回線収容設計装置、そのプログラム及び記録媒体
【課題】通信装置や集線装置等により多段に構成されているアクセスネットワーク全体として最適な加入者回線の収容設計を実現すること。
【解決手段】ルート検索部105にて、回線収容設計要求に基づき、設備情報記憶部101から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中のTCポート及びPKGを取得し、TC収容割付部106にて、前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから収容予定TCポートを決定し、PKG収容割付部107にて、前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から収容予定PKGを決定する。
【解決手段】ルート検索部105にて、回線収容設計要求に基づき、設備情報記憶部101から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中のTCポート及びPKGを取得し、TC収容割付部106にて、前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから収容予定TCポートを決定し、PKG収容割付部107にて、前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から収容予定PKGを決定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークのうち、アクセスネットワークにおける加入者回線の収容先を設計する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
<通信局内における設備(通信装置+集線装置)の収容設計の特性について>
図1は通信ネットワークの一例、ここでは光ファイバ通信ネットワークの概要を示すもので、アクセスネットワーク及びコアネットワークからなっている。
【0003】
ここで、アクセスネットワークとは、加入者宅内の加入者線終端装置(ONU:図示せず)から光ファイバ回線(加入者回線)1を介して通信装置(OLT)2と接続され、さらに通信装置2の上位に位置し、各加入者回線1をコアネットワークとの通信回線(上位回線)に集線する集線装置3までの部分をいう。また、コアネットワークとは、上位回線4を介して集線装置3と接続されたルータ5により、集線装置3にて集約された情報を通信回線(基幹回線)6を介して各地に伝送する部分をいう。
【0004】
図2に示すように、アクセスネットワークに於ける通信局内の装置は、大別すると、通信装置2及び集線装置3からなる。
【0005】
通信装置2は、加入者(ユーザ)へサービスを提供するための複数の装置(PKG)を具備し、各PKGは分岐機器(光スプリッタ:SP)を介して1本にまとめられた複数本の加入者回線1を集線装置3に接続する。
【0006】
集線装置3は、二以上の加入者回線を収容する複数の加入者側モジュール、具体的には通信装置2との接続アダプタである加入者側カード(ACカード)7と、上位回線4を収容する複数の転送者側モジュール、具体的にはルータ5との接続アダプタである転送者側カード(TCカード)8とを具備する。また、各ACカード7は通信装置2のPKGと1対1の関係にある複数の加入者側ポート(ACポート)7aを含み、各TCカード8はルータ5のルータポート5aと1対1の関係にある複数の転送者側ポート(TCポート)8aを含む。さらにまた、各TCカード8(のTCポート8a)はスイッチカード(SW)を介して1以上のACカード7(のACポート7a)と接続され、このACカード7とTCカード8との接続関係によってどの加入者回線をどの上位回線に割り当てるか(集線設計)を設定・管理する如くなっている。また、上記では説明を簡便にするためにAC/TCカード単位で説明したが、集線装置の設定次第ではAC/TCポート単位、ユーザ単位での集線設計も可能である。
【0007】
図3に示すように、通信装置配下の設備は、大別すると、配線架、中間架、通信装置及びそれらを接続する所内ケーブルからなる。配線架は、所内ケーブル(所内ファイバ)と所外ケーブル(所外ファイバ)とを接続するためのアダプタから構成される。配線架にて接続された所外ケーブルは、通信局外の電柱に敷設されている分岐機器(所外スプリッタ)を経由して加入者宅内のONUまで接続される。中間架には、配線架〜中間架と中間架〜通信装置との間のケーブルを中継するためのアダプタや、光信号を途中で複数に分岐するための分岐機器(所内スプリッタ)が設置されている。1つの電柱に設置可能な分岐機器の数には限界があるため、電柱もしくは複数の電柱群で提供可能なサービスを設計段階で決めて需要対応する方法がある。この設計方法における管理名が配線点であり、配線点で発生した需要は、同配線点にある分岐機器の余剰端子を用いて開通する。
【0008】
提供可能なサービス種別の一つとして、図2の下部に示したような多分岐方式というサービスがあり、始点(ユーザ側)から終点(ルータ側)までの間にn対1の関係が成り立つ。これは終点である集線装置上位のルータ側から発せられた光信号を、途中の集線装置(TCポート〜ACポート)、通信装置(PKG)〜分岐機器、分岐機器〜分岐機器の間を1または複数の光ファイバ心線で接続して、複数の加入者で共有する方式である。
【0009】
即ち、ルータ〜集線装置間では1つの心線・端子で伝送され、集線装置にてTCポートにて行き先ACポートを特定し、集線装置〜通信装置間では複数の心線・端子にて伝送される。通信装置〜分岐機器間では1つの心線・端子で伝送され、分岐機器にて分岐の後は複数の心線・端子にて伝送される如くなっている。
【0010】
<集線装置の特性について>
図4に示すように、通信局内の集線装置に搭載されているTCポートは複数のACポートと接続(集線)されている。上り(ユーザからの送信)時には、集線装置はアクセスネットワークの通信情報をコアネットワークへ効率的に伝送するためにユーザから伝送されてきた通信情報を集線し、TCポートを経由して上位ルータへ伝送する。同じように下り(ユーザの受信)時には、集線装置はコアネットワークの通信情報をアクセスネットワークへ効率的に伝送するために上位ルータから伝送されてきた通信情報を分岐し、ACポートを経由して通信装置へ伝送する。
【0011】
また、ACポートとTCポートとの集線・分岐は両者の間にあるSWにて処理される。集線装置には、事前に「どのACポートが、どのTCポートと集線・分岐」するかを設定済みであり、TCポートでのONU数、最低保証帯域及び平均使用帯域の合計値を管理している。新規需要が発生した場合は、ONU数、最低保証帯域及び平均使用帯域の合計値が収容限界にならないように収容している。
【0012】
なお、図4において、「PKG1,PKG2,…」はPKGを区別して表す場合の番号表記、「AC1,AC2,…」はACポートを区別して表す場合の番号表記、「TC1,…」はTCポートを区別して表す場合の番号表記であり、以降の説明においても同様とする。
【0013】
<通信装置の特性について>
通信局内の通信装置に搭載されている各PKGは、分岐機器を介して複数のユーザに対してサービスを提供することが可能である。そのため、図5に示すように、PKG配下のONU毎にONU番号、サービス提供の有無(以下、「現用」、「非現用」とする。)、サービス種別、最低保証帯域、平均使用帯域を管理している。
【0014】
ここで、ONU番号とは、PKG配下に接続されているONUを管理するための採番である。提供有無とは、PKG配下のONUがサービス提供中(現用)なのか、サービス非提供(非現用)なのかを指す。サービス種別とは、PKG配下の現用であるONUへ提供しているサービスの種別を指す。最低保証帯域とは、PKG配下の現用であるONUへサービスを提供する際、通信サービスとして保証している帯域量を指す。平均使用帯域とは、PKG配下の現用であるONUのサービス使用時の平均的な使用帯域を指す。
【0015】
なお、PKGの最低保証帯域の合計とは、PKG配下の現用であるONUの最低保証帯域値の合計を意味し、図5のPKG1の最低保証帯域合計は300Mとなる。また、PKGの平均使用帯域の合計とは、PKG配下の現用であるONUの平均使用帯域値の合計を意味し、図5の装置PKG1の平均使用帯域合計は600Mとなる。また、PKGの1ONUの平均使用帯域とは、平均使用帯域値の合計を現用ONU数で割った数値をいい、平均使用帯域値の合計が600Mで現用ONU数が6であれば、1ONUの平均使用帯域は100Mとなる。
【0016】
<通信事業者のサービス提供の遷移について>
通信事業者が提供するサービスとしては、ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった。ベストエフォート型サービスのユーザを多数収容可能な多分岐方式での1つの装置媒体で、複数のユーザへサービス提供を可能とする方式が主体であった。多分岐方式で、より高速かつ大容量通信を可能にする広帯域傾向にあった。多分岐方式で大容量のデータ通信が可能になった結果、インターネットに加えたサービス、即ちインターネット電話、映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや、大容量でのデータ通信サービス等が開発された。
【0017】
◇ベストエフォート型サービス
最低保証帯域される際の通信速度や、基本的に個々のユーザの通信のことは何も考えない。パケットは、ネットワークが混んでいれば遅れて届くし、廃棄されてしまう可能性もある。
【0018】
◇帯域保証型(ギャランティ型)サービス
通信事業者が提供するネットワークで帯域を保証すること。ここで、帯域(帯域≒データ流通量÷応答時間)とは、通信サービスの通信速度のことで、これが大きくなるほど流せるデータ量も多くなる。
【0019】
<通信局内における収容設計の特性について>
ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった時代の収容設計は、加入者宅内のONUが接続可能で、サービスが定める最低保証帯域値が集線装置・通信装置の最大帯域内に収まれば収容可能とするものであった。その結果、アクセスネットワークでの収容設計は、物理的に集線装置・通信装置と加入者宅内のONUとが接続可能であることが収容設計条件であった。従って、通信事業者は、前記収容設計条件を満足し、投資対効果を向上するため、より少ない資産(設備)で、より多くのユーザを収容することを最上の方法としていた。投資対効果向上のため、収容設計方針は通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)の物理的に若番から順に端から詰める収容設計方法であった。
【0020】
しかし、通信事業者が提供するサービストレンドが変化、即ち映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや、大容量でのデータ通信サービスに変化した結果、既存の物理的に通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)の若番から順に端から詰める収容設計方針では帯域オーバーや、収容位置(PKG/AC/TC)によって通信レスポンスが遅い等、サービス品質が極端に低下する特性があった(なお、本発明でいう「サービス品質低下」とは、帯域が不足することでパケット遅延・破棄が起こる可能性が高くなることを意味するものとする。)。
【0021】
[従来技術1]
特許文献1には、通信局内の装置媒体の選定(経路探索)方法(従来技術1)が記載されている。
【0022】
上記従来技術1は、通信装置に関する設備使用状況を管理するデータベース、通信サービスの種別と通信サービスの種別毎に異なる設備収容条件を考慮した装置選定ロジックとの対応関係、装置種別毎に異なる制御対応表を用いて、通信サービスの種別に対応した装置選定ロジックを確定し、装置媒体を選定する技術である。
【0023】
従来技術1の適応範囲は、光アクセスシステム(装置媒体)を用いて通信サービスを提供するために装置媒体を選定し、装置制御するために必要な条件やパラメータを対応表として管理することにより、通信サービスの追加や光アクセス装置の種別の増加を容易とするオペレーションシステムを確立することにある。
【0024】
また、従来技術1は多数あるサービスとサービス毎の装置媒体とを対応付けて、サービス毎に異なる装置選定ロジックを一元的に管理する上で、選定機能の効率化技術である。
【0025】
これに対して本発明は、装置媒体の物理情報及び論理情報から収容率やサービス品質を満足するための回線の収容設計を行うものである。具体的な違いとしては、従来技術1では装置媒体の帯域を管理するとあるが、それらの帯域上でどのように回線収容するかという技術であり、本発明のように複数の設計対象装置で構成される中から、どの装置を使用して割り付けることが品質上好ましいかを類推することが不可能である。
【0026】
従って、従来技術1と本発明とでは、技術上の目的・手法が異なるため、対象とする分野は明確に異なる。
【0027】
[従来技術2]
特許文献2には、各加入者端末に対する通信品質を確保する帯域制御方法を提供する技術(従来技術2)が記載されている。
【0028】
従来技術2における方法では、加入者端末が、輻輳通知パケットを受信したにも拘らず多量のパケットを送信し続けた場合、集線多重化装置からルータまでの他の加入者端末と共用している区間において輻輳が発生し、他の加入者端末に対する帯域が確保されなくなり、通信ネットワークのQoS(Quality of Service)が低下するという問題があった。
【0029】
本発明は、上記問題を解決し、各加入者端末に対する通信品質を確保する帯域制御方法と、該方法のための通信装置を提供する技術である。
【0030】
従来技術2と本発明とでは、ルート(複数の設計対象装置)を考慮して割り付ける方法が決定的に異なる。
【0031】
〈ルート(複数の設計対象装置)を考慮して割り付ける方法が決定的に異なる点〉
従来技術2の制御対象は集線多重化装置のみとなっている。また、需要発生時に複数のルートが発生した場合の収容設計は対象外となっている。従来技術2は、輻輳を回避するために輻輳通知パケットに応じて適した割付を行う帯域制御技術である。
【0032】
本発明の特徴としては、最低保証帯域、平均使用帯域、ONU数等からルートを決める際、複数のルート=複数の設計対象装置を考慮して割り付ける方法であるため、従来技術2が上記特性を加味していない点で、上記技術分野が目的としているものとは方針が違うため、本発明が対象とする分野とは明確に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
近年 加入者宅から通信局までのアクセスネットワークの提供サービスが多様化している。今までは、小帯域のベストエフォート型サービスが主流であったため、コアネットワークと比較して、収容時に帯域設計を必要としない場合が多かった。そのため、インフラが未発達な時期のアクセスネットワークでは、収容率向上が優先されていた。
【0034】
しかし、NGN(Next Generation Network)の導入によって、アクセスネットワークにおけるギャランティ型サービスが増加傾向にある。また、PON(Passive Optical Network)システムの利用者数増加に伴い、1つのアクセスルートにべストエフォート型サービスを利用するユーザと、ギャランティ型サービスを利用するユーザが混在するケースが増えている。
【0035】
このように、ギャランティ型サービスが増加することで、ベストエフォート型サービスを利用するユーザの使用可能帯域(共有帯域)が減少し、QoSの低下に繋がることが大きな問題となってきている。この課題に対応するため、アクセスルート毎の共有帯域の偏りを加味した収容設計が必要となってきている(非特許文献1)。
【0036】
また、本発明が解決しようとする課題として、ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった時代におけるアクセスネットワークでの収容設計は、通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)と加入者宅のONUとが接続可能で、サービスが定める最低保証帯域値が通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)の最大帯域内に収まれば収容可能とするものであった。
【0037】
しかし、高速かつ大容量通信を可能する広帯域傾向にある状態では、通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)に収容するサービスの最大帯域は増加傾向にあり、通信事業者が提供するサービス遷移により、映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや大容量でのデータ通信サービスへ変わった結果、既存の物理的に通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)の番号の若番から順に端から詰める収容設計では帯域オーバーや、通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)によって通信レスポンスが遅い等、サービス品質が極端に低下するという課題があった。
【0038】
以上のことから、アクセスネットワークでもサービス品質を考慮した制御が必要であることがわかるが、アクセスネットワークは通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)等により多段に構成されているため、通信装置(PKG)単体での制御、もしくは集線装置(TC/ACポート)単体での制御では全体として最適にはならず、部分最適になってしまい、通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)を含めたアクセスネットワーク全体でのサービス品質向上が必要となってきた。
【0039】
本発明の目的は、通信装置や集線装置等により多段に構成されているアクセスネットワーク全体として最適な加入者回線の収容設計を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明では、前記目的を達成するため、加入者回線の配線点を構成する分岐機器と、分岐機器を介して加入者回線と接続され、加入者へサービスを提供する複数のPKGを具備する通信装置と、通信装置のPKGと1対1で接続されるACポート及び上位回線と1対1で接続されるTCポートを具備し、各TCポートに対し1以上のACポートを接続することで集線する集線装置とを少なくとも含むアクセスネットワークにおける、加入者回線の収容先を設計する装置であって、前記アクセスネットワークを構成する分岐機器、通信装置及び集線装置の設備情報を記憶する設備情報記憶手段と、入力された加入者回線の収容設計要求に基づき、設備情報記憶部から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中の集線装置のTCポート及び通信装置のPKGを取得するルート検索手段と、前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付手段と、前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、入力された回線収容設計要求に対応する分岐機器からTCポートまでを含む対象ルートが検索され、当該対象ルート中のTCポート及びPKGが取得され、さらにその中の収容可能TCポート及び収容可能PKGから最適な収容予定TCポート及び収容予定PKGが決定され、これにより最適な回線収容設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】光ファイバ通信ネットワークの概要を示す説明図
【図2】光ファイバ通信ネットワークの要部の詳細を示す説明図
【図3】通信装置配下の設備の詳細の一例を示す説明図
【図4】集線装置における集線管理の説明図
【図5】通信装置における回線収容管理の説明図
【図6】本発明の回線収容設計装置の実施の形態の一例を示す構成図
【図7】本発明の回線収容設計(既設設備対応)の処理の流れ図
【図8】本発明の回線収容設計(新設設備対応)の処理の流れ図
【図9】本発明の回線収容設計(増設設備対応)の処理の流れ図
【図10】ユークリッド値の算出処理(収容候補の理想線・点抽出手順)の流れ図
【図11】ユークリッド値の算出処理(収容候補の現状点・予想点抽出手順)の流れ図
【図12】ユークリッド値の算出処理(ユークリッド値算出手順)の流れ図
【図13】具体的なユークリッド値算出方法の説明図
【図14】具体的なユークリッド値算出方法の説明図
【図15】本発明の実施例1(既存設備で対応可能の場合)の説明図
【図16】本発明の実施例2(新設設備で対応可能の場合)の説明図
【図17】本発明の実施例3(増設設備で対応可能の場合)の説明図
【図18】本発明の効果の説明図
【図19】本発明の効果の説明図
【図20】本発明の効果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態に係る回線集線設計装置について図面を参照して説明する。
【0044】
◆装置構成
図6は本発明の回線収容設計装置の実施の形態の一例を示すもので、本発明の回線収容設計装置100は、オペレータが入力装置201に入力した収容設計要求に応じて収容設計結果を出力装置202に出力する装置であり、具体的には、回線収容設計要求(配線点需要の発生)に対して当該回線(配線点)の収容先となる通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)を選定するものである。
【0045】
回線収容設計装置100は、詳細には、アクセスネットワークを構成する分岐機器(SP)、通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)等に関する設備情報を記憶する設備情報記憶部101と、収容設計対象から割り付ける設備への予約情報(サービス条件等)を記憶する装置媒体予約記憶部102と、入力装置201及び出力装置202とのインターフェイス103と、入力装置201から入力された加入者回線の回線の収容設計要求を受け付ける入力処理部104と、入力処理部104で受け付けた回線収容設計要求に基づき、設備情報記憶部101から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルート(アクセスネットワークにおけるSPからTCポートまで)を検索するとともに当該対象ルート中のTCポート及びPKGを取得するルート検索部105と、ルート検索部105で検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付部106と、TC収容割付部106で決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付部107と、設備情報記憶部101から前記回線収容設計要求に対応する回線収容候補の設備情報を取得できない場合に分岐機器、通信装置、集線装置等の各設備を増設して収容設計を行う増設部108と、TC収容割付部106及びPKG収容割付部107にて決定された収容予定TCポート及び収容予定PKGを示す情報からなる回線収容設計結果、あるいは増設部108にて設計された増設SP、増設TCポート及び増設PKGを示す情報からなる回線収容設計結果を所定の出力形式で出力装置202に出力する出力処理部209と、各部を制御する制御部210とを備えている。
【0046】
なお、回線収容設計装置100は、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実現されていても良く、またその実装形態は任意である。例えば、回線収容設計装置100の各部を1つのコンピュータに実装しても、複数のコンピュータに分散実装しても良く、また前記入力装置及び出力装置と同一のコンピュータ上に実装しても良い。
【0047】
以下、ルート検索部105、TC収容割付部106、PKG収容割付部107及び増設部108における回線収容設計処理について詳細に説明する。
【0048】
◆回線収容設計処理(既設設備対応)
図7は回線収容設計処理の一例、ここでは既設設備で対応可能な場合の処理の流れを示すものである。
【0049】
まず、ルート検索部105は、ある配線点に需要が発生した場合、需要が発生した配線点の中にSP(分岐機器)があるかないかを確認する(s101)。その結果、既設のSP(分岐機器)が無ければ(s102;無)、既存設備での対応は不可と判断し、新規設備対応とする。一方、既設のSP(分岐機器)が有れば(s102;有)、SP(分岐機器)からTCポートまでのアクセスルートは構築済みなので、該当する既設SPを取得し(s103)、当該SP(分岐機器)からTCポートのルートを検索する(s104)。前記手順において検索したルート内にあるPKG/TCポートを取得し(s105)、各設備でのユークリッド値(後述する)を算出し(s106)、これを全ての既設SPについて繰り返す(s107)。この時、TCポートが許容ユーザ数の限界、許容帯域の限界であればユークリッド値の算出は不可になる。
【0050】
次に、TC収容割付部106は、前記検索した構築済みのアクセスルート内のTCポートに収容可能TCポートがあるかないかを確認する(s108)。その結果、収容可能TCポートがない、即ち全てのTCポートのユークリッド値が算出不可であれば(s109;無)、既存設備での対応は不可となり、新規設備対応となる。一方、収容可能TCポートがある、即ちTCポートのユークリッド値が算出可能であれば(s109;有)、該当するTCポートを全て取得し(s110)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いTCポートを選択し(s111)、収容予定TCポートを決定する(s112)。
【0051】
次に、PKG収容割付部107は、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)の、前記ルート検索部105で取得したPKGを取得し(s113)、その中に収容可能PKGがあるかないかを判定し、収容可能PKGがある、即ちPKGのユークリッド値が算出可能であれば(s114;有)、該当するPKGを全て取得し(s115)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いPKGを選択し(s116)、収容予定PKGを決定し(s117)、収容設計を完了する。
【0052】
一方、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)のPKGに収容可能PKGがない、即ち全てのPKGのユークリッド値が算出不可であれば(s114;無)、既存設備での対応は不可となり、前記ルート検索部105で取得したPKG以外のTCポート配下の未使用PKGの有無を確認する(s118)。未使用PKGがある場合(s119;有)は、収容予定PKGを決定し(s117)、収容設計を完了する。
【0053】
また、未使用PKGがない場合(s119;無)、ルート検索部105で取得したTCポートの中から予め設計者が定めた次に優先度が高いTCポート有無を確認する(s120)。ここで、次候補TCポートがない場合(s121;無)は、既存設備での対応は不可となり、新規設備対応となる。また、次候補TCポートがある場合(s121;有)は、最初に選択したTCポート候補は候補外として(s122)、再度、高優先度TCポート選択する手順を実施する。
【0054】
◆回線収容設計処理(新規設備対応)
図8は回線収容設計処理の他の例、ここでは新設設備で対応可能な場合の処理の流れを示すものである。
【0055】
既設設備で収容出来なかった場合、収容不可とされた設備以外の設備、即ち新規設備(TCポート/PKG)で収容可否を判断して収容設計を行う必要がある。
【0056】
ルート検索部105は、上記前提の上でTCポートを取得し(s201)、当該TCポート配下のPKGを取得し(s202)、さらにTCポート/PKGでのユークリッド値を算出し(s203)、これを全ての設備について繰り返す(s204)。この時、TCポート/PKGが許容ユーザ数の限界、許容帯域の限界であればユークリッド値の算出は不可になる。
【0057】
次に、TC収容割付部106は、取得したTCポートに収容可能TCポートがあるかないかを確認する(s205)。その結果、収容可能TCポートがない、即ち全てのTCポートのユークリッド値が算出不可であれば(s206;無)、新規設備での対応は不可となり、増設設備対応となる。一方、収容可能TCポートがある、即ちTCポートのユークリッド値が算出可能であれば(s206;有)、新規設備での対応は可能となり、該当するTCポートを全て取得し(s207)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いTCポートを選択し(s208)、収容予定TCポートを決定する(s209)。
【0058】
次に、PKG収容割付部107は、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)の、前記ルート検索部105で取得したPKGを取得し(s210)、その中に収容可能PKGがあるかないかを判定し、収容可能PKGがある、即ちPKGのユークリッド値が算出可能であれば(s211;有)、該当するPKGを全て取得し(s212)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いPKGを選択し(s213)、収容予定PKGを決定し(s214)、収容設計を完了する。
【0059】
一方、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)のPKGに収容可能PKGがない、即ち全てのPKGのユークリッド値が算出不可であれば(s211;無)、新設設備での対応は不可となり、前記ルート検索部105で取得したPKG以外のTCポート配下の未使用PKGの有無を確認する(s215)。未使用PKGがある場合(s216;有)は、収容予定PKGを決定し(s214)、収容設計を完了する。
【0060】
また、未使用PKGがない場合(s216;無)、ルート検索部105で取得したTCポートの中から予め設計者が定めた次に優先度が高いTCポート有無を確認する(s217)。ここで、次候補TCポートがない場合(s218;無)は、新設設備での対応は不可となり、増設設備対応となる。また、次候補TCポートがある場合(s218;有)は、最初に選択したTCポート候補は候補外として(s219)、再度、高優先度TCポート選択する手順を実施する。
【0061】
◆回線収容設計処理(増設設備対応)
図9は回線収容設計処理の他の例、ここでは現状敷設済みの設備では収容出来ないので新たな増設設備で収容する場合の処理の流れを示すものである。
【0062】
増設部108は、装置仕様・増設ポリシーを確認、即ちTCカード1枚当たりの収容可能ACカード数aを取得し(s301)、ACカード1枚当たりのACポート数bを取得し(s302)、TCカード1枚当たりのTCポート数cを取得し(s303)、1TCポート当たりのACポート数d(=(a*b)/c)を算出し(s304)、TCポート増設時のポート数eを取得(s305)した上で、PKG/AC/TC増設設備を決定して敷設する(s306)。増設工事が全て終了した結果、増設TC/AC/PKGの中から若番の設備を採取し(s307)、SPを新設し、SP〜PKGを接続した(s308)上で収容設計を完了する。
【0063】
◆ユークリッド値算出処理(収容候補の理想線・点抽出手順)
図10はユークリッド値算出処理のうち、選定候補の理想線・点抽出手順の流れを示すものである。
【0064】
本処理では、各PKGの理想線・点抽出のために、PKG毎の最大ONU数、最大帯域、現状のONU数を取得する(s401〜s404)。次に、PKG毎の理想線・理想点(ベクトル値)を計算する(s405,s406)(理想点の計算方法は図中の(1)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s407)、各収容候補の理想線・理想点を抽出する(s408)。
【0065】
◆ユークリッド値算出処理(収容候補の現状点・予想点抽出手順)
図11はユークリッド値算出処理のうち、収容候補の現状点・予想点抽出手順の流れを示すものである。
【0066】
本処理では、各PKGの現状点・予想点のために、PKG毎の最低保証帯域の合計値、平均使用帯域の合計値、収容したいサービスの最低保証帯域、PKGの1ONU当たりの平均使用帯域情報を取得する(s501〜s505)。次に、PKG毎の現状点・予想点(ベクトル値)を計算する(s506,s507)(現状点からの予想点の計算方法は図中の(2)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s508)、各収容候補の現状点・予想点を抽出する(s509)。
【0067】
◆ユークリッド値算出処理(ユークリッド値算出手順)
図12はユークリッド値算出処理のうち、ユークリッド値算出手順の流れを示すものである。
【0068】
本処理では、各収容候補の理想線・理想点及び現状点・予想点を取得する(s601〜s503)。次に、各PKGの理想点・予想点から理想点と予想点との間の距離(ユークリッド値)を算出する(s604)(理想点と予想点からユークリッド値算出の計算方法は図中の(3)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s605)、各収容候補のユークリッド値を抽出する(s606)。
【0069】
以下、具体的なユークリッド値の算出方法について、図13、図14を用いて説明する。
【0070】
◆具体的なユークリッド値算出方法の説明(設備構成の説明)
図13は設備状態の初期値、サービス条件及び需要発生パターンの一例を表すものである。
【0071】
まず、設備状態の初期値としては、図13に示すように物理情報及び論理情報がある。物理情報としてGE−OLT1内の装置媒体であるPKG1〜4を用意する。PKG内のONU数は初期値であるため、最大値である32個が全て使用されていない状態である。また、論理情報として各PKG毎に設定されるサービス種別、最低保証帯域の合計値及び平均使用帯域の合計値がある。上記ONU数、サービス種別、最低保証帯域合計は選定されることによって登録(設定)される情報である。また、平均使用帯域合計は選定され、実際にユーザに使用されることによって変動される情報である。また、説明を簡便にするため、外部情報は本例では割愛することとする。
【0072】
次に、設備状態の初期値へ選定するサービス条件について図13を用いて説明する。オペレータが選定するサービスをAサービスとし、Aサービスを選定する場合は1つのONUにて選定することとする。また、Aサービス自体の最低保証帯域は60Mとし、Aサービス選定をする場合の目安情報として1つのONUの平均使用帯域は90Mとする。
【0073】
なお、説明の簡便さを考慮して上記設定値としたが、以下のようなケースでも本発明は適応可能である。即ち、上記ではAサービスを選定する場合は1つのONUにて選定することとしたが、Bサービスを選定する場合は複数のONUにて選定することとすることも可能である。また、上記ではAサービス自体を使用する場合の1ONUの平均使用帯域は90Mと固定的にしたが、選定するサービスの平均使用帯域を該当する装置媒体内での平均使用帯域や、通信局という地域性を加味した通信局単位での平均使用帯域と考えることも可能である。
【0074】
次に、設備状態の初期値と選定するサービス条件を、どのような需要発生パターンにて選定するかを図13に示した。即ち、ここでは合計32個の需要を発生させ、各需要番号の若番順から選定を開始するものとした。また、各需要の「サービス開通後平均使用帯域」とは、選定時には平均使用帯域は分かり得ない情報であるため、前記1ONUの平均使用帯域(90M)として選定する。その後、開通後のサービス平均使用帯域を選定された平均使用帯域に加算する。
【0075】
◆具体的なユークリッド値算出方法の説明(算出式の説明)
図14は図13に示した需要番号1〜3の需要が発生した際の設備状態、並びに各算出値を示すものである。
【0076】
○需要番号1発生時の選定
需要番号1の需要発生時の選定は、初期値の設備状態での選定のため、全てのPKGに対してONU数、最低保証帯域合計、平均使用帯域合計ともに0である。その前提で、理想線上の理想点算出と予想点算出を算出する。
【0077】
まず、ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域の最大値はそれぞれ32、1000M、1000Mとなり、各パラメータ値の最大値と最小値(各値0)を結ぶ対角線が理想線となる。また、理想線上の理想点算出のためにはONU数としてはPKG1の現状0収容に需要番号1が追加される場合は、現状のONU数(x=0)に対して需要番号1ユーザが使用するONU数を加算し、「1」が計算される。また、理想線上の理想点での最低保証帯域合計は、PKG1の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「1」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=1、最低保証帯域合計=31M、平均使用帯域合計=31Mと抽出することが可能となる。
【0078】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0079】
【数1】
【0080】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=0)に対して需要番号1ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=0)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=0)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の予想点の抽出は、ONU数=1、最低保証帯域合計=60M、平均使用帯域合計=90Mと抽出することが可能となる。
【0081】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計、
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0082】
【数2】
【0083】
最後に、ユークリッド値は、
【0084】
【数3】
【0085】
として算出することが可能となる。
【0086】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。さらに、PKG2〜4もPKG1と同じONU数、最低保証帯域合計、平均使用帯域合計であることからPKG1と同様な計算方法で算出できる。よって、PKG1〜4でのユークリッド値は同等となる。同等の値である場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【0087】
○需要番号2発生時の選定
需要番号1をPKG1に選定することで、PKG1の現状状態には、サービス条件からPKG1にONU数「1」、最低保証帯域合計「60M」を設定する。平均使用帯域合計にはサービス開通後の需要番号1ユーザが実際に使用した平均使用帯域値である「60M」を登録する。
【0088】
次の需要である需要番号2を選定する。PKG2〜4のユークリッド値算出方法については、需要番号1と2のサービス条件である、選定サービス「Aサービス」、選定したいサービスの最低保証帯域「60M」及び1ONUの平均使用帯「90M」が同じであることから、需要発生1の選定時と同様の説明が可能である。PKG1のユークリッド値算出方法については、現状状態の使用状態に加えて理想点と予想点を算出する。まず、理想点は現状のONU数(x=1)に対して需要番号2ユーザが使用するONU数を加算し、「2」が計算される。また、理想点での最低保証帯域合計は、PKG1の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「2」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=62M、平均使用帯域合計=62Mと抽出することが可能となる。
【0089】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0090】
【数4】
【0091】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=1)に対して需要番号2ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=60M)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=60M)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の処理出予想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=120M、平均使用帯域合計=150Mと抽出することが可能となる。
【0092】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0093】
【数5】
【0094】
最後に、ユークリッド値は、
【0095】
【数6】
【0096】
として算出することが可能となる。
【0097】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。PKG1「149」、PKG2〜4「84」となることからPKG2〜4が最小距離となる。PKG2〜4でのユークリッド値が同等となる場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【0098】
○需要番号3発生時の選定
需要番号2をPKG2に選定することで、PKG2の現状状態には、サービス条件からPKG2にONU数「1」、最低保証帯域合計「60M」を設定する。平均使用帯域合計にはサービス開通後の需要番号2ユーザが実際に使用した平均使用帯域値である「150M」を登録する。
【0099】
次の需要である需要番号3を選定する。PKG1,3,4のユークリッド値算出方法については、需要番号2と3のサービス条件である、選定サービス「Aサービス」、選定したいサービスの最低保証帯域「60M」、1ONUの平均使用帯「90M」が同じであることから需要発生2,3の選定時と同様の説明が可能である。PKG2のユークリッド値算出方法については、現状状態の使用状態に加えて理想点と予想点を算出する。まず、理想点は現状のONU数(x=1)に対して需要番号3ユーザが使用するONU数を加算し、「2」が計算される。また、理想点での最低保証帯域合計は、PKG2の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「2」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=62M、平均使用帯域合計=62Mと抽出することが可能となる。
【0100】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0101】
【数7】
【0102】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=1)に対して需要番号3ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=60M)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=150M)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の予想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=120M、平均使用帯域合計=240Mと抽出することが可能となる。
【0103】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0104】
【数8】
【0105】
最後に、ユークリッド値は、
【0106】
【数9】
【0107】
として算出することが可能となる。
【0108】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。PKG1「149」、PKG2「215」、PKG3,4「84」となることからPKG3,4が最小距離となる。PKG3,4でのユークリッド値が同等となる場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【実施例1】
【0109】
図15は本発明の実施例1、ここで既存設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0110】
配線点1に需要が発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1,2があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1及び分岐機器2〜TCポート2を取得でき、それぞれのルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。
【0111】
TCポート1とTCポート2のユークリッド値を比較すると、TCポート1「185」、TCポート2「74」である。この時、設計者が優先するTCポートのユークリッド値が最小優先であればTCポート2が収容予定TCポートとして決定される。次にTCポート2配下のPKG3のユークリッド値は「74」であり、1つしかないため、必然的にPKG3が収容予定PKGとして決定される。
【0112】
その結果、分岐機器2〜TCポート2が既存設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器2〜TCポート2にONU3を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【実施例2】
【0113】
図16は本発明の実施例2、ここで新設設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0114】
配線点1に需要発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1を取得でき、当該ルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。その結果、TCポート1のONU数は最大値「32」となっているため、ユークリッド値は算出できず、よってTCポート1には収容出来ないことが分かり、新規設備での対応となる。
【0115】
新規設備での対応として、TCポート1以外のTCポート及び配下のPKGを取得し、PKG/TCポートのユークリッド値を算出する。その結果、TCポート2/PKG3を取得し、TCポート2/PKG3のユークリッド値を比較すると、TCポート2「20」/PKG3「20」となる。次にTCポート2配下のPKG3のユークリッド値は1つしかないため、必然的にTCポート2/PKG3が収容予定TCポート/PKGとして決定される。
【0116】
その結果、分岐機器2〜TCポート2が新規設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器2〜TCポート2にONU9を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【実施例3】
【0117】
図17は本発明の実施例3、ここで増設設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0118】
配線点1に需要発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1,2があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1及び分岐機器2〜TCポート2を取得でき、それぞれのルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。その結果、TCポート1はONU数は最大値「32」, TCポート2は帯域が最大帯域「1000M」となっているため、ユークリッド値は算出できず、TCポート1,2には収容出来ないことが分かり、新設設備での対応となる。
【0119】
新規設備での対応として、TCポート1,2以外のTCポート及び配下のPKGを取得した結果、収容可能なTCポートは無いことが分かり、増設設備での対応となる。増設設備での対応として、TCポート3/PKG5は増設設備のため、必然的にTCポート3/PKG5が収容予定TCポート/PKGとして決定される。
【0120】
その結果、分岐機器3〜TCポート3が増設設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器3〜TCポート3にONU19を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【0121】
◆本発明によって生じる効果
シミュレーションから本発明の効果(他の収容設計方法との評価)を説明する。
【0122】
<シミュレーション条件>
図18は本シミュレーションの条件、ここでは設備状態の初期構成、サービス条件及び需要発生パターンの一例を表すものである。
【0123】
[設備状態の初期構成]
シミュレーションの設備状態の初期構成は、シミュレーション結果を説明するために配線点は1つに設定する。また、PKGとTCポートは2:1の構成と設定する。
【0124】
[サービス条件]
シミュレーションのサービス条件は、シミュレーション結果を説明するために、サービス種別は1種類で、選定したいサービスの最低保証帯域(z’)は30M、1ONUの平均使用帯(y’)は50Mと設定する。
【0125】
[需要発生パターン]
シミュレーションの需要発生パターンは、Aサービス新規需要は40回、Aサービス廃止需要は10回として、10回の需要のうち、5回目、10回目が廃止需要と設定する。
【0126】
以上の条件で、(a)既存の若番から収容設計方法と、(b)本発明の収容設計方法とを比較する。
【0127】
<シミュレーション結果>
図19は前記シミュレーションの結果を表すもので、(a)既存の若番から収容設計方法:収容出来る需要は設備の若番から詰めて収容する方法、(b)本発明の収容設計方法:ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域から収容する方法、をそれぞれ示す。
【0128】
(a)既存の若番から収容設計方法での収容結果
→収容出来る需要は設備の若番から詰めて収容する方法なので、TC1の収容帯域は最大となっている。
【0129】
(b)本発明の収容設計方法での収容結果
→ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域から収容する方法なので、平準的に収容する結果となっている。
【0130】
図20に前記シミュレーションによる評価結果を示す。
【0131】
シミュレーションの結果から、両方の収容方法の残使用可能帯域を比較する。その結果、(a)既存の若番から収容設計方法と、(b)本発明の収容設計方法との最終的な残使用可能帯域の総数に差異はない。しかし、(a)は各TCポートの残使用可能帯域は偏りがあるが、(b)は各TCポートの残使用可能帯域は少ない。以上の結果から、本発明でアクセスネットワークでもサービス品質を考慮した効率的な制御が実現できる。
【符号の説明】
【0132】
1:加入者回線、2:通信装置、3:集線装置、4:上位回線、5:ルータ、5a:ルータポート、6:基幹回線、7:ACカード、7a:ACポート、8:TCカード、8a:TCポート、100:回線収容設計装置、101:設備情報記憶部、102:装置媒体予約記憶部、103:インターフェイス、104:入力処理部、105:ルート検索部、106:TC収容割付部、107:PKG収容割付部、108:増設部、109:出力処理部、110:制御部、201:入力装置、202:出力装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2003−18623号公報
【特許文献2】特開2009−302611号公報
【非特許文献】
【0134】
【非特許文献1】”公共ブロードバンド移動通信システム 技術的条件の検討の方向性について”、[online]、総務省、[平成22年12月8日検索]、インターネット<URL:http://www.soumu.go.jp/main#content/000030503.pdf>
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信ネットワークのうち、アクセスネットワークにおける加入者回線の収容先を設計する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
<通信局内における設備(通信装置+集線装置)の収容設計の特性について>
図1は通信ネットワークの一例、ここでは光ファイバ通信ネットワークの概要を示すもので、アクセスネットワーク及びコアネットワークからなっている。
【0003】
ここで、アクセスネットワークとは、加入者宅内の加入者線終端装置(ONU:図示せず)から光ファイバ回線(加入者回線)1を介して通信装置(OLT)2と接続され、さらに通信装置2の上位に位置し、各加入者回線1をコアネットワークとの通信回線(上位回線)に集線する集線装置3までの部分をいう。また、コアネットワークとは、上位回線4を介して集線装置3と接続されたルータ5により、集線装置3にて集約された情報を通信回線(基幹回線)6を介して各地に伝送する部分をいう。
【0004】
図2に示すように、アクセスネットワークに於ける通信局内の装置は、大別すると、通信装置2及び集線装置3からなる。
【0005】
通信装置2は、加入者(ユーザ)へサービスを提供するための複数の装置(PKG)を具備し、各PKGは分岐機器(光スプリッタ:SP)を介して1本にまとめられた複数本の加入者回線1を集線装置3に接続する。
【0006】
集線装置3は、二以上の加入者回線を収容する複数の加入者側モジュール、具体的には通信装置2との接続アダプタである加入者側カード(ACカード)7と、上位回線4を収容する複数の転送者側モジュール、具体的にはルータ5との接続アダプタである転送者側カード(TCカード)8とを具備する。また、各ACカード7は通信装置2のPKGと1対1の関係にある複数の加入者側ポート(ACポート)7aを含み、各TCカード8はルータ5のルータポート5aと1対1の関係にある複数の転送者側ポート(TCポート)8aを含む。さらにまた、各TCカード8(のTCポート8a)はスイッチカード(SW)を介して1以上のACカード7(のACポート7a)と接続され、このACカード7とTCカード8との接続関係によってどの加入者回線をどの上位回線に割り当てるか(集線設計)を設定・管理する如くなっている。また、上記では説明を簡便にするためにAC/TCカード単位で説明したが、集線装置の設定次第ではAC/TCポート単位、ユーザ単位での集線設計も可能である。
【0007】
図3に示すように、通信装置配下の設備は、大別すると、配線架、中間架、通信装置及びそれらを接続する所内ケーブルからなる。配線架は、所内ケーブル(所内ファイバ)と所外ケーブル(所外ファイバ)とを接続するためのアダプタから構成される。配線架にて接続された所外ケーブルは、通信局外の電柱に敷設されている分岐機器(所外スプリッタ)を経由して加入者宅内のONUまで接続される。中間架には、配線架〜中間架と中間架〜通信装置との間のケーブルを中継するためのアダプタや、光信号を途中で複数に分岐するための分岐機器(所内スプリッタ)が設置されている。1つの電柱に設置可能な分岐機器の数には限界があるため、電柱もしくは複数の電柱群で提供可能なサービスを設計段階で決めて需要対応する方法がある。この設計方法における管理名が配線点であり、配線点で発生した需要は、同配線点にある分岐機器の余剰端子を用いて開通する。
【0008】
提供可能なサービス種別の一つとして、図2の下部に示したような多分岐方式というサービスがあり、始点(ユーザ側)から終点(ルータ側)までの間にn対1の関係が成り立つ。これは終点である集線装置上位のルータ側から発せられた光信号を、途中の集線装置(TCポート〜ACポート)、通信装置(PKG)〜分岐機器、分岐機器〜分岐機器の間を1または複数の光ファイバ心線で接続して、複数の加入者で共有する方式である。
【0009】
即ち、ルータ〜集線装置間では1つの心線・端子で伝送され、集線装置にてTCポートにて行き先ACポートを特定し、集線装置〜通信装置間では複数の心線・端子にて伝送される。通信装置〜分岐機器間では1つの心線・端子で伝送され、分岐機器にて分岐の後は複数の心線・端子にて伝送される如くなっている。
【0010】
<集線装置の特性について>
図4に示すように、通信局内の集線装置に搭載されているTCポートは複数のACポートと接続(集線)されている。上り(ユーザからの送信)時には、集線装置はアクセスネットワークの通信情報をコアネットワークへ効率的に伝送するためにユーザから伝送されてきた通信情報を集線し、TCポートを経由して上位ルータへ伝送する。同じように下り(ユーザの受信)時には、集線装置はコアネットワークの通信情報をアクセスネットワークへ効率的に伝送するために上位ルータから伝送されてきた通信情報を分岐し、ACポートを経由して通信装置へ伝送する。
【0011】
また、ACポートとTCポートとの集線・分岐は両者の間にあるSWにて処理される。集線装置には、事前に「どのACポートが、どのTCポートと集線・分岐」するかを設定済みであり、TCポートでのONU数、最低保証帯域及び平均使用帯域の合計値を管理している。新規需要が発生した場合は、ONU数、最低保証帯域及び平均使用帯域の合計値が収容限界にならないように収容している。
【0012】
なお、図4において、「PKG1,PKG2,…」はPKGを区別して表す場合の番号表記、「AC1,AC2,…」はACポートを区別して表す場合の番号表記、「TC1,…」はTCポートを区別して表す場合の番号表記であり、以降の説明においても同様とする。
【0013】
<通信装置の特性について>
通信局内の通信装置に搭載されている各PKGは、分岐機器を介して複数のユーザに対してサービスを提供することが可能である。そのため、図5に示すように、PKG配下のONU毎にONU番号、サービス提供の有無(以下、「現用」、「非現用」とする。)、サービス種別、最低保証帯域、平均使用帯域を管理している。
【0014】
ここで、ONU番号とは、PKG配下に接続されているONUを管理するための採番である。提供有無とは、PKG配下のONUがサービス提供中(現用)なのか、サービス非提供(非現用)なのかを指す。サービス種別とは、PKG配下の現用であるONUへ提供しているサービスの種別を指す。最低保証帯域とは、PKG配下の現用であるONUへサービスを提供する際、通信サービスとして保証している帯域量を指す。平均使用帯域とは、PKG配下の現用であるONUのサービス使用時の平均的な使用帯域を指す。
【0015】
なお、PKGの最低保証帯域の合計とは、PKG配下の現用であるONUの最低保証帯域値の合計を意味し、図5のPKG1の最低保証帯域合計は300Mとなる。また、PKGの平均使用帯域の合計とは、PKG配下の現用であるONUの平均使用帯域値の合計を意味し、図5の装置PKG1の平均使用帯域合計は600Mとなる。また、PKGの1ONUの平均使用帯域とは、平均使用帯域値の合計を現用ONU数で割った数値をいい、平均使用帯域値の合計が600Mで現用ONU数が6であれば、1ONUの平均使用帯域は100Mとなる。
【0016】
<通信事業者のサービス提供の遷移について>
通信事業者が提供するサービスとしては、ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった。ベストエフォート型サービスのユーザを多数収容可能な多分岐方式での1つの装置媒体で、複数のユーザへサービス提供を可能とする方式が主体であった。多分岐方式で、より高速かつ大容量通信を可能にする広帯域傾向にあった。多分岐方式で大容量のデータ通信が可能になった結果、インターネットに加えたサービス、即ちインターネット電話、映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや、大容量でのデータ通信サービス等が開発された。
【0017】
◇ベストエフォート型サービス
最低保証帯域される際の通信速度や、基本的に個々のユーザの通信のことは何も考えない。パケットは、ネットワークが混んでいれば遅れて届くし、廃棄されてしまう可能性もある。
【0018】
◇帯域保証型(ギャランティ型)サービス
通信事業者が提供するネットワークで帯域を保証すること。ここで、帯域(帯域≒データ流通量÷応答時間)とは、通信サービスの通信速度のことで、これが大きくなるほど流せるデータ量も多くなる。
【0019】
<通信局内における収容設計の特性について>
ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった時代の収容設計は、加入者宅内のONUが接続可能で、サービスが定める最低保証帯域値が集線装置・通信装置の最大帯域内に収まれば収容可能とするものであった。その結果、アクセスネットワークでの収容設計は、物理的に集線装置・通信装置と加入者宅内のONUとが接続可能であることが収容設計条件であった。従って、通信事業者は、前記収容設計条件を満足し、投資対効果を向上するため、より少ない資産(設備)で、より多くのユーザを収容することを最上の方法としていた。投資対効果向上のため、収容設計方針は通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)の物理的に若番から順に端から詰める収容設計方法であった。
【0020】
しかし、通信事業者が提供するサービストレンドが変化、即ち映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや、大容量でのデータ通信サービスに変化した結果、既存の物理的に通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)の若番から順に端から詰める収容設計方針では帯域オーバーや、収容位置(PKG/AC/TC)によって通信レスポンスが遅い等、サービス品質が極端に低下する特性があった(なお、本発明でいう「サービス品質低下」とは、帯域が不足することでパケット遅延・破棄が起こる可能性が高くなることを意味するものとする。)。
【0021】
[従来技術1]
特許文献1には、通信局内の装置媒体の選定(経路探索)方法(従来技術1)が記載されている。
【0022】
上記従来技術1は、通信装置に関する設備使用状況を管理するデータベース、通信サービスの種別と通信サービスの種別毎に異なる設備収容条件を考慮した装置選定ロジックとの対応関係、装置種別毎に異なる制御対応表を用いて、通信サービスの種別に対応した装置選定ロジックを確定し、装置媒体を選定する技術である。
【0023】
従来技術1の適応範囲は、光アクセスシステム(装置媒体)を用いて通信サービスを提供するために装置媒体を選定し、装置制御するために必要な条件やパラメータを対応表として管理することにより、通信サービスの追加や光アクセス装置の種別の増加を容易とするオペレーションシステムを確立することにある。
【0024】
また、従来技術1は多数あるサービスとサービス毎の装置媒体とを対応付けて、サービス毎に異なる装置選定ロジックを一元的に管理する上で、選定機能の効率化技術である。
【0025】
これに対して本発明は、装置媒体の物理情報及び論理情報から収容率やサービス品質を満足するための回線の収容設計を行うものである。具体的な違いとしては、従来技術1では装置媒体の帯域を管理するとあるが、それらの帯域上でどのように回線収容するかという技術であり、本発明のように複数の設計対象装置で構成される中から、どの装置を使用して割り付けることが品質上好ましいかを類推することが不可能である。
【0026】
従って、従来技術1と本発明とでは、技術上の目的・手法が異なるため、対象とする分野は明確に異なる。
【0027】
[従来技術2]
特許文献2には、各加入者端末に対する通信品質を確保する帯域制御方法を提供する技術(従来技術2)が記載されている。
【0028】
従来技術2における方法では、加入者端末が、輻輳通知パケットを受信したにも拘らず多量のパケットを送信し続けた場合、集線多重化装置からルータまでの他の加入者端末と共用している区間において輻輳が発生し、他の加入者端末に対する帯域が確保されなくなり、通信ネットワークのQoS(Quality of Service)が低下するという問題があった。
【0029】
本発明は、上記問題を解決し、各加入者端末に対する通信品質を確保する帯域制御方法と、該方法のための通信装置を提供する技術である。
【0030】
従来技術2と本発明とでは、ルート(複数の設計対象装置)を考慮して割り付ける方法が決定的に異なる。
【0031】
〈ルート(複数の設計対象装置)を考慮して割り付ける方法が決定的に異なる点〉
従来技術2の制御対象は集線多重化装置のみとなっている。また、需要発生時に複数のルートが発生した場合の収容設計は対象外となっている。従来技術2は、輻輳を回避するために輻輳通知パケットに応じて適した割付を行う帯域制御技術である。
【0032】
本発明の特徴としては、最低保証帯域、平均使用帯域、ONU数等からルートを決める際、複数のルート=複数の設計対象装置を考慮して割り付ける方法であるため、従来技術2が上記特性を加味していない点で、上記技術分野が目的としているものとは方針が違うため、本発明が対象とする分野とは明確に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
近年 加入者宅から通信局までのアクセスネットワークの提供サービスが多様化している。今までは、小帯域のベストエフォート型サービスが主流であったため、コアネットワークと比較して、収容時に帯域設計を必要としない場合が多かった。そのため、インフラが未発達な時期のアクセスネットワークでは、収容率向上が優先されていた。
【0034】
しかし、NGN(Next Generation Network)の導入によって、アクセスネットワークにおけるギャランティ型サービスが増加傾向にある。また、PON(Passive Optical Network)システムの利用者数増加に伴い、1つのアクセスルートにべストエフォート型サービスを利用するユーザと、ギャランティ型サービスを利用するユーザが混在するケースが増えている。
【0035】
このように、ギャランティ型サービスが増加することで、ベストエフォート型サービスを利用するユーザの使用可能帯域(共有帯域)が減少し、QoSの低下に繋がることが大きな問題となってきている。この課題に対応するため、アクセスルート毎の共有帯域の偏りを加味した収容設計が必要となってきている(非特許文献1)。
【0036】
また、本発明が解決しようとする課題として、ベストエフォート型のインターネット接続サービスが主流であった時代におけるアクセスネットワークでの収容設計は、通信装置(PKG)及び集線装置(TC/ACポート)と加入者宅のONUとが接続可能で、サービスが定める最低保証帯域値が通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)の最大帯域内に収まれば収容可能とするものであった。
【0037】
しかし、高速かつ大容量通信を可能する広帯域傾向にある状態では、通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)に収容するサービスの最大帯域は増加傾向にあり、通信事業者が提供するサービス遷移により、映像通信、P2Pサービス等の帯域保証型のサービスや大容量でのデータ通信サービスへ変わった結果、既存の物理的に通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)の番号の若番から順に端から詰める収容設計では帯域オーバーや、通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)によって通信レスポンスが遅い等、サービス品質が極端に低下するという課題があった。
【0038】
以上のことから、アクセスネットワークでもサービス品質を考慮した制御が必要であることがわかるが、アクセスネットワークは通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)等により多段に構成されているため、通信装置(PKG)単体での制御、もしくは集線装置(TC/ACポート)単体での制御では全体として最適にはならず、部分最適になってしまい、通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)を含めたアクセスネットワーク全体でのサービス品質向上が必要となってきた。
【0039】
本発明の目的は、通信装置や集線装置等により多段に構成されているアクセスネットワーク全体として最適な加入者回線の収容設計を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明では、前記目的を達成するため、加入者回線の配線点を構成する分岐機器と、分岐機器を介して加入者回線と接続され、加入者へサービスを提供する複数のPKGを具備する通信装置と、通信装置のPKGと1対1で接続されるACポート及び上位回線と1対1で接続されるTCポートを具備し、各TCポートに対し1以上のACポートを接続することで集線する集線装置とを少なくとも含むアクセスネットワークにおける、加入者回線の収容先を設計する装置であって、前記アクセスネットワークを構成する分岐機器、通信装置及び集線装置の設備情報を記憶する設備情報記憶手段と、入力された加入者回線の収容設計要求に基づき、設備情報記憶部から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中の集線装置のTCポート及び通信装置のPKGを取得するルート検索手段と、前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付手段と、前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、入力された回線収容設計要求に対応する分岐機器からTCポートまでを含む対象ルートが検索され、当該対象ルート中のTCポート及びPKGが取得され、さらにその中の収容可能TCポート及び収容可能PKGから最適な収容予定TCポート及び収容予定PKGが決定され、これにより最適な回線収容設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】光ファイバ通信ネットワークの概要を示す説明図
【図2】光ファイバ通信ネットワークの要部の詳細を示す説明図
【図3】通信装置配下の設備の詳細の一例を示す説明図
【図4】集線装置における集線管理の説明図
【図5】通信装置における回線収容管理の説明図
【図6】本発明の回線収容設計装置の実施の形態の一例を示す構成図
【図7】本発明の回線収容設計(既設設備対応)の処理の流れ図
【図8】本発明の回線収容設計(新設設備対応)の処理の流れ図
【図9】本発明の回線収容設計(増設設備対応)の処理の流れ図
【図10】ユークリッド値の算出処理(収容候補の理想線・点抽出手順)の流れ図
【図11】ユークリッド値の算出処理(収容候補の現状点・予想点抽出手順)の流れ図
【図12】ユークリッド値の算出処理(ユークリッド値算出手順)の流れ図
【図13】具体的なユークリッド値算出方法の説明図
【図14】具体的なユークリッド値算出方法の説明図
【図15】本発明の実施例1(既存設備で対応可能の場合)の説明図
【図16】本発明の実施例2(新設設備で対応可能の場合)の説明図
【図17】本発明の実施例3(増設設備で対応可能の場合)の説明図
【図18】本発明の効果の説明図
【図19】本発明の効果の説明図
【図20】本発明の効果の説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態に係る回線集線設計装置について図面を参照して説明する。
【0044】
◆装置構成
図6は本発明の回線収容設計装置の実施の形態の一例を示すもので、本発明の回線収容設計装置100は、オペレータが入力装置201に入力した収容設計要求に応じて収容設計結果を出力装置202に出力する装置であり、具体的には、回線収容設計要求(配線点需要の発生)に対して当該回線(配線点)の収容先となる通信装置(PKG)や集線装置(TC/ACポート)を選定するものである。
【0045】
回線収容設計装置100は、詳細には、アクセスネットワークを構成する分岐機器(SP)、通信装置(PKG)、集線装置(TC/ACポート)等に関する設備情報を記憶する設備情報記憶部101と、収容設計対象から割り付ける設備への予約情報(サービス条件等)を記憶する装置媒体予約記憶部102と、入力装置201及び出力装置202とのインターフェイス103と、入力装置201から入力された加入者回線の回線の収容設計要求を受け付ける入力処理部104と、入力処理部104で受け付けた回線収容設計要求に基づき、設備情報記憶部101から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルート(アクセスネットワークにおけるSPからTCポートまで)を検索するとともに当該対象ルート中のTCポート及びPKGを取得するルート検索部105と、ルート検索部105で検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付部106と、TC収容割付部106で決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付部107と、設備情報記憶部101から前記回線収容設計要求に対応する回線収容候補の設備情報を取得できない場合に分岐機器、通信装置、集線装置等の各設備を増設して収容設計を行う増設部108と、TC収容割付部106及びPKG収容割付部107にて決定された収容予定TCポート及び収容予定PKGを示す情報からなる回線収容設計結果、あるいは増設部108にて設計された増設SP、増設TCポート及び増設PKGを示す情報からなる回線収容設計結果を所定の出力形式で出力装置202に出力する出力処理部209と、各部を制御する制御部210とを備えている。
【0046】
なお、回線収容設計装置100は、コンピュータにプログラムをインストールすることにより実現されていても良く、またその実装形態は任意である。例えば、回線収容設計装置100の各部を1つのコンピュータに実装しても、複数のコンピュータに分散実装しても良く、また前記入力装置及び出力装置と同一のコンピュータ上に実装しても良い。
【0047】
以下、ルート検索部105、TC収容割付部106、PKG収容割付部107及び増設部108における回線収容設計処理について詳細に説明する。
【0048】
◆回線収容設計処理(既設設備対応)
図7は回線収容設計処理の一例、ここでは既設設備で対応可能な場合の処理の流れを示すものである。
【0049】
まず、ルート検索部105は、ある配線点に需要が発生した場合、需要が発生した配線点の中にSP(分岐機器)があるかないかを確認する(s101)。その結果、既設のSP(分岐機器)が無ければ(s102;無)、既存設備での対応は不可と判断し、新規設備対応とする。一方、既設のSP(分岐機器)が有れば(s102;有)、SP(分岐機器)からTCポートまでのアクセスルートは構築済みなので、該当する既設SPを取得し(s103)、当該SP(分岐機器)からTCポートのルートを検索する(s104)。前記手順において検索したルート内にあるPKG/TCポートを取得し(s105)、各設備でのユークリッド値(後述する)を算出し(s106)、これを全ての既設SPについて繰り返す(s107)。この時、TCポートが許容ユーザ数の限界、許容帯域の限界であればユークリッド値の算出は不可になる。
【0050】
次に、TC収容割付部106は、前記検索した構築済みのアクセスルート内のTCポートに収容可能TCポートがあるかないかを確認する(s108)。その結果、収容可能TCポートがない、即ち全てのTCポートのユークリッド値が算出不可であれば(s109;無)、既存設備での対応は不可となり、新規設備対応となる。一方、収容可能TCポートがある、即ちTCポートのユークリッド値が算出可能であれば(s109;有)、該当するTCポートを全て取得し(s110)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いTCポートを選択し(s111)、収容予定TCポートを決定する(s112)。
【0051】
次に、PKG収容割付部107は、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)の、前記ルート検索部105で取得したPKGを取得し(s113)、その中に収容可能PKGがあるかないかを判定し、収容可能PKGがある、即ちPKGのユークリッド値が算出可能であれば(s114;有)、該当するPKGを全て取得し(s115)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いPKGを選択し(s116)、収容予定PKGを決定し(s117)、収容設計を完了する。
【0052】
一方、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)のPKGに収容可能PKGがない、即ち全てのPKGのユークリッド値が算出不可であれば(s114;無)、既存設備での対応は不可となり、前記ルート検索部105で取得したPKG以外のTCポート配下の未使用PKGの有無を確認する(s118)。未使用PKGがある場合(s119;有)は、収容予定PKGを決定し(s117)、収容設計を完了する。
【0053】
また、未使用PKGがない場合(s119;無)、ルート検索部105で取得したTCポートの中から予め設計者が定めた次に優先度が高いTCポート有無を確認する(s120)。ここで、次候補TCポートがない場合(s121;無)は、既存設備での対応は不可となり、新規設備対応となる。また、次候補TCポートがある場合(s121;有)は、最初に選択したTCポート候補は候補外として(s122)、再度、高優先度TCポート選択する手順を実施する。
【0054】
◆回線収容設計処理(新規設備対応)
図8は回線収容設計処理の他の例、ここでは新設設備で対応可能な場合の処理の流れを示すものである。
【0055】
既設設備で収容出来なかった場合、収容不可とされた設備以外の設備、即ち新規設備(TCポート/PKG)で収容可否を判断して収容設計を行う必要がある。
【0056】
ルート検索部105は、上記前提の上でTCポートを取得し(s201)、当該TCポート配下のPKGを取得し(s202)、さらにTCポート/PKGでのユークリッド値を算出し(s203)、これを全ての設備について繰り返す(s204)。この時、TCポート/PKGが許容ユーザ数の限界、許容帯域の限界であればユークリッド値の算出は不可になる。
【0057】
次に、TC収容割付部106は、取得したTCポートに収容可能TCポートがあるかないかを確認する(s205)。その結果、収容可能TCポートがない、即ち全てのTCポートのユークリッド値が算出不可であれば(s206;無)、新規設備での対応は不可となり、増設設備対応となる。一方、収容可能TCポートがある、即ちTCポートのユークリッド値が算出可能であれば(s206;有)、新規設備での対応は可能となり、該当するTCポートを全て取得し(s207)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いTCポートを選択し(s208)、収容予定TCポートを決定する(s209)。
【0058】
次に、PKG収容割付部107は、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)の、前記ルート検索部105で取得したPKGを取得し(s210)、その中に収容可能PKGがあるかないかを判定し、収容可能PKGがある、即ちPKGのユークリッド値が算出可能であれば(s211;有)、該当するPKGを全て取得し(s212)、その中から予め設計者が定めた優先度が高いPKGを選択し(s213)、収容予定PKGを決定し(s214)、収容設計を完了する。
【0059】
一方、前記決定した収容予定TCポート配下(接続先)のPKGに収容可能PKGがない、即ち全てのPKGのユークリッド値が算出不可であれば(s211;無)、新設設備での対応は不可となり、前記ルート検索部105で取得したPKG以外のTCポート配下の未使用PKGの有無を確認する(s215)。未使用PKGがある場合(s216;有)は、収容予定PKGを決定し(s214)、収容設計を完了する。
【0060】
また、未使用PKGがない場合(s216;無)、ルート検索部105で取得したTCポートの中から予め設計者が定めた次に優先度が高いTCポート有無を確認する(s217)。ここで、次候補TCポートがない場合(s218;無)は、新設設備での対応は不可となり、増設設備対応となる。また、次候補TCポートがある場合(s218;有)は、最初に選択したTCポート候補は候補外として(s219)、再度、高優先度TCポート選択する手順を実施する。
【0061】
◆回線収容設計処理(増設設備対応)
図9は回線収容設計処理の他の例、ここでは現状敷設済みの設備では収容出来ないので新たな増設設備で収容する場合の処理の流れを示すものである。
【0062】
増設部108は、装置仕様・増設ポリシーを確認、即ちTCカード1枚当たりの収容可能ACカード数aを取得し(s301)、ACカード1枚当たりのACポート数bを取得し(s302)、TCカード1枚当たりのTCポート数cを取得し(s303)、1TCポート当たりのACポート数d(=(a*b)/c)を算出し(s304)、TCポート増設時のポート数eを取得(s305)した上で、PKG/AC/TC増設設備を決定して敷設する(s306)。増設工事が全て終了した結果、増設TC/AC/PKGの中から若番の設備を採取し(s307)、SPを新設し、SP〜PKGを接続した(s308)上で収容設計を完了する。
【0063】
◆ユークリッド値算出処理(収容候補の理想線・点抽出手順)
図10はユークリッド値算出処理のうち、選定候補の理想線・点抽出手順の流れを示すものである。
【0064】
本処理では、各PKGの理想線・点抽出のために、PKG毎の最大ONU数、最大帯域、現状のONU数を取得する(s401〜s404)。次に、PKG毎の理想線・理想点(ベクトル値)を計算する(s405,s406)(理想点の計算方法は図中の(1)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s407)、各収容候補の理想線・理想点を抽出する(s408)。
【0065】
◆ユークリッド値算出処理(収容候補の現状点・予想点抽出手順)
図11はユークリッド値算出処理のうち、収容候補の現状点・予想点抽出手順の流れを示すものである。
【0066】
本処理では、各PKGの現状点・予想点のために、PKG毎の最低保証帯域の合計値、平均使用帯域の合計値、収容したいサービスの最低保証帯域、PKGの1ONU当たりの平均使用帯域情報を取得する(s501〜s505)。次に、PKG毎の現状点・予想点(ベクトル値)を計算する(s506,s507)(現状点からの予想点の計算方法は図中の(2)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s508)、各収容候補の現状点・予想点を抽出する(s509)。
【0067】
◆ユークリッド値算出処理(ユークリッド値算出手順)
図12はユークリッド値算出処理のうち、ユークリッド値算出手順の流れを示すものである。
【0068】
本処理では、各収容候補の理想線・理想点及び現状点・予想点を取得する(s601〜s503)。次に、各PKGの理想点・予想点から理想点と予想点との間の距離(ユークリッド値)を算出する(s604)(理想点と予想点からユークリッド値算出の計算方法は図中の(3)にて示す)。これらを全ての収容候補について繰り返し(s605)、各収容候補のユークリッド値を抽出する(s606)。
【0069】
以下、具体的なユークリッド値の算出方法について、図13、図14を用いて説明する。
【0070】
◆具体的なユークリッド値算出方法の説明(設備構成の説明)
図13は設備状態の初期値、サービス条件及び需要発生パターンの一例を表すものである。
【0071】
まず、設備状態の初期値としては、図13に示すように物理情報及び論理情報がある。物理情報としてGE−OLT1内の装置媒体であるPKG1〜4を用意する。PKG内のONU数は初期値であるため、最大値である32個が全て使用されていない状態である。また、論理情報として各PKG毎に設定されるサービス種別、最低保証帯域の合計値及び平均使用帯域の合計値がある。上記ONU数、サービス種別、最低保証帯域合計は選定されることによって登録(設定)される情報である。また、平均使用帯域合計は選定され、実際にユーザに使用されることによって変動される情報である。また、説明を簡便にするため、外部情報は本例では割愛することとする。
【0072】
次に、設備状態の初期値へ選定するサービス条件について図13を用いて説明する。オペレータが選定するサービスをAサービスとし、Aサービスを選定する場合は1つのONUにて選定することとする。また、Aサービス自体の最低保証帯域は60Mとし、Aサービス選定をする場合の目安情報として1つのONUの平均使用帯域は90Mとする。
【0073】
なお、説明の簡便さを考慮して上記設定値としたが、以下のようなケースでも本発明は適応可能である。即ち、上記ではAサービスを選定する場合は1つのONUにて選定することとしたが、Bサービスを選定する場合は複数のONUにて選定することとすることも可能である。また、上記ではAサービス自体を使用する場合の1ONUの平均使用帯域は90Mと固定的にしたが、選定するサービスの平均使用帯域を該当する装置媒体内での平均使用帯域や、通信局という地域性を加味した通信局単位での平均使用帯域と考えることも可能である。
【0074】
次に、設備状態の初期値と選定するサービス条件を、どのような需要発生パターンにて選定するかを図13に示した。即ち、ここでは合計32個の需要を発生させ、各需要番号の若番順から選定を開始するものとした。また、各需要の「サービス開通後平均使用帯域」とは、選定時には平均使用帯域は分かり得ない情報であるため、前記1ONUの平均使用帯域(90M)として選定する。その後、開通後のサービス平均使用帯域を選定された平均使用帯域に加算する。
【0075】
◆具体的なユークリッド値算出方法の説明(算出式の説明)
図14は図13に示した需要番号1〜3の需要が発生した際の設備状態、並びに各算出値を示すものである。
【0076】
○需要番号1発生時の選定
需要番号1の需要発生時の選定は、初期値の設備状態での選定のため、全てのPKGに対してONU数、最低保証帯域合計、平均使用帯域合計ともに0である。その前提で、理想線上の理想点算出と予想点算出を算出する。
【0077】
まず、ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域の最大値はそれぞれ32、1000M、1000Mとなり、各パラメータ値の最大値と最小値(各値0)を結ぶ対角線が理想線となる。また、理想線上の理想点算出のためにはONU数としてはPKG1の現状0収容に需要番号1が追加される場合は、現状のONU数(x=0)に対して需要番号1ユーザが使用するONU数を加算し、「1」が計算される。また、理想線上の理想点での最低保証帯域合計は、PKG1の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「1」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=1、最低保証帯域合計=31M、平均使用帯域合計=31Mと抽出することが可能となる。
【0078】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0079】
【数1】
【0080】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=0)に対して需要番号1ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=0)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=0)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の予想点の抽出は、ONU数=1、最低保証帯域合計=60M、平均使用帯域合計=90Mと抽出することが可能となる。
【0081】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計、
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0082】
【数2】
【0083】
最後に、ユークリッド値は、
【0084】
【数3】
【0085】
として算出することが可能となる。
【0086】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。さらに、PKG2〜4もPKG1と同じONU数、最低保証帯域合計、平均使用帯域合計であることからPKG1と同様な計算方法で算出できる。よって、PKG1〜4でのユークリッド値は同等となる。同等の値である場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【0087】
○需要番号2発生時の選定
需要番号1をPKG1に選定することで、PKG1の現状状態には、サービス条件からPKG1にONU数「1」、最低保証帯域合計「60M」を設定する。平均使用帯域合計にはサービス開通後の需要番号1ユーザが実際に使用した平均使用帯域値である「60M」を登録する。
【0088】
次の需要である需要番号2を選定する。PKG2〜4のユークリッド値算出方法については、需要番号1と2のサービス条件である、選定サービス「Aサービス」、選定したいサービスの最低保証帯域「60M」及び1ONUの平均使用帯「90M」が同じであることから、需要発生1の選定時と同様の説明が可能である。PKG1のユークリッド値算出方法については、現状状態の使用状態に加えて理想点と予想点を算出する。まず、理想点は現状のONU数(x=1)に対して需要番号2ユーザが使用するONU数を加算し、「2」が計算される。また、理想点での最低保証帯域合計は、PKG1の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「2」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=62M、平均使用帯域合計=62Mと抽出することが可能となる。
【0089】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0090】
【数4】
【0091】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=1)に対して需要番号2ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=60M)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=60M)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の処理出予想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=120M、平均使用帯域合計=150Mと抽出することが可能となる。
【0092】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0093】
【数5】
【0094】
最後に、ユークリッド値は、
【0095】
【数6】
【0096】
として算出することが可能となる。
【0097】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。PKG1「149」、PKG2〜4「84」となることからPKG2〜4が最小距離となる。PKG2〜4でのユークリッド値が同等となる場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【0098】
○需要番号3発生時の選定
需要番号2をPKG2に選定することで、PKG2の現状状態には、サービス条件からPKG2にONU数「1」、最低保証帯域合計「60M」を設定する。平均使用帯域合計にはサービス開通後の需要番号2ユーザが実際に使用した平均使用帯域値である「150M」を登録する。
【0099】
次の需要である需要番号3を選定する。PKG1,3,4のユークリッド値算出方法については、需要番号2と3のサービス条件である、選定サービス「Aサービス」、選定したいサービスの最低保証帯域「60M」、1ONUの平均使用帯「90M」が同じであることから需要発生2,3の選定時と同様の説明が可能である。PKG2のユークリッド値算出方法については、現状状態の使用状態に加えて理想点と予想点を算出する。まず、理想点は現状のONU数(x=1)に対して需要番号3ユーザが使用するONU数を加算し、「2」が計算される。また、理想点での最低保証帯域合計は、PKG2の最大容量(Ymax=1000M)を最大ONU数(Xmax=32個)で割った1ONUに対して割り当てられた帯域を前記ONU数「2」で掛けることで得られる。また、平均使用帯域合計も前記最低保証帯域合計と同じ方法で算出することが可能である。以上にて理想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=62M、平均使用帯域合計=62Mと抽出することが可能となる。
【0100】
x=現状のONU数、Xmax=最大ONU数、Ymax=最大帯域
【0101】
【数7】
【0102】
また、予想点の抽出方法を説明する。現状のONU数(x=1)に対して需要番号3ユーザが使用するONU数「1」を加算する。また、予想点での最低保証帯域合計は、現状の最低保証帯域合計(z=60M)に選定したいサービス条件によって設定されているサービス最低保証帯域(z’=60M)を加算することによってことで得られる。また、予想点での平均使用帯域合計は、現状の平均使用帯域合計(y=150M)に選定したいサービスの目安情報である1ONUの平均使用帯域(y’=90M)を加算することによってことで得られる。以上の予想点の抽出は、ONU数=2、最低保証帯域合計=120M、平均使用帯域合計=240Mと抽出することが可能となる。
【0103】
x=現状のONU数、y=現状の平均使用帯域合計
z=現状の最低保証帯域合計
z’=選定したいサービス最低保証帯域合計
y’=1ONUの平均使用帯域
【0104】
【数8】
【0105】
最後に、ユークリッド値は、
【0106】
【数9】
【0107】
として算出することが可能となる。
【0108】
以上のようにPKG1での理想点と予想点を算出し、ユークリッド値を算出することが出来た。PKG1「149」、PKG2「215」、PKG3,4「84」となることからPKG3,4が最小距離となる。PKG3,4でのユークリッド値が同等となる場合は、管理性を優先し、同等のユークリッド値のPKG番号の中から若番から選定する。しかし、同等の値である場合は選定者の意思で選定PKGを決めることが可能であり、若番以外でも外部情報である通信局内の分岐機器の使用端子数から選定することも可能である。
【実施例1】
【0109】
図15は本発明の実施例1、ここで既存設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0110】
配線点1に需要が発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1,2があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1及び分岐機器2〜TCポート2を取得でき、それぞれのルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。
【0111】
TCポート1とTCポート2のユークリッド値を比較すると、TCポート1「185」、TCポート2「74」である。この時、設計者が優先するTCポートのユークリッド値が最小優先であればTCポート2が収容予定TCポートとして決定される。次にTCポート2配下のPKG3のユークリッド値は「74」であり、1つしかないため、必然的にPKG3が収容予定PKGとして決定される。
【0112】
その結果、分岐機器2〜TCポート2が既存設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器2〜TCポート2にONU3を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【実施例2】
【0113】
図16は本発明の実施例2、ここで新設設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0114】
配線点1に需要発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1を取得でき、当該ルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。その結果、TCポート1のONU数は最大値「32」となっているため、ユークリッド値は算出できず、よってTCポート1には収容出来ないことが分かり、新規設備での対応となる。
【0115】
新規設備での対応として、TCポート1以外のTCポート及び配下のPKGを取得し、PKG/TCポートのユークリッド値を算出する。その結果、TCポート2/PKG3を取得し、TCポート2/PKG3のユークリッド値を比較すると、TCポート2「20」/PKG3「20」となる。次にTCポート2配下のPKG3のユークリッド値は1つしかないため、必然的にTCポート2/PKG3が収容予定TCポート/PKGとして決定される。
【0116】
その結果、分岐機器2〜TCポート2が新規設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器2〜TCポート2にONU9を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【実施例3】
【0117】
図17は本発明の実施例3、ここで増設設備で対応可能の場合の例を示すものである。
【0118】
配線点1に需要発生したため、配線点1の既存分岐機器の有無をチェックしたところ、分岐機器1,2があることが確認された。そこで、分岐機器〜TCポートのルートを検索した結果、分岐機器1〜TCポート1及び分岐機器2〜TCポート2を取得でき、それぞれのルートのPKG/TCポートのユークリッド値を算出した。その結果、TCポート1はONU数は最大値「32」, TCポート2は帯域が最大帯域「1000M」となっているため、ユークリッド値は算出できず、TCポート1,2には収容出来ないことが分かり、新設設備での対応となる。
【0119】
新規設備での対応として、TCポート1,2以外のTCポート及び配下のPKGを取得した結果、収容可能なTCポートは無いことが分かり、増設設備での対応となる。増設設備での対応として、TCポート3/PKG5は増設設備のため、必然的にTCポート3/PKG5が収容予定TCポート/PKGとして決定される。
【0120】
その結果、分岐機器3〜TCポート3が増設設備対応の場合の収容ルートとなり、分岐機器3〜TCポート3にONU19を収容した状態が収容設計時の状態になる。
【0121】
◆本発明によって生じる効果
シミュレーションから本発明の効果(他の収容設計方法との評価)を説明する。
【0122】
<シミュレーション条件>
図18は本シミュレーションの条件、ここでは設備状態の初期構成、サービス条件及び需要発生パターンの一例を表すものである。
【0123】
[設備状態の初期構成]
シミュレーションの設備状態の初期構成は、シミュレーション結果を説明するために配線点は1つに設定する。また、PKGとTCポートは2:1の構成と設定する。
【0124】
[サービス条件]
シミュレーションのサービス条件は、シミュレーション結果を説明するために、サービス種別は1種類で、選定したいサービスの最低保証帯域(z’)は30M、1ONUの平均使用帯(y’)は50Mと設定する。
【0125】
[需要発生パターン]
シミュレーションの需要発生パターンは、Aサービス新規需要は40回、Aサービス廃止需要は10回として、10回の需要のうち、5回目、10回目が廃止需要と設定する。
【0126】
以上の条件で、(a)既存の若番から収容設計方法と、(b)本発明の収容設計方法とを比較する。
【0127】
<シミュレーション結果>
図19は前記シミュレーションの結果を表すもので、(a)既存の若番から収容設計方法:収容出来る需要は設備の若番から詰めて収容する方法、(b)本発明の収容設計方法:ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域から収容する方法、をそれぞれ示す。
【0128】
(a)既存の若番から収容設計方法での収容結果
→収容出来る需要は設備の若番から詰めて収容する方法なので、TC1の収容帯域は最大となっている。
【0129】
(b)本発明の収容設計方法での収容結果
→ONU数、最低保証帯域、平均使用帯域から収容する方法なので、平準的に収容する結果となっている。
【0130】
図20に前記シミュレーションによる評価結果を示す。
【0131】
シミュレーションの結果から、両方の収容方法の残使用可能帯域を比較する。その結果、(a)既存の若番から収容設計方法と、(b)本発明の収容設計方法との最終的な残使用可能帯域の総数に差異はない。しかし、(a)は各TCポートの残使用可能帯域は偏りがあるが、(b)は各TCポートの残使用可能帯域は少ない。以上の結果から、本発明でアクセスネットワークでもサービス品質を考慮した効率的な制御が実現できる。
【符号の説明】
【0132】
1:加入者回線、2:通信装置、3:集線装置、4:上位回線、5:ルータ、5a:ルータポート、6:基幹回線、7:ACカード、7a:ACポート、8:TCカード、8a:TCポート、100:回線収容設計装置、101:設備情報記憶部、102:装置媒体予約記憶部、103:インターフェイス、104:入力処理部、105:ルート検索部、106:TC収容割付部、107:PKG収容割付部、108:増設部、109:出力処理部、110:制御部、201:入力装置、202:出力装置。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0133】
【特許文献1】特開2003−18623号公報
【特許文献2】特開2009−302611号公報
【非特許文献】
【0134】
【非特許文献1】”公共ブロードバンド移動通信システム 技術的条件の検討の方向性について”、[online]、総務省、[平成22年12月8日検索]、インターネット<URL:http://www.soumu.go.jp/main#content/000030503.pdf>
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加入者回線の配線点を構成する分岐機器と、分岐機器を介して加入者回線と接続され、加入者へサービスを提供する複数のPKGを具備する通信装置と、通信装置のPKGと1対1で接続されるACポート及び上位回線と1対1で接続されるTCポートを具備し、各TCポートに対し1以上のACポートを接続することで集線する集線装置とを少なくとも含むアクセスネットワークにおける、加入者回線の収容先を設計する装置であって、
前記アクセスネットワークを構成する分岐機器、通信装置及び集線装置の設備情報を記憶する設備情報記憶手段と、
入力された加入者回線の収容設計要求に基づき、設備情報記憶部から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中の集線装置のTCポート及び通信装置のPKGを取得するルート検索手段と、
前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付手段と、
前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付手段とを備えた
ことを特徴とする回線収容設計装置。
【請求項2】
TC収容割付手段及びPKG収容割付手段における最適な収容予定TCポート及び最適な収容予定PKGの決定は、
対象ルート中の収容可能TCポート及び収容可能PKGの現状の回線収容状態から理想点を求め、
対象ルート中の収容可能TCポート及び収容可能PKGの回線収容後の収容値である予想値を求め、
各対象ルートの理想点と予想点を比較し、予想点が理想点に最も近似するTCポート及びPKGをそれぞれ収容予定TCポート及び収容予定PKGとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の回線収容設計装置。
【請求項3】
前記理想点及び予想点は、設備情報に含まれるn個のパラメータにより表されるn次元空間における1点を示すベクトル値であり、理想点と予想点との間のユークリッド距離が最小となるTCポート及びPKGをそれぞれ収容予定TCポート及び収容予定PKGとして決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の回線収容設計装置。
【請求項4】
前記に加え、
前記回線収容設計要求に対応する回線収容候補の設備情報を取得できない場合に分岐機器、通信装置、集線装置等の各設備を増設して収容設計を行う増設手段を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回線収容設計装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれかに記載の回線収容設計装置の各手段として機能させるための回線収容設計プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
加入者回線の配線点を構成する分岐機器と、分岐機器を介して加入者回線と接続され、加入者へサービスを提供する複数のPKGを具備する通信装置と、通信装置のPKGと1対1で接続されるACポート及び上位回線と1対1で接続されるTCポートを具備し、各TCポートに対し1以上のACポートを接続することで集線する集線装置とを少なくとも含むアクセスネットワークにおける、加入者回線の収容先を設計する装置であって、
前記アクセスネットワークを構成する分岐機器、通信装置及び集線装置の設備情報を記憶する設備情報記憶手段と、
入力された加入者回線の収容設計要求に基づき、設備情報記憶部から回線収容候補の設備情報を取得し、回線収容設計すべき対象ルートを検索するとともに当該対象ルート中の集線装置のTCポート及び通信装置のPKGを取得するルート検索手段と、
前記検索された対象ルート中の収容可能TCポートから最適な収容予定TCポートを決定するTC収容割付手段と、
前記決定された収容予定TCポートに対応する収容可能PKGの中から最適な収容予定PKGを決定するPKG収容割付手段とを備えた
ことを特徴とする回線収容設計装置。
【請求項2】
TC収容割付手段及びPKG収容割付手段における最適な収容予定TCポート及び最適な収容予定PKGの決定は、
対象ルート中の収容可能TCポート及び収容可能PKGの現状の回線収容状態から理想点を求め、
対象ルート中の収容可能TCポート及び収容可能PKGの回線収容後の収容値である予想値を求め、
各対象ルートの理想点と予想点を比較し、予想点が理想点に最も近似するTCポート及びPKGをそれぞれ収容予定TCポート及び収容予定PKGとして決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の回線収容設計装置。
【請求項3】
前記理想点及び予想点は、設備情報に含まれるn個のパラメータにより表されるn次元空間における1点を示すベクトル値であり、理想点と予想点との間のユークリッド距離が最小となるTCポート及びPKGをそれぞれ収容予定TCポート及び収容予定PKGとして決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の回線収容設計装置。
【請求項4】
前記に加え、
前記回線収容設計要求に対応する回線収容候補の設備情報を取得できない場合に分岐機器、通信装置、集線装置等の各設備を増設して収容設計を行う増設手段を備えた
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の回線収容設計装置。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1乃至4のいずれかに記載の回線収容設計装置の各手段として機能させるための回線収容設計プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2012−142906(P2012−142906A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1342(P2011−1342)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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