説明

回折格子記録媒体

【課題】目視による判別が極めて困難で偽造防止効果が大な光回折構造による隠しパターンを内包する表示体及びそのための判別具、並びに表示体判別システムを提供する。
【解決手段】回折特性の異なる第1波線縞121aと第2波線縞121bの縞対の繰り返しにより埋めつくされてなり、第1波線縞121aは、波形の縞内が第1直線回折格子12’1aによって構成され、第2波線縞121bは、波形の縞内が第2直線回折格子12’1bによって構成されており、表示面に対して設定された基準線Sに対して、隠しパターンを構成する第1パターン領域の第1直線回折格子12’1aの傾き角と第2直線回折格子12’1bの傾き角とは、第1パターン領域に隣接する第2パターン領域の第1直線回折格子12’1aの傾き角と第2直線回折格子12’1bの傾き角とにそれぞれ等しく、かつ、第1パターン領域の縞対の特性は、第2パターン領域の縞対の特性と異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光回折構造による隠しパターンを内包する表示体及びそのための判別具、並びに表示体判別システムに関し、特に、通常の視認状態では判別が困難な光回折構造による隠しパターンを内包する表示体、及びそのための判別具、並びに表示体判別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カラーコピー機による高額紙幣や商品券の偽造事件が頻発している。そのために、高額紙幣や商品券は、デザインの一部にカラーコピー機のセンサーでは読み取ることができない小さな網点や細線を、同じ反射濃度でデザインされた絵柄の中に組み込んでいる。その結果、これらの高額紙幣や商品券をカラーコピー機によって複写しようとすると、コピー機のスキャナーが小さな網点や細線を読み落とし、その部分が白く抜けることでコピー品であると判別している。
【0003】
また、印刷物のデザインの一部に光り輝く金属部分を設けることによりコピー品を判別する方法も実施されている。
【0004】
このような金属部分は、入射光を100%反射するために、コピー機は、金属の部分を黒にコピーする。実施例として、例えば、紙の表層に金糸を縫い付け、コピー牽制を行っている。
【0005】
その他、透明な樹脂で複製した光回折構造体の凹凸面に金属蒸着処理をして、印刷エリアの一部に熱転写し、複写機によるコピーを牽制している。この光回折構造体は、金属表面の反射効果でコピーによる不正を牽制しようとする一方で、熱転写された印刷物あるいは製品そのものの偽造を防止する手段として利用されている。光回折構造体は、高度な製造技術を必要とするために、金券類等の偽造防止手段としてしばしば使用される。
【0006】
しかし、製造技術の向上によって、一見して本物に近い光回折構造体を製造することができるようになってきた。
【0007】
このような偽造品をチェックするために、光回折構造体の中に判別困難な隠しパターンを組み込んで真偽判別の手段として使用する技術が提案されているが、見る角度によって隠しパターンが微かに判別されてしまうという問題があり、また、隠しパターンを形成した部分に他の絵柄が形成されていないために、隠しパターンがあり得ると推測される結果になり、偽造防止効果を低減させる問題があった。
【0008】
このような背景の中、目視状態では直線回折格子の領域毎の構成の違いによって通常の表示パターンが観察でき、隠しパターンは判別困難であるが、判別具を重ね合わせることで、今度は通常の表示パターンではなく隠しパターンが判別可能となる光回折構造による隠しパターンを内包する表示体が開示されている(特許文献1及び2参照)。
【0009】
特許文献1の発明は、
・光回折構造中に複数のパターンを持たせ、
・各パターンを相互に隣接する平行な縞で形成し、
・隣接する第1の縞と第2の縞の回折格子ピッチ若しくは傾き角を異なるものとし、
・各パターンを構成する各縞対の傾き角を異なるものとすることで、光回折構造(回折格子)に隠しパターンを共存させ、
・各縞対のピッチと同ピッチの透明部と不透明部からなる判別器具で判別することにより隠しパターンを判別するものである。
【0010】
また、特許文献2の発明は、
・表示体の光回折構造中に複数のパターンを持たせ、
・各パターンを相互に隣接する平行な縞で形成し、
・隣接する第1の縞と第2の縞の回折格子ピッチ若しくは傾き角を異なるものとし、
・各パターンを構成する各縞対の傾き角を同じにすると共にそのピッチを異なるものとすることで、光回折構造(回折格子)に隠しパターンを共存させ、
・各縞対のピッチと同ピッチで同じ傾き角の透明部と不透明部からなる判別具で判別することにより隠しパターンを判別するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−212927号公報
【特許文献2】特開2005−266041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来の技術では、隠しパターンを判別するために表示体と判別具を重ね合わせる際に、表示体の縞と判別具の透明部及び不透明部が直線であったため、モアレを最大限に生じさせるために表示体の縞の直線と判別具の透明部及び不透明部の直線とをずれの無いように重ね合わせることは困難であった。そのため、モアレ模様のコントラストが低くなり、モアレから生じる文字の視認性が低減する場合があった。
【0013】
本発明は従来技術のこのような現状に鑑みてなされたものであり、その目的は、目視による判別が極めて困難で偽造防止効果が大きい光回折構造による隠しパターンのモアレ模様を明確に生じさせる表示体及びそのための判別具、並びに表示体判別システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成する本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体は、光回折構造を有する表示面を備え、前記表示面は、回折特性が異なり、表示パターンに応じた任意の外形及び内形を持つ複数のパターン領域が並列配置されてなり、前記複数のパターン領域は、隠しパターン領域及び非隠しパターン領域を有し、前記隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記隠しパターン領域の縞対を含み、前記隠しパターン領域の縞対は、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる前記隠しパターン領域の第1波線縞及び前記隠しパターン領域の第2波線縞を持ち、前記隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、前記隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、前記非隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記非隠しパターン領域の縞対を含み、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、前記表示面に対して設定された基準線に対して、前記隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角に等しく、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角に等しく、かつ、前記隠しパターン領域の前記縞対の特性は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の特性と異なることが好ましい。
【0015】
また、前記隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記隠しパターン領域の前記第2波線縞、並びに、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、それぞれの繰り返しピッチに対して、5〜20%の高さの凸部及び凹部を交互に有することが好ましい。
【0016】
また、前記隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記隠しパターン領域の前記第2波線縞、並びに、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、それぞれの繰り返しピッチに対して、0.5〜5個/mmの凸部及び凹部を交互に有することが好ましい。
【0017】
また、前記表示面に対して設定された基準線に対して、前記隠しパターン領域の前記縞対の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の傾き角とは異なることが好ましい。
【0018】
また、前記隠しパターン領域の前記縞対の繰り返しピッチは、前記非隠しパターン領域の前記縞対の繰り返しピッチと異なることが好ましい。
【0019】
さらに、前記光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具は、前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角及び前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチを持つ平行な直線透明部と直線不透明部との繰り返しパターンを有することが好ましい。
【0020】
さらに、前記光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具は、前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角及び前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチを持つ平行な波線透明部と波線不透明部との繰り返しパターンを有することが好ましい。
【0021】
また、前記透明部の幅が前記不透明部の幅より小さいことが好ましい。
【0022】
さらに、光回折構造による隠しパターンを内包する表示体の判別システムは、光回折構造を有する表示面を備え、前記表示面は、回折特性が異なり、表示パターンに応じた任意の外形及び内形を持つ複数のパターン領域が並列配置されてなり、前記複数のパターン領域は、隠しパターン領域及び非隠しパターン領域を有し、前記隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記隠しパターン領域の縞対を含み、前記隠しパターン領域の縞対は、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる前記隠しパターン領域の第1波線縞及び前記隠しパターン領域の第2波線縞を持ち、前記隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、前記隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、前記非隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記非隠しパターン領域の縞対を含み、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、前記表示面に対して設定された基準線に対して、前記隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角に等しく、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角に等しく、かつ、前記隠しパターン領域の前記縞対の特性は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の特性とは異なる光回折構造による隠しパターンを内包する表示体と、前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角及び前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチ
を持つ平行な波線透明部と波線不透明部との繰り返しパターンを有する判別具と、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明においては、光回折構造を含む表示体の表示面を、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる第1の縞と第2の縞の縞対と、それら縞を構成する直線回折格子との二重構造で構成し、隠しパターンを構成する領域とそれ以外の領域では直線回折格子の構成は同じで、縞対の構成を異なるものとすることにより、目視状態では直線回折格子の領域毎の構成の違いによって通常の表示パターンが観察でき、隠しパターンは判別困難であるが、上記の縞対とモアレ現象を生じる判別具を重ね合わせることで、今度は通常の表示パターンではなく隠しパターンが判別可能となる。そして、第1の縞及び第2の縞、若しくは、判別具の透明縞及び不透明縞の少なくとも1つを波形の縞とする。そのため、目視による判別が極めて困難な隠しパターンを含み、偽造防止効果が大きく、デザイン性の高い表示体を得ることができると共に、表示体の隠しパターンに判別具を重ね合わせると、簡単にコントラストの高い明確なモアレ模様を生じさせることが可能となり、表示体の真偽を容易に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態による隠しパターンを有する光回折構造を転写した印刷物の一例について説明するための図である。
【図2】本実施形態において部分表示面中の均一な特性及び構成を有する表示単位領域の基本構成を説明するための図である。
【図3】本実施形態の縞対を示す拡大図である。
【図4】第1実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面の拡大図である。
【図5】図4の破線で囲まれたA部分の拡大図である。
【図6】図4の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図である。
【図7】判別具を図4の部分表示面に重ね合わせた状態を示す図である
【図8】図4の部分表示面から判別される隠しパターンを示す図である。
【図9】第2実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【図10】図9の破線で囲まれたB部分の拡大図である。
【図11】図9の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図である。
【図12】判別具を図9の部分表示面に重ね合わせた状態を示す図である。
【図13】図9の部分表示面から判別される隠しパターンを示す図である。
【図14】第3実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【図15】図14の破線で囲まれたC部分の拡大図である。
【図16】部分表示面を目視によって見た図である。
【図17】第4実施携帯の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【図18】部分表示面から隠し文字"H"を判別した状態を示す図である。
【図19】部分表示面から隠し文字"T"を判別した状態を示す図である。
【図20】図21の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図である。
【図21】部分表示面から隠し文字"H"及び"T"を判別した状態を示す図である。
【図22】各パターンの周辺に設ける縁取りを説明するための図である。
【図23】平行な直線透明部と直線不透明部との繰り返しパターンからなる判別パターンの幅関係を説明するための図である。
【図24】他の実施形態の判別具を示す図である。
【図25】判別具の波線透明部と波線不透明部を示す図である。
【図26】光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を転写箔として構成する場合の層構成を示す断面図である。
【図27】光回折構造による隠しパターンを内包する表示体をラベルとして構成する場合の層構成を示す断面図である。
【図28】光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を脆質ラベルとして構成する場合の層構成を示す断面図である。
【図29】光回折構造による隠しパターンを内包する表示体をフィルムとして構成する場合の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の光回折構造による隠しパターン及びそのための判別具について説明する。
【0026】
図1は、本発明の1実施例として、本発明による隠しパターンを有する光回折構造を転写した印刷物の一例について説明するための図である。偽造、又は、コピーを牽制するために隠しパターンを内包する表示体1が印刷物4の所定の位置に形成されている。この場合の表示体1は、凹凸が形成された極めて薄い樹脂が熱によって所定の大きさに溶断されて熱再活性型の接着剤によってラベルとして紙等の印刷物4上に形成されている。
【0027】
あるいは、ベースフィルムの上に光回折構造を形成した状態で所定の大きさに打ち抜かれ、ベースフィルムと一緒に粘着材又は接着剤によって印刷物4上に形成される。
【0028】
このような表示体1が形成された印刷物は、偽造又は複写されては困るものが多く、例えば、紙幣、商品券、入場券、ギフト券、手形、小切手等がその対象になる。また、印刷自体にも特殊な技術を持ち合わせていないと複製できない手法が盛り込まれており、偽造、複写による悪用に対して二重にプロテクトされている。
【0029】
表示面1は、隠しパターンを含む部分表示面2とその他の部分表示面3とからなっており、部分表示面2と部分表示面3は共に光回折構造による表示面であっても、隠しパターンを含む部分表示面2のみが光回折構造による表示面であって、その他の部分表示面3は印刷等光回折構造によらない表示面であってもよい。もちろん、表示面3が光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2のみからなっていてもよい。
【0030】
図2は、本実施形態において部分表示面中の均一な特性及び構成を有する表示単位領域の基本構成を説明するための図である。
【0031】
図2に示すように、部分表示面2は、均一な特性及び構成を有する表示単位領域5が並列集合している。表示単位領域5は表示パターンに応じた任意の外形及び内形パターン領域を構成しており、そのパターン領域は、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる第1波線縞61と第2波線縞62の縞対6の繰り返しにより埋めつくされてなり、第1波線縞61は第1直線回折格子6’1によって構成され、第2波線縞62は第2直線回折格子6’2によって構成されている。
【0032】
ここで、第1波線縞61、第2波線縞62の基準線Sに対する傾き角をα、第1直線回折格子6’1の基準線Sに対する傾き角をβ1、第2直線回折格子6’2の基準線Sに対する傾き角をβ2 とする。また、基準線Sとしては、例えば部分表示面2の表示パターンに対し水平と認識される方向、例えば表示面2の長辺方向に平行な直線が用いられる。なお、回折格子6’1、6’2の傾き角β1、β2は、格子線の基準線Sに対する角度である。
【0033】
図3は、本実施形態の縞対6を示す拡大図である。
【0034】
縞対6は、第1波線縞61及び第2波線縞62を有する。第1波線縞61の繰り返しピッチをd1、第2波線縞62の繰り返しピッチをd2とすると、縞対6の繰り返しピッチは、d=d1+d2となる。ここで、縞対6の繰り返しピッチdは、d≦1/5mmに設定されることが好ましい。
【0035】
また、第1波線縞61は、繰り返しピッチd1に対して高さhの凸部と凹部を交互に有して波形を形成している。同様に、第2波線縞62は、繰り返しピッチd2に対して高さhの凸部との凹部を交互に有して波形を形成している。凹凸の個数は、0.5〜5個/mmが好ましい。また、凹凸の高さhは、第1波線縞61の繰り返しピッチd1及び第2波線縞62の繰り返しピッチd2の5〜20%が好ましい。
【0036】
図2に示すように、第1直線回折格子6’1と第2直線回折格子6’2とは、傾き角が異なる(β1≠β2)か、その回折格子の格子ピッチが異なるかの少なくとも一方を満たすように選ばれている。なお、第1直線回折格子6’1、第2直線回折格子6’2の格子ピッチは、当然ながら縞対6の繰り返しピッチdに比較して十分に小さく設定される。通常、回折格子6’1、6’2の格子ピッチとしては、0.5μm〜2μmの範囲のものが用いられる。また、第1直線回折格子6’1と第2直線回折格子6’2との傾き角の差|β1−β2|は、限定的ではないが、30°〜90°の範囲に設定するのが望ましい。
【0037】
以上のように、本発明の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2を並列集合して構成する表示単位領域5は、直線回折格子6’1、6’2と、それらの直線回折格子によって構成される第1波線縞61、第2波線縞62の縞対6との二重構造を持つものであり、その二重構造に特徴があるものである。
【0038】
なお、以後の説明において、第1直線回折格子6’1、第2直線回折格子6’2は、特に必要のないとき、何れも直線の用語を省いて、第1回折格子6’1、第2回折格子6’2と呼ぶ。
【0039】
図4は、第1実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【0040】
図4に示すように、部分表示面2においては、表示パターンとしては、背景の中央部の文字"H"の部分を除いた第1の領域11と、中央部の文字"H"の第2の領域12と、を有する。ここで、文字"H"が隠しパターンとして構成されるものである。
【0041】
図5は、図4の破線で囲まれたA部分の拡大図である。
【0042】
非隠しパターン領域11を構成する第1波線縞111a、第2波線縞111b(第1縞対111)の傾き角α11は、例えば45°に選択される。また、隠しパターン領域12を構成する第1波線縞121a、第2波線縞121b(第2縞対121)の傾き角α12は、例えば135°に選択される。なお、第1実施形態では、非隠しパターン領域11の縞対111の繰り返しピッチd11及び隠しパターン領域11の縞対121の繰り返しピッチd12は、等しく設定される。
【0043】
非隠しパターン領域11の第1波線縞111aの第1回折格子11’1aは、傾き角β11a=0°に選択されている。また、非隠しパターン領域11の第2波線縞111bの第2回折格子11’1bは、傾き角β11b=45°に選択されている。
【0044】
隠しパターン領域12の第1波線縞121aの第1回折格子12’1aは、傾き角β12a=0°に選択されている。また、隠しパターン領域12の第2波線縞121bの第2回折格子12’1bは、傾き角β12b=45°に選択されている。
【0045】
すなわち、第1実施形態の表示面2においては、傾き角β11a=0°の非隠しパターン領域11の第1回折格子11’1a及び隠しパターン領域12の第1回折格子12’1a、並びに、傾き角β11b=45°の非隠しパターン領域11の第2回折格子11’1b及び隠しパターン領域12の第2回折格子12’1b、をそれぞれほぼ同じ割合で含む。
【0046】
また、第1実施形態の非隠しパターン領域11の縞対111の傾き角α11と隠しパターン領域12の縞対121の傾き角α12は、異なる。さらに、非隠しパターン領域11の縞対111の繰り返しピッチd11及び隠しパターン領域12の縞対121の繰り返しピッチd12は、d11,d12≦1/5mmを満たすように等しく設定される。なお、縞対111の繰り返しピッチd11と縞対121の繰り返しピッチd12は、異なってもよい。
【0047】
そして、非隠しパターン領域11の第1回折格子11’1aの傾き角β11a及び隠しパターン領域12の第1回折格子12’1aの傾き角β12aを0°、非隠しパターン領域11の第2回折格子11’1bの傾き角β11b及び隠しパターン領域12の第2回折格子12’1bの傾き角β12bを45°とそれぞれ共通にしたので、通常の目視状態では相互に判別できない。
【0048】
したがって、後記する判別具を用いない通常の目視状態では、表示面2全体は均一な明るさの何ら表示パターンのない状態に観察され、隠し文字"H"は判別不可能である。
【0049】
図6は、図4の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図である。
【0050】
判別具20は、平行な直線透明部20aと直線不透明部20bとの繰り返しパターンであって、その繰り返しピッチが表示面2の縞対121の繰り返しピッチd12と等しいピッチd20を有し、直線透明部20a、直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α20が、隠しパターン領域12の縞対121の傾き角α12と同じ135°を有する。
【0051】
図7は判別具を図4の部分表示面に重ね合わせた状態を示す図、図8は図4の部分表示面から判別される隠しパターンを示す図である。
【0052】
図7に示すように、図6に示すような判別具20を、図4の部分表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、隠しパターン領域12では、図5に示した縞対121の第1波線縞121a又は第2波線縞121bの傾き角α12=135°が、判別具20の直線透明部20a、直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α20=135°と同一なので、モアレ現象が生じる。
【0053】
このモアレ現象により、隠しパターン領域12の縞対121の第1波線縞121a又は第2波線縞121bのいずれか一方が直線透明部20aに略対応し、他方が直線不透明部20bに略対応することになる結果、隠しパターン領域12の第1回折格子12’1a又は第2回折格子12’1bの一方による回折光が回折方向に回折される。
【0054】
これに対して、非隠しパターン領域11では、縞対111の第1波線縞111a又は第2波線縞111bの傾き角α11=45°が、判別具20の直線透明部20a、直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α20=135°に対して大きく異なるので、何らモアレ現象が起きない。
【0055】
したがって、隠しパターン領域12において直線不透明部20bで隠されなかった第1回折格子12’1a又は第2回折格子12’1bが直線透明部20aを介して略半分の密度で露出され、略半分の回折強度で同じ方向に回折光を回折する。
【0056】
その結果、図8に示すように、部分表示面2のうち、隠しパターン領域12が相対的により明るく、非隠しパターン領域11が相対的により暗く観察され、この例では隠し文字"H"が判別可能となる。
【0057】
図9は、第2実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【0058】
図9に示すように、部分表示面2においては、表示パターンとしては、背景の中央部の文字"H"の部分を除いた非隠しパターン領域11と、中央部の文字"H"の隠しパターン領域12と、を有する。ここで、文字"H"が隠しパターンとして構成されるものである。
【0059】
図10は、図9の破線で囲まれたB部分の拡大図である。
【0060】
非隠しパターン領域11を構成する第1波線縞111a、第2波線縞111b(縞対111)の繰り返しピッチをd11とし、隠しパターン領域12を構成する第1波線縞121a、第2波線縞121b(縞対121)の繰り返しピッチd12とする。なお、第2実施形態では、非隠しパターン領域11の縞対111の傾き角度α11及び隠しパターン領域12の縞対121の傾き角度α12は、共に45°に設定される。
【0061】
非隠しパターン領域11の第1波線縞111aの第1回折格子11’1aは、傾き角β11a=0°に選択されている。また、非隠しパターン領域11の第2波線縞111bの第2回折格子11’1bは、傾き角β11b=45°に選択されている。
【0062】
隠しパターン領域12の第1波線縞121aの第1回折格子12’1aは、傾き角β12a=0°に選択されている。また、隠しパターン領域12の第2波線縞121bの第2回折格子12’1bは、傾き角β12b=45°に選択されている。
【0063】
すなわち、第2実施形態の表示面2においては、傾き角β11a=0°の非隠しパターン領域11の第1回折格子11’1a及び隠しパターン領域12の第1回折格子12’1a、傾き角β11b=45°の非隠しパターン領域11の第2回折格子11’1b及び隠しパターン領域12の第2回折格子12’1b、を同じ割合で含むものである。
【0064】
また、第1実施形態では、非隠しパターン領域11の縞対111の繰り返しピッチd11及び隠しパターン領域12の縞対121 の繰り返しピッチd12が異なる。また、非隠しパターン領域11の縞対111 の傾き角α11及び隠しパターン領域12の縞対121 の傾き角α12は、45°を満たすように設定される。
【0065】
そして、非隠しパターン領域11の第1回折格子11’1aの傾き角β11a及び隠しパターン領域12の第1回折格子12’1aの傾き角β12aを0°、非隠しパターン領域11の第2回折格子11’1bの傾き角β11b及び隠しパターン領域12の第2回折格子12’1bの傾き角β12b を45°とそれぞれ共通にしたので、通常の目視状態では相互に判別できない。
【0066】
したがって、後記する判別具を用いない通常の目視状態では、表示面2全体は均一な明るさの何ら表示パターンのない状態に観察され、隠し文字"H"は判別不可能である。
【0067】
図11は、図9の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図である。
【0068】
判別具21は、平行な直線透明部21aと直線不透明部21bとの繰り返しパターンであって、その繰り返しピッチが表示面2の隠しパターン領域12の縞対121の繰り返しピッチd12と同じピッチd21を有し、直線透明部21a、直線不透明部21bの基準線Sに対する傾き角αが、隠しパターン領域12の縞対121の傾き角α12と同じ傾き角α21=45°を有する。
【0069】
図12は判別具を図9の部分表示面に重ね合わせた状態を示す図、図13は図9の部分表示面から判別される隠しパターンを示す図である。
【0070】
図12に示すように、図11に示すような判別具21を、図9の部分表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、図10に示した隠しパターン領域12では、縞対121の第1波線縞121a又は第2波線縞121bの傾き角α12=45°が、判別具20の直線透明部21a、直線不透明部21bの基準線Sに対する傾き角α21=45°と同一で有ると共に、縞対121の繰り返しピッチd12が判別具20の直線透明部21aと直線不透明部21bとの繰り返しピッチd21と同じなので、モアレ現象が生じる。
【0071】
このモアレ現象により、縞対121の第1波線縞121a又は第2波線縞121bのいずれか一方が直線透明部21aに略対応し、他方が直線不透明部21bに略対応することになる結果、第1回折格子12’1a又は第2回折格子12’1bの一方による回折光が回折方向に回折される。
【0072】
これに対して、非隠しパターン領域11では、図10に示した第1縞対111の第1波線縞111a又は第2波線縞111bの繰り返しピッチd11が、図11に示した判別具21の直線透明部21aと直線不透明部21bとの繰り返しピッチd21に対して異なるので、何らモアレ現象が起きない。
【0073】
したがって、隠しパターン領域12において直線不透明部21bで隠されなかった第1回折格子12’1a又は第2回折格子12’1bが直線透明部21aを介して略半分の密度で露出され、略半分の回折強度で同じ方向に回折光を回折する。
【0074】
その結果、図13に示すように、部分表示面2のうち、隠しパターン領域12が相対的により明るく、非隠しパターン領域11が相対的により暗く観察され、この例では隠し文字"H"が判別可能となる。
【0075】
次に、第3実施形態について説明する。
【0076】
図14は、第3実施形態の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【0077】
この表示面2においては、表示パターンとしては、中央部に四角形パターンと、その背景の長方形から中央部の四角形領域を除いたパターンと、それらに重畳している文字"H"とからなる。ここで、文字"H"が隠しパターンとして構成されるものである。
【0078】
そして、この表示面2において、並列配置される領域は次のようになる。
・第1非隠しパターン領域11a:長方形から中央部四角形領域と文字"H"とを除いた領域
・第1隠しパターン領域12a:文字"H"で中央部四角形領域から外に出た領域
・第2非隠しパターン領域11b:中央部四角形領域の文字"H"と重ならない領域
・第2隠しパターン領域12b:中央部四角形領域の文字"H"の領域
【0079】
すなわち、第1非隠しパターン領域11a、第1隠しパターン領域12a、第2非隠しパターン領域11b、及び第2隠しパターン領域12bの4つのパターンが並列して、表示面2を構成している。隠しパターンの文字"H"は、第1隠しパターン領域12aと第2隠しパターン領域12bが並列して構成されている。
【0080】
図15は、図14の破線で囲まれたC部分の拡大図である。
【0081】
文字パターン"H"以外の第1非隠しパターン領域11aでは、第1波線縞11a1a、第2波線縞11a1b(縞対11a1)の傾き角α11aを45°に選択する。同様に、文字パターン"H"以外の第2非隠しパターン領域11bでは、第1波線縞11b1a、第2波線縞11b1b(縞対11b1)の傾き角α11bを45°に選択する。
【0082】
文字パターンHを構成する第1隠しパターン領域12aでは、第1波線縞12a1a、第2波線縞12a1b(縞対12a1)の傾き角α12aを135°に選択する。同様に、文字パターンHを構成する第2隠しパターン領域12bでは、第1波線縞12b1a、第2波線縞12b1b(縞対12b1)の傾き角α12bを135°に選択する。
【0083】
さらに、第3実施形態では、第1非隠しパターン領域11aの縞対11a1、第2非隠しパターン領域11bの縞対11b1、第1隠しパターン領域12aの縞対12a1、及び第2隠しパターン領域12bの縞対12b1の繰り返しピッチdは、全て同じに設定される。
【0084】
中央部四角形の外側の第1非隠しパターン領域11aでは、第1波線縞11a1aの第1回折格子11’a1aの傾き角β11a1は、0°、第2波線縞11a1bの第2回折格子11’a1bの傾き角β11a2は、45°に設定する。また、中央部四角形の内側の第2非隠しパターン領域11bでは、第1波線縞11b1aの第1回折格子11’b1aの傾き角β11b1は、90°、第2波線縞11b1bの第2回折格子11’b1bの傾き角β11b2は、135°に設定する。
【0085】
中央部四角形の外側の第1隠しパターン領域12aでは、第1波線縞12a1aの第1回折格子12’a1aの傾き角β12a1は、0°、第2波線縞12a1bの第2回折格子12’a1bの傾き角β12a2は、45°に設定する。また、中央部四角形の内側の第2隠しパターン領域12bでは、第1波線縞12b1aの第1回折格子12’b1aの傾き角β12b1は、90°、第2波線縞12b1bの第2回折格子12’b1bの傾き角β12b2は、135°に設定する。
【0086】
図16は、部分表示面2を目視によって見た図である。
【0087】
図15に示したように、中央部四角形の外側の第1非隠しパターン領域11aの第1回折格子11’a1a(傾き角β11a1=0°)及び第2回折格子11’a1b(傾き角β11a2=45°)、並びに、第1隠しパターン領域12aの第1回折格子12’a1a(傾き角β12a1=0°)及び第2回折格子12’a1b(傾き角β12a2=45°)は、それぞれ同じ割合で含まれる。したがって、図16の13aに示すように、第1の図柄として通常の目視状態では同じ明るさで同じ色の一様領域に見える。
【0088】
同様に、図15に示したように、中央部四角形の内側の第2非隠しパターン領域11bの第1回折格子11’b1a(傾き角β11b1=90°)及び第2回折格子11’b1b(傾き角β11b2=135°)、並びに、第2隠しパターン領域12bの第1回折格子12’b1a(傾き角β12b1=90°)及び第2回折格子12’b1b(傾き角β12b2=135°)は、それぞれ同じ割合で含まれる。したがって、図16の13bに示すように、第2の図柄として通常の目視状態では同じ明るさで同じ色の一様領域に見える。
【0089】
このような部分表示面2に、図6に平面図を示すような平行な直線透明部20aと直線不透明部20bとの繰り返しパターンであって、その繰り返しピッチdが表示面2の縞対の繰り返しピッチdと同じであり、直線透明部20aと直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α=135°が、隠し文字パターン“H”を構成する第1隠しパターン領域12aの縞対12a1及び第2隠しパターン領域12bの縞対12b1の傾き角と同じ135°の判別具20を近接あるいは密着して重ね合わせるとモアレ現象が生じる。
【0090】
このモアレ現象により、第1隠しパターン領域12aの縞対12a1の第1波線縞12a1a又は第2波線縞12a1bのいずれか一方が直線透明部20aに略対応し、他方が直線不透明部20bに略対応することになる結果、第1隠しパターン領域12aの第1回折格子12’a1a又は第2回折格子12’a1bの一方による回折光が回折方向に回折される。
【0091】
また、同様に、第2隠しパターン領域12bの縞対12b1の第1波線縞12b1a又は第2波線縞12b1bのいずれか一方が直線透明部20aに略対応し、他方が直線不透明部20bに略対応することになる結果、第2隠しパターン領域12bの第1回折格子12’b1a又は第2回折格子12’b1bの一方による回折光が回折方向に回折される。
【0092】
これに対して、第1非隠しパターン領域11aでは、縞対11a1の第1波線縞11a1a又は第2波線縞11a1bの傾き角α11a=45°が、判別具20の直線透明部20a、直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α=135°に対して大きく異なるので、何らモアレ現象が起きない。
【0093】
同様に、第2非隠しパターン領域11bでは、縞対11b1の第1波線縞11b1a又は第2波線縞11b1bの傾き角α11b=45°が、判別具20の直線透明部20a、直線不透明部20bの基準線Sに対する傾き角α=135°に対して大きく異なるので、何らモアレ現象が起きない。
【0094】
したがって、第1隠しパターン領域12aにおいて直線不透明部20bで隠されなかった第1回折格子12’a1a又は第2回折格子12’a1b、並びに、第2隠しパターン領域12bにおいて直線不透明部20bで隠されなかった第1回折格子12’b1a又は第2回折格子12’b1bが直線透明部20aを介して略半分の密度で露出され、略半分の回折強度で同じ方向に回折光を回折する。
【0095】
その結果、図8に示すように、部分表示面2のうち、第1隠しパターン領域12a及び第2隠しパターン領域12bが相対的により明るく、第1非隠しパターン領域11a及び第2非隠しパターン領域11bが相対的により暗く観察され、この例では隠し文字"H"が判別可能となる。
【0096】
なお、第1隠しパターン領域12aの縞対12a1の第1波線縞12a1a又は第2波線縞12a1bと、第2隠しパターン領域12bの縞対12b1の第1波線縞12b1a又は第2波線縞12b1bとは、連続して形成されることが好ましい。連続して形成することで、より明るく隠し文字"H"が判別可能となる。
【0097】
図17は、第4実施携帯の光回折構造による隠しパターンを含む部分表示面2の拡大図である。
【0098】
部分表示面2は、長方形内に正方形領域があり、その長方形内に正方形領域と一部重なるように"H"の文字と"T"の文字を重ならずに並列して描いたものであり、"H"の文字の正方形領域内に位置する文字の内側領域H11(第1図柄の第1隠しパターン領域)と、正方形領域外に位置する文字の内側領域H12(第2図柄の第1隠しパターン領域)と、"T"の文字の正方形領域内に位置する文字の内側領域T11(第1図柄の第2隠しパターン領域)と、正方形領域外に位置する文字の内側領域T12(第2図柄の第2隠しパターン領域)と、正方形領域の"H"の文字及び"T"の文字以外の領域O11(第1図柄の第1非隠しパターン領域)と、正方形領域の外で"H"の文字及び"T"の文字の外側領域O12(第2図柄の第1非隠しパターン領域)とからなるものであり、例えば、以下のように設定する。
【0099】
領域H11
縞対の傾き角:135°
縞対の繰り返しピッチ:0.08mm
第1回折格子の傾き角:0°
第2回折格子の傾き角:45°
領域H12
縞対の傾き角:135°
縞対の繰り返しピッチ:0.08mm
第1回折格子の傾き角:30°
第2回折格子の傾き角:75°
領域T11
縞対の傾き角:45°
縞対の繰り返しピッチ:0.12mm
第1回折格子の傾き角:0°
第2回折格子の傾き角:45°
領域T12
縞対の傾き角:45°
縞対の繰り返しピッチ:0.12mm
第1回折格子の傾き角:30°
第2回折格子の傾き角:75°
領域O11
縞対の傾き角:90°
縞対の繰り返しピッチ :0.16mm
第1回折格子の傾き角:0°
第2回折格子の傾き角:45°
領域O12
縞対の傾き角:90°
縞対の繰り返しピッチ:0.16mm
第1回折格子の傾き角:30°
第2回折格子の傾き角:75°
【0100】
このような配置にすると、部分表示面2において、正方形内の領域である領域H11と領域T11と領域O11では、共に何れの領域においても、傾き角0°の第1回折格子と、傾き角45°の第2回折格子とが同じ割合で含まれる。また、表示面2の正方形外の領域である領域H12と領域T12と領域O12では、共に何れの領域においても、傾き角30°の第1回折格子と、傾き角75°の第2回折格子とが同じ割合で含まれる。
【0101】
すなわち、何れも縞対の繰り返しピッチは異なるものの、縞対の繰り返しピッチは1/5mm以下を満たすように設定されるので、通常の目視状態では、表示面2の正方形内の領域は一様に、正方形外の領域も一様に見え、かつ、正方形内と正方形外では回折方向が異なるので、相互に異なった状態に見え判別できる。したがって、判別具を用いない通常の目視状態では、図16に示した形態と同様に、表示面2は長方形内に正方形を含む表示パターンとして観察され、隠し文字"H"と"T"は判別不可能である。
【0102】
図18は部分表示面2から隠し文字"H"を判別した状態を示す図である。
【0103】
図6に示したような平行な直線透明部20aと直線不透明部20bとの繰り返しパターンであって、直線透明部20a、直線不透明部20bの傾き角が領域H11と領域H12の縞対の傾き角45°に等しく、その繰り返しピッチが領域H11と領域H12の縞対の繰り返しピッチ0.08mmに等しい判別具20を、部分表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、領域H11及び領域H12では観察方向に応じてより明るいか暗く見え、それ以外の領域T11、T12、O11、O12では反対に相対的に暗いかより明るく観察され、領域H11、H12と領域T11、T12、O11、O12との間で相互にコントラストがついて観察され、図18に示すように、隠し文字"H"が判別可能となる。なお、"H"の文字の正方形の内側領域H11と外側領域H12の間では、照明光源の位置により、若干明るさや色が相互に異なって見えるが、通常の目視環境では多くの光源や面光源が存在するので、この"H"の文字の内側での明るさや色の違いは、隠し文字"H"を判別するのに邪魔となるものではない。
【0104】
図19は、部分表示面2から隠し文字"T"を判別した状態を示す図である。
【0105】
次に、図11に示したような平行な直線透明部21aと直線不透明部21bとの繰り返しパターンであって、直線透明部21a、直線不透明部21bの傾き角が領域T11と領域T12の縞対の傾き角45°に等しく、その繰り返しピッチが領域T11と領域T12の縞対の繰り返しピッチ0.12mmに等しい判別具20を、部分表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、領域T11、T12では観察方向に応じてより明るいか暗く見え、それ以外の領域H11、H12、O11、O12では反対に相対的に暗いかより明るく観察され、領域T11、T12と領域H11、H12、O11、O12との間で相互にコントラストがついて観察され、図19に示すように、隠し文字"T"が判別可能となる。なお、"T"の文字の正方形の内側領域T11と外側領域T12の間では、照明光源の位置により、若干明るさや色が相互に異なって見えるが、通常の目視環境では多くの光源や面光源が存在するので、この"TB"の文字の内側での明るさや色の違いは、隠し文字"T"を判別するのに邪魔となるものではない。
【0106】
図20は図21の部分表示面の隠しパターンを判別するための判別具の一例の平面図、図21は部分表示面2から隠し文字"H"及び"T"を判別した状態を示す図である。
【0107】
次に、図20に示したような平行な直線透明部22aと直線不透明部22bとの繰り返しパターンであって、直線透明部22a、直線不透明部22bの傾き角が領域O11と領域O12の縞対の傾き角90°に等しく、その繰り返しピッチが領域O11と領域O12の縞対の繰り返しピッチ0.16mmに等しい判別具22を、部分表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、領域O11と領域O12では観察方向に応じてより明るいか暗く見え、それ以外の領域H11、H12、T11、T12は相対的に暗いかより明るく観察され、図21に示すように、隠し文字"HT"が判別可能となる。なお、隠し文字"HT"外の領域O11と領域O12の間では、照明光源の位置により、若干明るさや色が相互に異なって見えるが、通常の目視環境では多くの光源や面光源が存在するので、この"隠し文字"HT"外での明るさや色の違いは、隠し文字"HT"を判別するのに邪魔となるものではない。
【0108】
次に、第1実施形態〜第4実施形態までの部分表示面2に形成した波線縞の実施例について説明する。
【0109】
実施例1では、図3に示した波線縞対6の第1波線縞61のピッチd1及び第2波線縞62のピッチd2を85μm、凹凸の高さを60μm又は120μmとし、1mmあたりの凹凸の個数を変化させた際のモアレ模様の視認性を、直線縞と相対的に比較した。なお、以下の表1及び表2中、凹凸個数が0の場合が直線縞の場合に相当し、直線縞の場合の視認性を△とし、直線縞よりも視認しやすい場合を○、さらにしやすい場合を◎、視認しにくい場合を×とする。
【0110】
表1

凹凸高さ:60μm
凹凸個数 0 0.25 0.5 1 2 5 10
視認性 △ ○ ◎ ◎ ○ ○ △
【0111】
表2

凹凸高さ:120μm
凹凸個数 0 0.25 0.5 1 2 5 10
視認性 △ ○ ◎ ◎ ○ ○ △
【0112】
このように、波線縞の凹凸の高さが60μm及び120μmのどちらの場合でも、直線縞の場合の視認性よりも、波線縞の視認性は良好であった。
【0113】
次に、実施例2では、図3に第1波線縞61のピッチd1及び第2波線縞62のピッチd2を85μm、第1波線縞61及び第2波線縞62の1mmあたりの凹凸の個数を0.5個又は1個とし、凹凸の高さを変化させた際のモアレ模様の視認性を、直線縞と相対的に比較した。なお、以下の表3及び表4中、凹凸個数が0の場合が直線縞の場合に相当し、直線縞の場合の視認性を△とし、直線縞よりも視認しやすい場合を○、さらにしやすい場合を◎、視認しにくい場合を×とする。
【0114】
表3

凹凸個数:0.5個/mm
凹凸高さ 0 5 10 15 20 25 30
視認性 △ ○ ◎ ◎ ◎ ○ △
【0115】
表4

凹凸個数:1個/mm
凹凸高さ 0 5 10 15 20 25 30
視認性 △ ○ ◎ ◎ ◎ ○ △
【0116】
このように、波線縞の凹凸個数が0.5個/mm及び1個/mmのどちらの場合でも、直線縞の場合の視認性よりも、波線縞の視認性は良好であった。
【0117】
図22は、各パターンの周辺に設ける縁取りを説明するための図である。
【0118】
判別具を用いない通常の目視状態で判別可能なパターン(図16の正方形パターン)、隠しパターン(図8、図13、図17、及び図21の"H"の文字パターン、図19及び図21の"T"の文字パターン)共に、それぞれのパターンPの周辺に、図22に示すように、そのパターンPを構成する縞対6の周期に対して半周期ずれた周期の縞対で縁取りP'を形成することもできる。このような縁取りP'を施すことによって、判別困難な隠しパターンを、判別具を用いて判別する際に、判別しやすくし、判別可能なパターンに対してもその境界をより鮮明化する効果がある。
【0119】
以上の説明では、縞対を構成する第1回折格子と第2回折格子は、傾き角が異なるか、その回折格子の格子ピッチが異なるかの少なくとも一方を満たすように選ぶものとしたが、その傾き角と格子ピッチの2つの要素を共に異ならせて構成することにより、隠しパターンの効果をより高めることができる。
【0120】
また、以上において、判別具20〜22は、平行な直線透明部20a〜22aと直線不透明部20b〜22bとの繰り返しパターンであって、その繰り返しピッチが表示面の何れかの隠しパターンの領域の縞対の繰り返しピッチと同じピッチを有し、直線透明部20a〜22a、直線不透明部20b〜22bの基準線に対する傾き角が、隠しパターンの領域の縞対の傾き角と同じであればよいと説明したが、このような判別具20〜22は、印刷物4に対して決められた角度で近づけると、判別具20〜22を介して隠しパターンが表示される。判別具20〜22を介して表示された隠しパターンが所定のパターンであった場合に、その印刷物は正しい供給者から供給された正当な製品(真正品)であると判定される。
【0121】
判別具20〜22は、その判別具を透過して印刷物の隠しパターンに照射された光を観察者が目視できなければならないために、透明なベース基材に判別パターンが形成されているものを用いる。ベース基材は透明度が高い方が好ましい。また、判別具20〜22は、頻繁に使用されるために、ベース基材を強固な枠材で固定したものが多く使用される。この枠材には取っ手等を付けることも可能で、そのことによって判別具20〜22の透明なベース基材が指紋や油で汚れることを防止する。
【0122】
隠しパターンの判別に際し、判別具20〜22を、表示体1が形成された印刷物4に密着させる程度に近づけて判別する。その密着の状態から一定の距離までは隠しパターンの判別が可能であるが、モアレ現象を利用しているために、表示体1と判別具20〜22の距離が空きすぎると、判別が困難になる。
【0123】
ところで、判別具20〜22は、基準線Sに対して、直線透明部20a〜22aと直線不透明部20b〜22bの傾き角が所定角度αの万線パターンで構成することができる。万線は、直線透明部20a〜22aと着色された直線不透明部20b〜22bが対となった繰り返しパターンであり、透明な直線透明部20a〜22aの幅と、着色された直線不透明部20b〜22bの幅は、同一でも、異なっていてもよい。
【0124】
なお、このような万線パターンの代わりに網点パターンによっても、判別具20〜22を構成することができる。方向性のある網点は、透明な部分と着色された部分が独立した点、又は、2箇所が鎖状に繋がった点で構成されており、透明な部分を繋ぐ(鎖状の)線と、着色された部分を繋ぐ(鎖状の)線が対になって、直線透明部20a〜22aと直線不透明部20b〜22bに相当する判別パターンが構成される。
【0125】
ところで、判別具21として、図11に示すように、平行な直線透明部21aと直線不透明部21bとの繰り返しパターンからなる判別パターンを用いる場合に、図23にその繰り返しパターンの一部を拡大して示すように、直線透明部21aの幅をa、直線不透明部21bの幅をbとするとき、a/b≒1、すなわち、直線透明部21aと直線不透明部21bを略同じ幅としてもよいが、a/bは2/3〜1/4の範囲、すなわち、直線透明部21aの幅を直線不透明部21bの幅より小さく設定することが望ましい。その理由は、2/3≧a/b≧1/4の範囲においては、判別具21を表示面2に近接あるいは密着して重ね合わせると、隠しパターン"H"等がコントラスト良く観察される。これに対して、a/bが2/3を越えると、判別具21を通して見える光量が多すぎて明るくなりすぎてコントラストが低下し、隠しパターンが見え難くなり、逆に、a/bが1/4を下回ると、その光量が少なすぎて暗くなって隠しパターンが見え難くなるためである。
【0126】
図24は他の実施形態の判別具を示す図、図25は判別具の波線透明部と波線不透明部を示す図である。
【0127】
また、判別具20’として、図24に示すように、平行な波線透明部20’aと波線不透明部20’bとの繰り返しパターンからなる判別パターンを用いてもよい。
【0128】
判別具20’は、波線透明部20’aと波線不透明部20’bを有する。波線透明部20’aの繰り返しピッチをd1 、波線不透明部20’bの繰り返しピッチをd2 とすると、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの繰り返しピッチは、d=d1+d2となる。ここで、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの繰り返しピッチdは、d≦1/5mmに設定されることが好ましい。
【0129】
また、波線透明部20’aは、繰り返しピッチd1 に対して高さhの凸部と凹部を交互に有して波形を形成している。同様に、波線不透明部20’bは、繰り返しピッチd2 に対して高さhの凸部と凹部を交互に有して波形を形成している。凹凸の個数は、0.5〜5個/mmが好ましい。また、凹凸の高さhは、波線透明部20’aの繰り返しピッチd1 、及び波線不透明部20bの繰り返しピッチd2 の5〜20%が好ましい。
【0130】
次に、判別具20’に形成した波線透明部20’aと波線不透明部20’bの実施例について説明する。
【0131】
実施例3では、図25に示した波線透明部20’aのピッチd1及び波線不透明部20’bのピッチを85μm、凹凸の高さを60μm又は120μmとし、1mmあたりの凹凸の個数を変化させた際のモアレ模様の視認性を、図6、図11、及び図20に示した直線透明部20a及び直線不透明部20bの判別具20と相対的に比較した。なお、以下の表5及び表6中、凹凸個数が0の場合が直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合に相当し、直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合の視認性を△とし、直線透明部20a及び直線不透明部20bよりも視認しやすい場合を○、さらにしやすい場合を◎、視認しにくい場合を×とする。
【0132】
表5
凹凸高さ:60μm
凹凸個数 0 0.25 0.5 1 2 5 10
視認性 △ ○ ◎ ◎ ○ ○ △
【0133】
表6
凹凸高さ:120μm
凹凸個数 0 0.25 0.5 1 2 5 10
視認性 △ ○ ◎ ◎ ○ ○ △
【0134】
このように、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの凹凸の高さが60μm及び120μmのどちらの場合でも、直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合の視認性よりも、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの視認性は良好であった。
【0135】
次に、実施例4では、図3に波線透明部20’aのピッチd1及び波線不透明部20’bのピッチd2を85μm、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの1mmあたりの凹凸の個数を0.5個又は1個とし、凹凸の高さを変化させた際のモアレ模様の視認性を、直線透明部20a及び直線不透明部20bと相対的に比較した。なお、以下の表7及び表8中、凹凸個数が0の場合が直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合に相当し、直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合の視認性を△とし、直線透明部20a及び直線不透明部20bよりも視認しやすい場合を○、さらにしやすい場合を◎、視認しにくい場合を×とする。
【0136】
表7

凹凸個数:0.5個/mm
凹凸高さ 0 5 10 15 20 25 30
視認性 △ ○ ◎ ◎ ◎ ○ △
【0137】
表8
凹凸個数:1個/mm
凹凸高さ 0 5 10 15 20 25 30
視認性 △ ○ ◎ ◎ ◎ ○ △
【0138】
このように、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの凹凸個数が0.5個/mm及び1個/mmのどちらの場合でも、直線透明部20a及び直線不透明部20bの場合の視認性よりも、波線透明部20’a及び波線不透明部20’bの視認性は良好であった。
【0139】
ところで、以上の説明において、図1に示した表示体1の表示面2の光回折構造を構成する回折格子については、詳しく説明しなかった。通常、印刷物等に貼着して用いる表示面2に用いる回折格子としては、凹凸のレリーフ構造の回折格子のレリーフ面あるいは平面に蒸着等で金属反射膜を設けて反射型とした回折格子が用いられるが、それ以外に、振幅が周期的に変化する振幅型回折格子を構成するもの又は屈折率が周期的に変化して位相型回折格子を構成するものの裏面に金属反射膜を設けて反射型とした回折格子、体積型感光材料中に干渉縞で回折格子を構成した体積型回折格子等を用いてもよい。
【0140】
もちろん、表示面を反射型でなく透過型のもので構成し、回折格子も透過型の回折格子で構成してもよい。
【0141】
さて、本実施形態のような隠しパターンを含む部分表示面を有する表示体(又は、表示面2のみ)は、転写箔、ラベル、フィルム等種々の形態に構成することができる。転写箔形態の場合には、例えば商品券、クレジットカード、パッケージ等に適用でき、ラベル形態の場合には、例えばソフトウエア、カートリッジ、医薬品等のパッケージ等に適用でき、フィルム形態の場合には、例えばそのフィルムを1〜2mm程度の幅にマイクロスリットし、用紙の抄造時に紙中に共に抄き込んで偽造防止を図ることができる。また、ラベル形態の場合には、脆質層を層構成中に介在させて、偽造のためにラベルを剥離しようとしたときにその脆質層から剥がれるようにして偽造のために表示体を剥がすことを困難にすることができる(脆質ラベル)。以下、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を、転写箔、ラベル、脆質ラベル、フィルムの各形態に構成する場合の、層構成とその作製工程の例を説明する。
【0142】
図26は、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を転写箔31として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に剥離層45を塗布し、その剥離層45上に回折格子形成層41を塗布し、回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子原版をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の回折格子を複製し、その複製されたレリーフ回折格子面上に反射層42を蒸着することにより反射型の回折格子43を形成し、その回折格子43の反射層42側にヒートシール層46を塗布して、図26のような層構成の転写箔31を完成する。
【0143】
ここで、基材44を構成する樹脂フィルムとしては、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、若しくは、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等が好ましく、中でも、これらに加え、機械的強度の優れた2軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが適している。
【0144】
また、剥離層45を構成する樹脂は、基材44の素材や、剥離層45と接着する回折格子形成層41の材質にもよるが、ポリエステル樹脂、アクリル骨格樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、酢酸セルロースと熱硬化型アクリル樹脂との2成分のブレンド樹脂、メラミン樹脂、若しくは、ニトロセルロース樹脂を使用することができる。例えば、基材44がポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)フィルムであるときは、剥離層45と基材44との密着力の点で、ポリエステル樹脂が好ましい。これらの樹脂には、さらにポリエチレンワックス等のワックス、若しくは、シリコーン樹脂を添加して剥離性を向上させてもよい。剥離層45は、上記の樹脂を適宜な溶剤若しくは分散剤を用いて溶解若しくは分散させて、塗布若しくは印刷に適した組成物を調製したものを、公知の塗布方法若しくは印刷方法により、基材44に積層形成することができる。
【0145】
また、回折格子形成層41を構成する合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂(例、PMMA)、ポリスチレン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル、メラミン、エポキシ、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン系アクリレート等の熱硬化性樹脂をそれぞれ単独、あるいは、上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを混合して使用することができ、さらには、ラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性物質、あるいは、これらにラジカル重合性不飽和単量体を加え電離放射線硬化性としたもの等を使用することができる。この他、銀塩、重クロム酸ゼラチン、サーモプラスチック、ジアゾ系感光材料、フォトレジスト、強誘電体、フォトクロミックス材料、サーモクロミックス材料、カルコゲンガラスなどの感光材料なども使用できる。
【0146】
上記の合成樹脂からなる層への凹凸レリーフ構造の回折格子の形成は、上記の材料を用いて、従来既知の方法によって形成することができる。例えば、回折格子が凹凸の形で記録された原版をプレス型として用い、上記樹脂層上にその原版を重ねて加熱ロール等の適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。あるいは、紫外線硬化性とした樹脂層上にその原版を重ねて、紫外線を照射してその樹脂層を硬化させて原版の凹凸模様を複製することができる。
【0147】
反射層42を構成する材質としては、Mg、Al、Ti、Cr、Cu、Zn、Ga、Ge、Se、Rb、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Au、Pb、若しくは、Bi等の金属、又は、それらの酸化物、若しくは、それらの窒化物を単独で、若しくは、組み合わせ、薄膜として形成する。金属薄膜層を反射層42として用いるときには、これらの中でも、Al、Cr、Ni、Ag、若しくは、Au等が特に好ましい。
【0148】
反射層42を形成するには、真空蒸着法、スパッタリング法、若しくは、イオンプレーティング法等の公知の薄膜形成法によって行う。
【0149】
ヒートシール層46を構成する材質としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−イソブチルアクリレート共重合体樹脂、ブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル及びその共重合体樹脂、セルロース誘導体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、又は、フェノール樹脂が使用できる。あるいは、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー)、SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロックコポリマー)等の熱可塑性エラストマー、又は、反応ホットメルト性樹脂等を使用してもよい。
【0150】
図27は、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体をラベル32として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に回折格子形成層41を塗布し、回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子原版をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の回折格子を複製し、その複製されたレリーフ回折格子面上に反射層42を蒸着することにより反射型の回折格子43を形成し、その回折格子43の反射層42側に粘着層47を塗布し、その粘着層47上にその保護用としてセパレータ(剥離紙)48をラミネートして、図27のような層構成のラベル32を完成する。
【0151】
ここで、基材44、回折格子形成層41、反射層42を構成する材質としては、図25の場合と同様である。
【0152】
粘着層47を構成する接着剤としては、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール(ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等)、シアノアクリレート、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ニトロセルロース、酢酸セルロース、熱可塑性エポキシ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー等、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾール等、あるいは、ゴム系の天然ゴム、再生ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、ブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)が使用できる。
【0153】
また、セパレータ(剥離紙)48としては、従来公知の紙やフィルム基材に剥離処理を施したものが使用できる。
【0154】
図28は、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体を脆質ラベル33として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に脆質層49を塗布し、その脆質層49上に回折格子形成層41を塗布し、回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子原版をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の回折格子を複製し、その複製されたレリーフ回折格子面上に反射層42を蒸着することにより反射型の回折格子43を形成し、その回折格子43の反射層42側に粘着層47を塗布し、その粘着層47上にセパレータ(剥離紙)48をラミネートして、図28のような層構成の脆質ラベル33を完成する。
【0155】
ここで、基材44、回折格子形成層41、反射層42、粘着層47、セパレータ(剥離紙)48を構成する材質としては、図27の場合と同様である。
【0156】
脆質層49を構成する材料としては、図26の場合の剥離層45を構成する樹脂と同じ系列のものが用いられる。
【0157】
図29は、本実施形態の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体をフィルム34として構成する場合の層構成を示す断面図であり、その作製方法に従ってその構成を説明すると、PET等の透明樹脂フィルムからなる基材44上に回折格子形成層41を塗布し、回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子原版をエンボスしてその凹凸レリーフ構造の回折格子を複製し、その複製されたレリーフ回折格子面上に反射層42を蒸着することにより反射型の回折格子43を形成して、図29のような層構成のフィルム34が完成する。
【0158】
ここで、基材44、回折格子形成層41、反射層42を構成する材質としては、図26〜図28の場合と同様である。
【0159】
ここで、図26〜図29において、回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版の作製方法の例を簡単に説明しておく。そのためには、Crメッキされたガラス板を用意し、その上に電子線レジストを塗布し、電子線描画により、回折格子パターンを描画し、その後に電子線レジストを現像することにより、断面矩形波状の凹凸レリーフ構造が得られる。
【0160】
そのような電子線レジストの凹凸レリーフ構造の回折格子パターン上に紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂を塗布して紫外線照射あるいは加熱により、その凹凸レリーフ構造を紫外線硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に複製することにより、電子線描画の回折格子パターンのネガ版が得られる。そのネガ版から同様に複製してポジ版を得るか、あるいは、このような複製を偶数回繰り返すことにより得られたポジ版を、上記の回折格子形成層41に凹凸レリーフ構造の回折格子をエンボスするための回折格子原版として用いることができる。
【0161】
以上、本発明の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体及びそのための判別具をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0162】
1…隠しパターンを内包する表示体
2…隠しパターンを含む部分表示面
3…その他の部分表示面
4…印刷物
5…表示単位領域
6…縞対
1…第1波線縞
2…第2波線縞
6’1…第1直線回折格子
6’2…第2直線回折格子
11…非隠しパターン領域
11a…第1非隠しパターン領域
11b…第2非隠しパターン領域
111、11a1、11b1…縞対
111a、11a1a、11b1a…第1波線縞
111b、11a1b、11b1b…第2波線縞
11’1a、11’a1a、11’b1a…第1直線回折格子
11’1b、11’a1b、11’b1b…第2直線回折格子
12…隠しパターン領域
12a…第1隠しパターン領域
12b…第2隠しパターン領域
121、12a1、12b1…縞対
121a、12a1a、12b1a…第1波線縞
121b、12a1b、12b1b…第2波線縞
12’1a、12’a1a、12’b1a…第1直線回折格子
12’1b、12’a1b、12’b1b…第2直線回折格子
20,20’,21,22…判別具
20a,20’a,21a,22a…直線透明部
20b,20’b,21b,22b…直線不透明部
31…転写箔
32…ラベル
33…脆質ラベル
34…フィルム
41…回折格子形成層
42…反射層
43…反射型の回折格子
44…基材
45…剥離層
46…ヒートシール層
47…粘着層
48…セパレータ(剥離紙)
49…脆質層
S…基準線
P…パターン
P'…縁取り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光回折構造を有する表示面を備え、
前記表示面は、回折特性が異なり、表示パターンに応じた任意の外形及び内形を持つ複数のパターン領域が並列配置されてなり、
前記複数のパターン領域は、隠しパターン領域及び非隠しパターン領域を有し、
前記隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記隠しパターン領域の縞対を含み、
前記隠しパターン領域の縞対は、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる前記隠しパターン領域の第1波線縞及び前記隠しパターン領域の第2波線縞を持ち、
前記隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、
前記隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、
前記非隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記非隠しパターン領域の縞対を含み、
前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、
前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、
前記表示面に対して設定された基準線に対して、
前記隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角に等しく、
前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角に等しく、
かつ、
前記隠しパターン領域の前記縞対の特性は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の特性と異なる
ことを特徴とする光回折構造による隠しパターンを内包する表示体。
【請求項2】
前記隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記隠しパターン領域の前記第2波線縞、並びに、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、それぞれの繰り返しピッチに対して、5〜20%の高さの凸部及び凹部を交互に有する
ことを特徴とする請求項1記載の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体。
【請求項3】
前記隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記隠しパターン領域の前記第2波線縞、並びに、前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞及び前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、それぞれの繰り返しピッチに対して、0.5〜5個/mmの凸部及び凹部を交互に有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体。
【請求項4】
前記表示面に対して設定された基準線に対して、
前記隠しパターン領域の前記縞対の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の傾き角とは異なる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体。
【請求項5】
前記隠しパターン領域の前記縞対の繰り返しピッチは、前記非隠しパターン領域の前記縞対の繰り返しピッチと異なる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の前記光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具であって、
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角
及び
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチ
を持つ平行な直線透明部と直線不透明部との繰り返しパターンを有する
ことを特徴とする光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の前記光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具であって、
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角
及び
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチ
を持つ平行な波線透明部と波線不透明部との繰り返しパターンを有する
ことを特徴とする光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具。
【請求項8】
前記透明部の幅が前記不透明部の幅より小さい
ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の光回折構造による隠しパターンを内包する表示体のための判別具。
【請求項9】
光回折構造を有する表示面を備え、
前記表示面は、回折特性が異なり、表示パターンに応じた任意の外形及び内形を持つ複数のパターン領域が並列配置されてなり、
前記複数のパターン領域は、隠しパターン領域及び非隠しパターン領域を有し、
前記隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記隠しパターン領域の縞対を含み、
前記隠しパターン領域の縞対は、相互に隣接していて平行で、回折特性の異なる前記隠しパターン領域の第1波線縞及び前記隠しパターン領域の第2波線縞を持ち、
前記隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、
前記隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、
前記非隠しパターン領域は、所定の繰り返しピッチで埋めつくされた前記非隠しパターン領域の縞対を含み、
前記非隠しパターン領域の前記第1波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第1直線回折格子によって構成されて、
前記非隠しパターン領域の前記第2波線縞は、波形の縞内が前記非隠しパターン領域の第2直線回折格子によって構成されて、
前記表示面に対して設定された基準線に対して、
前記隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第1直線回折格子の傾き角に等しく、
前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角は、前記非隠しパターン領域の前記第2直線回折格子の傾き角に等しく、
かつ、
前記隠しパターン領域の前記縞対の特性は、前記非隠しパターン領域の前記縞対の特性とは異なる
光回折構造による隠しパターンを内包する表示体と、
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ傾き角
及び
前記隠しパターン領域の前記縞対と同じ繰り返しピッチ
を持つ平行な波線透明部と波線不透明部との繰り返しパターンを有する判別具と、
を備える
ことを特徴とする光回折構造による隠しパターンを内包する表示体の判別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−198371(P2012−198371A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62249(P2011−62249)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】