し、衝突力が低減する。(2)流体がオリフィスを通過した後、その流れが徐々に回復するため、側面の衝突力が中間部分に集中し、均一に分布させることができない。
【0007】
また、他の従来技術において、オリフィスプレートEは、小さな角度(通常30度)が形成された充円錐ノズルB(図8を参照)に使用される。この充円錐ノズルBは、主に、食品工業における瓶の洗浄に使用される。この従来技術は、前述の扇形ノズルと同様に、流体がオリフィスを通過した後、5%〜10%の圧力が損失し、衝突力が低減するという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−13594
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、従来の扇形ノズルの欠点と、従来の螺旋溝を有するコアが配置された充円錐ノズルの欠点と、従来のオリフィスプレートが配置された扇形ノズルおよび充円錐ノズルに存在する圧力が損失することにより、衝突力が低減するという欠点と、を解決できる扇形ノズル、充円錐ノズルなどの噴霧器およびウォータージェット式噴霧器に配置される噴霧器用乱流発生部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するため、本発明は、噴霧器用乱流発生部材を提供するものである。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、各種の噴霧器に配置することができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、本体を含む。本体は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を含む。液体通路は、基本的に、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する通孔、或いは、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する垂直溝または斜め溝である。これにより、噴霧器の内部で少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大する。
噴霧器は、一般に、矩形の噴霧を行うのに使用される扇形ノズル、充円錐ノズルまたはウォータージェット式噴霧器である。
【0011】
本発明は下記の特徴を有する。
(1)噴霧器の内部に配置され、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する本体を含み、前記複数の液体通路は、前記本体の両端面を貫通する直線通路であり、前記液体通路により、前記噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大されることを特徴とする噴霧器用乱流発生部材。
(2)前記液体通路は、2つの大きさの異なる円形、矩形または他の幾何学形状の通路であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(3)前記液体通路は、2つの形状の異なる通路であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(4)前記液体通路は、一方が前記本体の両端を縦方向に貫通する円形、矩形または他の幾何学形状の通路であり、他方が、前記本体の辺縁に等角度間隔に設けられ、前記本体を貫通する複数の切欠であることを特徴とする(3)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(5)前記切欠は、前記本体を縦方向に貫通する垂直切欠であることを特徴とする(4)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(6)前記切欠は、前記本体を斜め方向に貫通する斜め切欠であることを特徴とする(4)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(7)前記本体は、柱状であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(8)前記本体は、長板状であることを特徴とする(1)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(9)前記噴霧器は、矩形の噴霧を行う扇形ノズルであることを特徴とする(1)または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
(10)前記噴霧器は、充円錐ノズルであることを特徴とする(1)または(7)記載の噴霧器用乱流発生部材。
(11)前記噴霧器は、ウォータージェット式噴霧器であることを特徴とする(1)または(8)記載の噴霧器用乱流発生部材。
【発明の効果】
【0012】
本発明の特徴は、2種類以上の液体通路により、噴霧器の内部で、少なくとも2種類の流れが混合されることにある。総運動量バランス(overall momentum balance)を計算することにより、下流の圧力が増大することが分かる。複数の流れが同時に混合されることにより、本来の流線形の流れを変更することができ、流体力学における縮流現象(Vena contracta effect)の問題を解決することができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材が扇形ノズルに配置された場合、衝突力が増大すると共に、噴霧の側面角度が増加することにより、均一な矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材が角度の小さい充円錐ノズルに配置された場合、噴霧器用乱流発生部材の液体通路は、直線通路であり、流体を回転させる螺旋溝またはその他の湾曲溝がないため、従来のコアが配置された噴霧器のように圧力が損失することがない。従って、従来のコアが配置された噴霧器よりも衝突力が高く、重複しない充円形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材がウォータージェット式噴霧器に配置された場合も均一な矩形の噴霧を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の扇形ノズルを示す断面図である。
【図2】従来の充円錐ノズルを示す一部切開斜視図である。
【図3A】従来の扇形ノズルの正面の噴霧角度を示す模式図である。
【図3B】従来の扇形ノズルの側面の噴霧角度を示す模式図である。
【図4A】従来の扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図4B】従来の扇形ノズルの噴霧面積を示す模式図である。
【図5A】従来の充円錐ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図5B】従来の充円錐ノズルの噴霧面積を示す模式図である。
【図6A】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図6B】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧面積を示す模式図である。
【図7】従来のオリフィスプレートが配置された扇形ノズルを示す断面図である。
【図8】従来のオリフィスプレートが配置された充円錐ノズルを示す断面図である。
【図9A】本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図9B】本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図9C】本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。
【図10A】扇形ノズルに本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す断面図である。
【図10B】充円錐ノズルに本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す断面図である。
【図10C】ウォータージェット式噴霧器に本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材が配置された状態を示す斜視図である。
【図11A】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの正面の噴霧範囲を示す模式図である。
【図11B】本発明の噴霧器用乱流発生部材が配置された扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
当該技術を熟知する者が本発明を実施できるように、符号を記した図面を使用して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0015】
本発明の噴霧器用乱流発生部材は、噴霧器の内部に配置される。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する。複数の液体通路は、基本的に、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する通孔、或いは、噴霧器用乱流発生部材を縦方向に貫通する垂直溝または斜め溝である。液体通路により、噴霧器の内部で、少なくとも2種類の流れが混合され、噴霧圧力が増大する。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、複数の実施形態が存在し、以下に好適な実施形態を示す。
【0016】
(第1実施形態)
図9Aは、本発明の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1は、略円柱形である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1は、本体11を含む。本体11は、盤部111と、盤部111に垂直に設けられる軸部112と、から構成される。本体11の中央には、軸部112および盤部111を貫通する円形の液体通路113が縦方向に設けられる。また、盤部111の辺縁には、盤部111を軸向に貫通する液体通路114が等角度間隔に設けられる。各液体通路114の両端の深度は、同一であり、直線通路を形成する。しかし、液体通路113,114の大きさ、形状および数は、限定されない。例えば、液体通路113は、複数の大きさが異なり、対称に配置される多辺形通路(図示せず)とすることができる。また、液体通路114は、内部に陥没する弧形(図示せず)とすることができる。
【0017】
(第2実施形態)
図9Bは、本発明の第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1’の形状は、前述の実施形態と略同一である。本実施形態の噴霧器用乱流発生部材1’は、盤部111’および軸部112’を有する本体11’を含む。また、軸部112’および盤部111’を縦方向に貫通する液体通路113’を有する。しかし、本実施形態では、盤部111’の辺縁に等間隔で設けられる各液体通路114’の一方の端部と他方の端部の深さが異なり、斜度を有する液体通路114’が形成される点が前述の第1実施形態と異なる。
【0018】
また、液体通路は、上述の実施形態に示す2種の異なる端面形状を有する液体通路以外に、噴霧器用乱流発生部材に、端面形状が同一であるが、大きさの異なる複数の直線の通孔が対称に設けられた液体通路(図示せず)とすることができる。これにより、2種類の異なる流れが形成される。
【0019】
(第3実施形態)
前述の略円柱形の噴霧器用乱流発生部材は、一般の矩形の噴射口を有する扇形ノズルの内部と、充円錐ノズルの内部と、に適用される。図9Cは、本発明の第3実施形態による噴霧器用乱流発生部材を示す斜視図であり、本実施形態による噴霧器用乱流発生部材は、ウォータージェット式噴霧器の内部に適用される。本実施形態による噴霧器用乱流発生部材2の本体21は、適当な厚さを有する。本体21の中央には、本体21を縦方向に貫通する液体通路22が等間隔に複数設けられる。本体21の両辺には、鋸歯状の辺縁が対称に形成され、鋸歯状の辺縁の切欠部には、直線の液体通路23が形成される。液体通路22,23の形状、大きさおよび数は、限定されない。例えば、液体通路22は、一方の端面と他方の端面の大きさが異なる錐形の通路(図示せず)とすることができる。また、液体通路23は、一方の端面と他方の端面の切欠の深さが異なり、斜度を有する液体通路(図示せず)とすることができる。
【0020】
本発明の噴霧器用乱流発生部材を噴霧器に配置した状態を図10A、図10Bおよび図10Cに示す。前述の第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材1および第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材1’は、何れも、扇形ノズルまたは充円錐ノズルの内部に適用される。図10Aは、第1実施形態による噴霧器用乱流発生部材1を扇形ノズル3の内部に配置した状態を示す断面図である。図10Bは、第2実施形態による噴霧器用乱流発生部材1’を充円錐ノズル4の内部に配置した状態を示す断面図である。図10Cは、第3実施形態による板状の噴霧器用乱流発生部材2をウォータージェット式噴霧器5の内部に配置した状態を示す斜視図である。しかし、本発明の噴霧器用乱流発生部材が適用される噴霧器の種類は、限定されない。噴霧器用乱流発生部材の好適な配置位置は、噴霧器のキャビティ内の噴射口に近い位置であるが、噴射口との間には、間隔が保持される。図10Aの状態を例に挙げて説明すると、高圧液体が噴霧器のキャビティに充満したとき、一部の液体は、液体通路111を通過し、他の一部の液体は、液体通路114を通過する。これにより、2種類(本発明では少なくとも2種類)の流れが形成される。2種類の流れは、噴霧器用乱流発生部材1と噴射口31との隙間において混合されることにより、高圧で噴射される。
【0021】
図6A、図6B、図11Aおよび図11Bを参照する。図6Aおよび図6Bは、プリント基板Cが前列ローラD2と後列ローラD1との間に挟まれた状態を示す模式図である。互いに対応する前列ローラD2と後列ローラD1との間に、本発明の噴霧器用乱流発生部材を有する扇形ノズル3が配置される。図6Aは、側面の噴霧範囲eを示し、図6Bは、扇形ノズルが形成した噴霧面積fを示す。図11Aは、扇形ノズルの正面の噴霧範囲を示す模式図である。図11Bは、扇形ノズルの側面の噴霧範囲を示す模式図である。
【0022】
扇形ノズル3の内部には、噴霧器用乱流発生部材(図示せず)が配置されるため、噴霧器用乱流発生部材により、2種類以上の液体通路に発生する2種類以上の流れが混合される。これにより、本来(噴霧器用乱流発生部材が配置されないとき)、流線形に流れる扇形ノズル3のキャビティの内部の液体が乱流する。また、液体が液体通路を通過するとき、従来のオリフィスプレートが配置されたノズルのように圧力が低減することがない。スプレーパターンの正面の形状は、広角の扇形であり、側面の形状は、扇形ノズル3の噴射口部分に約30度の噴霧角度が形成される。側面角度は、必要に応じて設計することができ、従来の噴霧器用乱流発生部材が配置されない扇形ノズルのように、縮流現象が発生することがない。噴霧範囲が増大されるため、拡大された矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材の液体通路は、直線の通路であり、流体を回転させる螺旋溝または他の湾曲溝を有さないため、従来のコアを有する噴霧器のように、圧力が低減することがない。従って、総運動量バランス計算から分かるように、衝突力を増大することができる。従って、噴霧範囲がエッチング設備の2つのローラの間になるように、噴霧器の高さが限定されても、強力な衝突力を有し、エッチングの均一性が影響を受けることがない。また、生成される衝突力は、均一であるため、エッチングされる板面が湾曲することがない。
【0023】
瓶の洗浄によく使用される充円錐ノズルに、本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置した場合、強力な衝突力を発生させることができる。ノズルの噴射口に、約30度の噴霧角度が形成され、瓶内部および瓶底を確実に洗浄することができる(噴霧器用乱流発生部材が配置されない従来の充円錐ノズルが形成する直線の噴霧では、瓶底しか洗浄できない)。30度未満の噴射口(従来は、通常30度)を有するノズルに、本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置することにより、同様の噴霧効果を達成することができる。
【0024】
ウォータージェット式噴霧器に本発明の噴霧器用乱流発生部材を配置した場合、図6Bに示すような均一で重複しない矩形の噴霧を行うことができる。本発明の噴霧器用乱流発生部材は、流体が流動することによって重量の伝達が不均一になる現象を完全に解決できるため、様々な工業への応用に有益である。
【0025】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態を示したものであり、本発明を限定するものではない。従って、本発明の主旨を逸脱しない範囲における修飾または変更は、全て、本発明の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0026】
1 噴霧器用乱流発生部材
11 本体
111 盤部
112 軸部
113 液体通路
114 液体通路
1’ 噴霧器用乱流発生部材
11’ 本体
111’ 盤部
112’ 軸部
113’ 液体通路
114’ 液体通路
2 噴霧器用乱流発生部材
21 本体
22 液体通路
23 液体通路
3 扇形ノズル
31 噴射口
4 充円錐ノズル
5 ウォータージェット式噴霧器
A 扇形ノズル
A1 噴射口
B 充円錐ノズル
B1 コア
C プリント基板
D1 後列ローラ
D2 前列ローラ
E オリフィスプレート
a 側面噴霧範囲
b 噴霧面積
c 側面噴霧範囲
d 噴霧面積
e 側面噴霧範囲
f 噴霧面積
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧器の内部に配置され、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する本体を含み、前記複数の液体通路は、前記本体の両端面を貫通する直線通路であり、前記液体通路により、前記噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大されることを特徴とする噴霧器用乱流発生部材。
【請求項2】
前記液体通路は、2つの大きさの異なる円形、矩形または他の幾何学形状の通路であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項3】
前記液体通路は、2つの形状の異なる通路であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項4】
前記液体通路は、一方が前記本体の両端を縦方向に貫通する円形、矩形または他の幾何学形状の通路であり、他方が、前記本体の辺縁に等角度間隔に設けられ、前記本体を貫通する複数の切欠であることを特徴とする請求項3記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項5】
前記切欠は、前記本体を縦方向に貫通する垂直切欠であることを特徴とする請求項4記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項6】
前記切欠は、前記本体を斜め方向に貫通する斜め切欠であることを特徴とする請求項4記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項7】
前記本体は、柱状であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項8】
前記本体は、長板状であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項9】
前記噴霧器は、矩形の噴霧を行う扇形ノズルであることを特徴とする請求項1または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項10】
前記噴霧器は、充円錐ノズルであることを特徴とする請求項1または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項11】
前記噴霧器は、ウォータージェット式噴霧器であることを特徴とする請求項1または8記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項1】
噴霧器の内部に配置され、少なくとも2種類の形状または大きさの異なる液体通路を有する本体を含み、前記複数の液体通路は、前記本体の両端面を貫通する直線通路であり、前記液体通路により、前記噴霧器の内部において、少なくとも2種類の流れ(multi−streams)が混合されることにより、噴霧圧力が増大されることを特徴とする噴霧器用乱流発生部材。
【請求項2】
前記液体通路は、2つの大きさの異なる円形、矩形または他の幾何学形状の通路であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項3】
前記液体通路は、2つの形状の異なる通路であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項4】
前記液体通路は、一方が前記本体の両端を縦方向に貫通する円形、矩形または他の幾何学形状の通路であり、他方が、前記本体の辺縁に等角度間隔に設けられ、前記本体を貫通する複数の切欠であることを特徴とする請求項3記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項5】
前記切欠は、前記本体を縦方向に貫通する垂直切欠であることを特徴とする請求項4記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項6】
前記切欠は、前記本体を斜め方向に貫通する斜め切欠であることを特徴とする請求項4記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項7】
前記本体は、柱状であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項8】
前記本体は、長板状であることを特徴とする請求項1記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項9】
前記噴霧器は、矩形の噴霧を行う扇形ノズルであることを特徴とする請求項1または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項10】
前記噴霧器は、充円錐ノズルであることを特徴とする請求項1または7記載の噴霧器用乱流発生部材。
【請求項11】
前記噴霧器は、ウォータージェット式噴霧器であることを特徴とする請求項1または8記載の噴霧器用乱流発生部材。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2011−88046(P2011−88046A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241953(P2009−241953)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(508276246)和旺昌噴霧股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【出願人】(508276246)和旺昌噴霧股▲ふん▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】
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