説明

噴霧装置

【目的】 ガスボンベを使用する噴霧装置に対し、ボンベ内の噴霧液体を微霧化し、液垂れを防止し得る機能を具備せしめることである。
【構成】 ガスボンベからニードル弁に至る流路を段階的に絞り、ニードル弁の二次側に、噴霧液体を溜める霧化予備室を設け、該霧化予備室先端に微細な噴霧孔を穿設してなり、ガスボンべから供給される薬液を流路に設けた絞り部により段階的に絞って、微霧化に適した量をニードル弁に供給し、霧化予備室を通過する際に薬液とガスとの混合バランスを整えた後噴霧孔から噴霧する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 この考案は、ガスボンベ内に収容される噴霧液体を、同ガスボンベ内に封入したガスの圧力を利用して微細な霧状態にて噴霧する噴霧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば殺虫剤等の噴霧液体を噴霧する為に製造されるガスボンベは、缶容器の内部に殺虫剤となる薬液と、噴出圧力を確保するためのガスとなるフロンガスやLPガス等を封入して構成してある。
上記ガスボンベの上部にはバルブ機構が設けられ、このバルブ機構に合成樹脂等から成形した簡易ノズルを取り付けて構成してある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記したようなガスボンベを利用して殺虫剤等の液体を噴霧する際には、ノズルを押してバルブ機構を開き、内部に封入したガスの圧力により、上記ノズルからガスを吹き出し、この吹き出し流と共にボンベ内の薬液をノズル孔から噴出して霧化している。
しかし、上記した如きガスボンベは、ボンベ内の圧力が高い割りに、ノズルから噴出するガスの流量が少ないため、ノズルから噴霧される霧の粒子がどうしても荒くなる特性がある。また、噴霧の開始と終了の際に霧化が確実に行なわれないことから、ノズルから液垂れを生じることがあった。
【0004】
したがって、家ダニなどの駆除のために、上記ガスボンベを使用して室内に殺虫剤の噴霧を行なうと、荒い霧と液垂れの為に室内の家具類を酷く濡らしてしまうことがあり、殺虫剤の噴霧の跡がカーペットやテーブルなどに残ってしまう問題があった。
また、ガスボンベ内の圧力は、使用と共に封入ガスの量が少なくなるのに伴って低下するが、その圧力低下と共にノズルから噴霧される霧の状態が変化し、最終段階では殺虫剤が水鉄砲のように噴出させることもある。
【0005】
本考案の目的は、上記したように、噴霧液体と共に圧力ガスを封入して成るガスボンベを使用して噴霧を行なう噴霧装置に対し、ボンベ内の噴霧液体を微霧化すると共に、その微霧な噴霧状態をガスボンベのガスが終了するまで維持して液垂れを防止し得る機能を具備せしめることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本考案は、ガスボンベ内に収容される噴霧液体を、同ガスボンベ内に封入したガスの圧力を利用し、ニードル弁を具備する噴霧ガンにより噴霧する装置であって、上記ガスボンベからニードル弁に至る流路を段階的に絞ると共に、ニードルの先端をテーパ状の弁孔に対して抜き差し自在に嵌挿して構成したニードル弁の二次側に、噴霧液体を通過させる孔状の霧化予備室を設け、該霧化予備室先端に微細な噴霧孔を穿設してなるものである。
【0007】
また、上記噴霧装置は、噴霧ガン本体にニードル弁の開度を調節する開弁調節機構を設けるとよい。
【0008】
さらに上記噴霧装置は、噴霧ガン本体内部と、ガスボンベ接続口に接続する開閉バルブとの内部に、流路の絞り部を設けてもよい。
【0009】
【作用】
以上の手段によれば、ガスボンベ内に収容される噴霧液体は、同ボンべ内に封入されるガスの圧力により、流路内をニードル弁へ向けて流動し、同流路内に設けられる各絞り部により段階的に通過流量が絞られ、ガスボンベから噴出するガスにより行なう微霧化に適した量の噴霧液体がニードル弁に対して供給される。
上記流路内を通過してニードル弁まで供給された噴霧液体は、弁孔に嵌挿されるニードルが後退して同ニードル弁が開弁されることにより孔状の霧化予備室にガスと共に流れ込む。そして、噴霧液体とガスとは、上記霧化予備室を通過することにより、相互の混合バランスが整えられた後、微細な噴霧孔から噴出して微細な霧となって吹き出される。
また、噴霧ガン本体に開弁調節機構を設けたものにおいては、上記開弁調節機構を調節することにより、ニードル弁の開度を調節してニードル弁を通過して噴出される噴霧液体とガスの流量を変化させることができる。
【0010】
【実施例】
以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3にて示す噴霧装置は、殺虫剤を収容したガスボンベaと、ニードル弁10を具備する噴霧ガン1との間をホース2にて連絡して成る。
ガスボンベaは、缶容器の内部に殺虫剤となる薬液と、LPガスを封入して成り、ボンベの上端部に設けた接続口a1に開閉バルブ3を螺嵌して接続する(図3)。ガスボンベa内の上部にはバルブ機構(図示せず)が設けられ、該バルブ機構に連絡する先端パイプa2が上記接続口a1の中心部を貫通して上方へ突出している。また、ガスボンベaのバルブ機構(図示せず)は、上記先端パイプa2を押し下げることにより開弁する様に構成してある。
【0011】
上記ガスボンベaの接続部a1に接続する開閉バルブ3は、上記接続部a1に螺嵌接続する筒状のバルブ本体31と、該バルブ本体31の上端口内に上方から螺嵌する開閉ネジ32とを具備している。上記開閉ネジ32は、その下端部をバルブ本体31の内部にパッキン33を介して嵌挿し、軸芯部に穿設した孔34にガスボンベaの先端パイプa2が嵌入されるように構成してある。
また、上記開閉ネジ32の上端口には、略L時形に屈曲させた接続管35の下端をリング状のパッキン36を介して回転自在に嵌挿すると共に、同接続管35の外周に嵌着した止めリング37を筒形の止めナット38により上方から押えて抜け止めをしている。
上記したように接続管35と、ガスボンベaの先端バイプa2が内嵌される開閉ネジ32の内部孔の中間部には、絞り部c1を形成し、その中心部に上記先端パイプa2の内径よりも細い通孔c11を穿設してある。
【0012】
従って、上記したように構成される開閉バルブ3は、バルブ本体31の下端口をガスボンベa1の接続部a1に螺嵌することにより接続し、さらに開閉ネジ32を締め込むことにより、同開閉ネジ32に設けた絞り部c1が先端パイプa2の先端部を押し下げて同バルブ3を開弁状態とする。
また、液剤とガスの流路となる開閉ネジ32の内部孔に設けた絞り部c1は、流路を流れる液剤とガスの流量を約半分に絞るような内径に設定してある。
上記開閉バルブ3の接続管35の上端口にはホース2を接続し、ガスボンベaと噴霧ガン1とを連絡してある。
【0013】
噴霧ガン1は、ニードル弁10のニードル10aを内装する略筒状の本体11と、該本体11に接続される握り部12とから構成される(図2)。
握り部12には接続管13を内嵌し、該接続管13の下端口を握り部12の下端から突出させて接続口13aを構成する。上記接続口13aにはホース2の端部を接続する。また、上記接続管13の上端口は、本体11の外周から分岐させた本体分岐部11a5に螺合接続してある。
【0014】
噴射ガン1本体11の前端口には長いノズル管15を螺合接続してある。そして、上記ノズル管15と本体11との軸芯部に沿って穿設した孔15a,11aの内部に、ニードル弁10のニードル10aをスライド自在に挿入してある。
また、本体11の後端口には蓋体16を螺合すると共に、該蓋体16の軸芯部に調節摘み17を螺嵌してある。これにより、上記調節摘み17の先端と、本体11軸芯部に沿って嵌挿されるニードル10aの後端とは所定の間隙を介して対向する。
【0015】
ニードル10a後端と調節摘み17先端との間にはコイルスプリング18を弾装してあり、このコイルスプリング18の弾性力によりニードル10aを常時前方へ向けて付勢している。
本体11の中間部には引金19を振動自在に軸着し、該引金19を引いてニードル10aに横通させたピン20を後方へ移動させることにより、上記ニードル10aをコイルスプリング18の付勢力に抗して後退させるように構成してある。
【0016】
一方、噴霧ガン1が具備するニードル弁10は、上記したニードル10aとノズル管15中芯部に沿って穿設した孔15aの先端部形成されるテーパ状の弁孔10bとにより構成してある。そして、軸芯方向に長い円錐形のニードル10a先端部が、そのニードル形状に対応する弁孔10bに対してぴったりと嵌挿されることにより閉弁状態を保つように構成してある。
また、ニードル弁10は、前記したように引金19を引いてニードル10aを後退させることにより、ニードル10a先端と弁孔10bとの間に間隙が生じて開弁する(図2の状態)。
【0017】
上記ニードル弁10の二次側には、上記ニードル弁10と同芯する細孔を穿設して霧化予備室4を構成している。霧化予備室4は、ニードル弁10から供給される液剤とガスとを通過させることにより両者の混合バランスを取るための空間であり、適宜な孔径と長さに設定してある。
さらに、上記霧化予備室4の先端部には微細な噴霧孔5を上記ニードル弁10と同芯させて穿設してある。
【0018】
上記ニードル弁10と握り部12下端の接続口13aとを連絡する流路は、接続管13の孔21と、本体11内に沿って穿設される通孔22と、ニードル10a外周面とノズル管15の孔15a内周面との間に形成される間隙23とを順番に連通させることにより構成し、夫々の連通部には絞り部c2及びc3を設けてある。
【0019】
接続管13の孔21と本体11内の通孔22との連通部に設けられる絞り部c2は、接続管13の孔21上端部に小径な第1絞り孔c21と、更に小径な第2絞り孔c22とを二段階に穿設して構成してある。
また、本体11の孔22とノズル管15の間隙23との間に設ける絞り部c3は、ノズル管15の後端部の外周に沿って形成したリング状の流路c31と間隙23との間を径方向に穿設した横小孔c32により連絡してある。
また、ノズル管15の後端面と本体11との間にテフロン製のスペーサ25を介在させて流路c30を形成し、該流路c30により、上記流路c31と本体11内の孔22とを連通せしめてある。
上記した絞り部c3は、横小孔c32の径を小径にすることによる絞り効果と、孔22、流路c30、流路c31、横小孔c32、間隙23と流路を直角に屈曲させながら蛇行させることによる流路抵抗の増加とにより、薬液とガスの流れを効果的に抑えることができる。
【0020】
以上の如く構成した噴霧装置は、開閉バルブ3の開閉ネジ32を回すことによりガスボンベaに内蔵されるバルブ機構(図示せず)が開弁し、ボンベa内の薬液及び封入ガスがホース2を介して噴霧ガン1に供給される。
ガスボンベaから流路を介して噴霧ガン1のニードル弁10へ向けて圧送された薬液は、開閉バルブ3及び噴霧ガン1内に設けた各絞り部c1,c2,c3を通過することにより段階的に流量が絞られ、最終的には微霧化に適した供給量までに低減される。
【0021】
引金19を引くと、ニードル10aが後退してニードル弁10が開弁し、同弁10の一次側に供給される液材が霧化予備室4に流れ込む。
霧化予備室4に流れ込んだ液材とガスは、同予備室4を通過する間に混合バランスが整えられ、その後、微細な噴霧孔5を通過して微細な霧として噴霧される。
【0022】
ガスボンベaの圧力は、使い初めと終とで変化するが、比較的圧力の高い使い初めには噴霧ガン1の調節摘み17を締めてニードル弁10の開度を小さめにした状態で噴霧を行なう。
また、ガスボンベa内の封入ガスが少なくなるに連れて圧力が低下した際には、上記調節摘み17を開いてニードル弁10の開度を大きくした状態で噴霧する。
上記したような調整を段階的に繰り返すことにより、噴霧孔5から噴霧される霧を常に微細な状態に保ち、液垂れを効果的に防止することができる。
【0023】
【考案の効果】
本考案は以上説明したように、ガスボンベから供給される噴霧液体とガスとを、流路に設けた各絞り部により段階的に絞ってニードル弁に供給される噴霧液体の流量を微霧化に適した量まで十分に絞った後、ニードル弁の二次側に形成した霧化予備室を通過させることにより、噴霧液体とガスとの混合バランスを取り、その後、微細な噴出孔より噴出するように構成したものであるから、噴霧の開始と同時に、非常に微細な霧を噴霧することができ、噴霧の終了時においても液垂れを生じることがない。
【0024】
また、噴霧ガン本体に開弁調節機構を設けたものにおいては、ガスボンベによる噴出圧力が使い初めと終りで変化しても、使用者がこれに対応して開弁調節機構作動させニードル弁の開度を調節することで、ガス圧と噴霧液体量とのバランスを保ち、噴霧の状態を終始良好な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案を実施した噴霧装置を一部省略して示す全体図。
【図2】 噴霧ガンの縦断正面図。
【図3】 ガスボンベの開閉バルブ部分を示す縦断面図。
【符号の説明】
a・・・ガスボンベ
c1,c2,c3・・・絞り部
1・・・噴霧ガン
4・・・霧化予備室
5・・・噴霧孔
10・・・ニードル弁
10a・・・ニードル
10b・・・弁孔

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ガスボンベ内に収容される噴霧液体を、同ガスボンベ内に封入したガスの圧力を利用し、ニードル弁を具備する噴霧ガンにより噴霧する装置であって、上記ガスボンベからニードル弁に至る流路を段階的に絞ると共に、ニードルの先端をテーパ状の弁孔に対して抜き差し自在に嵌挿して構成したニードル弁の二次側に、噴霧液体を通過させる孔状の霧化予備室を設け、該霧化予備室先端に微細な噴霧孔を穿設してなる噴霧装置。
【請求項2】 噴霧ガン本体にニードル弁の開度を調節する開弁調節機構を設けて成る請求項1記載の噴霧装置。
【請求項3】 噴霧ガン本体内部と、ガスボンベ接続口に接続する開閉バルブとの内部に、流路の絞り部を設けて成る請求項1記載の噴霧装置。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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