説明

噴霧器

【課題】
充電不能な一次バッテリと、充電可能な二次バッテリを任意に選択して使用することができる噴霧器を提供する。
【解決手段】
液体タンク2と、モータと、モータによって駆動され液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、ポンプの排出口に接続されるノズル部50と、モータとポンプを収容するハウジング10と、ハウジング10に着脱可能に接続される電池ボックス(20)を有する噴霧器であって、電池ボックスとして、一次電池を収容する一次電池ボックスと、二次電池を収容する二次電池ボックス20を選択して装着可能とした。液体タンク2はハウジング10の下部に取り付けられ、ハウジング10の上部には作業者が片手で把持するための把持部11が設けられ、電池ボックス20は、上下方向に見て液体タンク2と把持部11の間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者から肩から下げて使用することができ、バッテリを動力源とする小型の噴霧器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から薬剤を霧状にして農作物や樹木等に散布する噴霧器が用いられている。噴霧器の動力としては、内燃機関を用いるもの、電気モータを用いるもの、手動ポンプを用いた蓄圧式のもの等が知られている。近年、取り扱いの容易さからバッテリを用いて駆動する電動噴霧器が広く用いられるようになってきた。電動噴霧器は、モータと薬剤圧送用のポンプと、モータに電力を供給するためのバッテリと薬剤タンクを有し、作業者が背負って又は肩から下げて、或いは、片手で持ちながら使用できるように構成される。このようなバッテリを動力源とする小型の噴霧器として、特許文献1の噴霧器が知られている。
【0003】
特許文献1の噴霧器は、モータの出力軸に薬剤圧送用のポンプの駆動軸が連結され、ポンプの吸込口は薬剤タンクに連通し、ポンプの吐出口は安全弁、ホースを介して噴霧竿の噴霧ノズルに接続される。特許文献1では、モータの電源にバッテリが用いられ、モータの駆動をオン、オフ制御するモータ制御回路が接続される。モータ制御回路には、外部操作により多段階の各位置から自在に位置を選び、その位置に対応する抵抗選択が可能な外部操作スイッチ付き可変抵抗器を有する多段階出力電圧調整回路を備え、そのスイッチ操作により選択した多段階出力電圧調整回路の出力電圧に基づいて、モータの駆動をオン、オフ制御するように構成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−181337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、薬液圧力の多段階コントロールは使用者がロータリースイッチの外付けつまみを回転させて選択できる。しかしながら、薬液圧力の多段階コントロールを行うためのモータ制御回路は噴霧器本体に設けられている。また、モータの動力源となるバッテリを着脱式に構成することについては何ら考慮されていなかった。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、充電不能な一次バッテリと、充電可能な二次バッテリを任意に選択して使用することができる噴霧器を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、噴霧量を調整可能にすることにより、状況に応じた噴霧作業ができるようにした噴霧器を提供することにある。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、噴霧量を調整可能にする制御回路をバッテリと共に交換可能にした噴霧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
【0010】
本発明の一つの特徴によれば、液体タンクと、モータと、モータによって駆動され液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、ポンプの排出口に接続されるノズル部と、モータとポンプを収容するハウジングと、ハウジングに着脱可能に接続される電池ボックスを有する噴霧器であって、電池ボックスとして、一次電池を収容する一次電池ボックスと、二次電池を収容する二次電池ボックスを選択して装着可能とした。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、ハウジングに、電池ボックスを挿入するための開口部を設け、電池ボックスは、開口部から挿入されるように構成した。開口部はハウジングの側面に設けられ、電池ボックスは開口部から横方向に挿入され、電池ボックスの取り付け時に、電池ボックスの一部の面がハウジングの開口部に位置することにより、ハウジングの外郭の一部を形成するようにした。ハウジングには、電池ボックスの装着をロックするロック機構が設けた。液体タンクはハウジングの下部に取り付けられ、ハウジングの上部には作業者が片手で把持するための把持部が設けられ、電池ボックスは上下方向に見て液体タンクと把持部の間に配置される。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、一次電池ボックスは直列に複数本連結した円筒形乾電池の組を並列本配置可能に構成し、二次電池ボックスは一次電池ボックスと同一の長さ及び幅サイズを有するように構成した。二次電池ボックスにはバッテリパックが着脱可能であり、バッテリパックの二次電池ボックスへの装着方向は、開口部から挿入される方向に対して垂直方向とした。一次電池ボックスは電池の合計電圧をモータへ直接供給し、二次電池ボックスは電圧調整回路を介して降圧された電圧をモータへ供給するように構成した。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ハウジングに着脱可能に接続される電池ボックスを有する噴霧器において、電池ボックスとして、一次電池を収容する一次電池ボックスと、二次電池を収容する二次電池ボックスを選択して装着可能としたので、乾電池等の一次電池に加えてバッテリパック等の二次電池を使用することができる。
【0014】
請求項2の発明によれば、噴霧器は、電池ボックスから供給される電力量によってモータの回転数の制御が可能であり、電力量を制御する電圧調整回路が電池ボックスに搭載されるので、噴霧量を細かく調整することができる。さらに、電池ボックス側に電圧調整回路を設けたので、噴霧器の本体側には調整手段を設ける必要がなく、本体側の構成を簡便にすることができ、信頼性の向上を図ることができる
【0015】
請求項3の発明によれば、ハウジングに電池ボックスを挿入するための開口部を設け、電池ボックスは開口部から挿入されるので、噴霧器に形成された開口部から容易にバッテリボックスを取り付けたり取り外したりすることができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、開口部はハウジングの側面に設けられ、電池ボックスは開口部から横方向に挿入される。また、電池ボックスの取り付け時に電池ボックスの一部の面がハウジングの開口部に位置することにより、ハウジングの外郭の一部を形成するので、すっきりとして美しいハウジング形状を実現できる。
【0017】
請求項5の発明によれば、ハウジングには、電池ボックスの装着をロックするロック機構が設けられるので、作業中や移動中に噴霧器から電池ボックスが脱落してしまう恐れを防止することができる。
【0018】
請求項6の発明によれば、一次電池ボックスは直列に複数本連結した円筒形乾電池の組を並列本配置可能に構成し、二次電池ボックスは一次電池ボックスと同一の長さ及び幅サイズを有するので、乾電池でもバッテリパックでもいずれも装着できる電池ボックスのサイズを実現できる。
【0019】
請求項7の発明によれば、二次電池ボックスにはバッテリパックが着脱可能であり、バッテリパックの装着方向は、開口部から挿入される方向に対して垂直方向であるので、電池ボックスの装着中に電池ボックスからバッテリパックが脱落することが無い。また、バッテリパックの二次電池ボックスへの装着状態が不完全の場合、二次電池ボックスからバッテリパックが飛び出した状態の場合は、二次電池ボックスを噴霧器に装着することができないように構成することができ、不完全な取り付け状態のまま噴霧器の運転を開始することを防止できる。
【0020】
請求項8の発明によれば、一次電池ボックスは電池の合計電圧をモータへ直接供給し、二次電池ボックスは電圧調整回路を介して降圧された電圧をモータへ供給するので、様々な種類や電圧の電池に対応する電池ボックスをそれぞれ準備できるので、例えば電動工具において広く用いられるバッテリパックを用いて噴霧器を動作させることができる。
【0021】
請求項9の発明によれば、上下方向に見て液体タンクと把持部の間に電池ボックスが配置されるので、比較的重い電池ボックスをハウジングの中央付近に配置でき重量バランスが良く、使い勝手の良い噴霧器を実現できる。
【0022】
請求項10の発明によれば、噴霧器の電源として、一次電池及び二次電池を使用することができるので、どちらの電源によっても噴霧器を使うことができ、電源を選ばずに使いやすい噴霧器を実現できる。
【0023】
請求項11の発明によれば、一次電池ボックス又は二次電池ボックスのハウジングからの固定を解除可能な操作部が設けられるので、一次電池ボックス及び二次電池ボックス側に操作部材を設ける必要がない。このため、一次電池ボックス及び二次電池ボックスを安価に実現できると共に電池ボックスの耐久性を向上させることができる。
【0024】
請求項12の発明によれば、ハウジングには二次電池ボックスが横方向へ移動することによって固定され、二次電池は上下方向への移動することによって二次電池ボックスに固定されるので、二次電池がハウジングから不意に外れることが少なくなる。
【0025】
請求項13の発明によれば、二次電池ボックスには電池の残量を示すバッテリチェッカが設けられるので、二次電池の残量を作業者が容易に把握することができる。このため使いやすい噴霧器とすることができる。
【0026】
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例に係る噴霧器1の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の噴霧器1の本体ハウジング10の背面図である。
【図3】図1の噴霧器1の本体部の縦断面図であり、二次電池を装着した状態を示す図である。
【図4】図1の噴霧器1全体の縦断面図であり、一次電池を装着した状態を示す図である。
【図5】図1のモータ4とギヤポンプ7の拡大断面図である。
【図6】図1のモータ4の制御ブロック図であり、電力源として二次電池を接続した状態を示す図である。
【図7】図1のモータ4の制御ブロック図であり、電力源として一次電池を接続した状態を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20のバッテリパック35装着時の側面図である。
【図9】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20のバッテリパック35装着時の別の面から見た側面図である。
【図10】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20のバッテリパック35装着時の上面図である。
【図11】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20のバッテリパック35装着時の底面図である。
【図12】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20の背面図である。
【図13】本発明の実施例に係る二次電池ボックス20の前面図である。
【図14】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48装着時の側面図である。
【図15】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48装着時の上面図である。
【図16】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48装着時の底面図である。
【図17】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48装着時の背面図である。
【図18】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の正面図である。
【図19】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の側面図である。
【図20】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の上面図である。
【図21】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の底面図である。
【図22】本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0028】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、噴霧器1の前後、上下左右の方向は図1及び図2に示す方向であるとして説明する。
【0029】
本発明の実施例の一つとして示す噴霧器1は、主に、合成樹脂等によって構成された本体ハウジング10と、その下部に取り付けられる薬剤タンク2によって構成される。本体ハウジング10は、プラスチック等の合成樹脂の一体成型により左右に二分割可能に構成され、複数のネジ19によって左右のハウジングが固定される。本体ハウジング10の前側には、ホース51を介してノズル部50が接続される。ノズル部50は、モータによって送出された液体を霧状にして噴霧するための部分で、作業者が片手で掴むための把持部52と、把持部52からほぼ直線状に延びるパイプ53と、パイプ53の先端部に分岐して設けられる2つのノズル54と、ノズル54の先端に噴霧口55が設けられる。ホース51は例えばビニール製のパイプであり、本体ハウジング10に取付けキャップ56を用いて固定される。
【0030】
本体ハウジング10の上部には、噴霧器1を運搬する際に作業者が片手で把持できるように把持部11が設けられる。また、把持部11の上側には肩ベルト59が設けられ、噴霧作業をする際に、作業者は肩ベルト59を右肩又は左肩に掛けて噴霧器1を肩から下げた状態で噴霧作業を行うことができる。
【0031】
薬剤タンク2は、半透明の合成樹脂等によって構成される液体を入れるタンクであり、本実施例の薬剤タンク2は、開口部2aから約5リットルの薬剤を入れることができる。開口部2aには薬剤タンク2用のキャップ3が設けられる。薬剤タンク2の側部には、液量を示す目盛り2bが設けられ、内部にいれた薬剤の容量が容易にわかるように構成される。薬剤タンク2の下部は、噴霧器1を床置きする際に安定して載置できるような突起状の脚部2f、2gが形成される。突起状の脚部2f、2gは、横方向(左右方向)に延びる平面上の突起として構成するもので、薬剤タンク2と一体的に成型加工により製造される。
【0032】
本体ハウジング10の後方側にはノズル保持部18が設けられ、噴霧作業を行わない時にノズル部50の把持部52をノズル保持部18に掛けて置くことができるようにした。ノズル保持部18を用いてノズル部50の噴霧口が上向きになるように掛けることにより、モータ4の停止時にサイフォン効果によりノズル部50から液が出てしまうことを防止できる。本体ハウジング10のノズル保持部18の上側には開口部12が設けられ、開口部12から二次電池ボックス20又は後述する一次電池ボックスのいずれかが着脱可能に取り付けられる。二次電池ボックス20の内部には、二次電池が二次電池ボックス20に対して着脱可能に設けられる。二次電池ボックス20の外部に露出する部分は、本体ハウジング10の形状と連続した形状とされ、その一部に窪み部21bが設けられる。窪み部21bには、モータ4の回転速度を調整するためのダイヤル23の一部が露出するように設けられる。
【0033】
図2は噴霧器1の本体ハウジング10の背面図である。本体ハウジング10は、左右中心線を境に左右に2分割可能であり、右側ハウジング10aと左側ハウジング10bを接合させることにより組み立てられる。本体ハウジング10には開口部12が設けられ、開口部12には二次電池ボックス20が装着できる。開口部12は、搭載する電池の種類及び大きさが変更されても、共通の奥行きや開口形状を有する電池ボックスを使用できるように、その大きさや形状が設定される。使用者或いは販売者は、噴霧器の使用用途や価格に応じて、使用する電池ボックスの種類を選択でき、その選択した電池に応じた電池ボックスを装着することができる。
【0034】
二次電池ボックス20は、電動工具等で広く用いられるバッテリパックを噴霧器1に装着するためのアダプタの役割を果たす。本実施例の二次電池ボックス20には、モータの回転数を無段階に調整することにより、噴霧量を無段階に調整可能なように構成した。このモータの回転数の調整は、二次電池ボックス20に設けられたダイヤル23を回すことによって行う。図示していないが、ダイヤル23には回転数の大きさを示す数字(例えば、1〜3)が印字されており、二次電池ボックス20の表面に設けられた三角マーク26を目安に、ダイヤル23を合わせることにより、モータの回転数、即ち噴霧量を設定可能である。
【0035】
ノズル保持部18は本体ハウジング10の背面側であって、開口部12の下側に設けられる。ノズル保持部18は、右側ハウジング10aから延びて構成される右側アーム部18aと、左側ハウジング10bから延びて構成される左側アーム部18bにより構成される。右側アーム部18aと左側アーム部18bは、お互いに所定の間隔を持って配置され、これらの間にホース51を挟んだ後に把持部52を上から下に移動させることによって、ノズル部50をノズル保持部18に掛けることができる。本体ハウジング10のノズル保持部18の右側には開口部16が設けられ、この開口部16を介して、二次電池ボックス20を取り外すための操作部材たるリリースレバー15を操作することができる。
【0036】
二次電池ボックス20の上方には、装着された電池の残量を示すLEDランプ32が設けられる。本発明においては、噴霧器1を制御する操作部や制御状態を表示する表示部(LEDランプ32)は、二次電池ボックス20に設けるようにした。本実施例においても、操作部のうちモータのスイッチをオンオフするスイッチ(後述)を除いて、ダイヤル23は二次電池ボックス20に設けた。
【0037】
図3は、噴霧器1の本体部の縦断面図であり、二次電池を装着した状態を示す図である。モータ4は二次電池ボックス20から供給される直流電力によって回転する。モータ4の出力軸にはギヤポンプ7の駆動軸に連結される。二次電池ボックス20からは、スプリングから構成されたプラス端子17aから、配線14aによってスイッチ13に接続され、スイッチ13から配線14bを介してモータ4のプラス端子5aに接続される。一方、二次電池ボックス20のマイナス端子17b(後述)は配線14cによってモータ4のマイナス端子5bに接続される。
【0038】
ギヤポンプ7の吸込口7cは、ホース6を介して薬剤タンク2と連通され、吐出口7dにはホース8、取出しパイプ9aを介して取出口9に接続される。取出口9には、取付けキャップ56を用いてホース51が接続される。尚、本実施例では、ギヤポンプ7と取出しパイプ9aの間には圧力を調整するための圧力設定バルブが接続されていないが、必ずしもこの構造に限られずに、圧力設定バルブを設けても良いし、ギヤポンプ7の吐出圧が設定圧を越えると薬剤タンクに一部戻すようにする手段を別途設けても良い。
【0039】
二次電池ボックス20には、電動工具にて広く用いられるバッテリパック35が装着される。バッテリパック35は側面からみて略L字状の外形であり、内部に複数本の電池が収容される。本実施例では、3本のリチウムイオン電池セルが含まれ、セル1本が約3.6Vであるため、バッテリパック35の電圧は約10.8Vとなる。バッテリパック35を二次電池ボックス20に装着すると、バッテリパック35の端子部が端子29と接触する。バッテリパック35の先端部分35aは、二次電池ボックス20のハウジング内部に完全に収容される。バッテリパック35が二次電池ボックス20に装着されると、バッテリパック35に形成された図示しないラッチが二次電池ボックス20に形成された凹部(図示せず)と係合してバッテリパック35が固定される。この固定状態を解除するには、バッテリパック35の両側に設けられるリリースボタン36を押しながらバッテリパック35を二次電池ボックス20から取り外すようにする。
【0040】
尚、バッテリパック35はリチウムイオン電池だけでなく、ニッカド電池やその他の二次電池を用いても良い。例えば、ニッカド電池やリチウムイオン電池は、充放電回数が500回以上であり長い電池寿命を持ち、取り扱いが容易な上、急速充電特性に優れている。また、バッテリパック35を噴霧器1用に専用のものを準備するのではなく、電動工具等で広く用いられているものを用いると良い。
【0041】
二次電池ボックス20には、バッテリパック35に接続するための端子29だけでなく、モータ4の駆動制御を行うための制御回路と、モータ4の回転数を設定するための調整回路が含まれる。二次電池ボックス20には調整回路を搭載するための制御回路基板27が設けられ、制御回路基板27には図示しない電子回路と端子台30が搭載される。端子台30は、バッテリパック35の電極に接続するための端子29が設けられ、バッテリパック35からの電力が、駆動制御回路を介してモータ4に供給される。
【0042】
二次電池ボックス20の外部に露出する面には、バッテリチェッカとしてのLEDランプ32が設けられる。本実施例においては、正常に噴霧を行うためのモータ4の適正な電圧値よりも電池電圧が低くなった場合に、LEDランプ32を点滅させるようにした。これによって、作業者は噴霧作業中に電池電圧が低下したことを容易に知ることができる。バッテリチェッカとしてのLEDランプ32を駆動させる回路は、制御回路基板27に搭載される制御回路に含まれる。従って、二次電池ボックス20に合わせたバッテリのチェック手段を実現できる。尚、バッテリチェッカの実現方法は上述の点灯方法だけに限られずに、電圧低下に伴い発光色を緑→黄色→赤に変えるようにしても良いし、液晶表示パネルを設けて、電池マークの表示面積で残量を表示するようにしても良いし、その他の任意の方法を用いても良い。
【0043】
薬剤タンク2の上壁2bには、本体ハウジング10の下方に設けられた円形の接続部10cに取り付けるために、円形であって円周部に凸部が形成された取付部2cが形成される。取付部2cの一部には、ホース6を貫通させるための穴部2eが形成される。薬剤タンク2の上壁2bには更に凸部2dが形成され、薬剤タンク2を本体ハウジング10の下方に取り付けた際のロックをする掛止部10dが設けられる。
【0044】
このように構成した噴霧器1において、殺虫剤や栄養剤等の薬剤を薬剤タンク2に投入して、スイッチ13をONにすると、二次電池ボックス20から所定の電圧がモータ4に供給され、電圧に即した回転数によりモータ4の回転が開始する。モータ4が回転するとギヤポンプ7が駆動され、ホース6を介して薬剤が吸われてノズル部50に送られる。本実施例の噴霧器1においては、噴霧量はノズル部50にて調整するのではなく、ダイヤル23によってモータ4に供給する電圧を調整することによってモータ4の回転数を可変させることによって行う。
【0045】
図4は噴霧器1全体の縦断面図であり、電池ボックスとして一次電池ボックス40を装着した状態を示す図である。本図においては、図1〜図3のような二次電池ボックス20を装着する代わりに一次電池ボックス40を装着したものである。一次電池ボックス40は、装着される電池がバッテリパック35でなく、複数本の乾電池48に変わっている。一次電池ボックス40には、例えば、国際電気標準会議のIEC 60086(日本ではJIS C 8500)に規定される公知の円筒型単電池が用いられ、本実施例では単一形の乾電池48が6本装着される。一次電池ボックス40は単なる電池を保持する筐体としての役割を果たすだけであり、モータ4の回転数を変更するためのダイヤルや、駆動電圧の制御を行うための制御回路等は設けられない。また、バッテリチェッカの装着も省かれているので、電池ボックス部の製造コストをきわめて安価に製造できるので、可能な限り噴霧器1の販売価格の低下を実現することができる。
【0046】
一次電池ボックス40の表面パネル部分、即ち、開口部12から外部に露出してハウジングの外郭部となる部分は、二次電池ボックス20に比べて内部に入り込んだ形状である。この形状は必須の形状では無く意匠上の特徴により形成されたものである。一次電池ボックス40以外の、噴霧器1のその他の構成は図1〜図3に示す構造と全く同一である。本実施例では、一次電池ボックス40と二次電池ボックス20は、噴霧器1に対して選択的に装着可能に構成される。例えば、二次電池ボックス20を用いて噴霧作業をした際に、バッテリパック35の電力を消費してしまった場合は、二次電池ボックス20を取り外して、乾電池48をセットした一次電池ボックス40を噴霧器1に装着して作業を継続することができる。
【0047】
一次電池ボックス40又は二次電池ボックス20は、噴霧器1側の同一の端子17によって接続される。図4から理解できるように、本実施例では点線で囲まれる領域Aは空洞になるが、これは必要な本数の乾電池48を収容するスペースと、二次電池ボックスにバッテリパック35を装着する際の必要なスペースを考慮して、本体ハウジング10の大きさを決定したためである。
【0048】
図5はモータ4とギヤポンプ7の拡大断面図である。モータ4として、ブラシ4cを用いた永久磁石界磁形の整流子モータが用いられる。固定子4bには永久磁石が用いられ、回転子4aは積層鉄心に巻線を巻いて構成される。モータ4の回転軸4dはギヤポンプ(歯車ポンプ)7に接続される。本実施例のギヤポンプ7は、2つの歯車のかみ合わせ部分を使って流体を輸送するポンプであり、外歯歯車を2つ使用し、一つが駆動歯車として作用し(図5の7a)、他の歯車が駆動歯車に従動して動く従動歯車(図示せず)となる。本実施例では、モータ4の回転軸4dにギヤポンプ7を直接接続するように構成したが、モータとギヤポンプ7の間に図示しない減速機を介在させて接続するようにしても良い。
【0049】
ギヤポンプ7は、駆動歯車と従動歯車の歯車が一定方向に回転し、中央で歯が噛み合い、開く時に負圧を生じさせ吸込口7c側から矢印61の方向に液体を吸い込む。吸い込まれた液は、駆動歯車と従動歯車の外側を回って歯の噛み合い時に絞り出され、矢印62の方向に吐出口7d側に排出される。尚、駆動歯車と従動歯車の外周と、ギヤポンプ7のハウジングとの隙間(トップクリアランス)と、歯車の両側面の隙間(サイドクリアランス)は、極めて小さくなるように構成され、駆動歯車を回転させることによって、圧力上昇に伴う吐出量の変動が少なく、定量性がある液体の安定した送出を行うことができる。ギヤポンプ7の吐出量は、歯車7aの回転速度を変化させることにより、容易にコントロールすることが可能である。
【0050】
図6は、図1のモータ4の制御ブロック図であり、電力源として二次電池を接続した状態を示す図である。噴霧器1の本体ハウジング10側には、端子17、24を介して、二次電池ボックス20からの電力が噴霧器1側に供給される。本実施例で特徴的なことは、噴霧器1の本体ハウジング10には、基本的にスイッチ13とモータ4しか設けずに、その他の電気回路は二次電池ボックス20の内部に収容したことである。二次電池ボックス20には、バッテリパック35が二次電池ボックス20に対して着脱可能に設けられる。バッテリパック35から二次電池ボックス20へは、端子29を介して電力が供給される。二次電池ボックス20の内部には制御回路基板27が配置され、制御回路基板27には電圧値を調整するための専用のIC27aが設けられる。IC27aとしては、例えば三端子レギュレータICであっても良いし、降圧DC/DCコンバータICであっても良いし、その他の公知の半導体素子、IC又はLSIを用いても良い。二次電池ボックス20には更に変速基板25が設けられ、変速基板25には可変抵抗器25aが設けられる。可変抵抗器25aはダイヤル23(図3参照)に接続され、ダイヤル23を回転させることによって可変抵抗器25aの抵抗値を変更することができる。
【0051】
図7は、噴霧器1に一次電池ボックス40を装着したモータ4の制御ブロック図である。本体ハウジング10の端子17を介して、一次電池ボックス40に装着された電池の陽極48a、負極48bからの電力が噴霧器1側に供給される。乾電池48の総出力電圧は9Vであり、二次電池ボックス20に装着されるバッテリパック35の電圧10.8Vに比べると低めである。本ブロック図で理解できるように、一次電池ボックス40には6本の電池が収容されて、それらが直列に接続されるだけであって、制御回路基板や変速基板等の電子回路は設けられない。従って、二次電池ボックス20に比べて一次電池ボックス40は安価に製造することができる。尚、噴霧器1の用途に応じて、電池のサイズ、装着本数を変えるようにしても良い。また、二次電池ボックス20と同様に制御回路基板や変速基板等を設けて、モータの回転数を制御することができるように構成しても良い。
【0052】
次に図8から図13を用いて二次電池ボックス20の詳細形状について説明する。図8は、本発明の実施例に係る二次電池ボックス20のバッテリパック35装着時の側面図であり、図9は図8とは反対側から見た側面図である。二次電池ボックス20単体の方向については、図8に示す方向のように表面パネル21aが有る面を前方とし、開口部12から奥に挿入される側が後方であるとして説明する(二次電池ボックス20単体で見た際の前後方向と、噴霧器1の前後方向が逆の関係になるので注意されたい)。二次電池ボックス20は、左右に分割可能に形成されたハウジング21から構成される。二次電池ボックス20は、その後端部を噴霧器1の開口部12から挿入されるものであって、表面パネル21a側から奥(後方側)に行くに従って、ハウジング21の高さが低くなるように構成される。
【0053】
ハウジング21の前方側は、噴霧器1への装着時に外部に露出する部分(外郭部)となる表面パネル21aが形成され、それ以外の部分は噴霧器1の内部に収容される。表面パネル21aには窪み部21bが形成され、この窪み部21b近傍にモータ4の回転数を変更するためのダイヤル23が設けられる。ダイヤル23は、外周部の一部分だけが窪み部21bから露出し、作業者がダイヤル23の外周を回すことによって設定位置を変更させることができる。表面パネル21aより後方側には、バッテリパック35を収容するための段差状の空間が形成される。この空間は、収容されるバッテリパック35の形状に合わせてその形状が設定されるもので、高さ方向上側に位置する第一収納室21c、高さ方向中間付近に位置する第二収納室21dが形成される。ハウジング21の後方には、噴霧器1の端子17と接する2つの端子24(プラス端子24a、マイナス端子24b)を保持する電極保持部21fが形成され、電極保持部21fと第二収納室21dの間を接続するように前後方向に延びる連結部21eが形成される。
【0054】
ハウジング21は、例えばプラスチック等の合成樹脂製であり、左右に2分割して成型され、複数のネジ31によって左右部分が固定される。ハウジング21の底部には、二次電池ボックス20を噴霧器1に装着した際に脱落しないようにロックするための係止部22が形成される。
【0055】
図8及び図9は、共にバッテリパック35を装着した状態を示している。バッテリパック35は、二次電池ボックス20を噴霧器1から取り外した状態で、矢印63の方向にバッテリパック35を挿入することによって装着できる。バッテリパック35が二次電池ボックス20に適切に装着されると、バッテリパック35のロック機構が働き二次電池ボックス20に固定される。バッテリパック35を二次電池ボックス20から取り外す際には、バッテリパック35の左右両側に設けられたリリースボタン36を押しながら矢印63と反対方向に移動させることによって取り外すことができる。図9において理解できるようにハウジング21は、装着されたバッテリパック35のリリースボタン36を操作することができるような形状に構成され、本実施例ではハウジング21にくり抜き部21gが形成される。二次電池ボックス20を噴霧器1から取り外した際には、作業者は手の人差し指と親指で装着されたバッテリパック35のリリースボタン36を挟むようにして押すことができる。
【0056】
図10は、二次電池ボックス20の上面図である。本状態はバッテリパック35が装着されている状態を示すが、バッテリパック35の上側はすべてハウジング21で覆われているため、上面から見た際にはバッテリパック35が装着されているか否かはわからない。本実施例の二次電池ボックス20は、単一形を6本収容する一次電池ボックス40と同じ幅W1で構成される。しかしながら、バッテリパック35の幅は、単一形電池2本分の幅にほぼ等しい幅W1よりも十分小さい。そこで本実施例では、左右2ヶ所においてくり抜き部21gが設けられ、バッテリパック35を収容する部分(第一収納室21cと第二収納室21d)を細い幅で形成し、くり抜き部21gにおける左右方向の幅W2は、バッテリパック35の幅とほぼ同じに構成した。
【0057】
図11は、二次電池ボックス20の底面図である。本図では、二次電池ボックス20にバッテリパック35を装着済みの状態を示している。二次電池ボックス20の底面には、バッテリパック35を出し入れするための大きな開口21hがあり、この開口21hを介してバッテリパック35を装着することができる。この開口21hの大きさは、バッテリパック35を嵌挿するのに十分な大きさであり、開口21hから第二収納室21d、第一収納室21cを介して上側に空間が形成される。この空間の内壁の形状は、バッテリパック35の外形に対応した形状である。また、この空間内壁にはバッテリパック35の装着向きが正しい状態の時のみバッテリパック35の挿入を可能にするために、図示しない案内溝又は案内リブが形成される。バッテリパック35が、二次電池ボックス20に正しくに挿入されると、バッテリパック35の電極が、二次電池ボックス20側の端子29(図3参照)に良好に接触する。この結果、端子29を介して二次電池ボックス20側に、バッテリパック35の電力が供給可能な状態となる。
【0058】
二次電池ボックス20の底面21iの一部には、二次電池ボックス20が本体ハウジング10から落下しないように係止するための係止部22が形成される。係止部22は本体ハウジング10側に形成されたリリースレバー15(図3参照)に形成された図示しない係止フックと係合する。
【0059】
図12は、本発明の実施例に係る二次電池ボックス20の背面図である。本図においても、バッテリパック35を二次電池ボックス20に装着した状態を示しているが、バッテリパック35が装着しているかは見えない。この状態において二次電池ボックス20を噴霧器1の開口部12(図2参照)にスライドさせるように挿入することによって、二次電池ボックス20を装着できる。二次電池ボックス20の背面の電極保持部21fには、二つの出力端子、即ち、プラス端子24aとマイナス端子24bが設けられる。二次電池ボックス20が噴霧器1に装着されると、プラス端子24aとマイナス端子24bは、噴霧器1側の端子17(17a、17b)と接触することにより、噴霧器1側に電力が供給可能となる。
【0060】
図13は、本発明の実施例に係る二次電池ボックス20の正面図である。本図に示す表面パネル21aが噴霧器1の外郭面の一部となる。本図から理解できるように正面から見たときは、表面パネル21aよりも外部に突出する部分がないので、二次電池ボックス20を本体ハウジング10の開口部12からスライドして挿入しやすく、また、開口部12から取り出しやすい。
【0061】
本実施例の二次電池ボックス20は以上のように構成したので、噴霧器1に電動工具で広く用いられるバッテリパック35を装着することが可能となる。また、二次電池ボックス20側に、バッテリパック35のモータ4の速度調整手段を設けたので、きめ細かな噴霧量の調整が可能となる。また、二次電池ボックス20には制御回路が搭載され、バッテリパック35からの電圧を降圧させることができるので、様々な種類、電圧のバッテリパック用の二次電池ボックス20を容易に準備することができる。さらに、二次電池ボックス20にLED32というバッテリ警告手段を設けたので、作業者はバッテリ残量の低下を確実に確認できるので、安心して噴霧作業を進めることができる。
【0062】
次に図14から図22を用いて一次電池ボックス40の詳細形状について説明する。図14は、本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の乾電池48装着時の側面図であり、図15は一次電池ボックス40の上面図である。
【0063】
一次電池ボックス40単体の方向については、図14、15に示す方向であるものとして説明する(一次電池ボックス40単体で見た際の前後方向と、噴霧器1の前後方向が逆の関係になるので注意されたい)。一次電池ボックス40は、一体成型で製造されたハウジング41を有する。一次電池ボックス40は、その後端部を噴霧器1の開口部12からスライドさせて挿入されるものであり、二次電池ボックス20又は一次電池ボックス40を噴霧器1に選択的に着脱することができる。一次電池ボックス40は、広く用いられている単一形の乾電池48を6本収容することができ、ハウジング41の表面パネル41aから終端部41fまでの間の空間に、左右に3本ずつ2列に渡って乾電池48を収容できる。乾電池48の間には、乾電池48の陽極と負極を接続するための接続端子44、45が設けられ、6本の乾電池が直列に接続され、終端部41fには1つの乾電池48の陽極48aと、他の乾電池の負極48bが位置し、一次電池ボックス40を噴霧器1に装着した際に、陽極48aと負極48bが端子17に接触することになる。
【0064】
2列の乾電池48の両側には、乾電池48の太さの約半分程度の高さを有する壁部41eが形成される。また、2列の乾電池48の間には、電池押さえ部材46が複数形成される。電池押さえ部材46は、各乾電池48に1つずつ設けられ、可撓性をもつ高分子樹脂で形成される。電池押さえ部材46は、一次電池ボックス40の底面41iから上方に延びて電池側に折れ曲がった形状であり、前方又は後方から見ると逆L字状をした部材である。
【0065】
図16は、本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の底面図である。底面41iには、半長円状の切り抜き部47が6箇所に形成される。この切り抜き部47は、成型の際にこの部分の材料を上方にのばして電池押さえ部材46を構成するために設けられるもので、半長円状の直線部から電池押さえ部材46が延びるように接続される。尚、切り抜き部47は電池押さえ部材46を製造するための製造上の理由から形成されるものであり、仮に切り抜き部47が無くても一次電池ボックス40の機能上は何ら問題ない。さらに、底面41iの一部には、一次電池ボックス40を噴霧器1に装着した際に脱落しないようにロックするための係止部42が形成される。係止部42が、噴霧器1のリリースレバー15に設けられた係止フックと係合することにより一次電池ボックス40がはずれないように固定される。
【0066】
図17は、本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の背面図である。一次電池ボックス40終端部41fであって、噴霧器1の端子17に接触する部分は半長円状の切り欠き41cが形成され、この切り欠き41cを通して露出する乾電池48の陽極48aと、負極48bが、噴霧器1の端子17(図1参照)と接触可能となる。
【0067】
図18は、本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の正面図であり、噴霧器1の開口部12に対応した形状をしている。表面パネル41aは、噴霧器1の本体ハウジング10の外郭の一部を形成するものである。尚、二次電池ボックス20と違い、一次電池ボックス40の表面パネル41aには窪み部や、モータ4の回転速度を調整するためのダイヤルも設けられない。これは主に、本実施例では二次電池(リチウムイオン電池10.8V)に比べて、一次電池(単一形電池6本=9V)の電圧は低いことと、コストダウンを図る為である。従って、一次電池ボックス40にも、二次電池ボックス20と同様にモータ4の回転数を制御する制御回路やダイヤルを含めて構成しても良い。
【0068】
次に、図19から図22を用いて、乾電池48を装着していない状態の一次電池ボックス40の形状を説明する。図19は、本発明の実施例に係る一次電池ボックス40の側面図である。一次電池ボックス40は、プラスチック等の合成樹脂やその他の安価な材料を用いて一体成型により製造されるものである。ハウジング41の前方側は、噴霧器1への装着時に外部に露出する部分となる表面パネル41aが形成され、後方には噴霧器1の端子17付近に位置する終端部41fが形成される。
【0069】
図20は、一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の上面図である。乾電池48が収容されるスペースには、装着される乾電池48の種類と電極の向き示すイラスト49aが示される。また、イラスト49aの近傍には「電池はプラスマイナスを正しく入れる」「新旧・異種の電池は使用しない」等の注意書き49bが刻印される。これらイラスト49aや注意書き49bは、合成樹脂の一体成型時に形成できるので、コストアップの影響はきわめて軽微である。
【0070】
図21は、一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の底面図である。図21は図16とほぼ同じであるが、乾電池48を装着していないので電池押さえ部材46が見えるような状態にある。図22は一次電池ボックス40の乾電池48非装着時の背面図である。
【0071】
以上、本実施例によれば一次電池ボックス40は、一体成型により安価に製造することができる。また、モータ4の回転数を調整するための調整手段や、電圧制御手段を持たない。従って、一次電池ボックス40だけを用いた噴霧器1とすれば、安価に製造販売が可能となる。また、噴霧量の調整を細かく行いたい使用者向けや、電動工具用のバッテリパックを持っている使用者向けには、二次電池ボックス20だけを用いた噴霧器、あるいは、一次電池ボックス40と二次電池ボックス20の両方を用いるようにすれば使い勝手の良い噴霧器を実現できる。
【0072】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、一次電池ボックス、二次電池ボックスだけでなく、図示せぬAC/DC変換器内蔵させてコードを介して100V電源と接続するようにしたACアダプタボックスを装着できるように構成しても良い。また、一次電池ボックス40に、乾電池等の一次電池ではなく、ニッケル水素電池等の市販されている円筒形の二次電池を装着するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1 噴霧器 2 薬剤タンク 2a 開口部 2b 上壁
2c 取付部 2d 凸部 2e 穴部 2f、2g 脚部
3 キャップ 4 モータ 4a 回転子 4b 固定子
4c ブラシ 4d 回転軸 5a プラス端子
5b マイナス端子 6 ホース 7 ギヤポンプ
7a 歯車 7c 吸込口 7d 吐出口 8 ホース
9 取出口 9a 取出しパイプ 10 本体ハウジング
10a 右側ハウジング 10b 左側ハウジング
10c 接続部 10d 掛止部 11 把持部 12 開口部
13 スイッチ 14a〜14c 配線 15 リリースレバー
16 開口部 17 端子 17a プラス端子
17b マイナス端子 18 ノズル保持部 18a 右側アーム部
18b 左側アーム部 19 ネジ 20 二次電池ボックス
21 ハウジング 21a 表面パネル 21b 窪み部
21c 第一収納室 21d 第二収納室 21e 連結部
21f 電極保持部 21g くり抜き部 21h 開口
21i 底面 22 係止部 23 ダイヤル 24 端子
24a プラス端子 24b マイナス端子 25 変速基板
25a 可変抵抗器 26 三角マーク 27 制御回路基板
29 端子 30 端子台 31 ネジ 32 LEDランプ
35 バッテリパック 35a (バッテリパックの)先端部分
36 リリースボタン 40 一次電池ボックス
41 ハウジング 41a 表面パネル 41e 壁部
41f 終端部 41i 底面 42 係止部
44、45 接続端子 46 電池押さえ部材 47 切り抜き部
48 乾電池 48a 陽極 48b 負極
49a イラスト 49b 注意書き 50 ノズル部
51 ホース 52 把持部 53 パイプ 54 ノズル
55 噴霧口 56 キャップ 59 肩ベルト 60 矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体タンクと、
モータと、
前記モータによって駆動され、前記液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、
前記ポンプの排出口に接続されるノズル部と、
前記モータと前記ポンプを収容するハウジングと、
前記ハウジングに着脱可能に接続される電池ボックスを有する噴霧器であって、
前記電池ボックスとして、一次電池を収容する一次電池ボックスと、二次電池を収容する二次電池ボックスを選択して装着可能であることを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
前記噴霧器は、前記電池ボックスから供給される電力量によって前記モータの回転数の制御が可能であり、
前記電力量の制御をする電圧調整回路が、前記電池ボックスに搭載されることを特徴とする請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
前記ハウジングに、前記電池ボックスを挿入するための開口部を設け、
前記電池ボックスは、前記開口部から挿入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の噴霧器。
【請求項4】
前記開口部は前記ハウジングの側面に設けられ、前記電池ボックスは前記開口部から横方向に挿入され、
前記電池ボックスの取り付け時に、前記電池ボックスの一部の面が前記ハウジングの開口部に位置することにより、前記ハウジングの外郭の一部を形成することを特徴とする請求項3に記載の噴霧器。
【請求項5】
前記ハウジングには、前記電池ボックスの装着をロックするロック機構が設けられる事を特徴とする請求項3又は4に記載の噴霧器。
【請求項6】
前記一次電池ボックスは、直列に複数本連結した円筒形乾電池の組を並列本配置可能に構成し、
前記二次電池ボックスは、前記一次電池ボックスと同一の長さ及び幅サイズを有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項7】
前記二次電池ボックスにはバッテリパックが着脱可能であり、前記バッテリパックの前記二次電池ボックスへの装着方向は、前記開口部から挿入される方向に対して垂直方向であることを特徴とする請求項6に記載の噴霧器。
【請求項8】
前記一次電池ボックスは、電池の合計電圧を前記モータへ直接供給し、
前記二次電池ボックスは、前記電圧調整回路を介して降圧された電圧を前記モータへ供給することを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項9】
前記液体タンクは前記ハウジングの下部に取り付けられ、
前記ハウジングの上部には作業者が片手で把持するための把持部が設けられ、
前記電池ボックスは、上下方向に見て前記液体タンクと前記把持部の間に配置されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項10】
液体タンクと、
モータと、
前記モータによって駆動され、前記液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、
前記ポンプから排出された液体を噴霧可能なノズル部と、
前記モータを収容するハウジングと、を有する噴霧器であって、
前記ハウジングには、一次電池を保持する一次電池ボックスと、二次電池を保持する二次電池ボックスのいずれかを固定可能であることを特徴とする噴霧器。
【請求項11】
前記ハウジングには操作部材が設けられ、
前記操作部材は、前記一次電池ボックス又は前記二次電池ボックスのハウジングからの固定を解除可能であることを特徴とする請求項10に記載の噴霧器。
【請求項12】
液体タンクと、
モータと、
前記モータによって駆動され、前記液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、
前記ポンプから排出された液体を噴霧可能なノズル部と、
前記モータを収容し、前記液体タンクの上方に配置されるハウジングと、を有する噴霧器であって、
前記ハウジングに、横方向へと移動することによって二次電池を保持する二次電池ボックスを固定可能とし、
前記二次電池は、前記二次電池ボックスに対して上下方向に移動させることによって固定されることを特徴とする噴霧器。
【請求項13】
液体タンクと、
モータと、
前記モータによって駆動され、前記液体タンクの液体を吸引して排出するポンプと、
前記ポンプから排出された液体を噴霧可能なノズル部と、
前記モータを収容するハウジングと、を有する噴霧器であって、
前記ハウジングには、二次電池を保持する二次電池ボックスを固定可能であり、
前記二次電池ボックスには、前記二次電池の残量を表示可能なバッテリチェッカが設けられることを特徴とする噴霧器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−30166(P2012−30166A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170856(P2010−170856)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】