説明

回路基板

【課題】 イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整ができるようにする。
【解決手段】 プリント基板には穴が形成され、イメージャは、プリント基板の表面のうち、穴の少なくとも一部を含む第1領域に接合される。本技術は、温度調整が必要な部品を実装する回路基板に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、イメージャを実装する回路基板に関し、特に、イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整が可能になる回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、微弱な信号を検出するイメージャにとって、暗電流ノイズは抑制すべき対象である。この暗電流ノイズは、熱によって発生する電荷に起因して生ずる。したがって、暗電流ノイズを抑制するためには、イメージャの温度を一定に調整することが対策の一つとして挙げられる。また、イメージャの特性を評価する場合には評価条件を一定に保つ必要があるところ、この点でもイメージャの温度を一定に調整することが求められる。
【0003】
このように、イメージャの温度を一定に調整することは重要であり、イメージャの温度を一定に調整するための従来の手法としては、次の3つの手法が広く知られている。
【0004】
1つめの手法は、イメージャを実装した回路基板に対してヒートシンクやペルチェ素子等の温度調整部材を接触させることで、間接的にイメージャの温度を一定に調整する手法(以下、間接温度調整手法と称する)である(例えば、特許文献1参照)。2つ目の手法は、イメージャを実装した回路基板全体を恒温槽の中に設置することで、イメージャの温度を一定に調整する手法(以下、恒温槽温度調整手法と称する)である。3つ目の手法は、イメージャを実装した回路基板全体に風を吹きかけることで、イメージャの温度を一定に調整する手法(以下、風温度調整手法)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−233311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1等の間接温度調整手法では、温度調整の対象は、温度調整部材が直接接触している回路基板であり、この回路基板を介してイメージャの温度が調整されるため、効率的な温度調整が困難である。このため、温度調整を効率的に行いたいという要望が挙げられている。また、恒温槽温度調整手法では、恒温槽を用いる時点で大がかりな構成となる。このため、コンパクト化したいという要望が挙げられている。また、風温度調整手法では、イメージャに満遍なく風をふきかけて温度ムラを無くすためには、イメージャの受光面への光を遮る位置にファン等の風源を設置する必要がある。しかしながら、受光面への光が遮られるとイメージャ自身が機能しなくなるので、従来においては、受光面への光を遮らないように斜め方向から風を吹きかけているが、イメージャで温度ムラが生じてしまい、全体で一定の温度に調整することは非常に困難である。このため、受光面への光が遮られない状態で、イメージャに均等に空気を接触させて、イメージャ全体で一定の温度に調整したいという要望が挙げられている。
【0007】
以上まとめると、回路基板に実装されるイメージャの温度を一定に調整する手法として、イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整が可能となる手法が要求されている状況である。
【0008】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、イメージャを実装する回路基板であって、イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整が可能になる回路基板を提供できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術の一側面の回路基板は、穴が形成された基板と、前記基板の表面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第1領域に接合されるイメージャとを備える。
【0010】
前記基板の裏面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第2領域に、第1の温度調整部材、又は第2の温度調整部材を装着することができる。
【0011】
前記イメージャの裏面と前記第1の温度調整部材又は前記第2の温度調整部材との間に、さらに、第3の温度調整部材を挿入することができる。
【0012】
前記第3の温度調整部材は、弾性体の熱伝導体シートを含むことができる。
【0013】
前記第3の温度調整部材は、熱伝導グリスを含むことができる。
【0014】
前記第1の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有するヒートシンクとすることができる。
【0015】
前記第2領域に装着された前記第2の複数の温度調整部材を、前記第2領域に圧着する弾性体をさらに備えることができる。
【0016】
前記第2の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有する温度調整プレートを含むことができる。
【0017】
前記基板と前記イメージャは、半田及び樹脂により接合されることができる。
【0018】
前記第1領域に接合された前記イメージャを、前記第1領域に固定する固定用部材をさらに備えることができる。
【0019】
本技術の一側面の回路基板においては、基板に穴が形成され、前記基板の表面のうち、前記穴の少なくとも一部が含まれる第1領域にイメージャが接合される。
【発明の効果】
【0020】
以上のごとく、本技術によれば、イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】顕微鏡システムの構成例を示す図である。
【図2】プリント基板の概略構成を示す図である。
【図3】イメージャの概略構成を示す図である。
【図4】樹脂による接合について説明する図である。
【図5】ヒートシンクの装着について説明する図である。
【図6】イメージャ固定用部材の概略構成を示す図である。
【図7】イメージャ固定用部材の装着について説明する図である。
【図8】プリント基板の他の概略構成を示す図である。
【図9】板ばねの概略構成を示す図である。
【図10】プリント基板の他の概略構成の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[顕微鏡システムの構成例]
図1は、本技術を適用した顕微鏡システム1の構成例を示す図である。
【0023】
顕微鏡システム1は、顕微鏡11、撮像装置12、PC(Personal Computer)13、補助装置14、及びPSU(Power Supply Unit)15から構成される。
【0024】
顕微鏡11は、例えば観察者の網膜上又は撮像装置12のイメージセンサ上に観察対象の標本の拡大像を結像させるための光学系21と、当該標本が載置されるステージ22とを有する。ステージ22は、XYステージ22−1と、Zステージ22−2とから構成される。XYステージ22−1は、PC13のCPU(Central Processing Unit)41の制御により、または観察者による図示せぬハンドルの操作に応じて、光学系21に対して相対的にXY平面(例えば水平面)に平行に移動する。これにより、ステージ22に載置された標本もXY平面に平行に移動する。また、Zステージ22−2は、PC13のCPU41の制御により、または観察者による図示せぬハンドルの操作に応じて、光学系21に対して相対的にZ軸方向(例えば垂直方向)に平行に移動する。これにより、ステージ22に載置された標本もZ軸方向に平行に移動する。
【0025】
すなわち、観察者は、ステージ22に載置された標本の拡大像を、光学系21を介して視認することができる。この場合、観察者は、標本の拡大像を自身の網膜上で合焦させるために、PC13や図示せぬハンドルを操作して、XYステージ22−1やZステージ22−2を移動させることで、光学系21に対する標本の相対的な配置位置を、3次元空間上の任意の位置に移動させる。
【0026】
また例えば、撮像装置12が顕微鏡11に対して装着されると、撮像装置12は、ステージ22に載置された標本の拡大像を、光学系21を介して撮像することができる。
【0027】
撮像装置12は、後述するイメージャ(図3のイメージャ101)が実装される回路基板(図2のプリント基板71)が、その一部として形成されるかまたは装着されたカメラボード31を有する。カメラボード31は、PC13による制御により、ステージ22に載置された標本の拡大像を光学系21を介して撮像する動作を行う。この場合、カメラボード31の各種動作のトリガとなる信号は補助装置14から供給される。
【0028】
PC13は、CPU41とチップセット42を含むように構成される。CPU41は、PC13の全体の動作を制御する。チップセット42は、CPU41の制御の下、各種処理を実行するチップ群から構成され、このようなチップの1つとしてホストコントローラ51を有している。ホストコントローラ51は、USB(Universal Serial Bus)接続された機器の遠隔制御を行う。ここでは、ホストコントローラ51は、USB接続されたカメラボード31を遠隔制御することによって、上述の如く標本の拡大像を撮像させる。
【0029】
PSU(Power Supply Unit)15は、顕微鏡システム1を構成する各部、例えばPC13やカメラボード31に電力を供給する。
【0030】
[本技術の概要]
このように、カメラボード31にはイメージャが実装される回路基板がその一部として形成されるかまたは装着される。このイメージャは、上述したように一定の温度に調整されることが要求される。
【0031】
したがって、本技術の回路基板の一実施形態としてのプリント基板は、実装されているイメージャの温度を一定に調整するために、ヒートシンクやペルチェ素子等の温度調整部材に熱を伝導させて放熱する。ここで、本技術におけるプリント基板には、イメージャが実装される領域の一部に開口部が設けられている。ここで、説明の便宜上、プリント基板のうち、イメージャが実装される面を表面と称し、当該表面の反対側の面を、裏面と称する。したがって、プリント基板の裏面に配置された温度調整部材と、プリント基板の表面に実装されたイメージャとの間は、開口部により貫通しているので、温度調整部材は、イメージャ裏面に対して直接温度調整をすることができる。このように、温度調整部材が、プリント基板を介さずに直接イメージャの温度調整を行うことができるため、効率的な温度調整が可能となる。したがって、イメージャの温度調整を行うためのファンや恒温槽を設ける必要がなくなり、イメージャの受光面を遮ることなくコンパクトな構造で、イメージャの効率的な温度調整が可能になる。
【0032】
[プリント基板の概略構成]
図2は、本技術の回路基板の一実施形態としてのプリント基板71の概略構成を示す図である。図2Aは、プリント基板71の上面図である。図2Bは、図2Aの線a−a’におけるプリント基板71の断面図である。
【0033】
プリント基板71は、温度調整用開口部81、イメージャマウント用パターン82、イメージャ固定用貫通穴83−1乃至83−4、及びプリント基板固定用貫通穴84−1乃至84−4を備えている。なお、以下、イメージャ固定用貫通穴83−1乃至83−4を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてイメージャ固定用貫通穴83と称する。同様に、プリント基板固定用貫通穴84−1乃至84−4を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてプリント基板固定用貫通穴84と称する。
【0034】
温度調整用開口部81は、図3を用いて後述するイメージャ101を実装する位置に設けられ、後述するイメージャ101がプリント基板71に接合可能な範囲内で可能な限り大きな面積となっている。
【0035】
プリント基板71の表面のうち、温度調整用開口部81の外周部には、イメージャマウント用パターン82が形成されている。イメージャマウント用パターン82に対して、後述するイメージャ101に形成されたイメージャマウント用パターン112が、半田により接合されることで、イメージャ101は、プリント基板71の表面に実装される。
【0036】
プリント基板71の表面のうち、イメージャマウント用パターン82の周囲近傍には、イメージャ固定用貫通穴83が設けられている。プリント基板71の表面の四隅には、プリント基板固定用貫通穴84が設けられている。なお、イメージャ固定用貫通穴83及びプリント基板固定用貫通穴84の用途については、後述する。
【0037】
[イメージャの概略構成]
図3は、イメージャ101の概略構成を示す図である。図3Aは、イメージャ101の上面図である。図3Bは、イメージャ101の側面図である。図3Cは、イメージャ101の下面図である。
【0038】
図3Aに示されるように、イメージャ101の一面101fの中央部には、受光面111が設けられている。ここで、受光面111が設けられるイメージャ101の一面101fを、イメージャ表面101fと称する。また、イメージャ表面101fと反対側の一面101bを、イメージャ裏面101bと称する。
【0039】
図3Cに示されるように、イメージャ裏面101bの外周部には、イメージャマウント用パターン112が形成されている。イメージャマウント用パターン112が、プリント基板71のイメージャマウント用パターン82(図2)に半田により接合されることで、イメージャ101がプリント基板71の表面に実装される。したがって、プリント基板71のイメージャマウント用パターン82と、イメージャ裏面101bのイメージャマウント用パターン112とは、略同一の寸法を有するように構成される。これにより、イメージャ101は、プリント基板71の表面のうち、温度調整用開口部81を含む領域に接合されることになる。
【0040】
ここで、プリント基板71のイメージャマウント用パターン82と、イメージャ裏面101bのイメージャマウント用パターン112とが半田により接合されることで、プリント基板71とイメージャ101は機械的に接合されると共に、電気的にも接続される。
【0041】
[樹脂による接合]
さらに、プリント基板71とイメージャ101の機械的な接合の強度を増大させるため、両者が樹脂により接合される。
【0042】
図4は、プリント基板71とイメージャ101の樹脂による接合について説明する図である。図4Aは、イメージャ101が実装されたプリント基板71の上面図である。図4Bは、図4Aの線a−a’におけるプリント基板71の断面図である。
【0043】
図4に示されるように、プリント基板71の表面には、半田により接合されたイメージャ101が実装されている。そして、イメージャ101の外周部に示される樹脂131により、プリント基板71とイメージャ101が接合されている。イメージャ101とプリント基板71は、半田による接合に加え、さらに樹脂131によって接合が補強されるので、接合の強度が増大する。
【0044】
[ヒートシンクの装着]
次に、イメージャ101の温度を一定に調整するための温度調整部材としてのヒートシンクの装着について説明する。
【0045】
図5は、ヒートシンク151の装着について説明する図である。図5Aは、プリント基板71の上面図である。図5Bは、図5Aの線a−a’におけるプリント基板71の断面図である。
【0046】
図5に示されるように、プリント基板71の裏面にヒートシンク151が装着される。ヒートシンク151は、固定用突起部151−1と接触用突起部151−2を備えている。固定用突起部151−1は、プリント基板71のプリント基板固定用貫通穴84に対応する位置に配置される。また、接触用突起部151−2は、プリント基板71の温度調整用開口部81に対応する位置に配置される。
【0047】
固定用突起部151−1の中央部には孔があけられており、図示せぬネジが、プリント基板71のプリント基板固定用貫通穴84及び当該孔に螺挿されることにより、ヒートシンク151がプリント基板71の裏面に装着される。
【0048】
また、ヒートシンク151の接触用突起部151−2が、温度調整部材としての弾性体の熱伝導シート152を介してイメージャ裏面101bに接着される。すなわち、ヒートシンク151の接触用突起部151−2は、プリント基板71の裏面のうち、温度調整用開口部81を含む領域に、熱伝導シート152を介して装着される。これにより、イメージャ101の熱が、イメージャ裏面101bに接着された熱伝導シート152を介して接触用突起部151−2に伝導され、ヒートシンク151から放熱される。なお、弾性体の熱伝導シート152の換わりに、熱伝導グリスが用いられてもよい。
【0049】
イメージャ裏面101bからイメージャ101の温度調整を均一に行うために、熱伝導シート152を介して接着されるヒートシンク151の接触用突起部151−2と、イメージャ裏面101bの接触面積は可能な限り大きい方がよい。したがって、プリント基板71とイメージャ101の接合面積は極力小さくして、温度調整用開口部81の面積を大きくする必要がある。しかしながら、プリント基板71とイメージャ101の接合面積が小さくなることで、両者の接合の強度は弱まるため、上述の樹脂131による接合の補強が必要となる。
【0050】
また、イメージャ101からヒートシンク151への熱伝導性を高めるためには、イメージャ裏面101bとヒートシンク151の接触用突起部151−2が、弾性体の熱伝導シート152を介して圧着されていることが望ましい。そのためには、イメージャ101がプリント基板71に強く接合されていることが前提として必要であり、上述の樹脂131による接合の補強が必要となる。
【0051】
[イメージャ固定用部材による固定]
このように、イメージャ101とプリント基板71の接合の強度が強いことは、イメージャの効率的な温度調整にとって必要である。したがって、イメージャ101とプリント基板71の接合の強度をより増大させるため、樹脂131による接合の補強に加えて、さらに、イメージャ101は固定用部材によってプリント基板71に固定される。
【0052】
図6は、イメージャ固定用部材171の概略構成を示す図である。
【0053】
イメージャ固定用部材171は、開口部181、イメージャ固定用部材貫通穴182−1乃至182−4を備えている。なお、イメージャ固定用部材貫通穴182−1乃至182−4を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてイメージャ固定用部材貫通穴182と称する。
【0054】
開口部181は、イメージャ固定用部材171の中央部に形成されており、イメージャ101の受光面111への光を遮らないように、受光面111の面積よりも大きく構成される。
【0055】
イメージャ固定用部材171の開口部181の周囲近傍には、イメージャ固定用部材貫通穴182が設けられている。図示せぬネジが、イメージャ固定用部材貫通穴182及びプリント基板71のイメージャ固定用貫通穴83に螺挿されることにより、イメージャ固定用部材171がプリント基板71に装着される。
【0056】
図7は、イメージャ固定用部材171の装着について説明する図である。図7Aは、イメージャ固定用部材171が装着されたプリント基板71の上面図である。図7Bは、図7Aの線b−b’におけるプリント基板71の断面図である。
【0057】
図7に示されるように、イメージャ固定用部材171は、イメージャ101が実装されたプリント基板71の表面に装着される。イメージャ固定用部材171は、イメージャ表面101fに積層され、イメージャ固定用部材171とプリント基板71でイメージャ101を挟み込む状態で、図示せぬネジによりプリント基板71に装着される。これにより、プリント基板71とイメージャ101の半田による接合は、樹脂131及びイメージャ固定用部材171によって補強されるので、接合の強度が増大する。
【0058】
図7Bに示されるように、プリント基板71の裏面に装着されたヒートシンク151の接触用突起部151−2には、温度センサ挿入孔191が設けられている。温度センサ挿入孔191には、熱電対やサーミスタ等の図示せぬ温度センサが挿入され、当該温度センサによりイメージャ101の温度が測定される。したがって、温度センサによるイメージャ101の温度の測定がより正確に行われるように、温度センサ挿入孔191は、接触用突起部151−2において、極力イメージャ101に近い位置に設けられる。
【0059】
温度センサによってイメージャ101の温度が測定されることにより、イメージャ101の温度が適正な範囲内にあるか否かの確認が可能となる。
【0060】
なお、上述したように、イメージャ101の熱は、イメージャ裏面101bに接着された熱伝導シート152を介してヒートシンク151の接触用突起部151−2に伝導される。したがって、接触用突起部151−2からヒートシンク151に伝導された熱が、固定用突起部151−1からプリント基板71を介して再びイメージャ101に伝導されないようにする必要がある。このため、ヒートシンク151の固定用突起部151−1は、熱を伝導しない素材により構成されるものとする。
【0061】
[プリント基板のその他の概略構成]
次に、イメージャ101を所望の温度に制御するためのプリント基板71の概略構成について説明する。
【0062】
図8は、イメージャ101を所望の温度に制御するためのプリント基板71の概略構成を示す図である。図8Aは、イメージャ101が実装されたプリント基板71の上面図である。図8Bは、図8Aの線a−a’におけるプリント基板71の断面図である。
【0063】
図8Aに示されるように、プリント基板71の表面には、半田により接合されたイメージャ101が実装されている。そして、イメージャ101の外周部の樹脂131により、プリント基板71とイメージャ101の接合が補強されている。
【0064】
図8Bに示されるように、プリント基板71の裏面には、温度調整プレート201、ペルチェ素子202、板ばね203、及びヒートシンク204が、その順に積層されている。
【0065】
温度調整部材としての温度調整プレート201は、例えば、銅やアルミ等の熱伝導率の高い素材により構成され、温度センサを挿入するための温度センサ挿入孔231が設けられている。温度調整プレート201は、熱伝導シート152を介してイメージャ裏面101bに接着される。
【0066】
温度調整部材としてのペルチェ素子202は、温度調整プレート201と熱伝導性接着剤や銀ペースト等により接着されている。ペルチェ素子202の温度調整プレート201と接着される面を面202Aとし、その反対側の板ばね203が装着される面を面202Bとする。ペルチェ素子202は、電流が通電されると、一方の基板面が吸熱面になり、他方の基板面が発熱面になる。
【0067】
面202Aが吸熱面である場合、反対側の面202Bが発熱面となる。すなわち、所定のプラス電圧値がペルチェ素子202に印加された場合、そのプラス電圧値に応じた温度差△Tが面202Aと面202Bとの間に発生する。これにより、イメージャ101から発せられた熱が面202Aで吸熱され、イメージャ101が冷却される。
【0068】
また、面202Aが発熱面である場合、反対側の面202Bが吸熱面となる。すなわち、所定のプラス電圧値がペルチェ素子202に印加された場合、そのプラス電圧値に応じた温度差△Tが面202Aと面202Bとの間に発生する。これにより、面202Aの発熱がイメージャ101に伝達され、イメージャ101が加熱される。
【0069】
このように、ペルチェ素子202によってイメージャ101が冷却又は加熱され、予め設定された温度に調整することが可能となる。
【0070】
板ばね203は、ペルチェ素子202とヒートシンク204の間に設置され、熱伝導シート152、温度調整プレート201、ペルチェ素子202、及びヒートシンク204を、プリント基板71の裏面に圧着させる。イメージャ101に対して温度調整をするためのユニットであって、熱伝導シート152、温度調整プレート201、ペルチェ素子202、またはヒートシンク204などの1以上の温度調整部材から構成されるユニットを温度調整ユニットと称する。
【0071】
[板ばねの概略構成]
図9は、板ばね203の概略構成を示す図である。
【0072】
板ばね203は、開口部211、ヒートシンク取付穴212−1,212−2、及び温度調整ユニット取付穴213−1乃至213−4を備えている。なお、以下、ヒートシンク取付穴212−1,212−2を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめてヒートシンク取付穴212と称する。同様に、温度調整ユニット取付穴213−1乃至213−4を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて温度調整ユニット取付穴213と称する。
【0073】
板ばね203は、はじめに、図示せぬネジが、ヒートシンク取付穴212に螺挿されることにより、ヒートシンク204に装着される。その後、図示せぬネジが、板ばね203の温度調整ユニット取付穴213、スペーサ205、プリント基板71のイメージャ固定用貫通穴83に螺挿されることにより、温度調整部材としての温度調整ユニットが、プリント基板71の裏面のうち、温度調整用開口部81を含む領域に圧着される。
【0074】
板ばね203には開口部211が設けられているので、ペルチェ素子202の面202Bとヒートシンク204が接触し、面202Bとヒートシンク204の間での熱伝導が可能となる。
【0075】
図8のプリント基板71においても、イメージャ裏面101bからイメージャ101の温度調整を均一に行うために、熱伝導シート152を介して接着される温度調整プレート201と、イメージャ裏面101bの接触面積は可能な限り大きい方がよい。したがって、プリント基板71とイメージャ101の接合面積は極力小さくして、温度調整用開口部81の面積を大きくする必要がある。しかしながら、プリント基板71とイメージャ101の接合面積が小さくなることで、両者の接合の強度は弱まるため、接合の補強が必要となる。
【0076】
また、イメージャ101から温度調整ユニットへの熱伝導率を高めるためには、イメージャ裏面101bと温度調整ユニットが、弾性体の熱伝導シート152を介して圧着されていることが望ましい。そのためには、イメージャ101がプリント基板71に強く接合されていることが前提として必要であり、接合の補強が必要となる。
【0077】
したがって、プリント基板71とイメージャ101の機械的な接合の強度をより増大させるため、樹脂131による接合の補強に加えて、さらに、図6のイメージャ固定用部材171によって接合を補強し、プリント基板71とイメージャ101の接合の強度をより増大させる。
【0078】
図8のプリント基板71に、イメージャ固定用部材171が装着された場合の上面図は、図7Aと同様である。しかしながら、イメージャ固定用部材171が装着された図8Aのプリント基板71の、線b−b’における断面図は、図10に示されるようになる。
【0079】
[イメージャ固定用部材を実装した場合のプリント基板の概略構成]
図10は、図8のプリント基板71にイメージャ固定用部材171が装着された場合の概略構成の断面図である。
【0080】
図10に示されるように、図示せぬネジが、イメージャ固定用部材171のイメージャ固定用部材貫通穴182、プリント基板71のイメージャ固定用貫通穴83、スペーサ205、及び板ばね203の温度調整ユニット取付穴213に螺挿されることにより、これらが固定される。すなわち、イメージャ101が、イメージャ固定用部材171によってプリント基板71の表面に固定され、温度調整ユニットが、板ばね203によってプリント基板71の裏面に固定される。
【0081】
温度調整プレート201に設けられた温度センサ挿入孔231には、熱電対やサーミスタ等の図示せぬ温度センサが挿入され、当該温度センサによりイメージャ101の温度が測定される。温度センサによるイメージャ101の温度の測定がより正確に行われるように、温度センサ挿入孔231は、温度調整プレート201において、極力イメージャ101に近い位置に設けられる。
【0082】
温度センサによるイメージャ101の測定温度に基づいて、ペルチェ素子202への指令電圧として、所定のプラス電圧値が決定される。そして、その指令電圧がペルチェ素子202に印加されることで、ペルチェ素子202の温度差△Tを可変させ、その結果として、イメージャ101を所望の温度に制御することができる。
【0083】
このように、プリント基板71に温度調整用開口部81が設けられることにより、ヒートシンク151やペルチェ素子202等の温度調整部材が、プリント基板71を介さずにイメージャ裏面101bに対して直接温度調整をすることができる。すなわち、温度調整部材がプリント基板71を介さずに直接イメージャ101の温度調整を行うことができるため、ファンや恒温槽を設ける必要がなくなり、イメージャ101の受光面111を遮ることなくコンパクトな構造で、効率的な温度調整が可能となる。
【0084】
また、本技術においては、イメージャ101とヒートシンク151やペルチェ素子202等の温度調整部材との間に、弾性体の熱伝導シート152が設けられたり、温度調整ユニットが弾性体の板ばね203によって、プリント基板71の裏面に固定される。したがって、機械的な圧着高さの精度を求めなくても、イメージャ101と温度調整部材との間で安定した熱的な結合が可能となる。
【0085】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0086】
上述の例では、ヒートシンク151やペルチェ素子202等の温度調整部材が、プリント基板71の裏面に配置された。しかしながら、当該温度調整部材は必須の構成要素ではなく、プリント基板71に温度調整用開口部81が設けられることにより、イメージャ101の温度調整の効果を奏することができる。また、プリント基板71の裏面にファン等を配置することで、イメージャ101をイメージャ裏面101bから満遍なく冷却することができるので、イメージャ101の受光面111を遮ることなく温度調整の効果を奏することができる。
【0087】
また、上述の例では、プリント基板71は、顕微鏡システム1の構成要素である撮像装置12のカメラボード31の一部として形成されるかまたは装着されるものとして説明した。しかしながら、これに限定されず、本技術のプリント基板71は、温度調整が必要な部品を実装する回路基板に広く適用することができる。
【0088】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
穴が形成された基板と、
前記基板の表面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第1領域に接合されるイメージャとを備える
回路基板。
(2)
前記基板の裏面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第2領域に、第1の温度調整部材、又は第2の温度調整部材が装着される
前記(1)に記載の回路基板。
(3)
前記イメージャの裏面と前記第1の温度調整部材又は前記第2の温度調整部材との間に、さらに、第3の温度調整部材が挿入される
前記(1)または(2)に記載の回路基板。
(4)
前記第3の温度調整部材は、弾性体の熱伝導体シートを含む
前記(1)、(2)、または(3)に記載の回路基板。
(5)
前記第3の温度調整部材は、熱伝導グリスを含む
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の回路基板。
(6)
前記第1の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有するヒートシンクである
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の回路基板。
(7)
前記第2領域に装着された前記第2の温度調整部材を、前記第2領域に圧着する弾性体をさらに備える
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の回路基板。
(8)
前記第2の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有する温度調整プレートを含む
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の回路基板。
(9)
前記基板と前記イメージャは、半田及び樹脂により接合されている
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の回路基板。
(10)
前記第1領域に接合された前記イメージャを、前記第1領域に固定する固定用部材をさらに備える
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の回路基板。
【0089】
本技術は、イメージャを実装する回路基板に適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
71 プリント基板, 81 温度調整用開口部, 101 イメージャ, 111 受光面, 131 樹脂, 151 ヒートシンク, 152 熱伝導シート, 171 イメージャ固定用部材, 191 温度センサ挿入孔, 201 温度調整プレート, 202 ペルチェ素子, 203 板ばね, 204 ヒートシンク, 231 温度センサ挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穴が形成された基板と、
前記基板の表面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第1領域に接合されるイメージャと
を備える回路基板。
【請求項2】
前記基板の裏面のうち、前記穴の少なくとも一部を含む第2領域に、第1の温度調整部材、又は第2の温度調整部材が装着される
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記イメージャの裏面と前記第1の温度調整部材又は前記第2の温度調整部材との間に、さらに、第3の温度調整部材が挿入される
請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第3の温度調整部材は、弾性体の熱伝導体シートを含む
請求項3に記載の回路基板。
【請求項5】
前記第3の温度調整部材は、熱伝導グリスを含む
請求項3に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有するヒートシンクである
請求項4に記載の回路基板。
【請求項7】
前記第2領域に装着された前記第2の温度調整部材を、前記第2領域に圧着する弾性体をさらに備える
請求項4に記載の回路基板。
【請求項8】
前記第2の温度調整部材は、温度センサを挿入する挿入孔を有する温度調整プレートを含む
請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記基板と前記イメージャは、半田及び樹脂により接合されている
請求項4に記載の回路基板。
【請求項10】
前記第1領域に接合された前記イメージャを、前記第1領域に固定する固定用部材をさらに備える
請求項9に記載の回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58663(P2013−58663A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196819(P2011−196819)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】