説明

四輪自動車

車両(10)は、管状架台タイプの支持フレーム(12)と、2つの操舵車輪(14、16)と、固定軸(144)を有する2つの後輪(18、20)と、エンジンユニット(22)と、前輪(14、16)を操作可能な操舵手段(24)と、フレーム(12)と前輪(14、16)を結合する前輪サスペンションユニット(26)と、フレーム(12)と後輪(18、20)を結合する後輪サスペンションユニット(28)と、エンジンユニット(22)と後輪(18、20)の車軸との間に配置される変速機ユニットと、車両(10)の中央位置に配置され車両(10)の運転者のための座席(44)と、隣接して横方向に配置され車両(10)の運転者のための前記座席(44)に対して所定距離だけ後退して配置される、車両(10)の乗客のための少なくとも2つの座席(44’)とを備える。エンジンユニット(22)は、後輪サスペンションユニット(28)に対してサスペンション機構(72、74、84、90、92)の少なくとも1つを介して弾性的に拘束され、サスペンション機構は、エンジンユニット(22)の作動によって発生する応力をフィルタリングする第1のレベルを備え、後輪サスペンションユニット(28)は、エンジンユニット(22)の全重量を支持できるようになっている。更に、後輪サスペンションユニット(28)は、少なくとも1つの補助サスペンション機構(96、98)によってフレーム(12)に対して弾性的に拘束され、補助サスペンション機構は、後輪(18、20)のタイヤの弾性と一緒になって、エンジンユニット(22)の作動によって発生する応力をフィルタリングする第2のレベルを備える。車両(10)のフレーム(12)に対するリバウンド運動及びロール運動のそれぞれにおいて、後輪サスペンションユニット(28)は、リーフスプリング形可撓性部材(122)によって垂直方向に案内されて横方向に拘束される。後輪サスペンションユニット(28)は、2つのブッシュ(138、132)だけでフレーム(12)に取り付けられるので、車両(10)の組み立て時間及びコストが低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は四輪自動車、詳細にはいわゆる(大型)「四輪車(quadricycle)」の分類に属する四輪自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
統括指令(Framework Directive)2002/24/ECによれば、語句「軽四輪車」は、電気自動車の場合であればバッテリ質量を含まない空車質量が350kg又はそれ以下であり、最大設計速度が45Km/h又はそれ以下である四輪自動車を指し示すために使用される。また、エンジンの種類に応じて軽四輪車は以下の条件を備える必要がある。
−エンジンシリンダが50cm3の火花点火エンジンである、又は、
−内燃機関の場合、最大正味出力が4KW又はそれ以下である、又は、
−電気自動車の場合、最大連続定格出力が4KW又はそれ以下である。
【0003】
このような軽四輪車は、特に別途指示しない限り三輪原付自転車に適用可能な技術的要件を満たす。
また、電気自動車の場合であればバッテリ質量を含まない空車質量が400Kg又はそれ以下(貨物の運搬が意図される自動車に関しては550Kg)であり、最大正味エンジン出力が15KW又はそれ以下の車両は(大型)「四輪車」と定義される。このような車両は、三輪自動車と見なされ、特に別途指示しない限りこれに適用可能な技術的要件を満たす。
【0004】
四輪車で輸送可能な最大乗員数は、通常は運転者も含めて3人であるが、現在利用可能な四輪車の殆どは2つの座席を備えるだけである。
実際には、四輪車は、運転することが許されていない人々のためだけでなく、そのコンパクトな特徴により運転が容易で安価であり短距離市街地交通のニーズに特に適する、一般の自動車の有効な代替手段をとなる。一般に、四輪車は、あらゆる自動車よりも長さが短く幅が狭く、いわゆる「シティカー」にも関連ており、特に市街地往来で運転しやすく、運転及び駐車が容易である。
【0005】
一方で、現在市場で入手可能な四輪車の主な欠点は、全体寸法にある。実際、全長が短いことを前提とすると、人々の輸送に適する多くの現在利用可能な四輪車は、多くても2人しか輸送できない(運転者も含めて)。更に、実際に全長が短いことに起因して、四輪車の普通隣接して着座する運転者及び乗客は足下の空間が狭く、この空間は車室内の前輪ホイールハウスに代表される全体寸法によってさらに制限される。
【0006】
更に、四輪車の全幅が狭いことは乗員に不快感を与え、乗員が利用できる座席は狭小で快適とは言えず、同様に互いの距離及び車室の側壁との距離が近く、腕を動かすことも難しい。また、四輪車の車体の小さな全体寸法により車両に乗り込むのも大変である。
【0007】
全体寸法及び重量を低減する現在のニーズは、フレームが搭載エンジンの質量に等しい質量を有する車両の製造につながる。このことは指令が非常に厳しい重量制限を要求する四輪車の分類に属する車両において特に顕著である。これに関連して、特に単気筒又は多気筒内燃機関タイプに関連するエンジンが発生する振動を遮断することは難しい。この振動は、エンジンから該エンジンを支持する手段を経由して車両構造体に伝達される。支持手段のフィルター特性を改良するための全ての試みは、結局は車両質量とエンジン質量との間の好ましくない関係と対立するので、車両の全ての機械的構造の大きな応力と同時に、乗員の快適性及び安全性に関して厳しい結果となる、目標達成を危うくする固有の物理的制限に及ぶ。
【0008】
循環する自動車の数の恒常的増加は駐車の問題がいつも引き起こし、自動車を駐車するためのスペースを増やすことが重要な問題となっている。しかしながら、特に交通密度の高い市街地においては、利用可能なスペースを最適にして、全専有面積の同じスペースにより多くの自動車を格納できるように一台の駐車面積を低減できる解決策を追求するニーズがある。これにより、運転者及び乗員は車両内へアクセスするのが非常に困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、四輪自動車、特に前述の問題点を非常に単純かつ安価で、特に機能的方法で解決した四輪車を提供することである。
特に、本発明の目的は、寸法及び重量に関して非常に小型であり、同時に快適で機能的なやり方で運転者を含め少なくとも3人の乗員に適する四輪自動車を提供することである。
本発明の別の目的は、安全性及び構造的抵抗性を十分に保証できる四輪自動車を提供することである。
本発明の更に別の目的は、エンジンユニット自体から生じた応力の大部分を車輪に伝達して、通常はフレームに伝達される応力を低減して乗員の快適性を高めことができる四輪自動車を提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、車両の出入りに必要な横方向空間を低減して、都心での使用及び駐車可能性に関して顕著な利点を有する四輪自動車を提供することである。
最後に、本発明の更に他の目的は、短距離市街地輸送のニーズを満たすのに適した機能性及び特性を提供し、オートバイ及び自動車の有用な代替手段としてオートバイの敏しょう性、操縦性、及び利便性、更に自動車の快適性及び安全性の利点を併せもつ四輪自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、請求項1に記載の四輪自動車、特に四輪車を提供することで達成できる。更に、本発明の特徴は、本開示の不可欠の部分を構成する従属請求項に明らかにされる。
本発明の四輪自動車、特に四輪車の特徴及び利点は、添付の図面を参照して例示的な以下の詳細な説明で明らかになるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明による四輪自動車の支持フレームの好ましい実施形態の斜視図である。
【図2】本発明による四輪自動車の構成要素の分解拡大斜視図である。
【図3】本発明による四輪自動車の支持フレームの斜視図である。
【図4】本発明による四輪自動車の上面図であり、車体は示されておらず運転者以外に2人の乗客を輸送する構成である。
【図5】図4の車両の前側斜視図である。
【図6】図4の車両の後側斜視図である。
【図7】図4の車両の他の上面図である。
【図8】図4の車両の側面図である。
【図9】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの詳細図である。
【図10】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの上面詳細図である。
【図11】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの側面詳細図である。
【図12】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの後面詳細図である。
【図13】本発明による四輪自動車のドア開放システムの上面詳細図である。
【図14】本発明による四輪自動車のドア開放システムの側面詳細図である。
【図15】本発明による四輪自動車のドア開放システムの上面詳細図である。
【図16】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの別の上面詳細図である。
【図17】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの別の側面詳細図である。
【図18】本発明による四輪自動車のエンジンユニット及び後輪サスペンションユニットの別の後面詳細図である。
【図19】図18にXで示す箇所の詳細図である。
【図20】本発明による四輪自動車の後輪サスペンションユニットのいくつかの構成要素の側面図である。
【図21】本発明による四輪自動車の後輪サスペンションユニットのいくつかの構成要素の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照すると、本発明の四輪自動車は全体的に符号10で示される。車両10は、例えば公知の方法でもって、支持フレーム12、2つの操舵前輪14及び16、及び固定軸144を含む2つの後輪18及び20を備える。更に、車両10は、内燃機関、電動モータ、又はハイブリッドエンジンとすることができるエンジンユニット22、前輪14及び16を操舵可能とする操舵手段24、フレーム12と前輪14及び16を結合する前輪サスペンションユニット26、及びフレーム12と後輪18及び20を結合する後輪サスペンションユニット28を備える。
【0014】
フレーム12は、以下に説明するように、クローズドボディ又はオープンボディで覆うのに適するようになっている。エンジンユニット22は車両10の後部に収容されることが好ましく、車両10は後輪18及び20が駆動される。エンジンユニット22と後輪18及び20の車軸との間に配置される変速機ユニットは自動変速機であることが好ましい。
【0015】
車両10は、車高が1500と1650mmの間、車幅が1400と1550mmの間、車長が2300と2600mmの間であることが意図されている。また、400Kg以下(トラクションバッテリを除く)の車両10の全質量は、車両10が四輪車の分類に属する目的で規定される。
【0016】
例えば図10及び16に示すように、後輪サスペンションユニット28は、オメガ形、より単純にはU形又はV形のリジッドブリッジ式であることが好ましい。このような後輪サスペンションユニット28は、車両10及びエンジンユニット22の非懸架質量の重さを支持するのに特に最適である。一方で、前輪サスペンションユニット26は「マクファーソン」式の独立懸架機構とすることが好ましい。前輪サスペンションユニット26及び後輪サスペンションユニット28の両者は、特に「スポーツ」バージョンにおいて車両10のロールを抑えるのに適するスタビライザーバー(図示せず)を備えることができる。操舵手段24は、例えば、操舵を容易にする減速比を有するハンドル式である。
【0017】
前述の後輪サスペンションユニット28、前輪サスペンションユニット26、及び操舵手段24の構成、並びに車両10の短いホイールベースにより、車両10は、非常に運転しやすく旋回半径は4m未満なので市街地往来で機敏で運転及び駐車が容易である。しかしながら、本発明の保護範囲から逸脱しない後輪サスペンションユニット28、前輪サスペンションユニット26、及び操舵手段24を用いることを除外するものではない。
【0018】
図示の車両10の好ましい実施形態において、2つの前輪14及び16のそれぞれの中心間の距離を意味する前輪の左右間隔は、2つの後輪18及び20のそれぞれの中心間の距離を意味する後輪の左右間隔よりも短い。前輪14及び16のタイヤ及び後輪18及び20のタイヤはラジアルタイヤであり、13インチのリムに適合して自動車タイプの溝を有するトレッドを備えることが好ましい。車両10の前輪及び後輪の左右間隔の寸法、並びにタイヤ寸法は、本発明の保護範囲を逸脱することなく、前述のものとは明らかに異なることができる。
【0019】
また、車両10は、4つの車輪14、16、18、及び20に作用する制動システムを備えることができる。詳細には、制動システムは、車両10の全ての使用状況で最適かつ非常に安全な制動を実現するように適切に寸法決めされた、ディスクブレーキ、及び/又は機械式及び/又は流体式制御ドラムブレーキを含むことができる。制動及び加速制御手段は、主要国で施行される許可要件に適する形状であるペダル66の形式である。
【0020】
フレーム12は円筒形の「架台」のような溶接構造である。フレーム12を形成する鋼管は、剛性、重量、コスト、及び最終組み立ての容易性の間で最良の妥協案を得るために、円形又は四角形の可変断面をもつことができる。
【0021】
車両10の主たるインテリア仕上げ構成部品は、車体を「ボックス収容」する機能をもつように提供され、そのパネルは基準を満たす技術的及び審美的解決策と矛盾しない適切な方法でフレーム12に固定される。車両10の車体の可能性のある形態は、金属構造体で補強されたポリカーボネート製の後部開閉式ドア30、及びエンジンユニット22を覆う機能をもつ後部パネル32を備える。車両10に出入りするための2枚のドア34(車両10の両側にある)及び側面36は、車室の小さな寸法に関連する何らかの圧迫感を抑えるために、大きな透明な面を備える。
【0022】
風防ガラス38は、車室内の最適な安全レベルを得るために積層ガラス製であることが好都合である。更に安全のために、ドア34のサイドガラスも同様にガラス材料で作られ、自動式又は手動式の適切な開放手段を備える。もしくは、ドア34のサイドガラスは固定式とすることもできる。また、車両10のルーフ40を備える場合、ルーフ40は固定式又は開放式とすることができ、開放式の場合、部分的に又は完全に開放することができる。
【0023】
車両10のフロア又はデッキはタンク形構造要素42で構成され、フレーム12と一体に作られて車両10の座席44及び44’の支持要素として機能する。タンク42は、ガラス繊維製とすること、又は一体に形成される前輪14及び16用のフロントホイールハウス46及び48、及び後輪18及び20用のリヤホイールハウス50及び52と同じ特性の材料で作ることが好ましい。タンク42の下部で後部には、エンジンユニット22及び個別の変速機ユニットを収容するのに適した、並びに使用可能な荷物室を形成するのに適したキャビティを備えることができる。
【0024】
タンク42は、必要な機能性及び車両10内の乗員のための人間工学的機能以外に、車両10が被る可能性のある何らかの衝突又は外部衝撃に関する適切な安全対策を確保するように構成される。従って、タンク42の存在は、車両10の設計段階に設定された何らかの重要な目標を達成するために重要であり、特に、タンク42は、軽量で車両10に実装するのが容易なので必須であるが、同時に構造的に非常に効果的であり、車両10自体は市場で入手可能な多くの四輪車に比べて、間違いなく高い抵抗性及び堅牢性を実現できる。
【0025】
本発明の目的は、寸法及び重量に関して非常に小型の車両10を提供するが、3人の乗員(2人の乗客及び1人の運転者)に適合する快適性及び機能性を提供できることとすると、運転者は中央位置に配置され、2人の乗客は運転者から所定距離だけ後方の位置で互いに隣接して横方向に配置される。図4に示すように、3人の乗員は、脚部を車両の前部に向けた状態で配置される。
【0026】
前述の目的を実現するために、タンク42の中央には、運転座席44を支持する基部を形成する隆起プラットホーム54が設けられている。車両10の乗客に適合する2つの座席44’を支持するための基部を形成する、2つの別個の隆起プラットホーム56及び58は、それぞれリヤホイールハウス50及び52の上のタンク42の後端に設けられる。従って、エンジンユニット22、変速機ユニット、及び使用可能な荷物室のための前述のキャビティは、隆起プラットホーム54、56、及び58の真下に設けることができる。
【0027】
フレーム12上へのタンク42の適切な適用を保証するために、並びにタンク42の構造的効果を保証するために、フレーム12は、このタンク42と結合する完全形状を実現するよう適切に形作られる。詳細には、フレーム12は、タンク12の隆起プラットホーム54に設けられたキャビティの内部又はその下部に挿入されて所定形状に結合して所要の構造的剛性を確保する、1つ又はそれ以上の特定の管状部材60を備える。同様に、2つの隆起プラットホーム56及び58に所定形状で結合してその支持基部を形成する、フレーム12の適切な管状部62及び64は、2つの隆起プラットホーム56及び58の下部に設けられて乗客の座席を支持する基部を形成する。
【0028】
運転者が車両10の中央位置に着座するという解決策は、意図された目的を達成するために重要である。実際に、この構成により、最終的に運転者の下肢が前輪14及び16、前輪サスペンションユニット26、及びフロントホイールハウス46及び48に対して中央に配置されて、運転者の快適性に悪影響を与えることなくこのような構成要素の後退が可能になるとすれば、車室を長手方向に延ばすことが可能になる。これにより、運転者の足元のフロントホイールハウス46及び48の全体寸法に関連する問題点を解消できる。
【0029】
また、ペダル66及びハンドル24の配置空間は、これら機能及び/又は前輪サスペンションユニット26及び前輪14及び16の機能に悪影響を及ぼすことなく確保できる。また、上肢及び胸部の動かしやすさに関する運転者の理想的な快適性は、一般に、運転者が車両10の全ての車載機器と容易に相互作用できるような方法で保証される。
【0030】
最後に、下肢に関して運転座席44の横に広がる十分な空間があり、かつ上肢に関してエンジン室の上に配置されてアームレストとしても利用できる適切なパネルで隔離された十分な空間があるとすれば、乗客は非常に好都合な方法で配置される。また、運転者と乗客との間の「部分的重複」の効果は、単なる「タクシー運転者」と感じない前述の利点をもつが、運転者が車室全体の活動に関与することを助け、従って、車両10が「友好的」で若者及び活発な人々に適することに貢献する。
【0031】
前述では、車両10の乗客に対応する2つの座席44’が意図されているが、運転者以外の第3の乗客に対応することが意図される第3の座席を備えることができる。この第3の乗客座席(図示せず)は、2つの後部座席44’の間に設けること、又は車両10のどこか他の使用可能な空間に設けることができ、この座席は、前述の運転座席44及び他の2つの乗客座席44’の構成を変更することなく、効力のある法律がもたらす全ての安全要件を備える必要がある。
【0032】
運転者及び乗客には、室内空間を有効に使い、非常に快適な方法で乗客に適合し、所要の保持性及び安全性を保証するように、解剖学的に形作られた座席44及び44’が提供する必要がある。明らかに、車両10は、3つの(又は4つの)座席44及び44’に対して安全ベルトを備える必要がある。後部の乗客座席44’は、車両10の積載量を増やすために長手方向の位置決め/角度調節のための適切なシステムを備える必要がある。
【0033】
少なくとも3つの「正しく整列されていない」座席による解決策は、本発明がもたらす、機能的な目標(車両10の全ての主要機器へのアクセス、可視性)、居住性(運転者及び2人の乗客にとって理想的な快適性)、及び全体寸法(車両10の長手方向及び幅方向の小さな寸法)を実現するために理想的である。
【0034】
車両10のエンジンユニット22は、オートバイから派生したハイブリッド式(作動的に結合された内燃機関及び電動モータを備える)であり、適切な容積を有し、差動装置−減速歯車−インバータを有する自動式無段変速機ユニット(CVT)を備えることが好ましい。このようなエンジンユニット22により、非常に環境保護に有利な車両10を実現できるが、非常に安価である。別の利点は、往来が制限されている場合でも市街地中心部へ乗り入れできること、一般の内燃機関を備える車両が許可されていない歴史中心部へ乗り入れできること、並びに管理コストが非常に低い(最大効率)ことである。
【0035】
更に、自動式無段変速機ユニットを備えるので、市街地の運転をストレスなく行うことができ、これは車両10が市街地往来を容易かつ安全に移動できるように意図的に設計されるため必須である。車両10の最大速度は約80Km/hであり、この車両10が市街地往来を循環するには理想的である。
【0036】
車両10内のエンジンユニット22の位置は、その快適性/機能性の目的を達成するように検討される。前述のように、エンジンユニット22は、実際には、乗客座席44’を支持する基部を形成する隆起プラットホーム56及び58の間に設けられたキャビティ内で、車両10に対して長手方向に配置される。この配置は、車両10に残された空きスペースの1つ、つまりタンク42の隆起プラットホーム54、56、及び58とこれを支持するフレーム12との間に含まれるスペースを理想的に有効利用するので最適である。従って、乗客と干渉することなく、車両10の長手方向及び幅方向の寸法を更に低減でき、使用可能なアームレストの空間を生み出すのに貢献する。
【0037】
運転座席44を支持する基部を形成する隆起プラットホーム54の下部に設けられるキャビティ内に、バッテリ及びエンジンハイブリッドユニット22を制御するためのシステムを配置できる。この目的で、隆起プラットホーム54は、車両10のエンジンユニット22の通常の又は特別な保守整備を行うための、1つ又はそれ以上の検査ポート(図示せず)を備えることができる。
【0038】
本発明によれば、後輪サスペンションユニット28は、車両10が最適に動作するように適切な堅牢性及び剛性を備えると同時に、エンジンユニット22の全重量を支持することができ、フレーム12に拘束されるシステム上ではなく2つの後輪18及び20上に実質的に重量がかかる。実際には、エンジンユニット22は、2つの弾性支持ピン及び反作用ロッドで構成される共通重心タイプのサスペンション及び「フィルタリング」機構によって、後輪サスペンションユニット28に対して弾性的に拘束される。
【0039】
実際に大部分の応力及びエンジンユニット22の重量は後輪18及び20に直接伝達されるので、フレーム12に伝達される応力を低減できる。車両のエンジンユニット22とフレーム12との間に二重「フィルタリング」システムを導入すると、使用される全周波数範囲にわたってサスペンション機構の応答性を最適化できる。このような技術的解決策は、後輪駆動車両に特に有効であり、リアサスペンションは、車両及びエンジンユニットの懸架質量を支持するのに特に適切である。非懸架質量の増大に起因する運転快適性及び路面保持性に対する悪影響は、特にエンジンユニットの寸法及び重量が相当小さい場合には完全に無視できる。
【0040】
詳細には、図11を参照すると、車両10の中心軸線Z−Zの方向で測定した後輪サスペンションユニット28のフレーム12に対する拘束点68とエンジンユニット22の質量中心70との間の距離Aは、同様に車両10の中心軸線Z−Zの方向で測定したエンジンユニット22の質量中心70と後輪18及び20の車軸144との間の距離Bよりも大きいことが必要である。
【0041】
図10を参照すると、エンジンユニット22が後輪サスペンションユニット28に対して2つの固定点を備えることが分かるはずである。詳細には、この2つの固定点は、エンジンユニット22の質量中心70を実質的に通る同一の軸に対して指向された一対の横方向弾性支持ピン72及び74で構成され、各々がエンジンユニット22の約半分の重量を支持するように構成されている。弾性支持ピン72及び74は、車両10の運動方向に対して車両10の中心軸線Z−Zの左側に配置される第1のブラケット対76及び78、及び車両10の運動方向に対して車両10の中心軸線Z−Zの右側に配置される第2のブラケット対80及び82によってエンジンユニット22に拘束される。車両10の外側に向かって配置されるブラケット76及び80は後輪サスペンションユニット28と一体であるが、車両10の中心軸線Z−Zに向かって内側に配置されるブラケット78及び82はエンジンユニット22と一体である。
【0042】
図11にはエンジンユニット22の後輪サスペンションユニット28に対する第3の拘束手段に相当する反作用ロッド84が示されており、エンジンユニット22の重量の弾性支持ピン72及び74で支持されない一部分を支持できると共にエンジンユニット22自体の駆動トルクに反作用することができる。反作用ロッド84の下端86は、第1の弾性ブッシュ90によって後輪サスペンションユニット28に拘束されるが、この反作用ロッド84の上端88は、第2の弾性ブッシュ92によって取り付けブラケット94を介してエンジンユニット22に拘束される。
【0043】
側部支持ピン72及び74の弾性、反作用ロッド84の位置、及び端部ブッシュ90及び92の弾性は、エンジンユニット22の作動で発生した応力に対する最大のフィルター特性をもたらし、全体としてサスペンション機構、つまり第1のフィルタリングレベルをもたらすようになっている。第2のフィルタリングレベルは、車両10の後輪サスペンションユニット28とフレーム12との間の補助サスペンション機構によってもたらすことができる。このような補助サスペンション機構は、ブラケット98を介して後輪サスペンションユニット28とフレーム12との間に弾性的拘束をもたらす第3の前側弾性ブッシュ96、及び後輪18及び20のタイヤの垂直方向の弾性によって機能する。
【0044】
図12は、車両10の後輪サスペンションユニット28上に取り付けられたエンジンユニット22の後面図である。図12は、エンジンユニット22を支持する支持ピン72及び74が、どのようにしてエンジンユニット22の質量中心70に対して実質的に対称に配置されるかを示す。また、車両10の後輪サスペンションユニット28上へのエンジンユニット22の弾性結合は、エンジンユニット22自体の「本体構造」をかなり単純化するが、エンジンユニット22は、車両10の組立ラインに関する特別な外部ステーションで組み立てて、後輪サスペンションユニット28と同時にこの車両10に取り付けることができるので、全体的な組立時間が短くなる。
【0045】
図13は、フレーム12の長手方向の部位の上面図を示し、フレーム12に対する一方のドア34の結合機構及び車両10にアクセスするための開閉機構を示す。図13には、車両10の左側に配置されるドア34だけが示されているが、反対側のドア34(図15に示す)にも同様のフレーム12への結合機構及び開閉機構を設けることができることは明白である。
【0046】
各ドア34をフレーム12へ結合する機構及び開閉する機構は、いわゆる「パンタグラフ」式であり、基本的に、各端部にジョイントを有する2本のアーム100及び102を備える。詳細には、各ドア34をフレーム12へ結合する機構及び開閉する機構は、フレーム12に対する第1の端部ジョイント10及びドア34に対する第2の端部106を有する支持アーム100、及び、フレーム12に対する第1の端部ジョイント108及びドア34に対する第2の端部ジョイント110を有するガイドアーム102を備える。ガイドアーム102の断面積は支持アーム100の断面積よりも小さいので、この支持アーム100はドア34の重量を支持するのに適しており、一方で、ガイドアーム102は、もっぱら公知の運動の法則によるドア34自体の一義的軌道を定める機能を果たす。
【0047】
支持アーム100及びガイドアーム102のそれぞれの端部ジョイント104、106、及び108、110の軸の形状、寸法、及び傾きは、車両10の設計条件に基づいて様々である。支持アーム100及びガイドアーム102のそれぞれの長さR1及びR2、並びに車両側の各ジョイント104及び108の間の距離C及びドア側の各ジョイント106及び110の間の距離Dを変更すると、車両10に対するアクセス及び公知の運動の法則によるドア開放による全体的な側方寸法を最適化するように、ドア34に所要の動きをさせることが可能になる。
【0048】
図14は、フレーム12の側面図であり、スライド位置がドア34位置に対応するピストン機構によりもたらされるストロークストップ装置112が示されている。ストロークストップ装置112は、車両10の前部に対するドア34の移動を規制することができる。フレーム12の中央垂直部材116に配置された特別なロック114は、ドア34閉時のロックを可能にする。ロック114の個数及び位置は、技術的要件に基づいて様々とすることができる。
【0049】
図15は、フレーム12の上面図であり、一方側には開状態(破線)及び閉状態(実線)のドア34を備えるが他方側のドアは示されてない。図15から分かるように、運転者のアクセスを容易にするために、フレーム12は、各ドア区画と車両10のフロアの交点で、車両10の中心軸線Z−Zに向かって内側に折れ曲がった特定の管状部材118を備える。このような折れ曲がった管状部材118は、中央運転座席44とドア区画との間の幅方向距離を低減する「荷下ろし部(discharge)」を形成する。管状部材118が存在するので、ドア34を閉じた場合に車両10の全フロアの連続性を回復させるように、車両10のフロアの残りの部分は各ドア34の下部120に設けられる。
【0050】
従来のいわゆる「コンパス式」機構に対して「パンタグラフ式」機構が存在すると、車両10の前部に対して各ドア34が回転運動と同時に変位運動するので、車両10のドア開時の全体的な側方寸法を低減でき、更に車両へのアクセスを改善できる。同じ寸法のドア34を想定すると、「パンタグラフ式」機構により、全体的な側方寸法を低減できるので、つまりドア34が完全に開いた状態で従来の方式に対して約25%だけ低減できるので、かなりスペースを節約でき結果的に駐車の可能性が向上する。
【0051】
図16は、車両10の中心軸線Z−Zに対して横向きに配置されると共に後輪サスペンションユニット28のブリッジ124の後部に配置されるリーフスプリング形可撓性部材122を備えた、後輪サスペンションユニット28の上面図である。リーフスプリング形可撓性部材122は、車両10のフレーム12に対するリバウンド及びロール運動のそれぞれに関して、ブリッジ124を垂直方向へ案内すること及び横方向に拘束することができる。
【0052】
図20及び21に示すように、リーフスプリング形可撓性部材122は、反対側にそれぞれの弾性ブッシュ128を収容するのに適した2つの円筒空洞126を備え、リーフスプリング形可撓性部材122とブリッジ124との間をピン130(図19)によって結合するようになっている。本実施形態の、リーフスプリング形可撓性部材122の中央に設けられた第3のキャビティ134に収容される第3の弾性ブッシュ132は、このリーフスプリング形可撓性部材122の中心線を車両10のフレーム12に拘束して、実際にこの横方向の相対移動を防止する。第3の弾性ブッシュ132のピンは、ブラケット136(図16、17、及び18)によって車両10のフレーム12に拘束される。
【0053】
2つの第1の弾性ブッシュ128は弾性が異なる。詳細には、2つの第1の弾性ブッシュ128の車両10の中心軸線Z−Zに関して横方向Qで測定した弾性は、垂直方向Pの弾性よりも小さい。これによりリーフスプリング形可撓性部材122の端部の左右方向の移動は、車両10のフレーム12に対する後輪サスペンションユニット28の相対移動による変形の結果として起きる。更に、弾性ブッシュ128及び132の組立体の横方向Qで測定した弾性は、ブリッジ124の前側弾性ブッシュ138の横向き弾性の約半分である。これは車両10が曲線軌道を定めると横向き応力によって引き起こされる後輪サスペンションユニット28のセルフステアリング効果の低減を目的としている。また、第3の弾性ブッシュ132は異なる弾性をもつことができ、車両10の中心軸線Z−Zに関して横方向Qの弾性は、垂直方向Pの弾性とは異なる。これにより車両10のフレーム12及び車体に伝達される応力レベルを低減できる。
【0054】
図17を参照すると、第3の弾性ブッシュ132の仮想弾性中心Eが、ブリッジ124の前側弾性ブッシュ138の仮想弾性中心Fの高さH2よりも大きい垂直方向の高さH1で後輪18及び20の車軸144の後方に配置される状態を示し、このようなブリッジ124の前側弾性ブッシュ138の仮想弾性中心Fは、実際には後輪サスペンションユニット28のフレーム12への拘束点68と一致する。ブリッジ124の前側弾性ブッシュ138は、車両10のフレーム12にブラケット140で固定される。
【0055】
軸γは、仮想弾性中心E及びFと共に、後輪サスペンションユニット28と車両10のフレーム12との間で相対回転運動が生じる軸に相当する。本明細書の軸γの傾きにより、後輪サスペンションユニット28は、車両10の前輪14及び16の操舵に一致するロールによって引き起こされるセルフステアリング特性をもつことになる。実際のところ、車両10が曲線軌道を定めると、フレーム12のロール運動により、結果的にカーブに対する外輪は前側に移動し、カーブに対する内輪は後退する。この同位相のセルフステアリングにより、車両10はよりアンダーステアになり安定する。
【0056】
リーフスプリング形可撓性部材122の仮想弾性は、後輪サスペンションユニット28が軸γの周りを回転できる仮定すると実際にはフレーム12のロール運動に介入しないが、後輪サスペンションユニット28のメインスプリング142と一緒に作動する間はリバウンド運動に介入する。これによりスプリング142の寸法を小さくできるので、重量及びコストを低減できる。ブリッジ124のリバウンド運動は、その弾性の寄与分と共に弾性ブッシュ128及び132の各軸の間の距離Hだけ可能である(図17及び20)。距離Hは公知の法則によるフレーム12のリバウンド運動に伴って変化する。
【0057】
前述の後輪サスペンションユニット28は、フレーム12への固定具の数を2つに、つまりブリッジ124の前側弾性ブッシュ138のピン及びリーフスプリング形可撓性部材122の中央弾性ブッシュ132のピンに低減でき、実際に組立時間及びコストを低減できる。重量を低減するために、リーフスプリング形可撓性部材122は、ハーモニックスチールの代わりに複合材とすることができる。
【0058】
環境適合性に関して、車両10は、リサイクル可能な及び/又はリユース可能な材料で作ることが可能である。効力のある法律(使用されていない車両に関する指令2000/53/EC)は、耐用期間を過ぎた車両を環境破壊及び社会的問題を引き起こすことなく簡単に廃棄できるように、実際に、何らかの種類の車両を無害で簡単にリサイクル可能な及び/又はリユース可能な材料を用いて作ることを可能にする。このような規定は四輪車には適用されないが、本発明の車両10は、高度にリサイクル可能な及び/又はリユース可能な材料を用いて作ることが可能である。更に、特定の組立体を、全ての構成要素が簡単に分離でき、結果的に単純で迅速な方法で廃棄できる方法で提供すること可能である。
【0059】
本発明の四輪自動車が前述の目的を実現することが分かる。
従って、本発明の四輪自動車は、種々の変更例及び変形例を考えることが可能であるが、全ては同じ発明概念に収まり、更に、全ての詳細構造は技術的に等価な構成要素で置き換えることができる。特に、使用される全ての材料、並びに形状及び寸法は、技術的要件に応じて様々とすることができる。従って、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲で定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状架台タイプの支持フレーム(12)と、2つの操舵車輪(14、16)と、固定軸(144)を有する2つの後輪(18、20)と、エンジンユニット(22)と、前記前輪(14、16)を操作可能な操舵手段(24)と、前記フレーム(12)と前記前輪(14、16)を結合する前輪サスペンションユニット(26)と、前記フレーム(12)と前記後輪(18、20)を結合する後輪サスペンションユニット(28)と、前記エンジンユニット(22)と前記後輪(18、20)の車軸との間に配置される変速機ユニットと、前記車両(10)の中央位置に配置され前記車両(10)の運転者のための座席(44)と、隣接して横方向に配置され前記車両(10)の運転者のための前記座席(44)に対して所定距離だけ後退して配置される、前記車両(10)の乗客のための少なくとも2つの座席(44’)とを備え、
前記エンジンユニット(22)は、前記後輪サスペンションユニット(28)に対してサスペンション機構(72、74、84、90、92)の少なくとも1つを介して弾性的に拘束され、前記サスペンション機構は、前記エンジンユニット(22)の作動によって発生する応力をフィルタリングする第1のレベルを備え、前記後輪サスペンションユニット(28)は、前記エンジンユニット(22)の全重量を支持できるようになっており、
前記後輪サスペンションユニット(28)は、少なくとも1つの補助サスペンション機構(96、98)によってフレーム(12)に対して弾性的に拘束され、前記補助サスペンション機構は、前記後輪(18、20)のタイヤの弾性と共に、前記エンジンユニット(22)の作動によって発生する応力をフィルタリングする第2のレベルを備えることを特徴とする車両(10)。
【請求項2】
前記エンジンユニット(22)の前記サスペンション機構は、前記エンジンユニット(22)の質量中心(70)を実質的に通る軸と同方向であり、各々が前記エンジンユニット(22)の重量の約半分を支持するように配置された一対の横向き弾性支持ピン(72、74)を備える、請求項1に記載の車両(10)。
【請求項3】
前記弾性支持ピン(72、74)は、それぞれ、前記車両(10)の運動方向に対して前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)の左側に配置される第1のブラケット対(76、78)、及び前記車両(10)の運動方向に対して前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)の右側に配置される第2のブラケット対(80、82)によってエンジンユニット(22)に拘束され、前記ブラケット(76、80)は、前記車両(10)の外側に向かって配置され、前記後輪サスペンションユニット(28)と一体にされ、一方、前記ブラケット(78、82)は、前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)に向かって内側に配置され、エンジンユニット(22)と一体にされる、請求項2に記載の車両(10)。
【請求項4】
前記サスペンション機構は、下端(86)が第1の弾性ブッシュ(90)によって前記車両(10)の前記後輪サスペンションユニット(28)に拘束され、上端(88)が取り付けブラケット(94)を介して第2の弾性ブッシュ(92)によって前記エンジンユニット(22)に拘束される反作用ロッド(84)を更に備え、該反作用ロッド(84)は、前記エンジンユニット(22)の重量の前記弾性支持ピン(72、74)で支持されない一部分を支持でき、前記エンジンユニット(22)自体の駆動トルクに反作用することができる、請求項2又は請求項3に記載の車両(10)。
【請求項5】
前記補助サスペンション機構は、前記後輪サスペンションユニット(28)と前記フレーム(12)との間でブラケット(98)を介して弾性拘束をもたらす前側弾性ブッシュ(96)を備え、また、前記補助サスペンション機構は、後輪(18、20)のタイヤの垂直方向の弾性によって機能する、請求項1から4のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項6】
前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)の方向で測定した、前記後輪サスペンションユニット(28)の前記フレーム(12)に対する拘束点(68)と前記エンジンユニット(22)の質量中心(70)との間の距離(A)は、前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)の方向で測定した、前記質量中心(70)と前記後輪(18、20)の車軸(144)との間の距離(B)よりも大きい、請求項1から5のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項7】
前記後輪サスペンションユニット(28)は、リジッドブリッジ(124)形式であり、前記前輪サスペンションユニット(26)は、独立懸架機構の「マクファーソン」形式である、請求項1から6のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項8】
前記後輪サスペンションユニット(28)は、前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)に対して横方向に配置され、前記後輪サスペンションユニット(28)の前記ブリッジ(124)の後部に配置されるリーフスプリング形可撓性部材(122)を備え、該リーフスプリング形可撓性部材(122)は、前記フレーム(12)に対するレバウンド及びロール運動に関して前記ブリッジ(124)を垂直方向に案内すると共に横方向に拘束することができる、請求項7に記載の車両(10)。
【請求項9】
前記リーフスプリング形可撓性部材(122)は、両端に該リーフスプリング形可撓性部材(122)と前記ブリッジ(124)との間をピン(130)で結合するための弾性ブッシュ(128)を収容するのに適する2つの円筒空洞(126)を備え、前記リーフスプリング形可撓性部材(122)の中央に拘束される第3の弾性ブッシュ(132)は、ブラケット(136)によって前記リーフスプリング形可撓性部材(122)の中心線を前記フレーム(12)に拘束し、前記フレーム(12)の前記リーフスプリング形可撓性部材(122)の横方向への移動を防止する、請求項8に記載の車両(10)。
【請求項10】
前記第3の弾性ブッシュ(132)の仮想弾性中心(E)は、前記後輪(18、20)の車軸(144)の後方に配置され、該仮想弾性中心(E)は、前記ブリッジ(124)をブラケット(140)によって前記フレーム(12)に取り付ける前側弾性ブッシュ(138)の仮想弾性中心(F)の垂直方向の高さ(H2)よりも高い、垂直方向の高さ(H1)で配置され、前記前側弾性ブッシュ(138)の前記ピン及び前記第3の弾性ブッシュ(132)の前記ピンは、前記後輪サスペンションユニット(28)を前記フレーム(12)に取り付ける、ただ2つの取り付け点を形成して、前記車両(10)の組み立て時間及びコストを低減するようになった、請求項9に記載の車両(10)。
【請求項11】
前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)に対して横方向(Q)で測定した、前記リーフスプリング形可撓性部材(122)と前記ブリッジ(124)との間を結合する2つの弾性ブッシュ(128)を構成する組立体及び、前記第3の弾性ブッシュ(132)の弾性は、前記ブリッジ(124)の前記前側弾性ブッシュ(138)の横向き弾性の約半分である、請求項10に記載の車両(10)。
【請求項12】
前記フレーム(12)への結合機構及び「パンタグラフ式」開閉機構を有する、前記車両(10)にアクセスするための少なくとも1つのドア(34)を備え、前記フレーム(12)に対する第1の端部ジョイント(104)と前記ドア(34)に対する第2の端部ジョイント(106)とを有する支持アーム(100)、及び前記フレーム(12)に対する第1の端部ジョイント(108)と前記ドア(34)に対する第2の端部ジョイント(110)とを有するガイドアーム(102)を備える、請求項1から11のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項13】
前記支持アーム(100)が前記ドア(34)の重量を支持するのに適するが、前記ガイドアーム(102)が単に前記ドア(34)の軌道を一義的に定める機能だけを有する場合、前記ガイドアーム(102)の横断面の面積は、前記支持アーム(100)の横断面の面積よりも小さい、請求項12に記載の車両(10)。
【請求項14】
前記フレーム(12)は、前記車両(10)の各ドア区画とフロアとの間の交差部に設けられ、前記車両(10)の中心軸線(Z−Z)に向かって内側に折り曲げられた特定の管状部材(118)を有し、前記折り曲げられた管状部材(118)は、前記車両(10)の運転座席(44)と前記ドア区画との間の距離を低減する「荷下ろし部(discharge)」を形成し、前記管状部材(118)の存在により、前記ドア(34)を閉じた場合に前記車両(10)の全フロアの連続性を回復させるように、前記車両(10)のフロアの残りの部分は各ドア(34)の下部120に設けられる、請求項12又は13に記載の車両(10)。
【請求項15】
前記車両(10)の前記フロア又はデッキは、前記フレーム(12)と一体であり運転座席(44)及び乗客座席(44’)を支持する構成要素として機能する、タンク形構造要素(42)を構成し、該タンク形構造要素(42)は、必要な機能性及び前記車両(10)内の乗員のための人間工学的機能以外に、前記車両(10)が被る可能性のある何らかの衝突又は外部衝撃に関する適切な安全対策を確保するようになっている、請求項1から14のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項16】
前記タンク形構造要素(42)は、一体に形成される前記前輪(14、16)用のフロントホイールハウス(46、48)、及び前記後輪(18、20)用のリヤホイールハウス(50、52)を備え、前記タンク形構造要素には、車両(10)用のエンジンユニット(22)、変速機ユニット、及び使用可能な荷物室を収容するのに適したキャビティが設けられる、請求項15に記載の車両(10)。
【請求項17】
前記タンク形構造要素(42)の中央には、前記運転座席(44)を支持する基部を形成する隆起プラットホーム(54)が設けられ、前記車両(10)の2つの乗客座席(44’)を支持するための基部を形成する、前記リヤホイールハウス(50、52)の上の前記タンク形構造要素(42)の後端には、別個の隆起プラットホーム(56、58)がそれぞれ設けられる、請求項16に記載の車両(10)。
【請求項18】
前記レーム(12)は、前記運転座席(44)を支持するための前記基部を形成する前記隆起プラットホーム(54)に設けられた前記キャビティの内部又はその下部に挿入されて所定形状に結合して所要の構造的剛性を確保する、1つ又はそれ以上の特定の管状部材(60)を備える、請求項17に記載の車両(10)。
【請求項19】
前記フレーム(12)は前記乗客座席(44’)を支持するための前記基部を形成する前記2つの隆起プラットホーム(56、58)の真下に所定形状に結合して配置される2つの管状部(62、64)を備え、更に、前記2つの管状部(62、64)は、前記2つの隆起プラットホーム(56、58)を支持するための前記基部を形成する、請求項17又は18に記載の車両(10)。
【請求項20】
前記エンジンユニット(22)を収容するのに適した前記キャビティは、前記乗客座席(44’)を支持するための基部を形成する前記2つの隆起プラットホーム(56、58)の間に設けられ、前記エンジンユニット(22)は、前記キャビティ内で、前記車両(10)の長手方向に配置される、請求項17に記載の車両(10)。
【請求項21】
前記隆起プラットホーム(54)に設けられて前記運転座席(44)を支持する基部を形成する前記キャビティには、バッテリ及び前記エンジンユニット(22)を制御するためのシステムが配置され、前記隆起プラットホーム(54)は、前記車両(10)の前記エンジンユニット(22)の保守整備を行うための1つ又はそれ以上の検査ポートを備える、請求項17に記載の車両(10)。
【請求項22】
前記タンク形構造要素(42)は、ガラス繊維製か又は同じ特性の材料で作られる、請求項15から21のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項23】
前記エンジンユニット(22)は、内燃機関、電動モータ、又は互いに作動可能に結合された内燃機関及び電動モータを有するハイブリッドエンジン式とすることができる、請求項1から22のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項24】
前記変速機ユニットは、差動装置−減速歯車−インバータユニットを備える自動式無段変速機ユニット(CVT)である、請求項1から23のいずれかの記載の車両(10)。
【請求項25】
前記フレーム(12)は、クローズドボディ又はオープンボディで覆うのに適するようになっており、開閉式後部ドア(30)、前記エンジンユニット(22)を覆う機能をもつ後部リヤパネル(32)、前記車両(10)の各側面に1つで前記車両(10)にアクセスするための2つのドア(34)、及び固定式、又は一部の又は完全な開閉式のルーフ(40)を備える、請求項1から24のいずれかの記載の車両(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−511437(P2013−511437A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540504(P2012−540504)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/IB2010/002761
【国際公開番号】WO2011/061585
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(501441773)ピアジオ アンド コンパニア ソシエタ ペル アチオニ (15)
【Fターム(参考)】