説明

噴霧容器

【課題】製造効率を向上させる。
【解決手段】中間部に狭窄部11aを有する両端開放のシリンジ10と、狭窄部11aを閉塞する弾性体の栓体20と、シリンジ10の前端に装着するノズルチップ30と、シリンジ10の後端から挿入するプランジャ50とを設け、シリンジ10の前部の第1室R1 、後部の第2室R2 にそれぞれ製剤T、溶解液Wを収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、錠剤や粉末剤の用時溶解形の製剤と、その溶解液とを分離して収納し、使用時に簡単な操作により製剤を溶解し、薬液として噴霧して使用することができる噴霧容器に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジの内部に用時溶解形の製剤と溶解液とを分離して収納し、使用直前に製剤を溶解させて薬液を調製する注射器が知られている(特許文献1)。
【0003】
従来の注射器は、前端を開放し、後端を閉鎖するシリンジの前部にネック部を形成し、弾性体の栓体を介してネック部の後端を閉塞することにより、製剤用の収納室をシリンジの後部に形成し、溶解液用の収納室をシリンジの前部のネック部に形成する。なお、シリンジの前端は、軸孔付きの中空ロッドからなるプランジャの後端のシール部材を挿入して閉じられており、プランジャの前端には、注射針が装着されている。そこで、シリンジの後端を押して相対的にプランジャのシール部材をネック部に進入させると、溶解液の圧力により栓体が後方に移動してネック部が開通し、溶解液が製剤用の収納室に流入して製剤を溶解させる。さらにシリンジを押してプランジャのシール部材がネック部を通過すると、シール部材の半径孔を通してプランジャの軸孔に薬液が供給され、プランジャの先端の注射針により注射することができる。
【0004】
なお、プランジャ、シリンジは、それぞれ保護用の外筒に収納されている。プランジャ用の外筒は、プランジャの前端にフランジ結合され、シリンジ用の外筒は、プランジャ用の外筒の後端にフランジ結合されている。シリンジの後端には、押し操作用の操作片が付設され、操作片は、シリンジ用の外筒の後端から突出している。そこで、操作片の全長をシリンジ用の外筒に押し込むことにより、注射前の準備工程を完了させるためのシリンジの駆動量を規定することができる。なお、シリンジは、押し操作されると、プランジャとプランジャ用の外筒との間に進入し、薬液を注射するときは、シリンジ用の外筒だけを取り外す。また、注射針に代えてノズルチップをプランジャの前端に装着すれば、噴霧用にも使用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平4−36029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
かかる従来技術によるときは、後端を閉鎖するシリンジは、前端から製剤を後部の製剤用の収納室に収納し、栓体を装填してネック部を閉塞し、つづいて溶解液をネック部に収納する必要があるから、溶解液を収納する際に液漏れなどの不良が発生すると、高価な製剤まで不良となって製造効率がよくないばかりでなく、必要部品点数が多く、全体構成が複雑である上、シリンジ用の外筒の除去作業が煩雑であり、使い勝手がよくない、という問題があった。
【0007】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、両端開放のシリンジの中間部に狭窄部を形成することによって、部品点数が少なくて構造が簡単でありながら、使い勝手がよく、製造効率の向上を図ることができる噴霧容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、中間部に狭窄部を有する両端開放のシリンジと、狭窄部を閉塞する弾性体の栓体と、シリンジの前端に装着するノズルチップと、シリンジの後端から挿入するプランジャと、プランジャの先端に連結する弾性体のシール部材とを備えてなり、シリンジは、栓体を狭窄部に装填し、栓体の後方の第2室に溶解液を収納してシール部材を後端から挿入し、栓体の前方の第1室に製剤を収納してノズルチップを装着し、プランジャを前進させると、栓体が前進して狭窄部が開通し、プランジャが栓体に当接すると第2室の溶解液の全量が第1室に流入して製剤を溶解させることをその要旨とする。
【0009】
なお、シール部材は、プランジャから分離してシリンジに挿入することができ、または、プランジャと連結してシリンジに挿入することができる。
【0010】
また、プランジャは、第2室の溶解液の全量が第1室に流入するときの挿入ストロークを規定する取外し可能なストッパを備えることができる。
【0011】
さらに、シール部材は、栓体の後端面の凹部に嵌合する突部を前端面に突設してもよく、シリンジは、軸方向の溝を後端部内面に形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
かかる発明の構成によるときは、両端開放のシリンジは、中間部の狭窄部を閉塞する弾性体の栓体の前後の第1室、第2室にそれぞれ製剤、溶解液を分離して収納することができる。ただし、製剤は、粉末剤または錠剤のいずれであってもよく、栓体は、シリンジの前端から後方に向けて狭窄部に装填するものとする。また、シリンジの前端、後端には、それぞれノズルチップ、シール部材が装着されている。そこで、シリンジの後端から挿入するプランジャを押し操作してシール部材を前進させると、第2室内の溶解液の圧力により栓体が前方に移動して狭窄部が開通し、プランジャを介してシール部材を前進させるに従って第2室の溶解液が第1室に流入し、プランジャの先端のシール部材が狭窄部の前方の栓体の後端に当接すると、溶解液の全量が第1室に流入して製剤を溶解させ、所定の濃度の薬液を調製することができる。その後、製剤が完全に溶解したことを確認してプランジャとともにシール部材をさらに前進させれば、ノズルチップを介して第1室の薬液を外部に噴霧して投与することができる。
【0013】
シリンジは、両端開放であるから、栓体の後方の第2室に溶解液を後端から収納し、その後、上下反転して、栓体の前方の第1室に製剤を前端から収納することができる。したがって、溶解液の充填時のトラブルによって高価な製剤を棄損するおそれがなく、製造効率を向上させることができる。また、シリンジやプランジャを含む各部材は、一体成形可能な単純な構成で済み、部品点数も少なく、一般的な注射器と同様の良好な使い勝手を実現することができる。
【0014】
プランジャに付設する弾性体のシール部材は、シリンジの後部の第2室から中間部の狭窄部を経て前部の第1室にまで、シリンジの内面を液密にシールしながらプランジャを介して円滑に前進させることができる。ただし、シール部材は、第2室に溶解液を収納してシリンジの後端から挿入するとき、プランジャから分離させた単独の状態であってもよく、プランジャと一体に連結した状態であってもよい。前者の場合、シリンジの後端から別体のプランジャを挿入してシール部材に連結し、プランジャを押し操作してシール部材を前進させる。なお、シール部材だけを単独でシリンジに挿入すれば、誤操作によってシール部材を前進させてしまうおそれがなく、プランジャと一体に連結したシール部材をシリンジに挿入すれば、プランジャを別に保存したり、それをシリンジ内のシール部材に連結したりする手数を要しない。
【0015】
プランジャは、取外し可能なストッパを付設することにより、製剤の溶解前に誤投薬されることを防止することができる。また、シール部材は、栓体の後端面の凹部に嵌合する前端面の突部を介し、第1室内において栓体を正しく前方に押し進めるとともに、栓体との間に生じる無駄な隙間を少なくして溶解液の残量を最少にすることができる。
【0016】
シリンジの後端部内面に軸方向の溝を形成すれば、プランジャを後端に挿入する際に、溝を介してエア抜きし、プランジャの挿入を円滑にすることができる。なお、溝は、シリンジの軸方向に1条以上を形成すればよく、多数の溝を内周に等間隔に設けることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】全体構成分解斜視図
【図2】全体構成縦断面図
【図3】図2の要部拡大図
【図4】図2の要部拡大横断面説明図
【図5】図2の要部拡大分解図(1)
【図6】図2の要部拡大分解図(2)
【図7】図5の要部拡大説明図
【図8】動作説明図(1)
【図9】動作説明図(2)
【図10】動作説明図(3)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0019】
噴霧容器は、シリンジ10、栓体20、ノズルチップ30、プランジャ50を備えてなる(図1、図2)。なお、図2には、シリンジ10内において、栓体20の前方、後方にそれぞれ分離して収納する粉末剤の製剤T、溶解液Wが併せて図示されている。
【0020】
シリンジ10は、両端開放の円筒状の本体11の後端部に羽根状の指掛け12、12を左右対称に付設して形成されている。各指掛け12の前面側は、滑らかな鞍形の曲面に形成され、滑り止め用のリブ12a、12a…が形成されている。シリンジ10は、たとえばPPのような硬質のプラスチック材料により一体成形されている。
【0021】
本体11の中間部には、栓体20を装填する狭窄部11aが形成されている(図2、図3)。狭窄部11aの内径da は、本体11の内径dに対し、da <dになっている。なお、狭窄部11aの前端、後端は、それぞれ環状の急なテーパ面11a1 、緩いテーパ面11a2 を介して本体11の内周に連続している。ただし、前のテーパ面11a1 の傾斜角θ1 ≒45°であり、後のテーパ面11a2 の傾斜角θ2 ≪45°である。
【0022】
本体11の後端部内面には、内径db >dの短い大径部11bを介し、短い軸方向の溝11c、11c…が形成されている(図2、図4(A))。ただし、図4(A)、(B)は、それぞれ図2のX1 −X1 線、X2 −X2 線矢視相当拡大断面図である。
【0023】
本体11の前端部には、アダプタ40を介してノズルチップ30を装着するための受け部11dが形成されている(図2、図5)。受け部11dには、アダプタ40の外周の上向きの係合リブ41aに適合する環状の係合凹部11d1 が形成されている。
【0024】
栓体20は、適切な弾性を有するオレフィン系の樹脂や合成ゴムのエラストマなどの弾性体により略円柱状に一体成形されている(図1、図6)。栓体20の前端部には、大径の外フランジ21が形成され、中間部、後部には、環状のシールリブ22、22が平行に形成され、後端面には、浅い丸穴状の凹部23が軸心上に形成されている。なお、外フランジ21の外周には、軸方向の切欠き21a、21a…が軸対称に配置されている(図1、図4(B))。外フランジ21は、シリンジ10の本体11の内径dに適合し(図3)、シールリブ22、22は、狭窄部11aの内径da に適合する。そこで、栓体20は、シリンジ10の前端側から狭窄部11aに装填することにより、シールリブ22、22を介して狭窄部11aを弾発的に閉塞し、シリンジ10内を栓体20の前後の第1室R1 、第2室R2 に区画することができる。
【0025】
ノズルチップ30は、アダプタ40を介してシリンジ10の前端に装着されている(図2、図5)。
【0026】
ノズルチップ30は、天板31の下面にスカート部32を垂設して形成されている。天板31の外周は、大径の外フランジ31aに形成され、スカート部32の中間部外周には、上向きの係合リブ32aが形成されている。また、天板31の中心には、ノズル孔33が形成されている(図5、図7(A))。ただし、図7(A)〜(C)は、それぞれ図5のY1 矢視相当拡大図、Y2 、Y3 矢視相当図である。
【0027】
ノズル孔33には、天板31の下面側に開口する円錐台形の開拡部33aが付設されている。また、天板31の下面には、開拡部33aの外周に向けて開口する螺旋状の通路34、34…が形成され、各通路34は、外周の共通の円形溝34aに対して滑らかに接続され、内周の開拡部33aに向けて漸減する幅に形成されている。ただし、円形溝34aは、各通路34より深く、円形溝34aの直近内周には、通路34、34…によって分断する円形リブ35が形成されている。
【0028】
アダプタ40は、二重円筒状の本体部41と、本体部41の前端の外フランジ42とを一体成形して構成されている(図5、図7(B)、(C))。本体部41は、シリンジ10の本体11の前端の受け部11dに適合する上向きの係合リブ41a付きに形成され、外フランジ42の外径は、本体11の外径に適合している。外フランジ42の上面には、ノズルチップ30の外フランジ31aを収納可能な円形の凹部43が形成され、凹部43には、ノズルチップ30のスカート部32を挿入可能な深い円形溝43aが形成されている。また、円形溝43aには、外周側が円弧状に湾曲する断面略長方形の通路44、44…が等配して軸方向に形成されており、各通路44は、本体部41の下面から外フランジ42上の凹部43にまで貫通している。なお、凹部43の中心には、円柱部43bが形成され、円柱部43bの後面には、深い丸孔43cが形成されている。
【0029】
そこで、ノズルチップ30は、アダプタ40と一体に組み合わせ、シリンジ10の本体11の前端に装着することができる(図2、図5)。このとき、アダプタ40の円柱部43bの先端がノズルチップ30側の円形リブ35の内側に嵌まり込んでノズルチップ30、アダプタ40の心合せができる。ノズルチップ30、アダプタ40は、それぞれたとえば硬質のプラスチック材料により一体成形されている。アダプタ40の後方から薬液が供給されると、薬液は、アダプタ40の通路44、44…、ノズルチップ30の通路34、34…を介してノズル孔33の開拡部33aに旋回流となって流入し、ノズル孔33から外部に連続的に噴霧することができる。なお、ノズルチップ30、アダプタ40の上面は、共通のシール39を介して剥離可能にシールする(図1、図2)。シール39には、剥離用の摘み39aが付設されている。
【0030】
プランジャ50は、ロッド51の先端にシール部材60を連結することができる(図1、図2)。
【0031】
ロッド51は、断面十字状に形成されている(図1、図4(A))。ロッド51の後端には、円板状の押し板52が形成され(図1、図2)、押し板52の後面には、滑り止め用の直線リブ52a、52a…が形成されている。また、ロッド51の後部には、旗状のストッパ53が付設されている。ストッパ53は、小断面積の連結部53a、53bを介してロッド51、押し板52に連結されており、連結部53a、53bを破断することにより、ロッド51、押し板52から容易に取外し可能である。なお、ストッパ53の前側の一辺には、シリンジ10の本体11の後端が係合可能な切欠き53cが形成されている。
【0032】
ロッド51の前端には、シール部材60を連結するための係止ロッド54が突設されている(図1、図6)。係止ロッド54の先端には、円錐台状の係止部54aが付設され、係止ロッド54は、ロッド51の前端の円板状のシート54bの中心に立設されている。ロッド51、押し板52、ストッパ53、係止ロッド54の一連の部材は、たとえばHDPEまたはPPのような硬質のプラスチック材料により一体成形されている。
【0033】
シール部材60は、栓体20と同様の適切な弾性の弾性体により略円柱状に一体成形されている。シール部材60の前端面には、低い円錐台形の先端部61aを介して円柱状の突部61が軸心上に突設されている。ただし、突部61は、栓体20の後端面の凹部23に嵌合可能である。また、シール部材60の外周には、環状のシールリブ62、62…が平行に形成され、シール部材60の後端面には、ロッド51の前端の係止部54a付きの係止ロッド54に適合する嵌合穴63が軸心上に形成されている。なお、シールリブ62、62…は、シリンジ10の本体11の内径dに適合する。また、シール部材60は、本体11の狭窄部11aを後方から前方に向けて通過させることができる。
【0034】
そこで、プランジャ50は、シール部材60をロッド51の先端に連結してシリンジ10の後端から挿入し(図2)、シール部材60を介してシリンジ10の内面を液密にシールしながら、シリンジ10の後部の第2室R2 から中間部の狭窄部11aを経て前部の第1室R1 内にまでシール部材60を円滑に前進させることができる。
【0035】
かかる噴霧容器の使用手順は、たとえば次のとおりである。
【0036】
まず、シリンジ10の本体11の前端側から栓体20を中間部の狭窄部11aに装填し、狭窄部11aを弾発的に閉塞する(図3)。つづいて、本体11の後端側から、栓体20の後方の第2室R2 に所定量の溶解液Wを収納し、本体11の後端からシール部材60付きのプランジャ50を挿入して第2室R2 を封止する。その後、シリンジ10を上下反転して、本体11の前端側から栓体20の前方の第1室R1 に所定量の製剤Tを収納した上、本体11の前端にアダプタ40を介してノズルチップ30を装着する。なお、ノズルチップ30、アダプタ40の前端面は、共通のシール39によりあらかじめシールしておく。以上により、図2の初期状態を実現することができる。ただし、シール39は、ノズル孔33が開口するノズルチップ30の前面に直接接触することがなく、ノズル孔33の形状に影響を及ぼすおそれがない。
【0037】
製剤Tを使用するときは、ノズルチップ30、アダプタ40の前端面のシール39を剥離して、プランジャ50をシリンジ10内に押し込んで前進させる(図2の矢印方向)。このとき、栓体20は、第2室R2 内の溶解液Wを介してプランジャ50による圧力を受け、狭窄部11aの前方に抜け出て狭窄部11aを開通させる(図8)。したがって、第2室R2 内の溶解液Wは、栓体20の周囲の隙間や、栓体20の前端部の軸方向の切欠き21a、21a…を通って前方の第1室R1 に流入することができる(図8の矢印方向)。
【0038】
つづいて、プランジャ50をさらに前進させ、プランジャ50のシール部材60が狭窄部11aの前方の栓体20に当接すると(図9)、第2室R2 内の溶解液Wの全量が第1室R1 に流入する。なお、このとき、プランジャ50のストッパ53は、切欠き53cを介し、本体11の後端に当接してプランジャ50の挿入ストロークを規定する。また、シール部材60は、狭窄部11aに進入し、前端面の突部61が栓体20の後端面の凹部23に嵌合する。そこで、たとえば全体を左右に振ることにより(図9の矢印方向、二点鎖線)、第1室R1 内において製剤Tを溶解液Wに溶解させ、所定の濃度の薬液を調製することができる。
【0039】
その後、ストッパ53をプランジャ50から取り外して除去し、プランジャ50をさらに前進させると(図10の矢印方向)、シール部材60が狭窄部11aを通過して栓体20を押しながら第1室R1 内に前進し、第1室R1 内の薬液Tw の全量をノズルチップ30から外部に一挙に噴霧することができる。なお、以上のようにして、図2の準備状態から図9の調製状態を経て図10の噴霧状態にまでプランジャ50を前進させるときは、シリンジ10の指掛け12、12に人差指、中指を掛け、押し板52を親指で押すことにより、一般的な注射器と同様に片手操作が可能である。
【0040】
以上の説明において、本体11の後方の第2室R2 に溶解液Wを収納して第2室R2 を封止するとき、本体11の後端からシール部材60のみをプランジャ50から分離して挿入することができる。製剤Tを使用するときは、プランジャ50を本体11の後端から挿入し、プランジャ50を押し操作して本体11内においてプランジャ50の先端にシール部材60を連結させ、そのままプランジャ50の押し操作を継続してシール部材60を前進させればよい。
【0041】
また、プランジャ50のストッパ53は、プランジャ50を図9の挿入ストロークに規定し、その後、簡単に除去することができる限り、その全体形状を任意に変更可能である。プランジャ50の押し板52、シリンジ10の指掛け12、12などの形状についても、同様である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、鼻孔や口腔などに噴霧して投与する用時溶解形の製剤Tに対して広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0043】
T…製剤
W…溶解液
R1 …第1室
R2 …第2室
10…シリンジ
11a…狭窄部
11c…溝
20…栓体
23…凹部
30…ノズルチップ
50…プランジャ
53…ストッパ
60…シール部材
61…突部
特許出願人 伸晃化学株式会社

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間部に狭窄部を有する両端開放のシリンジと、前記狭窄部を閉塞する弾性体の栓体と、前記シリンジの前端に装着するノズルチップと、前記シリンジの後端から挿入するプランジャと、該プランジャの先端に連結する弾性体のシール部材とを備えてなり、前記シリンジは、前記栓体を前記狭窄部に装填し、前記栓体の後方の第2室に溶解液を収納して前記シール部材を後端から挿入し、前記栓体の前方の第1室に製剤を収納して前記ノズルチップを装着し、前記プランジャを前進させると、前記栓体が前進して前記狭窄部が開通し、前記プランジャが前記栓体に当接すると前記第2室の溶解液の全量が前記第1室に流入して製剤を溶解させることを特徴とする噴霧容器。
【請求項2】
前記シール部材は、前記プランジャから分離して前記シリンジに挿入することを特徴とする請求項1記載の噴霧容器。
【請求項3】
前記シール部材は、前記プランジャと連結して前記シリンジに挿入することを特徴とする請求項1記載の噴霧容器。
【請求項4】
前記プランジャは、前記第2室の溶解液の全量が前記第1室に流入するときの挿入ストロークを規定する取外し可能なストッパを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の噴霧容器。
【請求項5】
前記シール部材は、前記栓体の後端面の凹部に嵌合する突部を前端面に突設することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか記載の噴霧容器。
【請求項6】
前記シリンジは、軸方向の溝を後端部内面に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか記載の噴霧容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−489(P2013−489A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137127(P2011−137127)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000190068)伸晃化学株式会社 (55)
【Fターム(参考)】