説明

噴霧装置

【課題】制限状態であっても利用形態に応じた噴霧を行うことができる噴霧装置を提供する。
【解決手段】明暗入力ポート181の状態から噴霧装置1の周囲が明るいか否かを判断し(S26)、明るいと判断した場合、スプレーサイクルスイッチ42による噴霧タイマ設定値に基づいて噴霧タイミング用カウンターをセットしてスプレー回数カウンターをインクリメントする一方(S27)、噴霧装置1の周囲が暗いと判断した場合、スプレーサイクルスイッチ42による噴霧タイマ設定値の二倍の値を噴霧タイミング用カウンターをセットしてスプレー回数カウンターをインクリメントする(S28)。これにより、噴霧量を制限した制限モードでは、噴霧装置1の周囲が明るく噴霧量を制限しない非制限モードの場合と比較して、単位時間当たりの薬剤の噴霧量を半分とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スプレー缶から薬剤を噴霧させる噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、本体にセットされたスプレー缶から自動的に薬剤を噴霧させる噴霧装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この噴霧装置は、セットされたスプレー缶のノズルを所定時間毎に操作することで、当該スプレー缶の薬剤を定期的に噴霧できるように構成されている。
【0004】
このような噴霧装置においては、室内の光レベルによって、その噴霧形態を変更するものも知られている(例えば、特許文献2及び3)。
【0005】
具体的に説明すると、光レベルを利用することで、夜間は噴霧を停止する又は昼間は噴霧を停止するものや、室内が暗くなる不在時には噴霧間隔をデフォルト値とするものが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開2009−262014号公報
【特許文献2】登録実用新案第3045901号公報
【特許文献3】特開2004−530466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の噴霧装置にあっては、夜間等に噴霧量を制限することはできるが、この制限状態において、部屋の広さなど利用形態に応じた噴霧状態を形成することはできなかった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、制限状態であっても利用形態に応じた噴霧を行うことができる噴霧装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の噴霧装置にあっては、薬剤を間欠的に噴霧させる際に周囲の明るさ情報を参照する噴霧装置において、前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量を利用形態に応じて設定する設定手段と、前記明るさ情報に基づいて前記設定手段で設定された設定値を所定倍率で変更する変更手段と、前記設定値に基づいて前記薬剤を噴霧する噴霧手段と、を備えている。
【0010】
すなわち、利用形態に応じて薬剤の単位時間当たりの噴霧量を設定することで、この設定値に基づいて前記薬剤が噴霧される。
【0011】
具体的に薬剤が消臭剤や芳香剤で構成された場合を例に挙げて説明すると、薬剤の拡散範囲が広いリビングや比較的悪臭が発生し易いトイレやキッチン等で使用する際には、前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量が多くなるように設定することで、この設定値に基づいて薬剤が噴霧される。これにより、広い部屋や比較的悪臭の発生し易い場所であっても、薬剤による消臭効果や芳香効果を維持することができる。
【0012】
また、狭い部屋や悪臭等が発生し難い場所で使用する際には、前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量が少なくなるように設定することで、この設定値に基づいて薬剤が噴霧される。これにより、狭い場所や比較的悪臭の発生し難い場所においては、薬剤の消費量を抑えることができる。
【0013】
ここで、薬剤の単位時間当たりの噴霧量を変更する方法としては、例えば所定時間毎に噴霧される一回の噴霧量を変化させる方法や、間欠噴霧する際の間欠時間を変化させる方法や、一回の噴霧量及び間欠時間の両者を変更する方法が挙げられる。
【0014】
また、前記薬剤は、消臭剤や芳香剤に限定されるものでは無い。例えば防虫剤等であっても良く、この場合、室内で使用する場合や屋外で使用する場合など利用形態に応じて前記設定値を設定することができる。
【0015】
一方、設定された前記設定値は、明るさ情報に基づいて所定倍率で変更される。
【0016】
このため、例えば周囲の明るさが暗くなった際に前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量を前記所定倍率に従って少なくすることができる。これにより、周囲が暗くなる消灯時や外出時において、薬剤の噴霧量を抑えた制限状態を形成することができる。
【0017】
このとき、単位時間当たりの噴霧量を示す前記設定値は、前述したように部屋の広さ等の利用形態に応じて設定されており、この設定値が所定倍率で変更されることで、噴霧量の制限が行われる。
【0018】
このため、前記制限状態において、薬剤の噴霧量を抑えつつ、部屋の広さ等の利用形態に適した芳香消臭状態が維持される。
【0019】
なお、芳香剤や香料を利用してアロマセラピーを行う際には、周囲の明るさが暗くなった際に前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量が前記所定倍率に従って多くなるように設定することが有効である。
【0020】
また、請求項2の噴霧装置においては、前記変更手段は、前記明るさ情報から周囲が暗いと検知した際に前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量が少なくなるように前記設定値を前記所定倍率で変更する。
【0021】
このため、周囲の明るさが暗くなった際に前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量を前記所定倍率に従って少なくすることができる。
【0022】
これにより、部屋やリビングで使用する際には、消灯時や外出時での薬剤の噴霧量を抑えることができる。また、トイレや玄関で使用する際には、人がいない状態での噴霧量を抑えることができる。
【0023】
さらに、請求項3の噴霧装置では、前記薬剤を間欠噴霧させる際の間欠時間を前記設定値とするとともに、前記噴霧手段は、前記設定値ごとに前記薬剤を間欠噴霧する。
【0024】
すなわち、前記設定値は、前記薬剤を間欠噴霧させる際の間欠時間を示し、この設定値ごとに前記薬剤が間欠噴霧される。
【0025】
このため、所定時間毎に噴霧される一回の噴霧量を増減して単位時間当たりの噴霧量を変更する場合と比較して、噴霧前後における周囲の薬剤濃度が平均化される。
【0026】
加えて、請求項4の噴霧装置にあっては、前記明るさ情報より周囲が暗い状態から明るい状態に変化したと検知した際に前記薬剤を噴霧する変化時噴霧手段をさらに備えている。
【0027】
すなわち、周囲が明るくなった際に薬剤を強制的に噴霧することができる。
【0028】
このため、例えばトイレや玄関で使用する際には、トイレを使用する際又は帰宅した際に照明を付けたタイミングで芳香剤等が噴霧される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように本発明の請求項1の噴霧装置にあっては、単位時間当たりの噴霧量が抑えられた制限状態においても、部屋の広さや使用場所等の利用形態に応じて設定された設定状態を維持しつつ、薬剤の噴霧量を抑えることができる。
【0030】
このため、夜間等の噴霧制限時に、噴霧を停止したり、噴霧間隔をデフォルト値としてしまう従来と比較して、部屋の広さなど利用形態に応じた噴霧状態を確保することができる。
【0031】
これにより、部屋の広さ等の利用形態に適した薬剤効果を、噴霧制限時でも維持することができる。
【0032】
また、請求項2の噴霧装置においては、周囲の明るさが暗くなった際に薬剤の単位時間当たりの噴霧量を所定倍率に従って少なくすることができる。
【0033】
これにより、部屋やリビングで使用する際には、消灯時や外出時での薬剤の噴霧量を抑えることができる。また、トイレや玄関で使用する際には、人がいない状態での噴霧量を抑えることができ、利用可能時間を延ばすことができる。
【0034】
さらに、請求項3の噴霧装置では、薬剤を間欠噴霧させる際の間欠時間を設定値とすることで、この設定値ごとに薬剤を間欠噴霧することができる。
【0035】
このため、所定時間毎に噴霧される一回の噴霧量を増減して単位時間当たりの噴霧量を変更する場合と比較して、噴霧前後における周囲の薬剤濃度を平均化することができ、薬剤効果の均等化を図ることができる。
【0036】
加えて、請求項4の噴霧装置にあっては、周囲が明るくなった際に強制的に薬剤を噴霧することができる。
【0037】
このため、例えばトイレや玄関で使用する際には、トイレを使用する際又は帰宅した際に芳香剤等を噴霧することができ、薬剤による効果を必要なタイミングで発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同実施の形態の内部を示す説明図である。
【図3】同実施の形態の制御部を示す回路図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4に続くフローチャートである。
【図6】図5に続くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の一の実施の形態を図に従って説明する。
【0040】
図1は、本実施の形態にかかる噴霧装置1を示す図であり、該噴霧装置1は、図2にも示すように、スプレー缶2(エアゾール)に収容された薬剤を自動的に間欠噴霧する装置である。
【0041】
ここで、前記スプレー缶2中には、薬剤の他に噴射剤として窒素等の圧縮ガスやLPGのような液化ガスが配合されており、この噴射剤によって前記薬剤を噴霧できるように構成されている。また、このスプレー缶2に収容された薬剤としては、芳香剤や消臭剤や防虫剤や殺虫剤などが挙げられ、本実施の形態では、芳香消臭剤が充填されたスプレー缶2を使用する場合を例に挙げて説明する。
【0042】
この噴霧装置1の装置本体を形成するケース11は、図1及び図2に示すように、縦長の長方形状に形成されており、上方の両角部が丸められている。このケース11は、前面を構成する前ケース12と、後面を構成する後ケース13とによって形成されており、両ケース12,13で構成された天部14には、噴霧用開口部15が開設されている。
【0043】
前記前ケース12の中央下部には、押ボタン式のターボボタン21が設けられており、該ターボボタン21の上部には、テーパ状の凹部22が形成されている。該凹部22の底部は開口されており、この開口部内には、照度センサ23が設けられ、当該ケース11の周囲部の明るさを感知できるように構成されている。
【0044】
前記後ケース13の下部は、切欠されており、この切欠部は、蓋体によって開閉可能に閉鎖できるように構成されている(図示省略)。また、この切欠部からは、図2に示したように、前記スプレー缶2や乾電池31,31を交換できるように構成されている。
【0045】
この乾電池31,31が収容される電池収容部41の上部には、スライド式のスプレーサイクルスイッチ42が設けられており、該スプレーサイクルスイッチ42は、その操作部を「30分」位置43と、「45分」位置44と、「60分」位置45とにスライドできるように構成されている。これにより、通常時での薬剤噴霧の間欠時間を「30分」、「45分」又は「60分」に設定できるように構成されている。
【0046】
前記電池収容部41の裏側には、図外の制御基板が設けられており、該制御基板には、前記電池収容部41の乾電池31,31からの電源が供給されて作動する電子回路が構成されている。この制御基板には、缶スイッチ51が設けられており、該缶スイッチ51は、そのボタン部52が側方へ突出するように構成されている。
【0047】
また、前記制御基板には、床スイッチ61が設けられており、そのボタン部62が当該ケース11の底面63より下方へ突出するように構成されている。これにより、当該噴霧装置1が載置面に載置された状態で、前記床スイッチ61のボタン部62が載置面に接して後退するように構成されており、当該床スイッチ61がオン作動するように構成されている。
【0048】
前記電池収容部41の上部には、駆動機構71が設けられており、該駆動機構71は、モータ72で駆動されるように構成されている。この駆動機構71の上部からは、図2中右方へ向けて突出したノズル操作部73が延出しており、該ノズル操作部73は、支点74を中心として、その自由端部が上下駆動されるように構成されている。
【0049】
前記電池収容部41の図2中右方には、スプレー缶収容部81が形成されており、前記缶スイッチ51のボタン部52が当該スプレー缶収容部81内に突出するように構成されている。このスプレー缶収容部81には、前記スプレー缶2が交換可能に収容されるように構成されており、スプレー缶2が収容された状態で、当該スプレー缶2が前記缶スイッチ51のボタン部52を後退させオン作動できるように構成されている。
【0050】
このスプレー缶2は、前記薬剤を収容した缶本体91と、該缶本体91より延出した円筒状のノズル92とによって構成されており、該ノズル92の先端部には、噴霧アダプタ93が設けられている。該噴霧アダプタ93の上部には、側方へ延出する円板状の鍔部94が一体形成されており、当該噴霧アダプタ93を前記ノズル操作部73にセットした状態で、前記鍔部94より先端側が前記ノズル操作部73を貫通するとともに、前記鍔部94が前記ノズル操作部73と係合するように構成されている。
【0051】
このスプレー缶2は、上方へ向けて延出したノズル部92が後退方向へ押し下げられた際に、内部の薬剤を噴霧するように構成されており、当該スプレー缶2は、前記スプレー缶収容部81にセットした状態で、前記噴霧アダプタ93が前記ノズル操作部73と係合するとともに、ノズル先端が前記噴霧用開口部15の下部に位置するように構成されている。
【0052】
これにより、前記モータ72によって前記駆動機構71が動作し前記ノズル操作部73が前記スプレー缶2の前記ノズル92を押し下げた際には、当該ノズル92より噴霧された薬剤を前記噴霧用開口部15を介して外部へ噴霧できるように構成されている。
【0053】
前記スプレー缶2は、薬剤の噴霧を制御するバルブが定量バルブで構成されており、該定量バルブは、前記ノズル92の一回の押圧操作によって一定量の薬剤を噴霧するように構成されている。
【0054】
これにより、使用する乾電池31,31の出力電圧が低下して前記モータ72の回転速度が低下した場合であっても、該モータ72の回転速度と無関係に一定量の薬剤を噴霧することができるように構成されている。
【0055】
なお、本実施の形態では、前記定量バルブを内蔵したスプレー缶2を使用した場合に付いて説明するが、これに限定されるものではなく、ノズル92を押圧している間は薬剤を噴霧する通常のバルブを有したスプレー缶2を使用しても良い。
【0056】
図3は、前記制御基板に構成された電子回路101を示す図であり、当該電子回路101は、ROM及びRAMを内蔵したマイコン(マイクロコンピュータ)102を中心に構成されている。
【0057】
この電子回路101は、前記乾電池31,31からの電源を供給する為の電源回路111を備えており、該電源回路111は、整流ダイオード112、抵抗113,114、電解コンデンサ115、電源用IC116、及びコンデンサ117で構成されている。前記乾電池31,31の正極からは、モータ用電源VMTが直接供給されるように構成されており、前記整流ダイオード112のカソード側からはIC用電源VDDが供給されるように構成されている。
【0058】
前記整流ダイオード112のカソード側からの電源供給を受けた前記電源用IC116からは、照度センサ回路121に供給される基準電源2Vが供給されるように構成されている。
【0059】
前記マイコン102のクロック端子131には、コンパレータ132、抵抗134〜137、コンデンサ138で構成された発振回路139からのクロック信号が入力されており、このクロック信号に従って動作するように構成されている。
【0060】
前記マイコン102の電圧検知入力端子141には、電圧検知用IC142の出力が接続されており、該電圧検知用IC142は、前記電源回路111からIC用電源VDDが2.3Vを超えているか否かを判断するとともに、その判断結果を前記マイコン102に出力するように構成されている。
【0061】
また、前記マイコン102のターボスイッチ入力ポート151には、プルアップされた前記ターボスイッチ21aが接続されており、当該ターボスイッチ21aの操作状態を入力できるように構成されている。このターボスイッチ21aのボタン部は、前記ターボボタン21に接続されており、当該ターボボタン21と連動するように構成されている。これにより、該ターボボタン21が押下操作されている間は、前記ターボスイッチ21aがオン作動する一方、前記ターボボタン21の操作が解除された際には、前記ターボスイッチ21aがオフ作動するように構成されている。
【0062】
前記マイコン102の缶スイッチ入力ポート161には、前記缶スイッチ51が接続されており、当該缶スイッチ51の作動状態を入力できるように構成されている。また、前記マイコン102の床スイッチ入力ポート162には、前記床スイッチ61が接続されており、当該床スイッチ61の作動状態を入力できるように構成されている。
【0063】
さらに、前記マイコン102の入力ポート171,172には、前記スプレーサイクルスイッチ42が接続されており、当該スプレーサイクルスイッチ42による設定状態を入力できるように構成されている。
【0064】
そして、前記マイコン102の明暗入力ポート181には、前記照度センサ回路121からの出力が入力されており、当該装置本体1の周囲の明るさを検知できるように構成されている。
【0065】
この照度センサ回路121は、前記照度センサ23を備えてなり、該照度センサ23のカソード側には、前記基準電源2Vが供給されている。前記照度センサ23のアノードは、抵抗191,192及びコンデンサ193を介してオペアンプ194の反転端子に入力されており、該オペアンプ194の非反転端子には、分圧抵抗195,196を介して前記基準電源2Vが入力されている。
【0066】
このオペアンプ194の出力は、帰還抵抗201を介して前記非反転端子に接続されるとともに、前記マイコン102の前記明暗入力ポート181に接続されている。これにより、前記照度センサ23に入力された光量が所定値を以下の場合には、前記オペアンプ194から前記マイコン102に入力される信号が”H”に維持される一方、前記照度センサ23に入力された光量が所定値を超えた際に、前記オペアンプ194から前記マイコン102に入力される信号が”H”から”L”に変化するように構成されている。
【0067】
前記マイコン102の緑色出力端子211には、制限抵抗212を介して緑色発光ダイオード213が接続されており、前記マイコン102の黄色出力端子214には、制限抵抗215を介して黄色発光ダイオード216が接続されている。両発光ダイオード213,216は一体化されており、前記ターボボタン21のボタンの裏側に設けられている。
【0068】
前記マイコン102は、モータ駆動回路222に制御信号を出力することで、前記第一及び第二モータ接続端子242,244にハーネスを介して接続された前記モータ72を駆動できるように構成されている。
【0069】
図3は、そのモータ駆動回路222の一例を示すもので、前記モータ72を正逆転する場合には、以下のように構成する方法が挙げられる。
【0070】
すなわち、前記マイコン102の第一モータ出力端子221は、モータ駆動回路222を構成する第一トランジスタ223のベースに接続されており、第二モータ出力端子224は、前記モータ駆動回路222を構成する第二トランジスタ225のベースに接続されている。
【0071】
前記第一トランジスタ223のエミッタは、グランドラインに接続されており、抵抗231を介して前記モータ用電源VMTにプルアップされたコレクタは、第一FET232のゲートに接続されている。前記第二トランジスタ225のエミッタも、グランドラインに接続されており、抵抗233を介して前記モータ用電源VMTにプルアップされたコレクタは、第二FET234のゲートに接続されている。
【0072】
前記第一FET232のドレインは、前記モータ用電源VMTに接続されており、当該第一FET232のソースは、第三FET241のドレインに接続されるとともに第一モータ接続端子242に接続されている。前記第二FET234のドレインは、前記モータ用電源VMTに接続されており、当該第二FET234のソースは、第四FET243のドレインに接続されるとともに第二モータ接続端子244に接続されている。
【0073】
また、前記マイコン102の第三モータ出力端子251は、前記モータ駆動回路222を構成する前記第三FET241のゲートに接続されており、当該ゲートは抵抗252及びコンデンサ253を介してソースに接続されるとともにグランドラインに接続されている。前記マイコン102の第四モータ出力端子254は、前記モータ駆動回路222を構成する前記第四FET243のゲートに接続されており、当該ゲートは抵抗255及びコンデンサ256を介してソースに接続されるとともにグランドラインに接続されている。
【0074】
前記第一及び第二モータ接続端子242,244間には、コンデンサ261が接続されており、両モータ接続端子242,244は、ハーネスを介して前記モータ72に接続されている。
【0075】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図4〜図6に示すフローチャートに従って説明する。
【0076】
すなわち、当該噴霧装置1の電池収容部41に乾電池31,31がセットされ、前記マイコン102が作動してROMに記憶されたプログラムに従って動作を開始すると、マイコン102は、RAMの内容等を初期設定するとともに、ECOモードをオン状態に設定した後(S1)、スプレー噴霧回数を初期値とする(S2)。
【0077】
そして、缶スイッチ51の状態を検出し(S3)、スプレー缶収容部81にスプレー缶2がセットされておらず、前記缶スイッチ51がOFFの場合には、前記黄色発光ダイオード216を点滅することでオレンジ色の点滅を行って(S4)、前記ステップS3へ移行する。
【0078】
前記スプレー缶収容部81にスプレー缶2がセットされていて前記缶スイッチ51がONの場合には(S3)、前記床スイッチ61の状態から当該噴霧装置1が載置面に載置されているか否かを判断し(S41)、載置状態に無い場合には、前記黄色発光ダイオード216を点滅することでオレンジ色の点滅を行った後(S5)、前記ターボスイッチ21aがオン操作されているか否かを判断する(S6)。このとき、該ターボスイッチ21aが押されていない場合には、前記ステップS3へ分岐する一方、ターボスイッチ21aが押されていた場合には、当該ターボスイッチ21aが2秒以上押されているか否かを判断し(S7)、2秒以上押されていない場合には、ステップS19へ分岐して強制噴霧処理を行う。
【0079】
一方、前記ターボスイッチ21aが2秒以上押されていた場合には(S7)、ECOモードと通常モードとの切替操作であるため、現在の設定がECOモードの場合には、その設定を通常モードに切り替え、また現在の設定が通常モードの場合には、その設定をECOモードに切り替えるとともに前記緑色発光ダイオード213を所定時間点灯する(S8)。
【0080】
そして、現在の設定がECOモードであるか否かを判断し(S9)、ECOモードで無い場合には、ステップS3へ移行する一方、ECOモードの場合には、照度センサ23の初期データを取得して(S10)、前記ステップS3へ移行する。
【0081】
一方、前記ステップS41において、載置状態であると判断した際には、前記スプレーサイクルスイッチ42が操作されたか否かを入力変化の有無に基づいて判断し(S11)、前記スプレーサイクルスイッチ42が操作されていた場合には、当該スプレーサイクルスイッチ42による設定に従ってRAMに確保された設定値としての噴霧タイマ設定値を変更して(S12)、前記ステップS3へ移行する。
【0082】
具体的に説明すると、スライド式のスプレーサイクルスイッチ42が「30分」位置43に設定されていた場合には、前記噴霧タイマ設定値を30分とするとともに、前記スプレーサイクルスイッチ42が「45分」位置44に設定されていた場合には、前記噴霧タイマ設定値を45分に設定する。また、前記スプレーサイクルスイッチ42が「60分」位置45に設定されていた場合には、前記噴霧タイマ設定値を60分に設定する。
【0083】
そして、前記スプレーサイクルスイッチ42が操作されていない場合には(S11)、現在の設定がECOモードか否かを判断し(S13)、ECOモードで無い場合には、RAMに設定されたLED点灯用カウンターよりLEDの点灯タイミングか否かを判断し(S14)、前回のLED点灯から所定時間経過しておらずLEDの点灯タイミングで無いと判断した際には、前記LED点灯用カウンターをインクリメントして(S15)、前記ステップS6へ移行する。また、前回のLED点灯から所定時間経過しておりLEDの点灯タイミングであると判断した際には、前記緑色発光ダイオード213をグラディエーション点灯するとともに、前記LED点灯用カウンターを0リセットした後(S16)、RAMに設定された噴霧タイミング用カウンターをインクリメントする(S17)。
【0084】
次に、この噴霧タイミング用カウンターから噴霧タイミングであるか否かを判断し(S18)、噴霧タイミングで無い場合には、前記ステップS6へ分岐する一方、噴霧タイミングの場合には、前記床スイッチ61の状態から当該噴霧装置1が載置面に載置されているか否かを判断し(S19)、載置状態に無い場合には、前記ステップS3へ分岐する一方、載置状態である場合には、前記黄色発光ダイオード216を点滅することで噴霧警告を行った後、前記駆動機構71の前記モータ72を回転して前記ノズル操作部73で前記スプレー缶2の前記ノズル92を押し下げ、当該ノズル92より薬剤を噴霧する(S20)。
【0085】
このとき、前記電圧検知入力端子141の状態から前記IC用電源VDDが2.3Vを超えているか否かを判断し(S21)、前記IC用電源VDDが2.3V以下の場合には、その回数を示すRAMの電圧降下カウンターをインクリメントするとともに、この2.3V以下の判断が15回に達したか否かを判断し(S22)、15回に達していた場合には、電解コンデンサの放電を開始するとともに(S23)、電池寿命と判断して動作を停止する(S24)。
【0086】
前記IC用電源VDDが2.3Vを超えているか(S22)、又は2.3V以下の判断が15回に達していない場合には(S22)、ECOモードに設定されているか否かを判断し(S25)、ECOモードで無い場合には、ステップS27へ分岐する一方、ECOモードの場合には、前記明暗入力ポート181の状態から当該噴霧装置1の周囲が明るいか否かを判断する(S26)。
【0087】
当該噴霧装置1の周囲が明るいと判断した際に(S26)、前記スプレーサイクルスイッチ42に基づいて定められた噴霧タイマ設定値を噴霧タイミング用カウンターをセットしてRAMに設定されたスプレー回数カウンターをインクリメントする一方(S27)、当該噴霧装置1の周囲が暗いと判断した際には(S26)、前記スプレーサイクルスイッチ42に基づいて定められた噴霧タイマ設定値の二倍の値を前記噴霧タイミング用カウンターをセットして前記スプレー回数カウンターをインクリメントする(S28)。
【0088】
具体的に説明すると、当該噴霧装置1の周囲が明るいと判断した場合には、噴霧量を制限しない非制限モードとする。この場合において、スライド式のスプレーサイクルスイッチ42が「30分」位置43に設定されていた場合には、噴霧間隔の間欠時間を示す前記噴霧タイミング用カウンターに噴霧タイマ設定値とされた30分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を30分とする。
【0089】
また、前記スプレーサイクルスイッチ42が「45分」位置44に設定されていた場合には、前記噴霧タイミング用カウンターに噴霧タイマ設定値とされた45分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を45分とする。
【0090】
そして、前記スプレーサイクルスイッチ42が「60分」位置45に設定されていた場合には、前記噴霧タイミング用カウンターに噴霧タイマ設定値とされた60分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を60分とする。
【0091】
一方、当該噴霧装置1の周囲が暗いと判断した場合には、噴霧量を抑える制限モードに移行する。この場合において、スライド式のスプレーサイクルスイッチ42が「30分」位置43に設定されていた場合には、噴霧間隔の間欠時間を示す前記噴霧タイミング用カウンターに、噴霧タイマ設定値とされた30分の二倍である60分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を60分とする。
【0092】
このとき、一回の噴霧量は、前記非制限モードと前記制限モードとで同量とする。これにより、当該噴霧装置1の周囲が明るく噴霧量を制限しない非制限モードの場合と比較して、単位時間当たりの薬剤の噴霧量を半分とすることができる。
【0093】
また、前記スプレーサイクルスイッチ42が「45分」位置44に設定されていた場合には、前記噴霧タイミング用カウンターに噴霧タイマ設定値とされた45分の二倍である90分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を90分とする。これにより、当該噴霧装置1の周囲が明るく噴霧量を制限しない非制限モードの場合と比較して、単位時間当たりの薬剤の噴霧量を半分とすることができる。
【0094】
そして、前記スプレーサイクルスイッチ42が「60分」位置45に設定されていた場合には、前記噴霧タイミング用カウンターに噴霧タイマ設定値とされた60分の二倍である120分をセットし、次に噴霧が行われるまでの間欠時間を120分とする。これにより、当該噴霧装置1の周囲が明るく噴霧量を制限しない非制限モードの場合と比較して、単位時間当たりの薬剤の噴霧量を半分とすることができる。
【0095】
そして、前記スプレー回数カウンターよりスプレー回数が1400回に達したか否かを判断し(S29)、達していない場合には、前記ステップS3へ戻る一方、達していた場合には、前記黄色発光ダイオード216によるオレンジ発光と前記緑色発光ダイオード213による緑発光とを交互に繰り返すことでスプレー缶2の取り替え時期を示し(S30)、前記缶スイッチ51の状態からセットされているスプレー缶2の取り外しが確認できた際には(S31)、前記ステップS4へ移行する。
【0096】
また、前記ステップS13において、ECOモードに設定されていると判断した際には(S13)、前記明暗入力ポート181の状態から当該噴霧装置1の周囲の明るさに変化があったか否かを判断する(S32)。明るさに変化があった場合には、前記緑色発光ダイオード213を三回点滅して(S33)、暗い状態から明るい状態に変化したか否かを判断し(S34)、暗くなったと判断した場合には、前記ステップS3へ分岐する一方、明るくなったと判断した際には、前記ステップS19へ移行して、載置状態を確認した上で(S19)、噴霧処理を行う(S20)。
【0097】
これにより、前記ECOモードにおいて、周囲が暗い状態から明るくなった際には、当該噴霧装置1が載置されていることを条件として、前記定量バルブによる一定量前記薬剤が強制的に噴霧される。
【0098】
このため、当該噴霧装置1を例えばトイレで使用する際には、トイレを使用する際に照明を付けたタイミングで消臭芳香剤を噴霧することができる。また、当該噴霧装置1を例えば玄関で使用する際には、帰宅した際に照明を付けたタイミングで消臭芳香剤を噴霧することができる。これにより、消臭芳香剤による効果を、帰宅時やトイレ使用時などの必要なタイミングで得ることができる。
【0099】
一方、前記ステップS32にて明るさに変化が無いと判断した際には、前記LED点灯用カウンターよりLED点灯タイミングに達したか否かを判断し(S35)、前回のLED点灯から所定時間経過しておらずLEDの点灯タイミングで無いと判断した場合には、前記ステップS15へ分岐する。また、前回のLED点灯から所定時間経過しておりLEDの点灯タイミングであると判断した際には、前記黄色発光ダイオード216と前記緑色発光ダイオード213によってオレンジ色から緑色に変化する二色のグラディエーション点灯をするとともに、前記LED点灯用カウンターを0リセットした後(S36)、前記ステップS17へ移行する。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態では、前記サイクルスイッチ42を切り替えることによって噴霧される薬剤の単位時間当たりの噴霧量を利用形態に応じて設定することができ、この設定値に基づいて前記薬剤を噴霧することができる。
【0101】
具体的には、薬剤の拡散範囲が広いリビングや、比較的悪臭が発生し易いトイレやキッチン等で当該噴霧装置1を使用する際には、薬剤の単位時間当たりの噴霧量が多くなるように設定することで、この設定値に基づいて薬剤を噴霧することができる。これにより、広い部屋や比較的悪臭の発生し易い場所であっても、薬剤による消臭効果や芳香効果を十分に発揮することができる。
【0102】
また、狭い部屋や悪臭等が発生し難い場所で使用する際には、単位時間当たりの噴霧量が少なくなるように設定することで、この設定値に基づいて薬剤を噴霧できるため、狭い場所や比較的悪臭の発生し難い場所においては、薬剤の消費量を抑えることができる。
【0103】
ここで、薬剤の単位時間当たりの噴霧量を変更する方法としては、例えば所定時間毎に噴霧される一回の噴霧量を変化させる方法や、間欠噴霧する際の間欠時間を変化させる方法や、一回の噴霧量及び間欠時間の両者を変更する方法が挙げられる。
【0104】
そこで、本実施の形態では、間欠噴霧させる際の間欠時間を前記噴霧タイマ設定値とするとともに、この噴霧タイマ設定値ごとに薬剤を間欠噴霧するように構成することで、間欠噴霧する際の間欠時間を変化させる方法を採用した。
【0105】
このため、所定時間毎に噴霧される一回の噴霧量を増減して単位時間当たりの噴霧量を変更する場合と比較して、噴霧前後における周囲の薬剤濃度を平均化することができる。これにより、薬剤揮散量の経時的な変動を抑えることができ、薬剤効果の均等化を図ることができる。
【0106】
このとき、前記薬剤は、消臭剤や芳香剤に限定されるものでは無い。例えば防虫剤等であっても良く、この場合、室内で使用する場合や屋外で使用する場合など利用形態に応じて前記設定値を設定することができ、利便性の向上が図れる。
【0107】
そして、前記サイクルスイッチ42の状態に基づいて設定された噴霧タイマ設定値、つまり噴霧タイミング用カウンターにセットされる間欠時間は、前記照明センサ23で得られる明るさ情報に基づいて所定倍率、すなわち周囲が暗いときは周囲が明るいときの二倍に変更される。
【0108】
このため、前述したように周囲の明るさが暗くなった際には、単位時間当たりの噴霧量を1/2にすることができる。
【0109】
これにより、当該噴霧装置1を部屋やリビングで使用する際には、当該噴霧装置1の周囲が暗くなる消灯時や外出時において、薬剤の噴霧量を抑えた制限状態を形成することができ、消灯時や外出時での薬剤の噴霧量を抑えることができる。また、トイレや玄関で使用する際には、人がいない状態での噴霧量を抑えることができ、利用可能時間を延ばすことができる。
【0110】
このとき、単位時間当たりの噴霧量を決定する前記噴霧タイマ設定値は、前述したように部屋の広さ等の利用形態に応じて設定されており、この噴霧タイマ設定値が前述の倍率で変更されることで、噴霧量の制限が行われる。
【0111】
このため、前記制限状態において、薬剤の噴霧量を抑えつつ、部屋の広さや使用場所等の利用形態に適した消臭芳香状態が維持される。
【0112】
このように、単位時間当たりの噴霧量が抑えられた前記制限状態においても、部屋の広さや使用場所等の利用形態に応じて設定された設定状態を維持しつつ、薬剤の噴霧量を抑えることができる。
【0113】
このため、夜間等の噴霧制限時に、噴霧を停止したり、噴霧間隔をデフォルト値としてしまう従来と比較して、部屋の広さなど利用形態に応じた噴霧状態を確保することができる。
【0114】
これにより、部屋の広さや使用場所等の利用形態に適した薬剤効果を、噴霧制限時でも維持しつつ、当該効果を昼間と比較して抑えることができる。
【0115】
なお、芳香剤や香料を利用してアロマセラピーを行う際には、周囲の明るさが暗くなった際に薬剤の単位時間当たりの噴霧量が所定倍率に従って多くなるように設定することが有効である。
【符号の説明】
【0116】
1 噴霧装置
21a ターボスイッチ
23 照度センサ
102 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を間欠的に噴霧させる際に周囲の明るさ情報を参照する噴霧装置において、
前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量を利用形態に応じて設定する設定手段と、
前記明るさ情報に基づいて前記設定手段で設定された設定値を所定倍率で変更する変更手段と、
前記設定値に基づいて前記薬剤を噴霧する噴霧手段と、
を備えたことを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記明るさ情報から周囲が暗いと検知した際に前記薬剤の単位時間当たりの噴霧量が少なくなるように前記設定値を前記所定倍率で変更することを特徴とした請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記薬剤を間欠噴霧させる際の間欠時間を前記設定値とするとともに、前記噴霧手段は、前記設定値ごとに前記薬剤を間欠噴霧することを特徴とした請求項1又は2記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記明るさ情報より周囲が暗い状態から明るい状態に変化したと検知した際に前記薬剤を噴霧する変化時噴霧手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−115739(P2012−115739A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266088(P2010−266088)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000102544)エステー株式会社 (127)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】