回路基板用絶縁樹脂組成物、回路基板用絶縁シート、回路基板用積層板及び金属ベース回路基板
【課題】溶剤を用いて樹脂に無機充填材を高充填してなる絶縁樹脂組成物であって、高密度な塗膜を形成することができ、放熱性及び絶縁性に優れた絶縁シートを形成することが可能な回路基板用絶縁樹脂組成物を提供すること。また、該絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁シートを具備する絶縁性及び放熱性に優れた回路基板用積層板、及びこの回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板を提供すること。
【解決手段】樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物。
【解決手段】樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板用絶縁樹脂組成物、該組成物を用いて形成された回路基板用絶縁シート、並びに、該絶縁シートを具備する回路基板用積層板及び金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス技術の発達は目覚ましく、電気電子機器の高性能化及び小型化は急速に進行している。これに伴い、電気素子及び/又は電子素子を実装した部品の発熱量は益々大きくなっている。このような背景のもと、典型的にはMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)及びIGBT(insulated-gate bipolar transistor)などの所謂パワーデバイスを搭載する金属ベース回路基板には、十分な耐熱性に加え、優れた放熱性が求められている。
【0003】
金属ベース回路基板は、金属基板上に絶縁層と回路パターンとがこの順に積層された構造を有している。金属ベース回路基板の放熱性を高めるために、この絶縁層の母材となる樹脂にアルミナ粉末、マグネシア粉末、窒化硼素粉末などの高熱伝導率で電気絶縁性の無機粉末を含有させて放熱性を高めるための種々の試みがなされている。例えば、無溶剤系の絶縁樹脂組成物からなる絶縁層については、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0004】
しかしながら、無機粉末を例えば50体積%以上の割合で高充填させると気泡を巻き込みやすくなる。特に溶剤を用いて樹脂へ無機充填材を高充填してなる絶縁樹脂組成物においては、溶液粘度が高くなり気泡を巻き込みやすく、巻き込んだ気泡が抜けにくい状態にあるため、高密度の塗膜が得られないという問題がある。更に、窒化硼素の2次凝集粒子のように粒子自体が気孔を有する無機充填材を用いる場合にはその問題が顕著となり、そのような絶縁樹脂組成物を用いて絶縁層を形成しても金属ベース回路基板の絶縁層として十分な絶縁性は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2520988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、溶剤を用いて樹脂に無機充填材を高充填してなる絶縁樹脂組成物であって、高密度な塗膜を形成することができ、放熱性及び絶縁性に優れた絶縁シートを形成することが可能な回路基板用絶縁樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、該絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁シートを具備する絶縁性及び放熱性に優れた回路基板用積層板、及びこの回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面によると、樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物が提供される。
【0009】
本発明において、第一の無機粉末の平均粒子径は、例えば、5〜100μmの範囲である。
また、本発明において、第二の無機粉末の含有率は、第一の無機粉末を基準として、例えば5質量%以上である。
また、本発明において、第二の無機粉末は、例えば、六方晶窒化硼素の一次粒子である。
また、本発明において、第一の無機粉末として、例えば、窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種を含有する。
【0010】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る回路基板用絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁シートが提供される。
【0011】
本発明の第3側面によると、金属基板と、該基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備し、前記絶縁層が第1側面に係る組成物を用いて形成された回路基板用積層板が提供される。
【0012】
本発明の第4側面によると、第3側面に係る回路基板用積層板の金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、放熱性及び絶縁性に優れた金属ベース回路基板の実現に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一態様に係る回路基板用積層板を概略的に示す斜視図。
【図2】図1に示す回路基板用積層板のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す回路基板用積層板から得られる金属ベース回路基板の一例を概略的に示す断面図。
【図4】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の密度に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図5】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の気孔率に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図6】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の耐電圧に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図7】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の熱抵抗に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図8】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の密度に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図9】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の気孔率に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図10】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の耐電圧に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図11】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の熱抵抗に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図12】本発明の一形態に係る組成物を用いて形成された絶縁シートの断面を示す、図面に代わるSEM写真。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
上記の通り、金属ベース回路基板の放熱性を高めるために、絶縁層を形成する絶縁樹脂組成物において、母材となる樹脂に高熱伝導率で電気絶縁性の無機粉末を含有させる技術が周知であるが、特に溶剤を用いて樹脂へ無機粉末を高充填してなる組成物から得られる塗膜は気泡が残存して高密度化が困難であり、金属ベース回路基板用絶縁層として十分な絶縁性と放熱性を得ることが困難であった。
【0016】
本発明に係る回路基板用絶縁樹脂組成物は、溶剤を用いて樹脂に無機粉末を50体積%以上の割合で高充填してなる溶剤系液状組成物であるが、以下に詳述するように、無機充填材として、窒化硼素の二次凝集粒子を含む特定の平均粒子径を有する第一の無機粉末と、特定の平均粒子径を有する第二の無機粉末を第一の無機粉末に対し特定割合で含有することを特徴とするものである。
【0017】
図1及び図2に示す回路基板用積層板1は、金属基板2と、絶縁層3と、金属箔4とを含んでいる。なお、図1及び図2において、X及びY方向は金属基板2の主面に平行であり且つ互いに直交する方向であり、Z方向はX及びY方向に対して垂直な厚さ方向である。図1には、一例として矩形上の回路基板用積層板1を用いているが、回路基板用積層板1は他の形状を有していてもよい。
【0018】
金属基板2は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属基板2の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、又はステンレスを使用することができる。金属基板2は、炭素などの非金属を更に含んでいてもよい。例えば、金属基板2は、炭素と複合化したアルミニウムを含んでいてもよい。また、金属基板2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0019】
金属基板2は、高い熱伝導率を有している。典型的には、金属基板2は、60W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有している。
金属基板2は、可撓性を有していてもよく、可撓性を有していなくてもよい。金属基板2の厚さは、例えば、0.2−5mmの範囲内にある。
【0020】
絶縁層3は、金属基板2上に設けられ、本発明に係る絶縁樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」などともいう。)を用いて形成される。
【0021】
本発明の組成物に含有される無機充填材の割合は、樹脂を基準として50体積%以上である。その上限値は特に限定されるものではないが、組成物の粘性が上昇すると製造工程上、無機充填材の分散工程で気泡を巻き込み易く、その後の脱泡工程で抜けにくい状態となるため、無機充填材の割合は、例えば50〜85体積%の範囲内とする。
【0022】
本発明の組成物は、無機充填材として、平均粒子径の異なる第一の無機粉末と第二の無機粉末とを含有する。すなわち、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末と、第二の無機粒子よりも平均粒子径が大きい第二の無機粉末であって、少なくとも六方晶系窒化硼素(「hBN」)の一次粒子が凝集した二次凝集粒子(「凝集BN」)を含む第一の無機粉末とを含有する。このように平均粒子径の異なる2種の無機粉末を併用することにより、平均粒子径の大きい第一の無機粉末の間を平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粒子が分散することにより、樹脂と溶媒のみでは埋めきれない第一の無機粉末により形成される気孔率を減少させることが可能となる。
【0023】
ここで、平均粒子径とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径である、体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒径の測定は、平均粒子径(D50)が1μm以下の場合は光透過式遠心沈降法により測定され、1μmを超える場合はレーザー回折・散乱法により測定される。
【0024】
第二の無機粉末は、先に述べた通り、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる。この平均粒子径が2μmよりも大きいとサイズ的に凝集体の内部に入り込めず充填できなくなるため気孔が少ない絶縁層を得ることが難しく、高密度であり且つ優れた放熱性と絶縁性を達成することは困難である。好ましくは、第二の無機粉末の平均粒子径は0.01〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0025】
第二の無機粉末の好ましい含有率は、第一の無機粉末の平均粒子径や含有率等により変動するものであり一義的に決定できるものではないが、典型的には、第一の無機粉末を基準として5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜75質量%である。第二の無機粉末の含有率が過剰に低いと平均粒子径の異なる第一と第二の無機粉末を併用することによる効果が十分得られない。一方、第二の無機粉末の含有率が過剰に高いと放熱性が悪くなる場合がある。
【0026】
第二の無機粉末としては、高熱伝導率で電気絶縁性の無機微粒子を使用することができ、例えば、六方晶系窒化硼素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
本発明において用い得る六方晶系窒化硼素は、常法により得られる粒子形状が概して鱗片状の六方晶系窒化硼素(以下、「一次粒子」という。)である。
【0027】
第一の無機粉末は、先に述べた通り、少なくとも六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む。二次凝集粒子の凝集形態は、特に限定されるものではなく、例えば、ファンデルワールス力、静電気力、吸着水分等に起因して凝集したものであってもよく、あるいは、凝集剤を用いて凝集したものや、混合造粒、押出造粒、噴霧乾燥などにより凝集されたものであってもよく、さらには、製造工程において生ずるB2O3等の不純物が粒界に固着して凝集した形態であってもよい。
【0028】
第一の無機粉末は、上記hBNが凝集した二次凝集粒子(凝集BN)の1種からなってもよいし、凝集BNと他の無機粉末との混合物であってもよい。他の無機粉末としては、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種との混合物であってもよい。混合物である場合、凝集BNの配合率は、特に限定されるものではないが、例えば、第一の無機粉末を基準として10〜90体積%の範囲である。
【0029】
第一の無機粉末の平均粒子径は、第二の無機粉末の粒径や凝集度などに依存するものであり、特に限定されるものではないが、少なくとも第一の無機粉末の粒子径は成形する絶縁シート(絶縁層)の厚さ未満であることが要求される。第一の無機粉末の粒径が成形する絶縁シート(絶縁層)の厚さ以上であると、シート表面に凹凸が生じてシート表面が平滑に仕上がらず、金属箔4又は金属基板2との密着性が悪化するため適さない。第一の無機粉末の平均粒子径は、上記の通り限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜80μmの範囲であることがより好ましい。
【0030】
樹脂としては、溶媒に可溶な樹脂で、且つ、溶媒キャスト法による製膜が可能な樹脂であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリアミドイミド、液晶ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルフィド、エポキシ樹脂、イミド樹脂などが挙げられる。
【0031】
溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラフルオロイソプロパノール、メチルエチルケトン、エチレンジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
【0032】
本発明の組成物において、溶剤は、樹脂100質量部に対して、例えば10〜9900質量部、より好ましくは100〜1900質量部含有させる。溶剤の量が過度に多い場合、塗膜から大量の溶剤を除去しなければならず、塗膜の外観不良を生じやすい。また、多くの乾燥時間を要するため生産性が低下する。一方、溶剤の量が過度に少ない場合、組成物が高粘度化する傾向があり、その取扱い性等が低下する。
【0033】
本発明の組成物は、上述した樹脂及び無機充填材以外に種々の添加剤を含有していてもよく、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤などのカップリング剤、イオン吸着剤などが挙げられる。
【0034】
金属箔4は、絶縁層3上に設けられている。金属箔4は、絶縁層3を間に挟んで金属基板2と向き合っている。
金属箔4は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属箔4の材料としては、例えば、銅又はアルミニウムを使用することができる。金属箔4の厚さは、例えば、10−50μmの範囲である。
【0035】
この回路基板用積層板1は、例えば、以下の方法により製造する。
まず、上述した樹脂を溶剤に溶解させて、光学的に等方性の溶液を得る。次に、上述した無機充填材を溶液中に分散させて分散液を得る。無機充填材は、例えば、ボールミル、三本ロール、遠心撹拌機又はビーズミルを用いて、粉砕しつつ上記溶液中に分散させてもよい。また、上記溶液に無機充填材を加えるのに先立って、この溶液にシランカップリング剤、イオン吸着剤などの添加剤を加えてもよい。
【0036】
次に、この分散液を、金属基板2及び金属箔4の少なくとも一方に塗布する。分散液の塗布には、例えば、ロールコート法、バーコート法又はスクリーン印刷法を利用することができる。連続式で行ってもよく、単板式で行ってもよい。
【0037】
必要に応じて塗膜を乾燥させた後、金属基板2と金属箔4とが塗膜を挟んで向き合うように重ね合わせる。さらに、それらを熱プレスする。以上のようにして、回路基板用積層板1を得る。
【0038】
この方法では、本発明の組成物である分散液を金属板2及び金属箔4の少なくとも一方に塗布することにより塗膜を形成するが、他の態様において、分散液をPETフィルム等の基材に塗布し乾燥することにより予め塗膜を形成し、これを金属基板2及び金属箔4の一方に熱転写してもよい。本発明の組成物を用いて形成される塗膜は加熱プロセスでの発泡が抑えられるため、上述した高密度化並びに放熱性及び絶縁性の向上に効果があることに加え、絶縁シートを別の基材へ熱転写で移すことが可能になる。
【0039】
次に、上述した回路基板用積層板1から得られる金属ベース回路基板1´について説明する。
図3に示す金属ベース回路基板1´は、図1及び図2に示す回路基板用積層板から得られるものであり、金属基板2と、絶縁層3と、回路パターン4´とを含んでいる。回路パターン4´は、図1及び図2を参照しながら説明した回路基板用積層板の金属箔4をパターニングすることにより得られる。このパターニングは、例えば、金属箔4の上にマスクパターンを形成し、金属箔4の露出部をエッチングによって除去することにより得られる。金属ベース回路基板1´は、例えば、先の回路基板用積層板1の金属箔4に対して上記のパターニングを行い、必要に応じて、切断及び穴あけ加工などの加工を行うことにより得ることができる。
【0040】
この金属ベース回路基板1´は、上述した回路基板用積層板1から得られるので、放熱性及び絶縁性に優れている。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明の例を記載する。本発明はこれらに限定されるものでない。
なお、平均粒子径(D50)はレーザー回折・散乱法にて測定し、平均粒子径1μm以下のものは光透過式遠心沈降法にて測定した。
【0042】
<組成物の調製>
(組成物1)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径(D50)20μm)を、樹脂固形分を基準として65体積%配合し絶縁材溶液を作製した。
【0043】
(組成物2)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)と凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、微粉窒化硼素の凝集窒化硼素に対する配合率は5質量%である。
【0044】
(組成物3〜7)
凝集窒化硼素に対する微粉窒化硼素(平均粒径0.9μm)の配合率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物2の調製と同様にして各々組成物3〜7を作製した。
【0045】
(組成物8)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3−7」、平均粒径2.0μm)に変更した以外は組成物2と同様にして組成物9を作製した。
【0046】
(組成物9〜13)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径2.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物8の調製と同様にして各々組成物9〜13を作製した。
【0047】
(組成物14)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3」、平均粒径3.0μm)に変更した以外は組成物2と同様にして組成物14を作製した。
【0048】
(組成物15〜19)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径3.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物14の調製と同様にして各々組成物15〜19を作製した。
【0049】
(組成物20)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「AS40」、平均粒径15μm)と、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素のブレンド率は50質量%:50質量%である。
【0050】
(組成物21)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「AS40」、平均粒径15μm)と、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)と、微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素のブレンド率は50質量%:50質量%であり、微粉窒化硼素を、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素の合計に対し、5質量%の割合で配合した。
【0051】
(組成物22〜26)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径0.9μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物21の調製と同様にして各々組成物22〜26を作製した。
【0052】
(組成物27)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3−7」、平均粒径2.0μm)に変更した以外は組成物21と同様にして組成物27を作製した。
【0053】
(組成物28〜32)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径2.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物27の調製と同様にして各々組成物28〜32を作製した。
【0054】
(組成物33)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3」、平均粒径3.0μm)に変更した以外は組成物21と同様にして組成物33を作製した。
【0055】
(組成物34〜38)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径3.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物33の調製と同様にして各々組成物34〜38を作製した。
【0056】
<評価>
〔サンプルの作製〕
・塗膜密度及び気孔率
上述した方法により得られた各絶縁材溶液を、遊星式攪拌脱泡機で5分攪拌した後、厚み70μmの銅箔上に乾燥後の厚みが約120μmになるように塗布し、220℃で溶媒が無くなるまで乾燥した。得られた塗膜をサンプルとして、塗膜密度、気孔率の各性能を以下の方法により評価した。
【0057】
・耐電圧及び熱抵抗
上述した方法により得られた各絶縁材溶液を、遊星式攪拌脱泡機で5分攪拌した後、厚み70μmの銅箔上に熱接着後の厚みが約100μmになるように塗布し、220℃で溶媒が無くなるまで乾燥した。この塗膜が形成された銅箔を、金属板として熱伝導率140W/mk、厚み2.0mmのアルミニウム合金板上に塗膜が中間層となるように積層し、圧力20MPa、温度270℃で熱接着した。得られた回路基板用積層板をサンプルとして、耐電圧、熱抵抗の各性能を以下の方法により評価した。
【0058】
〔塗膜密度(g/cm3)〕
上記のようにして得られた塗膜からシートサイズ50×50mmの基板を切り出し、アルキメデス法により乾燥塗膜の密度を測定した。その値を塗膜密度(g/cm3)とした。
【0059】
〔気孔率(%)〕
上記評価方法により得られた塗膜密度を用いて式(1)より気孔率(%)を求めた。
気孔率(%)=(理論密度−塗膜密度)/理論密度×100 (1)
〔耐電圧(kV)〕
上記のようにして得られた積層体からシートサイズ50×50mmの基板を切り出し、基板中央にランドサイズφ20mmを配置した。絶縁油中にこの基板を浸漬し、室温で交流電圧を銅箔に印加し絶縁破壊する電圧(kV)を測定した。
【0060】
〔熱抵抗(℃/W)〕
上記のようにして得られた積層体からシートサイズ30×40mmの基板を切り出し、基板中央にランドサイズ14×10mmを配置した。この基板にはんだでトランジスタC2233(東芝製)を取り付け、基板裏面に熱伝導性のシリコーングリースを使い水冷却装置にセットして30Wの電力を供給したときに発熱するトランジスタ表面と冷却装置表面の温度を測定した。そして式(2)より熱抵抗(℃/W)を求めた。
熱抵抗(℃/W)={(トランジスタ表面温度)-(冷却装置表面温度)}/印加電力 (2)
評価結果を、表1〜6、及び、図4〜11に示す。ここで、図4〜7は、表1〜3に示される実施例1〜12及び比較例1〜7の各性能評価結果に関するグラフであり、図8〜11は、表4〜6に示される実施例13〜24及び比較例8〜14の各性能評価結果に関するグラフである。
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
表1〜6及び図4〜11より、本発明の組成物を用いて形成された絶縁シートは、高密度であり、放熱性及び絶縁性に優れることがわかった。
【0067】
また、図12は、実施例4の組成物5(微粉BN(D50:0.9μm、凝集BNに対する微粉BNの比率:25質量%)を用いて形成された塗膜の断面写真であり、これより、凝集窒化硼素の粒子間に微粉窒化硼素が均一に分散していることが確認された。
【符号の説明】
【0068】
1・・・回路基板用積層板、1’・・・金属ベース回路基板、2・・・金属基板、3・・・絶縁層、4・・・金属箔、4’・・・回路パターン
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板用絶縁樹脂組成物、該組成物を用いて形成された回路基板用絶縁シート、並びに、該絶縁シートを具備する回路基板用積層板及び金属ベース回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス技術の発達は目覚ましく、電気電子機器の高性能化及び小型化は急速に進行している。これに伴い、電気素子及び/又は電子素子を実装した部品の発熱量は益々大きくなっている。このような背景のもと、典型的にはMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)及びIGBT(insulated-gate bipolar transistor)などの所謂パワーデバイスを搭載する金属ベース回路基板には、十分な耐熱性に加え、優れた放熱性が求められている。
【0003】
金属ベース回路基板は、金属基板上に絶縁層と回路パターンとがこの順に積層された構造を有している。金属ベース回路基板の放熱性を高めるために、この絶縁層の母材となる樹脂にアルミナ粉末、マグネシア粉末、窒化硼素粉末などの高熱伝導率で電気絶縁性の無機粉末を含有させて放熱性を高めるための種々の試みがなされている。例えば、無溶剤系の絶縁樹脂組成物からなる絶縁層については、例えば、特許文献1が挙げられる。
【0004】
しかしながら、無機粉末を例えば50体積%以上の割合で高充填させると気泡を巻き込みやすくなる。特に溶剤を用いて樹脂へ無機充填材を高充填してなる絶縁樹脂組成物においては、溶液粘度が高くなり気泡を巻き込みやすく、巻き込んだ気泡が抜けにくい状態にあるため、高密度の塗膜が得られないという問題がある。更に、窒化硼素の2次凝集粒子のように粒子自体が気孔を有する無機充填材を用いる場合にはその問題が顕著となり、そのような絶縁樹脂組成物を用いて絶縁層を形成しても金属ベース回路基板の絶縁層として十分な絶縁性は得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2520988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、溶剤を用いて樹脂に無機充填材を高充填してなる絶縁樹脂組成物であって、高密度な塗膜を形成することができ、放熱性及び絶縁性に優れた絶縁シートを形成することが可能な回路基板用絶縁樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
また、本発明の目的は、該絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁シートを具備する絶縁性及び放熱性に優れた回路基板用積層板、及びこの回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1側面によると、樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物が提供される。
【0009】
本発明において、第一の無機粉末の平均粒子径は、例えば、5〜100μmの範囲である。
また、本発明において、第二の無機粉末の含有率は、第一の無機粉末を基準として、例えば5質量%以上である。
また、本発明において、第二の無機粉末は、例えば、六方晶窒化硼素の一次粒子である。
また、本発明において、第一の無機粉末として、例えば、窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種を含有する。
【0010】
本発明の第2側面によると、第1側面に係る回路基板用絶縁樹脂組成物を用いて形成された絶縁シートが提供される。
【0011】
本発明の第3側面によると、金属基板と、該基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備し、前記絶縁層が第1側面に係る組成物を用いて形成された回路基板用積層板が提供される。
【0012】
本発明の第4側面によると、第3側面に係る回路基板用積層板の金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、放熱性及び絶縁性に優れた金属ベース回路基板の実現に有利な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一態様に係る回路基板用積層板を概略的に示す斜視図。
【図2】図1に示す回路基板用積層板のII−II線に沿った断面図。
【図3】図1及び図2に示す回路基板用積層板から得られる金属ベース回路基板の一例を概略的に示す断面図。
【図4】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の密度に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図5】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の気孔率に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図6】凝集BNに占める微粉BNの割合が絶縁層の耐電圧に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図7】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の熱抵抗に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図8】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の密度に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図9】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の気孔率に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図10】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の耐電圧に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図11】凝集BN及び酸化アルミナに占める微粉BNの割合が絶縁層の熱抵抗に及ぼす影響の例を微粉BNの平均粒子径に応じて示すグラフ。
【図12】本発明の一形態に係る組成物を用いて形成された絶縁シートの断面を示す、図面に代わるSEM写真。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の態様について図面を参照しながら詳細に説明する。
上記の通り、金属ベース回路基板の放熱性を高めるために、絶縁層を形成する絶縁樹脂組成物において、母材となる樹脂に高熱伝導率で電気絶縁性の無機粉末を含有させる技術が周知であるが、特に溶剤を用いて樹脂へ無機粉末を高充填してなる組成物から得られる塗膜は気泡が残存して高密度化が困難であり、金属ベース回路基板用絶縁層として十分な絶縁性と放熱性を得ることが困難であった。
【0016】
本発明に係る回路基板用絶縁樹脂組成物は、溶剤を用いて樹脂に無機粉末を50体積%以上の割合で高充填してなる溶剤系液状組成物であるが、以下に詳述するように、無機充填材として、窒化硼素の二次凝集粒子を含む特定の平均粒子径を有する第一の無機粉末と、特定の平均粒子径を有する第二の無機粉末を第一の無機粉末に対し特定割合で含有することを特徴とするものである。
【0017】
図1及び図2に示す回路基板用積層板1は、金属基板2と、絶縁層3と、金属箔4とを含んでいる。なお、図1及び図2において、X及びY方向は金属基板2の主面に平行であり且つ互いに直交する方向であり、Z方向はX及びY方向に対して垂直な厚さ方向である。図1には、一例として矩形上の回路基板用積層板1を用いているが、回路基板用積層板1は他の形状を有していてもよい。
【0018】
金属基板2は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属基板2の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、又はステンレスを使用することができる。金属基板2は、炭素などの非金属を更に含んでいてもよい。例えば、金属基板2は、炭素と複合化したアルミニウムを含んでいてもよい。また、金属基板2は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0019】
金属基板2は、高い熱伝導率を有している。典型的には、金属基板2は、60W・m−1・K−1以上の熱伝導率を有している。
金属基板2は、可撓性を有していてもよく、可撓性を有していなくてもよい。金属基板2の厚さは、例えば、0.2−5mmの範囲内にある。
【0020】
絶縁層3は、金属基板2上に設けられ、本発明に係る絶縁樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」などともいう。)を用いて形成される。
【0021】
本発明の組成物に含有される無機充填材の割合は、樹脂を基準として50体積%以上である。その上限値は特に限定されるものではないが、組成物の粘性が上昇すると製造工程上、無機充填材の分散工程で気泡を巻き込み易く、その後の脱泡工程で抜けにくい状態となるため、無機充填材の割合は、例えば50〜85体積%の範囲内とする。
【0022】
本発明の組成物は、無機充填材として、平均粒子径の異なる第一の無機粉末と第二の無機粉末とを含有する。すなわち、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末と、第二の無機粒子よりも平均粒子径が大きい第二の無機粉末であって、少なくとも六方晶系窒化硼素(「hBN」)の一次粒子が凝集した二次凝集粒子(「凝集BN」)を含む第一の無機粉末とを含有する。このように平均粒子径の異なる2種の無機粉末を併用することにより、平均粒子径の大きい第一の無機粉末の間を平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粒子が分散することにより、樹脂と溶媒のみでは埋めきれない第一の無機粉末により形成される気孔率を減少させることが可能となる。
【0023】
ここで、平均粒子径とは、体積基準で粒度分布を求め、全体積を100%とした累積カーブにおいて、その累積カーブが50%となる点の粒径である、体積基準累積50%径(D50)を意味する。粒径の測定は、平均粒子径(D50)が1μm以下の場合は光透過式遠心沈降法により測定され、1μmを超える場合はレーザー回折・散乱法により測定される。
【0024】
第二の無機粉末は、先に述べた通り、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる。この平均粒子径が2μmよりも大きいとサイズ的に凝集体の内部に入り込めず充填できなくなるため気孔が少ない絶縁層を得ることが難しく、高密度であり且つ優れた放熱性と絶縁性を達成することは困難である。好ましくは、第二の無機粉末の平均粒子径は0.01〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1μmである。
【0025】
第二の無機粉末の好ましい含有率は、第一の無機粉末の平均粒子径や含有率等により変動するものであり一義的に決定できるものではないが、典型的には、第一の無機粉末を基準として5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5〜75質量%である。第二の無機粉末の含有率が過剰に低いと平均粒子径の異なる第一と第二の無機粉末を併用することによる効果が十分得られない。一方、第二の無機粉末の含有率が過剰に高いと放熱性が悪くなる場合がある。
【0026】
第二の無機粉末としては、高熱伝導率で電気絶縁性の無機微粒子を使用することができ、例えば、六方晶系窒化硼素、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等が挙げられる。
本発明において用い得る六方晶系窒化硼素は、常法により得られる粒子形状が概して鱗片状の六方晶系窒化硼素(以下、「一次粒子」という。)である。
【0027】
第一の無機粉末は、先に述べた通り、少なくとも六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む。二次凝集粒子の凝集形態は、特に限定されるものではなく、例えば、ファンデルワールス力、静電気力、吸着水分等に起因して凝集したものであってもよく、あるいは、凝集剤を用いて凝集したものや、混合造粒、押出造粒、噴霧乾燥などにより凝集されたものであってもよく、さらには、製造工程において生ずるB2O3等の不純物が粒界に固着して凝集した形態であってもよい。
【0028】
第一の無機粉末は、上記hBNが凝集した二次凝集粒子(凝集BN)の1種からなってもよいし、凝集BNと他の無機粉末との混合物であってもよい。他の無機粉末としては、例えば酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種との混合物であってもよい。混合物である場合、凝集BNの配合率は、特に限定されるものではないが、例えば、第一の無機粉末を基準として10〜90体積%の範囲である。
【0029】
第一の無機粉末の平均粒子径は、第二の無機粉末の粒径や凝集度などに依存するものであり、特に限定されるものではないが、少なくとも第一の無機粉末の粒子径は成形する絶縁シート(絶縁層)の厚さ未満であることが要求される。第一の無機粉末の粒径が成形する絶縁シート(絶縁層)の厚さ以上であると、シート表面に凹凸が生じてシート表面が平滑に仕上がらず、金属箔4又は金属基板2との密着性が悪化するため適さない。第一の無機粉末の平均粒子径は、上記の通り限定されるものではないが、例えば、5〜100μmの範囲であることが好ましく、10〜80μmの範囲であることがより好ましい。
【0030】
樹脂としては、溶媒に可溶な樹脂で、且つ、溶媒キャスト法による製膜が可能な樹脂であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリアミドイミド、液晶ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルフィド、エポキシ樹脂、イミド樹脂などが挙げられる。
【0031】
溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラフルオロイソプロパノール、メチルエチルケトン、エチレンジグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。
【0032】
本発明の組成物において、溶剤は、樹脂100質量部に対して、例えば10〜9900質量部、より好ましくは100〜1900質量部含有させる。溶剤の量が過度に多い場合、塗膜から大量の溶剤を除去しなければならず、塗膜の外観不良を生じやすい。また、多くの乾燥時間を要するため生産性が低下する。一方、溶剤の量が過度に少ない場合、組成物が高粘度化する傾向があり、その取扱い性等が低下する。
【0033】
本発明の組成物は、上述した樹脂及び無機充填材以外に種々の添加剤を含有していてもよく、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤などのカップリング剤、イオン吸着剤などが挙げられる。
【0034】
金属箔4は、絶縁層3上に設けられている。金属箔4は、絶縁層3を間に挟んで金属基板2と向き合っている。
金属箔4は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属箔4の材料としては、例えば、銅又はアルミニウムを使用することができる。金属箔4の厚さは、例えば、10−50μmの範囲である。
【0035】
この回路基板用積層板1は、例えば、以下の方法により製造する。
まず、上述した樹脂を溶剤に溶解させて、光学的に等方性の溶液を得る。次に、上述した無機充填材を溶液中に分散させて分散液を得る。無機充填材は、例えば、ボールミル、三本ロール、遠心撹拌機又はビーズミルを用いて、粉砕しつつ上記溶液中に分散させてもよい。また、上記溶液に無機充填材を加えるのに先立って、この溶液にシランカップリング剤、イオン吸着剤などの添加剤を加えてもよい。
【0036】
次に、この分散液を、金属基板2及び金属箔4の少なくとも一方に塗布する。分散液の塗布には、例えば、ロールコート法、バーコート法又はスクリーン印刷法を利用することができる。連続式で行ってもよく、単板式で行ってもよい。
【0037】
必要に応じて塗膜を乾燥させた後、金属基板2と金属箔4とが塗膜を挟んで向き合うように重ね合わせる。さらに、それらを熱プレスする。以上のようにして、回路基板用積層板1を得る。
【0038】
この方法では、本発明の組成物である分散液を金属板2及び金属箔4の少なくとも一方に塗布することにより塗膜を形成するが、他の態様において、分散液をPETフィルム等の基材に塗布し乾燥することにより予め塗膜を形成し、これを金属基板2及び金属箔4の一方に熱転写してもよい。本発明の組成物を用いて形成される塗膜は加熱プロセスでの発泡が抑えられるため、上述した高密度化並びに放熱性及び絶縁性の向上に効果があることに加え、絶縁シートを別の基材へ熱転写で移すことが可能になる。
【0039】
次に、上述した回路基板用積層板1から得られる金属ベース回路基板1´について説明する。
図3に示す金属ベース回路基板1´は、図1及び図2に示す回路基板用積層板から得られるものであり、金属基板2と、絶縁層3と、回路パターン4´とを含んでいる。回路パターン4´は、図1及び図2を参照しながら説明した回路基板用積層板の金属箔4をパターニングすることにより得られる。このパターニングは、例えば、金属箔4の上にマスクパターンを形成し、金属箔4の露出部をエッチングによって除去することにより得られる。金属ベース回路基板1´は、例えば、先の回路基板用積層板1の金属箔4に対して上記のパターニングを行い、必要に応じて、切断及び穴あけ加工などの加工を行うことにより得ることができる。
【0040】
この金属ベース回路基板1´は、上述した回路基板用積層板1から得られるので、放熱性及び絶縁性に優れている。
【実施例】
【0041】
以下に、本発明の例を記載する。本発明はこれらに限定されるものでない。
なお、平均粒子径(D50)はレーザー回折・散乱法にて測定し、平均粒子径1μm以下のものは光透過式遠心沈降法にて測定した。
【0042】
<組成物の調製>
(組成物1)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径(D50)20μm)を、樹脂固形分を基準として65体積%配合し絶縁材溶液を作製した。
【0043】
(組成物2)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)と凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、微粉窒化硼素の凝集窒化硼素に対する配合率は5質量%である。
【0044】
(組成物3〜7)
凝集窒化硼素に対する微粉窒化硼素(平均粒径0.9μm)の配合率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物2の調製と同様にして各々組成物3〜7を作製した。
【0045】
(組成物8)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3−7」、平均粒径2.0μm)に変更した以外は組成物2と同様にして組成物9を作製した。
【0046】
(組成物9〜13)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径2.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物8の調製と同様にして各々組成物9〜13を作製した。
【0047】
(組成物14)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3」、平均粒径3.0μm)に変更した以外は組成物2と同様にして組成物14を作製した。
【0048】
(組成物15〜19)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径3.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物14の調製と同様にして各々組成物15〜19を作製した。
【0049】
(組成物20)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「AS40」、平均粒径15μm)と、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素のブレンド率は50質量%:50質量%である。
【0050】
(組成物21)
固形分30質量%のポリアミドイミド樹脂溶液(日立化成製、「HPC9000」)に対して、酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製「AS40」、平均粒径15μm)と、凝集窒化硼素(水島合金鉄株式会社製、「HP−40」、平均粒径20μm)と、微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、合計で、樹脂固形分を基準として65体積%となるよう配合し絶縁材溶液を作製した。ここで、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素のブレンド率は50質量%:50質量%であり、微粉窒化硼素を、酸化アルミニウムと凝集窒化硼素の合計に対し、5質量%の割合で配合した。
【0051】
(組成物22〜26)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径0.9μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物21の調製と同様にして各々組成物22〜26を作製した。
【0052】
(組成物27)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3−7」、平均粒径2.0μm)に変更した以外は組成物21と同様にして組成物27を作製した。
【0053】
(組成物28〜32)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径2.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物27の調製と同様にして各々組成物28〜32を作製した。
【0054】
(組成物33)
微粉窒化硼素(三井化学社製、「MBN010T」、平均粒径0.9μm)を、微粉窒化硼素(電気化学工業株式会社製、「SP3」、平均粒径3.0μm)に変更した以外は組成物21と同様にして組成物33を作製した。
【0055】
(組成物34〜38)
無機充填材中の微粉窒化硼素(平均粒径3.0μm)の添加率を、5質量%から15質量%、20質量%、25質量%、50質量%、75質量%に変更した以外は組成物33の調製と同様にして各々組成物34〜38を作製した。
【0056】
<評価>
〔サンプルの作製〕
・塗膜密度及び気孔率
上述した方法により得られた各絶縁材溶液を、遊星式攪拌脱泡機で5分攪拌した後、厚み70μmの銅箔上に乾燥後の厚みが約120μmになるように塗布し、220℃で溶媒が無くなるまで乾燥した。得られた塗膜をサンプルとして、塗膜密度、気孔率の各性能を以下の方法により評価した。
【0057】
・耐電圧及び熱抵抗
上述した方法により得られた各絶縁材溶液を、遊星式攪拌脱泡機で5分攪拌した後、厚み70μmの銅箔上に熱接着後の厚みが約100μmになるように塗布し、220℃で溶媒が無くなるまで乾燥した。この塗膜が形成された銅箔を、金属板として熱伝導率140W/mk、厚み2.0mmのアルミニウム合金板上に塗膜が中間層となるように積層し、圧力20MPa、温度270℃で熱接着した。得られた回路基板用積層板をサンプルとして、耐電圧、熱抵抗の各性能を以下の方法により評価した。
【0058】
〔塗膜密度(g/cm3)〕
上記のようにして得られた塗膜からシートサイズ50×50mmの基板を切り出し、アルキメデス法により乾燥塗膜の密度を測定した。その値を塗膜密度(g/cm3)とした。
【0059】
〔気孔率(%)〕
上記評価方法により得られた塗膜密度を用いて式(1)より気孔率(%)を求めた。
気孔率(%)=(理論密度−塗膜密度)/理論密度×100 (1)
〔耐電圧(kV)〕
上記のようにして得られた積層体からシートサイズ50×50mmの基板を切り出し、基板中央にランドサイズφ20mmを配置した。絶縁油中にこの基板を浸漬し、室温で交流電圧を銅箔に印加し絶縁破壊する電圧(kV)を測定した。
【0060】
〔熱抵抗(℃/W)〕
上記のようにして得られた積層体からシートサイズ30×40mmの基板を切り出し、基板中央にランドサイズ14×10mmを配置した。この基板にはんだでトランジスタC2233(東芝製)を取り付け、基板裏面に熱伝導性のシリコーングリースを使い水冷却装置にセットして30Wの電力を供給したときに発熱するトランジスタ表面と冷却装置表面の温度を測定した。そして式(2)より熱抵抗(℃/W)を求めた。
熱抵抗(℃/W)={(トランジスタ表面温度)-(冷却装置表面温度)}/印加電力 (2)
評価結果を、表1〜6、及び、図4〜11に示す。ここで、図4〜7は、表1〜3に示される実施例1〜12及び比較例1〜7の各性能評価結果に関するグラフであり、図8〜11は、表4〜6に示される実施例13〜24及び比較例8〜14の各性能評価結果に関するグラフである。
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
表1〜6及び図4〜11より、本発明の組成物を用いて形成された絶縁シートは、高密度であり、放熱性及び絶縁性に優れることがわかった。
【0067】
また、図12は、実施例4の組成物5(微粉BN(D50:0.9μm、凝集BNに対する微粉BNの比率:25質量%)を用いて形成された塗膜の断面写真であり、これより、凝集窒化硼素の粒子間に微粉窒化硼素が均一に分散していることが確認された。
【符号の説明】
【0068】
1・・・回路基板用積層板、1’・・・金属ベース回路基板、2・・・金属基板、3・・・絶縁層、4・・・金属箔、4’・・・回路パターン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項2】
第一の無機粉末の平均粒子径が5〜100μmの範囲内である請求項1に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項3】
第二の無機粉末の含有率が、第一の無機粉末を基準として5質量%以上である請求項1又は2に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項4】
第二の無機粉末が、六方晶系窒化硼素の一次粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項5】
第一の無機粉末として、六方晶系窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項6】
第一の無機粉末として、六方晶系窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウムを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物を用いて形成された回路基板用絶縁シート。
【請求項8】
金属基板と、該基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備し、前記絶縁層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成された回路基板用積層板。
【請求項9】
請求項8に記載の回路基板用積層板の前記金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板。
【請求項1】
樹脂と該樹脂に対し50体積%以上の無機充填材と溶剤を含有してなり、前記無機充填材として、六方晶系窒化硼素の一次粒子が凝集した二次凝集粒子を含む第一の無機粉末と、平均粒子径が2μm以下の微粒子からなる第二の無機粉末を含有する回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項2】
第一の無機粉末の平均粒子径が5〜100μmの範囲内である請求項1に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項3】
第二の無機粉末の含有率が、第一の無機粉末を基準として5質量%以上である請求項1又は2に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項4】
第二の無機粉末が、六方晶系窒化硼素の一次粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項5】
第一の無機粉末として、六方晶系窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素及び酸化ケイ素から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項6】
第一の無機粉末として、六方晶系窒化硼素の二次凝集粒子と共に、酸化アルミニウムを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の回路基板用絶縁樹脂組成物を用いて形成された回路基板用絶縁シート。
【請求項8】
金属基板と、該基板上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備し、前記絶縁層が請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物を用いて形成された回路基板用積層板。
【請求項9】
請求項8に記載の回路基板用積層板の前記金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−251023(P2012−251023A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122785(P2011−122785)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000004640)日本発條株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】
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