説明

嚥下が容易な経口医薬組成物

【課題】嚥下が容易な医薬組成物の提供。
【解決手段】本発明は、活性成分を含有する芯部および1枚または数枚の層からなるコーティングを有する1個または数個の被覆粒子からなる。このコーティング層(1枚または2枚以上)は、少なくとも1種の薬理的に許容される水和性ポリマーを含有し、この水和性ポリマーは、唾液または水と接触すると、口内粘膜に接着しない、滑らかな表面を有する凝集した成形可能な粘稠な塊状物を形成し、そして塊状物からの活性成分含有粒子の漏出と口内への活性成分の放出を防止する。このコーティング層または最外コーティング層は有効量の少なくとも1種の唾液分泌増強剤を含有する。この成形可能な滑らかな塊状物の形成および当該コーティングの味遮蔽性は、当該組成物を高用量の活性物質の投与または不快な味を有する活性物質の投与に特に適するものとしており、そしていずれの液体も用いることなく好ましく嚥下できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の医薬活性化合物を有効量で含有し、かつまた1個または2個以上の被覆粒子を含有する嚥下が容易な経口医薬組成物、およびその製造方法ならびに病気の処置または予防方法に関する。
【0002】
錠剤またはカプセル剤などの固形医薬組成物の経口摂取は、特にそれらの大きさの関数として問題を伴う。すなわち、特に子供および高齢者では、嚥下が困難であるという問題がしばじば生じる可能性がある。数個の錠剤またはカプセル剤の同時投与は、嚥下有効性を改良することができるけれども、他方で、患者の応諾に対しては有害に作用する。これらの問題を回避するための方法、例えば、粉末または顆粒を懸濁液、口内で崩壊する錠剤または咀嚼可能な錠剤にする方法がすでに提案されている。しかしながら、このような錠剤は一般に、不快な味を有する活性成分にはほとんど適しておらず、あるいは活性成分の遅延放出性を備えた医薬製剤はこの目的のために存在するコーティングが錠剤形成操作または咀嚼行動により不可避な損傷を受けることから、このような医薬製剤にはほとんど適していない。他方、懸濁液の場合、粒子が急速に沈降し、通常、嚥下を不完全にすることがあり、これにより用量に許容できない変更がもたらされる。この問題は、相当に粘稠な液体は、嚥下し難いことから、粘度の増加による納得のいく方法でも解消することはできない。
【0003】
EP−A0313328には、活性成分の遅延放出性を備えた起泡性錠剤または水分散性錠剤が記載されており、これらの錠剤は、水−膨潤性アクリル系ポリマーおよび水溶性ヒドロキシル化セルロース誘導体を含有するコーティングを有する徐放性粒子を、起泡物質または別種の水分散性成分とともに圧縮することによって得られる。これら両タイプの錠剤は水中で、または口内で崩壊し、放出された粒子は補助物質とともに嚥下することができる。しかしながら、錠剤崩壊の結果として、各粒子がコップまたは口内に残留することがあり、これにより必要な薬用量からの偏差が生じることがあり、あるいは不快な味を有する活性成分が口内に放出される危険がある。さらにまた、この放出特徴は、水溶性ヒドロキシル化セルロース誘導体の含有量に依存して有害に作用することもあり、また活性成分の放出が早過ぎることがある。
【0004】
類似の方法として、EP−A0459695は、味を遮蔽し、および(または)放出を遅延させるために、セルロースアセテートおよび(または)セルロースアセテートブチレートおよびヒドロキシプロピルセルロースを含有する混合物により、活性成分粒子を被覆することを提案しており、この被覆粒子は咀嚼可能な錠剤に良好に圧縮成形することができる。しかしながら、これらはまた、前記起泡性錠剤および水分散性錠剤と同様に、徐放性コーティングまたは味遮蔽性コーティングが、錠剤形成操作により部分的に損傷され、これにより放出特性が望ましくない様相で変更され、あるいは望ましくない味を有する活性成分が口内に放出されることがあり、当該製剤の患者による拒絶が生じることがあるという欠点を有する。
【0005】
これに対して、WO−A93/01800は、生体活性物質(特に、蛋白質)および弱塩基の微小顆粒を、口内および胃内での放出を遅延する物質により部分的にのみ被覆し、次いで50〜500μmの粒子サイズを有する、この部分的に被覆された微小顆粒を、溶液中で1.5〜6のpHを生じさせる酸性化剤およびゲル形成剤と混合することを推奨している。この部分的のみの腸溶コーティングは、pH緩衝剤と一緒になって、生体活性物質の不活性化を回避し、他方で、小腸における徐放出を確保することを確実にしようとするものである。
【0006】
味遮蔽性コーティングを有するペレットまたは顆粒状粒子がまた、WO−A91/16043に記載されている。この被覆粒子は、ポリマー(キサンタンガム)、甘味料および風味付与剤とともにサシェ剤として包装することができる。類似の方法として、BR−A9403617ではまた、不快な味を有する活性成分を、天然または合成コーティングを備えた微小ペレットの形態に形成し、次いでこれらを増粘剤、甘味料、風味付与剤および着色剤と混合することが推奨されている。
【0007】
これに対して、EP−A0662320は、40重量%までの経口投与することができる医薬成分、少なくとも3重量%のゲル化剤(例えば、予備ゼラチン化デンプン)および5重量%までの量の結合剤の混合物を乾燥ゲル組成物として開示している。この組成物は2倍または15倍量の水と混合し、均質な薄い粥状ゲルを生成する。苦味活性成分の場合、プロピレングリコール、グリセロールまたはポリエチレングリコール、あるいは味改良剤(例えば、グルタミン酸カリウムまたはイノシン酸ナトリウム)のような遮蔽剤をさらに使用するか、あるいは別法として、活性成分を粉末にし、次いで遮蔽剤で被覆することが推奨されている。
【0008】
UA−A4882169は、0.2〜3.0mmの粒径を有する被覆ペレットを提案しており、このペレットは、水中で完全に均一な分散液を形成し、少なくとも1種の医薬活性物質を含有する微小粒子を含有する芯部を有し、この粒子が適当な1枚または2枚以上の放出制御性または味遮蔽性コーティングおよび膨潤性外側層を備えている。後者は、膨潤性ポリマー、好ましくはグアガムを含有する。この膨潤性物質は水中で急速に膨潤し、崩壊するので、これらを接着剤溶液とともに噴霧し、これによりこれらをペレットに付着させなければならない。この被覆ペレットを、グアガム顆粒および風味付与剤とともに、サシェ剤として包装する。これらのペレットは、水中で分離され、そして分散することができる。
【0009】
US−A5288500はまた、好ましくは拡散−制御層で被覆されていてもよく、そして0.05〜7mmの径を有する、多数の活性成分含有粒子とゲル化剤または膨潤剤との組合わせを提案している。ゲル化剤または膨潤剤成分は、活性成分含有粒子と混合することができ、コーティング中に存在することができ、水性媒質と混合する前に活性成分含有粒子に添加するか、あるいは活性成分含有粒子が添加される水性媒質中に分散させることができる。この提案されている製剤は、各分散粒子の周囲に滑らかな表面を形成する傾向を有する。この場合、各粒子の表面の凹凸を遮蔽しなければならず、また粒子の容器または口内粘膜への付着を防止しなければならない。
【0010】
US−A5288500で提案されている製剤に適するゲル化剤または膨潤剤は、水性媒質中でコロイド状分散液、ゾルまたは懸濁液を形成する物質、特に親水性ポリマーである。これらは、分散された粒子の表面の凹凸を遮蔽するのに充分であるが、水性媒質中における分散能力が有害な影響を受けるほど大量ではない量で使用する。必要に応じて、分散した粒子のすぐ近くの粘度は、塩形成、キレート形成、有孔度の変更などによって、影響を受けることがある。しかしながら、この傾向は、完全製剤により生成される、ほとんどの固体ゲルを無効にする。この製剤構成成分は、投与されるまで、またはサシェ剤中に一緒に包装されるまで、あるいは錠剤またはカプセル剤に処理されるまで、分離保持することができる。例えば、経口投与の場合、これらは水性媒質中に一緒に分散される。
【0011】
WO−A91/16043、BR−A9403617、EP−A0662320、US−A4882169およびUS−A5288500に記載の製剤は、投与前に、これらの製剤を分散させる水性媒質とともに摂取する。ここで、これらの製剤は、各粒子に分解する。このことは、定量的摂取が一般的に確保されないことを意味する。このことは、US−A5288500に記載の製剤の場合のように、分散した粒子が滑らかな表面を有し、また容器または口内粘膜に付着しない傾向を有する場合でさえも、実現される。すなわち、一般に、粒子懸濁液または分散液を飲む場合、当該溶液の全部を飲んだ後に、粒子の少なくとも一部が容器の底に残留し、これを口中に移すのが困難であることから、およびまた患者が実際に、この行為を試みるかどうかは、非常に不確かなことであることから、現実の問題になる。
【0012】
さらにまた、粒子懸濁液または分散液は一般に、定量的に嚥下することができない。粒子が口内粘膜に接着しない滑らかな表面を有していても、当該製剤の嚥下が不完全になることを防止することはできず、また例えば、各粒子が歯間に挟まって残ることもある。この問題は、意図する用量からの望ましくない逸脱を別にしても、例えばシプロフロキサシン(ciprofloxacin)、ロペラミド(loperamide)、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、アセメタシン(acemetacin)、ジクロフェナック(diclofenac)ナトリウム、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセン(naproxen)およびインドメタシン(indomethacin)などのかなり多くの活性成分は、格別に苦く、胃内への味遮蔽粒子の定量的移送が絶対的に必要であることから、不快な味を有する活性成分の場合に特に、決定的欠点になる。例えば、口内で溶解する一個のシプロフロキサシン粒子はそれ自体が、患者がこの製剤を拒絶するほど苦く不快な味を生じる。しかしながら、他方で、膨潤性ポリマーは、味の遮蔽に制限付きの適合性を有するのみであるので、水中で要求される分散性の観点から、不快な味を有する活性成分用に従来開示されている製剤は、不適であるか、または粒子が追加の味遮蔽コーティングを有している場合にのみ適している。
【0013】
従って、WO−A91/16043、BR−A9403617、EP−A0662320、US−A4882169およびUS−A5288500に記載の製剤は、不快な味を有する活性成分に対してはほとんど適しておらず、意図する用量の定量的摂取は一般的に確保されず、また水性媒質中に分散させなければならない、すなわち例えば或る地域で、あるいは例えば旅行中での摂取を困難または不可能にすることがある、純粋な飲料水または適当な飲料を使用しなければならない、という欠点を付随する。さらにまた、従来開示された製剤は通常、補助物質、例えば補助顆粒と混合しなければならない。しかしながら、これは特に、濃密な粒子および顆粒または微小ペレットの混合物では、不均一になることが知られており、この点は使用時の追加の有害な作用になりうる。
【0014】
不快な味を有する活性成分の味の遮蔽方法はまた、別の情報源から当業者に知られている。この場合、活性成分を一般に、ペレットまたは顆粒に処理して、その表面積を減少させ、次いで唾液耐性コーティングを付与する。
【0015】
本発明は、意図する定量的摂取を確保でき、嚥下に困難を伴うことなく高用量の摂取を可能にし、活性成分の多くの場合に不快な味を遮蔽でき、かつまた好ましくは液体を用いることなく摂取することができる、経口投与用の新規医薬製剤を提供するという目的に基づいている。
【0016】
この目的が、本発明に従い、少なくとも1種の医薬活性成分を有効量で含有し、そして少なくとも1種の医薬活性成分を含有する芯部を有し、かつまた1枚または2枚以上の層からなるコーティングを有する1個または2個以上の被覆粒子からなる経口投与用医薬組成物によって達成され、この組成物は、
(a)1枚または2枚以上のコーティング層が、唾液または水と接触すると、表面が滑らかであり、口内粘膜に接着しない、凝集した成形可能な粘稠性塊状物を形成し、塊状物からの活性成分含有粒子の漏出、そして口内に活性成分を放出することを防止し、少なくとも1種の薬理的に許容される水和性ポリマーを含有し、および
(b)コーティング層またはコーティング層の最外層が、有効量の少なくとも1種の唾液分泌増強剤を含有する、
ことを特徴とするものである。
【0017】
すなわち、従来開示されている製剤に反して、本発明による組成物は、投与前に、水性媒質中に分散または懸濁されない;むしろ、口内における、または投与前でさえも、組成物の崩壊または各粒子への分解が回避される。この理由は、水和性ポリマーが、唾液の適度の流れの存在下に、凝集した成形可能な粘稠塊状物(すなわち、いわば可塑性塊状物)を形成し、これが活性成分粒子が漏出し、かつまた活性成分が口内に放出されることを防止することが見出されたことにある。この塊状物は、唾液と接触すると表面が滑らかになるので、この組成物では、口内粘膜または歯への接着が防止される。すなわち、滑らかな表面を有する成形可能な粘稠性塊状物の形成は、高用量の場合でも、当該組成物の嚥下を容易にし、また口から顎を通る食道中への滑動を容易にすることができる。さらにまた、唾液分泌増強剤は、要求される作用を数秒以内に開始させるのに充分に強力な唾液流を誘発させる。10gまでの高用量でさえも、一般に適当な成形可能な凝集した粘稠であり、また可塑性である「粒子ペースト」(particle paste)が20秒よりも短い時間で生成され、これにより組成物は、難なく嚥下することができるようにされる。
【0018】
従って、本発明による組成物は、WO−A91/16043、BR−A9403617、EP−A0662320、US−A4882169およびUS−A5288500に記載の製剤とは異なり、水性媒質中に予め分散させることなく、口中への直接投与により投与することができ、容器または口内における粒子の可能な残留が防止される。慣用の錠剤製剤とは相違して、これらはさらに好ましくは、追加の飲料品を使用しなくても摂取することができる。さらにまた、咀嚼可能な錠剤の欠点がまた、本発明による製剤により回避される。すなわち、子供および高齢者はしばしば、咀嚼可能な錠剤の咀嚼が困難であり、また咀嚼動作および口内での滞在時間が長くなることから、咀嚼可能な錠剤では、活性成分放出の危険性が増大する。本発明による製剤は咀嚼が不必要であり、口内での長時間滞在が回避される。
【0019】
本発明による組成物は、唾液の存在下に、滑らかで、つるつるした表面を有することから、口から食道に、次いで胃内に容易に滑り落ることができ、さらにまた凝集した粘稠な塊状物の形成は、当該組成物の完全嚥下を確実にする。換言すれば、口内または歯間における各粒子の残留が防止される。さらにまた、表面滑性が大きいことから、比較的大型の粒子でさえも、例えば本発明によるコーティングを備え、また12mmまでの最大径を有する錠剤でさえも、一般に依然として、問題なく嚥下することができる。
【0020】
本発明に従い使用されるコーティングはまた、慣用の遮蔽用コーティングに比較して、さらに効果的で、かつまた信頼できる味の遮蔽を提供する。これは、凝集した粘稠な塊状物が形成されることによって、被覆した粒子を錠剤に圧縮成型した場合でも、損傷されず、および他方で、その高粘度が、活性成分の漏出を防止することによるものである。
【0021】
本発明による組成物は、特に本質的に無水であることができ、あるいは一般に、各粒子への崩壊を伴うことなく、あるいは分散液または懸濁液に変換されることなく、無水組成物に基づき約300重量%まで、あるいはそれ以上の水を含有することができる。「本質的に無水である」という表現は、水は添加されていないが、しばしば低パーセンテージで水を含有する市販のポリマーおよびその他の補助物質を含有する組成物が、本発明の範囲内にあることを意味する。例えば、多くの場合に約10重量%までの量で水を含有する市販の水和性ポリマーは、追加の乾燥を行わなくても、適当である。しかしながら、必要に応じて、本発明による製剤は添加水を含有することもできる。特に、本質的に無水の組成物は、当該組成物に基づき約10〜300重量%の水を添加することによって、軟質医薬組成物に変換して、高用量の摂取をさらに容易にすることができ、また手により、または例えばスプーンまたはスパチュラを用いて、崩壊させることなく摂取するのに充分な粘稠度および非接着性表面を有することができる。
【0022】
本発明による組成物は原則的に、治療および予防効力を有し、また経口投与、例えば胃腸器官に投与することができる全部の固体活性成分の投与に適しており、およびまた下記医薬の投与に適している;消化促進剤[例えば、ロペラミド(loperamide)、ペクチン、プランタゴオベータ(Plantagoovata)種子、リンシード(linseeds)、メサラジン(mesalazine)(5−アミノサリチル酸)、オルサラジン(olsalazine)、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ファモチジン(famotidine)、ニザチジン(nizatidine)、オメプラゾール(omeprazole)、スクラルフェート(sucralfate)、パントプラゾール(pantoprazole)、メトクロプラミド(metoclopramide)、パンクレアチン(pancreatin)、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼおよびスルファサラジン(sulphasalazine)];緩下薬[例えば、センナさやの乾燥エキス、フランギュラ(frangula)樹皮またはエキス、ビサコジル(bisacodyl)、ピコ硫酸ナトリウムおよびラクツロース(lactulose)];鎮痛薬および抗リウマチ薬[例えば、アセチルサルチル酸、パラセタモル(paracetamol)、イブプロフェン(ibuprofen)、モルヒネ(morphine)、トラマドール(tramadol)、アセメタシン(acemetacin)、プロピフェナゾン(propyphenazone)、ナプロキセン(naproxen)、ジクロフェナック(diclofenac)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ピロキシカム(piroxicam)、メロキシカム(meloxicam)およびインドメタシン(indomethacin)];抗アレルギー薬[例えば、ジメチンデン(dimetindene)マレイン酸塩、テルフェナジン(terfenadine)、アステミゾール(astemizole)およびケトチフェン(ketotifen)];鎮咳薬および去啖薬[例えば、アムブロキソール(ambroxol)、アセチルシステイン、コデイン(codeine)およびテオフィリン(theophyline)];ベータ−レセプター ブロッカー、カルシウム チャンネル ブロッカーおよびACEインヒビター[例えば、アテノロール(atenolol)、メトプロロール(metoprolol)、ピンドロール(pindolol)、ニフェジピン(nifedipine)、ジルチアゼム(diltiazem)、ベラパミル(verapamil)、カプトプリル(captopril)、リシノプリル(lisinopril)およびエナラプリル(enalapril)];結腸治療薬[例えば、イソソルビド(isosorbide)、イソソルビド硝酸塩およびモルシドミン(molsidomine)];抗パーキンソン病薬[例えば、レボドーパ(levodopa)];精神病薬[例えば、アミトリプチリン(amitriptyline)、トリミプラミン(trimipramine)、チオリダジン(thioridazine)、オキサゼパム(oxazepam)、ロラゼパム(lorazepam)およびピラセタム(piracetam)];鎮静薬[例えば、バレリアン(valerian)エキス、ニトラゼパム(nitrazepam)、テマゼパム(temazepam)];アエスシン(aescin)、高用量アミノ酸、ブデソニド(budesonide)、フロセミド(furosemide)およびペントキシフィリン(pentoxifylline)などの活性成分;ビタミン類[例えば、アスコルビン酸、ビタミン B、B、Bおよび(または)B12、葉酸およびビタミン E];抗生物質[例えば、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、ナリジキシ酸(nalidixic acid)、シノキサシン(cinoxacin)、ペフロキサシン(pefloxacin)、フェノキシメチルペニシリン、アモキシシリン(amoxicillin)およびその他のペナム構造を有するペニシリン類、セフェム構造を有するセファロスポリン類(cephaloeporine)[例えば、セファクロール(cefaclor)、セファドロキシル(cefadroxil)、セファレキシン(cefalexin)、セフポドロキシム(cefpodoxime)、セフチブテン(ceftibuten)、セフロキシム(cefuroxime)およびセフェタメット(cefetamet)]、クラバラン酸(clavulanic acid)とアモキシシリンとの組合わせ、テトラサイクリン(tetracycline)、マクロライド(macrolide)抗生物質[例えば、エリスロマイシン(erythromycin)およびそのエステル、スピラマイシン(spiramycin)およびジョサマイシン(josamycin)];コリスチン(colistin)およびポリミキシン(polymyxin)B、ニトロフラン類[例えば、ニトロフラントイン(nitrofurantoin)];ニトロイミダゾール類[例えば、メトロニダゾール(metronidazole)];スルホンアミド類[例えば、スルファジアジン(sulphadiazine)およびスルファサラジン(sulphasalazine)];およびこのような化合物の生理学的に許容される塩、例えばオルサラジンナトリウム塩、パントプラゾールナトリウム塩、ジクロフェナックナトリウム塩、モルヒネ硫酸塩、コデインリン酸塩、メトプロロール酒石酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ベラバミル塩酸塩、アミトリプチリン塩酸塩、チオリダジン塩酸塩など。本発明による組成物はまた、鉱物塩類、例えば乳酸カルシウム、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウムおよび硫酸亜鉛および微量元素の投与にも適している。必要に応じて、組成物は、2種または3種以上の活性成分を含有することができる。
【0023】
特に好ましい製剤は、医薬活性成分として、下記成分を含有する製剤である:ロペラミン、メサラジン、オルサラジン、シミチジン、ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、オメプラゾール、スクラルフェート、パントプラゾール、パンクレアチン、ビサコジル、ラクツロース、アセチルサリチル酸、パラセタモル、イブプロフェン、モルヒネ、トラマゾール、ナプロキセン、ジクロフェナック、ピロキシカム、テルフェナジン、アステミゾール、アムブロキソール、アセチルシステイン、テオフィリン、アテノロール、ニフェジピン、ジルチアゼム、ベラパミル、イソソルビド1硝酸塩、アミトリプチリン、ニトラゼパム、ブデソニド、シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、アモキシシリン、セファクロール、セファドロキシル、テトラサイクリン、エリスロマイシン、これらの活性成分の1種の薬理学的に許容される塩、あるいはこれらの活性成分および塩の2種または3種以上の組合わせ。
【0024】
適当な唾液分泌増強剤は、原則的に、強力な唾液流を誘発する薬理学上許容される物質であり、好ましくは水溶性有機酸、例えば酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸など、およびそれらの水溶性塩、特にそれらのナトリウムおよびカリウム塩、例えば酒石酸水素ナトリウムまたはカリウム、クエン酸水素ナトリウムまたはアスコルビン酸ナトリウム、およびまた浸透圧作用を有する水溶性物質、例えばグルコース、フラクトース、スクロース、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、マルチトールなどであり、本発明による組成物はまた、これらの化合物の2種または3種以上の組合わせを有利に含有することができる。特に好適な態様において、本発明による組成物のコーティング層またはコーティング層の最外層は、唾液分泌増強剤として、少なくとも1種の水溶性有機酸またはその水溶性塩および少なくとも1種の浸透圧作用を有する水溶性物質を含有する。必要に応じて、このコーティング層またはこれらのコーティング層の最外層は、唾液分泌増強剤以外に、遮蔽性芳香剤、例えば塩化ナトリウム、アスパルテーム、サッカリンナトリウム、シクラミン酸ナトリウムなどを含有することができ、これらは一般に、唾液分泌増強剤の作用を補助する。
【0025】
本発明に従い適当である水和性ポリマーは、水または唾液の存在下に、迅速に、好ましくは約20秒よりも短い時間内に、凝集した粘稠な塊状物を形成することができるものである。適当な天然または半合成ポリマーは、原則的に当業者に知られている。特に適する水和性ポリマーは、水中で高度に粘稠な溶液を形成するものであり、特に1%濃度(重量/重量)水性溶液として、3〜10,000mPa・sの粘度を有する非イオン性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンおよびセルロースエーテル類、例えばメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、およびまた1%濃度(重量/重量)水性溶液として、3〜30,000mPa・sの粘度を有するイオン性ポリマー、例えばナトリウム カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、アルギン酸、アルギネート、ペクチン、キサンタン、ガラクトマンナン、グアガム、ヒドロキシプロピル−グアガム、ゼラチン、アラビアゴムなどである。特に好適なものとして一般に、1%濃度(重量/重量)水性溶液として、少なくとも約25mPa・sの粘度を有するものが挙げられる。可能なそして好適なものとして、本発明による組成物のコーティングは、2種または3種以上のこれらのポリマーを含有することができる。
【0026】
本発明の範囲内で使用される粘度はそれぞれ、25℃における水性溶液の剪断粘度である。この測定はそれぞれ、別段の記載がないかぎり、1%濃度(重量/重量)水性溶液に対して行われた。この測定は、下記の方法により回転粘度計を用いて行われた。
【0027】
乾燥したポリマーを計算量の水中に、機械撹拌により撹拌することによって、溶解させる。この溶液の温度を、水浴内で30〜60分間、25℃±0.5℃の温度に調整する。この溶液を次いで、約10秒間、振り混ぜ、次いでその粘度を直ちに、ブルックフィールド(Brookfield)粘度計(4速および4スピンドルを備え、0〜100,000mPa・sの測定範囲を有するBrookfield Synchro−Lectric ModelLVP)を使用し、それぞれの場合に、この粘度計のスピンドルを正確に3分間動かし、その数値を読み取り、次いでこの測定値を選択された速度にかかわる固定係数と掛け算することによって、溶液の粘度を計算する。
【0028】
特に好適な水和性ポリマーの例としては、下記のポリマーが挙げられる:アルギン酸またはアルギネート、例えば25〜2000mPa・sの粘度、約7のpHおよび約200,000の分子量を有するアルギン酸ナトリウム;50〜5000mPa・sの粘度、3.8〜5.2のpHおよび約100,000の分子量を有するペクチン;25〜3000mPa・sの粘度、約6のpHおよび1,000,000よりも大きい分子量を有するキサンタン;50〜1000mPa・sの粘度、4〜8のpHおよび約200,000の分子量を有するガラクトマンナン;5〜200mPa・sの粘度、4〜9のpHおよび10,000〜100,000の分子量を有するゼラチン(タイプAまたはB);25〜8000mPa・s、好ましくは2500〜8000mPa・sの粘度、500〜2000の重合度および3を越えない置換度、すなわち3を越えず、好ましくは0.45〜1.45、特に好ましくは0.65〜0.95のカルボキシルメチル基/無水グルコース単位を有するナトリウムカルボキシメチルセルロース;3〜10,000mPa・sの粘度、40〜2000の重合度および3を越えない置換度を有するセルロースエーテル、特に3〜10,000mPa・s、好ましくは25〜7000mPa・sの粘度および約2.5の置換度を有するヒドロキシエチルセルロース、10〜5000mPa・sの粘度および80,000〜1,300,000の分子量を有するヒドロキシプロピルセルロース、および3〜10,000mPa・sの粘度、1〜2の置換度および好ましくは、18〜32%のメトキシル含有量および7〜15%のヒドロキシプロポキシル含有量を有するメチルヒドロキシプロピルセルロース;17,000〜90,000の分子量を有するポリビニルピロリドン;400,000〜4,000,000の分子量および例えば約30,000mPa・sの粘度を有するポリアクリル酸およびポリアクリレート。上記粘度およびpH値はそれぞれ、1%濃度水性溶液に関するものである。
【0029】
これらの水和性ポリマーの数種、例えばポリビニルピロリドンまたはセルロースエーテルは、実質的にpH−独立性粘度を有するが、その他の水和性ポリマー、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸を用いると、胃液のpH範囲で粘度の大きい減少が生じる。従って、この差を利用して、胃における組成物の分解に特定的な影響を与えることができる。例えば、水和性ポリマーとして、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムまたはポリアクリル酸を使用した場合、一方では、口内で必要な高粘度を得ることができ、かつまた他方で、胃内で組成物を迅速に分解させ、活性成分の急速な放出を達成することができる。
【0030】
水和性ポリマーは好ましくは、約1.0mmを越えない、代表的に約0.01〜1.0mmの平均粒子サイズを有する。凝集した粘稠な塊状物をできるだけ迅速に、また均一に形成することが特に重要である場合、小さい粒子サイズを選択すると好ましい。従って、一般に、200μmを越えない、特に100μmを越えない平均粒子サイズを有する水和性ポリマーを使用すると好ましい。
【0031】
本発明による組成物は、必要に応じて、それぞれが少なくとも1種の水和性ポリマーを含有する、2枚または3枚以上のコーティング層を有することができる。本発明の好適態様において、コーティングは2枚または3枚以上のコーティング層からなり、この2枚または3枚以上のコーティング層は、当該コーティングの1枚の層に存在する水和性ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として測定した粘度が、そこに隣接する内側層に存在する水和性ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として測定した粘度に比較して、それぞれ大きくなく、好ましくは小さいことを特徴とする。この方法により、味遮蔽性をまた改善することができ、しかも唾液の迅速な浸透を確保することができる。これは、唾液が最外層中に迅速に浸透することができ、これにより滑らかな表面を有する凝集した粘稠な塊状物が迅速に形成され、他方で、内側層(1枚または2枚以上)は、唾液とさらにゆっくりと反応して高粘稠性の粘液を生成させ、活性成分の放出に対する格別に効果的な障壁を形成することができる。これは、不快な味を有する活性成分の場合に、特に有利である。
【0032】
この目的には、それぞれ、ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液に基づく粘度として、最外層は25〜5000mPa・sの粘度を有する水和性ポリマーを含有し、そして2番目の外側層は5000〜10,000mPa・sの粘度を有する非イオン性水和性ポリマーおよび/または5000〜30,000mPa・sの粘度を有するイオン性ポリマーを含有することができ、そして好適である。
【0033】
味の最高遮蔽を確保するために、外側から二番目の層と当該コーティングのその他の内側層に50μmを越えない、例えば10〜25μmの平均粒子サイズを有する水和性ポリマーを使用すると好ましい。最外層に存在する水和性ポリマーの平均粒子サイズにほとんど制限はないが、約200μmよりも大きくないことが好ましい。
【0034】
必要な粘度を有するかぎり、上記水和性ポリマーの全部が、原則的に、2枚または3枚以上の層からなるコーティングとして適している。しかしながら、最外層には、できるだけpH−独立性粘度を生じることができるポリマーを使用することができ、そして好適である。最外層の次の層およびいずれかその他の内側層に特に適することが証明された水和性ポリマーの例には、5000〜8000mPa・sの粘度を有するナトリウムカルボキシメチルセルロース、5000〜30,000mPa・sの粘度を有するポリアクリル酸および5000〜10,000mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルがあり、一方、最外コーティング層に特に適することが証明された非イオン性水和性ポリマーの例には、特に25〜5000mPa・sの粘度を有するポリビニルピロリドンおよびセルロースエーテルがある(上記粘度はそれぞれ、ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液に基づく粘度である)。
【0035】
必要に応じて、コーティングはまた、単一層からなることができ、この場合、最外層および2番目の最外層にかかわり上記した各水和性ポリマーの少なくとも1種を混合物中に存在させる。この方法で、小さい程度であるが、類似の効果を得ることができる。
【0036】
1枚まは2枚以上のコーティング層はそれぞれ、1種または2種以上の水和性ポリマーを含有することができ、そして必要に応じて、粘度調節補助物質(例えば、二酸化ケイ素)を含有することができ、さらにまた、その他の慣用の補助物質を含有することができる。このような補助物質の例には、脱臭剤、芳香剤、甘味料、pH−調整剤、孔形成補助物質(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩)、界面活性補助物質、錠剤形成補助物質(例えば、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン)、錠剤崩壊剤および滑剤(例えば、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム)およびその他の補助物質、例えばデンプン、クロスポビドン、クロスカルメロース、タルクなどがある。錠剤形成補助物質および脱臭剤、芳香剤および甘味料は一般に、最外層にのみ使用され、他方、最外層の次の層およびその他の全部の内側層は好ましくは、粘度調節補助物質(例えば、二酸化ケイ素)および(または)塩基度を高める補助物質(例えば、重炭酸ナトリウムまたは炭酸ナトリウム)を含有することができる。
【0037】
コーティング層中の水和性ポリマーの割合は、使用するポリマー、粘度調節補助物質の使用、要求される投与形態などに応じて、或る制限範囲内で変えることができる。しかしながら、各場合に、唾液または水と接触すると、凝集した粘稠な塊状物が形成されなければならない。最適量は、水または唾液の添加により、場合毎に容易に測定することができる。最外層の次の層中の水和性ポリマーの量は、代表的に、無水ポリマーとして計算し、そして本質的に無水の活性成分含有芯部に基づき、約0.25〜35重量%であることができ、そして最外層中の水和性ポリマーの量は、無水ポリマーとして計算し、そして本質的に無水の活性成分含有芯部に基づき、約1〜30重量%であることができる。
【0038】
本発明による組成物の1枚または2枚以上のコーティング層の割合は好ましくは、本質的に無水の組成物に基づき、約5〜75重量%であることができ、これは、活性成分含有芯部に基づき、本質的に無水のコーティングの約5〜300重量%に相当する。このコーティングが2枚または3枚以上の層からなる場合、最外層の次の層の割合は代表的に、本質的に無水の層として計算し、そして本質的に無水の活性成分含有芯部に基づき、約1〜20重量%であることができ、また最外層の割合は代表的に、本質的に無水の層として計算し、そして本質的に無水の組成物に基づき、約3〜60重量%であることができる。
【0039】
被覆した粒子は代表的に、約0.25〜12mmの最大径を有することができ、例えば本発明によるコーティングを備えた顆粒、ペレットまたは錠剤であることができる。要求される投与方式に依存して、これらの被覆粒子は直接投与することができ、あるいは慣用の補助物質を用いて、それ自体公知の方法で処理し、別の経口投与形態を得ることができる。例えば、被覆ペレットまたは顆粒は、慣用の錠剤形成用補助物質を用いて、数個またはさらに大量の被覆粒子を含有する錠剤に圧縮成型することができる。1枚または2枚以上の内側コーティングを備えたペレットまたは顆粒を、外側コーティング材料と混合し、次いで例えば、錠剤に圧縮することにより、すなわち数個の被覆粒子を含有し、最外コーティング層が同時に錠剤形成補助物質としての役目を果たす錠剤を形成することによって、本発明による外側コーティング層により包むこともでき、好適である。数個の被覆粒子からなる組成物の場合、これらの粒子がペレット形態であるか、または顆粒形態であるか、あるいは錠剤中に含有されているかに関係なく、これらの粒子は唾液と接触すると、各場合に、粒子が一緒に粘着して、粘稠な塊状物を迅速に形成する。さらにまた、本発明による組成物は、例えばコーティング層または最外コーティング層は、活性成分含有粒子には適用されておらず、ただし活性成分含有粒子を加圧被覆錠剤の形態で包む錠剤としてデザインすることができる。適当な投与形態および追加の処理に適する方法は、原則的に、当業者が精通している。
【0040】
本発明による組成物はまた、例えば約3〜12mmの最大径を備えた単一の被覆粒子からなることができる。これは、コーティングが大きい表面滑性を有する場合には、問題なく嚥下することができる7mmよりも大きい最大径を備えた粒子が可能であるからである。この場合、この粒子が、本発明によるコーティングを備えた錠剤であることができ、コーティングは少なくとも2枚の層からなることができ、これは好適である。
【0041】
もう一つの好適態様において、本発明による本質的に無水の組成物は、無水組成物に基づき、約30〜300重量%、例えば約100重量%の計量量の水と混合することもでき、この場合、水は数秒以内に吸収され、崩壊およびその他の問題を伴うことなく手またはスプーンまたはスパチュラを用いて摂取することができるのに充分な粘稠度を有する単一の凝集した粘稠な塊状物が形成される。このようにして生成される「軟質」製剤は、含水組成物に基づき、約23〜75重量%、例えば50重量%の水含有量を有し、また非接着性表面を有する。この投与形態は、数個の被覆粒子を摂取する場合、例えば計量量の被覆ペレットまたは顆粒を摂取するか、または数個の被覆粒子を含有する錠剤を摂取する場合に特に適しており、また10gまで、またはそれ以上の非常に多量を、嚥下に困難を生じることなく、あるいは活性成分含有粒子が口内に残留する危険を伴うことなく、摂取することを可能にする。
【0042】
本発明はまた、新規医薬組成物の製造方法に関し、この方法は、少なくとも1種の医薬活性成分を有効量で含有する1個または2個以上の粒子を、1枚または2枚以上の層により被覆し、次いで必要に応じて、この被覆粒子を調剤用補助物質により医薬製剤に変換し、およびまた必要に応じて、この組成物を本質的に無水の組成物に基づき、約300重量%までの量の水と混合することを特徴とする方法であり、この方法において、
(a)1枚または2枚以上の層は、唾液または水と接触すると、表面が滑らかであり、また口内粘膜に接着しない、凝集した成形可能な粘稠な塊状物を形成し、この塊状物からの活性成分含有粒子の漏出および口内に活性成分を放出することを防止し、少なくとも1種の薬理的に許容される水和性ポリマーを含有しており、および
(b)上記層または最外層は、有効量の少なくとも1種の唾液分泌増強剤を含有する。
【0043】
活性成分含有粒子へのコーティング層の適用は、慣用の方法により、例えば湿潤させ、球体形成機(spheronizer)内で粉末状混合物により被覆する操作を交互に行うか、あるいは被覆材料の溶液または懸濁液を噴霧することによって、それ自体公知の方法で行うことができる。これらの、およびその他の適当な方法は、当業者が充分に熟知している。本質的に無水の組成物に水を添加する場合、これは原則的に、約300重量%までのいずれかの量で行うことができる。しかしながら、上記「軟質」製剤を得るために、本質的に無水の組成物に基づき、約30〜300重量%の量で添加することができ、好適である。
【0044】
本発明に従い使用される活性成分含有粒子芯部はまた、慣用の方法により、それ自体公知の方法で得ることができる。必要に応じて、この芯部は、pH調整添加剤を含有することができ、あるいは胃液に対して耐性であるか、または活性成分を遅延放出させる味遮蔽性コーティング層で被覆されていてもよい。適当な材料および方法は、当業者にとって周知である。
【0045】
本発明はまた、医薬製剤パックに関し、このパックは、本発明による医薬組成物および指示書を含有しており、この指示書は、当該組成物を口内に直接投与することによって摂取すること、あるいは摂取前に、本質的に無水の医薬組成物に基づき、30〜300重量%の量の水と混合することを指示するものである。
【0046】
本発明はさらにまた、医薬組成物の経口投与による病気の処置または予防方法に関し、この方法は、本発明による組成物を製造し、必要に応じて、当該組成物に基づき、30〜300重量%の計量量の水を添加し、次いで胃内に直接投与することからなる。さらにまた、当該組成物は、如何なる液体も用いることなく摂取することができ、そして好適である。
【0047】
本発明はさらにまた、唾液にさらされると形成される、凝集した粘稠な組成物、すなわち経口投与用医薬組成物に関し、この組成物は、有効量の少なくとも1種の医薬活性成分を含有する1個または2個以上の粒子および唾液と接触すると形成され、その表面が滑らかであり、口内粘膜に接着せず、1個または2個以上の活性成分含有粒子を包み込んでおり、活性成分含有粒子の塊状物からの漏出および口内に活性成分を放出することを防止し、これにより組成物の嚥下を容易にし、少なくとも1種の唾液分泌増強剤および少なくとも部分的に水化した形態の、少なくとも1種の薬理的に許容される水和性ポリマーを有効量で含有する凝集した粘稠な塊状物を含有する。
【0048】
本発明による組成物ならびにその製造および投与にかかわる、その他の好適態様は、下記の説明および例から明白である。
【0049】
本発明による組成物を製造するためには、活性成分を慣用の補助物質で処理し、代表的に約0.1〜10mmの径を有する顆粒、ペレット、球形または長円形錠剤芯部を形成する。これらの活性成分含有粒子は、それ自体公知の方法で製造することができる。
【0050】
顆粒を製造する場合、例えば活性成分を補助物質、例えば微結晶セルロースまたは乳糖と混合し、この均一塊を結合溶液で湿らせる。湿らせた後、この顆粒を篩分けし、次いで乾燥させ、例えば0.1〜2.5mm、好ましくは0.25〜1.5mmの径を有する粒子の微粉を含まない画分を篩分ける。
【0051】
ペレットは、全部の慣用のペレット製造法を用いて製造することができる。これらの方法は多くの場合に、原料芯から出発する。この芯部は、例えば、デンプンにより球形にされている糖ビーズ、球形結晶(例えば、スクロース、酒石酸)などの安価で、医薬上で許容される補助物質であることができ、そして代表的に0.1〜2mm、好ましくは0.4〜1.0mmの径を有する。接着剤溶液で湿らせた後、この出発芯部に、活性成分を粉末として、あるいは溶解または懸濁した形態で、適用する。活性成分溶液または懸濁液の場合、出発芯部への被覆は有利には、粒子に活性成分溶液または懸濁液を連続噴霧することによって、流動床法で行うことができる。粉末被覆の場合、出発芯部に対して、接着剤溶液による湿潤および活性成分粉末の適用を交互に行うことによって、適宣付加することができる。必要に応じて、結合剤、二酸化ケイ素またはタルクなどの補助物質を活性成分粉末に添加し、球体形成操作を最適にすることができる。必要に応じて、接着剤溶液はまた、放出を遅くする、または胃液に対して耐性にする被覆溶液またはエマルジョンであることができ、これにより被覆したペレットからの活性成分の放出に影響を与えることができる。必要に応じて、活性成分粉末混合物中に、対応する微小体(micromilieu)を生成することによって活性成分の溶解に影響を与える、pH−調整性の酸性または塩基性補助物質を添加することもできる。
【0052】
ペレットは好ましくは、通称、球体形成機(spheronizer)で製造することもできる。この場合、出発芯部を、回転する基底プレートを備えた容器中に導入し、ここで一方側に接着剤またはポリマー溶液を噴霧し、次いで反対側に活性成分を秤量供給機により噴霧する。この方法で、連続操作で1時間以内に二倍の重量を付加することができる。通常、出発芯部1部に対して約6部までの活性成分粉末を施すことができる。
【0053】
本発明による組成物に適するもう一つの方法は、押出し法および球体形成法に基づいている。この場合、活性成分を可塑化性補助物質と混合し、湿らせ、次いで押出し成型する。代表的に約0.4〜2mmの径を有する押出物を、球体形成機に移し、ここで円柱状粒子に分解し、遠心力の作用下にビーズ状に球体化する。必要に応じて、活性成分の放出特性は、ポリマー溶液、徐放性可溶化剤またはpH調節補助物質を用いる公知方法により、影響を与えることができる。
【0054】
さらにまた、必要に応じて、活性成分顆粒は、公知方法で、ゴム製ダイにより約1mmの粒子に、アイソタクティックに圧縮することもでき、あるいは特製パンチにより約1〜10mmのサイズの球形または長円形粒子に錠剤化することもできる。
【0055】
生成する活性成分含有粒子は、必要に応じて、本発明によるコーティングで包む前に、それ自体公知の方法で、被覆用ポリマー溶液を噴霧することにより拡散膜、浸食性膜および/または胃液に対して耐性にする膜で被覆することができ、これにより本発明による組成物の放出特性を広い制限範囲内で変えることができ、また相当する場合に、味に対する追加の遮蔽を達成することができる。
【0056】
好ましくは、約0.1〜10mm、特に好ましくは、約0.25〜1.5mmの最大径を有することができる活性成分含有粒子は次いで、水和性ポリマーを含有する1枚または2枚以上の層により被覆する。1枚または2枚以上の層の適用は、慣用の方法により、当業者に周知の慣用の装置を用いて行うことができる。好適方法および可能な適用方法は、例に示されており、数種の具体的製剤および投与形態を用いて、以下で詳細に説明する。
【0057】
格別に苦い味を有し、また重篤な下痢症状を示す患者に水なしで、どこででも与えることができるロペラミドの場合、例えばロペラミドを慣用の補助物質とともにサイズ5mmに圧縮し、次いで被覆装置において、この圧縮物をアルギン酸ナトリウムおよびポリビニルピロリドンK90の懸濁液で被覆する。この場合、例えば、圧縮物の重量に基づき約8重量%のポリマーを適用することができる。引き続いて、この被覆した圧縮物を、低粘度ポリマー、クエン酸、アスパルテームおよびレモン芳香剤からなる外側ポリマー層により被覆する。
【0058】
一般に、熱帯諸国を旅する人は、重篤な下痢が生じても、ロペラミド錠剤またはカプセルを摂取するための微生物学的に安全な水を手に入れることはできない。しかしながら、本発明による前記製剤を摂取する場合、外側ポリマー層が、高粘度ゲル層により包まれているロペラミド圧縮物を、水を用いなくても、簡単に嚥下することができるようにするのに充分な量の自発的唾液流を生じさせる。アルギン酸ナトリウムの粘度は、低pHで次第に減少するから、この錠剤は胃で崩壊し、活性成分が迅速に放出される。
【0059】
格別に不快な苦い味を有する活性成分の場合、例えばシプロフロキサシンの場合、例えば活性成分の顆粒またはペレットを先ず、味遮蔽性コーティングで被覆することができる。この目的には、粒子を、例えば公知方法で、胃液に対して耐性であるか、または唾液に対して耐性であるコーティングにより被覆することができ、あるいは好ましくは、本発明による水和できる高粘度不活性ポリマー層で包み込むことができる。特に適当な水和性ポリマーは、約10〜25μmの平均粒子サイズを有する、最高粘度の微細化したナトリウムカルボキシメチルセルロースであり、これは、例えばポリマー粉末として、アルコール/水で湿らされている活性成分に適用するか、またはアルコール溶剤中の懸濁液として、粒子上に噴霧することができる。これにより、簡単な方法で、活性成分粒子上に非常に均一なポリマー分布を得ることができる。このことは、唾液に対する完全な耐性にとって重要である。活性成分の要求される放出速度に依存して、活性成分粒子の重量に基づき約0.5〜20重量%、好ましくは約1〜10重量%のポリマーを使用することができる。この被覆した活性成分粒子を次いで、外側ポリマー層で被覆する。この外側ポリマー層は、少なくとも1種の低粘度の水和性ポリマー、少なくとも1種の唾液分泌増強剤、および必要に応じて、補助物質、例えば甘味、芳香、pH調整、孔形成または界面活性補助物質および(または)内部ポリマー層中への唾液の浸透を容易にする錠剤形成補助物質を含有することができる。外側ポリマー層は好ましくは、内側コーティングを備えた活性成分粒子に基づき、約5〜150重量%の量で適用することができる。
【0060】
使用する水和性ポリマーの種類および量は、要求される投与方式に、或る程度依存する。例えば、被覆した顆粒またはペレットを、例えばスプーンを用いて、口に投与する場合、これらの粒子が数秒以内にポリマーにより一緒に粘着し、粘稠な凝集した軟質の「粒子ペースト」を形成することは重要である。これは特に、格別に苦い味を有する活性成分の場合に、粒子が口内に残留する可能性を回避するために必要である。この方法で、例えば3〜4g、必要な場合は、約10gまでの量の粒子を定量的に、また問題なく、嚥下することができる。これに対して、このような量の慣用の徐放性ペレットは、嚥下させようとした場合、若干のペレットが歯間に、または頬空間中に捕獲されることを回避できず、これにより活性成分が口内に徐々に放出される危険があり、あるいは味の遮蔽が咀嚼行動により破壊される危険がある。
【0061】
もう一つの有利な投与方式において、本発明によるペレットまたは顆粒は、計量量を小さいカップに分配することができるペレット分配容器に充填することができ、あるいは加熱成型したくぼみに充填し、次いでシートで封をすることができる。適当なペレット分配材料および包装材料は、当業者に周知である。投与前に、カップ中またはくぼみ中の本発明による粒子は、例えば計量スプーンを用いて、それらの上に注ぎ入れた計量量の水を含有する。この場合、粒子は添加水を数秒以内に吸収し、粒子を軟質で粘稠な凝集した塊状物に変換する。この塊状物は活性成分粒子を包み込んでおり、カップまたはくぼみの壁に接着しない。この場合、製剤は一般に、被覆した粒子の重量に基づき、300重量%までの量の水の添加により、手で、またはスパチュラまたはスプーンを用いることにより、定量的に摂取することができるのに充分な粘稠度を維持する。この水和性製剤を喉に施した場合、生じる唾液分泌により助けられて、非常に容易に嚥下することができる。
【0062】
この投与方式の優れた利点は、ほとんど全部の必要量の活性成分をこの方法で投与することができる点にある。例えば、約5gまでの活性成分含有量を有する10gまでの量の製剤を、いかなる種類の嚥下困難の発生を伴うことなく、嚥下することができる。さらにまた、この塊状物は、唾液にさらされると、嚥下することができる小さい塊に、舌で容易に成型することができる。この投与方式はまた、もう一つの利点を有しており、この利点は、被覆した活性成分粒子が、摂取前でさえも、一緒に粘着することができ、活性成分粒子の口内から離れる拡散の発生を防ぐ点にある。
【0063】
本発明に従い被覆された粒子、例えばペレットまたは顆粒はまた、さらに錠剤に処理することができる。この目的には、粒子を慣用の錠剤形成補助物質と混合することができ、次いでそれ自体公知の方法で錠剤に圧縮することができる。しかしながら、錠剤化補助物質の全部を、粒子のコーティング中に存在させ、この被覆粒子を、追加の補助物質を用いることなく、錠剤に直接圧縮することもでき、そして好ましい。これにより補助物質と粒子との混合物が不均一になることが防止される。従って、少なくとも2枚の層からなるコーティングを備えており、そして少なくとも1種の水和性ポリマー以外に、少なくとも1種の唾液分泌増強剤およびいずれかの補助物質、例えば甘味料および芳香剤、好ましくはまた、1種または2種以上の錠剤形成補助物質、例えば微結晶セルロースおよび必要に応じて、唾液の浸透を容易にする追加の補助物質、例えばデンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースおよび二酸化ケイ素を含有することができる最外コーティング層を有していてもよい、ペレットまたは顆粒などの粒子を用いることによって、多数の被覆粒子を含有する錠剤を製造することができ、そして好ましい。低圧においてさえも、これらの粒子を一緒に良好に保持する錠剤を成型することができ、この最外層が容易に変形することができることから、1枚または複数枚の内側層は破壊されない。口内に投与されると、直ちに唾液分泌が促進され、そして唾液が錠剤中に迅速に浸透し、この錠剤を舌で成形することができる軟質で凝集した「粒子ペースト」に変換する。
【0064】
ロペラミド製剤を用いて、上記ですでに説明したように、本発明による組成物はまた、単一の被覆粒子からなることもでき、また例えば本発明によるコーティングを備えた錠剤であることができる。これらの場合、少なくとも2枚の層からなり、そして上記で説明した性質を有するコーティングを使用すると、一般に好ましい。このタイプの製剤は、粒子に最外層を適用することはできないが、粒子を加圧被覆した錠剤の形態で包み込むことができ、そして好ましい。
【0065】
本発明を下記の例によりさらに説明する。粘度のデータはそれぞれ、1%濃度水性溶液に関する数値である。パーセントデータはそれぞれ、別段の記載がないかぎり、重量%である。これらの例で使用された水和性ポリマーおよび補助物質は、市販物質であり、例えばポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK90(BASF,Ludwigshafen/FRG)、クロスポビドン(crospovidon)またはポリプラスドン(Polyplasdon)(架橋結合したポリビニルピロリドン;BASF,Ludwigshafen/FRGまたはISP/FRG)、クロスカルメロース(croscarmelose)(架橋結合したナトリウムカルボキシメチルセルロース;FMC,Brussels/Belgium)、バラノース(Blanose)7H4またはバラノース7H9(ナトリウムカルボキシメチルセルロース;Aqualon,Dusseldorf/FRG)、カルミナル(Culminal)(メチルセルロース;Hercules,Milldate/USA)、ナトロソール(Natrosol)250HHX(ヒドロキシエチルセルロース;Aqualon,Dusseldorf/FRG)、ヒドロキシプロピルセルロースLH11またはヒドロキシプロピルセルロースLH20(Shinetsu,Tokyo/Japan)、クルセル(Klucel)L(ヒドロキシプロピルセルロース;Shinetsu,Tokyo/Japan)、メトロース(Metolose)60SH−50(ヒドロキシプロピルメチルセルロース;Shinetsu,Tokyo/Japan)、ファーマコート(Pharmacoat)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース;Shinetsu,Tokyo/Japan)、タブレットース(Tablettose)(乳糖;Meggle,Wasserburg/FRG)、オイドラギット(Eudragit)LまたはオイドラギットSコーティング(メタアクリル酸ポリマー タイプAまたはB;Rohm,Darmstadt/FRG)およびオイドラギットRSコーティング(メタアクリル酸アンモニウム コポリマー タイプB;Rohm,Darmstadt/FRG)などである。
【0066】
例1
活性成分芯部の製造:
シプロフロキサシン塩基(微粉砕)または
シプロフロキサシン塩酸塩 2000g
クロスポビドンXL−M(ポリプラスドンXL−M) 110g
ポリビニルピロリドンK90 60g
水 900g
エタノール 1800g
【0067】
ポリビニルピロリドンを、エタノールと水との混合物中に溶解する;残りの粉末を次いで、高剪断下に、この溶液中に撹拌添加する。この44.6%濃度の懸濁液を、流動床装置において40℃の導入空気温度で、0.3〜0.6mmの径を有する篩分けしたスクロース結晶1.5kg上に噴霧する。この乾燥させ、篩分けした粒子(直径:0.5〜1.0mm)は、約54%の活性成分を含有する。
【0068】
ポリマー層の適用:
これらの粒子を少しづつ、それぞれ予め湿らせた後に、球体形成機において下記成分の粉末状混合物で被覆する:
塩化ナトリウム(粉砕したもの) 50g
サッカリンナトリウム(粉砕したもの) 50g
および
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 50g
【0069】
これらの粒子を次いで、それぞれエタノール/水(1:1)で湿らせた後に、下記成分の粉末状混合物で被覆する:
ナトリウムカルボキシメチルセルロース
(バラノース7H9,8000mPa・s) 275g
および
タルク 75g
【0070】
例2
例1で得られたペレット88重量部を、球体形成機において、それぞれポリビニルピロリドンK25の10%濃度エタノール性溶液により予め湿らせた後に、下記成分の混合物12重量部で被覆した:
マンニトール 4部
キサンタン粉末(3000mPa・s、
MW1,000,000) 4部
クエン酸1ナトリウム塩 3部
シクラミン酸ナトリウム/サッカリンナトリウム 9:1 0.25部
レモン芳香剤粉末 0.25部
二酸化ケイ素 0.5部
(成分の指示量は重量部である)
【0071】
これらのペレットを次いで、エタノール/水 9:1中のヒドロキシプロピルメチルセルロース6重量%を含有する溶液を用いて、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.5重量%(使用ペレットに基づく)により被覆し、機械的安定性を改良する。
【0072】
これらのペレットに水または唾液を添加すると、ペレットの周囲に接着性で粘稠な層がほとんど即座に形成される。このペレットは、一方で、口内への格別に苦い味を有する活性成分の拡散を、少なくとも3〜5分間防止し、また他方で、計量したペレットを一緒に接着させ、凝集した軟質の変形可能な粒子ペーストを形成する。
【0073】
例3
活性成分80重量部を含有する可塑化塊状物を、それ自体公知の方法で、シプロフロキサシン塩酸塩、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール6000およびヒドロキシプロピルセルロースLH20(Shin−Etsu,Japan)から製造し、次いで押出しおよび球体形成により、0.6〜1.25mm径のペレットに変換する。これらのペレット3kgを、球体形成機において、それぞれ10%濃度エタノール性ポリビニルピロリドン溶液により予め湿らせた後に、粉砕した炭酸ナトリウム150gで被覆する。これらのペレットを次いで、フィルム−コーティング装置において、下記成分を含有する8%濃度エタノール性溶液の噴霧により被覆する:
エチルセルロース(7mPa・s) 50g
および
タルク 25g
【0074】
生成するペレットは、少なくとも5分間、唾液に対して耐性であり、かつまたこの時間の間、口内で苦い味はほとんど検知されない。
【0075】
これらの生成したペレット3.1kgに、2部式ノズルを用いる球体形成機において、下記成分の25%濃度エタノール性懸濁液を噴霧する:
微粉砕したナトリウムカルボキシメチル
セルロース(バラノース7H4,
8000mPa・s,平均粒子サイズ:
20μm) 70g
および
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(メトロース60SH−50,25mPa・s) 23g
【0076】
生成する被覆したペレット3.15kgを、球体形成機において、それぞれエタノール/水(1:1)により予め湿らせた後に、下記成分の粉末状混合物で被覆する:
α−乳糖 1水化物(200メッシュ) 200g
ヒドロキシエチルセルロース
(ナトロール250HHX,3000mPa・s) 200g
クエン酸1ナトリウム塩(粉末) 100g
シクラミン酸ナトリウム/サッカリンナトリウム 9:1 12g
乾燥リンゴ芳香剤 11g
二酸化ケイ素 4g
ヒドロキシプロピルセルロースLH11 15g
【0077】
乾燥させ、次いで篩分けする前に、これらのペレットをまた、重量獲得が0.5%になるまで、6%濃度ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液(エタノール/水 8:2)で被覆する。これらのペレットの98%は、0.8〜1.6mmの最大径を有する;活性成分含有量は54%である。
【0078】
例4
例3からのペレット926mgを、サイズ000の硬質ゼラチンカプセル(クロージャー グローブを備えていない)に充填する。カプセルキャップを引き剥がすことによって、このカプセルを開けた後に、本発明による粒子をティースプーン上にあける。これらの粒子をスプーンにより舌の上に入れると、自発的唾液分泌が生じ、これらの粒子は数秒以内に一緒に粘着し、快い味を有する粒子ペーストが得られる。このゲル状ペーストは、舌にも、あるいは歯にも接着せず、容易に嚥下することができる。
【0079】
これらの粒子をスプーン上に入れ、水約1mlを添加すると、これらのペレットは、10秒以内に、表面上に粘着しない、粘稠で凝集したペーストに変化する。この粒子ベーストは、口内に残留粒子を伴うことなく、非常に容易に嚥下することができる。
【0080】
例5
例3で得られたシプロフロキサシン粒子1.85g部を、円形の熱成形したPVCくぼみ(初期PVCシート:250μm)に入れ、このくぼみを剥離性シートでシールする。投与する場合、この剥離性シートを剥離し、ペレットを含有する熱成形くぼみに、アプリケーター スプーンを用いて、水2gを入れる。この水は直ちに吸収され、本発明によるペレットは、10秒以内に、粘稠で凝集したペレットペーストに変換される。このペーストは、表面に粘着しない。アプリケーターのスパチュラ部分を使用して、このくぼみから、凝集したペーストを定量的に取り出すことができる。この粒子ペーストは、その表面上でゲル状であり、そして口内に残留粒子を伴うことなく、定量的に容易に嚥下することができる。
【0081】
例6
例3で得られたシプロフロキサシン粒子1.85g部を、円形の熱成形した二層状くぼみ(径:20mm、深さ:約10mm)に入れ、このくぼみを剥離性シートでシールする。初期PVCシートは、150〜200μmの厚さを有する。投与する場合、この剥離性シートを剥離し、シプロフロキサシン粒子上に、アプリケーターを用いて水1.5gを入れる。この水は直ちに吸収され、本発明によるペレットは、30秒以内に、粘稠な凝集した二層状ペースト錠剤に変換される。この柔軟なくぼみの下から圧力を加えると、このペレットペースト錠剤は定量的に取り出すことができる。これは、ゲル状であり、また表面に粘着しておらず、指により取り上げることができ、口中に入れることができる。開始される唾液分泌は、この錠剤を舌により、1個または2個の長円形の小さい塊に成形することを可能にする。この小さい塊は容易に嚥下することができる。
【0082】
例7
例2からのシプロフロキサシンペレットを、ペレットディスペンサーに充填する。このディスペンサーは、その計量ヘッドを一度まわすと、約1.85gのペレットを添付カップ中に分配する。例5に記載したように、計量量の水を、アプリケーターを用いて、このカップ中に入れることができ、形成された粘稠な凝集したペレットペーストは、丸形スパチュラを用いて定量的に取り出すことができる。
【0083】
例8
下記成分を用いて、ロペラミド含有粒子を製造する:
1粒子あたり
ロペラミド 0.2kg 2mg
乳糖 5.0kg 50mg
ポリビニルピロリドン 0.2kg 2mg
微結晶セルロース 1.0kg 10mg
トウモロコシデンプン 0.6kg 6mg
【0084】
微粉砕した活性成分および補助物質を混合し、次いで水で湿らせ、次いでこの湿った塊状物を、2.0mmの篩に押し通す。乾燥させ、0.8mmの篩に通して篩分けた後、粒子1個あたりで、4.5mgのクロスポビドンおよび0.5mgのステアリン酸マグネシウムを添加し、この混合物を、5mmの径を有する二層状粒子に圧縮する。
【0085】
生成する粒子(80,000粒子)6.0kg上に、アルギン酸ナトリウム(2000mPa・s,平均粒子サイズ:15μm)400gおよびポリビニルピロリドンK90 50gを、イソプロパノール1.2kg中の溶液または懸濁液として噴霧する。この被覆した粒子に、下記成分の懸濁液を噴霧することによって、外側コーティング層を施す:
クエン酸 820g
サッカリンナトリウム 160g
液状レモン芳香剤 25g
ヒドロキシプロピルセルロース
(クルセル L,20mPa・s) 150g
タルク 250g
および
エタノール(75%濃度) 2645g
【0086】
口内で、これらの粒子は、ほとんど即座に格別の唾液分泌を生じさせ、この唾液とともに、追加の水を用いることなく嚥下することができる。これらの粒子は、粘稠な凝集した層により包まれている。ロペラミドの苦い味は見られない。
【0087】
例9
乳糖顆粒粒子3kg(タブレットース,0.3〜0.6mm)を、コーティング装置において、下記成分の溶液で被覆する:
ロペラミド 75g
サッカリンナトリウム 75g
塩化ナトリウム 150g
水 200g
および
エタノール 800g
【0088】
生成する粒子を、球体形成機において、それぞれ10%濃度エタノール性ポリビニルピロリドン溶液により予め湿らせた後、下記成分の混合物で被覆する:
キサンタン粉末(3000mPa・s) 235g
および
タルク 50g
【0089】
次いで、下記成分の混合物で被覆する:
微結晶セルロース 1.5kg
クエン酸(粉末) 0.2kg
アスパルテーム 0.1kg
乾燥オレンジ芳香剤 0.1kg
および
メチルセルロース(カルミナル,
3000mPa・s) 150g
【0090】
この乾燥した粒子を、150mgの重量を有する二層状錠剤に圧縮する(8mm径)。刺激された唾液分泌の結果として、口内で、これらの錠剤は20秒以内に凝集した軟質の粘稠な粒子ペーストを生成し、このペーストは水を用いることなく、非常に容易に嚥下することができる。ロペラミドの苦い味は検知できない。
【0091】
例10
ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの層で被覆されているシプロフロキサシン塩酸塩の粒子3.0kg(唾液分泌増強性外側層は有していない)を、例3に記載のとおりに製造し、それぞれ10%濃度エタノール性ポリビニルピロリドン溶液により予め湿らせた後(使用溶液1.3kg)、下記成分の混合物を、少しづつ施す:
微結晶セルロース 1.7kg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 0.3kg
クエン酸 0.15kg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(7.5mPa・s) 0.4kg
アスパルテーム 0.05kg
および
乾燥レモン芳香剤(粉末) 0.1kg
【0092】
乾燥後、これらの粒子は、約33重量%のシプロフロキサシン塩酸塩含有量を有する。
【0093】
ステアリン酸マグネシウム0.5重量%と混合した後、これらの粒子から、シプロフロキサシン塩酸塩750mgの活性成分含有量を有し、20mmの径を有する二層状錠剤を、低圧下に圧縮形成する。この錠剤の硬度は、約60Nである。この錠剤を舌の上に置くと、発生する唾液分泌が、20秒以内に、凝集した粘性粒子ペーストを形成させる。このペーストは、舌、口蓋および歯に接着せず、容易に嚥下することができる。
【0094】
例11
それ自体公知の方法で製造された、胃液に対して耐性であり、5−アミノサリチル酸75重量%の活性成分含有量を有するペレット3kgを、球体形成機において、それぞれエタノール/水(7:3)中の10%濃度ポリビニルピロリドン溶液を予め噴霧した後、下記成分の粉末状混合物で被覆する:
ナトリウムカルボキシメチルセルロース
(バラノース7H4,8000mPa・s、
粒子サイズ:20μm) 100g
クエン酸1ナトリウム塩 25g
アスパルテーム 15g
および
乾燥バニラ粉末 30g
【0095】
乾燥させ、篩分けした粒子(0.8〜1.4mm)を、計量ヘッドをまわすと、ペレット1450mg(これは5−アミノサリチル酸1000mgに相当する)を供給するペレット ディスペンサーに充填する。このペレットを、スプーンを用いて舌の上に置くと、これらは10秒以内に軟質で凝集したペレットペーストを生成する。このペーストは容易に嚥下することができる。
【0096】
例12
それ自体公知の方法で製造された、胃液に対して耐性であり、5−アミノサリチル酸75重量%の活性成分含有量を有するペレット3kgを、球体形成機において、それぞれ10%濃度エタノール性ポリビニルピロリドン溶液を予め噴霧した後、下記成分の粉末状混合物で少しづつ被覆する:
微結晶セルロース 1.6kg
ナトリウムカルボキシメチルデンプン 0.3kg
アジピン酸 0.3kg
重炭酸ナトリウム 0.13kg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(ファーマコート,25mPa・s) 0.15kg
アスパルテーム 0.12kg
および
乾燥バニラ粉末 0.11kg
および
二酸化ケイ素 0.1kg
【0097】
このコーティングには、ポリビニルピロリドン溶液1.5kgが必要である。乾燥後、これらの粒子は約35重量%の活性成分含有量を有する。これらの粒子から、23mmの径および2860mgの重量(この重量は活性成分1000mgに等しい)を有する二層状錠剤を、低圧で圧縮成形する。この錠剤の硬度は、60〜80Nである。この錠剤は、口内で唾液分泌の増加を生じさせ、20秒以内に、凝集した軟質ペレットペーストを生成する。このペーストは舌により容易に変形させることができ、そして容易に嚥下することができる。
【0098】
例13
アモキシシリン、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよび乳糖から、公知の押出しおよび球体形成法によって、68重量%のアモキシシリン含有量を有する活性成分ペレットを形成する。これらのペレットの若干を、公知方法で、オイドラギットLおよびオイドラギットRSで被覆することによって、遅延放出性ペレットに変換する。このペレットは胃液に対して耐性である。
【0099】
これらの遅延放出性ペレット(活性成分含有量:59.1重量%)3kgおよび非遅延性ペレット(活性成分含有量:68重量%)3kgに、球体形成機において、水を注意して噴霧し、次いで下記成分の粉末状混合物で被覆する:
タルク 60g
および
ナトリウムカルボキシメチルセルロース 60g
(バラノース7H4,8000mPa・s
平均粒子サイズ:20μm)
【0100】
これらの粒子を次いで、空気流中で球形形成機ディスクを回転させ、それらの上に下記組成物の懸濁液を注ぎ入れた:
アスパルテーム 30g
クエン酸 45g
乾燥バニラ粉末 50g
ヒドロキシエチルセルロース
(粒子サイズ:25μm,4500mPa・s) 150g
タルク 75g
ポリビニルピロリドンK25 75g
および
エタノール 650g
【0101】
約58重量%の活性成分含有量を有し、計量ヘッドを半分まわすと約860mgを計量し、完全にまわすと約1720mgを計量するペレット ディスペンサーに充填されている生成ペレットを、例えばスプーン上に入れる。これらのペレットを、スプーンを用いて、舌の上に入れると、これらは自発的唾液分泌を生じさせ、軟質で果実風味を有するペレットペーストに変換される。このペーストは、容易に嚥下することができる。
【0102】
例14
篩分けしたアスコルビン酸結晶を、流動床装置において、アスコルビン酸の濃縮水性溶液により丸くする。乾燥後、0.315〜0.7mmの粒子サイズを有するアスコルビン酸区分(10kg)に、球体形成機において、その上に下記組成物の懸濁液をゆっくり注ぎ入れ、次いで空気流中で乾燥させる:
アスパルテーム 150g
レモン芳香剤 150g
メチルヒドロキシプロピルセルロース
(4500mPa・s) 250g
タルク 50g
ポリビニルピロリドンK25 50g
および
エタノール 1400g
【0103】
この篩分けし、次いで乾燥させた物質を、ペレット ディスペンサーに充填する。このディスペンサーの計量室は、アスコルビン酸500mgを含有する量(532mg)のペレットが180゜回転させると計量されるように調節されている。このペレットを舌の上に置くと、自発的唾液分泌により、レモン風味を有する凝集した甘酸っぱいペレットペーストが生成される。このペーストは容易に嚥下することができる。
【0104】
例15
0.25〜0.6mmの粒子サイズを有するクエン酸結晶10kgを、減圧湿式ミキサー中に導入する。この結晶をエタノールで湿らせた後、粘着性塊状物が生成されるまで、これらを撹拌する。これを、炭酸カルシウム粉末とともに粉砕し、ここで炭酸カルシウムはクエン酸結晶に完全に結合する。エタノールで再度、湿らせた後、炭酸カルシウムを用いる粉砕を繰り返す。これにより最終的に、クエン酸の芯を有する充分に丸い形態にされた炭酸カルシウムペレットが得られる。総合して、この方法で、炭酸カルシウム5.8kgを使用する。
【0105】
同一装置において、篩分けした炭酸カルシウム/クエン酸ペレット(0.4〜1.0mm区分)を、減圧撹拌しながら、下記成分の懸濁液で被覆し、同時に乾燥させる:
クエン酸 200g
アスパルテーム 150g
レモン芳香剤 150g
オレンジ芳香剤 50g
ナトリウムカルボキシメチルセルロース
(バラノース7H4,8000mPa・s
平均粒子サイズ:20μm) 450g
タルク 200g
および
エタノール 1900g
【0106】
生成するペレットは、例えばその計量室が、カルシウムの推奨一日薬用量である800mgを含有する炭酸カルシウムペレット2.350gが、360゜回転させることにより計量されるように調節されている、ペレット ディスペンサーに入れることができる。これらのペレットを、例えばスプーンを用いて、舌の上に置くと、迅速に開始される唾液分泌が、非常に容易に嚥下することができる軟質ペレット塊状物が生成される。
【0107】
同様な方法で、炭酸カルシウムの代わりに、炭酸マグネシウムを使用することによって対応する炭酸マグネシウムペレットを得ることができる。このペレットは、例えば半回転させると、マグネシウム5mmol(120mg)を含有するペレット1.25gを計量するペレット ディスペンサーに入れることができる。
【0108】
例16
クエン酸結晶14kgを、減圧顆粒形成機において、例15と同様の方法に従うが、炭酸カルシウムの代わりに、ビタミンB、B、B、B12、葉酸、ビタミンE、ビオチン、ビタミンC、パントテン酸、ナイアシンおよび担体として、麦芽デキストリンを含有するビタミンミックス1.4kgを用いて被覆する。このビタミンミックス200mgは、上記ビタミン類の一日必要量を含有する。
【0109】
篩分けすることなく、この被覆したクエン酸/ビタミンペレットを、同一装置において、下記成分の懸濁液で被覆し、次いで減圧乾燥させる:
酒石酸 60g
シクラミン酸ナトリウム 70g
オレンジ芳香剤 70g
タルク 70g
ポリビニルピロリドンK25 100g
メチルヒドロキシプロピルセルロース 400g
(メトセルE6、6mPa・s)
および
エタノール 2100g
【0110】
この被覆したペレットは、例えばその計量室が360゜回転させることにより、上記ビタミン類の推奨一日薬用量を含有するペレット2.34gを計量するように調節されているペレット ディスペンサーに入れることができる。これらのペレットを、スプーンを用いて舌の上に置くと、これらは、10秒以内に、オレンジの果実風味を有し、そして容易に嚥下することができる軟質の凝集したペレットペーストを生成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の医薬活性成分を有効量で含有し、該少なくとも1種の医薬活性成分を含み場合により拡散膜、浸食性膜且つ/又は胃液に対して耐性にする膜を有する芯部、及び該芯部上に1又は2以上の層からなるコーティングを有する被覆粒子を含む、医薬経口組成物であって、
(a)1又は2以上のコーティング層は、唾液または水と接触すると、表面が滑らかであり、口内粘膜に接着しない、凝集した成形可能な粘稠な塊状物を形成し、且つ当該塊状物からの活性成分含有粒子の漏出及び口内への活性成分の放出を防止する、少なくとも1種の薬理的に許容される水和性ポリマーを含有し、
(b)コーティング層又はコーティング層の最外層は、有効量の少なくとも1種の唾液分泌増強水溶性有機酸を含有し、並びに
(c)1又は2以上のコーティング層は、デンプン、クロスポビドン、クロスカルメロース及びタルクから選択される、補助物質を含有する、
ことを特徴とする経口投与用医薬組成物。
【請求項2】
水和性ポリマーとして、1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定して、3〜10,000mPa・sの粘度を有する非イオン性ポリマー又は1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定して、3〜30,000mPa・sの粘度を有するイオン性ポリマーを含有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水和性ポリマーとして、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸、ポリアクリレート、アルギン酸、アルギネート、ペクチン、キサンタン、ガラクトマンナン、グアガム、ヒドロキシプロピル−グアガム、ゼラチン及び/又はアラビアゴムを含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定して、少なくとも約25mPa・sの粘度を有する水和性ポリマーを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
水和性ポリマーが、200μmを越えない平均粒子サイズを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
コーティングが、本質的に無水の組成物に基づき、5〜75重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
医薬活性成分として、ロペラミド(loperamide)、メサラジン(mesalazine)、オルサラジン(olsalazine)、シメチジン(cimetidine)、ラニチジン(ranitidine)、ファモチジン(famotidine)、ニザチジン(nizatidine)、オメプラゾール(omeprazole)、スクラルフェート(sucralfate)、パントプラゾール(pantoprazole)、パンクレアチン(pancreatin)、ビサコジル(bisacodyl)、ラクツロース(lactulose)、アセチルサルチル酸、パラセタモル(paracetamol)、イブプロフェン(ibuprofen)、モルヒネ(morphine)、トラマドール(tramadol)、ナプロキセン(naproxen)、ジクロフェナック(diclofenac)、ピロキシカム(piroxicam)、テルフェナジン(terfenadine)、アステミゾール(astemizole)、アムブロキソール(ambroxol)、アセチルシステイン、テオフィリン(theophyline)、アテノロール(atenolol)、ニフェジピン(nifedipine)、ジルチアゼム(diltiazem)、ベラパミル(verapamil)、イソソルビド(isosorbide)1硝酸塩、アミトリプチリン(amitriptyline)、ニトラゼパム(nitrazepam)、ブデソニド(budesonide)、シプロフロキサシン(ciprofloxacin)、ノルフロキサシン(norfloxacin)、オフロキサシン(ofloxacin)、アモキシシリン(amoxicillin)、セファクロール(cefaclor)、セファドロキシル(cefadroxil)、テトラサイクリン(tetracycline)、エリスロマイシン(erythromycine)、これらの活性成分の1つの薬理的に許容される塩、又はこれらの活性成分及び塩の2種又は3種以上の組合わせを含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
唾液分泌増強水溶性有機酸として、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸水素ナトリウム若しくはカリウム、又はクエン酸水素ナトリウムを含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
コーティングが2以上の層からなり、コーティングの1層に存在する水和性ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定した粘度が、このコーティングの隣接する内側層に存在する水和性ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定した粘度に比較して、それぞれ大きくないことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
コーティングの最外層が、25〜5000mPa・sの粘度を有する水和性ポリマーを含有し、そしてコーティングの最外層の次の層が、5000〜10,000mPa・sの粘度を有する非イオン性水和性ポリマー及び/又は5000〜30,000mPa・sの粘度を有するイオン性ポリマーを含有し、上記粘度はそれぞれ、ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定した粘度であることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
コーティングの最外層が、25〜5000mPa・sの粘度を有するポリビニルピロリドン又はセルロースエーテルを含有し、そしてコーティングの最外層の次の層が、5000〜8000mPa・sの粘度を有するカルボキシメチルセルロースナトリウム、5000〜30,000mPa・sの粘度を有するポリアクリル酸又は5000〜10,000mPa・sの粘度を有するセルロースエーテルを含有し、上記粘度はそれぞれ、ポリマーの1%濃度(重量/重量)水性溶液として25℃で測定した粘度であることを特徴とする、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
50μmを越えない平均粒子サイズを有する水和性ポリマーを、コーティング最外層の次の層に使用することを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
コーティングの最外層の次の層が、本質的に無水の層として計算し、そして本質的に無水の活性成分含有芯部に基づき、0.25〜50重量%の量で存在し、そしてコーティングの最外層が、本質的に無水の層として計算し、そして本質的に無水の組成物に基づき、3〜60重量%の量で存在することを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
被覆した粒子が、0.25〜12mmの最大径を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
唾液と接触すると形成される成形可能な塊状物が、粒子を一緒に粘着させることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物および指示書を含有し、この指示書は、当該組成物を事前に水性媒質中に分散することなく及び噛むことなく、口内に直接投与することによって摂取することを指示するものである、医薬製剤パック。

【公開番号】特開2010−120956(P2010−120956A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29947(P2010−29947)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【分割の表示】特願平10−509262の分割
【原出願日】平成9年8月14日(1997.8.14)
【出願人】(501297653)ロザン ファルマ ゲゼルシャフトミットベシュレンクテルハフツンク (3)
【Fターム(参考)】