説明

回路基板およびインプリントモールドとその製造方法

【課題】頂部の位置が異なるパターンの種類が増えても工数を増やすことなく作製できるインプリントモールドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】支持板体11表面に所定深さの凹部12を形成する凹部形成工程S12と、
この凹部及び支持板体表面に開口する樹脂被覆16Bをパターニングして形成する樹脂パターニング工程S15と、
開口部16b内に充填して充填部18を形成する充填部形成工程S16と、
樹脂被覆を除去する樹脂剥離工程S17と、
を有し、
凹部の深さ寸法h1と充填部の高さ寸法h2とを組み合わせて、凹部の底面12aを基準とする複数の異なる高さ寸法を有する凸部を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板およびインプリントモールドとその製造方法に係わり、電子部品及び電子部品を実装する配線板又はパッケージ配線板の製造において配線高さの設定多様性の向上に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化、薄型化、高機能化に伴って、このような機器に組み込まれる電子部品(部品)も小型化が進み、部品を実装するプリント配線板の配線も微細化されてきている。従来、プリント配線板(配線板)として配線を形成するためにフォトリソグラフィ技術を利用してきたが、フォトリソグラフィにより配線板を作製する場合、配線幅10μm以下の微細化が難しく、より微細な配線幅を容易に形成する方法が求められていた。その一つの方法としてインプリント法がある。インプリント法は、パターンが形成されたインプリント用モールド(モールド)を樹脂に押し付けて、樹脂にモールドのパターンと反転したパターンを転写するものである。転写によるパターン形成法にはナノインプリント(NIL)、射出成形、ホットエンボスなどがある。射出成形やホットエンボスでは樹脂が厚いためモールドに加えられた力は樹脂にのみ伝わる。一方NILは基板上に通常数十nmから数μm厚さの樹脂を載せ、それにモールドを押し付けるため、ほとんどモールドと基板が接触した状態(樹脂をモールドがほとんど貫いた状態、あるいは、樹脂が薄く残った状態)になる。このように薄い樹脂に転写する点でNILは他の形成法に比べて技術難易度が高いものである。
【0003】
NILにおいて層構造を形成したいとき、多段形状が形成されたインプリントモールド(モールド)は特定の微細な三次元構造パターンなどの層構造を一括で転写することができるため、位置合わせが不要であり、かつ材料の接合面が無くなることから歩留まり及び信頼性が向上することが期待され、また複数工程が一度で済むため低コスト化にも寄与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−071587号公報
【特許文献2】特開2009−072956号公報
【0005】
特許文献1によれば2種類以上の材料を2層以上積層したスタンパ(モールド)を提案している。この製法は基板上に2種以上の材料を全面に製膜しておき、エッチングで凸部を形成する。
特許文献2によれば基板材料を複数回エッチング加工することにより多段モールドを形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された技術によれば、凸部の高さは成膜した材料の高さの組み合わせになるため、同じ層の凸部厚さは等しくなるので、複数種類の凸部高さが必要なら対応する複数層をそれぞれ成膜しなければならず、工程が煩雑になり製造コストが増加するという問題があった。また、基板に成膜した材料をエッチング加工しスタンパの凸部に用いるため、基板との密着性や成膜速度、エッチング加工性などの面で用いる材料が限定されてしまうという問題があった。
【0007】
特許文献2に記載された技術では、基板材料を2回エッチング加工することにより2段モールドを形成しているが、同じ層の凸部厚さは等しいので、この方法ではモールド凸部の高さは2種類しか設計できず、また電子線描画装置を使用することから工数が多くなってしまい、製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
さらに、これらの技術では、従来、頂部の位置が異なる複数種類のパターンを有するモールドを作製する場合、パターンの種類と同数の回数分をパターニングしなければならず、パターンの種類が多くなればそれに伴い工数が増大するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、頂部の位置が異なるパターンの種類が増えても工数を増やすことなく作製できるインプリントモールドおよびその製造方法を提供するという目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載のインプリントモールドの製造方法は、
支持板体の表面に所定の高さ寸法の凸部を有するインプリントモールドの製造方法であって、
前記支持板体表面に所定深さの凹部を形成する凹部形成工程と、
この凹部及び支持板体表面に開口する樹脂被覆をパターニングして形成する樹脂パターニング工程と、
前記開口部内に充填して充填部を形成する充填部形成工程と、
前記樹脂被覆を除去する除去工程と、
を有し、
前記凹部の深さ寸法と前記充填部の高さ寸法とを組み合わせて、前記凹部の底面を基準とする複数の異なる高さ寸法を有する凸部を形成することを特徴とする。
本発明の請求項2記載のインプリントモールドの製造方法においては、請求項1記載のインプリントモールドの製造方法において、前記凹部が複数の深さ寸法を有する多段状に形成されてなることを特徴とする。
本発明の請求項3記載のインプリントモールドの製造方法においては、前記凸部の高さ寸法が、インプリントモールドによって形成される回路における当該部分の設定電流値か、設定電圧値か、抵抗値の少なくとも1以上に基づいて設定されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリントモールドの製造方法である。
本発明の請求項4記載のインプリントモールドは、請求項1記載のインプリントモールドの製造方法により製造され、
前記凸部が、前記凹部の深さ寸法と等しい高さ寸法を有する第1種凸部と、前記充填部の高さ寸法と等しい高さ寸法を有する第2種凸部と、前記凹部の深さ寸法と前記充填部の高さ寸法の和に等しい高さ寸法を有する第3種凸部とからなることを特徴とするインプリントモールドである。
本発明の請求項5記載のインプリントモールドは、請求項2記載のインプリントモールドの製造方法により製造され、
前記凸部が、前記凹部の複数の深さ寸法とそれぞれ等しい高さ寸法を有する第1種凸部と、前記充填部の高さ寸法と等しい高さ寸法を有する第2種凸部と、前記凹部の複数の深さ寸法と前記充填部の高さを組み合わせた和に等しい高さ寸法を有する第3種凸部とを少なくとも有することを特徴とするインプリントモールドである。
本発明の請求項6記載の回路基板は、請求項1から3のいずれか1項記載のインプリントモールドの製造方法によって製造されるか、請求項4または5に記載されたインプリントモールドを用いてパターン転写されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支持板体と同一の材料で凸部を形成した後で、凸部を利用してパターン形成することにより、パターン形成の工数を減らすという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係るインプリントモールドの第1実施形態における製造方法の工程を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明に係るインプリントモールドの第1実施形態における製造方法の工程を示す模式断面図である。
【図3】図3は、本発明に係るインプリントモールドの第1実施形態における製造方法を示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明に係るインプリントモールドの第2実施形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る回路基板およびインプリントモールドとその製造方法の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1、図2は、本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法の工程を示す模式断面図であり、図3は、本実施形態におけるインプリントモールドの製造方法を示すフローチャートである。図において、符号10はインプリントモールドである。
【0014】
本実施形態のインプリントモールド10は、図1(g)に示すように、基板(支持板体)11と、該基板11の表面に形成された3種類の高さ寸法を有する凸部として、高さ(高さ寸法)h1を有する第1凸部(第1種凸部)13と、高さ(高さ寸法)h2を有する第2凸部(第2種凸部)14と、高さ(高さ寸法)h3を有する第3凸部(第3種凸部)15とからなるパターン形状を有し、樹脂等に押しつけて、図2(j)および図2(k)に示すように、高さ寸法h1を有する凹部53、高さ寸法h2を有する凹部54,高さ寸法h3を有する凹部55のように、3種類の深さ(高さ)寸法の凹部を有するパターン転写された樹脂層50等を形成するものとされる。なお図2(j)および図2(k)においては、形成された凹部55の最深部が下側に貫通しているがこれが貫通しないことも可能である。モールドは第2凸部14を形成せず、第1凸部13及び第3凸部15から構成されてもよい。
【0015】
基板11は、シリコン、金属や硬質樹脂等からなるものとされ、パターン転写時に必要な強度を有するものであれば特に限定されないが、Cu、Cr、Niなどの金属及びそれらの合金、硬質樹脂基板、ガラス、シリコン、セラミックから選択されたものを用いることができる。
【0016】
第1凸部(第1種凸部)13は基板11と同種の材質からなり、図1(g)に示すように、基板11表面に設けられた凹部12の底面からの高さ寸法h1がこの凹部12の深さ寸法と等しくなるとともに基板11の表面と略平行となる先端面を有する。
第2凸部(第2種凸部)14は基板11と異なる種類の材質からなり、図1(g)に示すように、基板11表面に設けられた凹部12の底面からの高さ寸法h2がこの凹部12の深さ寸法より大きくなるとともに基板11の表面と略平行となる先端面14aを有する。
【0017】
第3凸部(第3種凸部)15は基板11と同種の材質からなる基端部15dと、この基端部15dより縮径するとともに第2凸部と同種の材質とされる先端部15cとからなり、基板11の表面と略平行となる先端面15aおよび段差面15bを有する。または、段差面15bを設けないこともできる。
第3凸部(第3種凸部)15は、図1(g)に示すように、基板11表面に設けられた凹部12の底面からの高さ寸法h3がこの凹部12の深さ寸法h1および第2凸部の高さ寸法h2の和とほぼ等しくなる。第3凸部の高さ寸法h3は、第1凸部の高さ寸法h1と第2凸部の高さ寸法h2の和よりも多少小さくすることもできる。第1凸部の高さ寸法h1と第2凸部の高さ寸法h2と第3凸部の高さ寸法h3とは、いずれも、凹部12の底面12aからの高さとされる。
【0018】
本実施形態のインプリントモールドの製造方法は、図3に示すように、樹脂被覆16Aを基板11の表面11aに塗布しフォトリソグラフィによりパターンを形成する樹脂パターニング工程S11と、凹部12と第1凸部13とを形成するエッチング(凹部形成)工程S12と、樹脂被覆16Aを除去する樹脂除去工程S13と、めっきをおこなうための給電層17を形成する給電層形成工程S14と、給電層17上にレジスト(樹脂被覆)16Bをパターニングして形成する樹脂パターニング工程S15と、めっきにより充填部18を形成するめっき(充填部形成)工程S16と、レジストを除去する樹脂剥離工程S17とを有するものとされる。
【0019】
本実施形態のインプリントモールドの製造方法は、図3に示す樹脂パターニング工程S11として、図1(a)に示すように、感光性樹脂とされる樹脂被覆16Aをスピンコート法、キャスティング法、ディスペンス法等で、例えばシリコンウェーハとされる基板11の表面11aに塗布する。または、シリコンウェーハとされる基板11の表面11aにフィルム状の樹脂をラミネートしてもよい。次いで、図1(b)に示すように、フォトリソグラフィにより開口部16aのパターンを形成する。開口部16aのパターンは、凹部12および第1凸部13の配置に対応している。開口部16aのパターンは、印刷やインプリントでパターンを形成してもよく、この場合樹脂被覆16Aは感光性樹脂である必要はない。
【0020】
次いで、図3に示すエッチング(凹部形成)工程S12として、図1(c)に示すように、基板11をドライエッチングすることで、凹部12を深さh1となるように形成する。この際、パターニングした樹脂被覆16Aにシリコンエッチング耐性がなければ、予め例えば酸化膜などを成膜した後、樹脂を形成し、レジストパターンを形成して、樹脂パターニング後、ウエットエッチング等により酸化膜のパターニングをし、エッチングマスクとしてもよい。エッチング(凹部形成)工程S12によって、凹部12とともに、第1凸部13および、第3凸部15の基端部15dが形成される。
【0021】
次いで、図3に示す樹脂除去工程S13として、樹脂被覆16Aを除去した後、図3に示す給電層形成工程S14として、図1(d)に示すように、めっきの給電層17を形成する。給電層17は、基板11の表面11a、つまり、凹部12の底面、および、第1凸部13の上面13a、第3凸部15の基端部15dの上面(段差面)15bに形成される。
給電層17の形成は、スパッタ法、蒸着法、塗付法、化学気相成長(CVD)法、無電解めっき等を採用することができる。また、給電層17はCu、Cr、Al、Ti、TiW、Auなどから形成することができる。さらに、密着力をあげるために、給電層17と基板11との間に密着層として同様にCr、Ni、Ti、TiW等を成膜してもよい。
【0022】
次いで、図3に示す樹脂パターニング工程S15として、図1(e)に示すように、給電層17上にレジスト(樹脂被覆)16Bをパターニングして形成する。樹脂被覆16Bは開口部16bを有し、このパターンは、第2凸部14および第3凸部15の先端部15cの配置に対応している。樹脂被覆16Bとしては、レジスト層とすることができるが、絶縁性を有し充填部形成工程S16における電解めっきがなされない材質であればどのようなものでも適応可能である。樹脂被覆16Bの開口部16bはフォトリソグラフィや印刷法、インプリント法などで形成できる。樹脂被覆16Bを形成する厚さは、第2凸部14および第3凸部15の先端部15cの高さ寸法に対応して設定される。
【0023】
次いで、図3に示すめっき(充填部形成)工程S16として、図1(f)に示すように、給電層17のうち開口部16b内部の露出した部分をカソードとして給電をとるとともに、給電層17に対向する図示しないアノードを用いて電解めっきを施すことで、開口部16b内部に導電性の充填部18を形成する。充填部18は、開口部16bによってその配置が規制され、第2凸部14および第3凸部15の先端部15cが形成される。充填部の厚さはh2とされ、第2凸部14の高さ寸法が凹部12の底面12aからh2となり、第3凸部15の先端部15cの高さ寸法が段差面15bからh2となるように形成される。
充填部18は、Cu、Ag、Au、Ni、Cr、Alから選択される金属、および、これらの合金からなることが可能である。
めっきの代わりに導電性ペーストを印刷し、焼成して充填部18を形成してもよい。この場合、充填部18は、Cu、Au、カーボンなどからなることができる。また、このとき給電層形成工程S14を省略することができる。
【0024】
次いで、図3に示す樹脂剥離工程S17として樹脂被覆16Bを剥離・除去することで、図1(g)に示すように、異なる高さh1,h2,h3を有する凸部13,14,15を有するインプリントモールド10を得る。
【0025】
さらに、図2(h)に示すように、樹脂51を用意し、図2(i)に示すように、インプリントモールド10を樹脂51に押し付けて樹脂51を変形させ、図2(j)に示すように、インプリントモールド10を離型させることでモールド凸部の反転パターンを転写する。その後、図2(k)に示すように、高さ寸法がh1,h2,h3の凹部53,54,55にめっきや導電性ペーストを充填することによって、高さ寸法がh1の回路52a、高さ寸法がh2の回路52b、高さ寸法がh3の回路52cを有する回路基板50が完成する。凹部53,54,55にめっきするときには、電流値か、電圧値か、抵抗値の少なくとも1以上に基づいて、凸部の高さ寸法が設定される。
ここで、樹脂51の厚さ寸法を第3凸部の高さ寸法h3とほぼ等しく設定することにより、第3凸部15が樹脂51を貫通する。これにより、最も高い高さ寸法h3を有する回路52cは、先端部52dをその先端面52eによって隣接した階層の基板と接続されるビアとすることができる。
【0026】
本実施形態においては、モールド10の凸部13,14,15は、シリコンエッチングによるh1、例えばCuめっきによるh2、これらh1とh2の組み合わせであるh3の3種類の高さを持つ。ここでh3=h1+h2の高さ寸法、実際には、めっき高さばらつきを考慮して、h3≒h1+h2であるモールドを提供することが可能となる。
【0027】
以下、本発明に係るインプリントモールドおよびその製造方法の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
図4は、本実施形態におけるインプリントモールドを示す模式断面図である。図において、符号20はインプリントモールドである。
本実施形態において、上述した第1実施形態と異なる点は、凹部が一段目の凹部12Aと、2段目の凹部12Bからなり、これにより、凸部の高さ寸法の基準が2段目の凹部12Bの底面となり、高さ寸法の設定が異なる部分である。これ以外の対応する構成要素に関しては同一の符号を付してその説明を省略する。
【0028】
本実施形態のインプリントモールド20においては、図4に示すように、基板21には、図1の深さh1と対応する深さh11を有する凹部12Aが形成され、その一部分にさらに深さ寸法h12を有する凹部12Bが形成されている。この凹部12Bの底面12bは最深位置であり各凸部の高さ寸法に対する基準面となっている。
【0029】
このため、第1凸部13の高さ寸法はh13=h11+h12とされ、第3高凸部(第3種凸部)15の高さ寸法はh16=h13+h2=h11+h12+h2とされている。
また、凹部12A内部に位置する第3低凸部(第3種凸部)15Aと、凹部12B内部に位置する第2凸部(第2種凸部)14とが設けられ、第3低凸部15Aの高さ寸法はh15=h12+h2とされ、第2凸部14の高さ寸法はh2とされている。
【0030】
本実施形態のインプリントモールドの製造方法は、第1実施形態において示した図3において、樹脂パターニング工程S11とエッチング(凹部形成)工程S12と樹脂除去工程S13とによって凹部12Aを形成した後に、再度これらを繰り返すことで凹部12Bを形成し、その後、給電層形成工程S14と樹脂パターニング工程S15とめっき(充填部形成)工程S16と樹脂剥離工程S17とによって、第2凸部14と第3低凸部15Aと第3高凸部15とを形成するものとされる。
【0031】
本実施形態においては、凹部を多段に構成することで、凹部の深さ寸法h11とh12と、第2凸部14の高さ寸法であるh2とを組み合わせて、多彩な高さ寸法を有するインプリントモールド20を得ることができる。
【0032】
なお、凹部12を一段として充填部18を多層に形成することもできる。
この場合には、インプリントモールドの製造方法としては、第1実施形態において示した図3において、樹脂パターニング工程S11とエッチング(凹部形成)工程S12と樹脂除去工程S13の後に、凹部12を形成し、その後、給電層形成工程S14と樹脂パターニング工程S15とめっき(充填部形成)工程S16と樹脂剥離工程S17とによって、一層目の充填部を形成する。その後、給電層形成工程S14と樹脂パターニング工程S15とめっき(充填部形成)工程S16と樹脂剥離工程S17とを繰り返して、2層目の充填部を形成することができる。これにより、凹部の深さ寸法h1と、複数の充填部の高さ寸法を組み合わせて、同様に、多彩な高さ寸法を有するインプリントモールド20を得ることができる。
【0033】
さらに、凹部を多段とするとともに充填部を多層に形成することで、さらに多様な高さ寸法を設定することが可能となる。
【0034】
本発明は、高さの異なる配線を備えた回路基板を、インプリントモールドを用いて形成するのに適用することができる。例えば、磁気センサや、個別パッケージ品で搭載されてきた主要LSIを、一つのパッケージに集約するSiP(System in Package)などにおいて、図1に示す第3凸部15の基端部15dと、第2凸部14を設定電圧の高い電源回路とすることができる。
【0035】
さらに、第3凸部15の先端部15cを、多層基板におけるビアとして最外周に配置することでシールドとして利用できる。
【符号の説明】
【0036】
10,20…インプリントモールド、11…基板、12…凹部、12a…底面、13…第1凸部、14…第2凸部、15…第3凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持板体の表面に所定の高さ寸法の凸部を有するインプリントモールドの製造方法であって、
前記支持板体表面に所定深さの凹部を形成する凹部形成工程と、
この凹部及び支持板体表面に開口する樹脂被覆をパターニングして形成する樹脂パターニング工程と、
前記開口部内に充填して充填部を形成する充填部形成工程と、
前記樹脂被覆を除去する除去工程と、
を有し、
前記凹部の深さ寸法と前記充填部の高さ寸法とを組み合わせて、前記凹部の底面を基準とする複数の異なる高さ寸法を有する凸部を形成することを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載のインプリントモールドの製造方法において、前記凹部が複数の深さ寸法を有する多段状に形成されてなることを特徴とするインプリントモールドの製造方法。
【請求項3】
前記凸部の高さ寸法が、インプリントモールドによって形成される回路における当該部分の設定電流値か、設定電圧値か、抵抗値の少なくとも1以上に基づいて設定されてなることを特徴とする請求項1または2に記載のインプリントモールドの製造方法。
【請求項4】
請求項1記載のインプリントモールドの製造方法により製造され、
前記凸部が、前記凹部の深さ寸法と等しい高さ寸法を有する第1種凸部と、前記充填部の高さ寸法と等しい高さ寸法を有する第2種凸部と、前記凹部の深さ寸法と前記充填部の高さ寸法の和に等しい高さ寸法を有する第3種凸部とからなることを特徴とするインプリントモールド。
【請求項5】
請求項2記載のインプリントモールドの製造方法により製造され、
前記凸部が、前記凹部の複数の深さ寸法とそれぞれ等しい高さ寸法を有する第1種凸部と、前記充填部の高さ寸法と等しい高さ寸法を有する第2種凸部と、前記凹部の複数の深さ寸法と前記充填部の高さを組み合わせた和に等しい高さ寸法を有する第3種凸部とを少なくとも有することを特徴とするインプリントモールド。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項記載のインプリントモールドの製造方法によって製造されるか、請求項4または5に記載されたインプリントモールドを用いてパターン転写されたことを特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−243777(P2012−243777A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108728(P2011−108728)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】