説明

回収装置

【課題】液面に浮かんだ浮上物を効率よく回収できる回収装置を提供する。
【解決手段】油回収装置1は、回転可能な回転軸11を備える。この回転軸11には、液面に浮かんだ油が付着する多孔性の回転板13を設ける。この回転板13の一側方には、回転板13に付着した油を掻き取る掻取体21を配設する。回転板13の他端方には、この回転板13に向けて空気を噴射する空気噴射手段31を配設する。掻取体21には、回転板13を介して空気噴射手段31と離間対向する油飛散防止板41を立設する。回転板13は、円形状の網板またはパンチング板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面に浮かんだ油等の浮上物を回収するための回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された油回収装置が知られている。
【0003】
この従来の油回収装置は、所定方向に回転する水平状の回転軸と、この回転軸に設けられ液面に浮かんだ浮上物である油が付着するプラスチック板や金属板からなる回転板と、この回転板に付着した油を切込溝の左右の溝縁によって掻き取る掻取体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−335673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の油回収装置では、例えば液面に浮かんだ油が回転板に付着しにくく、回転板への付着油の量が不十分となる場合があり、液面上の浮上物である油を効率よく回収できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、浮上物を効率よく回収できる回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の回収装置は、液面に浮かんだ浮上物を回収するための回収装置であって、回転軸と、この回転軸に設けられ、液面に浮かんだ浮上物が付着する多孔性の回転板と、この回転板に付着した浮上物を掻き取る掻取体と、前記回転板に向けて空気を噴射する空気噴射手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載の回収装置は、請求項1記載の回収装置において、回転板から離れた浮上物が飛散するのを防止する飛散防止板を備えるものである。
【0009】
請求項3記載の回収装置は、請求項2記載の回収装置において、掻取体は、回収部側に向かって下り傾斜する掻取板部を有し、飛散防止板は、前記掻取板部に立設されているものである。
【0010】
請求項4記載の回収装置は、請求項2または3記載の回収装置において、掻取体および飛散防止板が回転板の一側方に配設され、空気噴射手段が前記回転板の他側方に配設されているものである。
【0011】
請求項5記載の回収装置は、請求項1ないし4のいずれか一記載の回収装置において、回転板は、円形状の網板またはパンチング板にて構成されているものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、多孔性の回転板には浮上物が付着しやすく、また多孔性の回転板に付着した浮上物を掻取体および空気噴射手段を利用して回転板から適切に除去できるため、浮上物を効率よく回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る回収装置の斜視図である。
【図2】同上回収装置の側面視断面図である。
【図3】同上回収装置の平面図である。
【図4】(a)ないし(c)は同上回収装置の作用説明図である。
【図5】(a)ないし(c)は空気噴射圧力を低くした場合の作用説明図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る回収装置の平面図である。
【図7】同上回収装置の側面視断面図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る回収装置の平面図である。
【図9】同上回収装置の側面視断面図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る回収装置の側面視断面図である。
【図11】同上回収装置の平面図である。
【図12】本発明の第5の実施の形態に係る回収装置の平面図である。
【図13】同上回収装置の側面視断面図である。
【図14】本発明の第6の実施の形態に係る回収装置の平面図である。
【図15】同上回収装置の側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図3において、1は回収装置である油回収装置で、この油回収装置1は、例えば液体貯留手段である貯留槽2に貯留された油含有排水等の液体の液面、すなわち例えば水面に浮かんだ浮上物である液状の油(浮上油)Aを回収部である油回収部3に回収するための装置である。なお、油回収装置1は、例えばレストラン等の飲食店の厨房や、油含有排水がでる工場等で使用される。
【0016】
油回収部3は、例えば油Aを貯留可能な箱形状の油回収容器(油タンク)4にて構成されている。油回収容器4は、上面開口部5を有する直方体の箱形状に形成されている。
【0017】
油回収装置1は、図示しない駆動手段である駆動モータからの動力によって所定方向(図示矢印方向)に回転する水平状の駆動軸である回転軸11を備えている。
【0018】
回転軸11は、貯留槽2に上方に向かって突設された1対の軸支持板12にて回転可能に支持されている。つまり、回転軸11の軸方向一端部が一方の軸支持板12にて回転可能に支持され、回転軸11の軸方向他端部が他方の軸支持板12にて回転可能に支持されている。回転軸11は、貯留槽2内の液体の液面に浮かんだ油Aよりも上方に配設され、その軸方向が水平方向に一致した水平状に位置している。
【0019】
また、油回収装置1は、回転軸11の軸方向中間部である軸方向中央部にこの回転軸11と一体となって回転するように固定的に鉛直状に設けられ貯留槽2内の液体の液面に浮かんだ油Aが付着する円形状の多孔性の回転板13を備えている。回転板13は、回転軸11に対して直交状であり、鉛直面に沿って位置している。
【0020】
回転板13は、所定の厚さ寸法を有する円板状のもので、その中央部に軸挿通用孔部14が形成され、この軸挿通用孔部14に回転軸11が挿通固定されている。回転板13は、その回転軸(回転中心軸線)11を中心として回転する。
【0021】
回転板13は、油Aが入り込んで付着する多数の孔13aを有する多孔性のもので、例えば網板またはパンチング板にて構成されている。つまり、回転板13には、入り込んできた油Aを保持する複数の孔13aが回転板13の全体にわたって分散して形成されている。このため、この多孔性の回転板13は、そのような孔が形成されていない平板からなるもの等に比べて、油Aがその粘度や表面張力等に基づいて孔13aに付着しやすく、十分な量の油Aを回転板13で一時的に保持することが可能である。
【0022】
なお、図4および図5には、回転板13がパンチング板(パンチングメタル)にて構成された例が図示されているが、それ以外の図面では回転板13として網板を用いた例が図示されている。
【0023】
図2に示されるように、回転板13の下端部15は、貯留槽2内の液体の液面下に位置し、その液体に浸漬されている。また、図3に示されるように、回転板13が回転すると、貯留槽2内の液体は、矢印aのように、油Aとともに回転板13に向かって流動する。
【0024】
また、油回収装置1は、鉛直状の回転板13の一側方(一側面の外方)にこの回転板13の一側面に近接するように配設され回転板13の一側面(被掻取面)に付着した油Aを掻き取るスクレーパである掻取体21を備えている。
【0025】
掻取体21は、一方の軸支持板12に一端部が固定的に取り付けられた取付部22と、この取付部22の他端部に一体に設けられ油回収部3側に向かって水平方向に対して下り傾斜する傾斜状の掻取板部23とを有している。
【0026】
掻取板部23は、回転板13の一側面から掻き取った油Aを油回収部3まで案内して流す油流し部を兼ねたもので、回転板13の半径よりも長い長手状の矩形板状に形成され、基端部側から先端部側に向かって徐々に下り傾斜している。掻取板部23の長手方向一端部である基端部は、取付部22の端部に連結され、回転軸11の近傍に位置している。掻取板部23の長手方向他端部である先端部は、回転板13の外端よりも外方に位置し、上面開口部5から油回収部3内に挿入されている。また、掻取板部23は、回転板13のうち回転時に下方側に向かって移動する部分と対向して配設されている。
【0027】
そして、掻取板部23の短手方向一端部つまり掻取板部23の回転板13側の側端部のうち、回転板13の一側面と接触(略接触を含む)する部分が、回転板13の一側面にこの一側面から膨出状に付着した油Aを掻き取る掻取部分24となっている。
【0028】
なお、掻取部分24は、回転板13の一側面と接触しても損傷することがないように、例えば弾性変形可能なゴム板材やブラシ材等で構成してもよい。特に、回転板13が網板である場合には、掻取部分24をブラシ材で構成することが好ましい。
【0029】
また、油回収装置1は、鉛直状の回転板13の他側方(他側面の外方)に配設され回転板13の他側面に向けて噴射口32から空気を噴射する油除去用の空気噴射手段31を備えている。
【0030】
空気噴射手段31は、噴射口32から回転板13の他側面に向けて空気を噴射する複数本、例えば3本の空気噴射管33を有している。複数本の空気噴射管33は、噴射口32が回転板13の他側面を向いた状態で、互いに間隔をおいて水平状に配設されている。空気噴射管33には、送風機等からなる空気供給部34が接続されており、この空気供給部から所定圧力の空気が空気噴射管33に供給される。
【0031】
図2に示されるように、空気噴射管33は、側面視で、掻取体21の傾斜状の掻取板部23よりも上方に配設されている。換言すると、側面視で、掻取板部23が空気噴射管33の噴射口32よりも回転板13の回転方向前方に位置している。
【0032】
なお、空気噴射手段31の空気噴射圧力、つまり噴射口32から噴射される空気の圧力は、例えば操作部の操作により変更可能となっている。すなわち例えば、空気噴射手段31の空気噴射圧力を、回転板13の孔13aに入り込んで付着した油Aを孔13aから飛ばす程度の大きさの高圧値(第1圧力値)と、回転板13の孔13aに入り込んで付着した油Aを孔13aから膨出させる程度の大きさの低圧値(第2圧力値)とに変更可能となっている。また、回転板13の回転速度(回転軸11の回転速度)も、変更可能となっている。
【0033】
また、油回収装置1は、鉛直状の回転板13の一側方(一側面の外方)にこの回転板13の一側面に対向するように配設され回転板13を介して空気噴射手段31の噴射口32と離間対向する鉛直状の飛散防止板である油飛散防止板41を備えている。油飛散防止板41は、回転板13に対して平行状であり、鉛直面に沿って位置している。そして、油飛散防止板41は、回転板13から離れた油Aが周囲に飛散するのを防止する。
【0034】
油飛散防止板41は、例えば4角板状のもので、傾斜状の掻取板部23の回転板13側とは反対側の側端部に固定的に立設されている。油飛散防止板41は、掻取板部23の側端部の全長にわたって立設されている。すなわち例えば、油飛散防止板41と掻取板部23とが、折り曲げられた1枚の板部材にて一体に形成されている。
【0035】
油飛散防止板41の大きさは、空気噴射手段31の空気噴射より油Aが周囲に飛散するのを防止できる程度必要であり、例えば側面視で回転板13の少なくとも略4分の1が油飛散防止板41と重なるようになっている(図2参照)。
【0036】
次に、油回収装置1の作用等を説明する。
【0037】
駆動モータの作動により回転軸11が回転し、この回転軸11の回転に伴って回転板(例えば網板またはパンチング板)13が所定方向に回転すると、貯留槽2内の液体の液面に浮かんだ油Aは、その回転中の回転板13に付着する。
【0038】
このとき、水面等の液面に浮かんだ油Aは、回転板13の一側面に膨出状に付着したり、回転板13の孔13aに入り込んで付着したりする。
【0039】
そして、回転板13に付着した油Aは、その一部が孔13aに入り込んだ状態のまま、回転板13とともに回転軸11を中心として回転することにより、掻取体21に向かって移動する。
【0040】
回転板13の一側面に膨出状に付着した油Aは、掻取体21の掻取板部23の掻取部分24にて掻き取られ、この掻取板部23上を流れて油回収部3内に落下する。
【0041】
また、回転板13の孔13aに入り込んで付着した油Aは、先ず図4(a)および(b)に示すように、空気噴射手段31の噴射口32との対向位置およびその付近において、空気噴射手段31の空気噴射管33の噴射口32から噴射される所定の高圧値の空気(比較的高圧の空気)により、孔13aから飛び出すようにして回転板13から離れ、油飛散防止板41に付着する。つまり、回転板13の孔13aにて保持されていた油Aが、空気噴射手段31からの空気により油飛散防止板41に向かって吹き飛ばされる。
【0042】
次いで、図4(c)に示すように、油飛散防止板41に付着した油Aは、その自重により油飛散防止板41の回転板13との対向面に沿って掻取板部23上まで流れ落ちる。
【0043】
そして、掻取板部23上に流れ着いた油Aは、掻取板部23の掻取部分24にて掻き取られた油Aとともに、掻取板部23上を流れて油回収部3内に落下する。
【0044】
このように、回転板13に付着した油Aは、掻取体21および空気噴射手段31の両方の利用により回転板13から除去されるようになっている。
【0045】
なおここで、例えば静音化が強く求められる場所、例えばレストラン等の厨房での使用の場合には、空気噴射手段31の空気噴射圧力を低くすればよい。
【0046】
空気噴射圧力を低くすると、空気が回転板13の孔13aを通過する際に生じる風切り音が小さくなり、静音化を図ることが可能である。また、空気噴射圧力を低く設定すると、油Aは、回転板13から離れないが、回転板13の一側面に対して膨出状になるため、掻取板部23にて掻き取ることが可能である。
【0047】
すなわち、回転板13の孔13aに入り込んで付着した油Aは、先ず図5(a)および(b)に示すように、空気噴射手段31の噴射口32との対向位置およびその付近において、空気噴射手段31の空気噴射管33の噴射口32から噴射される所定の低圧値の空気(比較的低圧の空気)により、孔13aから抜け出ようとして回転板13の一側面から膨出した状態となる。つまり、回転板13の孔13aにて保持されていた油Aが、空気噴射手段31からの空気により回転板13の一側面に膨出状に付着した状態となる。
【0048】
次いで、図5(c)に示すように、回転板13の一側面に膨出状に付着した油Aは、掻取体21の掻取板部23の掻取部分24にて掻き取られ、この掻取板部23上を流れて油回収部3内に落下する。
【0049】
なお、例えば孔13aの大きさが異なる複数種の回転板13を予め用意しておき、油Aの粘度に応じて最適な回転板13を選択するようにしてもよい。また、油Aの粘度に応じて回転板13の回転速度を最適な値に変更するようにしてもよい。
【0050】
そして、このような油回収装置1によれば、小型で簡単な構成であるにも拘らず、多数の孔13aを有する多孔性の回転板13には浮上物である油Aが付着しやすく、またその多孔性の回転板13に付着した油Aを掻取体21および空気噴射手段31の両方を利用して回転板13から適切に除去できるため、液面に浮かんだ油Aを効率よく回収できる。
【0051】
また、回転板13を介して空気噴射手段31と離間対向する油受け板である油飛散防止板41を備えるため、空気噴射手段31の空気噴射に基づいて周囲へ飛び散ろうとする油Aの飛散を防止できるとともに、液面に浮かんだ油Aをより効率よく回収できる。
【0052】
さらに、掻取体21は油回収部3側に向かって下り傾斜する掻取板部23を有し、この掻取板部23に油飛散防止板41が立設されているため、油飛散防止板41に付着した油Aは、この油飛散防止板41に沿って掻取板部23上まで流れ落してこの掻取板部23上から油回収部3へと流すことができる。
【0053】
また、多孔性の回転板13は網板またはパンチング板にて構成されているため、液面に浮かんだ油Aを回転板13に効率的に付着させることができ、油回収率の向上を適切に図ることができる。
【0054】
図6および図7には、本発明の第2の実施の形態が示されている。
【0055】
図6および図7に示されるように、油飛散防止板41を掻取体21の掻取板部23に設けない構成でもよい。
【0056】
掻取体21の掻取板部23は水平状に配設され、この掻取板部23にて掻き取られた油Aは、浮上物流し部である油流し樋51内に落下する。この油流し樋51内に入った油Aは、この油流し樋51内を流れて油回収部3内に落下する。
【0057】
油飛散防止板41は、掻取板部23ではなく、油流し樋51の側板52に鉛直状に立設されている。そして、互いに離間対向する回転板13と油飛散防止板41との離間距離が比較的長いため、空気噴射手段31からの空気(比較的高圧の空気)により回転板13から離れた油Aの一部は、油飛散防止板41には到達せず、直接、油流し樋51内に落下する。
【0058】
また、鉛直状の回転板13は、平面視で貯留槽2内の液体の流れ方向(矢印a)である貯留槽2の長手方向に対して傾斜するように配設されている。
【0059】
図8および図9には、本発明の第3の実施の形態が示されている。
【0060】
図8および図9に示されるように、回転板13のうち回転時に上方側に向かって移動する部分(つまり油Aを保持して液面から持ち上げる部分)に向けて、液面に浮かんだ油Aを案内しながら寄せる寄せ板55を、貯留槽2内に配設した構成でもよい。
【0061】
寄せ板55は、離間距離が回転板13側に向かって徐々に減少する1対の側板57,58を有する平面視で略3角形状をなす油寄せ部分56を備えている。
【0062】
また、水平状の掻取板部23の下方には、油流し樋51ではなく、油回収部3が配設されている。このため、掻取板部23にて掻き取られた油Aは、油回収部3内に落下する。空気噴射手段31からの空気(比較的高圧の空気)により回転板13から離れた油Aも油回収部3内に落下する。油飛散防止板41は、油回収部3の側板59に鉛直状に立設されている。
【0063】
さらに、鉛直状の回転板13は、平面視で貯留槽2内の液体の流れ方向(矢印a)である貯留槽2の長手方向に対して直交するように配設されている。
【0064】
図10および図11には、本発明の第4の実施の形態が示されている。
【0065】
図10および図11に示されるように、複数枚の多孔性の回転板13が1本の回転軸11に互いに間隔をおいて並設され、この各回転板13ごとにその一側方に掻取体21および油飛散防止板41が配設されかつその他側方に空気噴射手段31が配設された構成でもよい。そして、この構成では、複数の掻取体21の掻取板部23の先端部は、油回収部3内には挿入されておらず、油回収部3に突設された傾斜板60上に配設されている。
【0066】
図12および図13には、本発明の第5の実施の形態が示されている。
【0067】
図12および図13に示されるように、例えば前記第2の実施の形態において、多孔性の回転板13が、水平方向に対して傾斜する傾斜状に配設された構成でもよい。つまり、この回転板13は、水平方向に対して所定の傾斜角度(例えば15度〜60度、好ましくは約25度)αをもって傾斜する傾斜面に沿って位置している。なお、この傾斜角度αは、油A等の浮上物の粘度や量等によって適宜設定する。
【0068】
このため、貯留槽2内の液体の液面に浮かんだ油Aは、主として傾斜状の回転板13の上面側に付着する。この回転板13の上面側に付着した油Aは、その自重や空気噴射手段31からの空気により、回転板13の下面側へ移動する。なお、空気噴射手段31の空気噴射圧力が高圧値の場合には、回転板13に付着した油Aは、油流し樋51内に向かって吹き飛ばされる。
【0069】
そして、このように回転板13を傾斜状に配設した場合には、回転板13を鉛直状に配設した場合に比べて、液面に浮かんだ油Aが回転板13に付着しやすく、油Aをより一層効率よく回収することができる。
【0070】
なお、図12および図13に示す例では、傾斜状の回転板13の回転中心軸線は、平面視で貯留槽2内の液体の流れ方向(矢印a)である貯留槽2の長手方向に対して傾斜するように配設されている。また、例えば他の流動発生手段により貯留槽2内で液体が流れ方向(矢印a)に流動している場合には、その液体の流動によって傾斜状の回転板13が回転するようにしてもよい。この場合には、回転軸11を回転させる駆動モータ等の駆動手段を設ける必要がない。
【0071】
図14および図15には、本発明の第6の実施の形態が示されている。
【0072】
図14および図15に示されるように、例えば前記第3の実施の形態において、多孔性の回転板13が、水平方向に対して傾斜する傾斜状に配設された構成でもよい。つまり、この回転板13は、水平方向に対して所定の傾斜角度(例えば15度〜60度、好ましくは約25度)αをもって傾斜する傾斜面に沿って位置している。なお、この傾斜角度αは、油A等の浮上物の粘度や量等によって適宜設定する。
【0073】
このため、貯留槽2内の液体の液面に浮かんだ油Aは、主として傾斜状の回転板13の上面側に付着する。この回転板13の上面側に付着した油Aは、その自重や空気噴射手段31からの空気により、回転板13の下面側へ移動する。なお、空気噴射手段31の空気噴射圧力が高圧値の場合には、回転板13に付着した油Aは、油回収部3内に向かって吹き飛ばされる。
【0074】
そして、このように回転板13を傾斜状に配設した場合には、回転板13を鉛直状に配設した場合に比べて、液面に浮かんだ油Aが回転板13に付着しやすく、油Aをより一層効率よく回収することができる。
【0075】
なお、図14および図15に示す例では、傾斜状の回転板13の回転中心軸線は、平面視で貯留槽2内の液体の流れ方向(矢印a)である貯留槽2の長手方向に沿って配設されている。また、例えば他の流動発生手段により貯留槽2内で液体が流れ方向(矢印a)に流動している場合には、その液体の流動によって傾斜状の回転板13が回転するようにしてもよい。この場合には、回転軸11を回転させる駆動モータ等の駆動手段を設ける必要がない。
【0076】
なお、上記各実施の形態では、空気噴射手段31の空気噴射圧力を変更可能な構成について説明したが、例えば空気噴射圧力を変更できない構成でもよい。そして、例えば回転板13の孔13aに付着した油Aが膨出状となるように油Aの粘度に応じて予め設定した空気噴射圧力が低く、その噴射空気によって油Aが回転板13の孔13aから飛ばないような場合には、油飛散防止板41を設ける必要がない。
【0077】
また、例えば回転板13の両側方に掻取体21および空気噴射手段31をそれぞれ配設した構成等でもよい。
【0078】
さらに、例えば空気噴射手段31は、回転板13の径方向に長手方向を有する長手状の噴射口から回転板13に向けて空気を噴射するもの等でもよい。
【0079】
また、いずれの実施の形態も油Aを回収対象とするものであるが、油以外の浮上物を回収対象とするものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 回収装置である油回収装置
3 回収部である油回収部
11 回転軸
13 回転板
21 掻取体
23 掻取板部
31 空気噴射手段
41 飛散防止板である油飛散防止板
A 浮上物である油

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液面に浮かんだ浮上物を回収するための回収装置であって、
回転軸と、
この回転軸に設けられ、液面に浮かんだ浮上物が付着する多孔性の回転板と、
この回転板に付着した浮上物を掻き取る掻取体と、
前記回転板に向けて空気を噴射する空気噴射手段と
を備えることを特徴とする回収装置。
【請求項2】
回転板から離れた浮上物が飛散するのを防止する飛散防止板を備える
ことを特徴とする請求項1記載の回収装置。
【請求項3】
掻取体は、回収部側に向かって下り傾斜する掻取板部を有し、
飛散防止板は、前記掻取板部に立設されている
ことを特徴とする請求項2記載の回収装置。
【請求項4】
掻取体および飛散防止板が回転板の一側方に配設され、空気噴射手段が前記回転板の他側方に配設されている
ことを特徴とする請求項2または3記載の回収装置。
【請求項5】
回転板は、円形状の網板またはパンチング板にて構成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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