説明

回路基板配線構造

【目的】回路基板のパターン配線領域を確保しながら、回路基板を小さくする。
【構成】液晶表示パネル,ゼブラコネクタ,回路基板,IC,からなる表示装置において、回路基板の第一の面にICを実装し、回路基板の第二の面に接触端子を設け、接触端子と液晶表示パネルをゼブラコネクタで接続し、回路基板の第一,第二の面に設けた配線パターンをスルーホールまたは断面スルーホールで結合し、第二の面の接触端子または接触端子とスルーホールまたは断面スルーホールを結ぶ配線パターンと、第一の面のICとスルーホールまたは断面スルーホールを結合する配線パターンが平面的に重なっている。また、回路基板の第二の面に設けた接触端子と、第一の面に設けた配線パターンを、スルーホールまたは断面スルーホールで結合した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は液晶パネル表示装置の回路基板の配線構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ICを回路基板に実装し、ICの端子と接触端子を回路基板上で電気的に結合し、接触端子と液晶表示パネルをゼブラコネクタで結合するような表示装置が知られている。図6は、従来の回路基板の平面図である。図において、10は回路基板、2は接触端子、5はIC、40はIC5と接触端子2を結合する配線パターンである。IC5と配線パターン2はワイヤーボンディングなどで結合されている。IC5及びワイヤーボンディングの周囲は、概ね二点鎖線で示したような範囲で、モールド剤で硬められているが、図ではモールド剤は省略してある。図7は、図6に示した従来例の回路基板と液晶表示パネルを組み立てた状態の断面図である。図において、60は液晶表示パネル、70は接触端子2と液晶表示パネル60を導通させるコネクタ、80は反射板、90は回路基板10,液晶表示パネル60,コネクタ70などを収納固定しているパネルケースである。
【0003】
コネクタ70は、ゼブラコネクタと呼ばれるコネクタで、導体とゴム状弾性体の不導体を積層したものである。液晶表示パネル60,回路基板10などを、図7のように組み込み、パネルケース90と一体に形成された係合部91を、図7のような位置になるように曲げることにより、組立は完了する。コネクタ70は、液晶表示パネル60と、回路基板10上に形成された接触端子2に接触し、押し縮められているため、復元力が接触圧となって、液晶表示パネル60と回路基板10との導通がとれている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、ICの端子の端子間ピッチと液晶表示パネルの端子(すなわち、対向する接触端子2)の端子間ピッチは異なっているため、端子間を結合する配線パターン40は、図6に示すように、台形に広がる形状となり、ICの端子列と接触端子列の間は台形の配線ができるように離さなければならない。すなわち、広い配線領域を必要とし回路基板が大きくなるという課題があった。ICがチップ実装されることにより、IC側の端子ピッチはより小さくなり、一方、液晶表示パネルの端子ピッチは、表示内容やパネル内の配線で規定されてしまい、小さくできないため、ますます広い配線領域を必要としている。さらに、接触端子の位置が規定されると、液晶表示パネルの大きさも規定されてしまい、それ以下の大きさに小さくすることはできないという課題もあった。近年、液晶表示パネルの表示内容の複雑化によって、配線本数が増加する一方で、機器は小型化の傾向にあり、回路基板,液晶表示パネルの縮小は重要な課題となっている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案の回路基板配線構造は、少なくとも、液晶表示パネル,ゼブラコネクタ,回路基板,IC,からなる表示装置の回路基板において、前記回路基板の第一の面に前記ICを実装し、前記回路基板の第二の面に接触端子を設け、該接触端子と前記液晶表示パネルを前記ゼブラコネクタで接続し、前記回路基板の前記第一,第二の面に設けた配線パターンを結合するスルーホールまたは断面スルーホールを設け、前記第二の面の前記接触端子、または前記接触端子と前記スルーホールまたは断面スルーホールを結ぶ配線パターンと、前記第一の面の前記ICと前記スルーホールまたは断面スルーホールを結合する配線パターンとが平面的に重なっていることを特徴とする。
【0006】
また、本考案の回路基板配線構造は、請求項1記載の回路基板の第二の面に設けた接触端子と、請求項1記載の第一の面に設けた配線パターンを、スルーホールまたは断面スルーホールで結合したことを特徴とする。
【0007】
【実施例】
以下、実施例により本考案の詳細を示す。
【0008】
図1,2は、本考案による回路基板の第一,二の実施例の平面図である。図において、1は回路基板、2は接触端子、3はスルーホール、31は断面スルーホール、5はIC、4はIC5とスルーホール3又は断面スルーホール31を結合する配線パターンである。図3は、図2に示した第2の実施例の回路基板と液晶表示パネルを組み立てた状態の断面図である。図において、51はモールドされたIC、6は液晶表示パネル、7は接触端子2と液晶表示パネル6を導通させるコネクタ、8は反射板、9は回路基板1,液晶表示パネル6,コネクタ7などを収納固定しているパネルケースである。
【0009】
コネクタ7は、ゼブラコネクタと呼ばれるコネクタで、導体とゴム状弾性体の不導体を積層したものである。液晶表示パネル,回路基板などを、図3のように組み込み、パネルケース9と一体に形成された係合部91を図3のような位置になるように曲げることにより、組立は完了する。コネクタ7は、液晶表示パネル6と、回路基板1上に形成された接触端子2に接触し、押し縮められているため、復元力が接触圧となって、液晶表示パネル6と回路基板1との導通がとれている。
【0010】
第二の実施例のように断面スルーホール31を使用する場合には、断面スルーホール31相互の短絡を避けるように、パネルケース9を不導体材料で形成するか、絶縁部材を挿入するなどしなければならない。本考案による第一の実施例は、図1に示すように、回路基板1の表面に接触端子2が形成されている。接触端子2はそれぞれ、スルーホール3で、裏面の対応する配線パターン4と結合している。配線パターン4は、IC5を載置する位置の近傍まで伸びており、IC5とはワイヤーボンディングで結合されている。配線パターン45は、他の回路や、電源など(図示せず)とIC5を結合するための配線パターンである。本実施例は、図6の従来の例の接触端子2の部分を折り返して、スルーホルで結合したような形状となっている。したがって、図の矢印a方向の寸法は、図6の従来の例に比べて、およそ(接触端子2の長さ−スルーホールランド径)の2倍程度、短くできている。回路基板1は、便宜上、必要な部分のみ描いてあるが、もっと大きな回路基板で、他の回路が形成されていても良いことは勿論である。
【0011】
図2は、本考案による第二の実施例の回路基板である。回路基板の大きさが図に示した範囲で充分な場合には、第一の実施例のスルーホール3を断面スルーホール31にすることにより、矢印a方向の寸法をさらに小さくすることができる。
一般的に、ICと接触端子を効率的に結合するためには、ICのパッドと対応する接触端子は、なるべく向きあわせになるように配置する。従って、本実施例のように、接触端子2が複数列あるような場合には、接触端子2の列の間にIC5を配置するのが適当である。一方、液晶表示パネル6の矢印a方向の寸法は、接触端子2の一方の列の外側(IC5がある方を内側とする)から、他方の列の外側までの寸法とほぼ同じになる。図3と図7のbは、ある液晶表示パネルの表示文字の高さを、液晶表示パネルと同縮尺で示したものである。図7に示す従来の例においては、液晶表示パネル60は、回路基板10の接触端子2の位置によって定まる大きさで、bの大きさに比べて、大きくなってしまい、無駄なスペースを占有してしまっている。一方、図3に示す本考案による実施例においては、回路基板1が小さくなり、それに適合した液晶表示パネル6も小さくなり、無駄なスペースを占めるようなことはない。
【0012】
第一,第二の実施例において、接触端子2とスルーホール3または断面スルーホール31は近接して設けてあるが、液晶表示パネル6がもっと小さくて良いならば、液晶表示パネルの大きさに合わせて、接触端子2の位置を任意に移動し、小型化に対応することができる。
【0013】
図4は、本考案の第三の実施例の平面図である。接触端子2の中にスルーホール3を設けてある。液晶表示パネルの端子ピッチ即ち接触端子2のピッチは、液晶表示パネルに表示する形状,文字の影響をうけるため、7セグメントによる数字表示のような場合には、あまり小さくできない物がある。また、回路基板のスルーホールの小径化,スルーホールランドの小型化が進んでいる。このため、容易に、接触端子2の幅をスルーホール3を設けられる程度の大きさにすることができる場合が、多くなっている。第三の実施例のようにすると、スルーホールランドのスペースが要らないため、第一の実施例よりさらに矢印a方向の寸法を、小さくすることができる。
【0014】
図5は、本考案による第四の実施例の回路基板である。回路基板の大きさが図に示した範囲で充分な場合には、第三の実施例のスルーホール3を断面スルーホール31にすることにより、矢印a方向の寸法をさらに小さくすることができる。
図3において、モールドされたIC51の周囲は空きスペースとなっており、周辺の部材を配置して、有効利用することもできる。このスペースに相当する従来の例におけるスペースは、図7に54で示したスペースであるが、IC5の周辺は、パターンの配線領域であり、回路部品を実装することはできないし、回路基板10と反射板80の間にあるため、周辺の部材を配置することもできない、デッドスペースとなってしまっている。
【0015】
以上述べた実施例においては、ICは回路基板上にチップ実装しているが、パッケージされたICを使用しても良いことは勿論である。むしろ、パッケージ品はIC部分の占める面積が大きくなってしまうため、本考案がより有効であるとも考えられる。
【0016】
【考案の効果】
以上述べたように本考案によれば、ICと接触端子を回路基板の別々の面に配置し、接触端子と配線パターンが平面的に重なっているため、配線領域を確保したままで、回路基板の大きさを小さくする事ができるという効果を有する。また、接触端子の位置が規定されなくなることにより、液晶表示パネルの大きさの下限が、接触端子によって規定されることがなく、小型化に有利になるという効果を有する。さらに、ICが回路基板の液晶表示パネルと対向しない側に位置するため、ICの周辺に部材を配置して、スペースの有効活用をはかれるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の第一の実施例を表す、平面図である。
【図2】本考案の第二の実施例を表す、平面図である。
【図3】本考案の第二の実施例の回路基板に、液晶表示パネルなどを組み込んだ状態を表す、断面図である。
【図4】本考案の第三の実施例を表す、平面図である。
【図5】本考案の第四の実施例を表す、平面図である。
【図6】従来の回路基板を表す、平面図である。
【図7】従来の回路基板に、液晶表示パネルなどを組み込んだ状態を表す、断面図である。
【符号の説明】
1・・・回路基板
2・・・接触端子
3・・・スルーホール
31・・断面スルーホール
4・・・パターン
5・・・IC
51・・モールドされたIC
6・・・液晶表示パネル
7・・・コネクタ
8・・・反射板
9・・・パネルケース
91・・係合部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】少なくとも、液晶表示パネル,ゼブラコネクタ,回路基板,IC,からなる表示装置の回路基板において、前記回路基板の第一の面に前記ICを実装し、前記回路基板の第二の面に接触端子を設け、該接触端子と前記液晶表示パネルを前記ゼブラコネクタで接続し、前記回路基板の前記第一,第二の面に設けた配線パターンを結合するスルーホールまたは断面スルーホールを設け、前記第二の面の前記接触端子、または前記接触端子と前記スルーホールまたは断面スルーホールを結ぶ配線パターンと、前記第一の面の前記ICと前記スルーホールまたは断面スルーホールを結合する配線パターンとが平面的に重なっていることを特徴とする回路基板配線構造。
【請求項2】請求項1記載の回路基板の第二の面に設けた接触端子と、請求項1記載の第一の面に設けた配線パターンをスルーホールまたは断面スルーホールで結合したことを特徴とする回路基板配線構造。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図7】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate