説明

回胴式遊技機のリール制御回路およびそれを有する遊技機制御用チップ

【課題】リール制御をハードウェアにより実行する。
【解決手段】ステッピングモータ制御をレジスタ操作で実現する。ステッピングモータを制御する制御信号の数だけ励磁回路を有し、励磁回路は、メインチップのデータバスに接続されたレジスタ群と、源振入力と周波数設定レジスタの値により基本周波数を生成するクロック分周回路と、各レジスタのアドレスを決定するデコーダ回路と、クロック分周回路の出力により励磁出力のパターンを生成しステッピングモータの駆動回路に出力する励磁パターン生成回路と、位置センサからの信号とレジスタ設定値から励磁の更新毎にダウンカウントする相カウンタ回路と、相カウンタが1周する毎にダウンカウントする図柄カウンタ回路とを有し、相カウンタ回路及び図柄カウンタ回路のカウント値をCPUが読み出し可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回胴式遊技機の制御基板を制御するCPUを含む遊技機制御用チップ(メインチップ)の周辺回路としてハードウェア回路により構成され回胴式遊技機のリール制御の制御信号を出力する制御回路および前記チップ内に当該回路を有するICチップに関する。
【背景技術】
【0002】
回胴式遊技機では、コインを投入してスタートレバーを操作することによって、当選役の抽選が行われるとともに、ステッピングモータ(以下、単に「モータ」と略す。)が回転を始める。ストップボタンを押すと、回転しているモータを当選役に応じた図柄で停止させる。
【0003】
特許文献1には、回胴式遊技機の駆動モータを制御処理手段を設けてモータ制御を行う発明が開示されている。定期的に行われる遊技機の処理手段の1つとして、回胴駆動モータ制御処理手段を有し、この回胴駆動モータ制御処理手段では、回胴駆動モータを駆動する信号が生成されると共に、生成されたこの駆動信号が一定の時間間隔で回胴駆動モータ側に出力される。具体的には、定期的な処理期間内での処理が複数存在するときには、全ての処理が終了するまでのトータル処理時間が変動するが、このような場合でも、例えばタイマ割り込み処理内での回胴駆動モータに対する駆動信号の出力タイミングをほぼ一定にすることで、出力間隔が一定になる。これによってトータル処理時間の変動による駆動モータへの影響が回避され、回胴回転時の回転の安定性が図られる。
【0004】
特許文献2には、ベルトユニット内のサブCPUにより、回転図柄表示装置の図柄変動を実行する発明が開示されている。リーチパターンの内容を変更した新機種を作り出す場合、遊技機本体側のメインCPUのプログラムのみの変更と、回転図柄表示装置のベルト変更とで足りる図柄組合せ遊技機の図柄変動方法を実現する。 パチンコ台側にメインCPUを設け、ベルトユニット側にサブCPUを設ける。メインCPUからインターフェイスを介して、サブCPUのRAMへ図柄変動データコマンド列をダウンロードする。RAMに書き込まれた受信コマンドをROMのコマンド解釈実行部で読み出してモータ制御部を駆動し、対応するベルトのみを回転させて回転図柄表示装置の図柄変動を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−131416号公報
【特許文献2】特開H09−299566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のモータの制御は、従来においては、プログラムで実行している。時間を管理しながら、ステップ毎のモータ制御の信号を1ステップ毎に出力させている。たとえば、図柄は21種類、モータは504ステップである。モータによる制御の際、起動・停止制御、504ステップのうちのどのステップにいるか、21種類の図柄のうちのどの図柄なのかを、すべてプログラムで扱っている。
これらの制御は、回胴式遊技機という特性から必須なものである。特許文献1には、遊技機の状態(メインCPUの状態)によってモータの制御信号の出力間隔のばらつきがあり、脱調、回転の不安定性をもたらすことについての課題が提起されている。特許文献2には、サブCPUにより図柄変動を行う方法が提案されている。
本発明の発明者は、プログラムを書き込む記憶領域の容量が関連法規(法律・規則・命令・行政指導など)で制限されているという事情に鑑みると、プログラムによらずに、ハードウェア回路によるリール制御をすることで、本来のゲーム性のプログラムに割り振ることのできるプログラムの容量が増し、先行技術の指摘する課題もあわせて解決できると考えた。
本発明の目的は、回胴式遊技機のリール制御回路をハードウェア回路により構成した遊技機制御用チップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回胴式遊技機のステッピングモータ制御をレジスタ操作で実現することを特徴とする。従来ソフトウェア処理で実現していたものを、ハードウェアによる処理で実現するものである。
【0008】
本発明をメインチップの外に設けた回路として実現すると、回胴式遊技機の制御基板を制御するCPUを含む遊技機制御用のメインチップの周辺回路としてハードウェア回路により構成され回胴式遊技機のリールを回転させるステッピングモータを制御する制御信号を出力するリール制御回路であって、前記ステッピングモータを制御するのに必要な制御信号の数だけ励磁回路を有し、当該励磁回路の一つ一つは、前記ステッピングモータを励磁する基本周波数を設定するレジスタである周波数設定レジスタと、手動で動作させる場合の励磁パターンを入力するレジスタであるデータレジスタと、起動の自動/手動、励磁パターン、励磁基本周波数の分周を設定するレジスタである起動レジスタと、停止の自動/手動、自動停止時の停止数を設定するレジスタである停止レジスタと、前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサとのズレを調整するためのレジスタであるオフセット設定レジスタと、前記リールの1図柄のコマ数を設定するレジスタである相カウントレジスタと、前記リールの1周の図柄数を設定するレジスタである図柄カウントレジスタとを有し、各レジスタが前記メインチップの外部バスのデータバスに接続されたレジスタ群と、源振入力と前記周波数設定レジスタに設定された値とに基づいて基本周波数を生成する回路であるクロック分周回路と、前記メインチップからのチップセレクト信号、ストローブ信号、アドレスバスからの信号に基づいて前記レジスタ群の各レジスタのアドレスを決定する回路であるデコーダ回路と、前記データレジスタ、前記起動レジスタ、前記停止レジスタで設定された値と前記クロック分周回路の出力とに基づいて、励磁出力のパターンを生成し、前記ステッピングモータの駆動回路に出力する回路である励磁パターン生成回路と、前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサからの信号と、前記オフセット設定レジスタ、前記相カウントレジスタで設定された値から、励磁の更新毎にダウンカウントするカウンタ回路である相カウンタ回路と、該相カウンタ回路の出力信号と、前記図柄カウントレジスタに設定された値から、前記相カウンタが1周する毎にダウンカウントするカウンタ回路である図柄カウンタ回路と、を有し、励磁が更新される毎にダウンカウントする前記相カウンタ回路のカウント値及び該相カウンタが1周する毎にダウンカウントする前記図柄カウンタ回路のカウント値を前記CPUが前記外部バスを通じて読み出し可能である。
【0009】
本発明をメインチップ内の回路として設けた場合には、回胴式遊技機の制御基板を制御するCPUを含む遊技機制御用のメインチップの周辺回路としてハードウェア回路により構成され回胴式遊技機のリールを回転させるステッピングモータを制御する制御信号を出力するリール制御回路を前記メインチップ内に有する遊技機制御用チップであって、前記リール制御回路は、前記ステッピングモータを制御するのに必要な制御信号の数だけ励磁回路を有し、当該励磁回路の一つ一つは、前記ステッピングモータを励磁する基本周波数を設定するレジスタである周波数設定レジスタと、手動で動作させる場合の励磁パターンを入力するレジスタであるデータレジスタと、起動の自動/手動、励磁パターン、励磁基本周波数の分周を設定するレジスタである起動レジスタと、停止の自動/手動、自動停止時の停止数を設定するレジスタである停止レジスタと、前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサとのズレを調整するためのレジスタであるオフセット設定レジスタと、前記リールの1図柄のコマ数を設定するレジスタである相カウントレジスタと、前記リールの1周の図柄数を設定するレジスタである図柄カウントレジスタとを有し、各レジスタが前記メインチップの内部バスのデータバスに接続されたレジスタ群と、源振入力と前記周波数設定レジスタに設定された値とに基づいて基本周波数を生成する回路であるクロック分周回路と、前記CPUからの信号に基づいて前記レジスタ群の各レジスタのアドレスを決定する回路であるデコーダ回路と、前記データレジスタ、前記起動レジスタ、前記停止レジスタで設定された値と前記クロック分周回路の出力とに基づいて、励磁出力のパターンを生成し、前記ステッピングモータの駆動回路に出力する回路である励磁パターン生成回路と、前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサからの信号と、前記オフセット設定レジスタ、前記相カウントレジスタで設定された値から、励磁の更新毎にダウンカウントするカウンタ回路である相カウンタ回路と、該相カウンタ回路の出力信号と、前記図柄カウントレジスタに設定された値から、前記相カウンタが1周する毎にダウンカウントするカウンタ回路である図柄カウンタ回路と、を有し、励磁が更新される毎にダウンカウントする前記相カウンタ回路のカウント値及び該相カウンタが1周する毎にダウンカウントする前記図柄カウンタ回路のカウント値を前記CPUが前記内部バスを通じて読み出し可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の遊技機制御用チップによれば、励磁パターン、励磁の切替時間を設定して、自動的に起動・回転することが可能になる。
回転中は、回胴式遊技機の制御に必要な、図柄のインデックスや相のカウンタを自動的に更新させ、どの位置にモータがあるかを把握可能になる。
停止制御(ストップボタン、操作時)には、どの位置に停止させるかの計算から、何ステップ後に停止させるかを設定することも可能である。
割り込み処理などのCPUの処理にかかる時間の影響を受けないので、モータの脱調防止の効果が期待できる。
ソフトウェアの処理を削減することにより、本来のゲーム性を実現するためのプログラムに、限りあるプログラムの容量を、より効率的に使用することが可能となる。
遊技機メーカの多様なゲーム性の追求への一助となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、リール制御回路のブロック図である。
【図2】図2は、リール励磁パターンを示すタイミングチャートである。図2(a)は、1−2相励磁パターンである。図2(b)は、1相励磁パターンである。図2(3)は、2相励磁パターンである。
【図3】図3は、リール回転中の相カウンタ及び図柄カウンタの動作を示すタイミングチャートである。
【図4】図4は、オフセットを3とセットした際の、リール回転中の相カウンタ及び図柄カウンタの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】図5は、リール停止処理の際のリール停止タイマの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】図6は、遊技機制御用チップ(メインチップ)の一般的なハードウェア構成を示す内部ブロック図である。
【図7】図7は、リール制御回路と遊技機制御用チップ、リール、ステッピングモータ、駆動回路との関係を描いたブロック図である。
【図8】図8は、リール制御回路を遊技機制御用チップ内に内蔵した場合の、リール、ステッピングモータ、駆動回路との関係を描いた図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る遊技機制御用チップの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図6は、遊技機制御用チップ(メインチップ)10の一般的なハードウェア構成を示す内部ブロック図である。CPU20は、Z80命令互換のCPUコアを搭載している。内蔵ROM21は、その容量が関連法規で制限されているROMであり、ユーザプログラム(遊技機メーカが作成したプログラム)を格納している。内蔵RAM22は、ユーザプログラムのワークエリアとして使用されるRAMである。CPU20のバス25には、内蔵ROM21、内蔵RAM22、及び以下に述べる遊技機制御用チップ10内に設けられたいくつかの回路がつながる。クロック回路31は、CLK端子に入力されるクロックを2分周し、内部システムクロックとして各回路に供給するとともに、このクロックをCLKO端子より出力する回路である。タイマ回路34は、ザイログ社のZ80−CTC互換のタイマ回路である。アドレスデコード回路35は、ユーザプログラムの外部デバイス用のデコード回路であり、チップセレクト信号(XCS)を出力する。リセット/割込みコントローラ32は、各種リセットと、外部からの割込み要求と内蔵タイマ回路(CTC)34からの割込み要求を制御する回路である。指定エリア外走行禁止(IAT)回路33は、ユーザプログラムが指定エリア内で正しく実行されているかどうかを監視する回路であり、指定エリア外でユーザプログラムが実行されると、IAT信号を発生し、それによりユーザリセットが発生するものである。外部バスインタフェース30は、アドレスバス、データバス、及び各制御信号の方向制御や駆動能力を強化するバスインタフェース回路である。
【0014】
図6で、A0−A15は、16ビットアドレスバスであり、メモリやI/Oデバイスとのデータ送受信のためのアドレスを指定する。D0−D7は、8ビットデータ入出力バスであり、メモリやI/Oデバイスとのデータ送受信を行う。XM1は、マシンサイクル1を示す出力端子である。XMREQは、メモリ空間へのリクエスト信号出力端子である。XIORQは、I/O空間へのリクエスト信号出力端子である。XRDは、リードストローブ出力端子である。XWRは、ライトストローブ出力端子である。XCSは、ユーザプログラムの外部デバイスへのチップセレクト出力端子である。XINTは、マスカブル割込み要求入力端子である。XNMIは、ノンマスカブル割込み要求入力端子である。XURSTは、ユーザリセット入力端子であり、この端子にロウレベルを入力するとユーザリセットが発生し、CPU20、タイマ回路34、リセット/割込みコントローラ32が初期化され、CPUはリセットアドレスからユーザプログラムを再実行する。XSRSTは、システムリセット入力端子であり、この端子にロウレベルを入力すると、システムリセットが発生し、内部のすべての回路が初期化される。XRSTO端子は、ユーザリセットまたはシステムリセットが働くときにロウレベルが出力され、外部デバイス用のリセット出力端子である。VDDは正電源端子を意味する。VBBは内蔵RAMのバックアップ用電源端子を意味する。VSS1、VSS2はグランド電位端子を意味する。
【0015】
図1は、リール制御回路のブロック図である。ここでは、信号の入出力のわかりやすさを優先させ、図6の遊技機制御用チップ(メインチップ)の外に設けられた回路として描いてある。遊技機制御用チップ10内のいくつかの周辺回路(30から35まで)と同様にメインチップ内に設けることも可能である。リール制御回路は図2に示すパルス信号を生成してモータ(の駆動回路)に送る回路である。
【0016】
リール制御回路40は、同様の回路である3つの回路、すなわちリール1制御回路41、リール2制御回路42、リール3制御回路43励磁回路44の3つの回路からなっている。ここでは、ユニポーラ型の二相ステッピングモータの固定極を通常A相、B相、Aバー相、Bバー相と呼ぶところを、表記の都合上、1相、2相、3相、4相と呼ぶことにする。
【0017】
リール制御回路40を構成する5つの回路について説明する。クロック分周回路51は、源振入力から基本周波数を生成する回路である。デコーダ回路55は、各レジスタのアドレスを決定する回路である。励磁パターン生成回路56は、各レジスタで設定された値に基づいて、励磁出力のパターンを生成する回路である。相カウンタ回路57は、あらかじめ設定された値から、励磁の更新毎にダウンカウントするカウンタ回路である。図柄カウンタ回路58は、あらかじめ設定された値から、相カウンタが1周する毎にダウンカウントするカウンタ回路である。
【0018】
次に、リール制御回路40の中に設けられた7つのレジスタについて説明する。周波数設定レジスタ61は、ステッピングモータを励磁する、基本周波数を設定するレジスタである。データレジスタ62は、手動で動作させる場合の、励磁パターンを入力するレジスタである。起動レジスタ63は、起動の自動/手動、励磁パターン、励磁基本周波数の分周を設定するレジスタである。停止レジスタ64は、停止の自動/手動、自動停止時の停止数を設定するレジスタである。オフセット設定レジスタ65は、位置センサとのズレを調整するためのレジスタである。相カウントレジスタ66は、前記リールの1図柄のコマ数を設定するレジスタである。励磁が更新される毎にダウンカウントする相カウンタ回路のカウント値を読み出しすることが可能である。図柄カウントレジスタ67は、前記リールの1周の図柄数を設定するレジスタである。相カウンタが1周する毎にダウンカウントする図柄カウンタ回路のカウント値を読み出しが可能である。
【0019】
励磁パターン(励磁シーケンス)は、図2(a)に示す1−2相励磁パターン、図2(b)に示す1相励磁パターン、図2(c)に示す2相励磁パターンの三種類があり、起動レジスタ63により設定がなされる。
【0020】
図2(a)に示す1−2相励磁パターンは、時間1において1相(一つの相)のみを励磁し、時間2において、1相と2相との二つの相を励磁する。時間3において2相(一つの相)のみを励磁し、時間4において、2相と3相との二つの相を例示する。という具合に、奇数時間においては、一つの相のみを励磁し、偶数時間においては二つの相を励磁するという時間1から時間8までのシーケンスを繰り返すものである。1−2相励磁は、動きがスムーズである、それなりのトルクが得られる、0.5コマずつ動く、という特徴を有している。
【0021】
図2(b)に示す1相励磁パターンは、時間1において2相(一つの相のみ)を励磁し、時間2において3相(一つの相のみ)を励磁し、時間3において4相(一つの相のみ)を励磁し、時間4において1相(一つの相のみ)を励磁する。という励磁パターンの繰り返しである。1相励磁ではトルクがとれない。
【0022】
図2(c)に示す2相励磁パターンは、時間1において1相と2相(二つの相)、時間2において2相と3相(二つの相)、時間3において3相と4相。という具合に、常にいずれかの二つの相を励磁するものである。トルクがとれるという特徴がある。
【0023】
励磁パターン生成回路56が、1相、2相、3相、4相それぞれの出力パターンを生成し、ステッピングモータの固定極に(必要な駆動回路を経て)与えられる。それによりステッピングモータが起動し、回転することによって回胴式遊技機のリールが回転する。
【0024】
図1で、相カウンタ回路57および図柄カウンタ回路58に位置センサからの信号が入力されている。位置センサは、ステッピングモータの1周を検知するためのセンサであり、たとえば発光素子と受光素子とを向かい合わせたその間を遮光板を通過させ、当該遮光板は、ステッピングモータの一周するのにあわせてそれらの二つの素子の間を通るように構成される。
【0025】
図1のリセット信号は、図6のXRSTOが用いられ、ユーザリセットまたはシステムリセットが働くときに、同様に励磁パターン生成回路56をも初期化する信号である。図1のクロック分周回路51への入力信号である源振入力は、図6のクロック回路の出力が用いられる。図1のD0−D7、A0−A4、XRD、XWR、XCSは、図6のそれらと同一である。
【0026】
リールを回転させるために、プログラムの要求する「モータ励磁の基本周波数」、「手動で動作させる場合の励磁パターン」、「起動が自動か手動かの区別/起動の際の励磁パターン/励磁基本周波数の分周」、「停止が自動か手動かの区別/自動停止時の停止数」をそれぞれ周波数設定レジスタ61、データレジスタ62、起動レジスタ63、停止レジスタ64に書込む。遊技機のプログラムの動作に従い、ストローブ信号、アドレスバス、データバスを用いたCPU20とリール制御回路40とのやりとりにしたがって、リール制御回路内のレジスタの値は必要に応じて書き換えられる。クロック分周回路51は、周波数設定レジスタ61に書き込まれた値を読み込んで、源振入力信号に基づいて基本周波数を生成して、その信号を励磁パターン生成回路56に入力する。励磁パターン生成回路56は、データレジスタ62、起動レジスタ63、停止レジスタ64の値に基づいて、モータを励磁すべきタイミングを得て、励磁出力のパターンを生成し、図2に示す励磁パターンでステッピングモータ側へ信号を送るのでステッピングモータは回り始める。また、「起動を手動」または「励磁基本周波数の分周を変更」することにより、回転起動時はゆっくりと、ある程度の回転をした場合は速く回転させることも可能である。同様に、演出用の特殊なリール制御を行うことも可能となる。リールは、通常三つあるのでステッピングモータはそれに対応して三つ設けられ、リール制御回路もまた三つ設けられる。
【0027】
図3は、リール回転中の相カウンタ57及び図柄カウンタ58の動作を示すタイミングチャートである。リール回転中は、相カウンタ57と図柄カウンタ58が動作する。図3のタイミングチャートのリール相クロックは、励磁パターン生成回路56を通じて、相カウンタ回路57に与えられる。位置センサからの信号は、前述した受光センサからの出力として与えられる。位置センサ検知ネゲート後、次のリール相クロックの立ち上がりで、カウンタの値をプリセットする。それにより設定されたステップ数の値(ここでは、m)がロードされ、リール相クロックによりダウンカウント動作をする。そのカウント値は相カウントレジスタ66に書き込まれる。そして、CPU20に読み出し可能となる。
【0028】
図柄カウンタ回路58は、位置センサの検知ネゲート後、次のリール相クロックの立ち上がりで、あらかじめ設定された図柄数(ここでは21)をプリセットする。リール相カウンタが1周する毎にダウンカウント動作をする。そのカウント値は図柄カウントレジスタ67に書き込まれる。そして、CPU20に読み出し可能となる。位置センサでプリセットすることにより、ステッピングモータのステップ数が図柄数で割り切れない場合の補正が自動的に行われる。例えば400ステップのステッピングモータを使用した場合、19ステップで20図柄、20ステップで1図柄としなければならず、補正を行わない場合は1周する毎にズレが生じてしまう。
【0029】
図4は、オフセットを3とセットした際の、リール回転中の相カウンタ及び図柄カウンタの動作を示すタイミングチャートである。オフセットは、位置センサと図柄とのズレを調整する値である。オフセット設定レジスタ65がこの値を保持する。このオフセットの設定により、設定値分だけずれたところでカウンタ値をプリセットできる。図4では、この値を3としたものである。
【0030】
図5は、リール停止処理の際のリール停止タイマの動作を示すタイミングチャートである。ストップボタンの検知をCPU20が行い、CPU20側でリールの停止位置を計算して、そのステップ数(最大128)とともに停止コマンドを発行すると、それに基づいてストローブ信号、アドレスバス、データバスの働きにより、停止レジスタ64の値が書き換えられる。励磁パターン生成回路56は、それを読み込んで、次の図柄カウンタ更新時から、設定したステップ数(t)を経過後、全相励磁を256相分維持した後、全相OFFする。これにより当該リールが停止する。また、「停止を手動」または「励磁基本周波数の分周を変更」することにより、演出用の特殊なリール制御を行うことも可能となる。
【0031】
図7は、リール制御回路40と遊技機制御用チップ10、位置センサ85、リール90、ステッピングモータ80、駆動回路70との関係を描いたブロック図である。リール90は、通常21種類の図柄がその外周に描かれたものであって、三つの同じリールが並べて設けられる。ステッピングモータ80は、リールの数に合わせて三つ設けられる。駆動回路70は、各ステッピングモータについて一つずつ設けられる。リール制御回路40の出力信号は、図2に示すようなパルス信号であり、それを受けてステッピングモータを駆動させる駆動回路(ドライバ)が駆動回路70である。上述の説明ではステッピングモータが二相のユニボーラ型のものを前提としたので、リール制御回路40から駆動回路70への信号線を4本として描いてある。他のタイプのステッピングモータを用いる場合には、制御信号がもっと多く必要になる場合がある。その場合には、リール制御回路40内の励磁回路(41から43まで)の数を増やす。遊技機制御用チップ10からリール制御回路40への信号線のうち、XRDはリードストローブ信号の信号線であり、XWRはライトストローブ信号の信号線である。A0−A15は外部バスのアドレスバスであり、D0−D7は外部バスのデータバスである。XCSは、遊技機制御用チップ(メインチップ)内のチップセレクト出力端子である。CLKOは、遊技機制御用チップ(メインチップ)内のクロック回路の出力信号であり、図1の「源振入力」に該当する。図7の位置センサ85は、ステッピングモータ80の一周を検知すべく設けられたフォトセンサであって、たとえば発光素子と受光素子との間を遮光板が通過するのを、受光素子の信号により検知することによって構成される。位置センサ85の信号が図1の相カウンタ回路57の入力信号となる。
【0032】
図8は、リール制御回路40を遊技機制御用チップ10内に内蔵した場合の、リール90、位置センサ85、ステッピングモータ80、駆動回路70との関係を描いた図である。図7と共通の部分が多い。異なるのは、リール制御回路40が遊技機制御用チップ10内の回路として設けられていることである。それにより、CPU20とリール制御回路40とのやりとりは、内部バス25を介して行われる。位置センサ85から相カウンタ回路57への信号は、外部バスインタフェース30を介して送られる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、回胴式遊技機の制御一般に適用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 遊技機制御用チップ

20 CPU
21 内蔵ROM
22 内蔵RAM
25 バス
30 外部バスインタフェース
31 クロック回路
32 リセット/割込みコントローラ
33 指定エリア外走行禁止(IAT)回路
34 タイマ回路
35 アドレスデコード回路
40 リール制御回路
41 リール1制御回路
42 リール2制御回路
43 リール3制御回路
51 クロック分周回路
55 デコーダ回路
56 励磁パターン生成回路
57 相カウンタ回路
58 図柄カウンタ回路
61 周波数設定レジスタ
62 データレジスタ
63 起動レジスタ
64 停止レジスタ
65 オフセット設定レジスタ
66 相カウントレジスタ
67 図柄カウントレジスタ
70 駆動回路
80 ステッピングモータ
85 位置センサ
90 リール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回胴式遊技機の制御基板を制御するCPUを含む遊技機制御用のメインチップの周辺回路としてハードウェア回路により構成され回胴式遊技機のリールを回転させるステッピングモータを制御する制御信号を出力するリール制御回路であって、
前記ステッピングモータを制御するのに必要な制御信号の数だけ励磁回路
を有し、
当該励磁回路の一つ一つは、
前記ステッピングモータを励磁する基本周波数を設定するレジスタである周波数設定レジスタと、
手動で動作させる場合の励磁パターンを入力するレジスタであるデータレジスタと、
起動の自動/手動、励磁パターン、励磁基本周波数の分周を設定するレジスタである起動レジスタと、
停止の自動/手動、自動停止時の停止数を設定するレジスタである停止レジスタと、
前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサとのズレを調整するためのレジスタであるオフセット設定レジスタと、
前記リールの1図柄のコマ数を設定するレジスタである相カウントレジスタと、
前記リールの1周の図柄数を設定するレジスタである図柄カウントレジスタと
を有し、各レジスタが前記メインチップの外部バスのデータバスに接続されたレジスタ群と、
源振入力と前記周波数設定レジスタに設定された値とに基づいて基本周波数を生成する回路であるクロック分周回路と、
前記メインチップからのチップセレクト信号、ストローブ信号、アドレスバスからの信号に基づいて前記レジスタ群の各レジスタのアドレスを決定する回路であるデコーダ回路と、
前記データレジスタ、前記起動レジスタ、前記停止レジスタで設定された値と前記クロック分周回路の出力とに基づいて、励磁出力のパターンを生成し、前記ステッピングモータの駆動回路に出力する回路である励磁パターン生成回路と、
前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサからの信号と、前記オフセット設定レジスタ、前記相カウントレジスタで設定された値から、励磁の更新毎にダウンカウントするカウンタ回路である相カウンタ回路と、
該相カウンタ回路の出力信号と、前記図柄カウントレジスタに設定された値から、前記相カウンタが1周する毎にダウンカウントするカウンタ回路である図柄カウンタ回路と、
を有し、
励磁が更新される毎にダウンカウントする前記相カウンタ回路のカウント値及び該相カウンタが1周する毎にダウンカウントする前記図柄カウンタ回路のカウント値を前記CPUが前記外部バスを通じて読み出し可能であることを特徴とするリール制御回路。
【請求項2】
回胴式遊技機の制御基板を制御するCPUを含む遊技機制御用のメインチップの周辺回路としてハードウェア回路により構成され回胴式遊技機のリールを回転させるステッピングモータを制御する制御信号を出力するリール制御回路を前記メインチップ内に有する遊技機制御用チップであって、
前記リール制御回路は、
前記ステッピングモータを制御するのに必要な制御信号の数だけ励磁回路
を有し、
当該励磁回路の一つ一つは、
前記ステッピングモータを励磁する基本周波数を設定するレジスタである周波数設定レジスタと、
手動で動作させる場合の励磁パターンを入力するレジスタであるデータレジスタと、
起動の自動/手動、励磁パターン、励磁基本周波数の分周を設定するレジスタである起動レジスタと、
停止の自動/手動、自動停止時の停止数を設定するレジスタである停止レジスタと、
前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサとのズレを調整するためのレジスタであるオフセット設定レジスタと、
前記リールの1図柄のコマ数を設定するレジスタである相カウントレジスタと、
前記リールの1周の図柄数を設定するレジスタである図柄カウントレジスタと
を有し、各レジスタが前記メインチップの内部バスのデータバスに接続されたレジスタ群と、
源振入力と前記周波数設定レジスタに設定された値とに基づいて基本周波数を生成する回路であるクロック分周回路と、
前記CPUからの信号に基づいて前記レジスタ群の各レジスタのアドレスを決定する回路であるデコーダ回路と、
前記データレジスタ、前記起動レジスタ、前記停止レジスタで設定された値と前記クロック分周回路の出力とに基づいて、励磁出力のパターンを生成し、前記ステッピングモータの駆動回路に出力する回路である励磁パターン生成回路と、
前記ステッピングモータの1周を検知する位置センサからの信号と、前記オフセット設定レジスタ、前記相カウントレジスタで設定された値から、励磁の更新毎にダウンカウントするカウンタ回路である相カウンタ回路と、
該相カウンタ回路の出力信号と、前記図柄カウントレジスタに設定された値から、前記相カウンタが1周する毎にダウンカウントするカウンタ回路である図柄カウンタ回路と、
を有し、
励磁が更新される毎にダウンカウントする前記相カウンタ回路のカウント値及び該相カウンタが1周する毎にダウンカウントする前記図柄カウンタ回路のカウント値を前記CPUが前記内部バスを通じて読み出し可能であることを特徴とするリール制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115565(P2012−115565A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269581(P2010−269581)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591107481)株式会社エルイーテック (37)
【Fターム(参考)】