説明

嚥下可能薬物送達デバイスおよび薬物送達方法

本発明の実施形態は、消化管内で薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイス、調整物、および方法を提供する。いくつかの実施形態は、腸壁または他の消化管腔の中へ薬物を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。デバイスは、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える。カプセルは、少なくとも1つのガイドチューブと、ガイドチューブの中に設置される1つ以上の組織貫通部材と、送達部材と、作動機構と、解放要素とを含むことができる。解放要素は、作動機構を解放し、作動させるように、腸の中の種々の条件への暴露時に分解する。本発明の実施形態は、消化管内において吸収されにくく、耐性が低く、および/または分解される薬物の送達に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許出願第61/339,941号(名称「Swallowable Drug Delivery Device and Methods of Delivery」、2010年月3日10出願、代理人整理番号028205−000300US)、米国特許出願第61/284,766号(名称「Swallowable Drug Delivery Device and Methods of Drug Delivery」、2009年12月24日出願、代理人整理番号028205−000200US)、および米国特許出願第61/340,331号(名称「Swallowable Drug Delivery Device and Methods of Delivery」、2010年3月15日出願、代理人整理番号028205−000400US)、米国特許出願第61/395,304号(名称「Swallowable Drug Delivery Device and Method of Delivery」、2010年5月10日出願、代理人整理番号028205−000500US)の利益を主張し、これらの全ては、全ての目的に対してその全体が参照することによって本明細書に援用される。本願はまた、米国特許出願第______/______,号(名称「Swallowable Drug Delivery Device and Method of Delivery」、2010年12月23日出願、代理人整理番号028205−000510US)、および米国特許出願第______/______,号(名称「Therapeutic Agent Preparations for Delivery into a Lumen of the Intestinal Tract Using a Swallowable Drug Delivery Device」、2010年12月23日出願、代理人整理番号028205−000310US)と関連し、これらの全ては、その全体が参照することによって本明細書に援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の実施形態は、嚥下可能薬物送達デバイスに関する。より具体的には、本発明の実施形態は、薬物を小腸に送達するための嚥下可能薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
種々の疾患の治療のために、近年、新しい薬物がますます開発されているが、多くは経口投与することができないので、用途が限定されている。これは、胃の不快感および出血を含む合併症との不良な経口耐性、胃の中の薬物化合物の破壊/分解、および薬物の不良な、遅い、または一定しない吸収を含む、いくつかの理由によるものである。静脈内および筋肉内送達等の従来の代替的な薬物送達方法には、針を刺すことによる苦痛および感染症の危険性、無菌技法の使用の要求、ならびに長期間にわたって患者体内で静脈ラインを維持することの要求および関連危険性を含むいくつかの欠点がある。埋込型薬物送達ポンプ等の他の薬物送達アプローチが採用されているが、これらのアプローチは、デバイスの半永久的な埋込を必要とし、依然として静脈内送達の制限の多くを有し得る。したがって、薬物および他の治療薬剤の送達のための改良型方法の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、薬物および他の治療薬剤を体内の種々の場所に送達するためのデバイス、システム、キット、および方法を提供する。多くの実施形態は、消化管(GI)内に薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸、大腸の壁、または他の消化器官壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。本発明の実施形態は、消化管内で吸収されにくく、耐性が低く、および/または分解される(例えば、分子の化学構造の破壊)薬物および他の治療薬剤の送達に特に有用である(例えば、胃の中の消化酵素および酸)。さらに、本発明の実施形態は、静脈内または他の形態の非経口投与(例えば、筋肉内等)のみが以前は可能であった、または好ましくはそれによって送達された、薬物を送達するために使用することができる。加えて、本発明の実施形態は、経口送達を介した血流の中への薬物の急速な放出を達成するために有用である。
【0005】
本発明の実施形態は、薬物および他の治療薬剤を体内の種々の場所に送達するためのデバイス、システム、キット、および方法を提供する。多くの実施形態は、消化(GI)管内で薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸の壁または他の消化器官壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。本発明の実施形態は、消化管内で吸収されにくく、耐性が低く、および/または分解される薬物および他の治療薬剤の送達に特に有用である。さらに、本発明の実施形態は、静脈内または他の形態の非経口投与(例えば、筋肉内等)のみが以前は可能であった、または好ましくはそれによって送達された、薬物を送達するために使用することができる。
【0006】
一側面では、本発明は、小腸または大腸の壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。デバイスは、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える。カプセルは、内部容積を含み、種々の生分解性ポリマーを含む、当技術分野で公知である種々の生体適合性ポリマーから製造することができる。カプセルは、少なくとも1つのガイドチューブと、少なくとも1つのガイドチューブの中に設置される1つ以上の組織貫通部材と、送達部材と、作動機構とを含むことができる。代替として、組織貫通部材は、ガイドチューブがないカプセルの中に設置することができる。組織貫通部材は、一般的には、中空針または他の類似構造を備え、管腔または他の区画と、腸壁の中へ選択的な深さで貫通するための組織貫通端部とを有する。種々の実施形態において、デバイスは、第2および第3の組織貫通部材を含むことができ、付加的な数が企図される。各組織貫通部材は、同じ、または異なる薬物を含むことができる。複数の組織貫通部材を有する好ましい実施形態において、組織貫通部材は、薬物の送達中に腸壁上にカプセルを固着するよう、カプセルの周囲に対称的に分配することができる。いくつかの実施形態において、組織貫通部材(例えば、組織貫通端部)の全体または一部分は、薬物自体から製造することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、薬物は、腸壁を貫通し、腸壁の中で保持されるように構成される、針またはダーツ状構造(鉤を伴う、または伴わない)を有することができる。
【0007】
組織貫通部材は、小腸内で分解するように、種々の生分解性材料(例えば、PGLA)から製造することができ、したがって、この構成要素が腸壁の中に保持された場合に、腸壁から組織貫通部材を取り外すためのフェイルセーフ機構を提供することができる。加えて、これらの実施形態および関連実施形態において、カプセルの選択可能な部分は、デバイス全体がより小さい断片に制御可能に分解することを可能にするよう、そのような生分解性材料から製造することができる。そのような実施形態は、消化管を通したデバイスの通過および排出を促進する。特定の実施形態において、カプセルは、選択可能なサイズおよび形状のカプセル断片を生じ、消化管を通した通過を促進するように制御可能に分解する、生分解性材料の継ぎ目を含むことができる。継ぎ目は、分解を加速するように、圧縮応力を与える、穿孔する、または別様に処理することができる。消化管の中の嚥下可能デバイスの制御された分解を生じるために生分解性継ぎ目を使用することの概念はまた、消化管を通した通過を促進し、デバイスが消化管の中に閉じ込められる可能性を低減するように、嚥下可能カメラ等の他の嚥下可能デバイスに適用することもできる。
【0008】
送達部材は、組織貫通部材管腔を通してカプセルから腸壁の中へ薬物を前進させるように構成される。一般的には、送達部材の少なくとも一部分が、組織貫通部材の管腔内で前進可能である。送達部材は、送達部材の管腔内に嵌合するようにサイズ設定されるピストンまたは類似構造を有することができる。送達部材の遠位端部(組織の中へ前進させられる端部)は、組織貫通部材の管腔内で薬物を前進させ、また、管腔との密閉を形成する、プランジャ要素を有することができる。プランジャ要素は、送達部材と一体化するか、または送達部材に取り付けることができる。好ましくは、送達部材は、腸壁の中へ固定または計測用量の薬物を送達するよう、針管腔内で固定距離を進行するよう構成される。これは、送達部材の直径の選択(例えば、直径は遠位にテーパ状にすることができる)、組織貫通部材の直径(その遠位端部で狭くすることができる)、停止部の使用、および/または作動機構のうちの1つ以上によって達成することができる。薬物から製造される組織貫通部材(例えば、薬物ダーツ)を有するデバイスの実施形態について、送達部材は、カプセルの外から組織の中へダーツを前進させるように適合される。
【0009】
送達部材および組織貫通部材は、液体、半液体、または固体形態の薬物、あるいは3つ全ての送達のために構成することができる。固体形態の薬物は、粉末またはペレットの両方を含むことができる。半液体は、スラリーまたはペーストを含むことができる。薬物は、カプセルの空洞内、あるいは液体または半液体の場合は、封入された貯留部内に含有することができる。いくつかの実施形態において、カプセルは、第1、第2、または第3の薬物(またはそれより多く)を含むことができる。そのような薬物は、(固体または粉末の場合)組織貫通部材の管腔内、またはカプセル本体内の別個の貯留部の中に含有することができる。
【0010】
作動機構は、組織貫通部材または送達部材のうちの少なくとも1つに連結することができる。作動機構は、腸壁の中へ選択可能な距離で組織貫通部材を前進させ、ならびに送達部材を前進させて薬物を送達し、次いで、腸壁から組織貫通部材を撤退させるように構成される。例えば、組織貫通部材自体が薬物である、いくつかの実施形態において、作動機構は、腸壁内に組織貫通部材を残すように構成される。種々の実施形態において、作動機構は、解放要素によって解放されるように構成される、事前搭載されたバネ機構を備えることができる。好適なバネは、コイル(円錐形バネを含む)および板バネの両方を含むことができ、他のバネ構造も企図される。特定の実施形態において、バネは、バネの圧縮された長さが、ほぼいくつかのコイル(例えば、2つまたは3つ)または1つだけのコイルの厚さである時点まで、圧縮状態のバネの長さを縮小するように円錐形となり得る。
【0011】
特定の実施形態において、作動機構は、バネと、第1の運動変換器と、第2の運動変換器と、トラック部材とを備える。解放要素は、解放要素の分解がバネを解放するように、圧縮状態でバネを保持するようにバネに連結される。第1の運動変換器は、バネの運動を変換して、組織貫通要素を組織の中で前進させ、そこから撤退させるように構成される。第2の運動変換器は、バネの運動を変換して、送達部材を組織貫通部材の管腔の中へ前進させるように構成される。運動変換器は、バネによって押され、変換器の経路を誘導する働きをするロッドまたは他のトラック部材に沿って進む。それらは、所望の運動を生じるように、組織貫通部材および/または送達部材に(直接または間接的に)係合する。それらは、望ましくは、その長手軸に沿ったバネの運動を組織貫通部材および/または送達部材の直交運動に変換するように構成されるが、他の方向への変換も企図される。運動変換器は、楔形、台形、または湾曲形状を有することができ、他の形状も企図される。特定の実施形態において、第1の運動変換器は、台形状を有し、スロットに乗る組織貫通部材上のピンに係合するスロットを含むことができる。スロットは、変換器の全体的形状に酷似する、または別様に対応し、台形の上り斜面中で組織貫通部材を押し、下り斜面中で後退させる働きをする、台形状を有することができる。一変化例では、運動変換器の一方または両方は、バネによって旋回され、組織貫通および/または送達部材に係合する、カムまたはカム状デバイスを備えることができる。
【0012】
他の変化例では、作動機構はまた、ソレノイド等の電気機械デバイス/機構、または圧電デバイスを備えることもできる。一実施形態において、圧電デバイスは、非配備および配備状態を有する成形圧電要素を備えることができる。この要素は、電圧の印加時に配備状態になり、電圧の除去時に非配備状態に戻るように構成することができる。この実施形態および関連実施形態は、組織貫通部材を前進させるとともに、次いで、それを撤退させるよう、作動機構の往復運動を可能にする。
【0013】
解放要素は、作動機構または作動機構に連結されたバネのうちの少なくとも1つに連結される。特定の実施形態において、解放要素は、圧縮状態でバネを保持するよう、カプセル内に設置されたバネに連結される。解放要素の分解は、作動機構を作動させるようにバネを解放する。多くの実施形態において、解放要素は、pH等の小腸または大腸の中の化学条件への暴露時に分解するように構成される材料を備える。一般的には、解放要素は、小腸の中の選択されたpH、例えば、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、8.0、またはそれ以上への暴露時に分解するように構成される。しかしながら、それはまた、小腸の中の他の条件に応じて分解するように構成することもできる。特定の実施形態において、解放要素は、食事(例えば、脂肪またはタンパク質が高い食事)の摂取後に発生するもの等の、小腸の中の流体における特定の化学条件に応じて分解するように構成することができる。
【0014】
小腸(または消化管の中の他の場所)の中の1つ以上の条件からの解放要素の生分解は、解放要素に対する材料、それらの材料の架橋の量、ならびに解放要素の厚さおよび他の寸法の選択によって達成することができる。より少ない量の架橋および/またはより薄い厚さが、分解の速度を増加させることができ、逆もまた同様である。解放要素に対する好適な材料は、小腸の中のより高いpHまたは他の条件への暴露時に分解するように構成される、種々の腸溶性材料等の生分解性材料を含むことができる。腸溶性材料は、生分解に加えて、いくつかの特定の材料特性を得るように、1つ以上のポリマーと共重合するか、または別様に混合することができる。そのような特性は、無制限に、剛性、強度、可撓性、および硬度を含むことができる。
【0015】
特定の実施形態において、解放要素は、ガイドチューブ上に嵌合するか、または別様に遮断し、ガイドチューブおよび/またはカプセルの内側で組織貫通部材を保持する、フィルムまたはプラグを備えることができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素が十分に分解されると、組織貫通部材を解放し、それが次いで、ガイドチューブの外へ飛び出して腸壁に貫通するように、組織貫通部材は、バネ荷重作動機構に連結される。他の実施形態において、解放要素は、定位置で組織貫通要素を担持するラッチとして機能するように成形することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素は、カプセルの外部または内部上に位置することができる。内部の実施形態において、カプセルおよびガイドチューブは、カプセル内部の中への腸液の進入を可能にして、解放要素の分解を可能にするように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、作動機構は、小腸の中のカプセルの存在を検出し、信号を作動機構に(または機構を作動させるように作動機構に連結される電子コントローラに)送信する、pHまたは他の化学センサ等のセンサを用いて作動させることができる。pHセンサの実施形態は、電極ベースのセンサを備えることができ、あるいは小腸の中のpHまたは他の化学条件への暴露時に収縮または拡張するポリマー等の機械ベースのセンサとなり得る。関連実施形態において、拡張可能/収縮可能センサはまた、センサの拡張または収縮からの機械的運動を使用することによって、作動機構自体を備えることもできる。
【0017】
デバイスが小腸(または消化管の中の他の場所)の中にあることを検出するための別の実施形態によれば、センサは、腸管の中の特定の場所内でカプセルが受けている蠕動収縮の数を検出するためのひずみゲージまたは他の圧力/力センサを備えることができる。これらの実施形態において、カプセルは、望ましくは、蠕動収縮中に小腸によって把持されるようにサイズ設定される。消化管内の異なる場所が、異なる数の蠕動収縮を有する。小腸は、毎分12〜9回の間の収縮を有し、頻度は腸の全長の下方で減少する。したがって、1つ以上の実施形態によれば、蠕動収縮の数の検出は、カプセルが小腸の中にあるかどうかだけでなく、腸内の相対的な場所も決定するために使用することができる。
【0018】
内部で起動された薬物送達の代替案または補足として、いくつかの実施形態において、ユーザは、RF、磁気、または当技術分野で公知の他の無線信号伝達手段を用いて、作動機構を外部から起動して薬物を送達してもよい。これらの実施形態および関連実施形態において、ユーザは、信号伝達手段だけでなく、デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに知らせるための手段も含む、手持ち式デバイス(例えば、手持ち式RFデバイス)を使用することができる。以降の実施形態は、(例えば、センサから入力を信号伝達することによって)デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに信号伝達するように、嚥下可能デバイス上にRF伝送機を含むことによって実装することができる。同手持ち式デバイスは、作動機構が起動され、選択された薬物が送達された時にユーザに警告するように構成することもできる。このようにして、ユーザは、薬物が送達されたという確認を提供される。これは、ユーザが他の適切な薬物/治療薬剤を服用し、ならびに他の関連決定を行う(例えば、糖尿病患者が食事を食べる、または食べないこと、およびどのような食物を食べるべきか)ことを可能にする。手持ち式デバイスはまた、信号を嚥下可能デバイスに送信して作動機構を無効にし、よって、薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように構成することもできる。使用中に、そのような実施形態は、他の症状および/または患者動作(例えば、食事を食べる、眠りに就くことを決定する、運動等)に基づいて、ユーザが薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように介入することを可能にする。
【0019】
ユーザはまた、カプセルを嚥下した後の選択された期間で作動機構を外部から起動してもよい。期間は、食物がユーザの消化管を通って小腸等の管の中の特定の場所まで移動するための一般的な輸送時間または輸送時間の範囲に相関することができる。
【0020】
本発明の別の側面は、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を使用して、消化管の壁の中へ薬物を送達するための方法を提供する。そのような方法は、治療有効量の種々の薬物および他の治療薬剤の送達に使用することができる。これらは、胃/消化管の中でのそれらの化学分解により、そうでなければ注入を必要とする、いくつかの巨大分子ペプチドおよびタンパク質、例えば、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリン、インターフェロン、および他の類似化合物を含む。本発明の実施形態によって送達することができる好適な薬物および他の治療薬剤は、種々の化学療法薬剤(例えば、インターフェロン)、抗生物質、抗ウイルス剤、インスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1、エクセナチド)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、抗発作薬、免疫抑制剤、および種々の抗マラリア剤等の駆虫剤を含む。特定の薬物の投与量は、患者の体重、年齢、または他のパラメータについて滴定することができる。
【0021】
種々の方法の実施形態において、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態は、複数の症状の治療のため、または特定の症状の治療のための複数の薬物(例えば、HIV AIDSの治療のためのプロテアーゼ抑制剤)を送達するために使用することができる。使用中に、そのような実施形態は、患者が1つまたは複数の特定の症状のために複数の薬品を服用しなければならない必要性をなくすことを可能にする。また、それらは、2つ以上の薬物の投与計画が送達され、小腸、したがってほぼ同時に血流に吸収されることを促進するための手段を提供する。化学組成、分子量等の違いにより、薬物は、異なる速度で腸壁を通して吸収することができ、異なる薬物動態分布曲線をもたらし、よって、異なる時に標的に到達する。本発明の実施形態は、ほぼ同時に所望の薬物混合物を注入することによって、この問題に対処する。これは次に、薬物動態、したがって、薬物の選択された混合物の有効性を向上させる。
【0022】
本発明の実施形態は、薬物および他の治療薬剤を体内の種々の場所に送達するためのデバイス、システム、キット、および方法を提供する。多くの実施形態は、消化管内で薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸の壁または他の消化器官壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。本発明の実施形態は、消化管内で吸収されにくく、耐性が低く、および/または(例えば、胃の中の消化酵素および酸によって)化学的に分解される(例えば、分子の化学構造の破壊)薬物および他の治療薬剤の送達に特に有用である。さらに、本発明の実施形態は、静脈内または他の形態の非経口投与(例えば、筋肉内等)のみが以前は可能であった、または好ましくはそれによって送達された、薬物を送達するために使用することができる。
【0023】
本発明は、小腸または大腸の壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。デバイスは、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える。カプセルは、内部容積を含み、種々の生分解性ポリマーを含む、当技術分野で公知である種々の生体適合性ポリマーから製造することができる。カプセルは、少なくとも1つのガイドチューブと、少なくとも1つのガイドチューブの中に設置される1つ以上の組織貫通部材と、送達部材と、作動機構とを含む。組織貫通部材は、一般的には、中空針または他の類似構造を備え、管腔と、腸壁の中へ選択的な深さで貫通するための組織貫通端部とを有する。種々の実施形態において、デバイスは、第2および第3の組織貫通部材を含むことができ、付加的な数が企図される。各組織貫通部材は、同じ、または異なる薬物を含むことができる。複数の組織貫通部材を有する好ましい実施形態において、組織貫通部材は、薬物の送達中に腸壁上にカプセルを固着するよう、カプセルの周囲に対称的に分配することができる。いくつかの実施形態において、組織貫通部材(例えば、組織貫通端部)の全体または一部分は、薬物自体から製造することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、薬物は、腸壁を貫通し、腸壁の中で保持されるように構成される、針またはダーツ状構造(鉤を伴う、または伴わない)を有することができる。
【0024】
組織貫通部材は、小腸内で分解するよう、種々の生分解性材料(例えば、PGLA)から製造することができ、したがって、この構成要素が腸壁の中で保持された場合に、腸壁から組織貫通部材を取り外すためのフェイルセーフ機構を提供することができる。加えて、これらの実施形態および関連実施形態において、カプセルの選択可能な部分は、デバイス全体がより小さい断片に制御可能に分解することを可能にするよう、そのような生分解性材料から製造することができる。そのような実施形態は、消化管を通したデバイスの通過および排出を促進する。特定の実施形態において、カプセルは、選択可能なサイズおよび形状のカプセル断片を生じ、消化管を通した通過を促進するように制御可能に分解する、生分解性材料の継ぎ目を含むことができる。継ぎ目は、分解を加速するように、圧縮応力を与える、穿孔する、または別様に処理することができる。消化管の中の嚥下可能デバイスの制御された分解を生じるために生分解性継ぎ目を使用することの概念はまた、消化管を通した通過を促進し、デバイスが消化管の中に閉じ込められる可能性を低減するように、嚥下可能カメラ等の他の嚥下可能デバイスに適用することもできる。
【0025】
送達部材は、組織貫通部材管腔を通してカプセルから小腸の壁等の腸壁の中へ薬物を前進させるように構成される。一般的には、送達部材の少なくとも一部分が、組織貫通部材の管腔内で前進可能である。送達部材は、送達部材の管腔内に嵌合するようにサイズ設定されるピストンまたは類似構造を有することができる。送達部材の遠位端部(組織の中へ前進させられる端部)は、組織貫通部材の管腔内で薬物を前進させ、また、管腔との密閉を形成する、プランジャ要素を有することができる。プランジャ要素は、送達部材と一体化するか、または送達部材に取り付けることができる。好ましくは、送達部材は、腸壁の中へ固定または計測用量の薬物を送達するよう、針管腔内で固定距離を進行するよう構成される。これは、送達部材の直径の選択(例えば、直径は遠位にテーパ状にすることができる)、組織貫通部材の直径(その遠位端部で狭くすることができる)、停止部の使用、および/または作動機構のうちの1つ以上によって達成することができる。薬物から製造される組織貫通部材(例えば、薬物ダーツ)を有するデバイスの実施形態について、送達部材は、カプセルの外から組織の中へダーツを前進させるように適合される。
【0026】
送達部材および組織貫通部材は、液体、半液体、または固体形態の薬物(または他の治療薬剤)、あるいは3つ全ての送達のために構成することができる。固体形態の薬物は、粉末またはペレットの両方を含むことができる。半液体は、スラリーまたはペーストを含むことができる。薬物は、カプセルの空洞内、あるいは液体または半液体の場合は、封入された貯留部内に含有することができる。いくつかの実施形態において、カプセルは、第1、第2、または第3の薬物(またはそれより多く)を含むことができる。そのような薬物は、(固体または粉末の場合)組織貫通部材の管腔内、またはカプセル本体内の別個の貯留部の中に含有することができる。
【0027】
作動機構は、組織貫通部材または送達部材のうちの少なくとも1つに連結することができる。作動機構は、腸壁の中へ選択可能な距離で組織貫通部材を前進させ、ならびに送達部材を前進させて薬物を送達し、次いで、腸壁から組織貫通部材を撤退させるように構成される。種々の実施形態において、作動機構は、解放要素によって解放されるように構成される、事前搭載されたバネ機構を備えることができる。好適なバネは、コイル(円錐形バネを含む)および板バネの両方を含むことができ、他のバネ構造も企図される。特定の実施形態において、バネは、バネの圧縮された長さが、ほぼいくつかのコイル(例えば、2つまたは3つ)または1つだけのコイルの厚さである時点まで、圧縮状態のバネの長さを縮小するように円錐形となり得る。
【0028】
特定の実施形態において、作動機構は、バネと、第1の運動変換器と、第2の運動変換器と、トラック部材とを備える。解放要素は、解放要素の分解がバネを解放するように、圧縮状態でバネを保持するようにバネに連結される。第1の運動変換器は、バネの運動を変換して、組織貫通要素を組織の中で前進させ、そこから撤退させるように構成される。第2の運動変換器は、バネの運動を変換して、送達部材を組織貫通部材の管腔の中へ前進させるように構成される。運動変換器は、バネによって押され、変換器の経路を誘導する働きをするロッドまたは他のトラック部材に沿って進む。それらは、所望の運動を生じるように、組織貫通部材および/または送達部材に(直接または間接的に)係合する。それらは、望ましくは、その長手軸に沿ったバネの運動を組織貫通部材および/または送達部材の直交運動に変換するように構成されるが、他の方向への変換も企図される。運動変換器は、楔形、台形、または湾曲形状を有することができ、他の形状も企図される。特定の実施形態において、第1の運動変換器は、台形状を有し、スロットに乗る進む組織貫通部材上のピンに係合するスロットを含むことができる。スロットは、変換器の全体的形状に酷似する、または別様に対応し、台形の上り斜面中で組織貫通部材を押し、下り斜面中で後退させる働きをする、台形状を有することができる。一変化例では、運動変換器の一方または両方は、バネによって旋回され、組織貫通および/または送達部材に係合する、カムまたはカム状デバイスを備えることができる。
【0029】
他の変化例では、作動機構はまた、ソレノイド等の電気機械デバイス/機構、または圧電デバイスを備えることもできる。一実施形態において、圧電デバイスは、非配備および配備状態を有する、成形圧電要素を備えることができる。この要素は、電圧の印加時に配備状態になり、電圧の除去時に非配備状態に戻るように構成することができる。この実施形態および関連実施形態は、組織貫通部材を前進させるとともに、次いで、それを撤退させるよう、作動機構の往復運動を可能にする。
【0030】
解放要素は、作動機構または作動機構に連結されたバネのうちの少なくとも1つに連結される。特定の実施形態において、解放要素は、圧縮状態でバネを保持するよう、カプセル内に設置されたバネに連結される。解放要素の分解は、作動機構を作動させるようにバネを解放する。多くの実施形態において、解放要素は、pH等の小腸または大腸の中の化学条件への暴露時に分解するように構成される材料を備える。一般的には、解放要素は、小腸の中の選択されたpH、例えば、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、8.0、またはそれ以上への暴露時に分解するように構成される。しかしながら、それはまた、小腸の中の他の条件に応じて分解するように構成することもできる。特定の実施形態において、解放要素は、食事(例えば、脂肪またはタンパク質が高い食事)の摂取後に発生するもの等の、小腸の中の流体における特定の化学条件に応じて分解するように構成することができる。
【0031】
小腸(または消化管の中の他の場所)の中の1つ以上の条件からの解放要素の生分解は、解放要素に対する材料、それらの材料の架橋の量、ならびに解放要素の厚さおよび他の寸法の選択によって達成することができる。より少ない量の架橋および/またはより薄い厚さが、分解の速度を増加させることができ、逆もまた同様である。解放要素に対する好適な材料は、小腸の中のより高いpHまたは他の条件への暴露時に分解するように構成される、種々の腸溶性材料等の生分解性材料を含むことができる。腸溶性材料は、生分解に加えて、いくつかの特定の材料特性を得るように、1つ以上のポリマーと共重合するか、または別様に混合することができる。そのような特性は、無制限に、剛性、強度、可撓性、および硬度を含むことができる。
【0032】
特定の実施形態において、解放要素は、ガイドチューブ上に嵌合するか、または別様に遮断し、ガイドチューブの内側で組織貫通部材を保持する、フィルムまたはプラグを備えることができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素が十分に分解されると、組織貫通部材を解放し、それが次いで、ガイドチューブの外へ飛び出して腸壁に貫通するように、組織貫通部材は、バネ荷重作動機構に連結される。他の実施形態において、解放要素は、定位置で組織貫通要素を担持するラッチとして機能するように成形することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素は、カプセルの外部または内部上に位置することができる。内部の実施形態において、カプセルおよびガイドチューブは、カプセル内部の中への間質液の進入を可能にして、解放要素の分解を可能にするように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態において、作動機構は、小腸の中のカプセルの存在を検出し、信号を作動機構に(または機構を作動させるように作動機構に連結される電子コントローラに)送信する、pHまたは他の化学センサ等のセンサを用いて作動させることができる。pHセンサの実施形態は、電極ベースのセンサを備えることができ、あるいは小腸の中のpHまたは他の化学条件への暴露時に収縮または拡張するポリマー等の機械ベースのセンサとなり得る。関連実施形態において、拡張可能/収縮可能センサはまた、センサの拡張または収縮からの機械的運動を使用することによって、作動機構自体を備えることもできる。
【0034】
デバイスが小腸(または消化管の中の他の場所)の中にあることを検出するための別の実施形態によれば、センサは、腸管の中の特定の場所内でカプセルが受けている蠕動収縮の数を検出するためのひずみゲージまたは他の圧力/力センサを備えることができる。これらの実施形態において、カプセルは、望ましくは、蠕動収縮中に小腸によって把持されるようにサイズ設定される。消化管内の異なる場所が、異なる数の蠕動収縮を有する。小腸は、毎分12から9回の間の収縮を有し、頻度は腸の全長の下方で減少する。したがって、1つ以上の実施形態によれば、蠕動収縮の数の検出は、カプセルが小腸の中にあるかどうかだけでなく、腸内の相対的な場所も決定するために使用することができる。
【0035】
内部で起動された薬物送達の代替案または補足として、いくつかの実施形態において、ユーザは、RF、磁気、または当技術分野で公知の他の無線信号伝達手段を用いて、作動機構を外部から起動して薬物を送達してもよい。これらの実施形態および関連実施形態において、ユーザは、信号伝達手段だけでなく、デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに知らせるための手段も含む、手持ち式デバイス(例えば、手持ち式RFデバイス)を使用することができる。以降の実施形態は、(例えば、センサから入力を信号伝達することによって)デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに信号伝達するように、嚥下可能デバイス上にRF伝送機を含むことによって実装することができる。同手持ち式デバイスは、作動機構が起動され、選択された薬物が送達された時にユーザに警告するように構成することもできる。このようにして、ユーザは、薬物が送達されたという確認を提供される。これは、ユーザが他の適切な薬物/治療薬剤を服用し、ならびに他の関連決定を行う(例えば、糖尿病患者が食事を食べる、または食べないこと、およびどのような食物を食べるべきか)ことを可能にする。手持ち式デバイスはまた、信号を嚥下可能デバイスに送信して作動機構を無効にし、よって、薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように構成することもできる。使用中に、そのような実施形態は、他の症状および/または患者動作(例えば、食事を食べる、眠りに就くことを決定する、運動等)に基づいて、ユーザが薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように介入することを可能にする。
【0036】
ユーザはまた、カプセルを嚥下した後の選択された期間で作動機構を外部から起動してもよい。期間は、食物がユーザの消化管を通って小腸等の管の中の特定の場所まで移動するための一般的輸送時間または輸送時間の範囲に相関することができる。
【0037】
本発明の別の側面は、本明細書において説明される嚥下可能デバイスの実施形態を使用して、小腸の壁(または腸管の他の管腔壁)の中へ送達するための治療薬剤調整物を提供する。調整物は、治療有効用量の少なくとも1つの治療薬剤(例えば、インスリン、抗発作化合物、NSAID、抗生物質等)を含む。それは、固体、液体、または両方の組み合わせを含んでもよく、1つ以上の医薬物賦形剤を含むことができる。調整物は、カプセルから管腔壁の中へ送達される嚥下可能カプセルの実施形態に含有されるように、形状および材料のコンシステンシーを有し、治療薬剤の用量を放出するように管腔壁内で分解する。調整物はまた、小腸の壁または他の身体管腔の中で調整物の分解の速度を増進するか、または別様に制御するよう、選択可能な表面積対体積比を有してもよい。種々の実施形態において、調整物は、調整物がカプセルに含有される第1の構成と、調整物がカプセルの外から小腸の壁の中へ前進させられる第2の構成とを有する、解放要素(および/または解放要素に連結される他の構成要素)等のアクチュエータに連結されるように構成することができる。調整物の中の薬物または他の治療薬剤の用量は、薬物による潜在的な副作用を低減することができるように、従来の経口送達方法に必要とされるものから下方に滴定することができる。
【0038】
必然的ではないが一般的には、調整物は、カプセルの外から小腸の壁の中へ前進させられるように構成される中空針等の組織貫通部材の管腔の中に含有されるように成形され、別様に構成される。調整物自体は、小腸の壁または腸管の他の管腔の中へ前進させられるように構成される組織貫通部材を備えてもよい。
【0039】
本発明の別の側面は、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を使用して、消化管の壁の中へ薬物および治療薬剤を送達するための方法を提供する。そのような方法は、治療有効量の種々の薬物および他の治療薬剤の送達に使用することができる。これらは、胃および小腸の管腔の中の消化液による化学分解により、そうでなければ注射および/または静脈内注入を必要とする、いくつかの巨大分子ペプチドおよびタンパク質を含む。本発明の種々の実施形態を用いて送達することができる、そのような化合物は、無制限に、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリン化合物、抗体ならびに他のグロブリンタンパク質(例えば、ガンマグロブリン)インターフェロンおよび他のサイトカイン、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1、エクセナチド)および他のインクレチン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、化学療法薬(ドキソルビシン)、および他の類似化合物を含むことができる。本発明の実施形態によって送達することができる他の薬物および他の治療薬剤は、任意の数の経口送達剤、抗生物質(バンコマイシン、ペニシリン、エリスロマイシン等)、抗ウイルス剤(プロテアーゼ抑制剤、抗発作化合物(フロセミド、ダイラチン)、NSIAD(イブプロフェン)、免疫抑制剤、および種々の抗マラリア剤等の駆虫剤を含む。これらの化合物の多くは、標準経口送達方法によって服用された場合、腸管の中および他の場所で、けいれん、出血、下痢、および過敏性腸等の有害作用を引き起こす、種々の治療薬剤を含むことができる。本発明の種々の実施形態は、小腸の中へ直接注入されている薬物または他の治療薬剤を提供し、これらの効果は、大部分は回避することができ、化合物の投与量は、それに応じて調整することができる(例えば、多くの場合で増加させられる)。種々の実施形態において、特定の薬物の投与量は、これらの考慮事項ならびに患者の体重、年齢、および治療される症状について滴定することができる。
【0040】
種々の方法の実施形態において、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態は、複数の症状の治療のため、または特定の症状の治療のための複数の薬物(例えば、HIV AIDSの治療のためのプロテアーゼ抑制剤の混合物)を送達するために使用することができる。使用中に、そのような実施形態は、患者が1つまたは複数の特定の症状のために複数の薬品を服用しなければならない必要性をなくすことを可能にする。また、それらは、2つ以上の薬物の投与計画が送達され、小腸、したがってほぼ同時に血流に吸収されることを促進するための手段を提供する。化学組成、分子量等の違いにより、薬物は、異なる速度で腸壁を通して吸収することができ、異なる薬物動態分布曲線をもたらす。本発明の実施形態は、ほぼ同時に腸壁の中へ所望の薬物混合物を注入することによって、この問題に対処する。これは次に、薬物動態、したがって、薬物の選択された混合物の有効性を向上させる。
【0041】
本発明のこれらおよび他の実施形態および側面のさらなる詳細は、添付図面を参照して、以下でさらに十分に説明される。
【0042】
本発明の実施形態は、体内の種々の場所に薬物および他の治療薬剤を送達するためのデバイス、システム、キット、および方法を提供する。多くの実施形態は、消化(GI)管内で薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸、大腸の壁、または他の消化器官壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。本発明の実施形態は、吸収されにくく、耐性が低く、および/または分解される薬物および他の治療薬剤の送達に特に有用である。さらに、本発明の実施形態は、静脈内または他の形態の非経口投与(例えば、筋肉内等)のみが以前は可能であった、または好ましくはそれによって送達された、薬物を送達するために使用することができる。加えて、本発明の実施形態は、経口送達を介した血流の中への薬物の急速な放出を達成するために有用である。
【0043】
一側面では、本発明は、小腸または大腸あるいは他の腸管器官の壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。デバイスは、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルと、カプセル内に設置される拡張可能部材と、拡張可能部材の拡張によって腸壁の中へ前進可能な組織貫通部材とを備える。カプセルは、内部容積と、それを通して腸壁の中へ組織貫通部材を前進させることができる少なくとも1つの開口とを含む。組織貫通部材は、少なくとも部分的に薬物または他の治療薬剤から形成される。カプセルは、種々の生分解性ポリマーを含む、種々の非毒性材料から製造することができる。カプセルはまた、小腸の中のpHまたは他の条件に応じて、デバイスが小腸の壁の中へ薬物および他の治療薬剤を送達することを可能にするよう、小腸の中の生分解を可能にしながら、胃酸からカプセルを保護するための腸溶性の他の被覆を有してもよい。
【0044】
バルーンまたは他の拡張可能部材は、カプセル内部容積内に配置され、組織貫通部材に連結される。バルーンは、一般的には、少なくとも部分的非配備状態でカプセルの内壁に取り付けられ、PET、ポリエチレン、およびポリイミド等の当技術分野で公知である種々の非柔軟性ポリマーを含むことができる。望ましくは、バルーンは、壁が薄く、例えば、約0.001インチ未満となる。バルーンはまた、一般的には、分離弁または他の分離手段によって分離される、少なくとも第1および第2の部分または区画を含む。液体、一般的には水を、第1の区画内に配置することができ、液体となり得るが一般的には固体である、少なくとも1つの反応物を、第2の区画の中に配置することができる。反応物は、一般的には、少なくとも反応物、例えば、約1:2の比を有することができる、クエン酸等の酸および水酸化ナトリウム等の塩基を含む。他の酸、例えば、酢酸および塩基を含む、他の反応物も企図される。弁または他の分離手段が開くと、反応物が液体中で混合し、本明細書でさらに十分に説明される、バルーンを拡張し、腸壁の中へ組織貫通部材を前進させる二酸化炭素等のガスを産生する。組織の中へ組織貫通部材を前進させることに加えて、デバイスはまた、腸管を通したより容易な通過のために、膨張したバルーンを割れさせるか、またはそうでなければカプセルを1つ以上の断片に分離するように構成することができる。
【0045】
分離弁は、いくつかの方法で、いくつかの症状に応じて開くように構成することができる。一般的には、分離弁は、分解時に弁が開くように、小腸内で見られるより高いpHまたは他の症状に応じて、1つ以上の部分を分解させることによって開くように構成される。また、一般的には、分離弁は、バルーンの中心部分の中に配置されるが、他の場所も企図される。特定の実施形態において、分離弁は、第1および第2の区画の間でバルーンの部分を圧縮するようにカプセル内に配置される、梁状構造を有することができる。梁は、一方または両方の端部でカプセルの内面に取り付けることができる。好ましい実施形態において、製造技術分野で公知のピックアンドプレースおよび他の類似方法を使用して、梁を適所に嵌め込むことができるように、梁は、好ましくは締り嵌めを使用してカプセルの半径方向側に取り付けられる。梁が分解すると、圧縮力が解放される。弁のこれらおよび他の実施形態は、カプセルの内面上のくぼみまたは他の噛合特徴に係合して、挟持特徴の下のバルーン壁に付加的な力を印加し、密閉に冗長性を加える、隆起等の1つ以上の挟持特徴を含むことができる。別の実施形態において、分離弁は、生分解性材料でできている挟持カラーがその上を覆う、拡張可能部材の首部を備えることができる。カラーは、弁を閉じて保ち、分解すると弁を解放する。
【0046】
分離弁は、腸液に暴露され、腸液によって分解されるよう、カプセル上または内の種々の場所に設置することができる。弁の少なくとも一部分がカプセル表面に暴露されてもよい一方で、一般的には、弁は、それが少なくとも1つの開口または開口部を通して進入する腸液に暴露される、カプセル内部内に設置される。これらの実施形態および関連実施形態において、少なくとも1つの開口を含有する部分を含む、カプセル表面の少なくとも一部分は、望ましくは、小腸内のpHまたは他の条件に応じて同様に劣化する、腸溶性被覆等の保護層で被覆される。そのような被覆は、カプセルが小腸に達するまで、消化液がカプセル内部に進入して分離弁を分解し始めないように、少なくとも1つの開口を覆う保護シールを提供する。使用中に、開口を覆う分解性被覆/シールおよび分解性弁を採用する実施形態は、カプセルが小腸に達するまで、バルーンが膨張してその組織貫通部材を配備しないことを確実にする、一次および二次手段を提供する。
【0047】
代替的または付加的な実施形態として、弁はまた、小腸内の蠕動収縮によって印加される圧縮力に応じて開くように構成されてもよい。なおも別のアプローチでは、弁は、タブの剥離またはボタンの押下等の患者によって開始される起動ステップ後のある期間後に開くように構成される徐放弁であってもよい。
【0048】
放出弁に加えて、バルーンまたは他の拡張可能部材はまた、一般的には、膨張後に拡張可能部材を収縮する働きをする収縮弁も含む。収縮弁は、バルーン内のガスの漏出のための開口部またはチャネルを作成するために、小腸の中の流体および/またはバルーンの区画のうちの1つの中の液体への暴露時に分解するように構成される生分解性材料を含むことができる。一実施形態において、収縮弁は、バルーン壁の反対側の端部を一緒に接合するために、バルーンの端部部分に設置される生分解性セクションを備えることができる。これらの実施形態および関連実施形態において、分解性セクションが液体への暴露により分解すると、バルーン壁が破れるか、または別様に壊れ、急速収縮の高い保証を提供する。収縮においてさらに高い程度の信頼性を提供するために、望ましくは、バルーンの固体反応物部分の中に複数の分解性セクションを配置することができる。収縮弁が小腸内の流体によって分解される実施形態について、バルーンの大部分が小腸内の分解液に直接暴露されるように、カプセルを2つ以上の断片に分解するように膨張したバルーンを構成することによって、弁の分解を促進することができる。これは、別個の部品(例えば、機械的にともに嵌合される2つの半分)から、および/または本明細書において説明されるような継ぎ目の使用を通して、カプセルを製造することによって達成することができる。
【0049】
加えて、保証された収縮のさらなる後援として、バルーンが完全に収縮すると、穿刺要素に接触し、穿刺要素によって穿刺されるように、1つ以上の穿刺要素をカプセル壁の内面に取り付けることができる。収縮のための手段の別の代替的または付加的な実施形態において、組織貫通部材のうちの1つ以上をバルーンに直接連結し、それらが外れるとバルーンから引き離れ、過程中にバルーンを破るように構成することができる。
【0050】
本発明のこの側面での組織貫通部材は、種々の薬物および他の治療薬剤から製造することができる。一般的には、薬物または他の治療薬剤は、PGLA等の生分解性ポリマーと混合される。そのような実施形態において、貫通部材は、薬物および生分解性ポリマーの実質的に異質の混合物を含むことができる。代替として、貫通部材は、生分解性物から実質的に形成される部分と、薬物から形成されるか、または薬物を含有する別個のセクションまたは区画とを含んでもよい。貫通部材は、腸壁の組織を容易に貫通するよう、シャフトと、針先端部または他の尖った遠位先端部とを有するように形成することができる。いったん腸壁の中に配置されると、組織貫通部材は、壁組織内の間質液によって分解され、薬物は、これらの液の中で溶解し、血流中に吸収される。貫通部材はまた、一般的には、前進後に腸壁の組織内で貫通部材を保持するように鉤またはフック等の1つ以上の組織保持特徴を含む。保持特徴は、部材シャフトの周囲で対称に分布する2つ以上の鉤等の組織保持を増進するように、種々のパターンで配設することができる。薬物は、固体形態となり得て、次いで、成形または他の類似方法を使用して、組織貫通部材の形状に形成することができ、あるいは固体または液体形態であってもよく、次いで、液体形態の生分解性ポリマーに添加されてもよく、次いで、ポリマー技術分野で公知である成形または他の形成方法を使用して、混合物が貫通部材に形成される。望ましくは、薬物および分解性ポリマーを含む組織貫通部材の実施形態は、種々のペプチドおよびタンパク質等の薬物を含む、薬物のいずれの実質的な熱分解も生じない温度で形成(例えば、硬化)される。これは、当技術分野で公知である、室温硬化ポリマーならびに室温成形および溶媒蒸発技法の使用を通して達成することができる。特定の実施形態において、組織貫通部材内の熱分解した薬物の量は、望ましくは重量で約10%未満、より好ましくは約5%未満、なおもさらに好ましくは1%未満である。特定の薬物に対する熱分解温度は、公知であるか、または当技術分野で公知の方法を使用して決定することができ、次いで、この温度は、特定のポリマー処理方法(例えば、成形、硬化、溶媒蒸発等)を選択し、調整するために使用することができる。
【0051】
組織貫通部材は、望ましくは、腸壁の中への組織貫通部材の前進後に、組織貫通部材がバルーンから外れるように、バルーンまたは他の拡張可能部材に取外し可能に(直接または間接的に)連結される。貫通部材は、バルーンの収縮(このとき、保持特徴が組織中に貫通部材を保持している)および/または小腸の蠕動収縮によってカプセルに及ぼされる力の結果として外れるように構成することができる。一般的には、組織貫通部材は、貫通部材に取外し可能に係合するバルーン表面に取り付けられる剛性構造を備える前進部材によって、バルーンに間接的に連結される。前進部材は、貫通部材の陥凹または他の噛合特徴の中に嵌合するピン等の取付け特徴を用いて貫通部材に係合する。ピンおよび陥凹は、バルーン収縮の力および/または蠕動収縮によってカプセルに印加される力に起因して外れるように構成することができる。剛性前進部材は、バルーン膨張から貫通部材に印加される単位面積あたりの力を増加させる力集中要素として機能するよう、貫通部材よりも大きい水平表面積を有することができる。いくつかの実施形態において、前進部材は、バルーン表面に取り付けられた一方の表面と、前進部材に取り付けられた他方の表面とを有する、支持部材として本明細書でも説明されるプラットフォームを介して、バルーンに連結することができる。支持部材は、複数の前進および組織貫通部材の取付および前進を可能にするようにサイズ設定することができる。加えて、支持部材は、前進部材について上記で説明されるものと同様の力集中機能を有するよう、前進部材/組織貫通部材よりも大きい表面積を有することができる。付加的または代替的な実施形態として、組織貫通部材は、例えば、接着剤によって、バルーンに直接連結されてもよい。これらの実施形態および関連実施形態において、組織貫通部材は、外れたときにバルーン壁を破り、したがって、バルーン収縮のための手段を提供するように構成されてもよい。
【0052】
複数の組織貫通部材は、バルーンまたは他の拡張可能部材に連結されることができ、いくつかの配設を有してもよい。具体的実施形態において、カプセルは、2つ、3つ、または4つの貫通部材を含むことができ、追加的な数が企図される。貫通部材は、同一か、または異なる薬物を携持することができる。前者は、特定の薬物のよりも大量の送達を提供し、後者は、2つ以上の薬物がほぼ同時に腸壁の中へ送達されることを可能にする。組織貫通部材は、バルーン表面上に、いくつかの場所およびパターンに配置され、分配されることができる。特定の実施形態において、貫通部材は、バルーン膨張が腸壁管腔の反対側に組織貫通部材を配置することができるように、バルーンの反対側に(例えば、バルーンの周囲に対して180度離れて)配置することができる。複数の組織貫通部材を有する、好ましい実施形態において、組織貫通部材は、薬物の送達中に腸壁上にカプセルを固着し、ならびに腸壁の中の複数の場所に組織貫通部材を配置するよう、カプセルの周囲に対称的に分配することができる。これは、付加的な量の薬物が送達されることを可能にするだけでなく、腸壁内で薬物のより均等な分配を提供し、血流中へのより急速な吸収を提供する。
【0053】
薬物携持組織貫通部材の使用に対する付加的または代替的な実施形態として、デバイスの種々の実施形態はまた、バルーンまたは他の拡張可能部材の拡張によって圧縮可能である、カプセルの中に配置される薬物貯留部を含むこともできる。貯留部は、液体または粉末形態で薬物または他の治療薬剤を含有する。液体形態について、薬物は、水性薬液中で溶解させられる。これらの実施形態および関連実施形態において、組織貫通部材を通して腸壁の中へ薬液を押し進めるよう、バルーンの膨張が貯留部を圧縮するように、貯留部は、前進可能な中空組織貫通部材に流体的に連結される。2つ、3つ、4つ、またはそれ以上を含む、複数の貯留部が企図される。特定の実施形態において、2つの貯留部は、組織貫通部材に連結することができ、貯留部は貫通部材の長手軸に対して約180度離れて配置される。一般的には、貯留部は、マニホールドを用いて中空貫通部材に流体的に連結される。好適なマニホールドは、その外側端部のうちのいずれか一方の上の貯留部用のコネクタと、中空組織貫通部材用の中心コネクタと、全てのコネクタまで進む中心管腔またはチャネルとを有する、t字形マニホールドを含む。他の形状およびマニホールド構成も企図される。
【0054】
別の側面では、本発明は、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える、小腸または大腸の壁の中へ薬物または他の治療薬剤を送達するための嚥下可能デバイスを提供し、カプセルは、少なくとも1つのガイドチューブと、少なくとも1つのガイドチューブの中に設置される1つ以上の組織貫通部材と、送達部材と、作動機構とを含む。これらの実施形態および関連実施形態において、組織貫通部材は、一般的には、中空針または他の類似構造を備え、管腔と、腸壁の中へ選択可能な深さで貫通するための組織貫通端部とを有する。種々の実施形態において、デバイスは、第2および第3の組織貫通部材を含むことができ、付加的な数が企図される。各組織貫通部材は、同じ、または異なる薬物を含むことができる。複数の組織貫通部材を有する好ましい実施形態において、組織貫通部材は、薬物の送達中に腸壁上にカプセルを固着するよう、カプセルの周囲に対称的に分配することができる。いくつかの実施形態において、組織貫通部材(例えば、組織貫通端部)の全体または一部分は、薬物自体から製造することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、薬物は、腸壁を貫通し、腸壁の中で保持されるように構成される、針またはダーツ状構造(鉤を伴う、または伴わない)を有することができる。
【0055】
本発明のこの側面での組織貫通部材の実施形態は、小腸内で分解するよう、種々の生分解性材料(例えば、PGLA)から製造することができ、したがって、この構成要素が腸壁の中で保持された場合に、腸壁から組織貫通部材を取り外すためのフェイルセーフ機構を提供することができる。加えて、これらの実施形態および関連実施形態において、カプセルの選択可能な部分は、デバイス全体がより小さい断片に制御可能に分解することを可能にするよう、そのような生分解性材料から製造することができる。そのような実施形態は、消化管を通したデバイスの通過および排出を促進する。特定の実施形態において、カプセルは、選択可能なサイズおよび形状のカプセル断片を生じ、消化管を通した通過を促進するように制御可能に分解する、生分解性材料の継ぎ目を含むことができる。継ぎ目は、分解を加速するように、圧縮応力を与える、穿孔する、または別様に処理することができる。継ぎ目はまた、バルーンまたは他の拡張可能部材の拡張から印加される力によって、カプセルがより小さい断片に分解されることを可能にするよう、そのように処理することもできる。組織貫通部材の配備後にカプセル分解を生じるための他の実施形態において、カプセルは、例えば、スナップ嵌合によって、機械的にともに嵌合され、したがって、バルーン膨張から印加される力によって用に分離される、2つの半分または他の分別セクションを備えることができる。
【0056】
送達部材は、組織貫通部材管腔を通してカプセルから腸壁の中へ薬物を前進させるように構成される。一般的には、送達部材の少なくとも一部分が、組織貫通部材の管腔内で前進可能である。送達部材は、送達部材の管腔内に嵌合するようにサイズ設定されるピストンまたは類似構造を有することができる。送達部材の遠位端部(組織の中へ前進させられる端部)は、組織貫通部材の管腔内で薬物を前進させ、また、管腔との密閉を形成する、プランジャ要素を有することができる。プランジャ要素は、送達部材と一体化するか、または送達部材に取り付けることができる。好ましくは、送達部材は、腸壁の中へ固定または計測用量の薬物を送達するよう、針管腔内で固定距離を進行するよう構成される。これは、送達部材の直径の選択(例えば、直径は遠位にテーパ状にすることができる)、組織貫通部材の直径(その遠位端部で狭くすることができる)、停止部の使用、および/または作動機構のうちの1つ以上によって達成することができる。薬物から製造される組織貫通部材(例えば、薬物ダーツ)を有するデバイスの実施形態について、送達部材は、カプセルの外から組織の中へ組織貫通部材を前進させるように適合される。
【0057】
送達部材および組織貫通部材は、液体、半液体、または固体形態の薬物、あるいは3つ全ての送達のために構成することができる。固体形態の薬物は、粉末またはペレットの両方を含むことができる。半液体は、スラリーまたはペーストを含むことができる。薬物は、カプセルの空洞内、あるいは液体または半液体の場合は、封入された貯留部内に含有することができる。いくつかの実施形態において、カプセルは、第1、第2、または第3の薬物(またはそれより多く)を含むことができる。そのような薬物は、(固体または粉末の場合)組織貫通部材の管腔内、またはカプセル本体内の別個の貯留部の中に含有することができる。
【0058】
作動機構は、組織貫通部材または送達部材のうちの少なくとも1つに連結することができる。作動機構は、腸壁の中へ選択可能な距離で組織貫通部材を前進させ、ならびに送達部材を前進させて薬物を送達し、次いで、組織貫通部材を腸壁から撤退させるように構成される。種々の実施形態において、作動機構は、解放要素によって解放されるように構成される、事前搭載されたバネ機構を備えることができる。好適なバネは、コイル(円錐形バネを含む)および板バネの両方を含むことができ、他のバネ構造も企図される。特定の実施形態において、バネは、バネの圧縮された長さが、ほぼいくつかのコイル(例えば、2つまたは3つ)または1つだけのコイルの厚さである時点まで、圧縮状態のバネの長さを縮小するように円錐形となり得る。
【0059】
特定の実施形態において、作動機構は、バネと、第1の運動変換器と、第2の運動変換器と、トラック部材とを備える。解放要素は、解放要素の分解がバネを解放するように、圧縮状態でバネを保持するようにバネに連結される。第1の運動変換器は、バネの運動を変換して、組織貫通要素を組織の中で前進させ、そこから撤退させるように構成される。第2の運動変換器は、バネの運動を変換して、送達部材を組織貫通部材の管腔の中へ前進させるように構成される。運動変換器は、バネによって押され、変換器の経路を誘導する働きをするロッドまたは他のトラック部材に沿って進む。それらは、所望の運動を生じるように、組織貫通部材および/または送達部材に(直接または間接的に)係合する。それらは、望ましくは、その長手軸に沿ったバネの運動を組織貫通部材および/または送達部材の直交運動に変換するように構成されるが、他の方向への変換も企図される。運動変換器は、楔形、台形、または湾曲形状を有することができ、他の形状も企図される。特定の実施形態において、第1の運動変換器は、台形状を有し、スロットに乗る組織貫通部材上のピンに係合するスロットを含むことができる。スロットは、変換器の全体的形状に酷似する、または別様に対応し、台形の上り斜面中で組織貫通部材を押し、次いで、下り斜面中で後退させる働きをする、台形状を有することができる。一変化例では、運動変換器の一方または両方は、バネによって旋回され、組織貫通および/または送達部材に係合する、カムまたはカム状デバイスを備えることができる。
【0060】
他の変化例では、作動機構はまた、ソレノイド等の電気機械デバイス/機構、または圧電デバイスを備えることもできる。一実施形態において、圧電デバイスは、非配備および配備状態を有する、成形圧電要素を備えることができる。この要素は、電圧の印加時に配備状態になり、電圧の除去時に非配備状態に戻るように構成することができる。この実施形態および関連実施形態は、組織貫通部材を前進させるとともに、次いで、それを撤退させるよう、作動機構の往復運動を可能にする。
【0061】
解放要素は、作動機構または作動機構に連結されたバネのうちの少なくとも1つに連結される。特定の実施形態において、解放要素は、圧縮状態でバネを保持するよう、カプセル内に設置されたバネに連結される。解放要素の分解は、作動機構を作動させるようにバネを解放する。多くの実施形態において、解放要素は、pH等の小腸または大腸の中の化学条件への暴露時に分解するように構成される材料を備える。一般的には、解放要素は、小腸の中の選択されたpH、例えば、6.0、6.3、6.5、6.7、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、8.0、またはそれ以上への暴露時に分解するように構成される。しかしながら、それはまた、小腸の中の他の条件、例えば、種々の酵素の存在に応じて分解するように構成することもできる。特定の実施形態において、解放要素は、食事(例えば、脂肪またはタンパク質が高い食事)の摂取後に発生するもの等の、小腸の中の流体における特定の化学条件に応じて分解するように構成することができる。
【0062】
小腸(または消化管の中の他の場所)の中の1つ以上の条件からの解放要素の生分解は、解放要素に対する材料、それらの材料の架橋の量、ならびに解放要素の厚さおよび他の寸法の選択によって達成することができる。より少ない量の架橋および/またはより薄い厚さが、分解の速度を増加させることができ、逆もまた同様である。解放要素に対する好適な材料は、小腸の中のより高いpHまたは他の条件への暴露時に分解するように構成される、種々の腸溶性材料等の生分解性材料を含むことができる。腸溶性材料は、生分解に加えて、いくつかの特定の材料特性を得るように、1つ以上のポリマーと共重合するか、または別様に混合することができる。そのような特性は、無制限に、剛性、強度、可撓性、および硬度を含むことができる。
【0063】
特定の実施形態において、解放要素は、ガイドチューブ上に嵌合するか、または別様に遮断し、ガイドチューブの内側で組織貫通部材を保持する、フィルムまたはプラグを備えることができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素が十分に分解されると、組織貫通部材を解放し、それが次いで、ガイドチューブの外へ飛び出して腸壁に貫通するように、組織貫通部材は、バネ荷重作動機構に連結される。他の実施形態において、解放要素は、定位置で組織貫通要素を担持するラッチとして機能するように成形することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素は、カプセルの外部または内部上に位置することができる。内部の実施形態において、カプセルおよびガイドチューブは、カプセル内部の中への腸液の進入を可能にして、解放要素の分解を可能にするように構成される。
【0064】
いくつかの実施形態において、作動機構は、小腸の中のカプセルの存在を検出し、信号を作動機構に(または機構を作動させるように作動機構に連結される電子コントローラに)送信する、pHまたは他の化学センサ等のセンサを用いて作動させることができる。pHセンサの実施形態は、電極ベースのセンサを備えることができ、あるいは小腸の中のpHまたは他の化学条件への暴露時に収縮または拡張するポリマー等の機械ベースのセンサとなり得る。関連実施形態において、拡張可能/収縮可能センサはまた、センサの拡張または収縮からの機械的運動を使用することによって、作動機構自体を備えることもできる。
【0065】
嚥下可能デバイスが小腸(または消化管の中の他の場所)の中にあることを検出するための別の実施形態によれば、センサは、腸管の中の特定の場所内でカプセルが受けている蠕動収縮の数を検出するためのひずみゲージまたは他の圧力/力センサを備えることができる。これらの実施形態において、カプセルは、望ましくは、蠕動収縮中に小腸によって把持されるようにサイズ設定される。消化管内の異なる場所が、異なる数の蠕動収縮を有する。小腸は、毎分12から9回の間の収縮を有し、頻度は腸の全長の下方で減少する。したがって、1つ以上の実施形態によれば、蠕動収縮の数の検出は、カプセルが小腸の中にあるかどうかだけでなく、腸内の相対的な場所も決定するために使用することができる。
【0066】
内部で起動された薬物送達の代替案または補足として、本発明の別の側面では、ユーザは、RF、磁気、または当技術分野で公知の他の無線信号伝達手段を用いて、作動機構を外部から起動して薬物を送達してもよい。これらの実施形態および関連実施形態において、ユーザは、信号伝達手段だけでなく、デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに知らせるための手段も含む、手持ち式デバイス(例えば、手持ち式RFデバイス)を使用することができる。以降の実施形態は、(例えば、センサから入力を信号伝達することによって)デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時にユーザに信号伝達するように、嚥下可能デバイス上にRF伝送機を含むことによって実装することができる。同手持ち式デバイスは、作動機構が起動され、選択された薬物が送達された時にユーザに警告するように構成することもできる。このようにして、ユーザは、薬物が送達されたという確認を提供される。これは、ユーザが他の適切な薬物/治療薬剤を服用し、ならびに他の関連決定を行う(例えば、糖尿病患者が食事を食べる、または食べないこと、およびどのような食物を食べるべきか)ことを可能にする。手持ち式デバイスはまた、信号を嚥下可能デバイスに送信して作動機構を無効にし、よって、薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように構成することもできる。使用中に、そのような実施形態は、他の症状および/または患者動作(例えば、食事を食べる、眠りに就くことを決定する、運動等)に基づいて、ユーザが薬物の送達を防止する、遅延する、または加速するように介入することを可能にする。
【0067】
ユーザはまた、カプセルを嚥下した後の選択された期間で作動機構を外部から起動してもよい。期間は、食物がユーザの消化管を通って小腸等の管の中の特定の場所まで移動するための一般的な輸送時間または輸送時間の範囲に相関することができる。
【0068】
本発明の別の側面は、本明細書において説明される嚥下可能デバイスの実施形態を使用して、小腸の壁(例えば、腸管の管腔の他の壁)の中へ薬物を送達するための治療薬剤調整物を提供する。調整物は、治療有効用量の少なくとも1つの治療薬剤(例えば、インスリン、抗発作化合物、NSAID、抗生物質等)を含む。それは、固体、液体、または両方の組み合わせを含んでもよく、1つ以上の医薬物賦形剤を含むことができる。調整物は、カプセルから管腔壁の中へ送達される嚥下可能カプセルの実施形態に含有されるように、形状および材料のコンシステンシーを有し、治療薬剤の用量を放出するように管腔壁内で分解する。調整物はまた、小腸の壁または他の身体管腔の中で調整物の分解の速度を増進するか、または別様に制御するよう、選択可能な表面積対体積比を有してもよい。種々の実施形態において、調整物は、調整物がカプセルに含有される第1の構成と、調整物がカプセルの外から小腸の壁の中へ前進させられる第2の構成とを有する、解放要素(および/または解放要素に連結される他の構成要素)等のアクチュエータに連結されるように構成することができる。調整物の中の薬物または他の治療薬剤の用量は、薬物による潜在的な副作用を低減することができるように、従来の経口送達方法に必要とされるものから下方に滴定することができる。
【0069】
必然的ではないが一般的には、調整物は、カプセルの外から小腸の壁の中へ前進させられるように構成される中空針等の組織貫通部材の管腔の中に含有されるように成形され、別様に構成される。また、本明細書において説明されるように、種々の実施形態において、調整物自体は、小腸の壁または腸管の他の管腔の中へ前進させられるように成形および構成される組織貫通部材を備えてもよい。
【0070】
本発明の別の側面は、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を使用して、消化管の壁の中へ薬物および治療薬剤を送達するための方法を提供する。そのような方法は、治療有効量の種々の薬物および他の治療薬剤の送達に使用することができる。これらは、胃の中の化学分解により、そうでなければ注射を必要とする、いくつかの巨大分子ペプチドおよびタンパク質。例えば、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリン、インターフェロン、および他の類似化合物を含む。本発明の実施形態によって送達することができる好適な薬物および他の治療薬剤は、種々の化学療法薬(例えば、インターフェロン)、抗生物質、抗ウイルス剤、インスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1、エクセナチド)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび成長因子)、抗発作薬、免疫抑制剤、および種々の抗マラリア剤等の駆虫剤を含む。特定の薬物の投与量は、患者の体重、年齢、症状、または他のパラメータについて滴定することができる。
【0071】
種々の方法の実施形態において、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態は、複数の症状の治療のため、または特定の症状の治療のための複数の薬物(例えば、HIV AIDSの治療のためのプロテアーゼ抑制剤の混合物)を送達するために使用することができる。使用中に、そのような実施形態は、患者が1つまたは複数の特定の症状のために複数の薬品を服用しなければならない必要性をなくすことを可能にする。また、それらは、2つ以上の薬物の投与計画が送達され、小腸、したがってほぼ同時に血流に吸収されることを促進するための手段を提供する。化学組成、分子量等の違いにより、薬物は、異なる速度で腸壁を通して吸収することができ、異なる薬物動態分布曲線をもたらす。本発明の実施形態は、ほぼ同時に所望の薬物混合物を注入することによって、この問題に対処する。これは次に、薬物動態、したがって、薬物の選択された混合物の有効性を向上させる。
【0072】
一実施形態において、摂取可能デバイスは、患者の消化管の管腔の中へ嚥下するために好適である。管腔は、壁を有する。デバイスは、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える。治療薬剤調整物は、カプセルの中に配置可能である。調整物は、少なくとも1つの治療薬剤を含み、治療薬剤調整物は、消化管の管腔内で放出された場合、化学的に分解するか、患者に有害作用を及ぼす。アクチュエータは、治療薬剤調整物に連結され、第1の構成および第2の構成を有する。アクチュエータが第1の構成にある時にカプセル内で保持されている調整物は、管腔の中の治療薬剤の有害作用または化学分解が抑制されるように、第1の構成から第2の構成へのアクチュエータの移動によって、カプセルから管腔の中へ前進させられる。
【0073】
別の実施形態において、患者の小腸の壁の中へ治療薬剤を送達するための方法は、治療薬剤と、解放要素と、組織貫通部材とを含む、薬物送達カプセルデバイスを嚥下するステップを含む。治療薬剤は、消化管の管腔内で放出された場合、化学的に分解するか、患者に有害作用を及ぼす。解放要素は、小腸の中の条件に応じて小腸の中で解放され、治療薬剤は、管腔の中の治療薬剤の有害作用または分解が抑制されるように、組織貫通部材を使用して小腸の壁の中へ送達される。
【0074】
さらに別の実施形態において、患者の腸管の腸壁に治療薬剤調整物を挿入するための嚥下可能デバイスは、腸管を通過するようにサイズ設定される嚥下可能カプセルを備える。カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する。カプセル壁の少なくとも一部分は、開口の上を覆い、胃の中で分解からカプセルを保護し、小腸の中のpHに応じて分解する、材料または被覆を備える。組織貫通部材は、治療薬剤調整物と、小腸の中の選択されたpHに応じて、開口を通してカプセルから患者の腸壁の中へ組織貫通部材を前進させるための手段とを含む。
【0075】
別の実施形態において、患者の腸管の腸壁の中へ治療薬剤調整物を送達するための嚥下可能デバイスは、腸管を通過するようにサイズ設定される嚥下可能カプセルを備える。カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する。拡張可能部材は、少なくとも部分的非拡張状態でカプセル内に配置される。拡張可能部材は、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解する分離弁によって分離される、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分は、液体を含み、第2の部分は、弁が分解すると、液体と反応して拡張可能部材を拡張するガスを産生するように構成される、反応物を含む。第1の部分からの液体は、拡張可能部材を拡張するガスを産生するように、第2の部分の中の反応物と混合する。組織貫通部材は、少なくとも部分的に治療薬剤調整物から形成され、組織貫通部材は、近位および遠位部分を含む。近位部分は、拡張可能部材に取外し可能に連結される。組織貫通部材は、腸壁内で組織貫通部材を保持するための少なくとも1つの保持特徴を含む。拡張可能部材の拡張時に、組織貫通部材は、拡張可能部材から外れるように、それが少なくとも1つの保持特徴によって保持される、腸壁の中へ開口を通して前進させられる。
【0076】
なおも別の実施形態において、患者の腸管の腸壁の中へ治療薬剤調整物を送達するための嚥下可能デバイスは、腸管を通過するようにサイズ設定される嚥下可能カプセルを備える。カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する。拡張可能部材は、少なくとも部分的非拡張状態でカプセル内に配置される。拡張可能部材は、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解する分離弁によって分離される、第1の部分および第2の部分を含む。第1の部分は、液体を含み、第2の部分は、弁が分解すると、液体と反応して拡張可能部材を拡張するガスを産生するように構成される、反応物を含み、第1の部分からの液体は、拡張可能部材を拡張するガスを産生するように、第2の部分の中の反応物と混合する。組織貫通部材は、管腔と、近位および遠位部分とを有する。近位部分は、拡張可能部材の拡張時に、組織貫通部材が、腸壁の中へ開口を通して前進させられるように、拡張可能部材に連結される。少なくとも1つの貯留部は、治療薬剤調整物を格納する。貯留部は、組織貫通部材に流体的に連結される。貯留部は、管腔を通して貯留部から腸壁の中へ治療薬剤を放出するよう、拡張可能部材の拡張によって折り畳み可能となるように構成され、カプセル内に設置される。
【0077】
別の実施形態において、腸壁の中へ薬物を送達するための嚥下可能デバイスは、腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルを備える。組織貫通部材は、カプセルの中に設置され、薬物を含有する。組織貫通部材は、腸壁を貫通するための組織貫通端部を有する。送達部材は、組織貫通部材から組織の中へ薬物を送達する。作動機構は、組織貫通部材または送達部材のうちの少なくとも1つに連結される。作動機構は、腸壁の中へ組織貫通部材を前進させ、送達部材を前進させて薬物を送達するように構成される。解放要素は、作動機構に動作可能に連結され、解放要素は、分解時に、作動機構が組織貫通部材を解放し、前進可能部材を前進させて腸壁の中へ薬物を送達するよう作動させられるように、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解するように構成される材料を含む。
【0078】
さらに別の実施形態において、薬物送達の方法は、カプセルと、薬物と、作動機構と、解放要素と、組織貫通部材とを備える、薬物送達デバイスを嚥下するステップを含む。解放要素は、小腸の中の条件に応じて小腸の中で解放され、作動機構は、組織貫通部材を使用して、小腸の壁の中へ薬物を送達するように作動させられる。
【0079】
本発明のこれらおよび他の実施形態および側面のさらなる詳細は、添付図面を参照して、以下でさらに十分に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1a】図1aは、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を示す側面図である。
【図1b】図1bは、嚥下可能薬物送達デバイスを含むシステムの実施形態を示す側面図である。
【図1c】図1cは、嚥下可能薬物送達デバイスと、一式の使用説明書とを含む、キットの実施形態を示す側面図である。
【図1d】図1dは、薬物貯留部を含む嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を示す側面図である。
【図2】図2は、組織の中へ組織貫通部材を前進させるためのバネ荷重作動機構を有する、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を図示する側面図である。
【図3】図3は、第1の運動変換器を有するバネ荷重作動機構を有する、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を図示する側面図である。
【図4】図4は、第1および第2の運動変換器を有するバネ荷重作動機構を有する、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を図示する側面図である。
【図5】図5は、組織貫通部材および送達部材との第1および第2の運動変換器の係合を図示する斜視図である。
【図6】図6は、単一の組織貫通部材と、組織貫通部材を前進させるための作動機構とを有する、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を図示する断面図である。
【図7a】図7aは、複数の組織貫通部材と、組織貫通部材を前進させるための作動機構とを有する、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を図示する断面図である。
【図7b】図7bは、送達部位に薬品を送達し、送達中に腸壁の中でデバイスを固着するための図7aの実施形態の組織貫通部材の配備を図示する、断面図である。
【図8a】図8a−8cは、小腸の中の薬物送達デバイスの設置および薬物を送達するための組織貫通部材の配備を図示する、側面図であり、図8aは、解放要素がそのままである、組織貫通部材の配備前の小腸の中のデバイスを示し、図8bは、解放要素が分解され、組織貫通要素が配備されている、小腸の中のデバイスを示し、図8cは、組織貫通要素が後退させられ、薬物が送達されている、小腸の中のデバイスを示す。
【図8b】図8a−8cは、小腸の中の薬物送達デバイスの設置および薬物を送達するための組織貫通部材の配備を図示する、側面図であり、図8aは、解放要素がそのままである、組織貫通部材の配備前の小腸の中のデバイスを示し、図8bは、解放要素が分解され、組織貫通要素が配備されている、小腸の中のデバイスを示し、図8cは、組織貫通要素が後退させられ、薬物が送達されている、小腸の中のデバイスを示す。
【図8c】図8a−8cは、小腸の中の薬物送達デバイスの設置および薬物を送達するための組織貫通部材の配備を図示する、側面図であり、図8aは、解放要素がそのままである、組織貫通部材の配備前の小腸の中のデバイスを示し、図8bは、解放要素が分解され、組織貫通要素が配備されている、小腸の中のデバイスを示し、図8cは、組織貫通要素が後退させられ、薬物が送達されている、小腸の中のデバイスを示す。
【図9】図9aは、消化管の中でカプセルの制御された分解を生じるように設置された生分解性継ぎ目を有するカプセルを含む、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態を示す。図9bは、消化管の中でより小さい断片に分解された後の図9aの実施形態を示す。
【図10】図10は、カプセルの生分解を加速するように細孔および/または穿孔を含む、生分解性継ぎ目を有するカプセルの実施形態を示す。
【図11】図11は、消化管の中のデバイスの輸送と、薬物を送達するためのデバイスの操作とを含む、嚥下可能薬物送達デバイスの実施形態の使用を図示する側面図である。
【図12】図12は、拡張可能バルーン等の拡張可能部材を有する、嚥下可能薬物デバイスの実施形態を図示する横断面図である。
【図13】図13は、嚥下可能カプセルの実施形態の内側の膨張状態の拡張可能バルーンの実施形態を図示する、側面図である。
【図14a】図14a−14cは、化学反応物を使用した拡張可能バルーンの膨張を図示する側面図であり、図14aは、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示し、図14bは、弁が開き、化学反応物の混合を伴うバルーンを示し、図14cは、膨張状態のバルーンを示す。
【図14b】図14a−14cは、化学反応物を使用した拡張可能バルーンの膨張を図示する側面図であり、図14aは、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示し、図14bは、弁が開き、化学反応物の混合を伴うバルーンを示し、図14cは、膨張状態のバルーンを示す。
【図14c】図14a−14cは、化学反応物を使用した拡張可能バルーンの膨張を図示する側面図であり、図14aは、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示し、図14bは、弁が開き、化学反応物の混合を伴うバルーンを示し、図14cは、膨張状態のバルーンを示す。
【図15】図15は、挟持特徴を有する分離弁の実施形態を示す。
【図16a】図16a−16cは、小腸の中でバルーンの膨張を開始するように、生分解性被覆カプセルと、生分解性分離弁とを有する、嚥下可能薬物送達デバイスの使用を図示する側面図であり、図16aは、カプセル被覆がそのままであり、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示す。図16bは、分解されたカプセル被覆、および隔離弁と接触するようにカプセル内部の中へ結果として進入する腸液を示し、図16cは、腸液との接触による隔離弁の分解および開放を示す。
【図16b】図16a−16cは、小腸の中でバルーンの膨張を開始するように、生分解性被覆カプセルと、生分解性分離弁とを有する、嚥下可能薬物送達デバイスの使用を図示する側面図であり、図16aは、カプセル被覆がそのままであり、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示す。図16bは、分解されたカプセル被覆、および隔離弁と接触するようにカプセル内部の中へ結果として進入する腸液を示し、図16cは、腸液との接触による隔離弁の分解および開放を示す。
【図16c】図16a−16cは、小腸の中でバルーンの膨張を開始するように、生分解性被覆カプセルと、生分解性分離弁とを有する、嚥下可能薬物送達デバイスの使用を図示する側面図であり、図16aは、カプセル被覆がそのままであり、分離弁が閉じられている、非膨張状態のバルーンを示す。図16bは、分解されたカプセル被覆、および隔離弁と接触するようにカプセル内部の中へ結果として進入する腸液を示し、図16cは、腸液との接触による隔離弁の分解および開放を示す。
【図17】図17aは、梁状構造を有する分離弁の実施形態の断面図を示す。図17bは、図17aの実施形態の上面図を示す。
【図18】図18は、カラー弁を備える分離弁の実施形態を示す。
【図19a】図19aおよび19bは、バルーン壁の生分解性セクションを備える収縮弁を有する、拡張可能バルーンの実施形態を示す。
【図19b】図19aおよび19bは、バルーン壁の生分解性セクションを備える収縮弁を有する、拡張可能バルーンの実施形態を示す。
【図20−1】図20aは、組織貫通部材の実施形態の側面図である。図20bは、組織保持特徴の配置を図示する、組織貫通部材の実施形態の底面図である。
【図20−2】図20cは、別個の薬物含有セクションを有する組織貫通部材の実施形態の側面図である。
【図21】図21aは、組織貫通部材を拡張可能バルーンに連結するための前進部材の使用を示す側面図である。図21bは、力集中要素として機能するよう、組織貫通部材よりも大きい表面積を有する、前進部材の実施形態を示す底面図である。
【図22a】図22aは、1つ以上の組織貫通部材を拡張可能バルーンに連結するための前進部材および基礎プラットフォームの使用を示す側面図である。
【図22b】図22bは、複数の前進部材および組織貫通部材を有する、プラットフォームの実施形態を示す側面図である。
【図23a】図23aおよび23bは、組織貫通部材の両側配備を達成するように、バルーンの反対側に配置されたプラットフォームおよび組織貫通部材を有する、嚥下可能デバイスの実施形態の使用を図示する側面図であり、図23aは、非膨張状態のバルーンを示し、図23bは、貫通部材が配備されている、膨張させられたバルーンを示す。
【図23b】図23aおよび23bは、組織貫通部材の両側配備を達成するように、バルーンの反対側に配置されたプラットフォームおよび組織貫通部材を有する、嚥下可能デバイスの実施形態の使用を図示する側面図であり、図23aは、非膨張状態のバルーンを示し、図23bは、貫通部材が配備されている、膨張させられたバルーンを示す。
【図24】図24aおよび24bは、バルーンの周囲全体に分布した組織貫通部材を有する、嚥下可能デバイスの実施形態の使用を図示する断面図であり、図24aは、非膨張状態のバルーンを示し、図24bは、膨張させられたバルーン、および腸壁内で分布パターンにおいて配置された貫通部材を示す。
【図25a】図25aおよび25bは、膨張可能バルーンの膨張によって圧縮可能な薬物貯留部を有する、嚥下可能デバイスの実施形態の使用を図示する側面図であり、図25は、非膨張状態のバルーンを示し、図25bは、薬物が貯留部から腸壁の中へ注入されている、膨張させられたバルーンを示す。
【図25b】図25aおよび25bは、膨張可能バルーンの膨張によって圧縮可能な薬物貯留部を有する、嚥下可能デバイスの実施形態の使用を図示する側面図であり、図25は、非膨張状態のバルーンを示し、図25bは、薬物が貯留部から腸壁の中へ注入されている、膨張させられたバルーンを示す。
【図26】図26は、2つ以上の薬物貯留部を中空組織貫通部材に連結するためのマニホールドの実施形態を図示する側面図である。
【図27】図27aおよび27bは、弁の開放のための拡張可能pHセンサの使用を組み込む、カラー型分離弁の実施形態を示し、図27aは、閉鎖位置にある弁を示し、図27bは、開放位置にある弁を示す。
【図28】図28a−28bは、弁の開放のための収縮可能pHセンサの使用を組み込む、梁状分離弁の実施形態の断面図であり、図28aは、閉鎖位置にある弁を示し、図28bは、開放位置にある弁を示す。
【図29】図29a−29bは、拡張可能バルーンの膨張によるカプセルの破裂のために、放射状または側方パターンで配設された破裂可能継ぎ目を有する、カプセルの実施形態を示し、図29aは、膨張前のカプセルを示し、図29bは、バルーンの膨張によって断片に分解されたカプセルを示す。
【図30】図30は、拡張可能バルーンの膨張によって破ることができる、継ぎ目によって接合された別個の部分から製造された、バルーン破裂可能カプセルの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明の実施形態は、体内の種々の場所の中へ薬品を送達するためのデバイス、システム、および方法を提供する。本明細書で使用されるように、「薬品」という用語は、薬物または他の治療薬剤および1つ以上の医薬物賦形剤を含むことができる任意の形態の医療調整物を指す。多くの実施形態は、消化管内で薬品を送達するための嚥下可能デバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸または他の消化器官の壁に薬品を送達するためのカプセル等の嚥下可能デバイスを提供する。
【0082】
ここで図1−11を参照すると、腸管の中の送達部位DSへの薬品100の送達のためのデバイス10の実施形態は、少なくとも1つの開口26を含むカプセル20と、拡張可能部材30と、ガイドチューブ30と、薬品100を含有する1つ以上の組織貫通部材40とを備える。組織貫通部材40は、少なくとも部分的に薬品100から形成することができ、および/または少なくとも1つのガイドチューブの中に設置されるか、またはそうでなければ前進可能である組織貫通部材40と一体である薬品100から形成されるか、またはそれを含有するセクションまたは区画42と、送達部材50と、作動機構60と、解放要素70とを含有することができる。本明細書において調整物100としても記載される薬品100はまた、一般的には、少なくとも1つの薬物または治療薬剤101を含み、当技術分野で公知の1つ以上の医薬物賦形剤を含んでもよい。
【0083】
組織貫通部材40を含むデバイス10は、液体、半液体、または固体形態の薬品100、あるいは3つ全ての送達のために構成することができる。固体形態の薬品/調整物100は、粉末またはペレットの両方を含むことができる。半液体は、スラリーまたはペーストを含むことができる。どのような形態であっても、薬品/調整物100は、望ましくは、薬品がデバイスの外から腸壁(例えば、消化管の他の管腔壁)の中へ前進させられることを可能にする形状および材料のコンシステンシーを有し、次いで、薬物または他の治療薬剤101を放出するように腸壁の中で分解する。材料のコンシステンシーは、調整物の硬度、多孔性、および(体液中での)溶解度のうちの1つ以上を含むことができる。材料のコンシステンシーは、i)調整物を作製するために使用される圧縮力、ii)当技術分野で公知である1つ以上の医薬物崩壊剤の使用、iii)他の医薬物賦形剤の使用、iv)調整物の粒径および分布(例えば、微粉化粒子)、ならびにv)当技術分野で公知である微粉化および他の粒子形成方法のうちの1つ以上によって達成することができる。調整物100に対する好適な形状は、円筒形、立方体、長方形、円錐形、球形、半球形、およびそれらの組み合わせを含むことができる。また、形状は、薬品100の特定の表面積および体積、したがって、2つの間の比を定義するよう選択することができる。表面積対体積の比は次に、腸または他の管腔壁内で選択された分解速度を達成するために使用することができる。より高速の分解速度を達成するために、より大きい比(例えば、単位体積につきより大きい表面積)を使用することができ、逆もまた同様である。特定の実施形態において、表面積対体積比は、2:1、5:1、20:1、25:1、50:1、および75:1の具体的実施形態を伴って、約1:1から100:1までの範囲内となり得る。薬品/調整物100は、一般的には、組織貫通部材40の管腔44内に事前に詰められるが、また、カプセル20の内部24内、あるいは液体または半液体の場合は封入貯留部27内の別の場所で含有することもできる。薬品は、管腔の中に嵌合するように事前成形するか、または例えば、粉末形態で詰めることができる。一般的には、デバイス10は、薬品100の一部として単一の薬物101を送達するように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態において、デバイス10は、単一または複数の薬品100に組み合わせることができる第1、第2、または第3の薬物を含む複数の薬物101の送達のために構成することができる。複数の薬品/薬物を有する実施形態について、薬品は、別個の組織貫通部材40の中に、あるいはカプセル20内の別個の区画または貯留部27内に含有されることができる。別の実施形態において、第1の薬物101を含有する薬品100の第1の用量102を貫通部材40の中へ詰めることができ、図1aの実施形態に示されるように、(同じ、または異なる薬物101を含有する)薬品100の第2の用量103をカプセルの表面25上に被覆することができる。薬品102および103の2つの用量の中の薬物101は、同一かまたは異なり得る。このようにして、同一かまたは異なる薬物のバイモーダル薬物動態放出を達成することができる。薬品100の第2の用量103は、小腸の中で放出されることを確実にし、薬品100の徐放も達成するために腸溶性被覆104を有することができる。腸溶性被覆104は、本明細書において説明されるか、または当技術分野において公知である1つ以上の腸溶性被覆を含むことができる。
【0084】
小腸の壁または消化管内の他の場所の中へ薬品100を送達するためのシステム11は、1つまたは複数の選択された症状の治療のための1つ以上の薬品100を含有するデバイス10を備えてもよい。いくつかの実施形態において、システムは、図1bの実施形態に示されるように、デバイス10と通信するための本明細書において説明される手持ち式デバイス13を含んでもよい。システム11はまた、図1cの実施形態に示されるように、包装12に包装されるシステム11と、一式の使用説明書15とを含むキット14として構成されてもよい。説明書は、食事の摂取等の1つ以上の事象、または血糖、コレステロール等の生理学的測定に対してデバイス10を服用する時を患者に示すことができる。そのような実施形態において、キット14は、治療される症状に応じて選択された投与の期間、例えば、1日、1週間、または複数週間にわたる薬品100の投与計画を含有する複数のデバイス10を含むことができる。
【0085】
カプセル20は、嚥下され、腸管を通過するようにサイズ設定される。サイズはまた、送達される薬物の量、ならびに患者の体重および成人対小児の適用に応じて、調整することもできる。一般的には、カプセルは、ビタミンと同様の湾曲端部を有する管状の形状を有する。これらの実施形態および関連実施形態において、カプセルの長さ20Lは0.5から2インチまでの範囲内、直径20Dは0.1から0.5インチまでの範囲内となり得、他の寸法も企図される。カプセル20は、内部空間または容積24vを画定する外面25および内面24を有するカプセル壁21wを含む。カプセル壁21wは、容積24と、ガイドチューブ30を介した組織貫通部材40の外向き前進のためにサイズ設定された1つ以上の開口26を有する外面25とを含む。デバイス10の他の構成要素(例えば、拡張可能部材、作動機構等)に加えて、内部容積は、1つ以上の区画または貯留部27を含むことができる。
【0086】
カプセル20の1つ以上の部分は、好ましい実施形態においてPGLA(ポリ乳酸−コ−グリコール酸)を含むことができる種々の生分解性ポリマーを含む、当技術分野で公知である種々の生体適合生ポリマーから製造することができる。他の好適な生分解性材料は、本明細書において説明される種々の腸溶性材料、ならびにラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パラジオキサノン、カプロラクトン、炭酸トリメチレン、カプロラクトン、およびそれらの共重合体を含む。
【0087】
生分解性腸溶性材料を含む、カプセル20に対する生分解性材料の使用は、カプセルが全体的または部分的に分解することを可能にし、薬物送達後の胃腸系の通過を促進する。本明細書でさらに説明されるように、種々の実施形態において、カプセル20は、より容易に腸管を通過させられるより小さい断片23に、制御可能に分解するよう生分解性材料の継ぎ目22を含むことができる。
【0088】
加えて、種々の実施形態において、カプセル20は、蛍光透視法、超音波、または他の医用画像モダリティを使用して、デバイスの場所に対する種々の放射線不透過性または音波発生材料を含むことができる。具体的実施形態において、カプセルの全体または一部分は、図1aおよび1bの実施形態に示されるように、放射線不透過性/音波発生マーカ20mを含むことができる。使用中に、そのような材料は、消化管の中でのデバイス10の位置決めを可能にするだけでなく、消化管を通るデバイスの輸送時間の決定も可能にする。
【0089】
拡張可能部材30は、カプセル20内で嵌合するように成形およびサイズ設定される種々の拡張可能なデバイスを備えることができるが、一般的には、拡張可能バルーン30を備える。他の好適な拡張可能部材は、種々の形状記憶デバイス、および/またはカプセル20の内部容積24vに対応する拡張形状およびサイズを有する、化学的に拡張可能なポリマーデバイスを含む。論議を容易にするために、拡張可能部材30はここではバルーン30と呼ばれるが、他の実施形態が同等に適用可能である。バルーン30は、一般的には、少なくとも部分的に非拡張状態でカプセル20の内面24に取り付けられる。取付けの手段は、医療デバイスの技術分野において公知である種々の接着剤の使用を含むことができる。バルーンは、カプセルの内部に空間を保持するために、巻いた構成または他のコンパクトな構成でカプセル20の内部に詰めることができる。巻くことは、非膨張バルーン30の選択された部分を覆う分離弁50の配置によって達成することができる。特定の実施形態において、巻くことは、巻いた構成に保つように非膨張バルーンの周囲に配置される、本明細書において説明されるカラー型分離弁55の使用によって容易にすることができる。別のアプローチでは、巻くことはまた、側方、らせん、または他の構成でバルーンに沿って配置される1つ以上の折り目30cの使用によって達成することもできる。好ましい実施形態において、組織貫通部材40は、小腸の壁または消化管の他の部分等の組織の中への部材40の前進を誘導および支持する働きをするガイドチューブ30内に設置される。他の実施形態において、組織貫通部材40はガイドチューブがないカプセル20の中に設置することができる。組織貫通部材40は、一般的には、中空針または他の類似構造を備え、管腔44および腸壁IWの中へ選択可能な深さで貫通するための組織貫通端部45を有する。部材40はまた、本明細書において説明される運動変換器90と係合するためのピン41を含んでもよい。貫通の深さは、部材40の長さ、本明細書において説明される運動変換器90の構成、および実施形態において本明細書において説明されるピン41に対応することができる部材40上の停止部またはフランジ40sの配置によって制御することができる。薬品100は、一般的には、管腔44を通して組織の中へ送達される。多くの実施形態において、管腔44は、送達部材50または他の前進部材を使用して(例えば、部材40の折り畳み式実施形態に印加される力を用いて)管腔から外へ前進させられる所望の薬品100を事前に詰められる。代替案として、薬品100は、カプセル20の中の別の場所/区画から管腔44の中へ前進させることができる。いくつかの実施形態において、組織貫通部材40の全体または一部分は、薬品100自体から製造することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、薬品は、小腸の壁等の腸壁を貫通し、その中に保持されるように構成される針またはダーツ状構造(鉤を伴う、または伴わない)を有することができる。ダーツは、薬品、用量、および腸壁の中への貫通の所望の深さに応じて、サイズ設定および成形することができる。薬品100は、薬学の技術分野で公知である種々の圧縮成形および他の関連方法を使用して、ダーツ、ペレット、または他の形状に形成することができる。
【0090】
バルーン30は、医療デバイスの技術分野で公知である種々のポリマーを含むことができるが、好ましくは、PET(ポリエチレンテレフタレート)等の非柔軟性ポリマー、および当技術分野で公知である他の非柔軟性材料を含む。それは、カプセル20の内部容積24vにほぼ対応する形状30sおよびサイズを有するように、バルーンカテーテルの技術分野で公知である種々のバルーン吹き込み方法(例えば、型吹き込み)を使用して製造することができる。バルーン30に対する好適な形状30sは、テーパ状または湾曲した端部部分31を有する種々の円筒形状を含む(そのような形状の実施例はホットドッグを含む)。いくつかの実施形態において、その直径30Dを含む、バルーン30の膨張サイズは、膨張の力により(例えば、フープ応力により)カプセルを分解させるよう、カプセル20よりもわずかに大きくなり得る。望ましくは、バルーン30の壁32は、薄くなり、0.002、0.001、および0.0005の具体的実施形態を伴って、0.005から0.0001”までの範囲内、より好ましくは0.001から0.0001までの範囲内の壁の厚さ33を有することができる。種々の実施形態において、デバイス10は、図7aおよび7bの実施形態に示されるように、第二42および第三43の組織貫通部材40を含むことができ、追加の数が企図される。各組織貫通部材40は、同一かまたは異なる薬品100、および同一の薬物の異なる用量を送達するために使用することができる。好ましい実施形態において、組織貫通部材40は、薬品100の送達中に腸壁IW上にカプセルを固着するよう、カプセル20の周囲21に実質的に対称に分配することができる。そのような方法でカプセル20を固着することは、薬品の送達中に発生する蠕動収縮によってカプセルが変位または移動させられる可能性を低減する。具体的実施形態において、固着力の量は、小腸の蠕動収縮中に印加される一般的な力に適応させることができる。固着は、湾曲または弓形の形状を有するように構成された組織貫通部材40の一部または全体によってさらに促進することができる。
【0091】
バルーン230はまた、一般的には、分離弁によって分離される少なくとも第1および第2の部分または区画234および235と、送達部材と、各区画の内容物を分離する他の分離手段とを含む。多くの実施形態において、区画234および235は、分離弁250が一般的には配置されるそれらの間に、少なくとも小さい接続セクション236を有する。図14aの実施形態に示されるように、液体239、一般的には、水は、第1の区画234内に配置することができ、1つ以上の反応物260(一般的には固体であるが、液体も使用されてもよい)は、第2の区画235内に配置することができる。(例えば、小腸内の流体によって引き起こされる分解により)弁250が開くと、液体239は、区画235に進入し(または逆も同様、あるいは両方)、反応物260は、液体と混合し、図14b−14cの実施形態に示されるようにバルーン230を拡張する二酸化炭素等のガス263を産生する。バルーン230の拡張は、本明細書でさらに十分に説明されるように、組織貫通部材240を通して腸壁IWの中へ薬品100を前進させるように構成される。したがって、送達部材250の少なくとも一部分が、組織貫通部材管腔244内で前進可能であり、したがって、部材250は、送達部材管腔244、あるいは組織貫通部材240内の他のチャンバまたは区画内で嵌合するように構成される、サイズおよび形状(例えば、ピストン状形状)を有する。
【0092】
反応物260は、一般的には、少なくとも第1および第2の反応物261および262、例えば、クエン酸等の酸および水酸化ナトリウム等の塩基を含む。付加的な数の反応物も企図される。クエン酸および水酸化ナトリウムを使用する実施形態について、2つの反応物の間の比(クエン酸対水酸化ナトリウム)は、1:2の具体的な比を伴って、1:1から1:4の範囲内となり得る。望ましくは、固体反応物260には、吸着水がほとんどないか、または全くない。したがって、水酸化ナトリウム等の反応物のうちの1つ以上は、バルーン230内に配置される前に(例えば、真空乾燥によって)事前乾燥させることができる。他の酸、例えば、酢酸および塩基を含む、他の反応物260も企図される。反応物の組み合わせを含む、特定の反応物260の量は、特定の化学反応ならびにバルーンの膨張体積および理想気体の法則に対する既知の化学量論式を使用して、特定の圧力を生じるように選択することができる(例えば、PV=nRT)。
【0093】
いくつかの実施形態において、送達部材の遠位端部50d(組織の中へ前進させられる端部)は、組織貫通部材管腔44内で薬品を前進させ、また、管腔との密閉を形成する、プランジャ要素51を有することができる。プランジャ要素51は、送達部材50と一体化するか、または送達部材に取り付けることができる。好ましくは、送達部材50は、腸壁IWの中へ固定または計測用量の薬物を送達するよう、針管腔44内で固定距離を進行するよう構成される。これは、送達部材の直径の選択(例えば、直径は遠位にテーパ状にすることができる)、組織貫通部材の直径(その遠位端部で狭くすることができる)、停止部の使用、および/または作動機構のうちの1つ以上によって達成することができる。しかしながら、いくつかの実施形態において、消化管の中の1つ以上の感知された条件等の種々の要因に応じて、部材50のストロークまたは移動距離を原位置で調整することができる。原位置調整は、作動機構60の電気機械実施形態に連結される論理資源29(コントローラ29cを含む)の使用を通して達成することができる。これは、薬品の可変用量および/または薬品が腸壁に注入される距離の変動を可能にする。
【0094】
本発明の種々の実施形態は、分離弁250または他の分離手段250に対するいくつかの構造および構成を提供する。以下で説明されるように、1つ以上の実施形態において、弁250は、梁状構造、またはカラー型弁を備えてもよい。なおも他の構造が考慮される。これらの実施形態のうちの1つ以上では、弁250は、図15の実施形態に示されるように、カプセル220の内面224上のくぼみまたは他の噛合特徴252に係合する隆起等の1つ以上の挟持特徴251を含むことができる。使用中に、挟持特徴251は、挟持特徴の下のバルーン壁232への付加的な力の印加を提供し、密閉に冗長性を提供する。弁250は、各特徴の下に密閉を作成するように複数の挟持特徴251を含んでもよい。
【0095】
作動機構60は、組織貫通部材40または送達部材50のうちの少なくとも1つに連結することができる。作動機構は、腸壁IWの中へ選択可能な距離で組織貫通部材40を前進させ、および送達部材を前進させて薬品100を送達し、次いで、腸壁から組織貫通部材を撤退させるように構成される。種々の実施形態において、作動機構60は、解放要素70によって解放されるように構成される、事前搭載されたバネ機構を備えることができる。好適なバネ80は、コイル(円錐形バネを含む)および板バネの両方を含むことができ、他のバネ構造も企図される。特定の実施形態において、バネ80は、バネの圧縮された長さが、ほぼいくつかのコイル(例えば、2つまたは3つ)または1つだけのコイルの厚さである時点まで、圧縮状態のバネの長さを縮小するように実質的に円錐形となり得る。
【0096】
また、種々の実施形態において、分離弁250は、いくつかの方法で、消化管内のいくつかの症状に応じて開くように構成することができる。多くの実施形態において、分離弁250は、分解時に弁が開くように、小腸内で見られるより高いpHまたは他の症状に応じて1つ以上の部分を分解させることによって開くように構成される。代替的または付加的なアプローチとして、分離弁250はまた、小腸内の蠕動収縮によって印加される圧縮力に応じて開くように構成されてもよい。なおも別のアプローチでは、分離弁250は、トリガイベント、例えば、タブの剥離またはボタンの押下等の患者によって開始される起動ステップ後のある期間後に開くように構成される、徐放弁であってもよい。
【0097】
特定の実施形態において、作動機構60は、図2、4、および8a−8cの実施形態に示されるように、バネ80と、第1の運動変換器90と、第2の運動変換器94と、トラック部材98とを備えることができる。解放要素70は、解放要素の分解がバネを解放するように、圧縮状態でバネを保持するようにバネ80に連結される。バネ80は、ラッチまたは他の接続要素81によって解放要素70に連結されてもよい。第1の運動変換器90は、バネ80の運動を変換して、組織貫通要素40を組織の中で前進させ、そこから撤退させるように構成される。第2の運動変換器94は、バネ80の運動を変換して、送達部材50を組織貫通部材の管腔44の中へ前進させるように構成される。運動変換器90および94は、バネによって押され、変換器90のトラック部材管腔99の中に嵌合するロッドまたは他のトラック部材98に沿って進む。トラック部材98は、変換器90の経路を誘導する働きをする。運動変換器90および94は、所望の運動を生じるように、組織貫通部材40および/または送達部材50に(直接または間接的に)係合する。それらは、その長手軸に沿ったバネ80の運動を組織貫通部材40および/または送達部材50の直交運動に変換するように構成されるが、他の方向への変換も企図される。運動変換器は、楔形、台形、または湾曲形状を有することができ、他の形状も企図される。特定の実施形態において、第1の運動変換器90は、図2、3、および4の実施形態に示されるように、台形形状90tを有し、スロットに乗る組織貫通部材上のピン41に係合するスロットを含むことができる。スロット93はまた、変換器90の全体的形状に酷似するか、または別様に対応する、台形93tを有することもできる。スロット93は、台形の上り斜面部分91において組織貫通部材40を押し、下り斜面部分92において後退させる働きをする。一変化例では、運動変換器90および94の一方または両方は、カムまたはカム状デバイス(図示せず)を備えることができる。カムは、組織貫通および/または送達部材40および50に係合するよう、バネ80によって旋回することができる。運動変換器90および94を含む、機構60の1つ以上の構成要素(ならびにデバイス10の他の構成要素)は、選択された量の小型化を可能にしてカプセル10内に嵌合するよう、当技術分野で公知である種々のMEMSベースの方法を使用して製造することができる。また、本明細書において説明されるように、それらは、当技術分野で公知である種々の生分解性材料から形成することができる。
【0098】
分解性分離弁250の実施形態は、腸液に暴露され、腸液によって分解されるよう、カプセル220上または内の種々の場所に設置することができる。弁の少なくとも一部分がカプセル外面225に暴露されてもよい一方で、一般的には、弁は、それが少なくとも1つの開口226または開口部を通って進入する腸液に暴露されるカプセル内部224v内に設置される。これらの実施形態および関連実施形態において、少なくとも1つの開口226を含有する部分を含む、カプセル外面225の少なくとも一部分は、望ましくは、小腸内のpHまたは他の条件に応じて同様に劣化する腸溶性被覆等の保護層または被覆220cによって被覆される。一般的には、カプセル全体がそのように被覆されるが、しかしながら、いくつかの実施形態において、開口226を覆う部分のみが被覆される。そのような被覆は、カプセルが小腸に達するまで、消化液がカプセル内部224vに進入して分離弁250を分解し始めないように、少なくとも1つの開口226を覆う保護シール226sを提供する。図16a−16cの実施形態は、被覆の分解、カプセル内部の中への腸液または他の流体Fの進入、および分離弁のそれに続く分解という順序を図示する。使用中に、開口226を覆う分解性被覆220cおよび分解性弁250を採用するデバイス210の実施形態は、カプセル220が小腸に達するまで、バルーン230が時期尚早に膨張してその組織貫通部材240を配備しないことを確実にするための一次および二次シールを提供する。
【0099】
他の変化例では、作動機構60はまた、ソレノイド等の電気機械デバイス/機構、または圧電デバイスを備えることもできる。一実施形態において、機構60で使用される圧電デバイスは、非配備および配備状態を有する成形圧電要素を備えることができる。この要素は、電圧の印加時に配備状態になり、電圧の除去時に非配備状態に戻るように構成することができる。この実施形態および関連実施形態は、組織貫通部材を前進させるとともに、次いで、それを撤退させるよう、作動機構60の往復運動を可能にする。圧電要素に対する電圧は、バッテリ、またはカプセルの周囲の小腸の蠕動収縮によるカプセル20の圧縮から発生するもの等の機械的変形によって電圧を生成する圧電ベースのエネルギー変換器を使用して生成され、取得することができる。圧電ベースのエネルギー変換器のさらなる説明は、あらゆる目的で参照することにより本明細書に完全に組み込まれる、米国特許出願第12/556,524号で見られる。一実施形態において、組織貫通部材40の配備は、実際には、圧電要素に対する電圧を生成するための機械エネルギーを提供する、小腸の蠕動収縮から誘起することができる。
【0100】
1つ以上の実施形態によれば、分離弁250は、図17aおよび17bの実施形態に示されるように、第1の区画234と第2の区画235との間でバルーン236の一部分を圧縮し、密閉するようにカプセル220内に配置される梁状構造258を備えてもよい。梁258は、望ましくは、小腸内で見られる流体に応じて分解する、本明細書において説明される1つ以上の分解性材料、例えば、PGLA、セルロース等で構築される。梁258が分解すると、バルーンの圧縮力が解放されて、第1および第2の区画234および235からの内容物が混合し、本明細書において説明されるようなバルーン拡張を引き起こす。梁258は、一方または両方の端部でカプセルの内面224に取り付けることができる。一般的には、梁は、バルーン230の中心部分236に近接して配置されるが、他の場所も企図される。好ましい実施形態において、梁258は、図17aおよび17bの実施形態に示されるように、カプセル内面224の半径方向側面220rsに取り付けられて、バルーン横軸201aに対して半径方向に配向した様式で設置される。しかしながら、梁258はまた、カプセル内面の外側端部201eに取り付けられてもよい。好ましくは、これら2つの実施形態のうちのいずれか一方では、製造技術分野で公知のピックアンドプレースおよび他の類似方法を使用して、梁をカプセル内の適所に嵌め込むことができるように、梁258は、カプセル内面224に取り付けられる。具体的実施形態において、内面224は、カプセル220の中への梁258のスナップまたは圧入を可能にするように、梁の端部258eの配置のための切り込み224nを含むことができる。
【0101】
解放要素70は、一般的には、作動機構60および/または作動機構に連結されたバネに連結されるが、他の構成も企図される。好ましい実施形態において、解放要素70は、図2の実施形態に示されるように、圧縮状態85でバネを保持するよう、カプセル20内に設置されたバネ80に連結される。解放要素70の分解は、作動機構60を作動させるようにバネ80を解放する。したがって、解放要素70は、アクチュエータ70aとして機能することができる(アクチュエータ70aはまた、バネ80と、機構60の他の要素とを含んでもよい(単独で、または解放要素70に連結される))。以下でさらに説明されるように、アクチュエータ70aは、治療薬剤調整物100がカプセル20内に含有される第1の構成と、治療薬剤調整物がカプセルから小腸の壁または腸管の他の管腔壁の中へ前進させられる第2の構成とを有する。
【0102】
多くの実施形態において、解放要素70は、pH等の小腸または大腸の中の化学条件への暴露時に分解するように構成される材料を含む。一般的には、解放要素70は、小腸の中の選択されたpH、例えば、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、8.0、またはそれ以上への暴露時に分解するように構成される。解放要素はまた、例えば、7.0から7.5等のpHの特定の範囲内で分解するように構成することもできる。特定の実施形態において、解放要素70が分解するpH(本明細書では、分解pHとして定義される)は、選択されたpHに対応する小腸の中の場所で薬物を放出するよう、送達される特定の薬物に対して選択することができる。さらに、複数の薬品100を有するデバイス10の実施形態について、デバイスは、第1のpHで分解するように構成される第1の解放要素70(第1の薬物を送達するための作動機構に連結される)と、第2のpHで分解するように構成される第2の解放要素70(第2の薬物を送達するための作動機構に連結される)とを含むことができる(様々な数の薬物に対して付加的な数の解放要素が企図される)。
【0103】
図18に示される別の実施形態によれば、分離弁250は、生分解性材料でできている収縮カラー255cがその上を覆う、拡張可能部材230の接続部236を含む、カラー弁255を備えることができる。カラー255cは、接続セクション236を閉じた状態に保ち、カラーが分解されるとそれを解放する。
【0104】
解放要素70はまた、小腸(または他の胃腸の場所)の中の他の条件に応じて分解するように構成することもできる。特定の実施形態において、解放要素70は、食事(例えば、脂肪、でんぷん、またはタンパク質を含有する食事)の摂取後に発生するもの等の小腸の中の流体における特定の化学的条件に応じて分解するように構成することができる。このようにして、薬品100の放出は、食事の摂取と実質的に同期させるか、または別様に時期を決定することができる。そのような実施形態は、血糖/グルコース(例えば、インスリン)、血清コレステロール、および血清トリグリセリドのレベルを制御する薬品の送達のために特に有用である。
【0105】
放出弁250に加えて、バルーンまたは他の拡張可能部材230はまた、一般的には、膨張後にバルーン230を収縮する働きをする収縮弁270も含む。収縮弁270は、バルーン内のガスの漏出のための開口部またはチャネルを作成するよう、小腸の中の流体および/またはバルーンの区画のうちの1つの中の液体への暴露時に分解するように構成される生分解性材料を含むことができる。一実施形態において、図19aに示されるように、収縮弁270は、バルーン壁232の反対側の端部を一緒に接合するよう、バルーン230の端部部分231に設置される生分解性セクション271を備えることができる。これらの実施形態および関連実施形態において、分解性セクション271が液体への暴露によって分解すると、バルーン壁232が破れるか、または別様に壊れ、急速な収縮の高い保証を提供する。収縮においてさらに高い程度の信頼性を提供するように、図19bの実施形態に示されるように、バルーン壁232内の種々の場所に複数の分解性セクション271を配置することができる。望ましくは、セクション271は、区画235の壁232内のみに配置される。収縮弁270が小腸内の流体によって分解される実施形態について、バルーンの大部分が小腸内の分解液に直接暴露されるように、カプセル220を2つ以上の断片に分解するように膨張バルーン230を構成することによって、弁の分解を促進することができる。これは、別個の部品(例えば、機械的にともに嵌合される2つの半分)から、および/または本明細書において説明されるようなカプセル壁の継ぎ目222の使用を介してカプセル220を製造することによって達成することができる。
【0106】
種々のアプローチが解放要素70の生分解に対して企図される。特定の実施形態において、小腸(または消化管の中の他の場所)の中の1つ以上の条件からの解放要素70の生分解は、i)解放要素に対する材料の選択、ii)それらの材料の架橋の量、ならびにiii)解放要素の厚さおよび他の寸法によって達成することができる。より少ない量の架橋および/またはより薄い厚さが、分解の速度を増加させることができ、逆もまた同様である。解放要素に対する好適な材料は、腸の中のより高いpHへの暴露時に分解するように構成される、種々の腸溶性材料等の生分解性材料を含むことができる。好適な腸溶性材料は、無制限に、酢酸フタル酸セルロース、トリメリト酸酢酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリ酢酸フタル酸ビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、共重合メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル、ならびに当技術分野で公知の他の腸溶性材料を含む。腸溶性材料は、生分解に加えて、いくつかの他の特定の材料特性を得るように、1つ以上の他のポリマーと共重合するか、または別様に混合することができる。そのような特性は、無制限に、剛性、強度、可撓性、および硬度を含むことができる。
【0107】
加えて、保証された収縮のさらなる後援として、バルーンが完全に収縮すると、穿刺要素に接触し、穿刺要素によって穿刺されるように、1つ以上の穿刺要素72をカプセル壁の内面24に取り付けることができる。穿刺要素72は、尖った先端部73を有する表面24からの短い突起を備えることができる。バルーン収縮のための手段の別の代替的または付加的な実施形態において、組織貫通部材40のうちの1つ以上がバルーン壁32に直接連結され、それらが外れるとバルーンから引き離れ、その過程においてバルーンを破るように構成することができる。
【0108】
代替実施形態において、解放要素70は、ガイドチューブ30上に嵌合するか、または別様に遮断し、ガイドチューブの内側で組織貫通部材40を保持する、フィルムまたはプラグ70pを備えることができる(図1c)。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素が十分に分解されると、組織貫通部材を解放し、それが次いで、ガイドチューブの外へ飛び出して腸壁に貫通するように、組織貫通部材40は、バネ荷重作動機構に連結される。なおも他の実施形態において、解放要素70は、定位置で組織貫通要素40を担持するラッチとして機能するように成形することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、解放要素は、カプセル20の外部または内部上に位置することができる。後者の場合、カプセル20およびガイドチューブ30は、カプセル内部の中への腸液の進入を可能にして、解放要素の分解を可能にするように構成することができる。
【0109】
組織貫通部材40は、所望の構造特性(例えば、コラム強度)を貫通部材に提供し、および/または薬物の放出を制御するように、種々の薬物および他の治療薬剤101ならびに1つ以上の生分解性ポリマーから製造することができる。ここで図20a−20cを参照すると、多くの実施形態において、貫通部材40は、図20aの実施形態に示されるように、腸壁の組織を容易に貫通するよう、シャフト44と、針先端部45または他の尖った先端部45とを有するように形成することができる。先端部45は、先端部の硬度および組織貫通特性を増大させる、蔗糖等の分解性材料を含んでもよい(先端部の本体内で、または被覆として)。いったん腸壁の中に配置されると、貫通部材40は、壁組織内の間質液によって分解され、薬物は、これらの液の中で溶解し、血流中に吸収される。貫通部材40はまた、一般的には、前進後に腸壁の組織内で貫通部材を保持するように鉤またはフック等の1つ以上の組織保持特徴43を含む。保持部材43は、図20aおよび20bの実施形態に示されるように、部材シャフト44の周囲でそれに沿って対称に、または別様に分布する2つ以上の鉤等の組織保持を増進するように、種々のパターン43pで配設することができる。加えて、多くの実施形態において、貫通部材はまた、貫通部材をバルーンに取り付ける連結構成要素(以下で説明される前進部材80a等)に取り付けるための陥凹または他の噛合特徴46も含む。
【0110】
上記で説明されるように、組織貫通部材340は、いくつかの薬物および他の治療薬剤3101から製造することができる。貫通部材は、完全に薬物3101から製造されてもよく、または、他の構成要素、例えば、種々の医薬物賦形剤も有してもよい。一般的には、薬物または他の治療薬剤3101は、PGLA、セルロース、または本明細書において説明される、あるいは当技術分野で公知である他の生分解性材料等の生分解性ポリマー3105と混合される。そのような実施形態において、貫通部材340は、薬物3101および生分解性ポリマー3105の実質的に異質の混合物を含んでもよい。代替として、貫通部材340は、図20cの実施形態に示されるように、生分解性材料3105から実質的に形成される部分341と、薬物3101から形成されるか、または薬物3101を含有する別個のセクションまたは区画342とを含んでもよい。
【0111】
組織貫通部材340は、1つ以上のポリマーおよび当技術分野で公知の医薬物製造技法を使用して製造することができる。例えば、薬物3101(生分解性材料3105を伴う、または伴わない)は、固体形態となり得て、次いで、成形、圧縮、または他の類似方法を使用して、組織貫通部材340の形状に形成することができ、1つ以上の結合剤が添加される。代替として、薬物3101および/または薬物調整物3100は、固体または液体形態であってもよく、次いで、液体形態の生分解性ポリマー3105に添加され、次いで、ポリマー技術分野で公知である成形または他の形成方法を使用して、貫通部材340に形成されてもよい。
【0112】
望ましくは、薬物または他の治療薬剤3101および分解性ポリマー3105を含む組織貫通部材340の実施形態は、種々のペプチドおよびタンパク質等の薬物を含む、薬物のいずれの実質的な熱分解も生じない温度で形成される。これは、当技術分野で公知である、室温硬化ポリマーならびに室温成形および溶媒蒸発技法の使用を通して達成することができる。特定の実施形態において、組織貫通部材内の熱分解した薬物または他の治療薬剤の量は、望ましくは重量で約10%未満、より好ましくは約5%未満、なおもさらに好ましくは1%未満である。特定の薬物に対する熱分解温度は、公知であるか、または当技術分野で公知の方法を使用して決定することができ、次いで、この温度は、特定のポリマー処理方法(例えば、成形、硬化、溶媒蒸発等)を選択および調整して、薬物の熱分解の温度および関連レベルを最小限化するために使用することができる。
【0113】
組織貫通部材340は、望ましくは、腸壁の中への組織貫通部材340の前進後に、組織貫通部材がバルーンから外れるように、バルーンまたは他の拡張可能部材330に取外し可能に(直接または間接的に)連結されるように構成される。取外し可能性は、i)貫通部材340と前進部材380aとの間の接合部(または部材340をバルーン330に連結する他の中間構成要素)の構成および強度、2)貫通部材340上の組織保持特徴343の構成および配置、ならびにiii)腸壁の中へのシャフト344の貫通の深さを含む、種々の手段によって実装することができる。貫通部材340は、バルーン収縮(バルーンが収縮するか、またはそうでなければ腸壁から後退するときに、保持特徴343が組織中に貫通部材を保持する)および/または小腸の蠕動収縮によってカプセル320に及ぼされる力の結果として、外れるように構成することができる。
【0114】
組織貫通部材340は、バルーン330に直接または間接的に連結することができる。ここで図21a−21bおよび22を参照すると、前進部材380a等の1つ以上の連結構成要素380を使用して、間接的連結を実装することができる。したがって、特定の実施形態において、組織貫通部材340は、貫通部材340に取外し可能に係合するバルーン表面338に取り付けられる剛性構造を備える、前進部材380aによって、バルーン330に連結されてもよい。前進部材380aは、図21aの実施形態に示されるように、貫通部材の陥凹または他の噛合特徴346の中に嵌合するピンまたは他の突起382(部材380aと一体であるか、または部材380aに取り付けられる)等の取付け特徴381を用いて、貫通部材340に係合する。ピン382および陥凹346は、バルーン収縮の力および/または蠕動収縮によってカプセル320に印加される力に起因して外れるように構成することができる。多くの実施形態において、前進部材380aは、図21bの実施形態に示されるように、力集中要素384として機能するように、貫通部材340の表面積347よりも大きい水平表面積383を有することができる。使用中、力集中要素384は、バルーン330または他の拡張可能部材の拡張から貫通部材に印加される、単位面積当たりの力を増加させるように機能する。
【0115】
いくつかの実施形態において、前進部材480aは、図22aおよび22bの実施形態に示されるように、支持部材486を介してバルーン430に連結することができる。支持部材486は、図22aの実施形態に示されるように、バルーン表面438に取り付けられる一方の表面487と、前進部材480aに取り付けられる他方の表面488とを有する(これらの取付けの一方または両方は接着取付けとなり得る)、プラットフォーム486に対応してもよい。プラットフォーム486は、望ましくは剛性であり、板状構造を有することができ、図22bの実施形態に示されるように、複数の前進部材480aおよび組織貫通部材440の取付および前進を同時に可能にするようにサイズ設定することができる。例えば、特定の実施形態において、前進および組織貫通部材の3つ、4つ、または5つのグループをプラットフォーム486に取り付けることができ、付加的な数が企図される。そのような実施形態において、プラットフォームは、隔離弁450を設置するための陥凹489を含んでもよい。
【0116】
また、プラットフォーム486は、図23aおよび23bの実施形態に示されるように、腸壁IWの中への組織貫通部材440の両側配備を可能にするようにバルーン430の両側に配置されることができる。より多くの薬物を送達することに加えて、両側配備は、貫通部材440の配備中に腸壁IWの両側にカプセル420を固着する働きをし、したがって、(例えば、蠕動収縮により)配備中にカプセルが取り除かれる可能性を低減する。これらの実施形態および関連実施形態において、組織貫通部材440は、必ずしも前進部材480aを使用することなく、プラットフォーム486に直接連結することができる。望ましくは、前進部材480およびプラットフォーム486の両方は、組織の中への貫通部材440の前進を支援する増大した剛性を有するように、架橋および/または共重合することができるPGLA等の生分解性材料から構築される。
【0117】
前進部材480aおよび/またはプラットフォーム468の使用に対する付加的または代替的な実施形態として、組織貫通部材440は、例えば、いったん腸壁の中に配備されると、接着力が組織から貫通部材を撤退させるために必要な力よりも小さい接着剤によって、バルーン430に直接連結されてもよい。これらおよび関連実施形態において、組織貫通部材440はまた、バルーンから外れるときバルーン壁432を破り、したがって、バルーン収縮のための手段を提供するように構成されてもよい。
【0118】
種々の実施形態において、貫通部材440は、同一または異なる薬物4101または他の治療薬剤を携持することができる。前者の構成が、より多くの量の特定の薬物4101の送達を可能にする一方で、後者は、複数の薬物の実質的な同時送達を必要とする薬物治療計画を容易にするために2つ以上の薬物がほぼ同時に腸壁の中へ送達されることを可能にする。
【0119】
種々の実施形態において、薬物および関連薬物投与計画(例えば、用量および1日あたりの回数等)に応じて、組織貫通部材440は、バルーン表面上のいくつかの場所およびパターンで配置し、分配することができる。図23aおよび23bの実施形態について上記で説明されるように、組織貫通部材440は、バルーン膨張が腸壁IWの対面する側に組織貫通部材440を配置することができるように、バルーン表面438の反対側に配置することができる。ここで図24a−24bを参照すると、他の実施形態において、組織貫通部材440は、図24aおよび24bの実施形態に示されるように、バルーン430または他の拡張可能部材430の実質的に全周囲430pの周りに、対称的に、または別様に分布させることができる。使用中、そのような実施形態は、(両側配備について上記で説明されるように)腸壁IWの中へカプセル420を固着するだけでなく、腸壁IWの円周周りの分布パターン440pにおいて組織貫通部材440を配置する。腸壁の中への薬物のそのような分配送達を利用する、本発明の実施形態は、以下を達成することができ、i)付加的な量の特定の薬物が送達されることを可能にする、およびii)腸壁内の薬物のより均等な分配により(例えば、血液中への質量移動および吸収のための、腸血管内でのより大量の組織貫通部材の配置により)、血流中への薬物のより急速な吸収を提供する。
【0120】
本明細書において説明されるように、デバイス510の多くの実施形態は、腸壁の中へ薬物または他の治療薬剤5101を送達するための手段として、薬物携持組織貫通部材540を含む。ここで図25a−25bおよび26を参照すると、腸壁の中へ薬物を送達するための代替的または付加的な手段として、種々の実施形態において、デバイス510はまた、1つ以上の薬物貯留部527に連結される中空組織貫通部材548を用いて、腸壁の中へ薬物5101を注入するように構成することもできる。中空組織貫通部材548は、少なくとも1つの管腔549を含む。貯留部527は、望ましくは、バルーンまたは他の拡張可能部材530の拡張によって圧縮可能であり、したがって、種々の生分解性弾性ポリマーを含むことができる。貯留部527は、液体または粉末形態の薬物または他の治療薬剤5101を含有することができる。液体形態について、薬物は、水性薬液5104の中に溶解させられる。これらの実施形態および関連実施形態において、図25aおよび25bに示されるように、組織貫通部材管腔549を通して腸壁の中へ薬液5104を押し進めるよう、バルーン530の膨張が貯留部527を圧縮するように、貯留部527は、中空組織貫通部材548に流体的に連結される。これらの実施形態および関連実施形態において、開口526は、貫通部材548の先端部544と水平に整列しており、カプセル520の外から腸壁の中への貫通部材548の前進を誘導するように構成されるガイドチューブ526gを含むことができる。2つ、3つ、4つ、またはそれ以上を含む、複数の貯留部527が企図される。特定の実施形態において、2つの貯留部527は、中空組織貫通部材に連結することができ、貯留部は、貫通部材シャフト544に対して約180度離れて配置される。一般的には、貯留部527は、マニホールド590を用いて中空貫通部材548に流体的に連結される。好適なマニホールド590は、貯留部527への接続用のその外側端部593のうちのいずれか一方の上のコネクタ592と、中空組織貫通部材547への接続用の中心コネクタ594と、全てのコネクタまで進む中心管腔またはチャネル595とを有するt字形マニホールド590tを含む(図16)。例えば、Y字形(2つの貯留部を組織貫通部材548に接続する)といった、他の形状およびマニホールド構成も企図される。
【0121】
いくつかの実施形態において、バルーン30または他の拡張可能部材30は、小腸の中のカプセルの存在を検出する、pHセンサ68または他の化学センサ等のセンサ67に応じて、拡張することができる。次いで、センサ67(図1b)は、信号を、隔離弁50の制御可能な実施形態に、または制御可能な隔離弁50に連結された電子コントローラ29cに送信し、本明細書において説明されるようにバルーン30を開き、したがって拡張することができる。pHセンサ68の実施形態は、電極ベースのセンサを備えることができ、または小腸の中の選択されたpHまたは他の化学条件への暴露時に収縮または拡張する、ポリマー等の機械的ベースのセンサとなり得る。関連実施形態において、拡張可能/収縮可能センサ67はまた、センサの拡張または収縮からの機械的運動を使用することによって、作動機構60自体を備えることもできる。
【0122】
ここで図27a−27bおよび28a−28bを参照すると、関連実施形態において、拡張可能/収縮可能pHセンサ668はまた、バルーン区画634および635の間のチャネルを開くよう、拡張または収縮するようにセンサを構成することによって、隔離弁650自体を備えることもできる。そのようなアプローチのための一実施形態によれば、pHセンサ668は、カラー弁655に組み込まれてもよく、センサ668は、バルーン630の接続部分636を覆って配置されるカラー655cの全体または一部分を備える(図27aおよび27b)。この実施形態において、センサ668は、カラーを外すか、または区画634および635の内容物が混合することを可能にするほどカラー655cを有意に緩めるよう、小腸の中のpH条件(例えば、6.0、6.5、7.0、7.1、7.2等を上回るph)への暴露時に拡張するように構成される拡張可能センサ668eとなる。図28aおよび28bに示される別の実施形態によれば、pHセンサ668は、本明細書において説明される梁弁658に組み込むことができ、梁は、カプセル内面624に対してスナップ嵌合されることによって圧縮荷重を受ける。梁は、区画634および635の間の密閉を維持するよう、この圧縮荷重の一部分をバルーン接続セクション636上に印加する。この場合、センサ668は、腸の中のより高いpHへの暴露時に収縮することによって弁650を開くように構成される収縮可能センサ668cとなり、それにより、梁は、カプセル表面624に当接する位置から抜けるように十分短縮するか、またはそうでなければバルーン接続セクション636を覆う密閉を維持するのに十分な圧縮荷重をもはや印加しない。
【0123】
デバイスが小腸(または消化管の中の他の場所)の中にある時を検出するための別の実施形態によれば、センサ67は、腸管の中の特定の場所内でカプセル20が受けている蠕動収縮の数を検出するためのひずみゲージ等の圧力/力センサを備えることができる(そのような実施形態において、カプセル20は、望ましくは、蠕動収縮中に小腸によって把持されるようにサイズ設定される)。消化管内の異なる場所が、異なる数の蠕動収縮を有する。小腸は、毎分12と9回との間の収縮を有し、頻度は腸の全長の下方において減少する。したがって、1つ以上の実施形態によれば、蠕動収縮の数の検出は、カプセル20が小腸の中にあるかどうかだけでなく、腸内の相対的な場所も決定するために使用することができる。使用中に、これらの実施形態および関連実施形態は、小腸の中の特定の場所での薬品100の放出を可能にする。
【0124】
(例えば、解放要素および/またはセンサを使用した)内部で起動された薬物送達の代替案または補足として、いくつかの実施形態において、ユーザは、バルーン30または他の拡張可能部材30を拡張するように信号を外部から送信して、RF、磁気、または当技術分野で公知の他の無線信号伝達手段を用いて、作動機構60を起動して薬品100を送達してもよい。図1bを参照することによるものを含む、種々の実施形態において、外部起動は、制御可能な隔離弁50、例えば、無線周波数(RF)制御小型ソレノイド弁、または他の電気機械制御弁(図示せず)の使用によって達成することができる。他の実施形態において、制御可能な隔離弁50は、磁気的に制御された小型リードスイッチ(図示せず)等の小型磁気弁に対応してもよい。そのような電気機械または磁気ベースの弁は、MEMSおよび他のマイクロ製造方法を使用して製造することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、ユーザは、デバイス10からの受信信号17を送信するように、図1bの実施形態に示されるように、手持ち式通信デバイス13(例えば、携帯電話等の手持ち式RFデバイス)を使用することができる。そのような実施形態において、嚥下可能デバイスは、RF送受信機チップまたは他の類似通信デバイス/回路等の伝送機28を含んでもよい。手持ち式デバイス13は、信号伝達手段だけでなく、デバイス10が小腸の中または消化管の中の他の場所にある時をユーザに知らせるための手段も含んでもよい。後者の実施形態は、(例えば、センサからの入力を信号伝達することによって)デバイスが小腸の中または消化管の中の他の場所にある時を検出し、ユーザに信号伝達するように、伝送機28に連結される論理資源29(例えば、プロセッサ29)の使用を介して実装することができる。論理資源29は、過程の1つ以上の側面を制御するように(ハードウェアまたはソフトウェアのいずれか一方で)コントローラ29cを含んでもよい。同じ手持ち式デバイスはまた、バルーン30または作動機構60が(それぞれ)拡張または起動され、(例えば、プロセッサ29および伝送機28を使用して)選択された薬品100が送達された時をユーザに警告するように構成することもできる。このようにして、ユーザは、薬品100が送達されたという確認を提供される。これは、ユーザが他の適切な薬物/治療薬剤を服用し、ならびに他の関連決定を行う(例えば、糖尿病患者が食事を食べるか、または食べないこと、およびどのような食物を食べるべきか)ことを可能にする。手持ち式デバイスはまた、信号を嚥下可能デバイス10に送信して隔離弁50または作動機構60を無効にし、よって、薬品100の送達を防止するか、遅延するか、または加速するように構成することもできる。使用中のそのような実施形態は、他の症状および/または患者動作(例えば、食事を食べるか、眠りに就くことを決定するか、運動等)に基づいて、ユーザが薬品の送達を防止するか、遅延するか、または加速するように介入することを可能にする。ユーザはまた、カプセルを嚥下した後の選択された期間でバルーン30を外部から拡張するか、または作動機構60を起動してもよい。期間は、食物がユーザの消化管を通って小腸等の管の中の特定の場所まで移動するための一般的な輸送時間または輸送時間の範囲に相関することができる。
【0125】
ここで図29a−29bおよび30を参照すると、種々の実施形態において、カプセル720は、例えば、図11、29a、および29bの実施形態に示されるように、制御可能に分解して選択可能なサイズおよび形状のカプセル断片723を生じさせ、消化管を通る通過を促進する生分解性材料の継ぎ目722を含むことができる。継ぎ目722はまた、図10の実施形態に示されるように、生分解を加速するために、継ぎ目の中への流体の進入のための細孔または他の開口部722pを含むこともできる。継ぎ目722の生分解を加速するための他の手段は、継ぎ目に圧縮応力を与えること、および/または継ぎ目に穿孔722fを含むことを含むことができる(図10)。なおも他の実施形態において、継ぎ目722は、超音波エネルギー、例えば、高周波数超音波(HIFU)の吸収によって容易に分解される、材料で構築すること、および/または構造を有することができ、その結果、外部から、または内視鏡(あるいは他の低侵襲方法)によって投与された超音波を使用して、カプセルがより小さい断片に分解されることが可能になる。
【0126】
ここで29a−29bおよび30を参照すると、多くの実施形態において、継ぎ目722はまた、バルーン730または他の拡張可能部材730の膨張によって、カプセル720がより小さい断片に分解されることを可能にするよう、構成および配設することもできる。特定の実施形態において、継ぎ目722は、その周囲に沿ってカプセルを半分または他の微小な断片に分解させるよう、放射状パターン722rpを有することを含みつつ、カプセルの半径方向周囲721に対して配向されることができる。継ぎ目722はまた、カプセルを縦方向の断片に分解させるよう、カプセルの側方アクセス7201aに対して縦方向に配向されてもよい。
【0127】
バルーン膨張(または他の拡張可能部材730の拡張)によってカプセル720を解体するための代替的または付加的なアプローチとして、カプセル720は、図30の実施形態に示されるように、継ぎ目722(接着接合部として機能する)によって形成される接合部722jにおいて接合される2つ以上の別個の接合可能な断片723j(例えば、半径方向の半分)から製造することができる。代替として、接合可能な断片723jは、スナップまたは圧入などの機械的嵌合によって接合されるだけであってもよい。
【0128】
継ぎ目722に対する好適な材料は、PGLA、グリコール酸等の本明細書において説明される1つ以上の生分解性材料を含むことができる。継ぎ目722は、成形、熱溶解接合等のポリマー技術分野で公知である種々の接合方法を使用して、カプセル本体720に取り付けることができる。加えて、同様に生分解性材料から製造されるカプセル720の実施形態について、継ぎ目722のより高速の生分解は、i)より高速で分解する材料から継ぎ目を製造すること、ii)継ぎ目に圧縮応力を与えること、またはiii)継ぎ目を穿孔することのうちの1つ以上によって達成することができる。消化管の中で嚥下可能デバイスの制御された分解を生じるために生分解性継ぎ目722を使用することの概念はまた、消化管を通した通過を促進し、デバイスが消化管の中に閉じ込められる可能性を低減するように、嚥下可能カメラ(または他の嚥下可能撮像デバイス)等の他の嚥下可能デバイスに適用することもできる。したがって、生分解性継ぎ目722の実施形態は、嚥下可能撮像および他の嚥下可能デバイスのために適合することができる。
【0129】
なおも他の実施形態において、継ぎ目722は、外部から、または内視鏡で(あるいは他の低侵襲方法)投与された超音波を使用して、カプセルがより小さい断片に分解されることを可能にする、超音波エネルギー、例えば、高周波数超音波(HIFU)の吸収によって容易に分解される、材料で構築することができ、および/または構造を有することができる。
【0130】
本発明の別の側面は、嚥下可能薬物送達デバイス10の1つ以上の実施形態を使用して、消化管の壁の中へ(薬品100の形態で)薬物および他の治療薬剤を送達するための方法を提供する。ここで、そのような方法の例示的実施形態を説明する。薬物送達の説明された実施形態は、小腸SIの中において生じる。しかしながら、これは例示的であり、本発明の実施形態は、胃および大腸を含む消化管の中のいくつかの場所で薬物を送達するために使用できることを理解されたい。論議を容易にするために、嚥下可能薬物送達デバイス10は、本明細書ではカプセルと呼ばれることもある。上記で説明されるように、種々の実施形態において、デバイス10は、デバイス10および一式の使用説明書15を含む密閉包装12の中にキット11として包装されてもよい。患者が手持ち式デバイス13を使用している場合、患者は、手動で、あるいは説明書15または包装12上に位置するバーコード18(または他の識別指標18)を介して、デバイス13にデータを入力するように命令されてもよい。バーコードが使用される場合、患者は、デバイス13上のバーコードリーダ19を使用してバーコードを走査する。包装12を開き、説明書15を読んで必要データを入力した後、患者は、嚥下可能薬物送達デバイス10の実施形態を嚥下する。薬物に応じて、患者は、食事(食前、食中、または食後)または血糖測定等の生理学的測定と併せて、デバイス10を服用してもよい。カプセル20は、消化管を通過するようにサイズ設定され、図11の実施形態に示されるように、蠕動活動を介して患者の胃Sを通って小腸SIの中へ進む。いったんカプセル10が小腸の中に入ると、解放要素70は、本発明の1つ以上の実施形態に従って、バルーン30または他の拡張可能部材30を拡張し、作動機構60を作動させ、小腸SIの壁の中へ薬品100を送達するよう、小腸の中の基本pH(あるいは小腸に特有の他の化学または物理的条件)によって分解される。中空針または他の中空組織貫通部材40を含む実施形態について、薬品送達は、腸壁ISの粘膜の中へ選択された距離で針40を前進させるために、作動機構60のバルーン30を使用することによって達成され、次いで、薬品は、送達部材50の前進によって針管腔を通して注入される。送達部材50は、引き抜かれ、次いで、針40は、(例えば、反動によって)カプセルの本体の中に後退させられ、腸壁から外れる。複数の針を有するデバイス10の実施形態について、第2または第3の針42、43も、付加的な用量の同じ薬物または別個の薬物101を送達するために使用することができる。針の前進は、実質的に同時に、または連続的に行うことができる。複数の針を使用する好ましい実施形態において、針の前進は、薬物送達中に小腸の中でデバイス10を固着するよう、実質的に同時に行うことができる。
【0131】
薬品送達後、次いで、デバイス10は、大腸LIを含む腸管を通過し、最終的に排出される。破裂可能カプセルを有する実施形態について、カプセルは、バルーン30の膨張によって、より小さい断片に即時に分解されてもよい。生分解性継ぎ目22または他の生分解性部分を有するカプセル20の実施形態について、カプセルは、図9aおよび9bの実施形態に示されるように、腸管を通した通過および腸管からの排出を促進するように、腸管の中でより小さい断片に分解される。生分解性組織貫通針/部材40を有する特定の実施形態において、針が腸壁の中に閉じ込められた場合、針は生分解して壁からカプセル20を解放する。
【0132】
センサ67を含むデバイス10の実施形態は、隔離弁50または作動機構60、および/または隔離弁50または作動機構60に連結されたプロセッサ29/コントローラ29cの制御された実施形態に信号を送信するセンサによって、達成することができる。外部作動能力を含むデバイス10の実施形態については、ユーザは、カプセルを嚥下した後の選択した期間で、バルーン30を外部から拡張するか、または作動機構60を起動してもよい。期間は、食物がユーザの消化管を通って小腸等の管の中の特定の場所まで移動するための一般的な輸送時間または輸送時間の範囲に相関することができる。
【0133】
上記の方法の1つ以上の実施形態は、種々の疾患および症状を治療するように治療有効量の種々の薬物および他の治療薬剤101を含有する、100の送達に使用することができる。これらは、胃および/または小腸の管腔の中の消化液による化合物の化学分解または他の分解により、そうでなければ注射および/または静脈内注入を必要とする、いくつかの巨大分子ペプチドおよびタンパク質を含む。本発明の種々の実施形態を用いて送達することができる、そのような化合物は、無制限に、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、インスリン化合物、抗体および他のガンマグロブリンタンパク質(例えば、ガンマグロブリン)、インターフェロンおよび他のサイトカイン、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1、エクセナチド)および他のインクレチン、化学療法薬(ドキソルビシン)および他の類似化合物を含むことができる。本発明の実施形態は、これらおよび他の化合物が小腸の壁の中へ送達され、後に、化合物の活性の損失を最小限に伴って、または全く伴わずに、血流中に吸収されることを可能にし、例えば、抗体の場合、標的抗原への親和性および/または特異性の損失が最小限であるか、または全くなく、インターフェロンまたはサイトカインの場合、免疫刺激作用の損失が最小限であるか、または全くなく、インスリンまたはGLP−1の場合、グルコース調節能力の損失が最小限であるか、または全くなく、成長ホルモンの場合、成長刺激効果の損失が最小限であるか、または全くなく、癌の治療のための化学療法薬の場合、癌治療効果(例えば、腫瘍壊死および/または低減した細胞分裂)の損失が最小限であるか、または全くなく、ポリペプチドの場合、標的結合部位への親和性および/または特異性の損失が最小限であるか、または全くない。本発明の実施形態によって送達することができる好適な薬物および他の治療薬剤は、任意の数の経口送達薬物、抗生物質(バンコマイシン、ペニシリン、エリスロマイシン等)、抗ウイルス剤(プロテアーゼ抑制剤、抗発作化合物(フロセミド、ダイラチン)、イブプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS))、種々の化学療法薬(例えば、インターフェロン)、抗生物質、抗ウイルス剤、インスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1、エクセナチド)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、抗発作薬(例えば、フロセミド)、抗偏頭痛薬(スマトリプタン)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)、および種々の抗マラリア剤等の駆虫剤を含む。特定の薬物の投与量は、患者の体重、年齢、または他のパラメータについて滴定することができる。本発明の実施形態はまた、薬物および他の治療薬剤101の投与量が、他の要因にも合わせて有利に調整されることも可能にする。例えば、そうでなければ消化管の中で部分的に分解されるか、または吸収されにくい薬物について、所望または治療効果を達成するための薬物101の量または用量(例えば、血糖調節のためのインスリン、または抗発作のためのフロセミド)は、薬物が従来の経口送達(例えば、胃の中で消化され、小腸の壁を通して吸収される嚥下可能錠剤)によって送達された場合に必要とされる量よりも少なくなり得る。これは、胃の中の酸および他の消化液による薬物の分解がほとんどないか、または全くないという事実、および薬物の一部分のみとは対照的に全てが小腸(または腸管の他の管腔、例えば、大腸、胃等)の壁の中に送達されるという事実によるものである。薬物101に応じて、調整物100の中で送達される用量102は、所望の治療効果(例えば、血糖調節、発作調節等)を達成するように従来の経口送達手段(例えば、処方錠剤)によって送達される用量の100から5%の範囲内となり得て、さらに少ない量が企図される。特定の用量削減は、特定の薬物、治療される症状、ならびに患者の体重、年齢、および症状に基づいて滴定することができる。いくつかの薬物(腸管の中の分解のレベルが知られている)には、標準用量削減を採用することができる(例えば、10〜20%)。より大量の用量削減を、より消化管の中で分解され、吸収されにくい薬物に使用することができる。このようにして、摂取用量が低下され、薬物の全体またはほぼ全体が小腸の壁の中へ送達されるため、デバイス10によって送達される1つまたは複数の特定の薬物の潜在的毒性(特に非標的組織部位に対する)および他の有害な副作用を低減することができる。これは次に、患者には有害作用の重症度および発生率の両方において低減があるため、患者コンプライアンスを向上させる。実施形態の付加的な便益は、患者が薬物への耐性を発達させ(より高い用量を必要とする)、抗生物質または抗ウイルス剤の場合には、患者が耐性細菌またはウイルス株(例えば、細菌によるンコマイシンの使用への耐性、またはAIDSウイルスによるプロテアーゼ抑制剤への耐性)を発達させる可能性の低減を含む、薬物101の用量削減を採用する。癌の治療のための化学療法薬の場合について、有害作用は、がん細胞による化学療法薬への耐性ならびに非標的組織への毒性の発達を含むことができる。ダイラチン等の抗発作薬の場合について、有害作用は、振戦、眼振、不明瞭な発語、めまい、記憶および集中力の欠如等の種々の神経筋症状、ならびに発疹および骨量の減少等の症状を含むことができる。フロセミド等の抗発作薬および/または利尿薬について、そのような有害作用は、めまい、低血圧、脱水、吐き気、電解質の損失、耳鳴り、および発疹等の種々の神経筋、血管、胃腸作用を含むことができる。また、他のレベルの用量削減を、胃バイパス手術、および小腸の区画が除去された、またはその作業(例えば、消化)長さが別様に効果的に短縮された、他の手技を受けた患者に達成することができる。これらの実施形態および関連実施形態において、用量削減のレベルは、25から50%またはそれ以上の範囲内で達成することができ、患者は、不良な吸収の問題による複数の用量に対比して、薬物の1回用量のみを服用する必要がある。なおも他の実施形態において、薬物または他の治療薬剤が小腸の壁の中へ直接注入されるので胃腸系の中の種々の有害作用(例えば、けいれん、出血等)が回避されるため、特定の経口送達薬物101の用量を増加させることができる。この増加した投与量は次に、より少ない用量、より高速の治療、血流中の薬物の治療効果的レベルのより高速の取得、血中濃度および他の薬物動態パラメータのより良好な制御のうちの1つ以上を可能にする。種々の実施形態において、特定の薬物の投与量は、5〜100%またはそれより高い範囲内で増加させることができる。増加の量は再度、患者の体重、年齢、症状、および薬物への個別耐性(例えば、耐性および/または毒性の種々のバイオマーカを使用することによって決定することができる)に基づいて滴定することができる。
【0134】
単一の薬物の送達に加えて、嚥下可能薬物送達デバイス10およびそれらの使用方法の実施形態は、複数の症状の治療のため、または特定の症状の治療のための複数の薬物(例えば、HIV AIDSの治療のためのプロテアーゼ抑制剤)を送達するために使用することができる。使用中に、そのような実施形態は、患者が1つまたは複数の特定の症状のために複数の薬品を服用しなければならない必要性をなくすことを可能にする。また、それらは、2つ以上の薬物の投与計画が送達され、小腸、したがってほぼ同時に血流に吸収されることを促進するための手段を提供する。化学組成、分子量等の違いにより、薬物は、異なる速度で腸壁を通して吸収することができ、異なる薬物動態分布曲線をもたらす。本発明の実施形態は、ほぼ同時に所望の薬物混合物を注入することによって、この問題に対処する。これは次に、薬物動態、したがって、薬物の選択された混合物の有効性を向上させる。加えて、複数の薬物を服用する必要性を排除することは、低下した認識または身体能力を有する患者を含む、1つ以上の長期慢性症状を有する患者にとって特に有益である。
【0135】
種々のアプローチでは、上記の方法の実施形態は、薬物および治療薬剤101を含む調整物100を送達して、いくつかの病状および疾患の治療を提供するために使用することができる。本発明の実施形態を用いて治療することができる病状および疾患は、無制限に、癌、ホルモン症状(例えば、甲状腺機能低下/亢進症、成長ホルモン症状)、骨粗鬆症、高血圧、高コレステロールおよびトリグリセリド、糖尿病および他のグルコース調節疾患、感染症(局所または敗血症)、てんかんおよび他の発作疾患、骨粗鬆症、冠動脈不整脈(心房および心室の両方)、冠動脈虚血貧血、または他の類似症状を含むことができる。なおも他の症状および疾患も企図される。
【0136】
多くの実施形態において、薬物または他の治療薬剤を注射する(または坐薬等の他の非経口形態の送達)必要がないが、代わりに、小腸または消化管の他の部分の壁の中へ送達される治療薬剤のみに依存して、特定の疾患または症状の治療を行うことができる。例えば、糖尿病または別のグルコース調節疾患は、患者がインスリンを注射する必要さえなく、小腸の壁の中へ送達されるインスリンの使用のみを通して、(例えば、血糖レベルを制御することによって)治療することができる。同様に、患者は、従来の経口形態の薬物または他の治療薬剤を服用する必要がないが、再度、嚥下可能カプセルの実施形態を使用した小腸の壁の中への送達のみに依存する。他の実施形態において、小腸の壁の中へ送達される治療薬剤は、薬物の注入用量と併せて送達することができる。例えば、患者は、嚥下可能カプセルの実施形態を使用して、血糖調節のためのインスリンまたは化合物の日用量を服用してもよいが、数日ごとに、または患者の症状がそれを必要とする時に(例えば、高血糖)、注入用量を服用する必要しかない。同じことが、従来は経口形態で送達される治療薬剤にも当てはまる(例えば、患者は、嚥下可能カプセルを服用し、必要に応じて従来の経口形態の薬物を服用することができる)。そのような実施形態で送達される投与量(例えば、嚥下および注入用量)は、必要に応じて滴定することができる(例えば、標準用量反応曲線を使用し、かつ適切な投与量を決定するために他の薬物動態方法を使用することができる)。また、従来の経口手段によって送達することができる治療薬剤を使用する実施形態について、胃または腸管の他の部分内で薬物の分解がほとんどないか、または全くないため、嚥下可能カプセルの実施形態を使用して送達される用量は、薬物の経口送達のために通常与えられる投与量以下に滴定することができる(ここでは再度、標準用量反応曲線および他の薬物動態方法を適用することができる)。
【0137】
ここで投与量を参照して、種々の疾患および症状の治療のための1つ以上の薬物または他の治療薬剤101を含有する調整物100の実施形態の種々のグループを説明する。特定の治療薬剤およびそれぞれの投与量を含む、これらの実施形態は、例示的であり、調整物100は、デバイス10の種々の実施形態を使用して腸管の管腔壁(例えば、小腸壁)の中へ送達するために構成される、本明細書において説明されるいくつかの他の治療薬剤(ならびに当技術分野で公知であるもの)を含むことができると理解されたい。投与量は、説明されるものよりも大きく、または小さくなり得て、本明細書において説明される、または当技術分野で公知である1つ以上の方法を使用して調整することができる。実施形態の1つのグループでは、治療薬剤調整物100は、糖尿病および他のグルコース調節疾患の治療のための治療有効用量のインスリンを含むことができる。インスリンは、当技術分野で公知であるように、ヒト由来または合成由来となり得る。一実施形態において、調整物100は、2−4、3−9、4−9、5−8、または6−7の特定の範囲を伴って、約1−10単位(1単位は純結晶インスリンの約45.5μgの生物当量である)の範囲内で、治療有効量のインスリンを含有することができる。調整物の中のインスリンの量は、i)患者の症状(例えば、1型対2型糖尿病)、ii)患者の血糖コントロールの以前の全体的レベル、iii)患者の体重、iv)患者の年齢、v)投与量の頻度(例えば、1日1回対複数回)、vi)時刻(例えば、朝対夜)、vii)特定の食事(朝食対夕食)、viii)特定の食事の内容/血糖インデックス(例えば、高い脂肪/脂質および糖含量を有する食事(血糖の急速な上昇を引き起こし、したがって、より高い血糖インデックスを有する経口がある)対急速な上昇を引き起こさない(したがって、より低い血糖インデックスを有する)低脂肪および糖含量、およびix)患者の全体的な食事の内容(例えば、毎日消費される糖および他の炭水化物、脂質およびタンパク質の量)といった、要因(本明細書では「グルコース制御滴定要因」)のうちの1つ以上に基づいて滴定することができる。
【0138】
実施形態の別のグループでは、治療薬剤調整物100は、糖尿病および他のグルコース調節疾患の治療のための治療有効用量の1つ以上のインクレチンを含むことができる。そのようなインクレチンは、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびそれらの類自体、ならびに胃抑制ペプチド(GIP)を含む事ができる。好適なGLP−1類自体は、エクセナチド、リラグルチド、アルビグルチド、およびタスポグルチド、ならびにそれらの類自体、誘導体、および他の機能的同等物を含む。一実施形態において、調整物100は、それぞれ、2−4、4−6、4−8、および8−10μgの特定の範囲を伴って、約1−10μgの範囲内で治療有効量のエクセナチドを含有することができる。別の実施形態において、調整物100は、それぞれ、1.0から1.4、1.2から1.6、および1.2から1.8mgの特定の範囲を伴って、約1−2mg(ミリグラム)の範囲内で治療有効量のリラグルチドを含有することができる。グルコース制御滴定要因のうちの1つ以上は、エクセナチド、リラグルチド、または他のGLP−1類自体、あるいはインクレチンの用量範囲を滴定するように適用することができる。
【0139】
実施形態のさらに別のグループでは、治療薬剤調整物100は、糖尿病および他のグルコース調節疾患の治療のための治療薬剤の組み合わせを含むことができる。そのような組み合わせの実施形態は、治療有効用量のインクレチンおよびビグアナイド化合物を含むことができる。インクレチンは、エクセナチド等の本明細書において説明される1つ以上のGLP−1類自体を含むことができ、ビグアナイドは、メトホルミン(例えば、Merck Santoe S.A.S.製のGLUCOPHAGE(登録商標)という商標の下で入手可能であるもの)、およびその類自体、誘導体、および他の機能的同等物を含むことができる。一実施形態において、調整物100は、約1−10μgの範囲内の治療有効量のエクセナチドおよび約1−3グラムの範囲内の治療有効量のメトホルミンの組み合わせを含むことができる。より小さい範囲およびより大きい範囲も企図され、グルコース制御滴定要因のうちの1つ以上は、エクセナチド(または他のインクレチン)およびメトホルミンまたは他のビグアナイドのそれぞれの用量を滴定するために使用される。加えて、エクセナチドまたは他のインクレチンおよびメトホルミンまたは他のビグアナイドの投与量は、数時間(例えば、12)から1日から複数日に及ぶ長期間にわたって、患者のグルコース制御のレベル(例えば、正常な生理学的レベル内の血糖の維持、および/または高血糖および/または低血糖の事例の発生率および重症度の低減)を向上させるように適合させることができ、より長い期間が企図される。投与量の適合はまた、グルコース制御調節要因の使用、ならびにグリコシル化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c、HbA1c、A1C、またはHb1cとして知られている)および長期平均血糖レベルに相関する他の被分析物および測定値を使用した長期間にわたる患者の血糖レベルの監視によって、達成することもできる。
【0140】
実施形態のなおもさらに別のグループでは、治療薬剤調整物100は、いつ以上の成長異常の治療ならびに創傷治癒のための治療有効用量の成長ホルモンを含むことができる。一実施形態において、調整物100は、0.1−1、1−4、1−2、および2−4の特定の範囲を伴って、約0.1−4mgの範囲内で治療有効量の成長ホルモンを含有することができ、なおもさらに大きい範囲が企図される。特定の用量は、i)治療される特定の症状およびその重症度(例えば、妨げられた成長対創傷治癒)、ii)患者の体重、iii)患者の年齢、およびiv)投与量の頻度(例えば、毎日対1日1回)のうちの1つ以上に基づいて滴定することができる。
【0141】
実施形態のなおもさらに別のグループでは、治療薬剤調整物100は、骨粗鬆症または甲状腺疾患の治療のための治療有効用量の副甲状腺ホルモンを含むことができる。一実施形態において、調整物100は、10−20、20−30、30−40、および10−40μgの特定の範囲を伴って、約1−40μgの範囲内の治療有効量の副甲状腺ホルモンを含有することができ、なおもさらに大きい範囲が企図される。特定の用量は、i)治療される特定の症状およびその重症度(例えば、骨密度測定によって決定されるような骨粗鬆症の程度)、ii)患者の体重、iii)患者の年齢、およびiv)投与量の頻度(例えば、毎日対1日1回)のうちの1つ以上に基づいて滴定することができる。
【0142】
本発明の種々の実施形態の先述の説明は、例証および説明の目的で提示されている。それは、本発明を開示される正確な形態に限定することを目的としていない。多くの修正、変化例、および改良が、当業者に明白となるであろう。例えば、デバイスの実施形態は、種々の小児および新生児用途、ならびに種々の獣医学用途のためにサイズ設定し、および別様に適合することができる。また、当業者であれば、日常的な実験のみを使用して、本明細書において説明される具体的なデバイスおよび方法の多数の同等物を認識するか、または解明することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内であると見なされ、以下の添付の請求項の対象である。
【0143】
一実施形態からの要素、特性、または行為は、本発明の範囲内の多数の付加的な実施形態を形成するように、他の実施形態からの1つ以上の要素、特性、または好意と容易に再結合または置換することができる。また、他の要素と組み合わせられるものとして示される、または説明される要素は、種々の実施形態において、独立型要素として存在することができる。よって、本発明の範囲は、説明された実施形態の仕様に限定されないが、代わりに添付の請求項のみによって限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の消化管の管腔の中へ嚥下するために好適な摂取可能デバイスであって、該管腔は管腔壁を有し、該デバイスは、
腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルと、
該カプセルの中に配置可能な治療薬剤調整物であって、該調整物は、少なくとも1つの治療薬剤を備え、該治療薬剤調整物は、該消化管の該管腔内で放出された場合、化学的に分解するか、または該患者に有害作用を及ぼす、調整物と、
該治療薬剤調整物に連結され、および第1の構成と第2の構成とを有するアクチュエータであって、該調整物は、該アクチュエータが該第1の構成にあるときに該カプセル内に保持され、該調整物は、該第1の構成から該第2の構成までの該アクチュエータの運動によって、該カプセルから該管腔壁の中へ前進させられ、それにより、該管腔の中での該治療薬剤の該有害作用または化学分解が抑制される、アクチュエータと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記治療薬剤の治療用量は、前記カプセルの中に含まれ、前記アクチュエータは、前記有害作用を最小化するために、該治療薬剤の該治療用量の実質的に全てを前記管腔壁の中に前進させるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記消化管の中の選択されたpHへの暴露時に分解するように構成される材料を備える解放要素を含み、それにより、前記調整物は、分解時に、前記管腔壁の中へ前進させられる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記選択されたpHは、約7.4よりも大きい、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータは、バネを備え、前記解放要素は、該バネを圧縮状態に保持し、該解放要素の分解時に該バネを解放するように該バネに連結される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータは、第1の運動変換器および第2の運動変換器を含む作動機構と、前記治療薬剤調整物が配置される管腔を有する組織貫通部材と、送達部材と、トラック部材とを備え、該第1の運動変換器は、前記バネの運動を変換して、該組織貫通部材を前記管腔壁の中に前進させ、および該管腔壁から外に撤退させるように構成され、該第2の運動変換器は、該バネの運動を変換して、該送達部材を該組織貫通部材の管腔の中へ前進させ、それにより、該組織貫通部材の管腔から該管腔壁の中へ治療薬剤調整物を前進させるように構成され、該第1および第2の運動変換器は、該トラック部材に沿って進む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記組織貫通部材は、生分解性材料を備え、該生分解性材料は、分解して胃腸壁から該組織貫通部材を解放するように構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記組織貫通部材は、針を備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記送達部材は、プランジャを備える、請求項6に記載のデバイス。
【請求項10】
前記治療薬剤調整物は、固体、ペレット、粉末、または液体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記治療薬剤調整物は、前記管腔壁の中へ前進可能である組織貫通部材を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記治療薬剤調整物は、少なくとも第1の治療薬剤および第2の治療薬剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記治療薬剤調整物は、糖尿病またはグルコース調節疾患の治療のための治療有効用量のインスリンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記治療薬剤調整物は、糖尿病またはグルコース調節疾患の治療のための治療有効用量のインクレチンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記インクレチンは、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、GLP−1類自体、エクセナチド、リラグルチド、アルビグルチド、タスポグルチド、または胃抑制ポリペプチド(GIP)を含む、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記治療薬剤調整物は、糖尿病またはグルコース調節疾患の治療のための治療薬剤の組み合わせを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記組み合わせは、治療有効用量のインクレチンおよび治療有効用量のビグアナイドを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記インクレチンは、エクセナチドを含み、前記ビグアナイドは、メトホルミンを含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記インクレチンおよび前記ビグアナイドの投与量は、長期間にわたって向上したレベルの血糖制御を生じるように適合させられる、請求項17に記載のデバイス。
【請求項20】
前記治療薬剤調整物は、治療有効用量の成長ホルモンを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記治療薬剤調整物は、骨粗鬆症または甲状腺疾患の治療のための治療有効用量の副甲状腺ホルモンを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記治療薬剤調整物は、癌の治療のための治療有効用量の化学療法薬剤を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記治療薬剤調整物は、治療有効用量の抗生物質を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記治療薬剤調整物は、治療有効用量の抗ウイルス性化合物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記抗ウイルス性化合物は、プロテアーゼ抑制剤を含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記治療薬剤調整物は、治療有効用量の抗発作化合物を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項27】
前記抗発作化合物は、フロセミドを含む、請求項26に記載のデバイス。
【請求項28】
患者の小腸の壁の中に治療薬剤を送達するための方法であって、該方法は、
治療薬剤と、解放要素と、組織貫通部材とを備える薬物送達デバイスを嚥下することであって、該治療薬剤は、消化管の管腔内において放出された場合、化学的に分解するか、または該患者に有害作用を及ぼす、ことと、
該小腸の中の条件に応じて、該小腸の中において該解放要素を解放することと、
該管腔の中での該治療薬剤の該有害作用または化学分解が抑制されるように、該組織貫通部材を使用して該小腸の壁の中へ該治療薬剤を送達することと
を含む、方法。
【請求項29】
前記カプセルの中の前記治療薬剤の用量は、前記消化管の中の該治療薬剤の化学分解および/または吸収不足を補う量を含まない、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療薬剤の前記用量は、標準経口投与量と比較して、約10から50パーセントまでの間の量に低減される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記患者は、小腸の短縮されたセクションを有し、前記カプセルの中の前記治療薬剤の用量は、該小腸の中における該治療薬剤の吸収不足を補う部分を含まない、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記有害作用は、胃けいれん、下痢、過敏性腸、または前記消化管内の出血のうちの1つを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記有害作用は、非標的組織への毒性作用を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記治療薬剤は、癌の治療のための化学療法薬剤を含み、前記有害作用は、非標的組織への毒性作用または前記患者体内の癌組織による該治療薬剤に対する耐性の進行のうちの少なくとも1つを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記治療薬剤は、抗生物質を含み、前記有害作用は、該抗生物質に対する菌耐性の進行を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記治療薬剤は、抗ウイルス薬剤を含み、前記有害作用は、該抗ウイルス薬剤に対するウイルス耐性の進行を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記治療薬剤は、抗発作化合物を含み、前記有害作用は、神経筋、心臓、または胃腸作用を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記治療薬剤は、フロセミドを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解される抗体を含み、該薬剤は、標的抗原部位への結合能または特異性において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解されるポリペプチドを含み、該薬剤は、標的結合部位への結合能または特異性において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解されるサイトカインまたはインターフェロンを含み、該薬剤は、免疫刺激能力において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解される成長ホルモンを含み、該薬剤は、成長刺激効果において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解される、癌の治療のための化学療法薬剤を含み、該薬剤は、癌治療効果において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項44】
前記治療薬剤は、前記消化管の中で化学的に分解されるグルコース調節薬剤を含み、該薬剤は、グルコース調節能力において最小の損失を伴って、または損失を全く伴わずに前記小腸の壁の中へ送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記グルコース調節薬剤は、インスリン化合物を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
前記グルコース調節薬剤は、インクレチン化合物、GLP−1化合物、またはエクセナチドを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
前記小腸の中の前記条件は、約7.1以上のpHである、請求項28に記載の方法。
【請求項48】
前記解放要素は、前記小腸の中の化学条件に応じて分解する、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記条件は、選択されたpHである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記解放要素は、腸溶性材料を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
第1の治療薬剤および第2の治療薬剤を送達することをさらに含み、
該第1の治療薬剤は、第1の組織貫通部材を使用して送達され、該第2の治療薬剤は、第2の組織貫通部材を使用して送達される、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
腸壁の中へ薬物を送達するための嚥下可能デバイスであって、該デバイスは、
腸管を通過するようにサイズ設定されたカプセルと、
該カプセルの中に設置され、該薬物を含有するように構成される組織貫通部材であって、該組織貫通部材は、該腸壁を貫通するための組織貫通端部を有する、組織貫通部材と、
該組織貫通部材から組織の中へ該薬物を送達するための送達部材と、
該組織貫通部材または該送達部材のうちの少なくとも1つに連結される作動機構であって、該作動機構は、該腸壁の中へ該組織貫通部材を前進させ、および該送達部材を前進させて、該薬物を送達するように構成される、作動機構と、
該作動機構に動作可能に連結される解放要素であって、該解放要素は、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解するように構成される材料を含み、それにより、分解時に、該解放要素は、該組織貫通部材を解放し、および前進可能部材を前進させて、該腸壁の中へ該薬物を送達するように作動させられる、解放要素と
を備える、デバイス。
【請求項53】
前記カプセルは、少なくとも1つのガイドチューブを含み、前記組織貫通部材は、該少なくとも1つのガイドチューブの中に設置される、請求項52に記載のデバイス。
【請求項54】
前記組織貫通部材は、前記薬物を担持するための管腔を有し、前記送達部材の少なくとも一部分は、該組織貫通部材の管腔内で前進可能である、請求項52に記載のデバイス。
【請求項55】
前記選択されたpHは、約7.4よりも大きい、請求項52に記載のデバイス。
【請求項56】
前記デバイスの少なくとも一部分は、前記腸管内で分解するように構成される生分解性材料を備え、それにより、該デバイスが該腸管を非外傷的に通過することを可能にさせる、請求項52に記載のデバイス。
【請求項57】
前記組織貫通部材は、分解するように構成される生分解性材料を備え、それにより、該組織貫通部材を前記腸壁から解放する、請求項52に記載のデバイス。
【請求項58】
前記組織貫通部材は、針を備える、請求項52に記載のデバイス。
【請求項59】
前記前進可能部材は、プランジャを備える、請求項52に記載のデバイス。
【請求項60】
薬物を送達するためのシステムであって、
請求項52に記載のデバイスと、
前記カプセルまたは前記組織貫通部材の中に配置される薬物と
を備える、システム。
【請求項61】
前記薬物は、固体、ペレット、または粉末を含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記組織貫通部材は、前記薬物を備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
前記薬物は、化学療法薬剤、インターフェロン、抗体、抗生物質、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、グルコース調節薬剤、インスリン化合物、インクレチンホルモン、GLP−1化合物、またはエクセナチドを含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
薬物送達の方法であって、該方法は、
カプセル、薬物、作動機構、解放要素、および組織貫通部材を備える薬物送達デバイスを嚥下することと、
小腸の中の条件に応じて該小腸の中で該解放要素を解放することと、
該組織貫通部材を使用して、該小腸の壁の中へ該薬物を送達するように該作動機構を作動させることと
を含む、方法。
【請求項65】
前記薬物は、化学療法薬剤、インターフェロン、抗体、抗生物質、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、グルコース調節薬剤、インスリン化合物、インクレチンホルモン、GLP−1化合物、またはエクセナチドを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記解放要素は、前記小腸の中の化学条件に応じて分解する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記解放要素は、腸溶性材料を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記作動機構は、バネ、カム、電気機械機構、ソレノイド、または圧電材料を備える、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
患者の腸管の腸壁の中へ治療薬剤調整物を挿入するための嚥下可能デバイスであって、該デバイスは、
該腸管を通過するようにサイズ設定された嚥下可能カプセルであって、該カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する、カプセルと、
該開口の上を覆い、胃の中での分解から該カプセルを保護し、小腸の中のpHに応じて分解する材料または被覆を備える該カプセル壁の少なくとも一部分と、
治療薬剤調整物を含む組織貫通部材と、
該小腸の中の選択されたpHに応じて、該カプセルから該開口を通して該患者の該腸壁の中へ、該組織貫通部材を前進させるための手段と
を備える、デバイス。
【請求項70】
前記組織貫通部材を前進させるための前記手段は、前記小腸の中のpHに応じて拡張可能である拡張可能部材を備える、請求項69に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項71】
前記拡張可能部材は、バルーンである、請求項70に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項72】
前記拡張可能部材は、化学反応によって拡張される、請求項70に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項73】
前記拡張可能部材は、前記小腸の中のpHに応じて前記化学反応を開始するためのpH感受性弁を含む、請求項72に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項74】
前記化学反応のための反応物は、前記拡張可能部材内に含有される、請求項72に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項75】
前記拡張可能部材は、少なくとも第1の部分および第2の部分を備え、該部分は、分離手段によって分離され、該第1の部分は、液体を含有し、該第2の部分は、反応物を含有し、該反応物と液体とは、混合時に、拡張可能デバイスを拡張するガスを産生する、請求項72に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項76】
前記分離手段は、前記小腸の中の蠕動収縮からの力に応じて開く弁を備える、請求項75に記載の嚥下可能デバイス。
【請求項77】
患者の腸管の腸壁の中へ治療薬剤調整物を送達するための嚥下可能デバイスであって、該デバイスは、
該腸管を通過するようにサイズ設定された嚥下可能カプセルであって、該カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する、カプセルと、
少なくとも部分的に非拡張状態で該カプセル内に配置される拡張可能部材であって、該拡張可能部材は、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解する分離弁によって分離される第1の部分と第2の部分とを含み、該第1の部分は液体を含み、該第2の部分は、該液体と反応して、該拡張可能部材を拡張するガスを産生するように構成される反応物を含み、該弁が分解すると、該第1の部分からの該液体は、該第2の部分の中の該反応物と混合して、該拡張可能部材を拡張する該ガスを産生する、拡張可能部材と、
少なくとも部分的に治療薬剤調整物から形成される組織貫通部材であって、該組織貫通部材は、近位および遠位部分を含み、該近位部分は、該拡張可能部材に取外し可能に連結され、該組織貫通部材は、該組織貫通部材を該腸壁内に保持するための少なくとも1つの保持特徴を含み、該拡張可能部材の拡張時に、該組織貫通部材は、それが該少なくとも1つの保持特徴によって保持される該腸壁の中へ該開口を通して前進させられることにより、該拡張可能部材から外れる、組織貫通部材と
を備える、デバイス。
【請求項78】
前記カプセルの少なくとも一部分は、前記開口を密閉し、および前記小腸の中の選択されたpHに応じて分解する被覆を含み、該開口の開放時に、腸液は、該カプセルの内部空間に進入し、前記分離弁と接触する、請求項77に記載のデバイス。
【請求項79】
前記被覆または前記分離弁のうちの少なくとも1つは、PGLAを含む、請求項78に記載のデバイス。
【請求項80】
前記腸は、小腸であり、前記被覆は、該小腸の中の選択されたpHに応じて分解するように構成される、請求項78に記載のデバイス。
【請求項81】
前記選択されたpHは、約6.0よりも大きい、請求項80に記載のデバイス。
【請求項82】
前記組織貫通要素は、前記拡張可能部材の収縮時に、該拡張可能部材から外れるように構成される、請求項77に記載のデバイス。
【請求項83】
前記組織貫通要素は、前記腸の蠕動収縮によって前記拡張可能部材に及ぼされる力に応じて、該拡張可能部材から外れるように構成される、請求項77に記載のデバイス。
【請求項84】
前記拡張可能部材は、約0.001未満の壁の厚さを有する、請求項77に記載のデバイス。
【請求項85】
前記拡張可能部材は、ポリマー、実質的に非柔軟性のポリマー、ポリエチレンPET、またはポリイミドを含む、請求項77に記載のデバイス。
【請求項86】
前記拡張可能部材は、拡張後に該拡張可能部材を収縮させるために、該拡張可能部材の中の前記液体または前記腸の中の液体のうちの少なくとも1つへの暴露時に分解可能である収縮弁を含み、該収縮弁は、該拡張可能部材が前記腸壁の中へ前記組織貫通部材を前進させることを可能にするために、該拡張可能部材の拡張後の選択可能な期間に分解するように構成される、請求項77に記載のデバイス。
【請求項87】
前記収縮弁は、前記分離弁よりも遅い速度で分解する、請求項86に記載のデバイス。
【請求項88】
前記カプセルの内面上に設置される穿刺要素をさらに備え、該穿刺要素は、前記拡張可能部材を穿刺し、収縮させるように設置され、構成される、請求項86に記載のデバイス。
【請求項89】
前記カプセルは、前記拡張可能部材の拡張によって、少なくとも2つの部品に分解するように構成される、請求項86に記載のデバイス。
【請求項90】
前記液体は、水を含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項91】
前記反応物は、固体反応物を含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項92】
前記液体は、クエン酸を含み、前記反応物は、重炭酸ナトリウムを含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項93】
前記デバイスは、少なくとも2つの組織貫通部材と、対応する開口とを含み、該少なくとも2つの組織貫通部材は、前記カプセルの向かい合う壁に設置された開口から退出するように、前記拡張可能部材の反対側の壁に設置される、請求項86に記載のデバイス。
【請求項94】
前記デバイスは、少なくとも3つの組織貫通部材と、対応する開口とを含む、請求項86に記載のデバイス。
【請求項95】
前記拡張可能部材の表面に連結され、前記組織貫通部材の前記近位部分に取外し可能に連結される前進部材をさらに備え、該前進部材は、該拡張可能部材の拡張時に、組織の中へ該組織貫通部材を前進させ、
該前進部材は、該組織貫通部材の該近位部分上の噛合特徴と係合する取付け特徴を含み、
該取付け特徴は、ピンであり、該噛合特徴は、該ピンが挿入する陥凹である、請求項86に記載のデバイス。
【請求項96】
前記拡張可能部材の拡張中に前記前進部材を支持するための支持部材をさらに備え、該支持部材は、該拡張可能部材の表面に取り付けられる第1の表面と、前進部材表面に取り付けられる反対側の表面とを含み、該反対側の表面は、前進部材表面に取り付けられ、該支持部材の該反対側の表面は、該拡張可能部材の拡張から該前進部材に印加される圧力を増加させるように、該前進部材の表面よりも大きい表面積を有し、該拡張可能部材の拡張時に、該支持部材は、組織の中へ該組織貫通部材を前進させるように該前進部材を押す、請求項95に記載のデバイス。
【請求項97】
前記組織貫通部材は、針形状である、請求項77に記載のデバイス。
【請求項98】
前記組織貫通部材は、生分解性ポリマーを含む、請求項77に記載のデバイス。
【請求項99】
前記生分解性ポリマーは、PLGAを含む、請求項98に記載のデバイス。
【請求項100】
前記組織貫通部材の中の治療薬剤の約5%未満は、熱分解される、請求項98に記載のデバイス。
【請求項101】
前記組織貫通部材の中の治療薬剤の約1%未満は、熱分解される、請求項100に記載のデバイス。
【請求項102】
治療薬剤調整物の格納のための少なくとも1つの貯留部をさらに備え、該貯留部は、前記組織貫通部材に流体的に連結され、該組織貫通部材は、管腔を有する中空組織貫通部材を備え、該貯留部は、該貯留部から該管腔を通して前記腸壁の中へ治療薬剤を放出するように、前記拡張可能部材の拡張によって折り畳み可能であるように構成され、前記カプセル内に設置される、請求項77に記載のデバイス。
【請求項103】
患者の腸管の腸壁の中へ治療薬剤調整物を送達するための嚥下可能デバイスであって、該デバイスは、
該腸管を通過するようにサイズ設定された嚥下可能カプセルであって、該カプセルは、開口を含むカプセル壁を有する、カプセルと、
少なくとも部分的に非拡張状態で該カプセル内に配置される拡張可能部材であって、該拡張可能部材は、腸の中の選択されたpHへの暴露時に分解する分離弁によって分離される第1の部分および第2の部分を含み、該第1の部分は液体を含み、該第2の部分は、該液体と反応して該拡張可能部材を拡張するガスを産生するように構成される反応物を含み、該弁が分解すると、該第1の部分からの該液体は、該第2の部分の中の該反応物と混合して該拡張可能部材を拡張する該ガスを産生する、拡張可能部材と、
管腔と、近位および遠位部分とを有する組織貫通部材であって、該近位部分は、該拡張可能部材の拡張時に、該組織貫通部材が開口を通して該腸壁の中へ前進させられるように、該拡張可能部材に連結される、組織貫通部材と、
治療薬剤調整物の格納のための少なくとも1つの貯留部であって、該貯留部は、組織貫通部材管腔に流体的に連結され、該貯留部は、該貯留部から該管腔を通して該腸壁の中へ治療薬剤を放出するよう、該拡張可能部材の拡張によって折り畳み可能であるように構成され、該カプセル内に設置される、貯留部と
を備える、デバイス。
【請求項104】
前記治療薬剤は、治療有効用量のインクレチンと、治療有効用量のビグアナイドとを含む、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記インクレチンおよび前記ビグアナイドの投与量は、長期間にわたって向上したレベルの血糖制御を生じるように適合される、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記長期間は、最大で約1日である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記長期間は、最大で約1週間である、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記少なくとも1つの貯留部は、第1の貯留部と、第2の貯留部とを備える、請求項103に記載のデバイス。
【請求項109】
全てが流体連通しているチャネルと、組織貫通部材コネクタと、少なくとも1つの貯留部コネクタとを有するマニホールドをさらに備え、該組織貫通部材コネクタは、前記組織貫通部材管腔に連結され、該少なくとも1つの貯留部コネクタは、前記少なくとも1つの貯留部に連結される、請求項103に記載のデバイス。
【請求項110】
前記少なくとも1つの貯留部は、第1の貯留部と、第2の貯留部とを備え、前記少なくとも1つの貯留部コネクタは、第1および第2の貯留部コネクタを備え、該第1の貯留部コネクタは、該第1の貯留部に連結され、該第2の貯留部コネクタは、該第2の貯留部に連結される、請求項109に記載のデバイス。


【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図1d】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15】
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【図16a】
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【図16b】
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【図16c】
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【図17a】
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【図17b】
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【図18】
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【図19a】
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【図19b】
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【図20a】
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【図20b】
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【図20c】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22a】
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【図22b】
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【図23a】
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【図23b】
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【図24】
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【図25a】
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【図25b】
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【図26】
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【図27】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2013−515576(P2013−515576A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546244(P2012−546244)
【出願日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/062070
【国際公開番号】WO2011/079302
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(511227440)インキューブ ラブズ, エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】