説明

回折顔料

本発明は顔料に関し、それの最小寸法は少なくとも、紫外線の最大波長又は可視光線の最小波長の倍数に対応する。該顔料は少なくとも1種の限定された回折構造を含有し、それの立体周期性は、少なくとも紫外線の波長の倍数に対応する立体周期を有する。特に、本発明の顔料は層形状を有する。かかる顔料の製造方法は次の工程即ち(a)限定した回折構造をフィルム型支持体及び/又は該支持体上に生成し;(b)限定した回折構造を前記支持体上で封止剤で被覆し;(c)工程(a)及び(b)で加工したフィルム型支持体を微粉砕して顔料粒子を形成する工程からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回折性顔料、特にホログラフィー顔料、かかる顔料粒子を含有する顔料粉末並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
着色成分及び/又は発色成分としての顔料(ピグメント)は多数の変型で知られている。顔料を用いる慣用の発色においては、一方では (a) 顔料材料の原子及び/又は分子における電子移動の選択的な励起によりあるいは顔料材料の特有の官能基内の電子振動の選択的な励起により顔料材料における選定した周波数及び/又は波長の選択的な吸収を用いる。他方では (b) 顔料材料において生成した操業時間の差異(runtime distinctions)の規則的な構成を用いて回折効果又は干渉効果を達成することを採用する。
【0003】
塗料及びラッカーは前記 (a) における如く吸収により色の痕跡を具体化する染料又は顔料を含有することが多い。従来技術の技法では化学的な合成により多様な顔料及び染料を製造することが実在する。かかる顔料及び染料の利点は発色成分を所望の結合剤系に添加し得るようにそれらの操業適性である。プリントカラー又は別の発色製剤を製造するのに顔料を処理する従来技術の技法もまた知られている。
【0004】
前記 (b) により発色させるか及び/又は色構造体を製造するためには、干渉顔料、ホログラム並びに別の場合には回折性顔料及び/又は屈折性顔料を用いる。
【0005】
干渉顔料は光学的な多層構造体であり、該構造体では建設的な干渉と破壊的な干渉とを介して種々の層同志の界面上で反復した透過と反射とにより色の痕跡が生成するものである。この目的のために、層の厚みを加減することが主たる問題となる複雑な手法で、担体材料を一連の光学的に高い及び低い屈折性材料で積層化する。次いで、多層構造体を「顔料−小板」(pigment-platelets)に転化し、これによって基材からの分離は転化前後に生起できる。この例は米国特許第4 434 010号又は欧州特許(EP)0 227 423号に挙げられる。
【0006】
ホログラム("Holographic-Fibel"; Peter Heiss; ISBN 3-88984-029-9参照)は光学構造体であり、該構造体は干渉顔料と同様であるが前記 (a) による如き顔料とは対照的に、実際の顔料物質の化学性状とは別個である。見る角度及び照明により、ホログラムは場合によっては色の痕跡を示し、且つ適当な照明下では「ホログラフ的に記憶した」(holographically stored)物品から放射する3次元の物品波を再現でき、こうして三次元の痕跡が発生する。
【0007】
一定の即ち限定された着色(defined colors)は、例えばカラーフィルターとして作用する回折格子の如き回折成分を用いることによりまた実現できる。かかる明確な着色は例えば米国特許第3957 354号又は欧州特許0 632 296号から既知の線図形であり、この線図形は日光又は別の多色光源に暴露すると特に明確な痕跡を生起する。
【0008】
別の手法は独国特許第199 12 160号に関する。デジタル的に記憶した画像として存在する色絵又はホログラムを製造するには、耐久性のあるエンボス加工可能な表面を有する材料上に1000 μmの最大直径を有するポイントをエンボス加工し、該材料は各々の場合に生成すべき色に応じて100 nm 〜 2000 nmの範囲の間隔にある平行に走る線図形を示す。ポイントをエンボス加工することは、所要の原色用に一組のニードル ポイントを表わすドット マトリックス プリンターで行なう。
【特許文献1】米国特許第4 434 010号
【特許文献2】欧州特許第0 227 423号
【特許文献3】米国特許第3 957 354号
【特許文献4】欧州特許第0 632 296号
【特許文献5】独国特許第199 12 160号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根本的な課題は、現存の顔料基質の印刷方法により高品質印刷の簡素化であり、これによって特に前記のニードル印刷法が例えば顔料に基づいた良く知られたインキジェット印刷法によって置換されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は請求項1記載の顔料並びに請求項24による方法を用いて製造される請求項38記載のプリントカラーによって解決される。
【0011】
本発明の顔料については、最小顔料寸法は紫外線からの最大波長(約400 nm) の倍数であり、これによって顔料は少なくとも輪郭が限定された(defined)回折構造を示し、該構造の最小立体周期性は少なくとも紫外線の最大波長 (約400 nm) の倍数である立体周期を有する。
【0012】
この様にして、顔料表面上の回折格子中に幾つかの平行な回折線を収容するのに利用できる十分な空間が顔料にある。大抵、顔料の最大寸法内に、間隙のある平行な回折線を収容できる。
【0013】
最小顔料寸法は少なくとも、特に、可視光線の最大波長(約800 nm)の倍数であり、該顔料は少なくとも限定された回折構造を示し、その立体周期性は可視光線の最大波長(約800 nm)の少なくとも倍数である立体周期を有する。
【0014】
この様にして、顔料はUV領域で並びに可視領域で回折図形を生成し、こうしてUV回折図形は例えば安全性関連の用途に用い、然るに可視回折図形は純粋に装飾的目的に役立つ。
【0015】
本発明の顔料は小板用形状を有するのが好ましく、これによって小板の少なくとも片側は回折構造(回折格子)を示す。これによって印刷すると、基材表面を印刷した時顔料は基質表面上に常に平坦なままにあることが保証され、これによって全ての顔料は少なくとも余り大きくない表面に亘って均一な高さにありしかも明確な、場合によっては角度依存性の色効果を生起する。回折格子が小板の両側で発現されるならば、小板のどちらの側が上側又は下側であるかはささいなことである。
【0016】
顔料は顔料全体を包含して一定の立体頻度及び立体配列で周期的な回折構造を有するのが好ましい。この様にして、スペクトル的に純粋な色の痕跡が達成し得る。こうして例えば追加の(減成の)色混合用に全回分の原色を調製できる。然しながら、これらの回折顔料は水平な基材表面によって限定された平面内に印刷により任意に配列し得るので、十分に多くの顔料が、例えば平行な回折線の方向に垂直である「適当な方向」から見られることを確保するものである。それ故統計的な意味では、限定した平面内で1種類の平行な回折線で全ての顔料を同一に配列し得るならば完全に達成し得る能力である「色能力」(カラーポテンシャル)の約半分が常に用いられ、該能力は回折線の方向に対して垂直で見るものである。
【0017】
別の場合には、顔料は各々の場合分岐した周期的回折構造を有する独特の領域を示し得る。こうして例えば1種の同じ顔料について、最初の方向では互いに平行である回折線と別の方向では互いに平行である回折線との両方が存在でき、これによって両方向が互いに垂直に走行するのが好ましい。これによって任意に配列した顔料の各々が、例えば平行な回折線の配列と垂直な成分を有して常に在る右方向から常に見られることを確保する。ここでもまた統計学的な意味として、「色能力」の約半分が常に用いられ、該能力は限定した平面内で1種のみの平行な回折線を有して全ての顔料を同一に配列できるならば且つ次いで回折線の方向とは垂直に顔料を見つめるならば、完全に達成し得る。
【0018】
適当には、個々の顔料は、同心円形の乃至多角形の回折線よりなる回転対称又は多角形の回折格子を呈する。これはまた先に説明した通り実際上方向とは独自に色のコン跡を達成する。
【0019】
各々の場合に種々の周期的回折構造を有する別個の領域は当該領域の周期構造の立体頻度及び/又は立体配置で区別し得る。これは可視領域で重ねた色効果を有する顔料を促進し且つまた隣接する紫外領域又は赤外領域で回折効果を有する顔料を促進する。詳しく言えば、顔料は紫外線で回折構造を示し、自然光で回折構造を示す。かかる顔料は可視領域で着色されていると思われ、しかも他方では適当なUV源を照射し且つその「UV色」を目視すると(例えばUV蛍光スクリーンで)その真実性について検査できる。それ故該顔料は文書がこの種の顔料で印刷されている点で文書を認証するのに特に良く適している。
【0020】
本発明の顔料は適当には顔料全体に亘って伸びる周期的な回折構造を有し、この構造は種々に同定した立体頻度と立体配列との重なりである。この結果から、就中角度依存性の色効果を有する顔料からは、観察者にとって顔料の色の痕跡は観察者の見る方向と顔料高さ(顔料小板)との間の角度の応じて決まる。
【0021】
本発明の顔料はホログラムからのクリップでもあり得る。
【0022】
特に有利な実施によると、本発明の顔料は光学的に透過性の材料よりなり、これによって一定の回折構造は顔料厚みの一定の立体配置d (x, y) 及び/又は顔料材料の屈折率 n (x, y) によって付与される。次いで回折構造はかくして調節した光路長 s (x, y) = n (x, y)−d (x, y) によって付与される。かかる透過顔料は両方の暴露方向で「着色」される。
【0023】
別の有利な実施によると、顔料は、その内部に反射層を設けた光学的に透過性の材料を含有する。かかる反射性の顔料でさえ両側で「着色」される。適当には、限定した回折構造は顔料の反射表面層の隆起及びくぼみの限定した立体配置h (x, y) であり、該顔料の反射表面層は屈折率n (x, y) を有する光学透過性の封止材により包囲するのが好ましく、こうしてここでもまた回折構造はこれによって調節した光路長s (x, y) = 2n (x, y) h(x, y) によって表わされる。
【0024】
本発明の顔料の寸法は5μm〜200μmの範囲にあり、特に10μm〜30μmの範囲にあり、これによって特にその長さ及び幅は5μm〜200μmの範囲にあり、より特に10μm〜30μmの範囲にある。この寸法は、認め得る程の色濃度と回折スペクトルの最大値と最小値との間の必要な対照とに対して、顔料上に十分に多数の周期的に規程された回折線の収容を促進する。単色レーザー(例えばレーザーダイオード)を照射すると、きわめて多数の回折顔料の使用が確かに有利である。何故ならば、このレーザー光はきわめて高い干渉性を示し、かくしてきわめて強い光現象を誘発するものであるからである。然しながら、実際には、光がわずかな干渉長さのみを示す慣用の光源例えば日光又は普通のランプ(例えば光ダイオード)の如き光源での操作も可能であることがきわめて重要である。顔料の全表面に亘って余り干渉性でない光を照射する際に入射光の干渉波面を確保するためには、顔料は言わば在る最低表面を越えるべきでない。
【0025】
本発明の顔料の厚さは0.1μm〜10μmの範囲にあることができ、より特に0.5〜5μmの範囲にあり得る。これは回折構造に約100 nm〜200 nmの深さの程度の発現を満足させる。
【0026】
同様に、多層干渉効果を追加的に用いるためには、顔料はまた互いの頂部にある少なくとも2層から構成し得る。顔料は小板の両面上に一定の回折表面構造を有するのが好ましく、これによって顔料は前記した顔料と同様であり且つ両側で同様に「着色」されている。
【0027】
適当には、封止材は疎水性又は親水性の材料よりなる。封止剤は本発明の顔料を疎水性乃至親水性の結合剤に分散させるための相メジエーターとして用いる。
【0028】
特別の用途については、本発明の顔料小板の封止材が1つの表面では疎水性の材料よりなり且つ別の表面では親水性の材料よりなるならば有利である。多相液体においては、かかる顔料小板は1つ又はそれ以上の相境界に集積し、これによって相平衡において親水性の小板表面はより親水性の相に向って配向され、疎水性の小板表面はより疎水性の相に向って配向される。
【0029】
前記した種類の顔料を製造する本発明の方法は次の工程を包含する:
a)箔様基材中又は上に一定の回折構造を調製する工程;
b)基材上の一定の回折構造を封止材物質で被覆する工程;
c)工程a)及びb)で加工した箔様基材を顔料粒子に転化する工程。
【0030】
工程 a)はこれによってエンボス加工、特に箔押、チキソ型押(新規材料研究所INMのDE 100 01 135A1による)又は反応エンボス加工により、リトグラフィー特に電子ビーム又は光学リトグラフィーにより基材の表面を引掻くことにより行ない得る。
【0031】
工程 b)においては、回折構造は反射層で被覆し得る。工程b)はエピタクシー特に蒸着又は流体沈着−エピタクシーによってあるいは特に金属蒸気での蒸気被覆によって行ない得る。
【0032】
工程c)においては、箔様基材の転化(はさみ切り及び微粉砕)を行なって目標の顔料小板を得ることができる。
【0033】
別の場合には、構成した多層構造を先ず基材から除去でき次いで転化できる。
【0034】
詳しく言えば、次いで工程a)で用いた箔様基材がその第1の層として比較的弾性で柔軟な基層を示し、比較的脆弱な第2の層を第1の層中に及び/又は層上に導入するならば、一定の回折層が生成され、次いで工程c)で箔様基材の折りたたみを生起して本発明による目標の顔料小板を得る。比較的脆弱な第2層(担体層)の破断を促進し且つ局部的に調節するには、一定の回折構造をエンボス加工しながら追加の既定の破断個所をエンボス加工でき、該加工は例えば回転対称形又は多角形の屈折格子を制限する。
【0035】
工程b)で用いた封止材料が脆弱な、特にラッカー様又は樹脂様の材料であるならば、その時工程 c)は典型的な微粉砕により生起でき、例えば遠心ボールミルを用いて水性媒質中での湿式微粉砕が特に有利である。硬度が顔料の封止材の硬度よりも低い磨砕用のボール(例えばプラスチックの「磨砕パール」)を本法で用いるのが好ましい。これによって磨砕プロセス中に顔料を引掻くことは防止されるものである。
【0036】
本発明の顔料粉末は前記した本発明の方法によって製造した顔料を示す。顔料は助剤で被覆でき、特に湿潤剤で被覆できる。
【0037】
本発明のプリントカラーは結合剤中の分散物として本発明の顔料粉末を含有する。
【0038】
本発明のラッカーは本発明の分散した顔料粉末を含有する。
【0039】
本発明の透明なプラスチック、特にPET、PEN、PBT、PA、PCは本発明の顔料粉末を含有する。
【0040】
認証のため本発明の書類は次の特徴の少なくとも1つを示す:
(イ)本発明のプリントカラー乃至はインキで印刷した圧痕(imprint);
(ロ)本発明の透明なプラスチック製のラベル。
【0041】
かくして本発明は新規な種類の色供給物質として回折顔料乃至はホログラフ顔料並びにこれらの製造及び組成物を提供する。色の痕跡を製造するのに顔料内部にかかる回折乃至はホログラフ構造の使用は、光学的に洗練されたプリントを促進する新規な光学痕跡のために興味あるものである。更には、本発明の顔料は安全関連の用途に適している。これらの製造方法及び光学特性に基づいて、かかる顔料は安全の用途に直ちに予定される。
【0042】
安全関連用途に特に有利な本発明の方法は次の工程を用いる:
(イ)担体基材(例えば透明な材料特に樹脂等)上に特定の(認証用の)ホログラフ構造の製造;
(ロ)反射性材料(例えばアルミニウム)での蒸気被覆;
(ハ)ホログラフ構造の再被覆(例えば前記の透明材料で);
(ニ)この様にして達成したホログラフ構造の担体基材からの分離;及び
(ホ)分離した構造を粒子に転化し、該構造粒子を顔料として使用。
【0043】
かくして達成したホログラフ顔料は各々例えばアルミニウム製の反射層を含有し、ホログラフ構造を記憶しており、しかも両側で前記の透明材料で被覆(「封止」)されている。これらの顔料は種々の結合剤系で用いられしかもプリントカラー、インキ又はラッカーとして用い得る。
【0044】
本発明によると、純粋な「UV顔料」並びに混合したUV及び可視光顔料(複合顔料)が可能であり、該顔料はUV光で目視するため標準のUV感作性の促進剤で見られる。
【0045】
最低の顔料寸法(顔料の厚みを除く)用に可視光線の波長(空気中で約400 nm〜800 nm)の「少なくとも倍数」という本発明により与えられた要件は「少なくとも2倍」を意味し、これは何れかの眼で見うる干渉色効果又は肉眼では見えないUV干渉を得るのに「2倍の分割」(double fissure)に相当する。勿論数倍(例えば3倍〜20倍)が好ましいが、何れの場合でも最小の顔料寸法に相関する。前述した通り、きわめて大きな顔料を有することは必要でない。何故ならば、それぞれの顔料の全主要表面に亘ってそのまま日光、電球、グロー放電ランプ、発光ダイオード等の如き短かい波列の「非干渉性の光」乃至は「余り干渉性ではない光」を照射すると、何ら完全に干渉性の「照明」は生起しないからであり、但し波面が回折性顔料表面と同じ形状又はきわめて同様な形状を有しない限りはとし且つ波面が回折顔料表面に衝突するならば該表面に対して正接的に設けられていない限りはとする。然しながら、この現象はありそうもない。
【0046】
それ故、換言すれば、ホログラフ構造を数μmにまで転化するならば特に有利であり、該構造はそれぞれの所与の波長に対して各々の本発明の顔料に存在する若干の回折線を有するのと同等である。
【0047】
本発明の別の利点、特徴及び応用可能性は、本発明の顔料及び本発明の方法の好ましい実施の次の記載から生ずる。
【0048】
図1は本発明の顔料の断面図解図であり;
図2A乃至2Eは本発明の方法を用いて図1の顔料の段階的製造を示す本発明の顔料の断面図であり;
図3A乃至3Dは、種々に限定された回折線形態と種々に限定された顔料形状とを示す本発明の顔料の頂面図であり;
図4A乃至4Cは種々に限定された回折線形態と種々の特定されていない顔料形状とを示す本発明の顔料の頂面図である。
【0049】
図1は小板の平面に対して垂直方向で見た小板形状の本発明の顔料の断面図解図である。顔料小板はその最大の対角線寸法が約10〜30μmとなる大きさを有する。顔料小板は屈折率n1を有する透明な担体層2と屈折率n2を有する透明な封止層4とよりなる。担体層2の材料と封止層4の材料との間の境界層3は回折構造(屈折格子)として発現され、該境界層は周期的に交互する隆起3aとくぼみ3bとを示す。図1の顔料小板の回折構造は、表示レベルに対して垂直に設けた隆起3aとくぼみ3bとを互いに平行に設けた複数対の結果である。図面における顔料小板の左端及び右端は予定の破断点6により形成され、その位置は各々の場合くぼみ5の形で利用できる予定の破断点5により決定される。
【0050】
回折構造3の格子パラメーターDはここでは例えば2μmとなり、然るに2つの予定の破断点5によって限定されしかも回折線3a、3bに垂直な寸法はここでは13μmになる。
【0051】
図1の顔料小板に近赤外領域(約1μm)で、可視領域(約400 nm〜800 nm)で又は近赤外領域(400 nmより小さい)で電磁線10を照射するならば、その際反射した電磁線11と透過した電磁線12との両方で照射するならば、構成的な干渉を有する回折図形が入射電磁線10の選択した周波数及び/又は波長に対して選択した立体方向で見られる。観察者は、少なくとも光学周波数及び/又は波長に対して、顔料の視覚(目視方向と顔料平面との間の角度)に応じて個々の色圧痕として回折図形を知覚し得る。UV領域及びIR領域での照射については、UV及びIR領域での種々の色を目で見させるには適当なセンサー(例えばUVカメラ乃至はIRカメラ)又は視覚補助材(UV眼鏡、IR眼鏡)を用いねばならない。従って、本発明の顔料小板は装飾目的用に光学スペクトルの可視領域での着色と、観察者の肉眼では見えないが、本発明の顔料を供給した対象物の真実性を点検するために要求され得る適当なUV又はIR供給源及び適当な検知器、カメラ等により見られる安全用途(確証)との両方に用い得る。
【0052】
境界層3では、それぞれ担体層2、封止層4の屈折率n1及びn2の差異に基づいて、入射電磁線10の一部は第1の部分11として反射され、第2の部分12として透過するものである。境界層の屈折率乃至は透過率は屈折率n1及びn2の値によって調節し得る。更には、屈折率及び透過率は担体層2と封止層4との間の境界層3中の金属層によっても調節できる。境界層3の領域中のきわめて薄い金属層は電磁線に対して半透過性であり、こうして本発明の顔料小板は反射性及び透過性小板の両方として作用する。これによって顔料小板は表面上のプリント顔料として且つ透明な本体の内部における色付与顔料としての両方に用い得るという利点がある。これに反して、境界層3中の十分に厚い金属層(数原子層)は本発明の顔料小板が単に反射的に作用することを生起し、然しながら、これによって反射性の電磁波に高強度の回折図形が生ずる。
【0053】
溝様くぼみ3bの深さは約100 nm〜300 nmになるが、これらの値を越えても良い。
【0054】
図2A、2B、2C及び2Dは図1の顔料小板における断片に本質的に相当する箔の断片の断面図を示し、これによって一連の断面図は本発明の方法を用いて図1の顔料小板の工程毎の製造を図解的に示す。
【0055】
図2Aは最初の状況を示し、これによって2層箔1、2から開始し、その際比較的厚い基層1(その厚さは部分的にのみ表わしてある)は屈折率n1を有する薄い担体層2で被覆する。基層1は特定の間隔でその表面上にふくれ様の隆起1aを示し、こうして基層1上に置かれた担体層2はふくれ様隆起1aの部位ではより薄く、これによって予定の破断点5が担体層2に形成される。
【0056】
図2Bは輪郭を定めた(defined)回折構造3を担体層2でエンボス加工する次の工程を示す。担体層2が透明であるという事実は別として、担体層2用の材料を選択することは比較的自由である。それ故、回折構造乃至は屈折格子3は、例えば箔押、チキソ型押又は反応エンボス加工より要件に応じて製造できる。
【0057】
図2Cは本発明の方法の次の工程を示し、ここでは先の工程で製造した担体層2の限定した回折構造3を封止層4で被覆する。封止層4でさえ透明であるという事実は別として、ここでもまた封止層4の材料を選択するのに比較的自由である。回折構造の境界表面層3の光学的な反射特性及び透過特性は一方では担体層2乃至は封止層4の屈折率n1及びn2の選択によって影響され、他方では工程Bでの多少とも厚い金属層(図示せず)の配置によって影響される。
【0058】
図2Dは基層1を担体層2から脱着するか及び/又は完全に除去する別の工程を示す。担体層2の解放及び/又は取出しは適当な溶剤により及び/又は基層1と担体層2との間の界面に機械的に応力をかけることにより誘発できる。今般取出された基層1のふくれ様隆起1aの代りに、今やくぼみの形で予定の破断点5がある。この様にして製造した顔料箔は今は目標顔料の光学特性を有する。担体層2は、顔料箔の機械的応力により破断が予期される予定の破断点5と交差している。
【0059】
図2Eは図2Dの顔料箔の寸法低減(reduction)に対する別の工程を示し、これによって顔料小板が達成される。こうすることにより、製造した顔料小板のそれぞれの破断6は予定の破断点5の領域で発生する。図2Dによる顔料箔の大まかな寸法低減は例えば屈曲により行なうことができ、これによってかくして達成した大きな断片は慣用の寸法低減装置に組込み得る。顔料小板の寸法低減には、湿式又は乾式粉砕法の何れかに依ることができる。この方法にはミル例えば衝突又は衝撃ミル(乾式粉砕法)又は遠心ボールミル(湿式粉砕法)が適当である。ボールミル中の粉砕用ボール(粉砕用丸粒)としては、担体層2又は封止層4の硬度に同等か又はそれよりわずかに低い硬度の粉砕用ボールを用いる。これによって担体層2及び封止層4の表面が引掻かれないことを確保し、こうして顔料小板の色濃度は減損されない。
【0060】
図3A、3B、3C、3Dは本発明による顔料小板の図解的な頂面図である。各々の顔料小板は、担体層2における予定の破断点5の配置(図1及び図2参照)によって決定される種々の形状を有するけれども、ここに示した4つの例の全ては相異なる要領で配列した回折線を有する種々の領域を示す点で共通している。それで図3A及び図3Bの正方形顔料小板は各々4つの領域21、22、23、24及び/又は31、32、33、34を有し、各々の場合その回折線13は、隣接する領域の回折線13の配列が各々の場合互いに垂直であるように配列されている。図3Cの顔料小板は隣接する領域の回折線13で120°の屈曲を包囲するように回折線13が各々の場合配列された6個の領域41、42,43、44、45、46を示す六角形の形状を有する。図3Dの顔料小板は図3A及び図3Bの顔料小板と同様に正方形の形状を有するが、互いに同心円的に設けた環状回折線13の環状対称図形を有する。
【0061】
顔料小板の相異なる断片で各々の場合種々の配列を有する互いに配列した回折線の配置は、顔料小板で被覆した物品の表面内のそれぞれの配置とは別個に、回折スペクトルでの回折した光の干渉によって生起する色の圧痕を形成する。
【0062】
図1及び図2で表わした予定の破断点5は通常回折構造3とは相関しないので、基層1でのエンボス加工は担体層2上の回折構造3をエンボス加工するのとは別個に行なう故に、かかる関連がある図3A、3B、3C及び3Dの顔料小板によって注意が払われる。これは予定の破断点5用の補完成分として回折構造とふくれ様隆起との両方を示す衝撃装置を用いることにより回折構造と協力して予定の破断点5が製造されるように行ない得る。
【0063】
図4A、4B、4Cは輪郭が限定されていない顔料形状を有する顔料小板の図解的な頂面図である。該顔料小板は、例えば粉砕法を用いることにより既に寸法低減した顔料小板(図3参照)の予定の破断点と共に別の前もっての寸法低減によって生起する。顔料小板の大きさ及び種々に配列した回折線13を有する領域の大きさに応じて、回折線13の有力な配置と共に多少とも多くの種々の領域を有する顔料小板を得る。即ち例えば図4Aの顔料小板は互いに垂直に配置した屈折線13を有する2つの領域51及び52を有し、図4Bの顔料小板は回折線の単一の配列のみを有し、図4Cの顔料小板は隣接する領域の回折線が各々の場合互いに垂直に設定されている回折線13の図形を有するほぼ8個の領域61、62、63、64、65、66、67、68を有する。
【0064】
顔料を備えた1つの物品の表面内で多数の顔料小板を配置した堅実な統計的配置に基づいて、顔料小板内の種々の領域と同様な仕方で、物品の着色した表面の光学的な色刷り(「アニソトロピー」)の均一化が生起する。1種のみの顔料で物品の大きな表面を被覆することにより、この均一化を利用できる。然しながら、より高い解像力を有する画像構造を製造するために数種の顔料でパンクチフォーム(punctiform)被覆する寄せ集めでは、幾つかの屈折線領域を有する図4A又は図4Cの顔料小板が有利である。
【0065】
本発明の顔料は数種類の着色を組合せ得る。それで選択的に吸収性の分子からの顔料及び/又は多層構造を有する顔料(干渉顔料)については、UV又はIR部分で不可視の確証に用いる追加の回折構造を形成した発色を考慮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の顔料の断面図解図
【図2】本発明の方法を用いて図1の顔料の段階的製造を示す本発明の顔料の断面図
【図3】種々に限定された回折線形態と種々に限定された顔料形状とを示す本発明の顔料の頂面図
【図4】種々に限定された回折線形態と境界が限定されていない種々の顔料形態とを示す本発明の顔料の頂面図
【符号の説明】
【0067】
1: 基層
2: 担体層
3: 回折構造/境界面/回折格子
4: 封止層
5: くぼみ/予定の破断点
6: 破断点
1a: 膨れ様隆起
3a: 隆起
3d: 凹み
10: 入射電磁線
11: 反射電磁線
12: 透過電磁線
21〜24: 回折線図形の領域
31〜34: 回折線図形の領域
41〜46: 回折線図形の領域
13: 回折線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料表面積の最小寸法が少なくとも紫外線の最大波長(約400 nm)の倍数である少なくとも1つの表面積(表面領域)を有する顔料であって、該顔料が少なくとも紫外線の最大波長(約400 nm)の倍数である立体周期の立体周期性を有する限定した回折構造を表面積上に少なくとも示すことを特徴とする顔料。
【請求項2】
表面積の最小寸法が少なくとも可視光線の最大波長(約800 nm)の倍数であり、しかも顔料が少なくとも1つの表面積上に、少なくとも可視光線の最大波長(約800 nm)の倍数である立体周期を示す立体周期性を有する少なくとも1種の限定した回折構造を示すことを特徴とする、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
顔料が小板の形状を有し、それの少なくとも1つの表面積は小板側面の1方の全表面であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
顔料は一定の立体頻度及び立体配列で顔料全体に亘って伸張する周期的な回折構造を示すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の顔料。
【請求項5】
顔料は各々の場合多様な周期的回折構造を有する種々の領域を示すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の顔料。
【請求項6】
各々の場合に多様な周期的回折構造を有する種々の領域は、存在する領域の周期的構造の立体頻度及び/又は立体配列で異なることを特徴とする、請求項5記載の顔料。
【請求項7】
顔料は紫外線に対する回折構造と可視光線に対する回折構造とを示すことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の顔料。
【請求項8】
顔料は一群の同心円形回折線を有する回転対称回折格子を示すことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の顔料。
【請求項9】
顔料は一群の同心多角形様回折線を有する星形又は多角形の回折格子を示すことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の顔料。
【請求項10】
顔料は顔料全体に亘って伸張する周期的な回折構造を示し、該構造は種々に決定した立体頻度と立体配列との重なりであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の顔料。
【請求項11】
顔料はホログラムからの切抜きであることを特徴とする請求項10記載の顔料。
【請求項12】
顔料は光学的に透過性の材料よりなり、これによって限定した回折構造は顔料厚みの限定した立体配置及び/又は顔料材料の屈折率によって付与されることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項13】
顔料は、その内部に反射層を設けた光学的に透過性の材料を含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項14】
限定した回折構造は顔料の反射表面層の隆起部及びくぼみの限定した立体配置によって付与されることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項15】
顔料は光学的に透過性の封止材料によって包囲される内部回折構造を示すことを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項16】
小板平面における顔料の寸法は5μm〜200μm、特に10μm〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜15の何れかに記載の顔料。
【請求項17】
顔料の長さ及び幅は5μm〜200μm、特に10μm〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項3〜16の何れかに記載の顔料。
【請求項18】
顔料の厚さは0.1μm〜10μm、より特に0.5μm〜5μmの範囲にあることを特徴とする請求項17記載の顔料。
【請求項19】
顔料は互いの頂部に在る少なくとも2層から形成されることを特徴とする請求項1〜18の何れかに記載の顔料。
【請求項20】
顔料は両方の小板表面上に限定した回折表面構造を有することを特徴とする請求項3〜18の何れかに記載の顔料。
【請求項21】
封止剤は疎水性の材料よりなることを特徴とする請求項15〜20の何れかに記載の顔料。
【請求項22】
封止剤は親水性の材料よりなることを特徴とする請求項15〜20の何れかに記載の顔料。
【請求項23】
小板の片側上の封止剤は疎水性の材料よりなり、もう一方の片側上の封止剤は親水性の材料よりなることを特徴とする請求項15〜20の何れかに記載の顔料。
【請求項24】
次の工程;即ち
(a) 箔様担体基材中又は上に限定した回折構造を生成する工程;
(b) 箔様担体基材上の限定した回折構造を封止剤物質で被覆する工程;
(c) 工程 (a) 及び (b) で加工した箔様基材を顔料粒子にする工程
からなる請求項1〜23の何れかに記載の顔料の製造方法。
【請求項25】
工程 (a) はエンボス加工により生起し、特に箔押、チキソ型押又は反応エンボス加工により生起することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
工程 (a) はエンボス加工により行ない、特に箔押、チキソ型押又は反応エンボス加工により行なうことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項27】
工程 (a) は基材の表面を引掻くことにより行なうことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
工程 (b) においては回折構造を反射層で被覆する請求項24〜27の何れかに記載の方法。
【請求項29】
工程 (b) はエピタクシーにより行ない、特に蒸気又は流体の沈着により行なうことを特徴とする請求項24〜28の何れかに記載の方法。
【請求項30】
工程 (b) は蒸着特に金属蒸着により行なうことを特徴とする請求項24〜28の何れかに記載の方法。
【請求項31】
工程 (c) は箔様担体基材をはさみ切ることにあることを特徴とする請求項24〜30の何れかに記載の方法。
【請求項32】
工程 (a) で用いた箔様基材はその最初の層として比較的弾性で柔軟な基層よりなり、比較的脆弱な第2の層が基層上に施用されるか及び/又は基層中に導入されており、基層中又は基層上には限定した回折構造が生起され、工程 (c) は箔様担体基材を折りたたむことにあることを特徴とする請求項24〜30の何れかに記載の方法。
【請求項33】
工程 (b) で用いた封止材料は脆弱な材料、特にラッカー様又は樹脂様材料であり、工程 (c) は微粉砕を伴なうことを特徴とする請求項24〜32の何れかに記載の方法。
【請求項34】
工程 (c) の微粉砕は湿式微粉砕により行なうことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
請求項1〜23の何れかに記載の顔料を包含し、請求項24〜34の何れかの方法により製造された顔料を包含する顔料粉末。
【請求項36】
顔料を補助剤で被覆することを特徴とする請求項35記載の顔料粉末。
【請求項37】
補助剤は湿潤剤であることを特徴とする請求項36記載の顔料粉末。
【請求項38】
請求項35〜37の何れかに記載の顔料粉末を含有するプリントカラー。
【請求項39】
請求項35〜37の何れかに記載の顔料粉末を含有するラッカー。
【請求項40】
請求項35〜37の何れかに記載の顔料粉末を含有する透明なプラスチック、特にPET、PEN、PBT、PA、PC。
【請求項41】
文書の認証のため、次の構成要件;
(イ) 請求項38記載のプリントカラー及び/又はインキからの印刷した圧痕、(ロ) 請求項40記載の透明なプラスチックから形成したラベル
の1方を示す文書。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの表面積の最小寸法が紫外線の最大波長(大体400 nm)の少なくとも倍数である顔料であって、少なくとも1つの表面積上に紫外線の最大波長(大体400 nm)の少なくとも倍数である限定した回折構造を呈する顔料において、該顔料はエピタクシー的に施用した封止材料によって包囲された内部回折構造を示すことを特徴とする顔料。
【請求項2】
表面積の最小寸法が可視光線の最大波長(大体800 nm)の少なくとも倍数であり、しかも最小表面積での顔料が可視光線の最大波長(大体800 nm)の少なくとも倍数である立体周期での立体周期性を有する少なくとも1種の限定した回折構造を示すことを特徴とする請求項1記載の顔料。
【請求項3】
顔料が小板様の形状を有し、それの少なくとも1つの表面積は小板側面の1方の全表面積であることを特徴とする請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
顔料は一定の立体頻度及び立体配列で顔料全体に亘って伸張する周期的な回折構造を示すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の顔料。
【請求項5】
顔料は各々の場合多様な周期的回折構造を有する種々の領域を示すことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の顔料。
【請求項6】
各々の場合に多様な周期的回折構造を有する種々の領域は、存在する領域の周期的構造の立体頻度及び/又は立体配列で異なることを特徴とする請求項5記載の顔料。
【請求項7】
顔料は紫外線に対する回折構造と可視光線に対する回折構造とを示すことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の顔料。
【請求項8】
顔料は一群の同心円形回折線を有する回転対称回折格子を示すことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の顔料。
【請求項9】
顔料は一群の同心多角形回折線を有する星形又は多角形の回折格子を示すことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の顔料。
【請求項10】
顔料は顔料全体に亘って伸張する周期的な回折構造を示し、該構造は種々に決定した立体頻度と立体配列との重なりであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記載の顔料。
【請求項11】
顔料はホログラムからの切抜きであることを特徴とする請求項10記載の顔料。
【請求項12】
顔料は光学的に透過性の材料よりなり、これによって限定した回折構造は顔料厚みの限定した立体配置及び/又は顔料材料の屈折率によって付与されることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項13】
顔料は、その内側に反射層を設けた光学的に透過性の材料を含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項14】
限定した回折構造は顔料の反射表面層の隆起部及びくぼみの限定した立体配置によって付与されることを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の顔料。
【請求項15】
顔料は光学的に透過性の封止材料によって包囲される内部回折構造を示すことを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の顔料。
【請求項16】
小板レベルでの顔料の寸法は5μm〜200μm、特に10μm〜30μmの範囲にあることを特徴とする請求項3〜15の何れかに記載の顔料。
【請求項17】
顔料の厚さは0.5μm〜5μmの範囲にあることを特徴とする請求項16記載の顔料。
【請求項18】
顔料は互いの頂部に在る少なくとも2層から形成されることを特徴とする請求項1〜17の何れかに記載の顔料。
【請求項19】
顔料は両方の小板レベルで限定した回折表面構造を有することを特徴とする請求項3〜17の何れかに記載の顔料。
【請求項20】
封止剤は疎水性の材料よりなることを特徴とする請求項1〜19の何れかに記載の顔料。
【請求項21】
封止剤は親水性の材料よりなることを特徴とする請求項1〜19の何れかに記載の顔料。
【請求項22】
第1の小板レベルでの封止剤は疎水性の材料よりなり、第2の小板レベルでの封止剤は親水性の材料よりなることを特徴とする請求項1〜19の何れかに記載の顔料。
【請求項23】
次の工程;即ち
(a) 箔様基材中又は上に限定した回折構造を型押しする工程;
(b) 箔様基材上の限定した回折構造をエピタクシー(epitaxy)により封止剤物質で被覆する工程;
(c) 工程 (a) 及び (b) で生成した箔様基材を顔料粒子に微粉砕する工程
を伴なう請求項1〜22の何れかに記載の顔料の製造方法。
【請求項24】
工程 (a) は箔押、チキソ(Thixo)型押又は反応エンボス加工により行なうことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
工程 (a) はリトグラフィーにより行ない、特に電子線又は光学リトグラフィーにより行なうことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項26】
工程 (a) は基材の表面を引掻くことにより行なうことを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項27】
工程 (b) においては回折構造を反射層で被覆する請求項23〜26の何れかに記載の方法。
【請求項28】
工程 (b) は蒸気又は流体の沈着エピタクシーにより行なうことを特徴とする請求項23〜27の何れかに記載の方法。
【請求項29】
工程 (b) は特に金属ヒュームで蒸着させることにより行なうことを特徴とする請求項23〜27の何れかに記載の方法。
【請求項30】
工程 (c) は箔様基材をはさみ切ることを伴なうことを特徴とする請求項23〜27の何れかに記載の方法。
【請求項31】
工程 (a) で用いた箔様基材は、最初の層として比較的弾性な基層を呈し、比較的脆弱な第2の層が基層上に導入されており、基層中又は基層上には限定した回折構造を型押し、工程 (c) は箔様基材を刈り込むことを伴なうことを特徴とする請求項23〜29の何れかに記載の方法。
【請求項32】
工程 (b) で用いた封止材料は脆弱な材料、特にラッカー様又は樹脂様材料であることを特徴とする請求項23〜31の何れかに記載の方法。
【請求項33】
工程 (c) の微粉砕は湿式微粉砕により行なうことを特徴とする請求項23〜31の何れかに記載の方法。
【請求項34】
請求項1〜22の何れかに記載の顔料を包含し、請求項23〜33の何れかの方法により製造されたことを特徴とする顔料粉末。
【請求項35】
顔料を補助剤で被覆することを特徴とする請求項34記載の顔料粉末。
【請求項36】
補助剤は湿潤剤であることを特徴とする請求項35記載の顔料粉末。
【請求項37】
請求項34〜36の何れかにより製造した顔料粉末を含有するプリントカラー。
【請求項38】
請求項34〜36の何れかにより製造した顔料粉末を含有するラッカー。
【請求項39】
請求項34〜36の何れかにより製造した顔料粉末を含有する透明なプラスチック、特にPET、PEN、PBT、PA、PC。
【請求項40】
文書の認証のため、次の特徴;
(イ) 請求項37記載のプリントカラー並びにインキからの印刷した圧痕、
(ロ) 請求項39記載の透明な合成材料から形成したラベル
の1方を示す文書。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−507381(P2006−507381A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550595(P2004−550595)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000624
【国際公開番号】WO2004/044059
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(502273074)ビユーラア アクチエンゲゼルシヤフト (5)
【Fターム(参考)】