説明

回り込みキャンセラ回路及び無線通信装置、回り込みキャンセル方法

【課題】簡単且つ安価な回路構成で送信信号の受信回路への回り込みを低減できる回り込みキャンセラ回路及び該回り込みキャンセラ回路を備えた無線通信装置を得る。
【解決手段】送信部21、受信部22及び減衰量調整部23を有するLSI2と、第1,第2のカプラ3,4と、アンテナ5と、減衰器6と、結合器7とを備え、第2のカプラ4の4番端子から減衰器6を通って結合器7の入力端までの第1の線路8の線長L1を、結合器7に入る直前の信号S4が第2のカプラ4を通過した後の送信信号S1の信号波形と位相差が生じない程度の線長とするとともに、第1のカプラ3の3番端子と結合器7の入力端までの第2の線路9の線長L2を、結合器7に入る直前の回り込み信号S3の信号波形と位相が180度異なる線長とし、信号S4で回り込み信号S3を相殺するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信信号の受信回路への回り込みを低減する回り込みキャンセラ回路及び該回り込みキャンセラ回路を用いた無線通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送信信号の送信と受信信号の受信を1つのアンテナで同時に行っている無線回路では、カプラもしくはサーキュレータを用いて、アンテナへ向かう送信信号とアンテナから戻ってくる受信信号とを分離している。しかしながら、カプラは、送信信号の受信回路への回り込みが大きく、本来欲しいアンテナからの受信信号が埋もれてしまうという課題がある。一方、サーキュレータは、カプラと比較して回り込みを低減できるが、カプラと比較して部品単価が高いという課題がある。
【0003】
ここで、一般的なRFID(Radio Frequency IDentification)リーダライタ装置として用いられている無線通信装置における送受信信号の流れについて説明する。図3は、当該装置の概略構成と送受信信号の流れを示す図である。同図に示す無線通信装置100は、送受信機能を有するLSI(Large Scale Integration)101と、方向性結合器であるカプラ102と、送受信共用のアンテナ103と、を備えている。LSI101の送信端子Txから送信信号S1(図示せぬRFタグへ送信される信号)が出力され、カプラ102を通ってアンテナ103より送信される。同時にRFIDタグ(図示略)からの応答がアンテナ103で受信されて、受信信号S2としてカプラ102を通り、LSI101の受信端子Rxより入力される。また、送信信号S1の送信とともに本来必要としない送信信号S1からの回り込み信号S3がカプラ102の特性上僅かに発生し、この回り込み信号S3もLSI101の受信端子Rxより入力される。
【0004】
一般に、RFIDリーダライタ装置とRFIDタグで構成されるRFIDシステムにおいては、RFIDタグからの応答信号が微弱な信号であることから、回り込み信号S3があまりにも大きいと、本来必要とする受信信号S2が得られても受信に影響を及ぼすことになる。このようなことから、RFIDリーダライタ装置のような送信と受信を同時に行う無線通信装置には、送信信号の受信回路への回り込みをキャンセルする手段が必要となる。
【0005】
送信信号の受信回路への回り込みをキャンセルする手段を備えた装置の一例として、例えば特許文献1〜3に記載されたものがある。特許文献1に記載された無線通信装置は、ベースバンド送信を変調して送信する送信部と、前記送信部と同期と取りながら信号を受信する受信部と、サーキュレータを介して前記送信部及び前記受信部に接続され、送受信に兼用されるアンテナと、前記送信部及び前記受信部による送受信を制御する制御部と、前記送信部と前記サーキュレータとの間に設けられ、前記送信部から送信される信号の位相を変化させる位相器と、を備え、前記制御部が、前記送信部から前記受信部へ回り込む信号の電圧レベルを、前記受信部の構成要素を利用して検出する回り込み信号レベル検出手段と、前記回り込み信号の電圧レベルに応じて、前記送信部から送信される信号の位相を自動的に調整する位相自動調整手段と、を備える。
【0006】
特許文献2に記載の無線通信装置は、無線タグに第1のアンテナから読取要求するための送信信号を送信すると共に、該無線タグから送信される応答信号を第2のアンテナで受信し、受信信号を直交復調部で復調して前記無線タグの応答情報を解読する無線通信装置であって、読取要求するための信号を変調した後の信号を増幅する増幅部と、前記増幅部と前記第1のアンテナの間に設けられ前記増幅部の出力信号と比例したレベルの信号を取り出すための分波部と、前記直交復調部で復調した後の位相差90°の2信号を負帰還し、前記分波部で取り出した信号の信号レベルをこの2信号で調整する可変アッテネータ部と、を備え、前記受信信号を前記可変アッテネータ部からの出力と結合器で混合し、前記受信信号に混入した干渉信号を前記可変アッテネータ部からの出力で低減する。
【0007】
特許文献3に記載のRFIDリーダライタ装置は、送信時に、RFIDに向けてアンテナから所定の送信信号を送信し、受信時に、電力供給用の無変調搬送波をアンテナを介して前記RFIDへ供給し、該RFIDから前記送信信号に応じて返信される返信信号をアンテナを介して受信機により受信することで該RFIDとの間で通信を行うRFIDリーダライタ装置であって、受信時に送信する電力供給用の無変調搬送波の前記受信機への回り込みを、回り込み信号と等振幅で逆位相のキャンセル信号を加えることでキャンセルするキャリアキャンセラと、前記キャンセル信号の振幅を補正する振幅補正手段と、前記キャンセル信号の位相を補正する位相補正手段と、振幅補正値と位相補正値とを前記無変調搬送波の位相状態毎に保持し、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力する補正値保持手段と、前記電力供給用の無変調搬送波の位相状態を予測する位相予測手段と、を備え、前記補正値保持手段が、前記位相予測手段により予測された位相状態に基づき、当該位相状態により生ずる振幅補正値と位相補正値とを、前記振幅補正手段と前記位相補正手段とにそれぞれ出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−087137号公報
【特許文献2】特開2008−271180号公報
【特許文献3】特開2010−124328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載された無線通信装置及び特許文献3に記載されたRFIDリーダライタ装置では、回り込み信号を低減させるために、多くの部品を設ける必要があり、このため、回路構成が複雑になるとともに、製造コストが上昇するという課題がある。また、これらの装置では、アンテナ共用器として比較的単価の高いサーキュレータを用いており、これも製造コストを上昇させる一因となっている。
【0010】
本発明は係る事情に鑑みてなされたものであり、簡単且つ安価な回路構成で送信信号の受信回路への回り込みを低減できる回り込みキャンセラ回路及び該回り込みキャンセラ回路を備えた無線通信装置、回り込みキャンセル方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の回り込みキャンセラ回路は、送信信号をアンテナ側へ通すとともに、前記アンテナで受信された受信信号を受信側へ通す第1のカプラより送信側に前記第1のカプラと従属接続され、前記送信信号の一部の信号を抽出する第2のカプラと、前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号と前記第1のカプラを通して受信側へ回り込む送信信号の回り込み信号とを結合する結合器と、前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号の信号レベルを前記回り込み信号の信号レベルまで減衰させる減衰器と、前記減衰器を通して前記第2のカプラの前記送信信号の一部の信号を出力する出力端と前記結合器の一方の入力端とを電気的に接続し、前記結合器に入る直前の前記送信信号の一部の信号が前記第2のカプラを通過した後の前記送信信号の信号波形と位相差が生じない線長の第1の線路と、前記第1のカプラの前記受信信号を出力する出力端と前記結合器の他方の入力端とを電気的に接続し、前記回り込み信号の位相が前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号の位相に対して180度反転する線長の第2の線路と、を備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、簡単且つ安価な回路構成で送信信号の受信回路への回り込みを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る無線通信装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の無線通信装置の各部における信号波形を示す図である。
【図3】一般的なRFIDリーダライタ装置として用いられている無線通信装置の概略構成と送受信信号の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る無線通信装置の概略構成と送受信信号の流れを示す図である。同図において、本実施の形態に係る無線通信装置1は、RFIDリーダライタ装置とRFIDタグで構成されるRFIDシステムのRFIDリーダライタ装置として用いられるものであり、信号の送受信と減衰量の調整を行う機能を持ったLSI((Large Scale Integration)2と、方向性結合器である第1,第2のカプラ3,4と、送受信共用のアンテナ5と、信号の振幅を減衰させる減衰器6と、入力される2つの信号を結合する結合器7と、を備える。
【0015】
LSI2は、送信部21、受信部22及び減衰量調整部23を有し、送信部21は送信信号S1を出力し、受信部22は、アンテナ5で受信された受信信号S2を復調する。減衰量調整部23は、減衰器6を制御して減衰器6の減衰量を調整する。第1,第2のカプラ3,4は、LSI2の送信部側に従属接続される。第2のカプラ4は、1番端子がLSI2の送信部21の出力端Txと接続され、2番端子が第1のカプラ4の1番端子と接続される。また、3番端子が接地され、4番端子が減衰器6の入力端(図示略)と接続される。第1のカプラ3は、アンテナ共用器として用いられるものであり、2番端子がアンテナ5と接続され、3番端子が結合器7の2つの入力端の一方と接続される。また、4番端子が接地される。第1,第2のカプラ3,4のそれぞれの1番端子に信号を入力することで当該信号が2番端子から出力される。
【0016】
第1,第2のカプラ3,4は同一の機能を持つものであるが、本実施の形態に係る無線通信装置1における接続関係では、信号の流れは次のようになる。すなわち、第2のカプラ4では、1番端子に入力した信号の一部が4番端子から出力される。第1のカプラ3では、2番端子に入力した信号が3番端子から出力される。また、第1のカプラ3では、理論上1番端子に入力した信号が3番端子から出力されることはないものの、実際はカプラの持つアイソレーション量に応じた信号が出力される。このアイソレーション量に応じた信号が回り込み信号S3となる。
【0017】
このように、第1,第2のカプラ3,4によって、LSI2の送信部21から出力された送信信号S1がアンテナ5に至り、また第2のカプラ4によって、送信信号S1の一部の信号S4が出力され、さらに、第1のカプラ3によって、アンテナ5で受信された受信信号S2が出力される。また、第1のカプラ3の3番端子から回り込み信号S3が出力される。
【0018】
アンテナ5は、LSI2の送信部21から出力された送信信号S1を送信する。アンテナ5から送信された送信信号S1はRFIDタグ(図示略)にて受信される。RFIDタグ(図示略)は、送信信号S1を受信した後、応答信号を送信する。アンテナ5は、RFIDタグから送信された応答信号を受信する。なお、パッシブ型のRFIDタグは自ら電源を持っていないことから、LSI2は送信信号S1を常時送信し、RFIDタグに電力を供給しながらRFIDタグから送信される応答信号を受信する。減衰器6は、第2のカプラ4で抽出された送信信号S1の一部の信号S4の振幅を減衰させる。減衰器6は、外部からの信号によりダイナミックに減衰量の調整が可能となっており、制御信号入力端(図示略)がLSI2のGPOI端を介して減衰量調整部23に接続されている。結合器7は、減衰器6で振幅調整された信号S4と回り込み信号S3を結合する。
【0019】
第2のカプラ4の4番端子から減衰器6を通って結合器7の入力端まで至る第1の線路8の長さ(”線長”と呼ぶ)L1は、結合器7に入る直前の信号S4が、第2のカプラ4を通過した後の送信信号S1の信号波形と位相差が生じない程度の線長となっている。一方、第1のカプラ3の3番端子と結合器7の入力端まで至る第2の線路9の線長L2は、結合器7に入る直前の回り込み信号S3の信号波形と位相が180度異なる線長となっている。第1の線路8及び第2の線路9は、例えば本装置1の各部品が実装される回路基板の配線パターン(回路基板及び配線パターンの図は省略する)として形成される。
【0020】
このように、第2のカプラ4の4番端子と結合器7の2つの入力端の一方との間を信号S4が通る第1の線路8の線長をL1とし、第1のカプラ3の3番端子と結合器7の2つの入力端の他方との間を回り込み信号S3が通る第2の線路9の線長をL2とすることで、結合器7の2つの入力端における2つの信号S3,S4の位相が互いに180度異なることになる。そして、このとき信号S4の信号レベルが回り込み信号S3の信号レベルと合っていれば、信号S4は回り込み信号S3を相殺できることになる。この場合、回り込み信号S3の信号レベルは第1,第2のカプラ3,4の部品特性のばらつきや装置周りの周囲環境等により大きさが上下にぶれることが考えられるので、必ずしも100%相殺できるとは限らないが、減衰器6の減衰量を調整することで相殺できる量を大きくすることが可能である。LSI2の減衰量調整部23は、減衰器6を制御して信号S4の信号レベルを調整する。なお、第1の線路8の線長L1と、第2の線路9の線長L2とは、信号の波長λとすると、{(2n−1)÷2}λだけずれがある各線長とするのが好ましい。なおnは正の整数である。
【0021】
なお、上記第2のカプラ4、減衰器6、結合器7、第1線路8、第2の線路9及びLSI2の減衰量調整部23は回り込みキャンセラ回路15を構成する。
【0022】
次に、本実施の形態に係る無線通信装置1の動作について説明する。
LSI2の送信部21から出力された送信信号S1が第2,第1のカプラ4,3の1番端子−2番端子を順次通りアンテナ5から送信される。送信信号S1の送信に応答してRFIDタグ(図示略)から応答信号が送信されると、この応答信号がアンテナ5で受信され、受信信号S2が第1のカプラ3、結合器7を順次通りLSI2の受信部22に入力される。一方、送信信号S1の送信に伴い、第2のカプラ4の4番端子から送信信号S1の一部の信号S4が出力され、この信号S4が減衰器6で減衰されて結合器7の2つの入力端の一方に入力される。また、第1のカプラ3の3番端子から回り込み信号S3が出力され、結合器7の2つの入力端の他方に入力される。信号S4と回り込み信号S3は略同じ信号レベルであり、また位相が互いに180度異なっていることから、結合器7で略相殺される。これにより、結合器7からは回り込み信号S3は出力されないか、信号レベルの極小さい信号が出力されるだけである。なお、結合器7から出力される受信信号とは別の信号をS5と呼ぶ。このように、送信信号S1の受信部22への回り込みが低減するので、RFIDタグ(図示略)からの応答内容を読み取る読取精度の向上が図れる。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る無線通信装置1の各部における信号波形を示す図である。同図において、第1のカプラ3の3番端子からは、本来必要としない送信信号S1の回り込み信号S3が出力される。この回り込み信号S3の信号波形をδとする。この回り込み信号S3を打ち消すための信号S4が第2のカプラ4の4番端子から出力される。この信号S4の信号波形をαとする。信号波形αの信号S4が減衰器6を通ることで、回り込み信号S3の信号レベルと同程度の信号レベルまで減衰する。減衰した後の信号波形をβとする。そして、結合器7の入力される直前の信号S4の信号波形をγとし、また結合器7の入力される直前の回り込み信号S3の信号波形をεとする。信号波形γの信号S4と信号波形εの回り込み信号S3は位相が180度異なり、かつ信号レベルが略同じであることから、結合器7で結合された際にお互いを打ち消し合い、結合器7からは信号レベルの低い信号波形ξの信号S5が出力される。
【0024】
このように本実施の形態の無線通信装置1によれば、送信部21、受信部22及び減衰量調整部23を有するLSI2と、第1,第2のカプラ3,4と、アンテナ5と、減衰器6と、結合器7とを備え、第2のカプラ4の4番端子から減衰器6を通って結合器7の入力端までの第1の線路8の線長L1を、結合器7に入る直前の信号S4が第2のカプラ4を通過した後の送信信号S1の信号波形と位相差が生じない程度の線長とするとともに、第1のカプラ3の3番端子と結合器7の入力端までの第2の線路9の線長L2を、結合器7に入る直前の回り込み信号S3の信号波形と位相が180度異なる線長とし、信号S4で回り込み信号S3を相殺するようにしたので、位相調整器が不要となり、構成の簡略化が図れるとともにコストの削減ができる。また、部品点数が少なくて済むことから装置の小型化も図れる。また、効果的に回り込み信号を低減できることから高価なサーキュレータを必要とせず、コスト削減に大きく寄与できる。
また従来は、送信信号の受信部22への回り込み信号の大きさを考慮して、受信部22付近に配置されている各素子(図示せず)の最大定格電力を大きなものとしなければならなかった。しかしながら上述の構成により、結合器7から出力される打ち消し合った後の信号S5は小さなものとなるため、当該各素子の最大定格電力を考慮することなく、回路を構成することが可能となる。
【0025】
なお、本実施の形態に係る無線通信装置1では、減衰器6と結合器7をLSI2とは別体としたが、減衰器6及び結合器7をLSI2内で実現することも可能である。このようにすることで、更なるコストの削減と小型化が図れる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、RFIDリーダライタとRFIDタグで構成されるRFIDシステムへの適用が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 無線通信装置
2 LSI
3 第1のカプラ
4 第2のカプラ
5 アンテナ
6 減衰器
7 結合器
8 第1の線路
9 第2の線路
15 回り込みキャンセラ回路
21 送信部
22 受信部
23 減衰量調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信信号をアンテナ側へ通すとともに、前記アンテナで受信された受信信号を受信側へ通す第1のカプラより送信側に前記第1のカプラと従属接続され、前記送信信号の一部の信号を抽出する第2のカプラと、
前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号と前記第1のカプラを通して受信側へ回り込む送信信号の回り込み信号とを結合する結合器と、
前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号の信号レベルを前記回り込み信号の信号レベルまで減衰させる減衰器と、
前記減衰器を通して前記第2のカプラの前記送信信号の一部の信号を出力する出力端と前記結合器の一方の入力端とを電気的に接続し、前記結合器に入る直前の前記送信信号の一部の信号が前記第2のカプラを通過した後の前記送信信号の信号波形と位相差が生じない線長の第1の線路と、
前記第1のカプラの前記受信信号を出力する出力端と前記結合器の他方の入力端とを電気的に接続し、前記回り込み信号の位相が前記第2のカプラで抽出された前記送信信号の一部の信号の位相に対して180度反転する線長の第2の線路と、
を備えた回り込みキャンセラ回路。
【請求項2】
前記第1,第2のカプラのそれぞれは、方向性結合器である請求項1に記載の回り込みキャンセラ回路。
【請求項3】
前記減衰器は、減衰量の調整が可能である請求項1又は請求項2に記載の回り込みキャンセラ回路。
【請求項4】
前記減衰器の減衰量を調整する減衰量調整部を備えた請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回り込みキャンセラ回路。
【請求項5】
前記第1,第2の線路のそれぞれは、回路基板の配線パターンとして形成された請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の回り込みキャンセラ回路。
【請求項6】
アンテナと、
送信部と、
受信部と、
前記送信部から出力される送信信号をアンテナ側へ通すとともに、前記アンテナで受信された受信信号を前記受信部側へ通す第1のカプラと、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の回り込みキャンセラ回路と、
を備えた無線通信装置。
【請求項7】
アンテナ共用器として用いられる第1のカプラより送信部側に、前記第1のカプラと従属接続する第2のカプラを設け、前記第2のカプラで送信信号の一部の信号を抽出し、
抽出した前記送信信号の一部の信号の信号レベルを前記第1のカプラで抽出される受信信号の信号レベルまで減衰させ、
前記第1のカプラを通過する受信信号を受信部側へ伝送するための導線の線長を調整して、前記第1のカプラを通過して前記受信部側へ回り込む回り込み信号の位相が前記送信信号の一部の信号の位相と180度異なるようにし、
前記送信信号の一部の信号と、該信号と逆位相の前記回り込み信号とを結合する、
回り込みキャンセル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−115808(P2013−115808A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263470(P2011−263470)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】