回路ユニット

【課題】ノイズ対策を必要とする回路ユニットにおいて、電子部品に水が付着することによる不具合の防止を安価に実現することを目的とする。
【解決手段】回路ユニット1は、外部ケース10と、この外部ケース10の内部に縦置きに配されるものであって、回路基板21とこの回路基板上に搭載される電子部品22とを備える回路構成体20と、この外部ケース10の内部に収容されるものであって、板状の金属材料を折り曲げ加工することにより回路構成体20と対向する側が開口した箱状に形成され、回路構成体20において電子部品22が搭載された面に覆い付けられるシールドケース30と、を備える。シールドケース30において、回路構成体20に覆い付けられた状態で上側および下側に位置する側壁部32A、32Cは、回路構成体20と離間するにしたがって下降するように傾斜された傾斜壁とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される回路ユニットの中には、放射ノイズを発生する電子部品を含むものがある。このような放射ノイズは、車載のAMラジオやスピーカー等の放送・通信機器に影響を与えることがある。このため、放射ノイズの影響を低減するために、放射ノイズを発生する電子部品を金属製のシールドケースの内部に収容するという対策が取られることがある。
一方、このような回路ユニットは、その搭載位置によっては結露等による被水に対する防滴対策が求められることがある。
【0003】
そこで、このような放射ノイズの低減と防滴とを両立させるために、従来、シールドケースを絞り加工や無垢材からの削り出し加工等によって継ぎ目のない形状に形成することにより、シールドケース内部への水の侵入を防止する対策が取られていた。しかし、このような加工は費用のかかるものであるため、コスト低減の観点から問題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−317876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ノイズ対策を必要とする回路ユニットにおいて、電子部品に水が付着することによる不具合の防止を安価に実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の回路ユニットは、外部ケースと、基板部と、この基板部の表面に搭載される電子部品とを備え、前記外部ケース内に縦置きに配される回路構成体と、前記外部ケースの内部に収容されるものであって、板状の金属材料を折り曲げ加工することにより前記回路構成体と対向する側が開口した容器状に形成され、前記回路構成体において前記電子部品が搭載された面に覆い付けられるシールドケースと、を備え、前記シールドケースにおいて前記回路構成体に覆い付けられた状態で上側および下側に位置する壁部が、前記回路構成体と離間するにしたがって下降するように傾斜された傾斜壁とされたところに特徴を有する。
【0007】
本構成によれば、水が外部ケースの内部に侵入した場合、侵入した水はシールドケースにおける上側の壁部の上に落ちる。ここで、上側の壁部は、回路構成体と離間する側に行くほど下降するように傾斜しているから、水はこの上側の壁部の傾きに従って回路構成体から離れる方向に流れる。また、シールドケースの内部にまで水が侵入した場合であっても、上側の壁部および下側の壁部の傾きに従って、水は回路構成体から離れる方向に流れる。このようにして、回路構成体上の電子部品に水が付着することが回避される。したがって、シールドケースを安価な折り曲げ加工により製造し、これによりシールドケースが隙間のある構造をとることとなっても、電子部品に水が付着することによる不具合を回避することができる。これにより、ノイズ対策を必要とする回路ユニットにおいて、電子部品に水が付着することによる不具合の防止を安価に実現することができる。
【0008】
本発明の回路ユニットは、上記構成に加えて以下の構成を備えればより好ましい。
(1)前記シールドケースが、前記上側および下側に位置する壁部においてこれと隣接する壁部と接合する辺部における回路構成体に接する側とは逆側の端部に配されて水が通過可能な孔部を備えることが好ましい。このような構成によれば、水がシールドケースの中に侵入しても、その水をスムーズにシールドケースの外に排出することができる。
【0009】
(2)前記外部ケースが、前記シールドケースの少なくとも一部を外部に露出する窓部を備えることが好ましい。上記のように水が外部ケースやシールドケースの内部に侵入しても、その水が電子部品に接することなく速やかに外部に排出可能な構成とすることにより、外部ケースを密閉構造とする必要がなくなる。したがって、外部ケースに窓部を設け、シールドケースを窓部から露出させることにより、電子部品から発生する熱を外部に放散する放熱材としての役割をシールドケースに担わせることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノイズ対策を必要とする回路ユニットにおいて、電子部品の被水による不具合の防止を安価に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態の回路ユニットの斜視図
【図2】実施形態の回路ユニットの正面図
【図3】実施形態の回路ユニットの分解斜視図
【図4】実施形態のシールドケースの斜視図
【図5】図2のA−A線断面図
【図6】図5の円R内の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を、図1〜図6を参照しつつ説明する。本実施形態の回路ユニット1の斜視図を図1に、正面図を図2に、分解斜視図を図3に、それぞれ示した。
【0013】
本実施形態に係る回路ユニット1は、外部ケース10と、この外部ケース10の内部に収容される回路構成体20と、回路構成体20に覆い付けられるシールドケース30とを備えている。
【0014】
外部ケース10は合成樹脂製であって、全体として扁平な箱状をなし、回路構成体20に対して背面側から組み付けられるロアケース11と、正面側から組み付けられるアッパケース12とを備えている。ロアケース11は正面側に開口する浅皿状をなしている。一方、アッパケース12は背面側に開口する扁平な箱状をなし、ロアケース11に対してその開口を塞ぐように組み付けられる。
【0015】
アッパケース12の下部には、電源または車載電装品に接続された相手側コネクタが嵌合可能とされたコネクタ嵌合部13、14、15、および、ヒューズFを装着可能なヒューズ装着部16が、正面側に開口して形成されている。
【0016】
この外部ケース10の内部に収容される回路構成体20は、電源から供給される所定電圧の直流電流を、異なる電圧の直流電流に変換するDC/DCコンバータ回路を備えるものであって、導体回路(図示せず)を備える回路基板21(本発明の基板部に該当)と、この回路基板21の表面上に実装される電子部品22とを備えている。この回路構成体20は、縦置きの姿勢で、すなわち、回路基板21の板面方向が縦方向となる向きで外部ケース10内部に収容される。外部ケース10内に収容された状態では、回路構成体20における電子部品22が実装された側の面が正面側に向けられている。回路基板21の表面下部には、回路基板21に設けられた導体回路と電気的に接続された接続端子23、24、25およびヒューズ用端子26が配されている。これらの接続端子23、24、25およびヒューズ用端子26は、それぞれコネクタ嵌合部13、14、15およびヒューズ装着部16の内部に臨み、相手側コネクタに備えられる相手側端子、およびヒューズFと接続可能とされている。
【0017】
シールドケース30は、外部ケース10の内部に配されて、回路構成体20の表面(電子部品が搭載された側の面)上において、電子部品22が実装された領域を覆うものである。なお、シールドケース30は、回路基板21の表面全面を覆う必要はなく、少なくとも回路基板21の表面において、放射ノイズを発生する電子部品22が搭載された領域を覆っていればよい。本実施形態では、回路基板21の表面において上側約3分の2の領域に放射ノイズを発生する電子部品22が配され、それよりも下側に放射ノイズを発生しない電子部品22、接続端子23、24、25およびヒューズ用端子26が配されており、シールドケース30は回路基板21の表面において上側約3分の2の領域を覆っている。
【0018】
シールドケース30は、金属により背面(回路構成体20と対向する側の面)側が開放された扁平箱状に形成されており、矩形状の天板部31と、この天板部31の4つの辺からそれぞれ背面側に向かって延出される4つの側壁部32A、32B、32C、32Dとを備える。このシールドケース30は、開口している側が回路構成体20側を向くようにして回路構成体20の表面上に被せ付けられ、固着される。このシールドケース30において、4つの側壁部32A、32B、32C、32Dのうち、回路構成体20に覆い付けられた状態で上側および下側に位置する側壁部32A、32Cは、正面側(回路構成体20と離間する側)に行くほど下降するように傾斜した傾斜壁とされている。
【0019】
シールドケース30の製造は、金属板を、天板部31の4つの辺から4つの側壁部32A、32B、32C、32Dとなる部分がそれぞれ外側方向に向かって突出する形状に打ち抜き加工し、打ち抜き後の金属板を天板部31の4つの辺となるラインに沿って折り曲げ加工することにより行われる。このため、隣り合う側壁部32A、32B、32C、32Dが互いに接合する辺部においては、細い隙間が生じることとなる(図4参照)。
【0020】
天板部31の4つの角部、言い換えれば、上側および下側の側壁部32A、32Cにおいてこれと隣接する側壁部32B、32Dと接合する辺部33A、33Cにおける、天板部31側(回路構成体20に接する側とは逆側)の端部には、小さく切り欠かれることにより水が通過可能な孔部34が形成されている(図4〜図6参照)。
【0021】
なお、天板部31の回路構成体20表面からの高さ位置は、シールドケース30が回路構成体20に覆い付けられて外部ケース10内に収容された状態で、アッパケース12における正面壁17の内側面に当接する高さ位置とされている。
【0022】
アッパケース12の正面壁17には、窓部18が形成されている。この窓部18は、アッパケース12の正面壁17においてコネクタ嵌合部13、14、15およびヒューズ装着部16が形成された領域よりも上側の領域が、上端からやや下がった位置(この正面壁17に内側から当接する天板部31の上端よりもやや下がった位置)まで、および左右の両端からやや内側に入った位置(この正面壁17に内側から当接する天板部31の左右両端よりもやや内側に入った位置)までの領域を残して、ほぼ全域にわたって切り欠かれることにより形成されている。これにより、シールドケース30が回路構成体20に覆い付けられて外部ケース10内に収容された状態では、シールドケース30において、天板部31における上端からやや下がった位置までの領域と、左右両端からやや内側に入った位置までの領域とを残したほぼ全域、および、下側の側壁部32Cにおける天板部31と接する辺からやや後方に下がった位置までの領域が、窓部18から外部に露出された状態となっている。
【0023】
次に、以上のように構成された回路ユニット1の作用効果について説明する。
【0024】
結露等により発生した水滴が回路ユニット1に付着した場合、水滴はロアケース11とアッパケース12との合わせ目を通って外部ケース10の内部に侵入することがある。侵入した水滴はシールドケース30における上側の側壁部32Aの上に落ちる。ここで、上側の側壁部32Aは、正面側(回路構成体20と離間する側)に行くほど下降するように傾斜しているから、水滴はこの傾斜壁の傾きに従って、天板部31側(回路構成体20から離れる方向)に流れ、さらに天板部31の外側面を伝い落ちる。天板部31の下端に達した水滴は、窓部18から外部ケース10の外部に排出される。図5、図6中、水滴の伝わる経路を矢印で示す。
【0025】
また、側壁部32Aと、これと隣り合う側壁部32B、32Dとが接合する辺部には隙間が存在するから、水滴の一部がこの隙間からシールドケース30の内部に侵入することがある。シールドケース30の内部に侵入した水滴も、側壁部32Aの傾斜壁の傾きに従って、天板部31側(回路構成体20から離れる方向)に流れ、さらに天板部31の内側面を伝い落ちて天板部31の下端に達する。このとき、下側の側壁部32Cも正面側(回路構成体20と離間する側)に行くほど下降するように傾斜しているから、水滴が回路構成体20側に流れることはない。そして、天板部31の下端に達した水滴は、下側の側壁部32Cの両側縁に形成された孔部34からシールドケース30の外へ排出され、さらに窓部18から外部ケース10の外部に排出される。
【0026】
このようにして、回路構成体20上の電子部品22に水が付着することが回避される。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、外部ケース10と、この外部ケース10の内部に収容されるものであって、回路基板21と、この回路基板21の表面に搭載される電子部品22とを備え、外部ケース10内に縦置きに配される回路構成体20と、外部ケース10の内部に収容されるものであって、板状の金属材料を折り曲げ加工することにより回路構成体20と対向する側が開口した箱状に形成され、回路構成体20において電子部品22が搭載された面に覆い付けられるシールドケース30と、を備える。そして、シールドケース30において、回路構成体20に覆い付けられた状態で上側および下側に位置する側壁部32A、32Cが、回路構成体20と離間するにしたがって下降するように傾斜された傾斜壁とされている。
【0028】
このような構成によれば、水が外部ケース10の内部に侵入した場合、侵入した水はシールドケース30における上側の側壁部32Aの上に落ちる。ここで、上側の側壁部32Aは、回路構成体20と離間する側に行くほど下降するように傾斜した傾斜壁とされているから、水はこの上側の側壁部32Aの傾きに従って回路構成体20から離れる方向に流れる。また、シールドケース30の内部にまで水が侵入した場合であっても、上側の側壁部32Aおよび下側の側壁部32Cの傾きに従って、水は回路構成体20から離れる方向に流れる。このようにして、回路構成体20上の電子部品22に水が付着することが回避される。したがって、シールドケース30を安価な折り曲げ加工により製造し、これによりシールドケース30が隙間のある構造をとることとなっても、電子部品22に水が付着することによる不具合を回避することができる。これにより、ノイズ対策を必要とする回路ユニット1において、電子部品22に水が付着することによる不具合の防止を安価に実現することができる。
【0029】
さらに、シールドケース30において天板部31の4つの角部、言い換えれば、上側および下側に位置する側壁部32A、32Cにおいてこれと隣接する側壁部32B、32Dと接合する辺部における、回路構成体20に接する側とは逆側の端部には、水が通過可能な孔部34が形成されている。これにより、水がシールドケース30の中に侵入しても、その水をスムーズにシールドケース30の外に排出することができる。
【0030】
加えて、上記のように水が外部ケース10やシールドケース30の内部に侵入しても、その水が電子部品22に接することなく速やかに外部に排出可能な構成とすることにより、外部ケース10を密閉構造とする必要がなくなる。したがって、外部ケース10に窓部18を設け、シールドケース30を窓部18から露出させる構造とすることにより、電子部品22から発生する熱を外部に放散する放熱材としての役割をシールドケース30に担わせることも可能となる。
【0031】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態の回路ユニット1は、DC−DCコンバータ回路を搭載するものであったが、本発明は、DC−DCコンバータ回路を搭載するものに限らず、放射ノイズ源となる部品等を備える回路ユニットであれば好適に適用可能である。
【0032】
(2)上記実施形態では、天板部31の4つの角部すべてに孔部34が設けられていたが、4つの角部のうち一部のみに孔部が設けられていてもよく、例えば、下側の側壁部32Cにおいてこれと隣接する側壁部32B、32Dと接合する辺部33Cにおける、天板部31側(回路構成体20に接する側とは逆側)の端部のみに孔部が設けられていても構わない。
【符号の説明】
【0033】
1...回路ユニット
10...外部ケース
18...窓部
20...回路構成体
21...回路基板(基板部)
22...電子部品
30...シールドケース
32A、32C...側壁部(壁部)
32B、32D...側壁部(壁部)
33A、33C...辺部
34...孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ケースと、
基板部と、この基板部の表面に搭載される電子部品とを備え、前記外部ケース内に縦置きに配される回路構成体と、
前記外部ケースの内部に収容されるものであって、板状の金属材料を折り曲げ加工することにより前記回路構成体と対向する側が開口した容器状に形成され、前記回路構成体において前記電子部品が搭載された面に覆い付けられるシールドケースと、を備え、
前記シールドケースにおいて前記回路構成体に覆い付けられた状態で上側および下側に位置する壁部が、前記回路構成体と離間するにしたがって下降するように傾斜された傾斜壁とされたものである、回路ユニット。
【請求項2】
前記シールドケースが、前記上側および下側に位置する壁部においてこれと隣接する壁部と接合する辺部における回路構成体に接する側とは逆側の端部に配されて水が通過可能な孔部を備えるものである、請求項1に記載の回路ユニット。
【請求項3】
前記外部ケースが、前記シールドケースの少なくとも一部を外部に露出する窓部を備えるものである、請求項1または請求項2に記載の回路ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106398(P2013−106398A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247479(P2011−247479)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】