説明

回折格子記録媒体

【課題】従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体を提供する。
【解決手段】第1の光回折構造を有する第1の単位セル及び第2の光回折構造を有する第2の単位セルを含む回折格子図柄と、第1のブロックと第2のブロックを有する機械読取情報と、を重ねたデータに基づいて作製され、第1のブロックと第1の単位セルが重なった部分に作製される第1の光回折構造を有する第1の単位領域と、第1のブロックと第2の単位セルが重なった部分に作製される第2の光回折構造を有する第2の単位領域と、第2のブロックと第1の単位セルが重なった部分に作製される第1の光回折構造と異なる第3の光回折構造を有する第1の変換単位領域と、第2のブロックと第2の単位セルが重なった部分に作製される第2の光回折構造と異なる第4の光回折構造を有する第2の変換単位領域と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の目視では判別が困難な機械読取情報を隠し、専用の読取機でのみ読み取り可能な回折格子記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、キャッシュカード、クレジットカード、小切手カード等のカード類、金券類、身分証明書、重要書類等のような認証とともに偽造防止を必要とする物品に対して、各種の偽造防止手段が図られている。例えば、クレジットカードにおいては、金属反射層を有するレリーフホログラムからなるレインボーホログラムが、目視によるカードの真贋判定のための認証構造としてカードの表面に設けられている。このようなホログラムの記録装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭60−30948号公報
【特許文献2】特許第3306135号公報
【特許文献3】特開2004−212927号公報
【非特許文献1】電子透かし技術に関する調査報告書、社団法人電子情報技術産業協会編(2001.3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、個別情報を記録する場合、記録した情報がホログラムの絵柄を邪魔してしまいデザイン性を損なう場合があった。そして、絵柄を邪魔しないようにする場合には、個別情報を印字するための専用領域を設ける必要があり、ホログラムのサイズが大きくなるという課題があった。また、ホログラムの絵柄を邪魔しない方法としてUVやIR発光のインクを用いて記録する方法もあるが、目視にて記録情報を確認不可能にするためには、記録方法や材料の選定が必要であり、コストも高くなるという問題があった。さらに、絵柄に対して情報の位置を合わせる必要があり生産性が悪かった。
【0005】
そこで、特許文献2に記載されているように、ホログラムに記録されたバーコード等の情報を機械的に読み取る技術が考えられている。また、特許文献3には、ホログラム絵柄上に万線によるパターン情報を隠し込み、専用の万線フィルムで観察した場合のみに隠し情報が現れる技術が開示されている。
【0006】
本発明は、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の回折格子記録媒体は、第1の光回折構造を有する第1の単位セル及び第2の光回折構造を有する第2の単位セルを含む回折格子図柄と、第1のブロックと第2のブロックを有する機械読取情報と、を重ねたデータに基づいて作製され、前記第1のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造を有する第1の単位領域と、前記第1のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造を有する第2の単位領域と、前記第2のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造と異なる第3の光回折構造を有する第1の変換単位領域と、前記第2のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造と異なる第4の光回折構造を有する第2の変換単位領域と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記単位領域と前記変換単位領域は、それぞれ格子角度が異なることを特徴とする。
【0009】
また、前記単位領域と前記変換単位領域は、それぞれ格子ピッチが異なることを特徴とする。
【0010】
また、前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、それぞれ一つの単位セルに対応することを特徴とする。
【0011】
さらに、上記目的を達成する本発明の回折格子記録媒体は、第1の光回折構造を有する第1の単位セル及び第2の光回折構造を有する第2の単位セルを含む回折格子図柄と、第1のブロックと第2のブロックを有する第1の機械読取情報と、第3のブロックと第4のブロックを有する第2の機械読取情報と、を重ねたデータに基づいて作製され、前記第1のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造を有する第1の単位領域と、前記第1のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造を有する第2の単位領域と、前記第2のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造と異なる第3の光回折構造を有する第3の単位領域と、前記第2のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造と異なる第4の光回折構造を有する第4の単位領域と、前記第3のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第5の光回折構造を有する第5の単位領域と、前記第3のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第6の光回折構造を有する第6の単位領域と、前記第4のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第5の光回折構造と異なる第7の光回折構造を有する第7の単位領域と、前記第4のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第6の光回折構造と異なる第8の光回折構造を有する第8の単位領域と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施形態の回折格子図柄を示す図である。
【図2】第1実施形態の回折格子図柄の各部分の単位セルを示す図である。
【図3】第1実施形態の電子透かし情報を示す図である。
【図4】第1実施形態の回折格子図柄に電子透かし情報を隠し込んだ回折格子記録媒体を示す図である。
【図5】第1実施形態の回折格子図柄と電子透かし情報の第1のブロックが重なっている第1の記録部分の1つの単位領域を示す図である。
【図6】第1実施形態の回折格子図柄と電子透かし情報の第2のブロックが重なっている第2の記録部分の1つの単位領域を示す図である。
【図7】第1実施形態の回折格子記録媒体の読み取り方法を示した図である。
【図8】第1実施形態の電子透かし情報の他の実施例を示す図である。
【図9】第2実施形態の電子透かし情報を示す図である。
【図10】第2実施形態の回折格子図柄に電子透かし情報を隠し込んだ回折格子記録媒体のデータを示す図である。
【図11】第1の記録部分、第2の記録部分、及び第3の記録部分のそれぞれ1つの単位領域を示す図である。
【図12】第4の記録部分、第5の記録部分、及び第6の記録部分のそれぞれ1つの単位領域を示す図である。
【図13】第2実施形態の回折格子記録媒体の読み取り方法を示した図である。
【図14】第2実施形態の電子透かし情報の他の実施例を示す図である。
【図15】第3実施形態の電子透かし情報を示す図である。
【図16】第3実施形態の電子透かし情報を示す図である。
【図17】第3実施形態の合成電子透かし情報を示す図である。
【図18】第3実施形態の回折格子図柄に電子透かし情報を隠し込んだ回折格子記録媒体のデータを示す図である。
【図19】第3実施形態の回折格子記録媒体の読み取り方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照にして本発明にかかる回折格子記録媒体について説明する。
【0015】
図1は、第1実施形態の回折格子図柄1を示す図である。
【0016】
第1実施形態の回折格子図柄1は、コンピュータ上で電子情報として作製される図柄であって、第1の図柄部分11と、第2の図柄部分12と、第3の図柄部分13とを有する。第1の図柄部分11と、第2の図柄部分12と、第3の図柄部分13とは、それぞれ異なる格子角度を有する。
【0017】
図2は、第1実施形態の回折格子図柄1の各部分の単位セルを示す図である。図2(a)は、第1の図柄部分11の第1の単位セル11aを示している。第1の図柄部分11の第1の単位セル11aは、格子ピッチ1.0μm、格子角度0°で形成されている。図2(b)は、第2の図柄部分12の第2の単位セル12aを示している。第2の図柄部分12の第2の単位セル12aは、格子ピッチ1.0μm、格子角度45°で形成されている。図2(c)は、第3の図柄部分13の第3の単位セル13aを示している。第3の図柄部分13の第3の単位セル13aは、格子ピッチ1.0μm、格子角度90°で形成されている。なお、回折格子図柄1は、第1実施形態で、第1の図柄部分11と、第2の図柄部分12と、第3の図柄部分13との3種類の部分を有するが、第1の図柄部分11と、第2の図柄部分12と、の少なくとも2種類の部分を有すればよい。
【0018】
図3は、第1実施形態の電子透かし情報2を示す図である。
【0019】
第1実施形態の機械読み取り情報としての電子透かし情報2は、回折格子図柄1の各単位セルの約20〜50倍程度の大きさのブロック21,22を1単位領域として、第1のブロック21又は第2のブロック22をランダムに散りばめたコンピュータ等で作製する電子情報である。
【0020】
ここで、電子透かし情報とは、回折格子図柄1に対して、回折格子図柄1の特徴を損なわないように埋め込む、視認可能な回折格子図柄1とは別の情報をいう(非特許文献1参照)。また、電子透かし情報としては所定のアルゴリズムによる繰り返しパターン情報が好ましい。
【0021】
図4は、第1実施形態の回折格子図柄1に電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3のデータを示す図である。
【0022】
回折格子記録媒体3のデータは、図1に示した回折格子図柄1と図3に示した電子透かし情報2の第1のブロック21が重なっている第1の記録部分31と、図1に示した回折格子図柄1と図3に示した電子透かし情報2の第2のブロック22が重なっている第2の記録部分32と、を有する。
【0023】
図5は、第1実施形態の回折格子図柄1と電子透かし情報2の第1のブロック21が重なっている第1の記録部分31を示す図である。
【0024】
第1実施形態では、図2に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11の第1の単位セル11a、第2の図柄部分12の第2の単位セル12a、及び第3の図柄部分13の第3の単位セル13aのそれぞれに対して、図3に示した電子透かし情報2の第1のブロック21は、約20〜50倍程度の大きさとなっている。
【0025】
したがって、第1のブロック21に対応する第1の記録部分31は、第1の図柄部分11の第1の単位セル11aに対応する第1の単位領域31a、第2の図柄部分12の第2の単位セル12aに対応する第2の単位領域31b、及び第3の図柄部分13の第3の単位セル13aに対応する第3の単位領域31cをあわせて数百個程度有する。
【0026】
図5に示した第1の記録部分31は、第1の単位領域31a、第2の単位領域31b、及び第3の単位領域31cを有する。なお、一つの第1の記録部分31の中には、第1の単位領域31a、第2の単位領域31b、又は第3の単位領域31cのすべての種類を有する必要はなく、一つの第1の記録部分31の中に、各領域の内、少なくとも一つを含んでいればよい。
【0027】
図6は、第1実施形態の回折格子図柄1と電子透かし情報2の第2のブロック22が重なっている第2の記録部分32を示す図である。
【0028】
第1実施形態では、図2に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11の第1の単位セル11a、第2の図柄部分12の第2の単位セル12a、及び第3の図柄部分13の第3の単位セル13aのそれぞれに対して、図3に示した電子透かし情報2の第2のブロック22の1単位領域は、約20〜50倍程度の大きさとなっている。
【0029】
したがって、1単位の第2のブロック22に対応する第2の記録部分32は、第1の図柄部分11の単位セル11aに対応する第4の単位領域32a、第2の図柄部分12の単位セル12aに対応する第5の単位領域32b、及び第3の図柄部分13の単位セル13aに対応する第6の単位領域32cをあわせて数百個程度有する。
【0030】
図6に示した第2の記録部分32は、第1の変換単位領域32a、第2の変換単位領域32b、及び第3の変換単位領域32cを有する。なお、一つの第2の記録部分32の中には、第1の変換単位領域32a、第1の変換単位領域32b、又は第3の変換単位領域32cのすべての種類を有する必要はなく、一つの第2の記録部分32の中に、各領域の内、少なくとも一つを含んでいればよい。
【0031】
なお、第1実施形態では、回折格子図柄1と電子透かし情報2の第2のブロック22が重なった第2の記録部分32の場合には、回折格子図柄1と電子透かし情報2の第1のブロック21が重なった第1の記録部分31の場合と比較して、格子ピッチは同じで、格子角度を異ならせるように設定した。
【0032】
例えば、図5に示した第1の単位領域31aの格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図6に示した第1の変換単位領域32aの格子角度を5°、格子ピッチを1.0μmとする。同様に、図5に示した第2の単位領域31bの格子角度を45°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図6に示した第2の変換単位領域32bの格子角度を50°、格子ピッチを1.0μmとする。また、図5に示した第3の単位領域31cの格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図6に示した第3の変換単位領域32cの格子角度を95°、格子ピッチを1.0μmとする。
【0033】
回折格子記録媒体3は、図4〜図6に示したように、コンピュータ等で回折格子図柄1に電子透かし情報2を隠し込んだデータを演算し、該データを元に作製されるホログラム等である。
【0034】
ここで、回折格子記録媒体3に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版の作製方法の一例を簡単に説明する。まず、Crメッキされたガラス板を用意し、その上に電子線レジストを塗布し、電子線描画により、回折格子パターンを描画し、その後に電子線レジストを現像する。すると、断面矩形波状の凹凸レリーフ構造が得られる。
【0035】
そして、電子線レジストの凹凸レリーフ構造の回折格子パターン上に紫外線硬化性樹脂を塗布して紫外線照射する。あるいは、電子線レジストの凹凸レリーフ構造の回折格子パターン上に熱硬化性樹脂を塗布して加熱する。
【0036】
その凹凸レリーフ構造を紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に複製することにより、電子線描画の回折格子パターンのネガ版が得られる。そのネガ版から同様に複製してポジ版を得るか、あるいは、このような複製を偶数回繰り返すことにより得られたポジ版を、上記の回折格子記録媒体3に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版として用いることができる。
【0037】
図7は、回折格子記録媒体3の読み取り方法を示した図である。図7(a)は電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3を示す図、図7(b)は回折格子記録媒体3に所定の照明をあてた状態を示す図、図7(c)は電子透かし情報2を読み取り変換させた図である。
【0038】
図7(a)に示したように、電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3は、目視では、図柄のみが見えている。図7(a)に示した電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3に所定の角度から照明を当てると、図7(b)に示すように、電子透かし情報2が読み取り可能となる。この電子透かし情報2を専用の読み取り機械で読み取り、データ変換することにより、図7(c)に示すように、隠し込んだ情報を得ることが可能となる。
【0039】
次に、第1実施形態の電子透かし情報2の他の実施例について説明する。
【0040】
図8は、第1実施形態の電子透かし情報2の他の実施例を示す図である。
【0041】
図8に示した第2の記録部分32は、第1の変換単位領域32a、第2の変換単位領域32b、及び第3の変換単位領域32cを有する。なお、第2の記録部分32は、第1の変換単位領域32a、第2の変換単位領域32b、又は第3の変換単位領域32cのすべての種類を有する必要はなく、少なくとも一つ含めばよい。
【0042】
この実施例では、回折格子図柄1と電子透かし情報2の第2のブロック22が重なった第2の記録部分32の場合には、回折格子図柄1と電子透かし情報2の第1のブロック21が重なった第1の記録部分31の場合と比較して、格子角度は同じで、格子ピッチを異ならせるように設定した。
【0043】
例えば、図5に示した第1の単位領域31aの格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図8に示した第1の変換単位領域32aの格子角度を0°、格子ピッチを1.1μmとする。同様に、図5に示した第2の単位領域31bの格子角度を45°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図6に示した第2の変換単位領域32bの格子角度を45°、格子ピッチを1.1μmとする。また、図5に示した第3の単位領域31cの格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図6に示した第3の変換単位領域32cの格子角度を90°、格子ピッチを1.1μmとする。
【0044】
格子角度は同じで、格子ピッチを異ならせるように設定した場合、再生時に、図7(a)に示した電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3に所定の波長の照明を当てると、図7(b)に示すように、電子透かし情報2が読み取り可能となる。
【0045】
なお、格子角度と格子ピッチの両方を異なるように設定してもよい。この場合には、再生時に、図7(a)に示した電子透かし情報2を隠し込んだ回折格子記録媒体3に所定の角度から所定の波長の照明を当てると、図7(b)に示すように、電子透かし情報2が読み取り可能となる。
【0046】
このように、第1実施形態の回折格子記録媒体3によれば、簡単な構造で目視による記録情報の確認を不可能にすることができ、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体3を提供することが可能となる。また、単位領域と変換単位領域は、それぞれ格子角度が異なるという簡単な構成で、回折格子図柄1の中に違和感を与えないで電子透かし情報2を隠し込み、回折格子記録媒体3を作製することが可能となる。さらに、単位領域と変換単位領域は、それぞれ格子ピッチが異なるという簡単な構成で、回折格子記録媒体3を作製することが可能となる。
【0047】
次に第2実施形態について説明する。なお、回折格子図柄1は、第1実施形態と同様である。
【0048】
図9は、第2実施形態の電子透かし情報4を示す図である。
【0049】
第2実施形態の機械読み取り情報としての電子透かし情報4は、図2に示した回折格子図柄1の各セルの1〜3倍の大きさのブロック41,42を1単位領域として、第1のブロック41又は第2のブロック42をランダムに散りばめたコンピュータ等で作製する電子情報である。この実施例では、図2に示した回折格子図柄1の各セルと、第1のブロック41及び第2のブロック42の1単位領域を同じ大きさとした。
【0050】
図10は、回折格子図柄1に電子透かし情報4を隠し込んだ第2実施形態の回折格子記録媒体5のデータを示す図である。なお、図10では、回折格子図柄1の第1の図柄部分11、第2の図柄部分12、及び第3の図柄部分13のそれぞれの境界線が図9に示した電子透かし情報4の第1のブロック41又は第2のブロック42の面を横切る箇所が図面上に存在するが、現実には回折格子図柄1の第1の図柄部分11、第2の図柄部分12、及び第3の図柄部分13のそれぞれの境界線は、電子透かし情報4の第1のブロック41又は第2のブロック42の境界線に含まれる。
【0051】
回折格子記録媒体5のデータは、図1に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11と図9に示した電子透かし情報4の第1のブロック41が重なっている第1の単位領域51と、図1に示した回折格子図柄1の第2の図柄部分12と図9に示した電子透かし情報4の第1のブロック41が重なっている第2の単位領域52と、図1に示した回折格子図柄1の第3の図柄部分13と図9に示した電子透かし情報4の第1のブロック41が重なっている第3の単位領域53と、を有する。
【0052】
また、回折格子記録媒体5のデータは、図1に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11と図9に示した電子透かし情報4の第2のブロック42が重なっている第1の変換単位領域54と、図1に示した回折格子図柄1の第2の図柄部分12と図9に示した電子透かし情報4の第2のブロック42が重なっている第2の変換単位領域55と、図1に示した回折格子図柄1の第3の図柄部分13と図9に示した電子透かし情報4の第2のブロック42が重なっている第3の変換単位領域56と、を有する。
【0053】
図11は、第1の単位領域51、第2の単位領域52、及び第3の単位領域53のそれぞれ1つの単位領域を示す図である。
【0054】
この実施例では、図2に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11の1つの単位セル11a、第2の図柄部分12の1つの単位セル12a、及び第3の図柄部分13の1つの単位セル13aのそれぞれに対して、図9に示した電子透かし情報4の第1のブロック21の1つの単位領域は、同じ大きさとなっている。
【0055】
したがって、図2に示した第1の図柄部分11の単位セル11a、第2の図柄部分12の単位セル12a、及び第3の図柄部分13の単位セル13aは、それぞれ図11に示した第1の単位領域51、第2の単位領域52、及び第3の単位領域53に対応する。
【0056】
図12は、第1の変換単位領域54、第2の変換単位領域55、及び第3の変換単位領域56のそれぞれ1つの単位領域を示す図である。
【0057】
この実施例では、図2に示した回折格子図柄1の第1の図柄部分11の1つの単位セル11a、第2の図柄部分12の1つの単位セル12a、及び第3の図柄部分13の1つの単位セル13aのそれぞれに対して、図9に示した電子透かし情報4の第2のブロック42の1つの単位領域は、同じ大きさとなっている。
【0058】
したがって、図2に示した第1の図柄部分11の単位セル11a、第2の図柄部分12の単位セル12a、及び第3の図柄部分13の単位セル13aは、それぞれ図11に示した第1の変換単位領域54、第2の変換単位領域55、及び第3の変換単位領域56に対応する。
【0059】
なお、この実施例では、回折格子図柄1と電子透かし情報4の第2のブロック42が重なった場合には、回折格子図柄1と電子透かし情報4の第1のブロック41が重なった場合と比較して、格子ピッチは同じで、格子角度を異ならせるように設定した。
【0060】
例えば、図11に示した第1の単位領域51の格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図12に示した第1の変換単位領域54の格子角度を5°、格子ピッチを1.0μmとする。同様に、図11に示した第2の単位領域52の格子角度を45°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図12に示した第2の変換単位領域55の格子角度を50°、格子ピッチを1.0μmとする。また、図11に示した第3の単位領域53の格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図12に示した第3の変換単位領域56の格子角度を95°、格子ピッチを1.0μmとする。
【0061】
回折格子記録媒体5は、図10〜図12に示したように、コンピュータ等で回折格子図柄1に電子透かし情報4を隠し込んだデータを演算し、該データを元に作製されるホログラム等である。
【0062】
ここで、回折格子記録媒体5に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版の作製方法は、第1実施形態と同様である。
【0063】
図13は、第2実施形態の回折格子記録媒体5の読み取り方法を示した図である。図13(a)は電子透かし情報4を隠し込んだ回折格子記録媒体5を示す図、図13(b)は回折格子記録媒体5に所定の照明をあてた状態を示す図、図13(c)は電子透かし情報4を読み取り変換させた図である。
【0064】
図13(a)に示したように、電子透かし情報4を隠し込んだ回折格子記録媒体5は、目視では、図柄のみが見えている。図13(a)に示した電子透かし情報4を隠し込んだ回折格子記録媒体5に所定の角度から照明を当てると、図13(b)に示すように、電子透かし情報4が読み取り可能となる。この電子透かし情報4を顕微鏡等で拡大して専用の読み取り機械で読み取り、データ変換することにより、図13(c)に示すように、隠し込んだ情報を得ることが可能となる。
【0065】
次に、第2実施形態の他の実施例について説明する。
【0066】
図14は、第2実施形態の他の実施例を示す図である。
【0067】
この実施例では、回折格子図柄1と電子透かし情報4の第2のブロック42が重なった場合には、回折格子図柄1と電子透かし情報4の第1のブロック41が重なった場合と比較して、格子角度は同じで、格子ピッチを異ならせるように設定した。
【0068】
例えば、図11(a)に示した第1の単位領域51の格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図14(a)に示した第1の変換単位領域57の格子角度を0°、格子ピッチを1.1μmとする。同様に、図11(b)に示した第2の単位領域52の格子角度を45°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図14(b)に示した第2の変換単位領域58の格子角度を45°、格子ピッチを1.1μmとする。また、図11(c)に示した第3の単位領域53の格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、図14(c)に示した第3の変換単位領域59の格子角度を90°、格子ピッチを1.1μmとする。
【0069】
格子角度は同じで、格子ピッチを異ならせるように設定した場合、再生時に、図13(a)に示した電子透かし情報5を隠し込んだ回折格子記録媒体5に所定の波長の照明を当てると、図13(b)に示すように、電子透かし情報4が読み取り可能となる。
【0070】
なお、格子角度と格子ピッチの両方を異なるように設定してもよい。この場合には、再生時に、図13(a)に示した電子透かし情報4を隠し込んだ回折格子記録媒体5に所定の角度から所定の波長の照明を当てると、図13(b)に示すように、電子透かし情報4が読み取り可能となる。
【0071】
このように、第2実施形態の回折格子記録媒体5によれば、簡単な構造で目視による記録情報の確認を不可能にすることができ、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体5を提供することが可能となる。また、単位領域と変換単位領域は、それぞれ格子角度が異なるという簡単な構成で、回折格子図柄1の中に違和感を与えないで電子透かし情報2を隠し込み、回折格子記録媒体5を作製することが可能となる。さらに、単位領域と変換単位領域は、それぞれ格子ピッチが異なるという簡単な構成で、回折格子記録媒体5を作製することが可能となる。
【0072】
また、第1のブロック41及び第2のブロック42は、回折格子図柄1の各単位セル11a,11b,11cの1〜3倍の大きさなので、解像度が高くなり、回折格子図柄1の各単位セル11a,11b,11cのほとんどすべてに対して、格子角度及び格子ピッチをあわせなくては同等の機能を持つことができないので、偽造がさらに困難となり、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体5を提供することが可能となる。特に、第1のブロック41及び第2のブロック42が、それぞれ一つの単位セル11a,11b,11cに対応する場合が好ましい。
【0073】
次に、第3実施形態について説明する。
【0074】
図15は、第3実施形態の回折格子図柄1の一部を拡大した図である。
【0075】
第3実施形態の回折格子図柄6は、コンピュータ上で電子情報として作製される図柄であって、第1の図柄部分61と、第2の図柄部分62とを有する。第1の図柄部分61と、第2の図柄部分62とは、それぞれ異なる格子角度を有する。例えば、第1の図柄部分61の単位セルは、格子ピッチ1.0μm、格子角度0°で形成されている。また、第2の図柄部分62の単位セルは、格子ピッチ1.0μm、格子角度90°で形成されている。
【0076】
図16は、第3実施形態の電子透かし情報7の一部を拡大した図である。図16(a)は、第1の電子透かし情報7aの一部を拡大した図、図16(b)は、第2の電子透かし情報7bの一部を拡大した図である。
【0077】
第3実施形態では、第1の電子透かし情報7a及び第2の電子透かし情報7bの2つの機械読み取り情報としての電子透かし情報7を有する。
【0078】
第1の機械読み取り情報としての第1の電子透かし情報7aは、図16に示した回折格子図柄1の各セルの1〜3倍の大きさを有する第1のブロック7a1及び第2のブロック7a2を1つの単位として、第1のブロック7a1及び第2のブロック7a2をランダムに散りばめたコンピュータ等で作製する電子情報である。この実施例では、図15に示した回折格子図柄6の各セルと、第1のブロック7a1及び第2のブロック7a2の1つの単位を同じ大きさとした。
【0079】
また、第2の機械読み取り情報としての第2の電子透かし情報7bは、図16に示した回折格子図柄1の各セルの1〜3倍の大きさを有する第3のブロック7b1及び第4のブロック7b2を1つの単位として、第3のブロック7b1及び第4のブロック7b2をランダムに散りばめたコンピュータ等で作製する電子情報である。この実施例では、図15に示した回折格子図柄1の各セルと、第3のブロック7b1及び第4のブロック7b2の1つの単位を同じ大きさとした。
【0080】
図17は、第3実施形態の電子透かし情報7を重ねた合成電子透かし情報8の一部を拡大した図である。
【0081】
第3実施形態では、電子透かし情報7を構成する第1の電子透かし情報7a及び第2の電子透かし情報7bをデータ上で重ねて、合成機械読み取り情報としての合成電子透かし情報8を作製する。図16(a)に示した第1の電子透かし情報7aの第1のブロック7a1と図6(b)に示した第2の電子透かし情報7bの第3のブロック7b1とが重なった部分を第1の合成ブロック81とする。また、図16(a)に示した第1の電子透かし情報7aの第1のブロック7a1と図6(b)に示した第2の電子透かし情報7bの第4のブロック7b2とが重なった部分を第2の合成ブロック82とする。さらに、図16(a)に示した第1の電子透かし情報7aの第2のブロック7a2と図6(b)に示した第2の電子透かし情報7bの第3のブロック7b1とが重なった部分を第3の合成ブロック83とする。また、図16(a)に示した第1の電子透かし情報7aの第2のブロック7a2と図6(b)に示した第2の電子透かし情報7bの第4のブロック7b2とが重なった部分を第4の合成ブロック84とする。
【0082】
図18は、回折格子図柄1に合成電子透かし情報8を隠し込んだ第3実施形態の回折格子記録媒体9のデータの一部を拡大した図である。
【0083】
回折格子記録媒体9のデータは、図15に示した回折格子図柄6の第1の図柄部分61と図17に示した合成電子透かし情報8の第1の合成ブロック81が重なっている第1の単位領域91と、回折格子図柄6の第2の図柄部分62と合成電子透かし情報8の第1の合成ブロック81が重なっている第2の単位領域92と、回折格子図柄6の第1の図柄部分61と合成電子透かし情報8の第2の合成ブロック82が重なっている第3の単位領域93と、回折格子図柄6の第2の図柄部分62と合成電子透かし情報8の第2の合成ブロック82が重なっている第4の単位領域94と、を有する。
【0084】
また、回折格子図柄6の第1の図柄部分61と合成電子透かし情報8の第3の合成ブロック83が重なっている第5の単位領域95と、回折格子図柄6の第2の図柄部分62と合成電子透かし情報8の第3の合成ブロック83が重なっている第6の単位領域96と、回折格子図柄6の第1の図柄部分61と合成電子透かし情報8の第4の合成ブロック84が重なっている第7の単位領域97と、回折格子図柄6の第2の図柄部分62と合成電子透かし情報8の第4の合成ブロック84が重なっている第8の単位領域98と、を有する。
【0085】
この実施例では、図15に示した回折格子図柄6の第1の図柄部分61の1つの単位セル及び第2の図柄部分62の1つの単位セルのそれぞれに対して、図17に示した合成電子透かし情報8の各ブロック81,82,83,84のそれぞれ1つの単位領域は、同じ大きさとなっている。
【0086】
なお、この実施例では、第3の単位領域93及び第4の単位領域94は、第1の単位領域91及び第2の単位領域92と比較して、格子ピッチは同じで、格子角度を異ならせるように設定した。
【0087】
例えば、第1の単位領域91の格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第3の単位領域93の格子角度を5°、格子ピッチを1.0μmとする。同様に、第2の単位領域92の格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第4の単位領域94の格子角度を95°、格子ピッチを1.0μmとする。
【0088】
また、第5の単位領域95及び第6の単位領域96は、第1の単位領域91及び第2の単位領域92と比較して、格子角度は同じで、格子ピッチを異ならせるように設定した。
【0089】
例えば、第1の単位領域91の格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第5の単位領域95の格子角度を0°、格子ピッチを1.1μmとする。同様に、第2の単位領域92の格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第6の単位領域96の格子角度を90°、格子ピッチを1.1μmとする。
【0090】
さらに、第7の単位領域97及び第8の単位領域98は、第1の単位領域91及び第2の単位領域92と比較して、格子角度及び格子ピッチを異ならせるように設定した。
【0091】
例えば、第1の単位領域91の格子角度を0°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第7の単位領域97の格子角度を5°、格子ピッチを1.1μmとする。同様に、第2の単位領域92の格子角度を90°、格子ピッチを1.0μmとした場合、第8の単位領域98の格子角度を95°、格子ピッチを1.1μmとする。
【0092】
回折格子記録媒体9は、図15〜図18に示したように、コンピュータ等で回折格子図柄6に電子透かし情報7を隠し込んだデータを演算し、該データを元に作製されるホログラム等である。
【0093】
ここで、回折格子記録媒体9に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版の作製方法は、第1実施形態と同様である。
【0094】
図19は、第3実施形態の回折格子記録媒体9の読み取り方法を示した図である。図19(a)は合成電子透かし情報8を隠し込んだ回折格子記録媒体9を示す図、図19(b)は回折格子記録媒体9に所定の第1の照明をあてた状態を示す図、図19(c)は第1の電子透かし情報7aを読み取り変換させた図、図19(d)は回折格子記録媒体9に所定の第2の照明をあてた状態を示す図、図19(e)は第2の電子透かし情報7bを読み取り変換させた図である。
【0095】
図19(a)に示したように、合成電子透かし情報8を隠し込んだ回折格子記録媒体9は、目視では、図柄のみが見えている。図19(a)に示した合成電子透かし情報8を隠し込んだ回折格子記録媒体9に所定の角度から第1の照明を当てると、図19(b)に示すように、図16に示した電子透かし情報7aが読み取り可能となる。この電子透かし情報7aを顕微鏡等で拡大して第1の専用の読み取り機械で読み取り、データ変換することにより、図19(c)に示すように、隠し込んだ情報を得ることが可能となる。
【0096】
また、図19(a)に示した電子透かし情報8を隠し込んだ回折格子記録媒体9に所定の角度から第2の照明を当てると、図19(d)に示すように、電子透かし情報8が読み取り可能となる。この電子透かし情報8を顕微鏡等で拡大して第2の専用の読み取り機械で読み取り、データ変換することにより、図19(e)に示すように、隠し込んだ情報を得ることが可能となる。
【0097】
このように、第3実施形態の回折格子記録媒体9によれば、簡単な構造で目視による記録情報の確認を不可能にすることができ、回折格子図柄1の中に違和感を与えないで複数の電子透かし情報7a、7bを隠し込み、偽造防止性が特に高く、セキュリティ的に信頼性が特に高い回折格子記録媒体5を提供することが可能となる。
【0098】
また、第1のブロック41及び第2のブロック42は、回折格子図柄1の各単位セル11a,11b,11cの1〜3倍の大きさなので、解像度が高くなり、回折格子図柄1の各単位セル11a,11b,11cのほとんどすべてに対して、格子角度及び格子ピッチをあわせなくては同等の機能を持つことができないので、偽造がさらに困難となり、従来技術よりも偽造防止性がさらに高く、セキュリティ的にも信頼性がさらに高い回折格子記録媒体5を提供することが可能となる。特に、第1のブロック41及び第2のブロック42が、それぞれ一つの単位セル11a,11b,11cに対応する場合が好ましい。
【0099】
次に、第1実施形態〜第3実施形態の回折格子記録媒体3,5,9の使用方法について説明する。
【0100】
通常、印刷物等に貼着して用いる回折格子記録媒体3,5,9としては、凹凸のレリーフ構造の回折格子のレリーフ面あるいは平面に蒸着等で金属反射膜を設けて反射型とした回折格子が用いられるが、それ以外に、振幅が周期的に変化する振幅型回折格子を構成するもの又は屈折率が周期的に変化して位相型回折格子を構成するものの裏面に金属反射膜を設けて反射型とした回折格子、体積型感光材料中に干渉縞で回折格子を構成した体積型回折格子等を用いてもよい。
【0101】
もちろん、反射型でなく透過型のもので構成し、回折格子も透過型の回折格子で構成してもよい。
【0102】
さて、回折格子記録媒体3,5,9は、転写箔、ラベル、フィルム等種々の形態に構成することができる。転写箔形態の場合には、例えば商品券、クレジットカード、パッケージ等に適用でき、ラベル形態の場合には、例えばソフトウエア、カートリッジ、医薬品等のパッケージ等に適用でき、フィルム形態の場合には、例えばそのフィルムを1〜2mm程度の幅にマイクロスリットし、用紙の抄造時に紙中に共に抄き込んで偽造防止を図ることができる。また、ラベル形態の場合には、脆質層を層構成中に介在させて、偽造のためにラベルを剥離しようとしたときにその脆質層から剥がれるようにして偽造のために表示体を剥がすことを困難にすることができる(脆質ラベル)。以下、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を、転写箔、ラベル、脆質ラベル、フィルムの各形態に構成する場合の、層構成とその作製工程は、特許文献3等に記載されたものと同様である。
【0103】
なお、電子透かし情報として記録する情報は、バーコード等、専用の機械で読み取れるものであればよい。
【0104】
以上、回折格子記録媒体をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0105】
1,6…回折格子図柄
2,4…電子透かし情報
11,61…第1の図柄部分
11a…第1の単位セル
12,62…第2の図柄部分
12a…第2の単位セル
13,63…第3の図柄部分
13a…第3の単位セル
21,41…第1のブロック
22,42…第2のブロック
3,5…回折格子記録媒体
31…第1の記録部分
31a,51…第1の単位領域
31b,52…第2の単位領域
31c,53…第3の単位領域
32…第2の記録部分
32a,54…第1の変換単位領域
32b,55…第2の変換単位領域
32c,56…第3の変換単位領域
7…電子透かし情報
7a…第1の電子透かし情報
7a1…第1のブロック
7a2…第2のブロック
7b…第2の電子透かし情報
7b1…第3のブロック
7b2…第4のブロック
8…合成電子透かし情報
81…第1の合成ブロック
82…第2の合成ブロック
83…第3の合成ブロック
84…第4の合成ブロック
9…回折格子記録媒体
91…第1の単位領域
92…第2の単位領域
93…第3の単位領域
94…第4の単位領域
95…第5の単位領域
96…第6の単位領域
97…第7の単位領域
98…第8の単位領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光回折構造を有する第1の単位セル及び第2の光回折構造を有する第2の単位セルを含む回折格子図柄と、
第1のブロックと第2のブロックを有する機械読取情報と、
を重ねたデータに基づいて作製され、
前記第1のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造を有する第1の単位領域と、
前記第1のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造を有する第2の単位領域と、
前記第2のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造と異なる第3の光回折構造を有する第1の変換単位領域と、
前記第2のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造と異なる第4の光回折構造を有する第2の変換単位領域と、
を備える
ことを特徴とする回折格子記録媒体。
【請求項2】
前記単位領域と前記変換単位領域は、それぞれ格子角度が異なることを特徴とする請求項1に記載の回折格子記録媒体。
【請求項3】
前記単位領域と前記変換単位領域は、それぞれ格子ピッチが異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回折格子記録媒体。
【請求項4】
前記第1のブロック及び前記第2のブロックは、それぞれ一つの単位セルに対応することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回折格子記録媒体。
【請求項5】
第1の光回折構造を有する第1の単位セル及び第2の光回折構造を有する第2の単位セルを含む回折格子図柄と、
第1のブロックと第2のブロックを有する第1の機械読取情報と、
第3のブロックと第4のブロックを有する第2の機械読取情報と、
を重ねたデータに基づいて作製され、
前記第1のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造を有する第1の単位領域と、
前記第1のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造を有する第2の単位領域と、
前記第2のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第1の光回折構造と異なる第3の光回折構造を有する第3の単位領域と、
前記第2のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第2の光回折構造と異なる第4の光回折構造を有する第4の単位領域と、
前記第3のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第5の光回折構造を有する第5の単位領域と、
前記第3のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第6の光回折構造を有する第6の単位領域と、
前記第4のブロックと前記第1の単位セルが重なった部分に作製される前記第5の光回折構造と異なる第7の光回折構造を有する第7の単位領域と、
前記第4のブロックと前記第2の単位セルが重なった部分に作製される前記第6の光回折構造と異なる第8の光回折構造を有する第8の単位領域と、
を備える
ことを特徴とする回折格子記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−177725(P2012−177725A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39251(P2011−39251)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】