説明

噴霧装置

【課題】流体噴射部と液体吐出部とが分離可能であっても、安定した霧化を実現することの容易な噴霧装置を提供する。
【解決手段】噴霧装置は、噴射ノズル11から流体を噴射する流体噴射部と、吐出ノズルから液体を吐出する液体吐出部とを備え、流体噴射部と液体吐出部とを分離可能に連結する連結構造を有している。液体は、噴射ノズル11からの流体の噴射によって、吐出ノズルから吐出されるとともに霧化される。流体噴射部には、その流体噴射部と液体吐出部との連結に伴って吐出ノズルに接するとともに噴射ノズル11と吐出ノズルとの相対位置を位置決めする位置決め部材51が設けられている。位置決め部材51は、第1突片55と、第2突片56とを備えている。吐出ノズルは、流体噴射部と液体吐出部との連結に伴って第1突片55と第2突片56とに挟持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば化粧水等の液体を噴霧する噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば美容や健康を目的とした化粧水等の液体を噴霧する噴霧装置としては、噴射ノズルから流体を噴射する流体噴射部と、吐出ノズルから液体を吐出する液体吐出部とが分離可能なセパレート方式のものが知られている(特許文献1参照)。液体吐出部には、液体を貯留した容器が装着されるようになっている。噴霧装置の使用時においては、流体噴射部と液体吐出部とが連結されることで、噴射ノズルと吐出ノズルとは、それらノズルが延びる方向が直交するように配置される。そして、噴射ノズルから流体が噴射されると、吐出ノズルの先端付近が減圧されることで、液体吐出部の流路を通じて液体が吸い上げられるとともに吐出ノズルから液体が吐出される。吐出した液体は、流体の噴射により霧化される。こうしたセパレート方式の噴霧装置では、流体噴射部と液体吐出部とを分離することで、例えば、上記容器を液体吐出部に脱着する作業を円滑に行うことができるようになる。また例えば、液体吐出部のみを洗浄することができるため、液体吐出部のメンテナンスが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−88781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した分離可能な噴霧装置において、液体の霧化が不安定になり、ひいては液体が霧化されないことがあった。本発明は、流体噴射部と液体吐出部とを連結した状態において、噴射ノズルと吐出ノズルとの相対位置がずれることで、液体の霧化が不安定になっていることを見出すことでなされたものである。
【0005】
本発明の目的は、流体噴射部と液体吐出部とが分離可能であっても、安定した霧化を実現することの容易な噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、噴射ノズルから流体を噴射する流体噴射部と、吐出ノズルから液体を吐出する液体吐出部とを備え、前記流体噴射部と前記液体吐出部とを分離可能に連結する連結構造を有し、前記流体の噴射によって前記液体が吐出及び霧化される噴霧装置であって、前記連結に伴って前記噴射ノズル又は前記吐出ノズルに接するとともに前記噴射ノズルと前記吐出ノズルとの相対位置を位置決めする位置決め部材を備えることを要旨とする。
【0007】
従来の噴霧装置では、例えば、流体噴射部と液体吐出部とを連結及び分離したり、液体を貯留する容器を液体吐出部に着脱したりする際に、ノズルに不要な力が加わることで流体噴射部又は液体吐出部においてノズルの先端の位置がずれるおそれがある。上記構成の噴霧装置では、流体噴射部と液体吐出部とを連結するに伴って、噴射ノズル又は吐出ノズルに接するとともに、それらノズルとの相対位置を位置決めする位置決め部材を備えている。これにより、流体噴射部又は液体吐出部においてノズルの先端の位置がずれたとしても、噴霧装置を使用する際には、噴射ノズルと吐出ノズルとの相対位置は、予め設定された所定位置に合わせられるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の噴霧装置において、前記位置決め部材は第1突片と第2突片とを備え、前記噴射ノズル又は吐出ノズルは前記連結に伴って前記第1突片と前記第2突片とに挟持されることを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、ノズルの位置が第1突片及び第2突片のいずれの方向にずれてしまったとしても、ノズルは予め設定された所定の位置に合わせられるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の噴霧装置において、前記連結構造がスライドにより連結される構造であり、前記位置決め部材は、前記第1突片と前記第2突片との間隙が前記スライドの方向に沿って延在するように前記流体噴射部に支持されることで、前記連結に伴って前記吐出ノズルが前記第1突片と前記第2突片との間隙に挿入されることを要旨とする。
【0010】
スライドにより連結される連結構造では、スライドの方向と直交する方向の寸法について、ある程度の余裕を持たせることで連結操作を円滑に行うことができるようになる。ところが、そうした寸法の設定は、流体噴射部と液体吐出部と相対位置の変化を招くことで、噴射ノズルと吐出ノズルとの位置ずれが発生し易くなるおそれがある。この点、上記の位置決め部材は、第1突片と第2突片との間隙がスライドの方向に沿って延在するように流体噴射部に支持されている。これにより、第1突片と第2突片との間隙に挿入された吐出ノズルは、スライドの方向に直交する方向から挟持されるため、スライドによる連結に基づく位置ずれは、好適に修正されるようになる。これにより、円滑な連結操作と、安定した霧化とを両立させることが容易となる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の噴霧装置において、前記第1突片の先端部と前記第2突片の先端部とにおいて対向する対向面が、それら突片の先端に向かうにしたがって離間していることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、第1突片と第2突片との間隙に吐出ノズルが挿入される際に、吐出ノズルは、第1突片又は第2突片の先端部により押圧されるとともに案内される。これにより、第1突片と第2突片との間隙に吐出ノズルが挿入され易くなるため、連結操作を円滑に行うことができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の噴霧装置において、前記位置決め部材は、前記噴射ノズルとその噴射ノズルが設けられる噴射部本体とに挟持される取付部を有し、前記取付部及び前記噴射部本体は、前記取付部が前記噴射ノズルの中心軸に対して周方向へ回動することを規制する規制部を備えることを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、取付部が噴射ノズルと噴射部本体とに挟持されることで、位置決め部材は噴射ノズルの延びる方向に対して傾斜し難くなる。しかも、規制部により取付部の回動が規制される。従って、位置決め部材の噴射ノズルに対する位置は、所定の位置となるように維持され易くなる結果、例えば、分離及び連結を繰り返した場合であっても、上記相対位置の位置決めの精度が維持され易くなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流体噴射部と液体吐出部とが分離可能であっても、安定した霧化を実現することの容易な噴霧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態の噴霧装置を示す分解斜視図。
【図2】(a)及び(b)は、位置決め部材及びその取付構造を示す分解斜視図。
【図3】噴霧装置を示す側面図。
【図4】噴霧装置を示す平面図。
【図5】噴霧装置を示す正面図。
【図6】(a)及び(b)は、位置決め部材の変更例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の噴霧装置を具体化した実施形態について図1〜図5に基づいて詳細に説明する。以下の説明において、X軸、Y軸、及びZ軸は、各図に矢印で示した方向を示している。
【0018】
図1に示されるように、噴霧装置は、先端に噴射ノズル11を有する流体噴射部12と、上方に延びる吐出ノズル31を有する液体吐出部32とが分離可能なセパレート方式の噴霧装置である。まず、流体噴射部12について説明する。
【0019】
流体噴射部12は、樹脂製のケーシング13に金属製の流路部材14が内蔵された噴射部本体15を備えている。ケーシング13は、X軸方向に沿って延びる第1ケーシング13aと第2ケーシング13bとが組み付けられることで形成されている。各ケーシング13a,13bは、XZ平面を分割面としてケーシング13を二分割した形状をなしている。ケーシング13の基端側は噴霧装置を使用する際に把持する把持部として構成される。ケーシング13の先端部から突設される金属製の噴射ノズル11は、X軸方向に沿って延びる流路を有し、全体として円錐状をなしている。この噴射ノズル11は、流路部材14に連結されることで、噴射ノズル11の流路は、流路部材14の流路に連通されている。ケーシング13の下面には、流路部材14に流体を流入する流入部16が突設されている。
【0020】
流入部16には、ホースを介して流体供給源が接続される(図示省略)。流体供給源としては、例えば、液化ガスボンベ又はエアコンプレッサが用いられる。流入部16から流入された流体は、流路部材14を通じて噴射ノズル11の先端から噴射されるようになっている。なお、本実施形態の流路部材14には、開閉弁及び絞り弁が設けられている(図示省略)。開閉弁は、ケーシング13の上面から突出している操作ボタン17を押圧することで開弁される。絞り弁は、ケーシング13の中間部位から露出する流量調整ダイヤル18を操作することで流路部材14の流路を通じる流体の流量が調整される。こうした開閉弁及び絞り弁を有する流路部材14は、特許文献1と同様の構成を採用することができる。
【0021】
続いて、流体噴射部12に支持される位置決め部材について説明する。
ケーシング13の先端部には、位置決め部材51が支持されている。位置決め部材51は、流体噴射部12と液体吐出部32との連結に伴って吐出ノズル31に接するとともに噴射ノズル11と吐出ノズル31との相対位置を位置決めするものである。こうした位置決め部材51は、噴射ノズル11の先端開口を基準とした所定の位置となるように流体噴射部12に支持される。
【0022】
図2(a)に示されるように、位置決め部材51は、環状をなす取付部52と、二股状の位置決め部53とがL字状の支持部54を介して一体に形成されている。取付部52の内周面には、一対の係止爪52aが突設されている。一対の係止爪52aは、Z軸方向に沿って対向して配置されている。一方、ケーシング13の先端開口部には、開口の周方向に沿った環状をなす突条19が形成され、突条19にはZ軸方向に沿って対向する一対の切り欠き部20が形成されている。各切り欠き部20は、ケーシング13の分割面、すなわち各ケーシング13a,13bの境界を利用して形成されている。
【0023】
図2(b)に示されるように、突条19に取付部52が外嵌されるとともに係止爪52aが切り欠き部20に係止されることで、噴射ノズル11の中心軸の周方向(X軸の周方向)に対する取付部52の回動が規制されるようになっている。そして、噴射ノズル11の基端部が流路部材14に螺着されることで、取付部52は噴射ノズル11とケーシング13とに挟持される。
【0024】
図2(a)及び図2(b)に示されるように、位置決め部53は、それぞれX軸方向に沿って延びる第1突片55及び第2突片56から構成されている。各突片55,56は、Y軸方向において吐出ノズル31の外径に合わせて離間して配置されることで、各突片55,56との先端の間隙から吐出ノズル31が挿入されるとともに各突片55,56の対向面55a,56aにより吐出ノズル31が挟持されるようになっている。また、各突片55,56の先端部は円弧状に形成されることで、各突片55,56の先端部における対向面55a,56aは、各突片55,56の先端に向かうにしたがって離間されている。図3に示されるように、位置決め部53は支持部54によって噴射ノズル11の先端下方に配置され、位置決め部53の先端は噴射ノズル11の先端よりも突出している。
【0025】
位置決め部材51の材質は、所望する機械物性等に応じて適宜選択することができるが、例えば寸法精度や剛性を高めることが容易であるという観点から、金属材料から形成されることが好ましい。
【0026】
次に、液体吐出部32について説明する。
図1及び図3に示されるように、液体吐出部32は、樹脂製の吐出部本体33と、その上部に設けられる吐出ノズル31とを備えている。吐出部本体33は、キャップ状をなし、液体を貯留する容器71の開口部に螺着されるように構成されている。吐出ノズル31は、Z軸方向に沿って延びるように設けられることで、吐出ノズル31の流路と噴射ノズル11の流路とは略直交するように配置される。なお、本実施形態の吐出ノズル31は、吐出部本体33に螺着されるとともに、その吐出ノズル31に設けられる回転操作部34により、Z軸の周りに回転させることができるようになっている。この回転操作部34で吐出ノズル31を時計回り又は反時計回りに回転させることによって、吐出ノズル31の先端の中心軸方向(Z軸方向)に沿った位置(上下位置)が調整される。なお、回転操作部34と吐出部本体33との間には圧縮コイルばねが介装され、吐出ノズル31の不要な回転が抑制されている。このような吐出ノズル31の中心軸方向に沿った位置を調整する位置調整機構は周知の機構であって、特許文献1に記載のものと同様の構成を採用することができる。こうした位置調整機構を備えた吐出ノズル31は、吐出部本体33から容易に取り外すことができるため、吐出ノズル31の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0027】
吐出ノズル31の下端にはチューブ72の基端が接続されている。このチューブ72の先端側は容器71内に配置される。容器71内には化粧水が貯留され、化粧水にチューブ72の先端側が投入される。なお、本実施形態の吐出部本体33は、容器71の開口部と液密に螺着されるようになっている。また、吐出部本体33の上部には、貫通孔(図示省略)が形成され、容器71内の圧力は略一定とされる。化粧水は、美容成分に基づいて、例えば、保湿、上皮細胞の増殖、抗酸化等の機能を発揮する。化粧水に含まれる成分は、天然成分であってもよいし、合成成分であってもよい。化粧水に含まれる成分の具体例としては、例えば、コラーゲン、EGF(上皮成長因子)等のタンパク質、ヒアルロン酸等のムコ多糖類、フラーレン、アミノ酸等が挙げられる。
【0028】
次に、噴射部本体15と吐出部本体33との連結構造について説明する。
図1に示されるように、ケーシング13の先端側には、逆T字状をなす第1連結部21が垂設されている。第1連結部21は、XY平面を有するスライド部22と、ケーシング13の先端側下面に設けられるとともにスライド部22を支持するブラケット23とを備えている。なお、第1連結部21は、各ケーシング13a,13bと一体に成形されるとともに、各ケーシング13a,13bを組み付けることで形成されている。
【0029】
一方、吐出部本体33には、スライド部22のX軸方向に沿ったスライドにより挿入される第2連結部35が設けられている。第2連結部35は、吐出部本体33の上面36と、X軸方向に沿って延びる一対のガイド片37とを備え、ガイド片37の間にスライド部22が挿入されると、スライド部22のZ軸方向(上下方向)への移動が規制されるようになっている。詳述すると、各ガイド片37は逆L字状をなし、各ガイド片37と吐出部本体33の上面36とにより、スライド部22の両側部が挟み込まれるようになっている。そして、スライド部22は、その先端が第2連結部35の内奥を形成する立壁38に当接されるまでスライドされることで、噴射部本体15と吐出部本体33とが連結される。
【0030】
なお、噴射部本体15と吐出部本体33との連結に伴ってスライド部22と吐出部本体33とが係止されるとともに、第2連結部35からスライド部22を抜き出す分離操作に伴って前記係止が解除される係止部を設けてもよい。例えば、吐出部本体33の上面36とスライド部22の下面とに形成した凹凸を係止部として係止させることができる。こうした係止部を設けることで、第2連結部35からスライド部22が抜け出すことを抑制することができる。
【0031】
次に、本実施形態の噴霧装置の作用を説明する。
噴霧装置を使用するには、流入部16に流体供給源を接続するとともに、化粧水の貯留された容器71を吐出部本体33に取着する。本実施形態では、化粧水の噴霧に適している液化炭酸ガスボンベを液体供給源として用いる。次に、流体噴射部12と、液体吐出部32とを連結すべく、ガイド片37の間にスライド部22を挿入させる。
【0032】
ここで、図4及び図5には、各突片55,56の間隙に挿入される前の吐出ノズル31の位置を二点鎖線で示している。図4及び図5では、説明を分かり易くするため、吐出ノズル31の位置ずれの度合いを誇張して示している。この状態では、吐出ノズル31の開口中央は噴射ノズル11の開口中央に対して第1突片55側にずれている。続いて、スライド部22をガイド片37の間でスライドさせるに伴って、吐出ノズル31は、第1突片55に接触するとともに第2突片56に向かって押圧される。そして、吐出ノズル31は第1突片55と第2突片56との間隙に挿入される。スライド部22を立壁38に当接するまでスライドさせた状態では、吐出ノズル31は、各突片55,56によってスライドの方向(X軸に沿った方向)に直交する方向から挟持される。これにより、スライドの方向に直交する方向(Y軸に沿った方向)において、吐出ノズル31の開口中央は噴射ノズル11の開口の略中央となる所定位置に配置される。
【0033】
上述した連結操作において、吐出ノズル31は、第1突片の先端部の対向面55aにより押圧されるとともに案内されながら、各突片55,56と間隙に挿入される。このため、第1突片55の先端に吐出ノズル31が引っ掛かり難くなる結果、円滑な連結操作が実現されるようになる。
【0034】
なお、図4及び図5では、吐出ノズル31が第1突片55側にずれている場合について説明したが、吐出ノズル31が第2突片56側にずれている場合についても、同様の作用が得られるため説明を省略する。
【0035】
噴霧装置により化粧水を霧化するには、ケーシング13の基端側を把持するとともに操作ボタン17を押圧することで流体を噴射ノズル11から噴射させる。炭酸ガスの噴射により、吐出ノズル31の先端付近が減圧されることで、容器71内の化粧水を吸引する吸引力が作用する。この吸引力により、化粧水がチューブ72を通じて吸い上げられることで、吐出ノズル31から化粧水が吐出される。吐出された化粧水は、炭酸ガスの噴射により霧化されるとともに、炭酸ガスの噴出される方向へ放出される。このとき、吐出ノズル31の開口の中央は、Y軸に沿った方向において噴射ノズル11の開口の略中央となる所定位置に配置されている。このため、炭酸ガスの噴射に伴って、化粧水を吸引する吸引力が十分に得られるとともに、吐出された化粧水に炭酸ガスが十分に混合されることで、化粧水の安定した霧化が実現される。霧化されるとともに放出された化粧水は、顔等に吹き付けられることで、化粧水に含まれる美容成分が皮膚等に作用する。
【0036】
容器71内の化粧水を使い切ったり、別の化粧水を用いたりする場合には、流体噴射部12と液体吐出部32とを分離した後に、吐出部本体33から容器71を取り外す。続いて、化粧水を補充した容器71や種類の異なる化粧水が貯留された容器71を吐出部本体33に取着する。その後、噴射部本体15と吐出部本体33と連結することで、噴射ノズル11と吐出ノズル31との相対位置は、位置決め部材51により位置決めされる。すなわち、流体噴射部12と液体吐出部32との分離及び連結を繰り返したとしても、噴射ノズル11に対する吐出ノズル31の位置は、予め設定された所定の位置に合わせられるようになる。
【0037】
本実施形態によって発揮される効果について以下に記載する。
(1)例えば、液体吐出部32を流体噴射部12から分離させて容器71を液体吐出部32に着脱する際に、吐出ノズル31に不要な力が加わることで吐出部本体33に対して吐出ノズル31の先端の位置がずれるおそれがある。この点、上記噴霧装置では、位置決め部材51が設けられているため、噴射ノズル11に対する吐出ノズル31の位置は、位置決め部材51によって予め設定された所定の位置に合わせられるようになる。従って、流体噴射部12と液体吐出部32とが分離可能であっても、安定した霧化を実現することが容易となる。
【0038】
(2)位置決め部材51は、吐出ノズル31を、第1突片55及び第2突片56により挟持させることで位置決めする構成であるため、吐出ノズル31の位置が各突片55,56のいずれの方向にずれた状態であっても、吐出ノズル31は予め設定された所定の位置に合わせられるようになる。従って、安定した霧化を実現することがさらに容易となる。
【0039】
(3)上記のようにスライドにより連結される連結構造では、スライドの方向と直交する方向の寸法について、ある程度の余裕を持たせることで連結操作を円滑に行うことができるようになる。ところが、そうした寸法の設定は、噴射部本体15と吐出部本体33と相対位置の変化を招くことで、噴射ノズル11と吐出ノズル31との位置ずれが発生し易くなるおそれがある。この点、本実施形態の位置決め部材51は、第1突片55と第2突片56との間隙がスライドの方向に沿って延在するように流体噴射部12に支持されている。これにより、吐出ノズル31は、各突片55,56により、スライドの方向に直交する方向から挟持されるため、スライドによる連結に基づく位置ずれは、好適に修正されるようになる。従って、円滑な連結操作と、安定した霧化とを両立させることが容易となる。
【0040】
(4)対向面55a,56aは、第1突片55の先端部と第2突片56の先端部とにおいて先端に向かうにしたがって離間している。この構成によれば、各突片55,56の間隙に吐出ノズル31が挿入される際に、吐出ノズル31は、第1突片55の先端部又は第2突片56の先端部により案内される。これにより、各突片55,56との間に吐出ノズル31が挿入され易くなるため、連結操作を円滑に行うことができる。特に、位置決め部材51により予め設定された相対位置に対して吐出ノズル31のずれが比較的大きくなった場合に、円滑な連結操作を実現するうえで有効である。
【0041】
(5)取付部52が噴射ノズル11と噴射部本体15とに挟持されているため、位置決め部材51は噴射ノズル11の延びる方向に対して傾斜し難くなる。しかも、係止爪52aが切り欠き部20に係合することで、取付部52の回動が規制される。従って、位置決め部材51の噴射ノズル11に対する位置は、所定の位置となるように維持され易くなる結果、例えば、分離及び連結を繰り返した場合であっても、上記相対位置の位置決めの精度が維持され易くなる。
【0042】
(6)各ケーシング13a,13bの境界を利用して切り欠き部20を形成することで、係止爪52aが係止される構成、すなわち取付部52の回動を規制する規制部を容易に設けることができる。
【0043】
(変更例)
なお、上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。
・前記取付部52は環状に形成されているが、例えばU字状等に変更して、噴射ノズル11とケーシング13とに挟持させてもよい。また、前記取付部52は、噴射ノズル11とケーシング13とに挟持されているが、噴射ノズル11と流路部材14とに挟持させてもよい。この場合、切り欠き部20を流路部材14に設けることで、取付部52の回動を規制する規制部として構成することもできる。
【0044】
・前記係止爪52aは一対設けられているが、いずれか一方の係止爪52aを省略することで、取付部52の回動を規制することもできる。前記係止爪52a及び切り欠き部20は、Z軸方向に沿った位置に配置されているが、例えばY軸方向に沿った位置に配置してもよい。
【0045】
・取付部52の回動を規制する規制部は係止爪52a及び切り欠き部20に限定されず、例えば突条19に突起を設けるとともに、その突起が係止される凹部や孔を取付部52に形成した構成に変更してもよい。また、ケーシング13に突起を設けるとともに、その突起が係止される凹部や孔を取付部52に形成した構成に変更してもよい。このように、規制部を変更することで、前記突条19を省略することもできる。
【0046】
・前記位置決め部材51は、取付部52により流体噴射部12に取着されているが、取付部52を省略し、噴射ノズル11又はケーシング13と一体に成形することで位置決め部材51を設けることもできる。但し、位置決め部材51に好適な材質を選択することや位置決め部材51の成形を容易にするという観点から、位置決め部材51を流体噴射部12とは別体で成形して設ける構成が好ましい。
【0047】
・例えば、噴射ノズル11よりも吐出ノズル31の位置ずれが生じ難い場合では、位置決め部材を液体吐出部に設けることで、吐出ノズルの位置を基準として吐出ノズルと噴射ノズルとの相対位置を位置決めするように構成することもできる。
【0048】
・スライドにより連結される連結構造として、流体噴射部12にガイド片37を設けるとともに、液体吐出部32にスライド部22を設ける連結構造を採用することもできる。また、前記実施形態のスライドさせる方向は、噴射ノズル11の延びる方向(X軸方向)に沿った方向とされているが、吐出ノズル31の延びる方向(Z軸方向)に沿った方向にスライドさせるべくガイド片37等を設けることもできる。
【0049】
・前記実施形態では、スライドにより連結される連結構造を採用しているが、これに限定されず、例えば凹凸の嵌合による連結等のスライドを伴わない連結構造に変更することもできる。すなわち、どのような連結構造であっても、例えば流体噴射部12と液体吐出部32と分離して取り扱うに際して、ノズルに不要な力が加わることでノズルの位置ずれが生じるおそれがある。従って、位置決め部材を設けることが有効となる。
【0050】
・各突片55,56の全体にわたって対向面55a,56a等間隔となるように各突片55,56を構成してもよい。
・図6(a)及び図6(b)に二点鎖線で示されるように、例えば、噴射ノズル11に対して吐出ノズル31が一方向に位置ずれし易い場合では、第1突片55及び第2突片56のいずれか一方を省略することで、位置決め部材51の構造を簡素化することもできる。
【0051】
・前記ケーシング13は、XZ平面を分割面として二分割された形状をなしているが、例えば分割面をYZ平面としてもよいし、三分割以上に分割された形状としてもよい。また、ケーシング13を省略し、流路部材14自体を噴射部本体として流体噴射部を構成してもよい。この場合、流体噴射部の把持を容易にすべく、流路部材14に把持部を連結してもよい。
【0052】
・前記実施形態では、流路部材14に開閉弁及び絞り弁を設けているが、開閉弁及び絞り弁の少なくとも一方を流入部16よりも上流側に設ける構成に変更してもよい。
・前記噴霧装置では、液体として化粧水を用いているが、液体として塗料を用いることで、塗装を目的とした噴霧装置として利用することもできる。
【0053】
上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記液体吐出部は、前記吐出ノズルをその中心軸方向に沿った位置を変更する変更機構を有してなり、前記噴射ノズルに対する前記吐出ノズルの先端の位置を調整可能とした噴霧装置。
【符号の説明】
【0054】
11…噴射ノズル、12…流体噴射部、15…噴射部本体、20…切り欠き部(規制部)、31…吐出ノズル、32…液体吐出部、51…位置決め部材、52…取付部、52a…係止爪(規制部)、55…第1突片、55a,56a…対向面、56…第2突片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴射ノズルから流体を噴射する流体噴射部と、吐出ノズルから液体を吐出する液体吐出部とを備え、前記流体噴射部と前記液体吐出部とを分離可能に連結する連結構造を有し、前記流体の噴射によって前記液体が吐出及び霧化される噴霧装置であって、
前記連結に伴って前記噴射ノズル又は前記吐出ノズルに接するとともに前記噴射ノズルと前記吐出ノズルとの相対位置を位置決めする位置決め部材を備えること特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
前記位置決め部材は第1突片と第2突片とを備え、前記噴射ノズル又は吐出ノズルは前記連結に伴って前記第1突片と前記第2突片とに挟持されることを特徴とする請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記連結構造がスライドにより連結される構造であり、
前記位置決め部材は、前記第1突片と前記第2突片との間隙が前記スライドの方向に沿って延在するように前記流体噴射部に支持されることで、前記連結に伴って前記吐出ノズルが前記第1突片と前記第2突片との間隙に挿入されることを特徴とする請求項2に記載の噴霧装置。
【請求項4】
前記第1突片の先端部と前記第2突片の先端部とにおいて対向する対向面が、それら突片の先端に向かうにしたがって離間していることを特徴とする請求項3に記載の噴霧装置。
【請求項5】
前記位置決め部材は、前記噴射ノズルとその噴射ノズルが設けられる噴射部本体とに挟持される取付部を有し、前記取付部及び前記噴射部本体は、前記取付部が前記噴射ノズルの中心軸に対して周方向へ回動することを規制する規制部を備えることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の噴霧装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−125664(P2012−125664A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276905(P2010−276905)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(599083411)株式会社 MTG (16)
【Fターム(参考)】