回路基板およびその製造方法、および電子機器
【課題】接続抵抗を低減することの可能な回路基板およびその製造方法、ならびに、上記の回路基板を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板は、素子と、接続端子と、これらを電気的に接続するコンタクト構造とを備えている。ここで、コンタクト構造は、接続端子側に設けられたAl系金属層と、Al系金属層上に設けられた有機導電層と、有機導電層上に設けられるとともに素子と接する導電層とを有している。
【解決手段】回路基板は、素子と、接続端子と、これらを電気的に接続するコンタクト構造とを備えている。ここで、コンタクト構造は、接続端子側に設けられたAl系金属層と、Al系金属層上に設けられた有機導電層と、有機導電層上に設けられるとともに素子と接する導電層とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子などの素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備えた回路基板およびその製造方法に関する。また、本技術は、上記回路基板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置が開発され、商品化が進められている。有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)では、光源(バックライト)が必要ないので、光源を必要とする液晶表示装置と比べて、薄型化、高輝度化することができる。特に、駆動方式としてアクティブマトリクス方式を用いた場合には、各画素をホールド点灯させることができ、低消費電力化することもできる。そのため、有機EL表示装置は、次世代のフラットパネルディスプレイの主流になると期待されている。
【0003】
上述したように、有機EL素子は、電流を供給して発光させるものである。そのため、配線抵抗が高く、配線での電圧降下が大きいと、有機EL素子に流れる電流が電圧降下の分だけ変動し、表示輝度も変動してしまう。従って、配線材料として抵抗率の低い金属を使用する必要がある。また、最も大きな電流が流れるのは、複数の有機EL素子からの電流が流れる共通電極(カソード電極)であるので、抵抗率が高いと多量の電流により大きな電圧降下を生じ、表示品質が低下してしまう。そこで、回路基板の全体的な電圧降下を防止するために、外部への取り出し端子(接続端子)と共通電極が配置される領域との間に、接続端子と共通電極を電気的に接続するコンタクト構造を設けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−357584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンタクト構造のうち接続端子に接する金属パターンとして、AlやAl合金が用いられている場合には、金属パターンの表面が酸化されやすい状態となる。そのため、金属パターンの表面が酸化された状態でコンタクト構造が形成された場合には、共通電極と接続端子との接続抵抗が増加するので、コンタクト構造において大きな電圧降下が生じてしまうという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、接続抵抗を低減することの可能な回路基板およびその製造方法を提供することにある。また、第2の目的は、上記回路基板を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備えたものである。コンタクト構造は、接続端子側に設けられたAl系金属層と、Al系金属層上に設けられた有機導電層と、有機導電層上に設けられるとともに素子と接する導電層とを有している。本技術による電子機器は、上記の回路基板を備えたものである。
【0008】
本技術の回路基板の製造方法は、素子と、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法である。この製造方法は、接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、有機導電層上に、素子と接する導電層を形成することによりコンタクト構造を形成する工程を含んでいる。
【0009】
本技術の回路基板およびその製造方法、ならびに電子機器では、コンタクト構造において、Al系金属層上に有機導電層が設けられており、導電層は有機導電層を介してAl系金属層と電気的に接続されている。このように、有機導電層がAl系金属層の表面を被覆することにより、製造過程におけるAl系金属層の表面酸化が抑制される。また、有機導電層自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造における正孔注入性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本技術の回路基板およびその製造方法、ならびに電子機器によれば、有機導電層でAl系金属層の表面を被覆することにより製造過程におけるAl系金属層の表面酸化を抑制するようにしたので、素子と接続端子との接続抵抗を低減することができる。また、有機導電層自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、素子と接続端子との接続抵抗をより一層、低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技術による一実施の形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図2】図1の画素の回路構成の一例を表す図である。
【図3】図1の表示パネル内の平面構成の一例を表す図である。
【図4】図1の表示パネルの断面構成の一例を表す図である。
【図5】図1の表示パネルの一部の断面構成の一例を表す図である。
【図6】図5の回路基板の製造過程の一例を示す断面図である。
【図7】上記各実施の形態の発光装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図8】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図9】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図10】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図11】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.適用例
【0013】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る表示装置1の概略構成を表したものである。この表示装置1は、表示パネル10と、表示パネル10を駆動する駆動回路20とを備えている。駆動回路20は、例えば、タイミング生成回路21、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24、および電源線駆動回路25を有している。
【0014】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11が表示パネル10の表示領域10A全面に渡って2次元配置されたものである。表示パネル10は、駆動回路20によって各画素11がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された映像信号20Aに基づく画像を表示するものである。図2は、画素11の回路構成の一例を表したものである。画素11は、例えば、画素回路12と、有機EL素子13とを有している。有機EL素子13は、例えば、アノード電極、有機層およびカソード電極が順に積層された構成を有している。アノード電極は、後述のアノード電極13Aに相当し、有機層は、後述の有機層13Bに相当し、カソード電極は、後述のカソード電極13Cに相当する。
【0015】
画素回路12は、例えば、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタTr2および保持容量Csによって構成されたものであり、2Tr1Cの回路構成となっている。書き込みトランジスタTr2は、後述の信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに駆動トランジスタTr1のゲートに書き込むものである。駆動トランジスタTr1は、書き込みトランジスタTr2によって書き込まれた電圧の大きさに応じて有機EL素子13に流れる電流を制御するものである。保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。なお、画素回路12は、上述の2Tr1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
【0016】
駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により形成されている。なお、TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(トップゲート型)であってもよい。また、駆動トランジスタTr1または書き込みトランジスタTr2は、pチャネルMOS型のTFTであってもよい。
【0017】
表示パネル10は、行方向に延在する複数の書込線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLと、行方向に延在する複数の電源線DSLとを有している。各信号線DTLと各書込線WSLとの交差点近傍には、画素11が設けられている。各信号線DTLは、後述の信号線駆動回路23の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のソースまたはドレインとに接続されている。各書込線WSLは、後述の走査線駆動回路24の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のゲートに接続されている。各電源線DSLは、固定の電圧を出力する電源の出力端(図示せず)と、駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインに接続されている。
【0018】
書き込みトランジスタTr2のゲートは、書込線WSLに接続されている。書き込みトランジスタTr2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続され、書き込みトランジスタTr2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続され、駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機EL素子13のアノードに接続されている。保持容量Csの一端が駆動トランジスタTr1のゲートに接続され、保持容量Csの他端が駆動トランジスタTr1のソース(図2では有機EL素子13側の端子)に接続されている。つまり、保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に挿入されている。
【0019】
表示パネル10は、さらに、図2に示したように、有機EL素子13のカソードに接続されたカソード線CTLを有している。カソード線CTLは、基準電位(例えばグラウンド電位)となっている外部回路(図示せず)と電気的に接続されるものである。図3は、表示パネル10内の平面構成の一例を模式的に表したものである。カソード線CTLは、例えば、図3に示したように、表示領域10A全体に渡って形成されたシート状の電極である。なお、カソード線CTLは、図示しないが、画素行または画素列に対応して短冊状に形成された帯状の電極であってもよい。カソード線CTLは、上述したように、複数の有機EL素子13に接続されている。従って、カソード線CTLは、複数の有機EL素子13から集約された多量の電流が流れたときの電圧降下の低い材料で構成されていることが好ましい。
【0020】
表示パネル10は、さらに、例えば、図3に示したように、表示領域10Aの周縁に相当するフレーム領域10Bに、コンタクト構造14および接続端子15を有している。コンタクト構造14は、有機EL素子13と接続端子15とを電気的に接続するものである。なお、コンタクト構造14および接続端子15の詳細は、表示パネル10内の構造についての説明と併せて行うものとする。
【0021】
(表示パネル10内の構造)
次に、図3〜図5を参照しつつ、表示パネル10内の構造について説明する。図4は、図3の表示パネル10のA−A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。図5は、図3の表示パネル10のB−B矢視方向の断面構成の一例を表したものである。表示パネル10は、例えば、図4に示したように、回路基板30と封止基板40とが封止層50を介して貼り合わされた構造となっている。
【0022】
回路基板30は、例えば、図5に示したように、支持基板16の上に、画素回路12、有機EL素子13、コンタクト構造14、および接続端子15を有している。画素回路12、有機EL素子13、コンタクト構造14、および接続端子15は、回路基板30において、封止基板40側に形成されている。封止基板40は、回路基板30の上面(つまり、封止基板40側の表面)に形成された有機EL素子13等を保護する役割を有している。ここで、回路基板30は、有機EL素子13で生じた光を封止基板40側に向かって出射するように構成されており、いわゆるトップエミッション構造となっている。従って、表示パネル10において、封止基板40の上面(つまり、回路基板30とは反対側の表面)が映像表示面となっている。
【0023】
画素回路12および有機EL素子13は、表示領域10Aに配置されており、コンタクト構造14および接続端子15は、フレーム領域10Bに配置されている。有機EL素子13は、例えば、図5に示したように、画素回路12側に設けられたアノード電極13A(第1電極)と、アノード電極13A上に設けられた有機層13Bと、有機層13B上に設けられたカソード電極13C(第2電極)とを有している。コンタクト構造14は、例えば、図5に示したように、接続端子15側に設けられたAl系金属層14Aと、Al系金属層14A上に設けられた有機導電層14Bと、有機導電層14B上に設けられた半透過型金属層14C(導電層)とを有している。
【0024】
回路基板30は、さらに、例えば、図5に示したように、画素回路12と有機EL素子13との間に、絶縁層17を有している。絶縁層17は、コンタクト構造14と接続端子15との間にも設けられている。絶縁層17は、例えば、絶縁層17Aと絶縁層17Bを積層して構成されている。回路基板30は、例えば、絶縁層17Aと絶縁層17Bとの間に、有機EL素子13から発せられた光を遮る遮光層19を有している。遮光層19は、有機EL素子13から発せられた光が迷光となって回路基板30内を伝播するのを防止するために設けられている。なお、絶縁層17は、単層となっていてもよい。また、遮光層19は、上記とは異なる箇所に設けられていてもよい。
【0025】
有機EL素子13およびコンタクト構造14は、ともに、共通の絶縁層17上に設けられている。画素回路12および有機EL素子13は、絶縁層17を貫通する接続部18Aを介して、互いに接続されている。具体的には、画素回路12内の駆動トランジスタTr1と、有機EL素子13内のアノード電極13Aとが、接続部18Aを介して、互いに接続されている。なお、接続部18Aが、アノード電極13Aと一体に形成されたものであってもよい。有機EL素子13およびコンタクト構造14は、カソード線CTLを介して、互いに接続されている。具体的には、有機EL素子13内のカソード電極13Cと、コンタクト構造14内の半透過型金属層14Cとが、カソード線CTLを介して、互いに接続されている。コンタクト構造14および接続端子15は、絶縁層17を貫通する接続部18Bを介して、互いに接続されている。具体的には、コンタクト構造14内のAl系金属層14Aと、接続端子15の一端とが、接続部18Bを介して、互いに接続されている。つまり、コンタクト構造14が、有機EL素子13と接続端子15とを互いに電気的に接続している。なお、接続部18Bが、Al系金属層14Aと一体に形成されたものであってもよい。接続端子15の他端は、絶縁層17等で被覆されておらず、表示パネル10の上面に露出している。接続端子15の他端は、例えば、表示パネル10の端部に設けられており、コネクタなどによる接続が容易な構成となっている。
【0026】
有機EL素子13において、アノード電極13Aは、有機層13Bへ正孔を注入するものである。アノード電極13Aは、さらに、有機層13Bで生じた光をカソード電極13C側に反射する機能も有している。アノード電極13Aは、例えば、正孔注入性が良く、かつ反射率の高い材料で構成されている。「正孔注入性がよく、かつ反射率の高い材料」としては、例えばAl系金属が挙げられる。Al系金属は、AlやAl合金を含む概念である。有機層13Bは、有機層13B内に流れる電流量に応じた明るさで発光するものである。有機層13Bは、例えば、アノード電極13A側から順に、正孔注入効率を高める正孔注入層と、後述の発光層への正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合により発光する発光層と、発光層への電子輸送効率を高める電子輸送層とを積層してなる積層構造を有している。カソード電極13Cは、有機層13Bへ電子を注入するためのものである。カソード電極13Cは、さらに、有機層13Bで生じた光を透過する性質も有している。カソード電極13Cは、電子注入性が良く、かつ光透過性の良い材料で構成されている。「電子注入性が良く、かつ光透過性の良い材料」としては、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料が挙げられる。
【0027】
コンタクト構造14において、Al系金属層14Aは、例えば、上述のAl系金属によって構成されている。Al系金属層14Aは、例えば、アノード電極13Aの形成工程と同一工程で、アノード電極13Aと共に形成されたものであり、アノード電極13Aと同一材料および同一厚さで形成されている。また、有機導電層14Bは、例えば、有機層13B内の少なくとも一部の層と同一の材料で構成されており、好ましくは、有機層13B内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている。有機導電層14Bは、例えば、有機層13Bの形成工程の少なくとも一部の工程で、有機層13Bと共に形成されたものであり、好ましくは、有機層13B内の少なくとも正孔注入層と同一材料および同一厚さの層を含んで形成されている。なお、有機導電層14Bは、有機層13B内の発光層と同一の材料を含まないことが好ましく、有機層13B内の正孔注入層と同一の材料だけで構成されていることが好ましい。また、半透過型金属層14Cは、光透過性を有する導電層の一形態であり、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料で構成されている。半透過型金属層14Cは、例えば、カソード電極13Cの形成工程と同一工程で、カソード電極13Cと共に形成されたものであり、カソード電極13Cと同一材料および同一厚さで形成されている。
【0028】
カソード線CTLは、半透過型金属層14Cと同様、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料で構成されている。カソード線CTLは、例えば、カソード電極13Cの形成工程と同一工程で、カソード電極13Cと共に形成されたものであり、カソード電極13Cと同一材料および同一厚さで形成されている。つまり、カソード線CTLが、実質的には、有機EL素子13およびコンタクト構造14を被覆しており、カソード電極13Cおよび半透過型金属層14Cが、カソード線CTLを共用している、と言える。
【0029】
(駆動回路20)
次に、駆動回路20について簡単に説明する。駆動回路20は、上述したように、例えば、図1に示したように、タイミング生成回路21、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24および電源線駆動回路25を有している。タイミング生成回路21は、駆動回路20内の各回路が連動して動作するように制御するものである。タイミング生成回路21は、例えば、外部から入力された同期信号20Bに応じて(同期して)、上述した各回路に対して制御信号21Aを出力するようになっている。
【0030】
映像信号処理回路22は、外部から入力されたデジタルの映像信号20Aを補正すると共に、補正した後の映像信号をアナログに変換して信号線駆動回路23に出力するものである。信号線駆動回路23は、映像信号処理回路22から入力されたアナログの映像信号を、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)各信号線DTLに出力するものである。走査線駆動回路24は、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数の書込線WSLを所定の単位ごとに順次選択するものである。電源線駆動回路25は、例えば、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数の電源線DSLを所定の単位ごとに順次選択するものである。なお、コンタクト構造14を介して接続端子15から出力される電流量は、電源線駆動回路25による電源線DSLの選択の態様に応じて変化する。
【0031】
[回路基板30の製造方法]
次に、回路基板30の製造方法の一例について説明する。まず、支持基板16上に、画素回路12および接続端子15を形成し、それらを絶縁層17で覆う。このとき、絶縁層17内に、遮光層19も併せて形成する。次に、絶縁層17上に、アノード電極13AおよびAl系金属層14Aを形成する。具体的には、絶縁層17に貫通孔を形成し、貫通孔に対応して接続部18A,18Bを形成したのち、接続部18Aに接するようにアノード電極13Aを形成するとともに、接続部18Bに接するようにAl系金属層14Aを形成する(図6(A))。これにより、絶縁層17上に、画素回路12に電気的に接続されたアノード電極13Aを形成する工程と同一の工程で、接続端子15に電気的に接続されたAl系金属層14Aを形成することができる。言い方を変えると、接続端子15に電気的に接続されたAl系金属層14Aを形成する工程と同一の工程で、画素回路12に電気的に接続されたアノード電極13Aを形成することができる。
【0032】
次に、アノード電極13Aと対応する領域に開口を有するマスク(図示せず)を使って、アノード電極13A上に有機層13Bを形成する。さらに、このときに、有機層13Bの形成工程のうち少なくとも一部の工程で、Al系金属層14Aと対応する領域にも開口を有するマスク(図示せず)を使って、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する(図6(B))。例えば、有機層13Bの形成工程のうち少なくとも正孔注入層の形成工程と同一工程で、Al系金属層14Aと対応する領域にも開口を有するマスク(図示せず)を使って、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する。言い換えると、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する工程を含む工程で、アノード電極13A上に有機層13Bを形成する。なお、アノード電極13Aと対応する領域の開口と、Al系金属層14Aと対応する領域の開口とが共通の1つの開口で構成されていてもよい。
【0033】
これにより、有機層13Bの形成過程で、Al系金属層14Aの表面が有機導電層14Bによって被覆されるので、Al系金属層14Aの表面酸化が促進されるのを防ぐことができる。また、有機導電層14B自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造14における正孔注入性が向上する。従って、これらの要因で、後の工程で形成する半透過型金属層14Cを、Al系金属層14Aの表面に、低抵抗で接触させることが可能となる。
【0034】
次に、有機層13Bおよび有機導電層14Bを含む広い領域(表示領域10Aを含む広い領域)に、カソード線CTLを形成する。これにより、有機層13B上にカソード電極13Cを形成する工程と同一の工程で、有機導電層14B上に半透過型金属層14Cを形成することができる。言い方を変えると、有機導電層14B上に半透過型金属層14Cを形成する工程と同一の工程で、有機層13B上にカソード電極13Cを形成することができる。さらに、上記の工程により、有機EL素子13と、コンタクト構造14とを、カソード線CTLを介して互いに接続することができる。その結果、有機EL素子13と、接続端子15とを、コンタクト構造14を介して、互いに電気的に接続することができる。
【0035】
[効果]
次に、本実施の形態における効果について説明する。
【0036】
ところで、有機EL素子は、電流を供給して発光させるものである。そのため、配線抵抗が高く、配線での電圧降下が大きいと、有機EL素子に流れる電流が電圧降下の分だけ変動し、表示輝度も変動してしまう。従って、配線材料として抵抗率の低い金属を使用する必要がある。また、最も大きな電流が流れるのは、複数の有機EL素子からの電流が流れる共通電極(カソード電極)であるので、抵抗率が高いと多量の電流により大きな電圧降下を生じ、表示品質が低下してしまう。そこで、従来では、回路基板の全体的な電圧降下を防止するために、外部への取り出し端子(接続端子)と共通電極が配置される領域との間に、接続端子と共通電極を電気的に接続するコンタクト構造を設けることが行われていた。
【0037】
しかし、コンタクト構造のうち接続端子に接する金属パターンとして、AlやAl合金が用いられている場合には、金属パターンの表面が酸化されやすい状態となる。そのため、金属パターンの表面が酸化された状態でコンタクト構造が形成された場合には、共通電極と接続端子との接続抵抗が増加するので、コンタクト構造において大きな電圧降下が生じてしまうという問題があった。
【0038】
一方、本実施の形態では、コンタクト構造14において、Al系金属層14A上に有機導電層14Bが設けられており、半透過型金属層14Cは有機導電層14Bを介してAl系金属層14Aと電気的に接続されている。このように、有機導電層14BがAl系金属層14Aの表面を被覆することにより、製造過程におけるAl系金属層14Aの表面酸化を抑制することができる。その結果、有機EL素子13と接続端子15との接続抵抗を低減することができる。さらに、有機導電層14B自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造14における正孔注入性を向上させることができる。その結果、有機EL素子13と接続端子15との接続抵抗をより一層、低減することができる。
【0039】
<2.適用例>
以下、上記実施の形態で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0040】
(第1適用例)
図7は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0041】
(第2適用例)
図8は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0042】
(第3適用例)
図9は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0043】
(第4適用例)
図10は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0044】
(第5適用例)
図11は、上記実施の形態の表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0045】
以上、実施の形態および適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0046】
例えば、本技術は、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などに限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0047】
また、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス駆動のための画素回路12の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素回路12の変更に応じて、上述した信号線駆動回路23や、走査線駆動回路24、電源線駆動回路25などの他に、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0048】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備え、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
回路基板。
(2)
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記素子は、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられるとともに前記導電層を兼ねた第2電極層とを有する
(1)に記載の回路基板。
(3)
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を有し、
前記有機導電層は、前記有機層内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている
(2)に記載の回路基板。
(4)
前記導電層は、光透過性を有する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の回路基板。
(5)
回路基板を備え、
前記回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を有し、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
電子機器。
(6)
素子と、前記素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法であって、
前記接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、前記Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、前記有機導電層上に、前記素子と接する導電層を形成することにより前記コンタクト構造を形成する
回路基板の製造方法。
(7)
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記Al系金属層の形成工程と同一工程で、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層を形成し、前記有機導電層の形成工程を含む工程で、前記第1電極層上に有機層を形成し、前記導電層の形成工程と同一工程で、前記有機層上に、前記導電層を兼ねた第2電極層を形成する
(6)に記載の回路基板の製造方法。
(8)
前記有機層は、正孔注入効率を高める正孔注入層と、正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合による発光を生じさせる発光層と、電子輸送効率を高める電子輸送層とを有し、
前記有機層の形成工程のうち少なくとも前記正孔注入層の形成工程と同一工程で、前記有機導電層を形成する
(6)または(7)に記載の回路基板の製造方法。
【符号の説明】
【0049】
1…表示装置、10…表示パネル、10A…表示領域、10B…フレーム領域、11…画素、12…画素回路、13…有機EL素子、13A…アノード電極、13B…有機層、13C…カソード電極、14…コンタクト構造、14A…Al系金属層、14B…有機導電層、14C…半透過型金属層、15…接続端子、16…支持基板、17,17A,17B…絶縁層、18A,18B…接続部、19…遮光層、20…駆動回路、20A…映像信号、20B…同期信号、21…タイミング生成回路、21A…制御信号、22…映像信号処理回路、23…信号線駆動回路、24…書込線駆動回路、25…電源線駆動回路、30…回路基板、40…封止基板、50…封止層、300…映像表示画面部、310…フロントパネル、320…フィルターガラス、410…発光部、420,530,640…表示部、430…メニュースイッチ、440…シャッターボタン、510…本体、520…キーボード、610…本体部、620…レンズ、630…スタート/ストップスイッチ、710…上側筐体、720…下側筐体、730…連結部、740…ディスプレイ、750…サブディスプレイ、760…ピクチャーライト、770…カメラ、Cs…保持容量、CTL…カソード線、DTL…信号線、DSL…電源線、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…書き込みトランジスタ、WSL…走査線。
【技術分野】
【0001】
本技術は、例えば有機EL(Electro Luminescence)素子などの素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備えた回路基板およびその製造方法に関する。また、本技術は、上記回路基板を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像表示を行う表示装置の分野では、画素の発光素子として、流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の光学素子、例えば有機EL素子を用いた表示装置が開発され、商品化が進められている。有機EL素子は、液晶素子などと異なり自発光素子である。そのため、有機EL素子を用いた表示装置(有機EL表示装置)では、光源(バックライト)が必要ないので、光源を必要とする液晶表示装置と比べて、薄型化、高輝度化することができる。特に、駆動方式としてアクティブマトリクス方式を用いた場合には、各画素をホールド点灯させることができ、低消費電力化することもできる。そのため、有機EL表示装置は、次世代のフラットパネルディスプレイの主流になると期待されている。
【0003】
上述したように、有機EL素子は、電流を供給して発光させるものである。そのため、配線抵抗が高く、配線での電圧降下が大きいと、有機EL素子に流れる電流が電圧降下の分だけ変動し、表示輝度も変動してしまう。従って、配線材料として抵抗率の低い金属を使用する必要がある。また、最も大きな電流が流れるのは、複数の有機EL素子からの電流が流れる共通電極(カソード電極)であるので、抵抗率が高いと多量の電流により大きな電圧降下を生じ、表示品質が低下してしまう。そこで、回路基板の全体的な電圧降下を防止するために、外部への取り出し端子(接続端子)と共通電極が配置される領域との間に、接続端子と共通電極を電気的に接続するコンタクト構造を設けることが考えられている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−357584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、コンタクト構造のうち接続端子に接する金属パターンとして、AlやAl合金が用いられている場合には、金属パターンの表面が酸化されやすい状態となる。そのため、金属パターンの表面が酸化された状態でコンタクト構造が形成された場合には、共通電極と接続端子との接続抵抗が増加するので、コンタクト構造において大きな電圧降下が生じてしまうという問題があった。
【0006】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、接続抵抗を低減することの可能な回路基板およびその製造方法を提供することにある。また、第2の目的は、上記回路基板を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備えたものである。コンタクト構造は、接続端子側に設けられたAl系金属層と、Al系金属層上に設けられた有機導電層と、有機導電層上に設けられるとともに素子と接する導電層とを有している。本技術による電子機器は、上記の回路基板を備えたものである。
【0008】
本技術の回路基板の製造方法は、素子と、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法である。この製造方法は、接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、有機導電層上に、素子と接する導電層を形成することによりコンタクト構造を形成する工程を含んでいる。
【0009】
本技術の回路基板およびその製造方法、ならびに電子機器では、コンタクト構造において、Al系金属層上に有機導電層が設けられており、導電層は有機導電層を介してAl系金属層と電気的に接続されている。このように、有機導電層がAl系金属層の表面を被覆することにより、製造過程におけるAl系金属層の表面酸化が抑制される。また、有機導電層自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造における正孔注入性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本技術の回路基板およびその製造方法、ならびに電子機器によれば、有機導電層でAl系金属層の表面を被覆することにより製造過程におけるAl系金属層の表面酸化を抑制するようにしたので、素子と接続端子との接続抵抗を低減することができる。また、有機導電層自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、素子と接続端子との接続抵抗をより一層、低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本技術による一実施の形態に係る表示装置の概略構成図である。
【図2】図1の画素の回路構成の一例を表す図である。
【図3】図1の表示パネル内の平面構成の一例を表す図である。
【図4】図1の表示パネルの断面構成の一例を表す図である。
【図5】図1の表示パネルの一部の断面構成の一例を表す図である。
【図6】図5の回路基板の製造過程の一例を示す断面図である。
【図7】上記各実施の形態の発光装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図8】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図9】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図10】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図11】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.適用例
【0013】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本技術の一実施の形態に係る表示装置1の概略構成を表したものである。この表示装置1は、表示パネル10と、表示パネル10を駆動する駆動回路20とを備えている。駆動回路20は、例えば、タイミング生成回路21、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24、および電源線駆動回路25を有している。
【0014】
(表示パネル10)
表示パネル10は、複数の画素11が表示パネル10の表示領域10A全面に渡って2次元配置されたものである。表示パネル10は、駆動回路20によって各画素11がアクティブマトリクス駆動されることにより、外部から入力された映像信号20Aに基づく画像を表示するものである。図2は、画素11の回路構成の一例を表したものである。画素11は、例えば、画素回路12と、有機EL素子13とを有している。有機EL素子13は、例えば、アノード電極、有機層およびカソード電極が順に積層された構成を有している。アノード電極は、後述のアノード電極13Aに相当し、有機層は、後述の有機層13Bに相当し、カソード電極は、後述のカソード電極13Cに相当する。
【0015】
画素回路12は、例えば、駆動トランジスタTr1、書き込みトランジスタTr2および保持容量Csによって構成されたものであり、2Tr1Cの回路構成となっている。書き込みトランジスタTr2は、後述の信号線DTLの電圧をサンプリングするとともに駆動トランジスタTr1のゲートに書き込むものである。駆動トランジスタTr1は、書き込みトランジスタTr2によって書き込まれた電圧の大きさに応じて有機EL素子13に流れる電流を制御するものである。保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に所定の電圧を保持するものである。なお、画素回路12は、上述の2Tr1Cの回路構成とは異なる回路構成となっていてもよい。
【0016】
駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2は、例えば、nチャネルMOS型の薄膜トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor))により形成されている。なお、TFTの種類は特に限定されるものではなく、例えば、逆スタガー構造(いわゆるボトムゲート型)であってもよいし、スタガー構造(トップゲート型)であってもよい。また、駆動トランジスタTr1または書き込みトランジスタTr2は、pチャネルMOS型のTFTであってもよい。
【0017】
表示パネル10は、行方向に延在する複数の書込線WSLと、列方向に延在する複数の信号線DTLと、行方向に延在する複数の電源線DSLとを有している。各信号線DTLと各書込線WSLとの交差点近傍には、画素11が設けられている。各信号線DTLは、後述の信号線駆動回路23の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のソースまたはドレインとに接続されている。各書込線WSLは、後述の走査線駆動回路24の出力端(図示せず)と、書き込みトランジスタTr2のゲートに接続されている。各電源線DSLは、固定の電圧を出力する電源の出力端(図示せず)と、駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインに接続されている。
【0018】
書き込みトランジスタTr2のゲートは、書込線WSLに接続されている。書き込みトランジスタTr2のソースまたはドレインが信号線DTLに接続され、書き込みトランジスタTr2のソースおよびドレインのうち信号線DTLに未接続の端子が駆動トランジスタTr1のゲートに接続されている。駆動トランジスタTr1のソースまたはドレインが電源線DSLに接続され、駆動トランジスタTr1のソースおよびドレインのうち電源線DSLに未接続の端子が有機EL素子13のアノードに接続されている。保持容量Csの一端が駆動トランジスタTr1のゲートに接続され、保持容量Csの他端が駆動トランジスタTr1のソース(図2では有機EL素子13側の端子)に接続されている。つまり、保持容量Csは、駆動トランジスタTr1のゲート−ソース間に挿入されている。
【0019】
表示パネル10は、さらに、図2に示したように、有機EL素子13のカソードに接続されたカソード線CTLを有している。カソード線CTLは、基準電位(例えばグラウンド電位)となっている外部回路(図示せず)と電気的に接続されるものである。図3は、表示パネル10内の平面構成の一例を模式的に表したものである。カソード線CTLは、例えば、図3に示したように、表示領域10A全体に渡って形成されたシート状の電極である。なお、カソード線CTLは、図示しないが、画素行または画素列に対応して短冊状に形成された帯状の電極であってもよい。カソード線CTLは、上述したように、複数の有機EL素子13に接続されている。従って、カソード線CTLは、複数の有機EL素子13から集約された多量の電流が流れたときの電圧降下の低い材料で構成されていることが好ましい。
【0020】
表示パネル10は、さらに、例えば、図3に示したように、表示領域10Aの周縁に相当するフレーム領域10Bに、コンタクト構造14および接続端子15を有している。コンタクト構造14は、有機EL素子13と接続端子15とを電気的に接続するものである。なお、コンタクト構造14および接続端子15の詳細は、表示パネル10内の構造についての説明と併せて行うものとする。
【0021】
(表示パネル10内の構造)
次に、図3〜図5を参照しつつ、表示パネル10内の構造について説明する。図4は、図3の表示パネル10のA−A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。図5は、図3の表示パネル10のB−B矢視方向の断面構成の一例を表したものである。表示パネル10は、例えば、図4に示したように、回路基板30と封止基板40とが封止層50を介して貼り合わされた構造となっている。
【0022】
回路基板30は、例えば、図5に示したように、支持基板16の上に、画素回路12、有機EL素子13、コンタクト構造14、および接続端子15を有している。画素回路12、有機EL素子13、コンタクト構造14、および接続端子15は、回路基板30において、封止基板40側に形成されている。封止基板40は、回路基板30の上面(つまり、封止基板40側の表面)に形成された有機EL素子13等を保護する役割を有している。ここで、回路基板30は、有機EL素子13で生じた光を封止基板40側に向かって出射するように構成されており、いわゆるトップエミッション構造となっている。従って、表示パネル10において、封止基板40の上面(つまり、回路基板30とは反対側の表面)が映像表示面となっている。
【0023】
画素回路12および有機EL素子13は、表示領域10Aに配置されており、コンタクト構造14および接続端子15は、フレーム領域10Bに配置されている。有機EL素子13は、例えば、図5に示したように、画素回路12側に設けられたアノード電極13A(第1電極)と、アノード電極13A上に設けられた有機層13Bと、有機層13B上に設けられたカソード電極13C(第2電極)とを有している。コンタクト構造14は、例えば、図5に示したように、接続端子15側に設けられたAl系金属層14Aと、Al系金属層14A上に設けられた有機導電層14Bと、有機導電層14B上に設けられた半透過型金属層14C(導電層)とを有している。
【0024】
回路基板30は、さらに、例えば、図5に示したように、画素回路12と有機EL素子13との間に、絶縁層17を有している。絶縁層17は、コンタクト構造14と接続端子15との間にも設けられている。絶縁層17は、例えば、絶縁層17Aと絶縁層17Bを積層して構成されている。回路基板30は、例えば、絶縁層17Aと絶縁層17Bとの間に、有機EL素子13から発せられた光を遮る遮光層19を有している。遮光層19は、有機EL素子13から発せられた光が迷光となって回路基板30内を伝播するのを防止するために設けられている。なお、絶縁層17は、単層となっていてもよい。また、遮光層19は、上記とは異なる箇所に設けられていてもよい。
【0025】
有機EL素子13およびコンタクト構造14は、ともに、共通の絶縁層17上に設けられている。画素回路12および有機EL素子13は、絶縁層17を貫通する接続部18Aを介して、互いに接続されている。具体的には、画素回路12内の駆動トランジスタTr1と、有機EL素子13内のアノード電極13Aとが、接続部18Aを介して、互いに接続されている。なお、接続部18Aが、アノード電極13Aと一体に形成されたものであってもよい。有機EL素子13およびコンタクト構造14は、カソード線CTLを介して、互いに接続されている。具体的には、有機EL素子13内のカソード電極13Cと、コンタクト構造14内の半透過型金属層14Cとが、カソード線CTLを介して、互いに接続されている。コンタクト構造14および接続端子15は、絶縁層17を貫通する接続部18Bを介して、互いに接続されている。具体的には、コンタクト構造14内のAl系金属層14Aと、接続端子15の一端とが、接続部18Bを介して、互いに接続されている。つまり、コンタクト構造14が、有機EL素子13と接続端子15とを互いに電気的に接続している。なお、接続部18Bが、Al系金属層14Aと一体に形成されたものであってもよい。接続端子15の他端は、絶縁層17等で被覆されておらず、表示パネル10の上面に露出している。接続端子15の他端は、例えば、表示パネル10の端部に設けられており、コネクタなどによる接続が容易な構成となっている。
【0026】
有機EL素子13において、アノード電極13Aは、有機層13Bへ正孔を注入するものである。アノード電極13Aは、さらに、有機層13Bで生じた光をカソード電極13C側に反射する機能も有している。アノード電極13Aは、例えば、正孔注入性が良く、かつ反射率の高い材料で構成されている。「正孔注入性がよく、かつ反射率の高い材料」としては、例えばAl系金属が挙げられる。Al系金属は、AlやAl合金を含む概念である。有機層13Bは、有機層13B内に流れる電流量に応じた明るさで発光するものである。有機層13Bは、例えば、アノード電極13A側から順に、正孔注入効率を高める正孔注入層と、後述の発光層への正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合により発光する発光層と、発光層への電子輸送効率を高める電子輸送層とを積層してなる積層構造を有している。カソード電極13Cは、有機層13Bへ電子を注入するためのものである。カソード電極13Cは、さらに、有機層13Bで生じた光を透過する性質も有している。カソード電極13Cは、電子注入性が良く、かつ光透過性の良い材料で構成されている。「電子注入性が良く、かつ光透過性の良い材料」としては、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料が挙げられる。
【0027】
コンタクト構造14において、Al系金属層14Aは、例えば、上述のAl系金属によって構成されている。Al系金属層14Aは、例えば、アノード電極13Aの形成工程と同一工程で、アノード電極13Aと共に形成されたものであり、アノード電極13Aと同一材料および同一厚さで形成されている。また、有機導電層14Bは、例えば、有機層13B内の少なくとも一部の層と同一の材料で構成されており、好ましくは、有機層13B内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている。有機導電層14Bは、例えば、有機層13Bの形成工程の少なくとも一部の工程で、有機層13Bと共に形成されたものであり、好ましくは、有機層13B内の少なくとも正孔注入層と同一材料および同一厚さの層を含んで形成されている。なお、有機導電層14Bは、有機層13B内の発光層と同一の材料を含まないことが好ましく、有機層13B内の正孔注入層と同一の材料だけで構成されていることが好ましい。また、半透過型金属層14Cは、光透過性を有する導電層の一形態であり、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料で構成されている。半透過型金属層14Cは、例えば、カソード電極13Cの形成工程と同一工程で、カソード電極13Cと共に形成されたものであり、カソード電極13Cと同一材料および同一厚さで形成されている。
【0028】
カソード線CTLは、半透過型金属層14Cと同様、例えば、MgAgなどの半透過型の金属材料で構成されている。カソード線CTLは、例えば、カソード電極13Cの形成工程と同一工程で、カソード電極13Cと共に形成されたものであり、カソード電極13Cと同一材料および同一厚さで形成されている。つまり、カソード線CTLが、実質的には、有機EL素子13およびコンタクト構造14を被覆しており、カソード電極13Cおよび半透過型金属層14Cが、カソード線CTLを共用している、と言える。
【0029】
(駆動回路20)
次に、駆動回路20について簡単に説明する。駆動回路20は、上述したように、例えば、図1に示したように、タイミング生成回路21、映像信号処理回路22、信号線駆動回路23、走査線駆動回路24および電源線駆動回路25を有している。タイミング生成回路21は、駆動回路20内の各回路が連動して動作するように制御するものである。タイミング生成回路21は、例えば、外部から入力された同期信号20Bに応じて(同期して)、上述した各回路に対して制御信号21Aを出力するようになっている。
【0030】
映像信号処理回路22は、外部から入力されたデジタルの映像信号20Aを補正すると共に、補正した後の映像信号をアナログに変換して信号線駆動回路23に出力するものである。信号線駆動回路23は、映像信号処理回路22から入力されたアナログの映像信号を、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)各信号線DTLに出力するものである。走査線駆動回路24は、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数の書込線WSLを所定の単位ごとに順次選択するものである。電源線駆動回路25は、例えば、制御信号21Aの入力に応じて(同期して)、複数の電源線DSLを所定の単位ごとに順次選択するものである。なお、コンタクト構造14を介して接続端子15から出力される電流量は、電源線駆動回路25による電源線DSLの選択の態様に応じて変化する。
【0031】
[回路基板30の製造方法]
次に、回路基板30の製造方法の一例について説明する。まず、支持基板16上に、画素回路12および接続端子15を形成し、それらを絶縁層17で覆う。このとき、絶縁層17内に、遮光層19も併せて形成する。次に、絶縁層17上に、アノード電極13AおよびAl系金属層14Aを形成する。具体的には、絶縁層17に貫通孔を形成し、貫通孔に対応して接続部18A,18Bを形成したのち、接続部18Aに接するようにアノード電極13Aを形成するとともに、接続部18Bに接するようにAl系金属層14Aを形成する(図6(A))。これにより、絶縁層17上に、画素回路12に電気的に接続されたアノード電極13Aを形成する工程と同一の工程で、接続端子15に電気的に接続されたAl系金属層14Aを形成することができる。言い方を変えると、接続端子15に電気的に接続されたAl系金属層14Aを形成する工程と同一の工程で、画素回路12に電気的に接続されたアノード電極13Aを形成することができる。
【0032】
次に、アノード電極13Aと対応する領域に開口を有するマスク(図示せず)を使って、アノード電極13A上に有機層13Bを形成する。さらに、このときに、有機層13Bの形成工程のうち少なくとも一部の工程で、Al系金属層14Aと対応する領域にも開口を有するマスク(図示せず)を使って、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する(図6(B))。例えば、有機層13Bの形成工程のうち少なくとも正孔注入層の形成工程と同一工程で、Al系金属層14Aと対応する領域にも開口を有するマスク(図示せず)を使って、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する。言い換えると、Al系金属層14A上に、有機導電層14Bを形成する工程を含む工程で、アノード電極13A上に有機層13Bを形成する。なお、アノード電極13Aと対応する領域の開口と、Al系金属層14Aと対応する領域の開口とが共通の1つの開口で構成されていてもよい。
【0033】
これにより、有機層13Bの形成過程で、Al系金属層14Aの表面が有機導電層14Bによって被覆されるので、Al系金属層14Aの表面酸化が促進されるのを防ぐことができる。また、有機導電層14B自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造14における正孔注入性が向上する。従って、これらの要因で、後の工程で形成する半透過型金属層14Cを、Al系金属層14Aの表面に、低抵抗で接触させることが可能となる。
【0034】
次に、有機層13Bおよび有機導電層14Bを含む広い領域(表示領域10Aを含む広い領域)に、カソード線CTLを形成する。これにより、有機層13B上にカソード電極13Cを形成する工程と同一の工程で、有機導電層14B上に半透過型金属層14Cを形成することができる。言い方を変えると、有機導電層14B上に半透過型金属層14Cを形成する工程と同一の工程で、有機層13B上にカソード電極13Cを形成することができる。さらに、上記の工程により、有機EL素子13と、コンタクト構造14とを、カソード線CTLを介して互いに接続することができる。その結果、有機EL素子13と、接続端子15とを、コンタクト構造14を介して、互いに電気的に接続することができる。
【0035】
[効果]
次に、本実施の形態における効果について説明する。
【0036】
ところで、有機EL素子は、電流を供給して発光させるものである。そのため、配線抵抗が高く、配線での電圧降下が大きいと、有機EL素子に流れる電流が電圧降下の分だけ変動し、表示輝度も変動してしまう。従って、配線材料として抵抗率の低い金属を使用する必要がある。また、最も大きな電流が流れるのは、複数の有機EL素子からの電流が流れる共通電極(カソード電極)であるので、抵抗率が高いと多量の電流により大きな電圧降下を生じ、表示品質が低下してしまう。そこで、従来では、回路基板の全体的な電圧降下を防止するために、外部への取り出し端子(接続端子)と共通電極が配置される領域との間に、接続端子と共通電極を電気的に接続するコンタクト構造を設けることが行われていた。
【0037】
しかし、コンタクト構造のうち接続端子に接する金属パターンとして、AlやAl合金が用いられている場合には、金属パターンの表面が酸化されやすい状態となる。そのため、金属パターンの表面が酸化された状態でコンタクト構造が形成された場合には、共通電極と接続端子との接続抵抗が増加するので、コンタクト構造において大きな電圧降下が生じてしまうという問題があった。
【0038】
一方、本実施の形態では、コンタクト構造14において、Al系金属層14A上に有機導電層14Bが設けられており、半透過型金属層14Cは有機導電層14Bを介してAl系金属層14Aと電気的に接続されている。このように、有機導電層14BがAl系金属層14Aの表面を被覆することにより、製造過程におけるAl系金属層14Aの表面酸化を抑制することができる。その結果、有機EL素子13と接続端子15との接続抵抗を低減することができる。さらに、有機導電層14B自体が、正孔注入層と同一材料で形成された層を少なくとも含んでいる場合には、コンタクト構造14における正孔注入性を向上させることができる。その結果、有機EL素子13と接続端子15との接続抵抗をより一層、低減することができる。
【0039】
<2.適用例>
以下、上記実施の形態で説明した表示装置1の適用例について説明する。上記実施の形態の表示装置1は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなど、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。
【0040】
(第1適用例)
図7は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0041】
(第2適用例)
図8は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0042】
(第3適用例)
図9は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0043】
(第4適用例)
図10は、上記実施の形態の表示装置1が適用されるビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0044】
(第5適用例)
図11は、上記実施の形態の表示装置1が適用される携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態に係る表示装置1により構成されている。
【0045】
以上、実施の形態および適用例を挙げて本技術を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。
【0046】
例えば、本技術は、上記実施の形態において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などに限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0047】
また、上記各実施の形態では、アクティブマトリクス駆動のための画素回路12の構成は、上記各実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素回路12の変更に応じて、上述した信号線駆動回路23や、走査線駆動回路24、電源線駆動回路25などの他に、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0048】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備え、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
回路基板。
(2)
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記素子は、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられるとともに前記導電層を兼ねた第2電極層とを有する
(1)に記載の回路基板。
(3)
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を有し、
前記有機導電層は、前記有機層内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている
(2)に記載の回路基板。
(4)
前記導電層は、光透過性を有する
(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の回路基板。
(5)
回路基板を備え、
前記回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を有し、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
電子機器。
(6)
素子と、前記素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法であって、
前記接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、前記Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、前記有機導電層上に、前記素子と接する導電層を形成することにより前記コンタクト構造を形成する
回路基板の製造方法。
(7)
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記Al系金属層の形成工程と同一工程で、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層を形成し、前記有機導電層の形成工程を含む工程で、前記第1電極層上に有機層を形成し、前記導電層の形成工程と同一工程で、前記有機層上に、前記導電層を兼ねた第2電極層を形成する
(6)に記載の回路基板の製造方法。
(8)
前記有機層は、正孔注入効率を高める正孔注入層と、正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合による発光を生じさせる発光層と、電子輸送効率を高める電子輸送層とを有し、
前記有機層の形成工程のうち少なくとも前記正孔注入層の形成工程と同一工程で、前記有機導電層を形成する
(6)または(7)に記載の回路基板の製造方法。
【符号の説明】
【0049】
1…表示装置、10…表示パネル、10A…表示領域、10B…フレーム領域、11…画素、12…画素回路、13…有機EL素子、13A…アノード電極、13B…有機層、13C…カソード電極、14…コンタクト構造、14A…Al系金属層、14B…有機導電層、14C…半透過型金属層、15…接続端子、16…支持基板、17,17A,17B…絶縁層、18A,18B…接続部、19…遮光層、20…駆動回路、20A…映像信号、20B…同期信号、21…タイミング生成回路、21A…制御信号、22…映像信号処理回路、23…信号線駆動回路、24…書込線駆動回路、25…電源線駆動回路、30…回路基板、40…封止基板、50…封止層、300…映像表示画面部、310…フロントパネル、320…フィルターガラス、410…発光部、420,530,640…表示部、430…メニュースイッチ、440…シャッターボタン、510…本体、520…キーボード、610…本体部、620…レンズ、630…スタート/ストップスイッチ、710…上側筐体、720…下側筐体、730…連結部、740…ディスプレイ、750…サブディスプレイ、760…ピクチャーライト、770…カメラ、Cs…保持容量、CTL…カソード線、DTL…信号線、DSL…電源線、Tr1…駆動トランジスタ、Tr2…書き込みトランジスタ、WSL…走査線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備え、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
回路基板。
【請求項2】
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記素子は、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられるとともに前記導電層を兼ねた第2電極層とを有する
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を有し、
前記有機導電層は、前記有機層内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている
請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記導電層は、光透過性を有する
請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】
回路基板を備え、
前記回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を有し、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
電子機器。
【請求項6】
素子と、前記素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法であって、
前記接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、前記Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、前記有機導電層上に、前記素子と接する導電層を形成することにより前記コンタクト構造を形成する
回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記Al系金属層の形成工程と同一工程で、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層を形成し、前記有機導電層の形成工程を含む工程で、前記第1電極層上に有機層を形成し、前記導電層の形成工程と同一工程で、前記有機層上に、前記導電層を兼ねた第2電極層を形成する
請求項6に記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記有機層は、正孔注入効率を高める正孔注入層と、正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合による発光を生じさせる発光層と、電子輸送効率を高める電子輸送層とを有し、
前記有機層の形成工程のうち少なくとも前記正孔注入層の形成工程と同一工程で、前記有機導電層を形成する
請求項6に記載の回路基板の製造方法。
【請求項1】
素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を備え、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
回路基板。
【請求項2】
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記素子は、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層と、前記第1電極層上に設けられた有機層と、前記有機層上に設けられるとともに前記導電層を兼ねた第2電極層とを有する
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を有し、
前記有機導電層は、前記有機層内の少なくとも正孔注入層と同一の材料で構成されている
請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記導電層は、光透過性を有する
請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】
回路基板を備え、
前記回路基板は、素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造を有し、
前記コンタクト構造は、
前記接続端子側に設けられたAl系金属層と、
前記Al系金属層上に設けられた有機導電層と、
前記有機導電層上に設けられるとともに前記素子と接する導電層と
を有する
電子機器。
【請求項6】
素子と、前記素子と接続端子とを電気的に接続するコンタクト構造とを備えた回路基板を製造する方法であって、
前記接続端子に電気的に接続されたAl系金属層を形成し、前記Al系金属層上に有機導電層を形成し、さらに、前記有機導電層上に、前記素子と接する導電層を形成することにより前記コンタクト構造を形成する
回路基板の製造方法。
【請求項7】
前記素子および前記コンタクト構造は、共通の絶縁層上に設けられており、
前記Al系金属層の形成工程と同一工程で、前記Al系金属層と同一の材料で構成された第1電極層を形成し、前記有機導電層の形成工程を含む工程で、前記第1電極層上に有機層を形成し、前記導電層の形成工程と同一工程で、前記有機層上に、前記導電層を兼ねた第2電極層を形成する
請求項6に記載の回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記有機層は、正孔注入効率を高める正孔注入層と、正孔輸送効率を高める正孔輸送層と、電子と正孔との再結合による発光を生じさせる発光層と、電子輸送効率を高める電子輸送層とを有し、
前記有機層の形成工程のうち少なくとも前記正孔注入層の形成工程と同一工程で、前記有機導電層を形成する
請求項6に記載の回路基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−73051(P2013−73051A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212365(P2011−212365)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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