回路基板およびその組付け方法
【課題】熱カシメしたボスの頭部にバリが形成され難い回路基板およびその組付け方法を実現する。
【解決手段】回路基板1には複数のボス挿通孔2が貫通形成されており、基板面1aにおける各ボス挿通孔2の周囲であってヒータチップ20の凹部21の周縁23が当接する領域3には銅により伝熱部6が形成されている。ボス挿通孔2に挿通されたボス10の頭部11にヒータチップ20の凹部21を被せ、頭部11を加熱溶融する際に、凹部21の周縁23が伝熱部6に当接するため、凹部21及び周縁23の熱が伝熱部6に伝熱する。これにより、凹部21の温度が速やかに低下するため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂中に気泡が発生し難いため、凹部21内の圧力上昇が抑制される。また、凹部21内から浸出しようとしている溶融した熱可塑性樹脂の粘度が低下する。したがって、溶融した熱可塑性樹脂が浸出し難くなり、バリが形成され難い。
【解決手段】回路基板1には複数のボス挿通孔2が貫通形成されており、基板面1aにおける各ボス挿通孔2の周囲であってヒータチップ20の凹部21の周縁23が当接する領域3には銅により伝熱部6が形成されている。ボス挿通孔2に挿通されたボス10の頭部11にヒータチップ20の凹部21を被せ、頭部11を加熱溶融する際に、凹部21の周縁23が伝熱部6に当接するため、凹部21及び周縁23の熱が伝熱部6に伝熱する。これにより、凹部21の温度が速やかに低下するため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂中に気泡が発生し難いため、凹部21内の圧力上昇が抑制される。また、凹部21内から浸出しようとしている溶融した熱可塑性樹脂の粘度が低下する。したがって、溶融した熱可塑性樹脂が浸出し難くなり、バリが形成され難い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスをボス挿通孔に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部を熱カシメすることにより組付け対象物に組付けられる回路基板およびその組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路基板の組付け方法について図を参照して説明する。図11は、ボスを熱カシメする工程を示す工程図である。
【0003】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボス10を回路基板1に貫通形成されたボス挿通孔2に挿通する(工程1)。続いて、ヒータチップ50を下降させ、その底面に形成された凹部51をボス10の頭部11に被せ、凹部51の底面53を頭部11に突き当てる。そして、さらにヒータチップ50を下降させ、底面53の頭部11に対する加圧力が所定値に達すると、底面53が頭部11に突き当たったことが検知される(工程2)。
【0004】
続いて、ヒータチップ50によってボス10の頭部11を押圧しながらヒータチップ50を加熱し(工程3)、ボス10の頭部11の溶融を開始する(工程4)。すると、ヒータチップ50に形成された凹部51の開口面の周縁52が基板1の基板面1aに突き当たる(工程5)。続いて、ヒータチップ50の加熱を継続させる(工程6)。このとき、凹部51の内部で溶融した熱可塑性樹脂中に気泡30が発生し、凹部51の内部圧力が上昇し、溶融した熱可塑性樹脂が凹部51の周縁52と基板面1aとの境界から浸出し、その浸出した物が硬化するとバリ12に成る。
【0005】
続いて、ヒータチップ50を所定時間冷却し(工程7)、その後ヒータチップ50を再加熱し(工程8)、ヒータチップ50を上昇させてボス10から離脱させ、熱カシメを完了する(工程9)。
【0006】
上述したように、従来の回路基板の組付け方法では、ボス10の頭部11にバリ12が発生するため、回路基板1に実装された電子部品がバリ12と干渉し、振動により電子部品が破損するおそれがあった。また、バリ12の発生領域を避けて回路基板1に電子部品を実装すると、有効実装面積が低下してしまう。
【0007】
そこで、係る諸問題を解決するため、ボスの頭部に被せる凹部の開口面の周縁に開口部を形成し、その開口部内に余剰な樹脂を逃がすようにしたヒータチップが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−88415号公報(第12段落、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、本願発明者らは、前述した従来のヒータチップを用いて熱カシメを行った結果、凹部内で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生を抑制することができず、凹部内の圧力が上昇し、溶融した樹脂が開口部以外の箇所から浸出してバリを発生させることがあり、根本的な解決に至らなかった。
【0010】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、熱カシメしたボスの頭部にバリが形成され難い回路基板およびその組付け方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明では、組付け対象物(40)に設けられた熱可塑性樹脂製のボス(10)を挿通するためのボス挿通孔(2)を有する回路基板(1)であって、前記ボス挿通孔に挿通して突出した前記ボスの頭部(11)に熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せ、そのボスの頭部を前記凹部の底面(24)で押圧しながら加熱溶融することにより、前記組付け対象物に組付けられる回路基板において、前記ボス挿通孔の周囲の基板面(1a)であって、前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に被せられた前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁(23)が当接する領域(3)に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部(6)が形成されているという技術的手段を用いる。
【0012】
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、前記領域(3)から前記ボス挿通孔(2)の内壁面(2a)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項3に係る発明では、請求項2に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、さらに前記ボス挿通孔(2)の内壁面(2a)から前記基板面(1a)の反対側の基板面(1b)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記領域(3)には貫通孔(5)が形成されており、前記伝熱部(6)が、さらに前記領域から前記貫通孔の内壁面(5a)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、さらに前記貫通孔(5)の内壁面(5a)から前記基板面(1a)の反対側の基板面(1b)にかけて連続形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5に記載の回路基板(1)において、当該回路基板が多層構造であるとともに前記ボス挿通孔(2)および貫通孔(5)が各層(1a〜1c)を貫通しており、前記伝熱部(6)が、さらに前記貫通孔の内壁面(5a)から各層の境界に連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が金属により形成されているという技術的手段を用いる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の回路基板(1)において、前記金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されているという技術的手段を用いる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記領域の周囲に壁(8)が形成されているという技術的手段を用いる。
【0020】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の回路基板(1)において、前記壁(8)はハンダにより前記伝熱部(6)と接触するように形成されているという技術的手段を用いる。
【0021】
請求項11に記載の発明では、組付け対象物(40)に設けられた熱可塑性樹脂製のボス(10)を回路基板(1)に貫通形成されたボス挿通孔(2)に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部(11)に熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せ、その頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記回路基板を前記組付け対象物に組付ける回路基板の組付け方法において、前記ボス挿通孔の周囲の基板面(1a)であって前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁(23)が当接する領域(3)に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部(6)を配置してから前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せるという技術的手段を用いる。
【0022】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の回路基板の組付け方法において、前記ボス挿通孔(2)から突出した前記ボス(10)の頭部(11)に、前記伝熱部(6)としての金属製ワッシャ(9)を挿通してから前記ボスの頭部に前記熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せるという技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし請求項12に係る発明は、熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が基板面の伝熱部に当接したときに、熱カシメ用部材から発生する熱を伝熱部に伝熱させることができるため、熱カシメ用部材の温度を下げることができる。
したがって、熱カシメ用部材の凹部内で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生を抑制することにより、凹部内の圧力上昇を抑制することができ、かつ、凹部内から浸出しようとしている熱可塑性樹脂の粘度を低下させることができるため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部の開口面の周縁および基板面の境界から浸出し難いので、ボスの頭部にバリが形成され難い。
【0024】
特に、請求項2ないし請求項6に係る発明は、伝熱部の体積の増加によって伝熱部の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部からの放熱効率を高めることができる。
したがって、熱カシメ用部材の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部の体積が増加した分、基板面の伝熱部の面積を小さくすることができる。
【0025】
特に、請求項7に係る発明は、伝熱部が金属により形成されているため、伝熱効率をより一層高めることができるので、バリがより一層形成され難い。
【0026】
また、請求項8に係る発明では、上記の金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されているため、回路を形成する工程において伝熱部を形成することができるので、伝熱部を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
したがって、回路基板の製造効率が低下しない。
【0027】
また、請求項9に係る発明は、熱カシメ用部材に形成された凹部の開口面の周縁が当接する領域の周囲に壁が形成されているため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部および基板面の境界から浸出した場合であっても、壁によって阻止されるので、バリが形成され難い。
【0028】
特に、請求項10に係る発明のように壁をハンダにより形成すれば、回路基板に電子部品を実装する工程においてハンダを塗布して硬化させるリフロー工程を利用して壁を形成することができるので、壁を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
【0029】
また、請求項12に係る発明は、ボス挿通孔から突出したボスの頭部に、伝熱部としての金属製ワッシャを挿通してからボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せるため、熱カシメ用部材から発生する熱を金属製ワッシャに伝熱させることができるので、バリが形成され難い。
【0030】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は回路基板およびケースの斜視図であり、(b)は(a)において破線で囲む部分のボスがボス挿通孔に挿通された場合の拡大図である。
【図2】カバー、回路基板およびケースの斜視図である。
【図3】回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は(a)のA−A矢視断面図およびヒータチップ20の凹部21の断面図である。
【図4】伝熱部が形成された回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は熱カシメ後のA−A矢視断面図である。
【図5】熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の説明図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は裏面図である。
【図6】第2実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は伝熱部を形成する前の(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は伝熱部を形成した後の(a)のA−A矢視断面図であり、(d)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図7】第3実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図8】第4実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図9】第5実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図10】第6実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図11】ボスを熱カシメする工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明に係る実施形態について図を参照して説明する。以下の各実施形態では、この発明に係る回路基板およびその組付け方法として、車両のECU(Electronic Control Unit)に搭載された回路基板およびその組付け方法を例にして説明する。
【0033】
〈第1実施形態〉
図1ないし図4は、第1実施形態に係る回路基板およびその組付け方法を示す説明図である。図1(a)は回路基板およびケースの斜視図であり、(b)は(a)において破線で囲む部分のボスがボス挿通孔に挿通された場合の拡大図である。図2は、カバー、回路基板およびケースの斜視図である。図3は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は(a)のA−A矢視断面図およびヒータチップ20の凹部21の断面図である。図4は伝熱部が形成された回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は熱カシメ後のA−A矢視断面図である。
【0034】
図1(a)に示すように、ECUを構成するケース40には、複数のボス10が上方に向けて突出形成されている。ケース40および各ボス10は、熱可塑性樹脂により一体成形されている。ケース40の側面には、車両に備えられたセンサからの信号線などを接続するためのコネクタ42が設けられている。また、ケース40の開口面の周縁には、ゴム製の防水パッキン41が取付けられている。回路基板1には、ケース40の各ボス10を挿通するための複数のボス挿通孔2が貫通形成されている。
【0035】
図5は熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の説明図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は裏面図である。熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20は、略円筒形に形成された胴部25を備える。胴部25の底面には、ボス10の頭部11を挿入する方向に凹んだ凹部21が形成されている。凹部21は、ボス10の頭部11を加熱溶融して成形するための部分であり、凹部21の内部空間は、ボス10の頭部11を成形する目的の形状に形成されている。
【0036】
凹部21の内径は、ボス挿通孔2の径よりも大きい。この実施形態では、凹部21の内部空間は、略円柱状に形成されており、凹部21の底面は、ボス10の頭部11を挿入する方向に膨らんだ凹面に形成されている。凹部21の周縁23は略リング状に形成されており、その周縁23には、開口部22が切欠き形成されている。この開口部22は、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂のうち、余剰になった部分を溜める空間である。この凹部21に余剰の熱可塑性樹脂を溜めることにより、熱可塑性樹脂の流出を抑制する。
【0037】
図3(a)に示すように、回路基板1の基板面1aには、回路パターンおよび電子部品を配置するための実装領域4(ハッチングを施した部分)が設定されている。図中、符号3で示す領域は、ヒータチップ20に形成された凹部21の開口面の周縁23が当接する領域であり、各ボス挿通孔2の周囲の基板面1aに設定されている。また、領域3は、実装領域4と干渉しないように設定されている。領域3は、ヒータチップ20の周縁23に略対応した形状に形成されており、この実施形態ではリング状である。
【0038】
図4に示すように、各ボス挿通孔2の周囲に設定された領域3には、その領域3よりも熱伝導率の高い伝熱部6が形成されている。この実施形態では、伝熱部6は領域3を含み、かつ、領域3よりも大きいリング状に形成されている。各伝熱部6は、回路領域4に回路パターンを形成する工程において、回路パターンを形成する材料と同じ材料によって形成される。
【0039】
この実施形態では、回路基板1はエポキシ樹脂によって形成されており、領域3はエポキシ樹脂により形成されている。また、回路基板1の回路パターンおよび伝熱部6は、エポキシ樹脂よりも熱伝導率の高い銅により形成されている。伝熱部6の厚さは、たとえば、回路パターンの厚さと同じ18μmである。図4(b),(c)に記載の伝熱部6は、存在を分かり易くするために実際の厚さよりも誇張して描かれている。
【0040】
図1(b)に示すように、ケース40の各ボス10は、回路基板1の対応するボス挿通孔2に挿通され、図11に示した工程を経て熱カシメされる。この熱カシメの工程5において、熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の凹部21の周縁23は、伝熱部6の表面に当接するため、凹部21および周縁23から発生した熱が伝熱部6に伝熱する。
【0041】
これにより、凹部21の温度が速やかに低下するため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生が抑制され、かつ、凹部21内から浸出しようとしている熱可塑性樹脂の粘度が低下する。このため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部21の周縁23および伝熱部6の境界から外部へ浸出し難くなるため、ボス10の頭部11にバリが形成され難い。
【0042】
そして、冷却時間の経過後、ヒータチップ20を上昇させると、図4(c)に示すように、回路基板1はボス10の頭部11によって熱カシメされた状態になる。このヒータチップ20による熱カシメを各ボス10に対して実行し、回路基板1をケース40に固定する。
次に、図2に示すように、カバー43の下部に設けられた孔(図示せず)に、熱カシメにより大径化したボス10の頭部を圧入してカバー43を取付ける。これにより、ケース40およびカバー43の内部に回路基板1が収容されたECUが完成する。
【0043】
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。図6は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は伝熱部を形成する前の(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は伝熱部を形成した後の(a)のA−A矢視断面図であり、(d)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0044】
回路基板1のボス挿通孔2の周囲に形成された領域3には、ボス挿通孔2を囲むようにして複数の貫通孔5が形成されている。基板面1aの領域3に形成された伝熱部6は、さらに各貫通孔5の各内壁面5aにかけて連続形成されている。そしてさらに、各貫通孔5の各内壁面5aに形成された伝熱部6は、基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成されている。貫通孔5は、多層基板にバイアホールを形成する公知の手法によって形成することができる。この実施形態では、貫通孔5の内部は伝熱部6を形成する銅によって充填されている。
【0045】
上述したように、第2実施形態の回路基板1は、伝熱部6が基板面1aにおけるボス挿通孔2の周囲の領域3だけではなく、その領域3に貫通形成された貫通孔5にも連続形成されており、さらに、その貫通孔5から基板面1bにおけるボス挿通孔2の周囲にも連続形成されている。このため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率を高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0046】
〈第3実施形態〉
次に、この発明の第3実施形態について図を参照して説明する。図7は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0047】
基板面1aの領域3に形成された伝熱部6は、さらに領域3からボス挿通孔2の内壁面2aにかけて連続形成されている。そしてさらに、ボス挿通孔2の内壁面2aに形成された伝熱部6は、基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成されている。また、第2実施形態の回路基板1と同様に各貫通孔5の内壁面5aにも伝熱部6が形成されている。つまり、基板面1a,1bに形成された伝熱部6は、ボス挿通孔2の内壁面2aおよび貫通孔5の内壁面5aに形成された伝熱部6によって接続されている。この実施形態では、貫通孔5の内部は伝熱部6を形成する銅によって充填されている。
【0048】
上述したように、第3実施形態の回路基板1は、基板面1a,1bに形成された伝熱部6に連続する伝熱部6がボス挿通孔2の内壁面2aにも形成されているため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率をより一層高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度をより一層効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0049】
〈第4実施形態〉
次に、この発明の第4実施形態について図を参照して説明する。図8は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0050】
この実施形態の回路基板1は層1c〜1eから成る多層構造であり、ボス挿通孔2および貫通孔5が各層を貫通している。各層の境界L1であって貫通孔5の周囲には伝熱部6がそれぞれ形成されている。各層の境界L1に形成された各伝熱部6は、ボス挿通孔2の内壁面2aおよび貫通孔5の内壁面5aに形成された伝熱部6と連続形成されている。
【0051】
上述したように、第4実施形態の回路基板1は多層構造であり、ボス挿通孔2および貫通孔5に形成された伝熱部6に連続する伝熱部6が各層の境界L1にも形成されているため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率をより一層高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度をより一層効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0052】
〈第5実施形態〉
次に、この発明の第5実施形態について図を参照して説明する。図9は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0053】
この実施形態の回路基板1には、ボス挿通孔2の周囲に設定された領域3の周囲であって、伝熱部6の表面に壁8が形成されている。壁8は、ヒータチップ20の凹部21内で溶融した熱可塑性樹脂の浸出を防止するためのものである。つまり、図9(c)に示すように、ヒータチップ20をボス10の頭部11に被せ、その頭部11を加熱溶融したときに、溶融した熱可塑性樹脂が凹部21の周縁23およ伝熱部6の境界から浸出しようとした場合であっても、壁8によって浸出が阻止される。この実施形態では、壁8は、ハンダにより領域3を囲むようにリング状に形成されている。
【0054】
上述したように、第5実施形態の回路基板1は、ヒータチップ20の凹部21の周縁23が当接する領域3の周囲に壁8が形成されているため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂が周縁23および伝熱部6の境界から浸出した場合であっても、壁8によって阻止されるので、バリが形成され難い。
また、壁8はハンダにより形成されており、回路基板1に電子部品を実装する工程においてハンダを塗布して硬化させるリフロー工程を利用して壁8を形成することができるので、壁8を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
【0055】
〈第6実施形態〉
次に、この発明の第6実施形態について図を参照して説明する。図10は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0056】
この実施形態の回路基板1は、ボス10は、金属製ワッシャ9を介して熱カシメされている。つまり、ボス挿通孔2から突出したボス10の頭部11に金属製ワッシャ9を挿通してから熱カシメされている。したがって、図10(b)に示すように、ヒータチップ20の凹部21の周縁23は金属製ワッシャ9に当接するため、凹部21から発生する熱を金属製ワッシャに伝熱させることができるので、バリが形成され難い。
【0057】
〈他の実施形態〉
(1)第1実施形態において、伝熱部6が領域3からボス挿通孔2の内壁面2aにかけて連続形成された構造にすることもできる。また、伝熱部6がボス挿通孔2の内壁面2aから基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成された構造でも良い。
【0058】
これらの構造を用いれば、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率を高めることができる。したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0059】
(2)第5実施形態において、壁8は伝熱部6の表面に形成しないで基板面1aに形成することもできる。
(3)伝熱部6を回路パターンの厚さよりも厚く形成し、伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることもできる。たとえば、100μmの厚さに形成することができる。
(4)伝熱部6は金または銀など、銅以外の金属材料により形成することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1・・回路基板、1a・・基板面、2・・ボス挿通孔、2a・・内壁面、3・・領域、
5・・貫通孔、5a・・内壁面、6・・伝熱部、10・・ボス、11・・頭部、
12・・バリ、20・・ヒータチップ(熱カシメ用部材)、21・・凹部、
23・・周縁、24・・底面。
【技術分野】
【0001】
この発明は、組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスをボス挿通孔に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部を熱カシメすることにより組付け対象物に組付けられる回路基板およびその組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回路基板の組付け方法について図を参照して説明する。図11は、ボスを熱カシメする工程を示す工程図である。
【0003】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボス10を回路基板1に貫通形成されたボス挿通孔2に挿通する(工程1)。続いて、ヒータチップ50を下降させ、その底面に形成された凹部51をボス10の頭部11に被せ、凹部51の底面53を頭部11に突き当てる。そして、さらにヒータチップ50を下降させ、底面53の頭部11に対する加圧力が所定値に達すると、底面53が頭部11に突き当たったことが検知される(工程2)。
【0004】
続いて、ヒータチップ50によってボス10の頭部11を押圧しながらヒータチップ50を加熱し(工程3)、ボス10の頭部11の溶融を開始する(工程4)。すると、ヒータチップ50に形成された凹部51の開口面の周縁52が基板1の基板面1aに突き当たる(工程5)。続いて、ヒータチップ50の加熱を継続させる(工程6)。このとき、凹部51の内部で溶融した熱可塑性樹脂中に気泡30が発生し、凹部51の内部圧力が上昇し、溶融した熱可塑性樹脂が凹部51の周縁52と基板面1aとの境界から浸出し、その浸出した物が硬化するとバリ12に成る。
【0005】
続いて、ヒータチップ50を所定時間冷却し(工程7)、その後ヒータチップ50を再加熱し(工程8)、ヒータチップ50を上昇させてボス10から離脱させ、熱カシメを完了する(工程9)。
【0006】
上述したように、従来の回路基板の組付け方法では、ボス10の頭部11にバリ12が発生するため、回路基板1に実装された電子部品がバリ12と干渉し、振動により電子部品が破損するおそれがあった。また、バリ12の発生領域を避けて回路基板1に電子部品を実装すると、有効実装面積が低下してしまう。
【0007】
そこで、係る諸問題を解決するため、ボスの頭部に被せる凹部の開口面の周縁に開口部を形成し、その開口部内に余剰な樹脂を逃がすようにしたヒータチップが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−88415号公報(第12段落、図1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、本願発明者らは、前述した従来のヒータチップを用いて熱カシメを行った結果、凹部内で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生を抑制することができず、凹部内の圧力が上昇し、溶融した樹脂が開口部以外の箇所から浸出してバリを発生させることがあり、根本的な解決に至らなかった。
【0010】
そこでこの発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、熱カシメしたボスの頭部にバリが形成され難い回路基板およびその組付け方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明では、組付け対象物(40)に設けられた熱可塑性樹脂製のボス(10)を挿通するためのボス挿通孔(2)を有する回路基板(1)であって、前記ボス挿通孔に挿通して突出した前記ボスの頭部(11)に熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せ、そのボスの頭部を前記凹部の底面(24)で押圧しながら加熱溶融することにより、前記組付け対象物に組付けられる回路基板において、前記ボス挿通孔の周囲の基板面(1a)であって、前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に被せられた前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁(23)が当接する領域(3)に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部(6)が形成されているという技術的手段を用いる。
【0012】
請求項2に係る発明では、請求項1に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、前記領域(3)から前記ボス挿通孔(2)の内壁面(2a)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項3に係る発明では、請求項2に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、さらに前記ボス挿通孔(2)の内壁面(2a)から前記基板面(1a)の反対側の基板面(1b)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0014】
請求項4に係る発明では、請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記領域(3)には貫通孔(5)が形成されており、前記伝熱部(6)が、さらに前記領域から前記貫通孔の内壁面(5a)にかけて連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が、さらに前記貫通孔(5)の内壁面(5a)から前記基板面(1a)の反対側の基板面(1b)にかけて連続形成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明では、請求項4または請求項5に記載の回路基板(1)において、当該回路基板が多層構造であるとともに前記ボス挿通孔(2)および貫通孔(5)が各層(1a〜1c)を貫通しており、前記伝熱部(6)が、さらに前記貫通孔の内壁面(5a)から各層の境界に連続形成されているという技術的手段を用いる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記伝熱部(6)が金属により形成されているという技術的手段を用いる。
【0018】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の回路基板(1)において、前記金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されているという技術的手段を用いる。
【0019】
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の回路基板(1)において、前記領域の周囲に壁(8)が形成されているという技術的手段を用いる。
【0020】
請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の回路基板(1)において、前記壁(8)はハンダにより前記伝熱部(6)と接触するように形成されているという技術的手段を用いる。
【0021】
請求項11に記載の発明では、組付け対象物(40)に設けられた熱可塑性樹脂製のボス(10)を回路基板(1)に貫通形成されたボス挿通孔(2)に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部(11)に熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せ、その頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記回路基板を前記組付け対象物に組付ける回路基板の組付け方法において、前記ボス挿通孔の周囲の基板面(1a)であって前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁(23)が当接する領域(3)に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部(6)を配置してから前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せるという技術的手段を用いる。
【0022】
請求項12に記載の発明では、請求項11に記載の回路基板の組付け方法において、前記ボス挿通孔(2)から突出した前記ボス(10)の頭部(11)に、前記伝熱部(6)としての金属製ワッシャ(9)を挿通してから前記ボスの頭部に前記熱カシメ用部材(20)の凹部(21)を被せるという技術的手段を用いる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし請求項12に係る発明は、熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が基板面の伝熱部に当接したときに、熱カシメ用部材から発生する熱を伝熱部に伝熱させることができるため、熱カシメ用部材の温度を下げることができる。
したがって、熱カシメ用部材の凹部内で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生を抑制することにより、凹部内の圧力上昇を抑制することができ、かつ、凹部内から浸出しようとしている熱可塑性樹脂の粘度を低下させることができるため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部の開口面の周縁および基板面の境界から浸出し難いので、ボスの頭部にバリが形成され難い。
【0024】
特に、請求項2ないし請求項6に係る発明は、伝熱部の体積の増加によって伝熱部の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部からの放熱効率を高めることができる。
したがって、熱カシメ用部材の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部の体積が増加した分、基板面の伝熱部の面積を小さくすることができる。
【0025】
特に、請求項7に係る発明は、伝熱部が金属により形成されているため、伝熱効率をより一層高めることができるので、バリがより一層形成され難い。
【0026】
また、請求項8に係る発明では、上記の金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されているため、回路を形成する工程において伝熱部を形成することができるので、伝熱部を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
したがって、回路基板の製造効率が低下しない。
【0027】
また、請求項9に係る発明は、熱カシメ用部材に形成された凹部の開口面の周縁が当接する領域の周囲に壁が形成されているため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部および基板面の境界から浸出した場合であっても、壁によって阻止されるので、バリが形成され難い。
【0028】
特に、請求項10に係る発明のように壁をハンダにより形成すれば、回路基板に電子部品を実装する工程においてハンダを塗布して硬化させるリフロー工程を利用して壁を形成することができるので、壁を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
【0029】
また、請求項12に係る発明は、ボス挿通孔から突出したボスの頭部に、伝熱部としての金属製ワッシャを挿通してからボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せるため、熱カシメ用部材から発生する熱を金属製ワッシャに伝熱させることができるので、バリが形成され難い。
【0030】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】(a)は回路基板およびケースの斜視図であり、(b)は(a)において破線で囲む部分のボスがボス挿通孔に挿通された場合の拡大図である。
【図2】カバー、回路基板およびケースの斜視図である。
【図3】回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は(a)のA−A矢視断面図およびヒータチップ20の凹部21の断面図である。
【図4】伝熱部が形成された回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は熱カシメ後のA−A矢視断面図である。
【図5】熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の説明図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は裏面図である。
【図6】第2実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は伝熱部を形成する前の(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は伝熱部を形成した後の(a)のA−A矢視断面図であり、(d)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図7】第3実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図8】第4実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図9】第5実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図10】第6実施形態の回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【図11】ボスを熱カシメする工程を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明に係る実施形態について図を参照して説明する。以下の各実施形態では、この発明に係る回路基板およびその組付け方法として、車両のECU(Electronic Control Unit)に搭載された回路基板およびその組付け方法を例にして説明する。
【0033】
〈第1実施形態〉
図1ないし図4は、第1実施形態に係る回路基板およびその組付け方法を示す説明図である。図1(a)は回路基板およびケースの斜視図であり、(b)は(a)において破線で囲む部分のボスがボス挿通孔に挿通された場合の拡大図である。図2は、カバー、回路基板およびケースの斜視図である。図3は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は(a)のA−A矢視断面図およびヒータチップ20の凹部21の断面図である。図4は伝熱部が形成された回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図、(c)は熱カシメ後のA−A矢視断面図である。
【0034】
図1(a)に示すように、ECUを構成するケース40には、複数のボス10が上方に向けて突出形成されている。ケース40および各ボス10は、熱可塑性樹脂により一体成形されている。ケース40の側面には、車両に備えられたセンサからの信号線などを接続するためのコネクタ42が設けられている。また、ケース40の開口面の周縁には、ゴム製の防水パッキン41が取付けられている。回路基板1には、ケース40の各ボス10を挿通するための複数のボス挿通孔2が貫通形成されている。
【0035】
図5は熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の説明図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は裏面図である。熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20は、略円筒形に形成された胴部25を備える。胴部25の底面には、ボス10の頭部11を挿入する方向に凹んだ凹部21が形成されている。凹部21は、ボス10の頭部11を加熱溶融して成形するための部分であり、凹部21の内部空間は、ボス10の頭部11を成形する目的の形状に形成されている。
【0036】
凹部21の内径は、ボス挿通孔2の径よりも大きい。この実施形態では、凹部21の内部空間は、略円柱状に形成されており、凹部21の底面は、ボス10の頭部11を挿入する方向に膨らんだ凹面に形成されている。凹部21の周縁23は略リング状に形成されており、その周縁23には、開口部22が切欠き形成されている。この開口部22は、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂のうち、余剰になった部分を溜める空間である。この凹部21に余剰の熱可塑性樹脂を溜めることにより、熱可塑性樹脂の流出を抑制する。
【0037】
図3(a)に示すように、回路基板1の基板面1aには、回路パターンおよび電子部品を配置するための実装領域4(ハッチングを施した部分)が設定されている。図中、符号3で示す領域は、ヒータチップ20に形成された凹部21の開口面の周縁23が当接する領域であり、各ボス挿通孔2の周囲の基板面1aに設定されている。また、領域3は、実装領域4と干渉しないように設定されている。領域3は、ヒータチップ20の周縁23に略対応した形状に形成されており、この実施形態ではリング状である。
【0038】
図4に示すように、各ボス挿通孔2の周囲に設定された領域3には、その領域3よりも熱伝導率の高い伝熱部6が形成されている。この実施形態では、伝熱部6は領域3を含み、かつ、領域3よりも大きいリング状に形成されている。各伝熱部6は、回路領域4に回路パターンを形成する工程において、回路パターンを形成する材料と同じ材料によって形成される。
【0039】
この実施形態では、回路基板1はエポキシ樹脂によって形成されており、領域3はエポキシ樹脂により形成されている。また、回路基板1の回路パターンおよび伝熱部6は、エポキシ樹脂よりも熱伝導率の高い銅により形成されている。伝熱部6の厚さは、たとえば、回路パターンの厚さと同じ18μmである。図4(b),(c)に記載の伝熱部6は、存在を分かり易くするために実際の厚さよりも誇張して描かれている。
【0040】
図1(b)に示すように、ケース40の各ボス10は、回路基板1の対応するボス挿通孔2に挿通され、図11に示した工程を経て熱カシメされる。この熱カシメの工程5において、熱カシメ装置に備えられたヒータチップ20の凹部21の周縁23は、伝熱部6の表面に当接するため、凹部21および周縁23から発生した熱が伝熱部6に伝熱する。
【0041】
これにより、凹部21の温度が速やかに低下するため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂中における気泡の発生が抑制され、かつ、凹部21内から浸出しようとしている熱可塑性樹脂の粘度が低下する。このため、溶融した熱可塑性樹脂が凹部21の周縁23および伝熱部6の境界から外部へ浸出し難くなるため、ボス10の頭部11にバリが形成され難い。
【0042】
そして、冷却時間の経過後、ヒータチップ20を上昇させると、図4(c)に示すように、回路基板1はボス10の頭部11によって熱カシメされた状態になる。このヒータチップ20による熱カシメを各ボス10に対して実行し、回路基板1をケース40に固定する。
次に、図2に示すように、カバー43の下部に設けられた孔(図示せず)に、熱カシメにより大径化したボス10の頭部を圧入してカバー43を取付ける。これにより、ケース40およびカバー43の内部に回路基板1が収容されたECUが完成する。
【0043】
〈第2実施形態〉
次に、この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。図6は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は伝熱部を形成する前の(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は伝熱部を形成した後の(a)のA−A矢視断面図であり、(d)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0044】
回路基板1のボス挿通孔2の周囲に形成された領域3には、ボス挿通孔2を囲むようにして複数の貫通孔5が形成されている。基板面1aの領域3に形成された伝熱部6は、さらに各貫通孔5の各内壁面5aにかけて連続形成されている。そしてさらに、各貫通孔5の各内壁面5aに形成された伝熱部6は、基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成されている。貫通孔5は、多層基板にバイアホールを形成する公知の手法によって形成することができる。この実施形態では、貫通孔5の内部は伝熱部6を形成する銅によって充填されている。
【0045】
上述したように、第2実施形態の回路基板1は、伝熱部6が基板面1aにおけるボス挿通孔2の周囲の領域3だけではなく、その領域3に貫通形成された貫通孔5にも連続形成されており、さらに、その貫通孔5から基板面1bにおけるボス挿通孔2の周囲にも連続形成されている。このため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率を高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0046】
〈第3実施形態〉
次に、この発明の第3実施形態について図を参照して説明する。図7は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0047】
基板面1aの領域3に形成された伝熱部6は、さらに領域3からボス挿通孔2の内壁面2aにかけて連続形成されている。そしてさらに、ボス挿通孔2の内壁面2aに形成された伝熱部6は、基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成されている。また、第2実施形態の回路基板1と同様に各貫通孔5の内壁面5aにも伝熱部6が形成されている。つまり、基板面1a,1bに形成された伝熱部6は、ボス挿通孔2の内壁面2aおよび貫通孔5の内壁面5aに形成された伝熱部6によって接続されている。この実施形態では、貫通孔5の内部は伝熱部6を形成する銅によって充填されている。
【0048】
上述したように、第3実施形態の回路基板1は、基板面1a,1bに形成された伝熱部6に連続する伝熱部6がボス挿通孔2の内壁面2aにも形成されているため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率をより一層高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度をより一層効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0049】
〈第4実施形態〉
次に、この発明の第4実施形態について図を参照して説明する。図8は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0050】
この実施形態の回路基板1は層1c〜1eから成る多層構造であり、ボス挿通孔2および貫通孔5が各層を貫通している。各層の境界L1であって貫通孔5の周囲には伝熱部6がそれぞれ形成されている。各層の境界L1に形成された各伝熱部6は、ボス挿通孔2の内壁面2aおよび貫通孔5の内壁面5aに形成された伝熱部6と連続形成されている。
【0051】
上述したように、第4実施形態の回路基板1は多層構造であり、ボス挿通孔2および貫通孔5に形成された伝熱部6に連続する伝熱部6が各層の境界L1にも形成されているため、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率をより一層高めることができる。
したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度をより一層効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0052】
〈第5実施形態〉
次に、この発明の第5実施形態について図を参照して説明する。図9は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図であり、(c)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0053】
この実施形態の回路基板1には、ボス挿通孔2の周囲に設定された領域3の周囲であって、伝熱部6の表面に壁8が形成されている。壁8は、ヒータチップ20の凹部21内で溶融した熱可塑性樹脂の浸出を防止するためのものである。つまり、図9(c)に示すように、ヒータチップ20をボス10の頭部11に被せ、その頭部11を加熱溶融したときに、溶融した熱可塑性樹脂が凹部21の周縁23およ伝熱部6の境界から浸出しようとした場合であっても、壁8によって浸出が阻止される。この実施形態では、壁8は、ハンダにより領域3を囲むようにリング状に形成されている。
【0054】
上述したように、第5実施形態の回路基板1は、ヒータチップ20の凹部21の周縁23が当接する領域3の周囲に壁8が形成されているため、凹部21の内部で溶融した熱可塑性樹脂が周縁23および伝熱部6の境界から浸出した場合であっても、壁8によって阻止されるので、バリが形成され難い。
また、壁8はハンダにより形成されており、回路基板1に電子部品を実装する工程においてハンダを塗布して硬化させるリフロー工程を利用して壁8を形成することができるので、壁8を形成するための特別な工程を追加する必要がない。
【0055】
〈第6実施形態〉
次に、この発明の第6実施形態について図を参照して説明する。図10は回路基板の説明図であり、(a)は平面図、(b)は熱カシメを行った後のA−A矢視断面図である。
【0056】
この実施形態の回路基板1は、ボス10は、金属製ワッシャ9を介して熱カシメされている。つまり、ボス挿通孔2から突出したボス10の頭部11に金属製ワッシャ9を挿通してから熱カシメされている。したがって、図10(b)に示すように、ヒータチップ20の凹部21の周縁23は金属製ワッシャ9に当接するため、凹部21から発生する熱を金属製ワッシャに伝熱させることができるので、バリが形成され難い。
【0057】
〈他の実施形態〉
(1)第1実施形態において、伝熱部6が領域3からボス挿通孔2の内壁面2aにかけて連続形成された構造にすることもできる。また、伝熱部6がボス挿通孔2の内壁面2aから基板面1aの反対側の基板面1bにかけて連続形成された構造でも良い。
【0058】
これらの構造を用いれば、伝熱部6の体積の増加によって伝熱部6の熱容量を大きくすることができるとともに、伝熱部6からの放熱効率を高めることができる。したがって、ヒータチップ20の凹部21の温度を効率良く下げることができるため、バリがより一層形成され難い。また、伝熱部6の体積が増加した分、基板面のボス挿通孔2の周囲に形成する伝熱部6の面積を小さくすることができる。
【0059】
(2)第5実施形態において、壁8は伝熱部6の表面に形成しないで基板面1aに形成することもできる。
(3)伝熱部6を回路パターンの厚さよりも厚く形成し、伝熱部6の熱容量をより一層大きくすることもできる。たとえば、100μmの厚さに形成することができる。
(4)伝熱部6は金または銀など、銅以外の金属材料により形成することもできる。
【符号の説明】
【0060】
1・・回路基板、1a・・基板面、2・・ボス挿通孔、2a・・内壁面、3・・領域、
5・・貫通孔、5a・・内壁面、6・・伝熱部、10・・ボス、11・・頭部、
12・・バリ、20・・ヒータチップ(熱カシメ用部材)、21・・凹部、
23・・周縁、24・・底面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスを挿通するためのボス挿通孔を有する回路基板であって、前記ボス挿通孔に挿通して突出した前記ボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せ、そのボスの頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記組付け対象物に組付けられる回路基板において、
前記ボス挿通孔の周囲の基板面であって、前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に被せられた前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が当接する領域に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部が形成されていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記伝熱部が、前記領域から前記ボス挿通孔の内壁面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記伝熱部が、さらに前記ボス挿通孔の内壁面から前記基板面の反対側の基板面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記領域には貫通孔が形成されており、
前記伝熱部が、さらに前記領域から前記貫通孔の内壁面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項5】
前記伝熱部が、さらに前記貫通孔の内壁面から前記基板面の反対側の基板面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
当該回路基板が多層構造であるとともに前記ボス挿通孔および貫通孔が各層を貫通しており、
前記伝熱部が、さらに前記貫通孔の内壁面から各層の境界に連続形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の回路基板。
【請求項7】
前記伝熱部が金属により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項8】
前記金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記領域の周囲に壁が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項10】
前記壁はハンダにより前記伝熱部と接触するように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスを回路基板に貫通形成されたボス挿通孔に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せ、その頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記回路基板を前記組付け対象物に組付ける回路基板の組付け方法において、
前記ボス挿通孔の周囲の基板面であって前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が当接する領域に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部を配置してから前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せることを特徴とする回路基板の組付け方法。
【請求項12】
前記ボス挿通孔から突出した前記ボスの頭部に、前記伝熱部としての金属製ワッシャを挿通してから前記ボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せることを特徴とする請求項11に記載の回路基板の組付け方法。
【請求項1】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスを挿通するためのボス挿通孔を有する回路基板であって、前記ボス挿通孔に挿通して突出した前記ボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せ、そのボスの頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記組付け対象物に組付けられる回路基板において、
前記ボス挿通孔の周囲の基板面であって、前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に被せられた前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が当接する領域に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部が形成されていることを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記伝熱部が、前記領域から前記ボス挿通孔の内壁面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記伝熱部が、さらに前記ボス挿通孔の内壁面から前記基板面の反対側の基板面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記領域には貫通孔が形成されており、
前記伝熱部が、さらに前記領域から前記貫通孔の内壁面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項5】
前記伝熱部が、さらに前記貫通孔の内壁面から前記基板面の反対側の基板面にかけて連続形成されていることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
当該回路基板が多層構造であるとともに前記ボス挿通孔および貫通孔が各層を貫通しており、
前記伝熱部が、さらに前記貫通孔の内壁面から各層の境界に連続形成されていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の回路基板。
【請求項7】
前記伝熱部が金属により形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項8】
前記金属が当該回路基板に形成された回路と同じ材料により形成されていることを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記領域の周囲に壁が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1つに記載の回路基板。
【請求項10】
前記壁はハンダにより前記伝熱部と接触するように形成されていることを特徴とする請求項9に記載の回路基板。
【請求項11】
組付け対象物に設けられた熱可塑性樹脂製のボスを回路基板に貫通形成されたボス挿通孔に挿通し、そのボス挿通孔から突出したボスの頭部に熱カシメ用部材の凹部を被せ、その頭部を前記凹部の底面で押圧しながら加熱溶融することにより、前記回路基板を前記組付け対象物に組付ける回路基板の組付け方法において、
前記ボス挿通孔の周囲の基板面であって前記熱カシメ用部材の凹部の開口面の周縁が当接する領域に、その領域よりも熱伝導率の高い伝熱部を配置してから前記ボス挿通孔から突出したボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せることを特徴とする回路基板の組付け方法。
【請求項12】
前記ボス挿通孔から突出した前記ボスの頭部に、前記伝熱部としての金属製ワッシャを挿通してから前記ボスの頭部に前記熱カシメ用部材の凹部を被せることを特徴とする請求項11に記載の回路基板の組付け方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−254001(P2011−254001A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127977(P2010−127977)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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