説明

回路基板、およびキーボード装置の制御方法

【課題】キーの数が変更されても同一の回路基板を汎用的に使用でき、キーの位置や大きさを変更できてキーユニットのデザインの比較的大幅な変更を可能にする。
【解決手段】複数のスイッチ接点3が配置された回路基板1が、多数のキーを有するキーユニットと少数のキー9’を有するキーユニット2’を選択的に装着可能であり、両キーユニットのいずれか一方によって作動させられるキーユニット検出スイッチ6と、キーユニット検出スイッチ6の検出結果に基づいて回路基板1に両キーユニット2’のいずれが装着されているかを検知し、少数のキーを有するキーユニット2’が回路基板1に取り付けられている場合には回路基板1上の複数のスイッチ接点3のうちの一部のスイッチ接点のみのスイッチ機能を有効にして、それ以外のスイッチ接点3のスイッチ機能を無効にする制御装置7と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器に取り付けられるキーボード装置用の回路基板、およびキーボード装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図14(a),14(b)に示すように、携帯電話機等の電子機器に取り付けられるキーボード装置は、通常、回路基板101と、回路基板101上にラバー102を介して配置されている複数のキー(押しボタン)103とを有している。そして、回路基板101上の複数個所に、通常は導通が遮断されているスイッチ接点104が設けられており、このスイッチ接点104の上方にキー103が配置されている。キー103が押されていない状態では、キー103はラバー102によって、スイッチ接点104に接触しないように上方に保持されており、スイッチ接点104の導通は遮断されたままである。そして、キー103が押されると、ラバー102が弾性的に撓み変形して、キー103がスイッチ接点104を押圧する。それによって、スイッチ接点104は導通して、回路基板101において閉じた回路が構成される。この時、詳述しないが、この閉じた回路に接続されている様々な電気部品が起動されて、所定の処理、例えば、電話番号のダイヤルやデータの送受信やカメラによる撮影などが実行される。なお、各キー103はその電子機器の特定の処理と対応付けられており、どのキー103を押せばどのような処理が実施されるかが使用者に判るように表示されている。そのような表示と照明のために、回路基板101の各スイッチ接点104の近傍にそれぞれ発光ダイオード(LED)等の発光素子105が配置されている場合がある。その場合、キー103の一部が透光部106になっており、使用者には発光素子105による発光表示が透光部106を介して認識できる。
【0003】
図14(a),14(b)に示す構成は、回路基板101の6列×4行=24個所に、スイッチ接点104と発光素子105が設けられており、それに対応して24個のキー103がそれぞれラバー102を介してスイッチ接点104の上方に配置されている。図15には、キー103によって操作可能な有効なスイッチ接点104を、模式的に「○」で示している。この図15から明らかなように、24個所のスイッチ接点104が全て有効である。
【0004】
ところで、異なる種類の電子機器、例えば別の機種の携帯電話機においては、キー103の総数が変わる場合、例えばキー103の数が減る場合がある。そのような場合に、回路基板101自体の設計を変えて少ないキー103に対応した構成にし、発光素子105やラバー102もそれぞれ新しい設計の回路基板101に合わせて配置することが考えられる。しかし、製造する携帯電話機等の電子機器の機種が変わるたびに回路基板101の設計および製造を完全にやり直していると、生産コストや製造時間が増大するという問題がある。従って、電子機器の機種の変更に伴ってキー103の数が変わっても、同一の回路基板101を汎用的に用い、その発光素子105およびラバー102の配置構成も変更しないことが望ましい。その場合、1つのカバー(キー保持部材)107によって複数のキー103を保持しているキーユニット108(図16参照)を作製して、そのキーユニット108を回路基板101に装着して用いるようにすると便利である。
【0005】
なお、特許文献1には、同一のマトリクスキーを汎用的に用い、マトリクスキーの上面のパネルシートのみを交換して複数の作業に対応可能な携帯用端末装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−2446号公報
【特許文献2】実願昭60−066442号(実開昭61−183030号)のマイクロフィルム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように同一の回路基板101を汎用的に用い、発光素子105やラバー102の配置構成を変えることなくキー103の数を変える場合には、発光素子105やラバー102を備えた回路基板101は変更しない。そして、回路基板101に装着するキーユニット108のみを交換することによって、キー103の数を変えることができる。このようにして、キー103の数が少ないキーユニット108’(図18参照)を作製する場合、キー103の数が多い(スイッチ接点104が設けられている部分の数と同数である)キーユニット106から、単に、いくつかのキー103を削除するだけである。複数のキー103のレイアウト自体を変えるわけではない。具体的には、図17(a),17(b)に示すように、6列×4行=24個所にスイッチ接点104と発光素子105が設けられている回路基板101上に、4列×4行=16個のキー103を配置する場合には、図16に示すキーユニット108に比べて、スイッチ接点104からなるマトリクスの外周部分の中の一部のキー(本例では合計8個)をなくしたキーユニット108’を用いることによって対応している。図19には、このキーユニット108’が回路基板101に装着された状態で、キー103によって操作可能な有効なスイッチ接点104を模式的に「○」で、キー103で操作されることのない無効なスイッチ接点104を模式的に「×」で示している。この図から明らかなように、24個所のスイッチ接点104のうち、スイッチ接点104からなるマトリクスの外周部分の中の合計8個所(図面右端の列と左端の列)のスイッチ接点が無効になっている。
【0008】
このようなキーユニット108’を用いる場合、キー103の位置および大きさや発光素子105による発光位置は基本的に変更されないので、大幅なデザイン変更は不可能である。言い換えると、大幅なデザイン変更を行うためには、回路基板101自体の設計を変える必要があり、高コスト化は免れなかった。
【0009】
そこで本発明の目的は、キーの数が変更される場合にも汎用的に用いることができ、しかも、キーの位置および大きさを変更することができてキーユニットのデザインの比較的大幅な変更を可能にする回路基板、およびキーボード装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数のスイッチ接点が配置された回路基板において、多数のキーを有するキーユニットと少数のキーを有するキーユニットを選択的に装着可能であり、多数のキーを有するキーユニットと少数のキーを有するキーユニットのいずれか一方によって作動させられるキーユニット検出スイッチと、キーユニット検出スイッチの検出結果に基づいて、回路基板に、多数のキーを有するキーユニットと少数のキーを有するキーユニットのいずれが装着されているかを検知し、少数のキーを有するキーユニットが回路基板に取り付けられている場合には、回路基板上の複数のスイッチ接点のうちの一部のスイッチ接点のみのスイッチ機能を有効にして、それ以外のスイッチ接点のスイッチ機能を無効にする制御装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、キーユニットを回路基板に取り付けて、回路基板上の複数のスイッチ接点のうちの一部のスイッチ接点のみをスイッチとして用いる場合に、複数のスイッチ接点からなるマトリクスの外周部分に位置するスイッチ接点のみを使用しないようにするのではなく、外周部分以外の中間領域に位置しているスイッチ接点のうちの一部をスイッチとして使用しないようにする。すなわち、キーユニットにおいて、中間領域のスイッチ接点の全てを作動可能なようにキーを配置する場合に比べて、キーを配置するスペースに余裕が生じる。従って、個々のキーの形状、大きさ、および配置の自由度が大きくなる。その結果、全てのスイッチ接点を作動可能なキーユニットに比べて、キーユニットの個々のキーのデザインを大幅に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)は、本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に、多数のキーを有するキーユニットが用いられている状態を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】本発明の一実施例の回路基板を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に用いられる、多数のキーを有するキーユニットを示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に多数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【図5】(a)は、本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に、少数のキーを有するキーユニットが用いられている状態を示す平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図6】図5(b)の要部拡大図である。
【図7】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に用いられる、少数のキーを有するキーユニットを示す断面図である。
【図8】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に少数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【図9】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置の制御装置による制御方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に少数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の制御装置の処理を示す模式的回路図である。
【図11】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に多数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の制御装置の処理を示す模式的回路図である。
【図12】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に、他の少数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【図13】本発明の一実施例の回路基板を含むキーボード装置に、他の少数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【図14】(a)は、関連技術のキーボード装置に、多数のキーを有するキーユニットが用いられている状態を示す平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図15】図14に示すキーボード装置に多数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【図16】図14,15に示す多数のキーを有するキーユニットを示す断面図である。
【図17】(a)は、図14に示すキーボード装置に、少数のキーを有するキーユニットが用いられている状態を示す平面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図18】図17に示す少数のキーを有するキーユニットを示す断面図である。
【図19】図14に示すキーボード装置に少数のキーを有するキーユニットが用いられている場合の、スイッチ接点の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0014】
図1(a),(b)は、本発明の一実施例の回路基板1を含むキーボード装置を示している。このキーボード装置は、携帯電話機等の電子機器に取り付けられるものであり、回路基板1と、回路基板1上に対して着脱可能なキーユニット2とを含む構成である。
【0015】
回路基板1(図2参照)には、6列×4行=24個所にスイッチ接点3が設けられている。各スイッチ接点3は通常は導通していない。各スイッチ接点3の近傍には、発光ダイオード(LED)などの発光素子4と、ラバー5が配置されている。さらに、回路基板1の、スイッチ接点3が設けられていない部分に、キーユニット検出スイッチ6が設けられている。各スイッチ接点3およびキーユニット検出スイッチ6は、制御装置7に接続されている。回路基板2は、携帯電話機等の電子機器の筐体8に固定されている。
【0016】
本実施例では、6列×4行=24個のキー9と、それらのキー9を押し下げ可能な状態に保持しているカバー10とによって、キーユニット2(図3参照)が構成されている。このキーユニット2は、回路基板1および筐体8に対して着脱可能であり、後述する他のキーユニット2’と交換可能である。キーユニット2には、キーユニット検出スイッチ6に当接する作動部が存在しない。
【0017】
キーユニット2が回路基板1に装着された状態で、各キー9は、マトリクス状に配置された各スイッチ接点3に対向する位置に、ラバー5によって保持されている。ラバー5が弾性変形していない通常の状態では、キー9はスイッチ接点3の上方に間隔をおいて保持される。この状態では、各スイッチ接点3は押圧されず導通していない。また、キーユニット2には、キーユニット検出スイッチ6に当接する作動部が存在しないため、キーユニット検出スイッチ6はオフ状態になっている。なお、キー9は、発光素子4の上方に位置する部分に透光部12を有している。
【0018】
キーユニット2が回路基板1に装着された状態で電子機器の使用者によってキー9が押し下げられると、ラバー5が弾性変形して撓み、キー9がスイッチ接点3を押圧する。これにより、スイッチ接点3が導通して、回路基板1に閉じた回路が形成される。そして、その閉じた回路内の図示しない電気部品が作動して、所定の処理、例えば、電話のダイヤルやデータの送受信やカメラによる撮影などが実行される。
【0019】
図4には、キー9によって操作可能な有効なスイッチ接点3を、模式的に「○」で示している。この図4から明らかなように、図15に示す例と同様に、各スイッチ接点3と各キー9とが対向しており、24個所のスイッチ接点3の全てが有効である。
【0020】
本実施例では、図1〜4に示すキーユニット2が回路基板1に装着された状態から、キーユニット2を取り外し、他のキーユニット2’を回路基板1に装着することができる。そこで、他のキーユニット2’について、図5〜8を参照して以下に説明する。
【0021】
キーユニット2’(図7参照)は、カバー10’に、4列×4行=16個のキー9’が保持され、キーユニット検出スイッチ6に当接するリブ状の作動部11が設けられている。このキー9’は、前述したキーユニット2のキー9よりも大きく、より横長の形状を有している。そして、透光部12’がキー9’の端部付近に位置しているため、発光素子4による発光表示がキー9’の中央ではなく端部付近に位置しており、前述したキーユニット2のキー9とはデザインが大きく異なっている。
【0022】
本実施例では、図6に拡大して示すように、長手方向に隣接する2つのキー9’a,9’bが対をなしており、各キー9’a,9’bはそれぞれスイッチ接点3a,3bの上方に位置するとともに、対をなすキー9’a,9’b同士の間の位置にスイッチ接点3cが存在するように配置されている。このように、対をなすキー9’a,9’b同士の間に位置するスイッチ接点3cは、キー9’a,9’bが押し下げられたときに互いに導通させられず、スイッチとして機能しない。
【0023】
このようにスイッチとして機能しないスイッチ接点3cは、いずれのキー9’を押し下げられても押圧されず作動しないように、隣り合うキー9’aと9’bの間の空間に位置していてもよい。あるいは、仮にこのスイッチ接点3cが押圧されてもスイッチとして作動しない(無効になる)ように、制御装置7によってソフトウェア上で処理されていてもよい。具体的には、キーユニット2’が取り付けられた状態では、作動部11がキーユニット検出スイッチ6に当接することによって、キーユニット検出スイッチ6がオン状態になる。このとき、キーユニット検出スイッチ6からのオン信号を受信した制御装置7が、対をなすキー9’aとキー9’bの間に位置するスイッチ接点3cを無効にするとともに、キー9’aに対応するスイッチ接点3aが導通させられた時に所定の機能を果たし、キー9’bに対応するスイッチ接点3bが導通させられた他の所定の機能を果たすように、ソフトウェア上で処理すればよい。
【0024】
なお、図6に拡大して示した1対のキー9’a,9’bとそれらのキー9’a,9’bと概ね対向する領域に配置された3個所のスイッチ接点3a,3b,3cとの組み合わせと同様な組み合わせが、図1に示す回路基板1全体にわたって設けられている。
【0025】
以上説明したように、回路基板1にキーユニット2’が取り付けられた状態では、24個所のスイッチ接点3のうち16個所のスイッチ接点3がキー9’と対向しているが、残りの8個所のスイッチ接点3はキー9’によって押圧されない位置に配置され、および/または制御装置7によってソフトウェア上でスイッチとして作動しない無効なものとして取り扱われている。図8には、このキーユニット2’が回路基板1に装着された状態で、キー9’によって作動可能な有効なスイッチ接点3を模式的に「○」で、キー9’で作動不能な無効なスイッチ接点3を模式的に「×」で示している。
【0026】
図19に示す構成の場合、回路基板101上のスイッチ接点104が設けられている部分の数よりも少ない数のキー103を有するキーユニット108’を用いる場合には、マトリクス状に配列された複数のスイッチ接点104のうち、マトリクスの外周部分に位置するスイッチ接点104を無効にして、中間領域に位置するスイッチ接点104を全て有効にしていた。それに対応して、中間領域に位置するスイッチ接点104に対向するキー103のみを有するキーユニット108’が用いられていた。なお、ここで言う外周部分とは、複数のスイッチ接点が構成するマトリクスの最外周に位置する領域であり、具体的には上端の行および下端の行と左端の列および右端の列を意味する。そして、中間領域とは、マトリクスの、外周部分以外の全ての領域を意味し、外周部分に囲まれた範囲全てを指す。キーユニット108’の中間領域におけるキー103の配置(図17(a),17(b)参照)は、多数のキー103を有するキーユニット108のキー103の配置(図14(a),14(b)参照)と全く同じであり、個々のキー103の大きさや形状はほとんど変更できなかった。特に、キー103を大型化することはできなかった。仮に、個々のキー103の大きさや形状を大きく変更する場合には、回路基板101自体の設計変更が必要であり、それに伴ってラバー102や発光素子105の配置も変更せざるを得なかった。
【0027】
これに対して本発明の場合には、図5〜8に示すように、回路基板1上のスイッチ接点3が設けられている部分の数よりも少ない数のキー9’を有するキーユニット2’を取り付ける場合に、マトリクスを構成する複数のスイッチ接点3のうち、マトリクスの外周部分に位置するスイッチ接点3のみを無効にするのではなく、無効にするスイッチ接点3がマトリクスの中間領域を含めて全面に広く分布するように分散させている。例えば、前記したように、複数のキー9’同士の間の空間に、無効にされるスイッチ接点3が位置している。具体的には、2つのキー9’a,9’bを対にして、この対をなすキー9’aと9’bの間に無効なスイッチ接点3cが位置するようにレイアウトしている。また、仮にスイッチ接点3cがキー9’aまたはキー9’bによって押圧される可能性がある場合には、制御装置7がスイッチ3cをソフトウェア上で無効にすればよい。その場合、制御装置7によりスイッチ機能が無効にされるスイッチ接点3cは、制御装置7によりスイッチ機能が有効にされるスイッチ接点3aと3bの間に介在するように配置される。なお、無効にされるスイッチ接点3に近接する発光素子4aは、発光しないように処理されている。
【0028】
前記したような制御装置7による制御方法を、図9のフローチャートに示している。このフローチャートによると、まず、キーユニット検出スイッチ6がオン状態であるかオフ状態であるかを確認する。これは、回路基板1に、多数のキー9を有するキーユニット2と少数のキー9’を有するキーユニット2’のいずれが装着されたかを検知する作業である。それから、キーユニット検出スイッチ6がオン状態であるときに何らかのキーが押されると、少数のキー9’を有するキーユニット2’が用いられていると判断して、制御装置7が、図10に示すキーユニット9’用の回路構成を選択し、その回路構成に基づいて、一部のスイッチ接点3cをソフトウェア上で無効にし、それ以外のスイッチ接点3a,3bを有効にする。そして、押されたキー9’に対応した処理を行う。その後、キー9’が押される度に、そのキー9’に対応した処理を行う。
【0029】
一方、キーユニット検出スイッチ6がオフ状態であるときに何らかのキーが押されると、多数のキー9を有するキーユニット2が用いられていると判断して、制御装置7が、図11に示すキーユニット9用の回路構成を選択し、その回路構成に基づいて、全てのスイッチ接点3を有効にする。そして、押されたキー9に対応した処理を行う。その後、キー9が押される度に、そのキー9に対応した処理を行う。
【0030】
なお、正確には、本実施例では1つのキー9,9’に対して2つのスイッチ接点3が対応している。それによって、共通の構造であってもソフトウェア上でキー9,9’の割り当てを自由に配置および検出することができる。
【0031】
このような本発明のレイアウトによると、少数のキー9’を有するキーユニット2’が回路基板1に装着された状態では、3個所のスイッチ接点3が位置する範囲ごとに2つのキー9’が対向する。従って、図1〜4に示すように回路基板1上のスイッチ接点3が設けられている部分と同数のキー9を有し、2個所のスイッチ接点3が位置する範囲ごとに2つのキー9が対向するレイアウトのキーユニット2に比べて、個々のキー9’の大きさを大きくすることができ、形状の自由度が大きく広がる。図5〜8に示す例では、キーユニット2’のキー9’は、キーユニット2のキー9よりも横方向の長さが約1.5倍になっている。
【0032】
言い換えると、複数のスイッチ接点3がマトリクスを構成しており、少数のキー9’を有するキーユニット2’が回路基板1に装着された状態で、マトリクスの外周部分以外の中間領域に位置する複数のスイッチ接点3のうちの一部のスイッチ接点3が、いずれのキーからも押圧されないように配置されることによって、またはソフトウェア上の処理によって、スイッチとして機能しないようになっている。従って、このスイッチとして機能しないスイッチ接点3の分だけ、中間領域においてスペースの余裕が生じる。そして、このスペースの余裕を活用することにより、各キー9’の大型化や変形や比較的自由な配置が可能になる。その結果、少なくとも中間領域の全てのスイッチ接点を有効にする場合に比べて、デザインの自由度が著しく大きくなる。
【0033】
図12〜13には、本発明の回路基板に取り付けられるキーユニットの他の例として、少数のキー9”を有するキーユニット2”の例を模式的に示している。これらの例に限られず、少数のキーを有するキーユニットのキーの配置とその寸法および形状は、かなり大きな自由度で任意に変更可能である。
【0034】
このように、本発明によると、キーの形状のみならず、キーの寸法や位置も比較的自由に変更可能であるため、大幅なデザインの変更および差別化を行なうことができる。しかも、前記した実施例のように、発光素子が設けられたキーボード装置の場合は、キー内の発光表示の位置を変えることもできるため、さらなるデザインの差別化が可能である。このようなキーユニットはキーとカバーのみから構成されており、非常に簡単な構成である。従って、この簡単な構成のキーユニットを交換するだけで、容易に大幅なデザインの変更および差別化が可能である。また、この構成によると、キーボード装置のデザインにあまり左右されずに回路基板を共通化することができる。特に、回路基板上のスイッチ接点に加えてラバーを共通化することができ、発光素子を設ける場合にはその発光素子も共通化することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 回路基板
2,2’,2” キーユニット
3,3a,3b,3c スイッチ接点
4,4a 発光素子
5 ラバー
6 キーユニット検出スイッチ
7 制御装置
8 筐体
9,9’,9’a,9’b,9” キー
10,10’ カバー
11 作動部
12,12’ 透光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスイッチ接点が配置された回路基板において、
多数のキーを有するキーユニットと少数のキーを有するキーユニットを選択的に装着可能であり、
前記多数のキーを有するキーユニットと前記少数のキーを有するキーユニットのいずれか一方によって作動させられるキーユニット検出スイッチと、
前記キーユニット検出スイッチの検出結果に基づいて、前記回路基板に、前記多数のキーを有するキーユニットと前記少数のキーを有するキーユニットのいずれが装着されているかを検知し、前記少数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に取り付けられている場合には、前記回路基板上の複数の前記スイッチ接点のうちの一部のスイッチ接点のみのスイッチ機能を有効にして、それ以外の前記スイッチ接点のスイッチ機能を無効にする制御装置と、
を有することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記複数のスイッチ接点はマトリクスを構成するように配置されており、
複数の前記スイッチ接点のうち、前記マトリクスの外周部分以外の中間領域に位置している複数のスイッチ接点が、前記少数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に取り付けられた状態で前記キーユニットのいずれかの前記キーによって作動可能なスイッチ接点と、前記キーユニットのいずれの前記キーによっても作動不能なスイッチ接点とを含んでおり、
前記少数のキーを有するキーユニットのいずれの前記キーによっても作動不能な前記スイッチ接点は、前記キーユニットが前記回路基板に取り付けられた状態で前記制御装置によりスイッチ機能が無効にされたものである
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記少数のキーを有するキーユニットのいずれの前記キーによっても作動不能なスイッチ接点のうちの少なくとも一部は、前記少数のキーを有するキーユニットのいずれかの前記キーによって作動可能なスイッチ接点同士の間に位置している、請求項1または2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記スイッチ接点の近傍にそれぞれ固定されており、前記多数のキーを有するキーユニットまたは前記少数のキーを有するキーユニットが装着された状態で前記キーを前記スイッチ接点の上方に保持するとともに、該キーが押圧されると弾性変形して該キーを前記スイッチ接点に当接させる複数のラバーを有している、
請求項1から3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
複数のスイッチ接点が配置されており、多数のキーを有するキーユニットと少数のキーを有するキーユニットのいずれかが選択的に装着される回路基板を含むキーボード装置の制御方法において、
前記回路基板に設けられたキーユニット検出スイッチによって、前記多数のキーを有するキーユニットと前記少数のキーを有するキーユニットのいずれが前記回路基板に装着されているかを検知し、前記少数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に装着されていることが検知された場合には、複数の前記スイッチ接点のうちの一部のスイッチ接点のみのスイッチ機能を有効にして、それ以外の前記スイッチ接点のスイッチ機能を無効にする
ことを特徴とするキーボード装置の制御方法。
【請求項6】
前記回路基板に設けられたキーユニット検出スイッチによって、前記多数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に装着されていることが検知された場合には、複数の前記スイッチ接点の全てを有効にするか、または、前記少数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に装着されていることが検知された場合に比べてスイッチ機能を有効にするスイッチ接点の数を多くし、スイッチ機能を無効にする前記スイッチ接点の数を少なくする
請求項5に記載のキーボード装置の制御方法。
【請求項7】
複数の前記スイッチ接点がマトリクスを構成するように配置されており、前記少数のキーを有するキーユニットが前記回路基板に装着されていることが検知された場合には、前記マトリクスの外周部分以外の中間領域に位置しているスイッチ接点のうちの少なくとも一部のスイッチ機能を無効にする、
請求項5または6に記載のキーボード装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−69157(P2012−69157A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−276936(P2011−276936)
【出願日】平成23年12月19日(2011.12.19)
【分割の表示】特願2008−42890(P2008−42890)の分割
【原出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】