説明

回路形成用カセットおよびその利用

【課題】 真空下にて試料を分析および/または処理する際に必要とされる複数の機能を備えた器具を提供する。
【解決手段】 端子1および突起部6を有する基板100、ならびに端子1と接触する電極3および突起部6を挿入するための凹部10を有するホルダー200を備える回路形成用カセットであって、突起部6が凹部10へ挿入されることによって基板100とホルダー200とが固定される構成を有する回路形成用カセットを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空下にて試料を分析および/または処理する際に必要とされる複数の機能を備えるための回路を形成させるためのカセットおよびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生物学、化学、物理学、電子工学といった幅広い分野にわたって使用される分析機器(例えば、走査型トンネル顕微鏡などの表面分析機器、または分光測定を用いる分光機器など)における試料の分析、特に、制御された固体表面の分析は、真空下(10−5〜10−11Pa)で行うことが多い。従って、種々の機器および部材は真空に対応する必要があり、材料および製作過程などにおいて種々の工夫を必要とする。
【0003】
近年、種々の分析機器を組み合わせたシステムを構築して試料を分析することが行われている。このようなシステムを用いて試料を分析する場合、複数の分析機器に試料を受け渡しするための工夫が必要となる。また、試料の分析前または分析時の加熱工程などのさらなる工程が必要とされることが多い。複数工程を必要とする試料の処理が必要な場合、複数の分析機器に試料を受け渡しすることなく、同一機器において複数工程が行われ得ることが所望される。
【0004】
従来、真空装置として、試料を大気圧下で導入し、真空排気後に試料を搬送するための試料交換室、当該試料交換室から試料を導入して測定を行う測定室、および当該試料交換室から試料を移動して試料の処理を行うための予備室から構成される真空対応分析装置が頻繁に用いられている(例えば、特許文献1を参照のこと)。このような構成の真空装置を採用する場合、当該真空装置を含む設備全体の規模が大きく、個々の装置の配置および/または調整に時間を要するという不具合がある。さらに、上記不具合を改善した場合であっても、真空室と搬送室との間での試料の受け渡しが必要である。
【0005】
最近、試料を保持する試料ホルダーと、試料ホルダーを固定するホルダー受けとを備えて構成された試料搬送装置が開発されている。このような試料搬送装置は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を測定装置に受け渡しするのに用いることができ、有用性の高いものである。
【0006】
例えば非特許文献1には、試料ホルダーをホルダー受けに差し込むタイプの試料搬送装置が開示されている。
【特許文献1】特開平5−290778公報(平成5年11月5日公開)
【非特許文献1】Motion & Manipulation Section 7.2 In-Vacuum Accessories Sample Handling Systems MDC Vacuum Products Corporation P.432-433
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の構成では、試料ホルダーの電極と、ホルダー受けの電極とをしっかりと接続するためには、強い力で試料ホルダーをホルダー受けに差し込まなければならず、その結果、ホルダー受けが破損したり、ホルダー受けの位置が動いてしまうという問題を生じる。さらに、電極の数が増えればさらに大きな力が必要となるので、接続できる電極の数が限られてしまい、その結果、従来の試料搬送装置は他の機能を付加させるに適切な回路を形成することができなかった。また、試料の温度を直接測定することができないので、加熱を行った場合に試料の正確な温度を測定することができなかった。このように、従来の試料搬送装置では、限られた試料調製しか行なうことができないという問題がある。つまり、多数の電極を備えることによって複数の機能を実現する器具は存在しなかった。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、端子を有する基板、および当該端子と接触する電極を担持しかつ当該基板を着脱可能に固定するホルダーを備える回路形成用カセットを提供することである。換言すれば、本発明の目的は、基板に設けられた端子とホルダーに設けられた電極を接続することによって基板上に回路を形成し、当該回路を用いて複数の機能を実現することのできる回路形成用カセットを供給することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る回路形成用カセットは、端子および突起部を有する基板、ならびに当該端子と接触する電極および当該突起部を挿入するための凹部を有するホルダーを備え、
当該突起部が当該凹部へ挿入されることによって当該基板と当該ホルダーとが固定されることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る回路形成用カセットは、真空中で用いられることが好ましい。
【0011】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記回路が上記基板上に形成されていることが好ましい。
【0012】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記突起部がテーパー形状であることが好ましい。
【0013】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記基板から上記ホルダーの方向に貫通しかつ当該基板を当該ホルダーの向きに導くための案内部材を、当該基板がさらに備えることが好ましい。
【0014】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記突起部が、上記案内部材のうち上記基板から上記ホルダー側に突出している部分であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記案内部材が、上記突起部とは逆側に突出しかつ上記基板を上記ホルダーに固定する操作を行うための操作部をさらに備えることが好ましい。
【0016】
本発明に係る回路形成用カセットは、上記基板を上記ホルダーに固定する操作を補助するための操作補助部材をさらに備えることが好ましい。
【0017】
本発明に係る回路形成用カセットは、上記操作部が突起部を有し、上記操作補助部材には当該突起部が遊挿されるための溝が形成されていることが好ましい。
【0018】
本発明に係る回路形成用カセットは、上記操作部を回転させることによって上記基板が上記ホルダーに導かれることが好ましい。
【0019】
本発明に係る回路形成用カセットは、上記操作補助部材を用いて上記操作部を回転させることが好ましい。
【0020】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記操作補助部材は真空中を直線および回転運動することができる搬送器具に接続されることが好ましい。
【0021】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記突起部および上記凹部は螺合することが好ましい。
【0022】
本発明に係る試料加熱器具は、上記の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続されたヒータを備えることを特徴としている。
【0023】
本発明に係る試料加熱器具は、真空中で用いられることが好ましい。
【0024】
本発明に係る試料加熱器具において、上記ヒータが板ばねによって上記基板上に固定されていることが好ましい。
【0025】
本発明に係る試料加熱器具は、上記端子と接続された温度センサをさらに備えることが好ましい。
【0026】
本発明に係る試料加熱器具において、上記温度センサは熱電対からなることが好ましい。
【0027】
本発明に係る蒸着器具は、上記の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続された蒸着部を備えることを特徴としている。
【0028】
本発明に係る蒸着器具は、真空中で用いられることが好ましい。
【0029】
本発明に係る蒸着器具において、上記蒸着部は、蒸着源物質を挿入する坩堝であることが好ましい。
【0030】
本発明に係る蒸着器具は、上記坩堝を加熱するためのヒーターをさらに備えることが好ましい。
【0031】
本発明に係る蒸着器具は、上記ヒーターが板状であることが好ましい。
【0032】
本発明に係る蒸着器具において、上記ヒーターが上記端子と電気的に接続されかつコイル支持体を挟んで当該坩堝を覆うコイルであることが好ましい。
【0033】
本発明に係る蒸着器具において、上記坩堝の最外層が遮蔽体からなることが好ましい。
【0034】
本発明に係る蒸着器具において、上記坩堝がアルミナ、タンタル、石英または窒化ボロンからなることが好ましい。
【0035】
本発明に係る蒸着器具において、上記コイルがタングステン、モリブデンまたはタンタルからなることが好ましい。
【0036】
本発明に係る電子ビーム加熱器具は、上記の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続されたフィラメントおよび試料と接続された加速電圧配線を備えることを特徴としている。
【0037】
本発明に係る電子ビーム加熱器具は、真空中で用いられることが好ましい。
【0038】
本発明に係る電子ビーム加熱器具において、上記フィラメントが、タングステンまたはモリブデンからなるコイルであることが好ましい。
【0039】
本発明に係る光ファイバー結合器具は、光照射または光取り込みのために、上記の回路形成用カセットの基板上に設けた光ファイバー接合部を介してホルダーに接続された光ファイバーと接続可能なプローブを当該基板上に備えることを特徴としている。
【0040】
本発明に係る光ファイバー結合器具は、真空中で用いられることが好ましい。
【0041】
本発明に係る光ファイバー結合器具は、上記光ファイバーを用いて光照射することが好ましい。
【0042】
本発明に係る光ファイバー結合器具は、上記光照射に基づいて試料から生じる光を検出するための検出手段をさらに備えることが好ましい。
【0043】
本発明に係る光ファイバー結合器具において、上記試料から生じる光が透過光、散乱光または発光であることが好ましい。
【0044】
本発明に係る光ファイバー結合器具は、試料から生じる光を上記光ファイバーを用いて検出することが好ましい。
【0045】
本発明に係る光ファイバー結合器具において、上記試料から生じる光が透過光、散乱光または発光であることが好ましい。
【0046】
本発明に係る発光検出器具は、上記の回路形成用カセットの基板が、試料保持台を備え、かつ外部からの照射光および/または照射された試料の発する発光が通過する開口を有することを特徴としている。
【0047】
本発明に係る発光検出器具は、真空中で用いられることが好ましい。
【0048】
本発明に係る回路形成用カセットにおいて、上記基板が、試料保持台および走査ピエゾをさらに備えることが好ましい。
【0049】
本発明に係る走査型トンネル顕微鏡、走査型原子間力顕微鏡または走査型近接場顕微鏡は、上記の回路形成用カセットを用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0050】
本発明に係る回路形成用カセットによれば、多数の電極を備えることによって複数の機能(例えば、加熱もしくは蒸着時に物質の温度を測定する、または電子ビームの発生に必要な陰極と陽極を形成するなど)を実現することができるという効果を奏する。また、本発明に係る回路形成用カセットによれば、別々の基板とホルダーから構成されるカセットを用いることによって、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を測定装置に受け渡しすることができるという効果を奏する。さらに、本発明に係る回路形成用カセットによれば、別々の基板とホルダーから構成されるカセットを用いることによって、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を処理および/または測定する際に使用することができる。
【0051】
本発明に係る回路形成用カセットは、種々の機器を組み合わせたシステムにおいて共通のプラットホームとして機能するという効果を奏する。さらに、本発明に係る回路形成用カセットを用いれば、生物学、化学、物理学、電子工学といった幅広い分野にわたって使用される分析機器の小型化、低価格化、および/または多機能化等において飛躍的な進歩が期待される。
【0052】
本発明に係る試料加熱器具によれば、加熱工程と分析工程とを場所を移動させることなく同時または連続して行うことができるという効果を奏する。さらに、本発明に係る試料加熱器具は、試料の温度を直接測定して試料の正確な温度を測定することができるという効果を奏する。
【0053】
本発明に係る蒸着器具によれば、加熱工程と分析工程とを場所を移動させることなく同時または連続して行うことができるという効果を奏する。さらに、本発明に係る蒸着器具は、蒸着の温度を直接測定して蒸着に適切な温度設定を行うことができるという効果を奏する。
【0054】
本発明に係る電子ビーム加熱器具によれば、加熱工程と分析工程とを場所を移動させることなく同時または連続して行うことができるという効果を奏する。
【0055】
本発明に係る光ファイバー結合器具によれば、光照射工程と発光検出工程とを場所を移動させることなく同時または連続して行うことができるという効果を奏する。
【0056】
本発明に係る発光検出器具によれば、光照射工程と発光検出工程とを場所を移動させることなく同時または連続して行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
本発明の第1の実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りである。
【0058】
図1は、本実施形態に係る回路形成用カセットの構成を概略的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係る回路形成用カセットは、基板100およびホルダー200を備えて構成される。
【0059】
本実施形態に係る回路形成用カセットは、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を処理および/または測定する位置に搬送することができる。本明細書中で使用される場合、用語「真空」は、10−5〜10−11Paの状態が意図され、超高真空(10−8Pa程度)であっても極高真空(10−9〜10−11Pa)であってもよい。
【0060】
基板100は、絶縁体2を介して端子1を備える。基板100はさらに、基板100をホルダー200に固定するための突起部6を備える。
【0061】
ホルダー200は、絶縁チューブ4を介して電極3を備える。電極3は、電源(図示せず)と電気的に接続されており、ホルダー200が分析機器などに固定されている場合、当該分析機器を電源または測定手段として用いることができる。ホルダー200はさらに、基板100の突起部6が挿入される凹部10を備える。
【0062】
基板100を図中反A方向に導いて基板100の突起部6がホルダー200の凹部10に挿入されることによって、基板100がホルダー200に固定される。基板100がホルダー200に固定されると、基板100の端子1が、ホルダー200の電極3と電気的に接続される。
【0063】
基板100の突起部6は、ホルダー200の凹部10に単純に挿入されればよい。また、突起部6および凹部10を介して基板100がホルダー200に首尾よく固定されるように、突起部6および凹部10は、同一形状の断面を有していることが好ましい。突起部6および凹部10はねじまたはフックなどの形状を備えて互いに固定されることがより好ましい。
【0064】
本実施形態において、基板100、ホルダー200、および突起部6を構成する材質は、特に限定されないが、真空下での使用に耐えることができる物質(例えば、モリブデン、ステンレス、チタン、銅または銅合金)が好ましい。加熱処理などを行う場合は、各々の部材が融合することを避けるために、各部材の材質が異なることが好ましい。
【0065】
突起部6がねじになっている場合、ねじ山の先端が壊れる可能性がある。すなわち、最初にネジが入るときには、ねじ山の先端だけが噛合うので、突起部6のねじと凹部10のねじとの軸が整合していないとねじ山が破損しやすい。従って、突起部6の先端は、破損を避けるためにテーパー状になっていることが好ましい。
【0066】
また、各部材の損傷を避けかつ基板100の突起部6をホルダー200の凹部10に精度よく挿入して端子1を電極3に正確に接続するために、突起部6と凹部10との間には隙間があってこれらの嵌め合いは緩やかであることが好ましい。また、基板100とホルダー200との接触が均一になり、良好な熱伝導を得るように、基板100またはホルダー200のいずれかがその接触部に板ばねを備えてもよい。
【0067】
凹部10の内径と突起部6の外径との差は、例えば0.1mm〜0.3mm程度であることが好ましく、約0.15mmが最も好ましい。
【0068】
また端子1は、例えば、銅、ステンレス、銅合金から構成されることが好ましい。さらに電極3との接続をより確実にするために、スプリング(例えば、銅合金またはモリブデン製)を備えることが好ましい。図1において、端子1および電極3がそれぞれ4つずつ備えられている構成を示したが、本発明に係る回路形成用カセットは、任意の数の端子および電極を備えることができる。4つ以上の端子および電極を備えることができるので、本発明に係る回路形成用カセットは、基板上に所望の任意の回路を形成することができる。
【0069】
本実施形態に従えば、基板100をホルダー200に確実に固定できるとともに、基板100の端子1とホルダー200の電極3とを確実に接続させることができるので、基板100の上で、種々の処理(例えば、試料の調製)および/または測定を行うことができる。また、ホルダー200が分析機器などに固定されている場合、基板100上に分析すべき試料を保持することができる。
【0070】
さらに、本実施形態に係る回路形成用カセットは、図1に示すように、基板100とホルダー200とが広い面積で接触するので、基板100上に回路を形成した場合に発生する熱エネルギーをホルダー200に伝達して基板100の熱放出を容易に行なうことができる。また、ホルダー200に液体窒素または液体ヘリウムなどを公知の手段を用いて供給することによって、ホルダー200の温度を十分低く保つことが可能になる。
【0071】
本発明の第2の実施形態について図2および図3に基づいて説明すると以下の通りである。
【0072】
図2は、本実施形態に係る回路形成用カセットの構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2に示す本実施形態に係る回路形成用カセットを概略的に示す上方からの平面図(図3(a))および側面図(図3(b))である。図2および図3に示すように、本実施形態に係る回路形成用カセットは、基板100およびホルダー200を備えて構成される。操作補助部材300は、必要に応じて使用される。
【0073】
本実施形態に係る回路形成用カセットは、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を処理および/または測定する位置に搬送することができる。
【0074】
第2の実施形態において、基板100は、第1の実施形態と同様に絶縁体2を介して端子1を備える。基板100はさらに、基板100からホルダー200の方向に貫通しかつ基板100をホルダー200の向きに導くための案内部材5を備える。案内部材5は、基板100をホルダー200に固定するための突起部6および基板100をホルダー200に導くための操作するための操作部7を有している。図3に示すように、基板100から突出した案内部材5のうち、ホルダー200側に突出している部分が突起部6であり、逆側に突出している部分が操作部7である。案内部材5の操作部7は、案内部材の回転軸に対して垂直方向に突出した突起部9を有する。突起部9は、2つ設けられており、両突起は一直線上に位置する一文字の形状である。
【0075】
第2の実施形態において、ホルダー200は、第1の実施形態と同様に絶縁チューブ4を介して電極3を備える。電極3は、電源または測定器(図示せず)と電気的に接続されており、ホルダー200が分析機器などに固定されている場合、当該分析機器を電源として用いることができる。
【0076】
基板100の突起部6がホルダー200の凹部10に挿入されることによって、基板100がホルダー200に固定される。案内部材5の落下を防止するために、基板100は、リング8を備える。また、案内部材5の落下を防止するために、基板100がリング8を備える以外に、案内部材5の突起部6は、基板100を貫通する穴より大きければよい。基板100がホルダー200に固定されると、基板100の端子1が、ホルダー200の電極3と電気的に接続される。
【0077】
基板100の突起部6は、ホルダー200の凹部10に単純に挿入されてもよいが、突起部6および凹部10がフックなどの形状を備えて互いに固定されてもよい。また、基板100の突起部6およびホルダー200の凹部10は螺合してもよい。基板100の突起部6およびホルダー200の凹部10が螺合する場合、基板100の操作部7を回転させることによって突起部6が旋回し、基板100の突起部6の溝がホルダー200の凹部10の溝に噛み合って、基板100のホルダー200との脱着を可能にする。
【0078】
図2および図3に示すように、第2の実施形態において、操作補助部材300は、基板100の操作部7と遊嵌する遊嵌部11を有する。遊嵌部11は、基板100の操作部7の突起部9が遊挿される凹部12を有しており、摩擦が非常に大きくなる超高真空中においても、操作補助部材300の凹部12と突起部9とが噛んでしまわないようになっている。図2において、凹部12は、ホルダー200から基板100を引き抜くために、L字形状の溝であることが好ましいが、T字形状または鉤型形状の溝であってもよく、突起部9がこの溝の奥まで入る構成となっている。
【0079】
凹部12の構造は、基板100に対向する側の操作補助部材300の端面において、案内部材5の回転軸に沿って基板100から遠ざかる方向(A方向)に向けて、初めの一文字形状が平行移動する形で溝を刻む。L字形状の場合、一文字形状の所定の位置で、案内部材5の回転方向に沿ってその溝が回転する。鉤型形状の場合、L字形状の場合に所定の角度だけ回転した溝が、案内部材5の回転軸に沿って基板100に近づく方向(反A方向)に溝が進み、所定の位置で停止する。操作部7と遊嵌する遊嵌部11は、凹部12が鉤型形状である場合、操作部7を保持しやすく、凹部12がL字形状またはT字形状である場合、操作部7を回転させやすい。凹部12が鉤型形状である場合、操作部7および遊嵌部11のいずれかが、互いに接触する面にスプリングを備えることが好ましい。
【0080】
操作補助部材300によって基板100をホルダー200に固定させる場合、突起部9を凹部12に嵌めた後、まず操作補助部材300を反A方向に押し、次いで凹部12内で突き当たるまで回転させる。この状態で操作補助部材300を、基板100がホルダー200に近づく方向(反A方向)に進むように回転させると、突起部9が操作補助部材300の内壁に押されて回転する。その結果、基板100はホルダー200へ案内される。
【0081】
上述したように、案内部材5は旋回可能に基板100を貫通するので、基板100の自重により、基板100を貫通する穴(図示せず)と案内部材5との間に摩擦力が働く。従って、基板100の突起部6をホルダー200の凹部10に挿入した際、基板100が案内部材5の回転に伴ってガタツき、ホルダー200に固定されない可能性がある。しかし、この可能性は、図1〜3に示すように、ホルダー200の形状を基板100の外形に合わせることによって回避することができる。また、この可能性は、基板100またはホルダー200のいずれかがさらなる案内部材(図示せず)を備え、他方が当該案内部材を遊挿する凹部(図示せず)を備えることによって回避することができる。
【0082】
また、上述したように、操作部7と遊嵌部11とが遊嵌する構成であるために、操作補助部材300を用いて突起部9を保持した際に基板100が垂れる可能性がある。このことを防ぐために、図2には示さないが、操作補助部材300が基板100側へ延びた針を備え、操作部7が当該針を受ける孔を備えてもよい。
【0083】
操作補助部材300によって基板100をホルダー200からはずす場合、突起部9を凹部12に嵌めた後、まず操作補助部材300を反A方向に押し、次いで凹部12内で突き当たるまで回転させる。この状態で操作補助部材300を、基板100がホルダー200から離れる方向(A方向)に進むように回転させると、突起部9が操作補助部材300の内壁に押されて回転する。その結果、基板100はホルダー200からA方向に離れる。
【0084】
本実施形態に係る回路形成用カセットを真空中での搬送カセットに使用する場合、操作補助部材300は、搬送部材であり得る。搬送手段は、公知の手段を用いればよく、本実施形態における搬送部材としての操作補助部材300が、当該手段に適合するように、磁石を備えることが好ましい。
【0085】
本実施形態に従えば、操作補助部材300の回転力で、端子1を電極3と接触させることができる。すなわち、本実施形態の構成によって、ホルダー200にほとんど負荷がかかることなく、端子1を電極3と電気的に接続させることができる。
【0086】
本実施形態において、基板100、ホルダー200、案内部材5、操作補助部材300を構成する材質は、特に限定されないが、超高真空下での使用に耐えることができる物質(例えば、ステンレス、モリブデン、タンタル、または銅合金)が好ましい。加熱処理などを行う場合は、各々の部材が融合することを避けるために、各部材の材質が異なることが好ましい。
【0087】
突起部6の先端がねじになっている場合、ねじ山の先端が壊れる可能性がある。すなわち、最初にネジが入るときには、ねじ山の先端だけが噛合うので、突起部6のねじと凹部10のねじとの軸が整合していないとねじ山が破損しやすい。従って、突起部6の先端は、破損を避けるためにテーパー状になっていることが好ましい。
【0088】
また、各部材の損傷を避けかつ基板100の突起部6をホルダー200の凹部10に精度よく挿入して端子1を電極3に正確に接続するために、突起部6と凹部10との間には隙間があってこれらの嵌め合いは緩やかであることが好ましい。図示しないが、基板100のホルダー200への案内および基板100とホルダー200との固定をより確実にするために、突起部6および凹部10は、それぞれ操作部7と同様の突起部および遊嵌部11と同様の溝が形成されていてもよい。また、基板100とホルダー200との接触が均一になるように、基板100またはホルダー200のいずれかがその接触部に板ばねを備えてもよい。この場合、突起部を溝に遊挿して、操作補助部材300を介して突起部6を回転させるだけなので、回転による力を受ける部位は、突起部6の先端ではなく突起部である。従って、強固な材質を用いて当該突起部を形成しておけば、突起部6の破損を防止することができる。
【0089】
凹部10の内径と突起部6の外径との差は、例えば0.1mm〜0.3mm程度であることが好ましい。
【0090】
また端子1は、例えば、ステンレス、モリブデン、タンタル、または銅合金から構成されることが好ましい。さらに電極3との接続をより確実にするために、板ばね(例えば、モリブデン製)を備えることが好ましい。図2および図3において、端子1および電極3がそれぞれ4つずつ備えられている構成を示したが、本発明に係る回路形成用カセットは、任意の数の端子および電極を備えることができる。4つ以上の端子および電極を備えることができるので、本発明に係る回路形成用カセットは、基板上に所望の任意の回路を形成することができる。
【0091】
本実施形態に従えば、基板100をホルダー200に確実に固定できるとともに、基板100の端子1とホルダー200の電極3とを確実に接続させることができるので、基板100の上で、種々の処理(例えば、試料の調製)および/または測定を行うことができる。また、ホルダー200が分析機器などに固定されている場合、基板100上に分析すべき試料を保持することができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る回路形成用カセットは、図2および3に示すように、基板100とホルダー200とが広い面積で接触するので、基板100上に回路を形成した場合に発生する熱エネルギーをホルダー200に伝達して基板100の熱放出を容易に行なうことができる。また、ホルダー200に液体窒素または液体ヘリウムなどを公知の手段を用いて供給することによって、ホルダー200の温度を十分低く保つことが可能になる。
【0093】
種々の試料を分析する場合、種々の分析機器(例えば、プローブ顕微鏡、電子顕微鏡など)を用いることが多い。しかし、異なる分析機器であっても、本発明に係る回路形成用カセットのホルダーを共通して使用することによって、機器への試料のアプライの手間が軽減される。さらに、本発明に係る回路形成用カセットを用いれば、分析機器に応じて必要とされる処理(例えば、加熱)を同一基板上で行うことができるので、作業者の労力を大幅に軽減することができる。
【0094】
このように、本発明に係る回路形成用カセットは、少なくとも、端子を有する基板、および当該端子と接触する電極を担持しかつ当該基板を着脱可能に固定するホルダーを備えればよいといえる。すなわち、本実施形態とは異なる形状を有する基板およびホルダーも、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
【0095】
つまり、本発明の目的は、端子を有する基板、および当該端子と接触する電極を担持しかつ当該基板を着脱可能に固定するホルダーを備える回路形成用カセットを提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0096】
以下に、本発明に係る回路形成用カセットの応用例を示す。これらの応用例は、個々の実施形態だけでなく互いに組み合わせて用いることもできる。以下に示す応用例は、本願発明に係る回路形成用カセットを利用するため、複数の電気的接点または光ファイバー接点を有することが可能である。また、以下に示す応用例は、真空中で用いられる場合、真空搬送可能な器具であり得る。
【0097】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた試料加熱器具の一実施形態について図4に基づいて説明すると以下の通りである。図4において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0098】
図4は、本実施形態に係る加熱器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図4(a))および側面図(図4(b))である。図4に示すように、本実施形態に係る加熱器具は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、基板100上に試料13を加熱するためのヒータ14を備える。ヒータ14は、板ばね15によって基板100上に固定されている。板ばね15は、ねじ16によって基板100上に固定されており、ねじ16は、リード17を介して端子1aおよび1dと電気的に接続されている。図4(a)は、ヒータ14上に加熱すべき試料13を置いた状態を示し、図4(b)は、ヒータ14上に試料がない状態を示す。図4(a)において、端子1bおよび1cと接続された熱電対18が試料13に接触されるかまたは試料13の近位に配置される。
【0099】
基板100がホルダー200に固定された場合、端子1aおよび1dと接触する電極3aおよび3dは、電源(図示せず)と電気的に接続され、端子1bおよび1cと接触する電極3bおよび3cは、温度計(図示せず)と電気的に接続される。電源から供給された電流に基づいて加熱されたヒータ14によって試料13が加熱され、加熱された試料13の熱エネルギーを熱電対18が電気エネルギーに変換して、温度計が試料13の温度を感知する。
【0100】
本実施形態に係る加熱器具は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を加熱する際に使用することができる。特に、本実施形態の構成を用いれば、加熱すべき試料に対して、正確な温度制御下での加熱を行うことができる。さらに、分析の際に加熱する必要がある試料に対して、加熱工程と分析工程を別々に行う必要がなく、これらの工程を同時または連続して行うことができる。
【0101】
また、シリコンなどの導電性の試料を加熱する場合、リードで試料片(好ましくは、長方形)を挟んで直接通電してもよい。
【0102】
本実施形態において使用されるヒータ14の材質は、タングステン、タンタルまたはモリブデンであることが好ましく、タンタルが最も好ましい。また、本実施形態において使用されるリード17の材質は、銅、タンタル、白金または熱電対であることが好ましく、高温下での使用が可能なタンタルが最も好ましい。さらに、本実施形態において使用される熱電対18の材質は、クロメル−アルメルまたは銅−コンスタンタンであることが好ましく、高温での使用では白金−白金ロジウムやレニウム−タングステンが好ましい。本実施形態において使用される熱電対18は、温度センサとして機能するものである。従って、熱電対18の代わりに、サーミスター、シリコンダイオード、または半導体抵抗検出器などを用いることができる。
【0103】
このように、本発明に係る加熱器具は、少なくとも、本発明に係る回路形成用カセット、および当該カセットの基板上に設けられたヒータ、ならびに必要に応じて温度センサ(例えば、熱電対)を備えればよいといえる。すなわち、本実施形態とは異なる形状を有するヒータを備えた加熱器具も、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
【0104】
つまり、本発明の目的は、本発明に係る回路形成用カセットを用いた加熱器具を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0105】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた蒸着器具の一実施形態について図5および図6に基づいて説明すると以下の通りである。図5および図6において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0106】
図5は、本実施形態に係る蒸着器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図5(a))および側面図(図5(b))である。図5に示すように、本実施形態に係る蒸着器具は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、基板100上に蒸着源物質(図示せず)を蒸着するための蒸着部19を備える。図5に示されるように、蒸着部19は、基板100上に固定されている。図6は、本実施形態に係る蒸着器具に用いる蒸着部の構成を概略的に示す断面図である。図6に示すように、蒸着部19は、蒸着源物質(図示せず)を挿入する坩堝22、坩堝22の熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電対21、コイル支持体23を挟んで坩堝22を覆うコイル24、および遮蔽体25から構成される。図5に示すように、熱電対21は、遮蔽体25に設けられた絶縁体(図示せず)を通って端子1bおよび1cと電気的に接続されている。コイル24は、遮蔽体25に設けられた絶縁体26を通るリード20を介して端子1aおよび1dと電気的に接続されている。リード20およびコイル24の材質は同一であっても異なってもよい。
【0107】
基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合、端子1aおよび1dと接触する電極3aおよび3dは、電源(図示せず)と電気的に接続される。電源から供給された電流に基づいて加熱されたコイル24によって蒸着源物質(図示せず)が加熱され、坩堝22内の被蒸着物質(図示せず)を蒸着する。さらに、基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合、端子1bおよび1cと接触する電極3bおよび3cは、温度計(図示せず)と電気的に接続される。電源から供給された電流に基づいて加熱されたコイル24によって坩堝22が加熱され、加熱された坩堝22の熱エネルギーを熱電対21が電気エネルギーに変換して、温度計が坩堝22の温度を感知する。
【0108】
本実施形態に係る蒸着器具は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を蒸着する際に使用することができる。特に、本実施形態の構成を用いれば、蒸着すべき試料に対して、正確な温度制御下での蒸着を行うことができる。さらに、蒸着された物質の蒸着の程度を分析する際に、蒸着工程と分析工程を別々に行う必要がなく、これらの工程を連続して行うことができる。
【0109】
本実施形態において使用される熱電対21の材質は、クロメル−アルメルまたは銅−コンスタンタンであることが好ましく、高温での使用では白金−白金ロジウムやレニウム−タングステンが好ましい。本実施形態において使用される熱電対は、温度センサとして機能するものである。従って、熱電対の代わりに、サーミスター、シリコンダイオード、または半導体抵抗検出器などを用いることができる。
【0110】
本実施形態において使用される坩堝22の材質は、アルミナ、タンタル、石英または窒化ボロンなどであり得る。また、本実施形態において使用される蒸着源物質21は、種々の金属、半導体または有機物などであり得る。また、本実施形態において使用されるコイル支持体23は、アルミナなどであり得る。さらに、本実施形態において使用されるコイル24の材質は、タングステン、タンタルなどであり得る。
【0111】
このように、本発明に係る蒸着器具は、少なくとも、本発明に係る回路形成用カセット、および当該カセットの基板上に設けられた蒸着部、ならびに必要に応じて熱電対を備えればよいといえる。すなわち、本実施形態とは異なる形状を有する蒸着部を備えた蒸着器具も、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
【0112】
つまり、本発明の目的は、本発明に係る回路形成用カセットを用いた蒸着器具を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0113】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた電子ビーム加熱器具の一実施形態について図7および図8に基づいて説明すると以下の通りである。図7および図8において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0114】
図7は、本実施形態に係る電子ビーム加熱器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図7(a))および側面図(図7(b))である。図8は、本実施形態に係る電子ビーム加熱器具に用いる加熱部27における試料28の固定方法の1例を概略的に示す上方からの平面図である。図7および図8に示すように、本実施形態に係る電子ビーム加熱器具は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、基板100上に電子ビーム加熱する試料28を電子ビーム加熱するための加熱部27を備える。図8に示されるように、試料28は、基板100上に固定された絶縁体29上にねじ30によって固定されたリード31にスポット溶接されて(図8中矢印)、加熱部27に固定されている。リード31は、リード32を介して端子1dに電気的に接続されている。リード31およびリード32の材質は同一であっても異なってもよく、熱電対(白金−白金ロジウムまたはタングステン−レニウム)であってもよい。
【0115】
基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合、端子1dと接触する電極3d(図示せず)は、電子ビーム加速電圧用の電源(図示せず)と電気的に接続されて、加熱部27に電子ビーム加速電圧部を形成させる。電子ビーム加速電圧は、200〜10keVが好ましく、500〜2keVが最も好ましい。
【0116】
加熱部27と基板100との間に、フィラメント35からなる陰極を設ける。フィラメント35は基板100と接触しないように碍子34を挟んで、加熱部27と基板100との間でコイルを形成する。フィラメント35は、リード33を介して端子1bおよび1cに電気的に接続されている。
【0117】
基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合、端子1bおよび1cとそれぞれ接触する電極3bおよび3c(図示せず)は、電子ビーム加速電圧用の電源(図示せず)と電気的に接続されて、加熱部27と基板100との間にフィラメント電圧部を形成させる。フィラメント電圧は、−2000〜+2000Vが好ましく、5〜50Vがより好ましく、約10Vが最も好ましい。
【0118】
上述したように、基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合、試料28の下方に形成された陰極(フィラメント電圧部)から電子ビーム加速電圧部へ向けて電子が発射されて、加熱部27に固定された試料28に当たり、試料28を加熱する。
【0119】
本実施形態に係る電子ビーム加熱器具は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を電子ビーム加熱する際に使用することができる。さらに、電子ビーム加熱された物質を分析する際に、電子ビーム加熱工程と分析工程を別々に行う必要がなく、これらの工程を同時または連続して行うことができる。
【0120】
本実施形態において使用されるリード31の材質は、タンタル、タングステン、白金、モリブデン、銅、または銅合金などであり得る。また、本実施形態において使用される絶縁体29および碍子34は、アルミナなどであり得る。さらに、本実施形態において使用されるフィラメント35は、アルミナ、タンタル、窒化アルミニウム、サファイヤ、またはマコールなどであり得る。リード33はフィラメント35と同じ材質であっても異なる材質であってもよい。
【0121】
このように、本発明に係る電子ビーム加熱器具は、少なくとも、本発明に係る回路形成用カセット、および当該カセットの基板上に設けられた加熱部を備え、加熱部の下方にフィラメント電圧部を形成し、加熱部に電子ビーム加速電圧部を形成すればよいといえる。すなわち、本実施形態とは異なる形状を有する加熱部、フィラメント電圧部、電子ビーム加速電圧部を備えた電子ビーム加熱器具も、本発明の技術的範囲に含まれる点に留意すべきである。
【0122】
つまり、本発明の目的は、本発明に係る回路形成用カセットを用いた電子ビーム加熱器具を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0123】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた光ファイバー結合器具の一実施形態について図9に基づいて説明すると以下の通りである。図9において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0124】
図9は、本実施形態に係る光ファイバー結合器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図9(a))および側面図(図9(b))である。図9に示すように、本実施形態に係る光ファイバー結合器具は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、基板100上に試料36を光照射するため、または試料36が発する光を感知するためのプローブ37を備える。
【0125】
基板100がホルダー200に固定された場合、プローブ37と光ファイバー38とが接合して光ファイバー接合部39を形成する。プローブ37および光ファイバー38は、それぞれ基板100およびホルダー200上に絶縁体40および41を介して固定されている。光ファイバー38は、外部(真空領域外)に設置した各種光源(例えば、レーザ、ランプ、分光手段など)、または各種検出手段(例えば、光検出器、分光器など)と接続されている。
【0126】
試料台42は、ねじ43を介して絶縁体44上に固定されており、絶縁体は基板100上に固定されている。試料台42は、リード45を介して端子1aおよび1dに電気的に接続されている。
【0127】
試料36に光を照射する場合、光ファイバー38を通ってプローブ37から照射された励起光が試料36を照射し、試料36が発した発光を試料台42に付設された検出手段(図示せず)が検出する。例えば、試料と端子1bおよび1cとをリード(図示せず)で接続することによって、光照射した試料36によって生じた電気エネルギーを、電極3bおよび3cと接続された外部検出手段(例えば、光検出器、分光器など)が検出することができる。
【0128】
試料台42、基板100およびホルダー200に開口が設けられて、試料36からの発光を基板100およびホルダー200の下方に別に設けた検出手段を用いて検出してもよい。
【0129】
また、試料36が蛍光などの光を発する場合、試料36表面の発光をプローブ37が感知し光ファイバー38と接続された外部検出手段(例えば、光検出器、分光器など)が検出することができる。
【0130】
本実施形態に係る光ファイバー結合器具は、上記構成の光ファイバーおよびプローブをさらに一対備えて、一方で光照射、他方で光検出を行なってもよい。
【0131】
本実施形態に係る光ファイバー結合器具において、照射または測定の効率を向上させるために上記プローブがレンズを備えてもよい。
【0132】
プローブ37は、試料測定用光ファイバープローブであり得、走査プローブ顕微鏡または原子間力顕微鏡(AFM)に利用することができる。光ファイバー38は、石英光ファイバーなどが好ましいが、これらに限定されない。検出手段は、公知の検出手段を用いればよく、特に限定されない。
【0133】
本実施形態に係る光ファイバー結合器具は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を光照射する際に使用することができる。さらに、光照射された物質からの発光を分析する際に、光照射工程と分析工程を別々に行う必要がなく、これらの工程を同時または連続して行うことができる。
【0134】
本実施形態において使用されるプローブ37は、レンズ付光ファイバーであり得る。また、本実施形態において使用される絶縁体40、41および44は、アルミナなどであり得る。さらに、本実施形態において使用されるリード45の材質は、銅などであり得る。
【0135】
このように、本発明に係る光ファイバー結合器具は、少なくとも、本発明に係る回路形成用カセット、および当該カセットの基板上に設けられたプローブを備えればよいといえる。
【0136】
つまり、本発明の目的は、本発明に係る回路形成用カセットを用いた光照射または光取り込みのための光ファイバー結合器具を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0137】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた発光測定器具の一実施形態について図10に基づいて説明すると以下の通りである。図10において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0138】
図10は、本実施形態に係る発光検出器具の構成を概略的に示す側方からの断面図である。図10に示すように、本実施形態に係る発光検出器具は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、基板100が試料46に光照射するため開口47を備えたさらなる基板400と一体形成されている。試料46は、開口47の上方に絶縁体からなる試料保持台48を介して設置される。試料保持台48もまた、開口47を通過する照射光50が妨げない開口49を有する。
【0139】
基板400の下方の光照射部(図示せず)からの照射光50は、開口47および49を通過して試料46に当たる。照射光50によって励起された試料46が発する発光は、開口47および49を通過して、基板400の下方の光検出部(図示せず)に到達する。
【0140】
図9において発光を検出する場合には、光ファイバー38を通ってプローブ37から照射された励起光が試料36を照射し、試料36が発した発光を試料台42に付設された検出手段(図示せず)が検出する。
【0141】
試料台42、基板100およびホルダー200に開口が設けられて、試料36からの発光を基板100およびホルダー200の下方に別に設けた検出手段を用いて検出してもよい。
【0142】
本実施形態に係る発光検出器具は、例えば、真空中で、大気中から真空を破らずに試料を光照射する際に使用することができる。さらに、光照射された試料からの発光を分析する際に、光照射工程と分析工程を別々に行う必要がなく、これらの工程を同時または連続して行うことができる。
【0143】
本実施形態において使用される試料保持台48の材質は、サファイア、ステンレス、銅、アルミナなどであり得る。また、本実施形態において使用される基板400の材質は、基板100と同じであっても異なってもよい。
【0144】
このように、本発明に係る発光検出器具は、少なくとも、本発明に係る回路形成用カセット、および当該カセットの基板上に設けられた開口を備えればよいといえる。
【0145】
つまり、本発明の目的は、本発明に係る回路形成用カセットを用いた発光検出器具を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した個々の部材の材質および形状に存するのではない。
【0146】
本発明に係る回路形成用カセットは、基板100上に走査型トンネル顕微鏡(STM)、走査型原子間力顕微鏡(AFM)または走査型近接場顕微鏡(SNOM)のようなプローブ顕微鏡を搭載することができる。プローブ顕微鏡は、走査ピエゾが試料を二次元に走査することによって、試料表面の凹凸または電流像をコンピュータ上に画像化することができる。
【0147】
本発明に係る回路形成用カセットを用いた走査型トンネル顕微鏡の一実施形態について図11に基づいて説明すると以下の通りである。図11において、図1〜図3に示した回路形成用カセットとの共通部材については、部材番号の表記を省略した。
【0148】
図11は、本実施形態に係る走査型トンネル顕微鏡の構成を概略的に示す上方からの平面図(図11(a))および断面図(図11(b))である。図11に示すように、本実施形態に係る走査型トンネル顕微鏡は、図2および図3に示した本発明に係る回路形成用カセットにおいて、試料片51を固定するための試料ホルダ52を基板100上に備える。本実施形態において、試料ホルダ52は、基板100上に着脱可能に固定されており、試料片51は、試料ホルダ52と電気的に絶縁されて貼り付けられている。
【0149】
基板100はさらに保持台53を備え、保持台53上には、ステージ54が試料片51の方向(Z方向)に滑走可能に保持されている。ステージ54は、試料片51の表面を二次元(XY方向)に走査できるように制御されている走査ピエゾ55を備え、ピエゾ素子からなる走査ピエゾ55は、先端にプローブ56を備える。走査ピエゾ55は、試料片51とプローブ56との間に生じるトンネル電流を一定に保つためにZ方向にも移動可能に制御されている。
【0150】
図11に示すように、本実施形態において、保持台53は、基板100上に固定されており、試料片51は、リード57によって端子1cと接続されており、さらにプローブ56は、リード58によって端子1dと接続されている。
【0151】
図示しないが、走査ピエゾ55は、XYZ方向の微動制御を行なうためにさらなる3本のリードによって端子と接続されており、ステージ54は、XYZ方向の微動制御を行なう前に必要な滑走を制御するためにリードによって端子と接続されている。
【0152】
基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合に、端子1cおよび1dは電極3cおよび3d(図示せず)と接合される。電極3cは、試料片51にバイアス電圧を印加するための外部電源(図示せず)に接続されている。ステージ54をZ方向に滑走させることによって試料片51に接近させ、リード57を介して試料片51にバイアス電圧を印加したときに、試料片51とプローブ56との間にトンネル電流が形成される。プローブ56にはこのトンネル電流が流れるためのリード58が接続されている。このトンネル電流がリード58に流れ、端子1dおよび電極3dを介して検出器(図示せず)によって検出される。このトンネル電流の情報が、電極、端子およびリードを介してステージ54にフィードバックされて(図示せず)、その結果、トンネル電流が一定に保たれるように試料片51とプローブ56と間の距離(Z方向)が微動制御される。
【0153】
図示しないが、XYZ方向の微動制御を行なうために走査ピエゾ55と接続したリードは、端子と電極とが接合することによって、プローブが対面する試料を電気的に二次元(XY方向)に微動走査するための回路(図示せず)、および金属プローブを試料表面に接近させたときに流れるトンネル電流が一定に保たれるように試料とプローブと間の距離(Z方向)を微動制御するための回路(図示せず)に接続される。これらXYZ方向の微動は非常に小さく、ナノメータオーダーである。また、図示しないが、上記XYZ方向の走査ピエゾの微動制御を行なう前にステー53を試料方向に滑走させるためにステージ53と接続したリードは、端子と電極とが接合することによって、ステージ53を試料方向に滑走させるための回路に接続される。
【0154】
上述したように、基板100がホルダー200(図示せず)に固定された場合に、ステージ54の滑走の制御、および走査ピエゾ55のXYZ方向の移動の制御は、図示しないリード、端子、電極を通じて接続された回路を介して、それぞれの制御を行なわれる。これらの制御の具体的な方法は、当業者には明白であり、本発明に係る回路形成用カセットを用いた走査型トンネル顕微鏡において、上記制御が可能であることを当業者は容易に理解する。上記端子および電極は、好ましくは、端子と電極との接点を形成するためのコンタクトピンである。当該コンタクトピンは、ばね内蔵の小さなピンであり、当該分野において周知である。
【0155】
STMは、プローブ顕微鏡の中で最も高分解能であるので、試料表面の電子状態を原子レベルで観測することができる。STMは、バイアス電圧を変調することによって試料表面電子の状態密度を画像化したり、プローブ高さを変調することによって仕事関数を画像化することができ、よって、バイアス電圧を走査してトンネル分光測定を行うことができる。
【0156】
近年技術が進歩したことによって走査型トンネル顕微鏡(STM)の主要部である観測ヘッドは非常に小型に製作できるようになり、本発明のカセット(30mm×40mm程度の大きさ)に組み込むことが可能である。また、同様の理由で走査型原子間力顕微鏡(AFM)や走査型近接場顕微鏡(SNOM)にも適用することができる。
【0157】
本実施形態における構成において、プローブをカンチレバーに交換することによって、または光ファイバープローブに交換することによって、それぞれAFMまたはSNOMとして用いることができる。SNOMの場合は、上述の光ファイバーを接続した実施形態に従って光ファイバープローブを上記STMと同様に走査することにより実現することができる。
【0158】
また、本発明のカセットは、真空中で測定を行う各種分析装置に適用することにより試料の温度を正確に制御したり、試料の電気特性、光学特性や機械特性を制御または測定するするユニットとして広く応用できる。
【0159】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明に係る回路形成用カセットは、生物学、化学、物理学、電子工学といった幅広い分野にわたって使用される分析機器(例えば、走査型トンネル顕微鏡または電子顕微鏡などの表面分析機器、または分光測定を行なう分光機器など)における試料の処理および/または計測、特に真空中での試料の処理および/または計測に用いることができる。また種々の機器を組み合わせたシステムにおいて、本発明に係る回路形成用カセットは、共通のプラットホームとして機能するので、複雑なシステムにおける部品点数を低減させることができ、試料の処理および/または計測を一度に行うことができるので、作業者の労力を大幅に軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】図1は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る回路形成用カセットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る回路形成用カセットの構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る回路形成用カセットの構成を概略的に示す概略的に示す上方からの平面図(図3(a))および側面図(図3(b))である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る加熱器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図4(a))および側面図(図4(b))である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る蒸着器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図5(a))および側面図(図5(b))である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る蒸着器具に用いる蒸着部の構成を概略的に示す断面図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る電子ビーム加熱器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図7(a))および側面図(図7(b))である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る電子ビーム加熱器具に用いる加熱部における試料の固定方法を概略的に示す上方からの平面図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る光ファイバー結合器具の構成を概略的に示す上方からの平面図(図9(a))および側面図(図9(b))である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る発光検出器具の構成を概略的に示す側方からの断面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態を示すものであり、本発明に係る走査型トンネル顕微鏡の構成を概略的に示す上方からの平面図(図11(a))および断面図(図11(b))である。
【符号の説明】
【0162】
1 端子
2 絶縁体
3 電極
4 絶縁チューブ
5 案内部材
6 突起部
7 操作部
8 リング
9 突起部
10 凹部
11 遊嵌部
12 凹部
13 試料
14 ヒータ
15 板ばね
16 ねじ
17 リード
18 熱電対
19 蒸着部
20 リード
21 熱電対
22 坩堝
23 コイル支持体
24 コイル
25 遮蔽体
26 絶縁体
27 加熱部
28 試料
29 絶縁体
30 ねじ
31 リード
32 リード
33 リード
34 碍子
35 フィラメント
36 試料
37 プローブ
38 光ファイバー
39 光ファイバー接合部
40 絶縁体
41 絶縁体
42 試料台
43 ねじ
44 絶縁体
45 リード
46 試料
47 開口
48 試料保持台
49 開口
50 照射光
51 試料片
52 試料ホルダ
53 保持台
54 ステージ
55 走査ピエゾ
56 プローブ
100 基板
200 ホルダー
300 操作補助部材
400 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子および突起部を有する基板、ならびに当該端子と接触する電極および当該突起部を挿入するための凹部を有するホルダーを備える回路形成用カセットであって、
当該突起部が当該凹部へ挿入されることによって当該基板と当該ホルダーとが固定されることを特徴とする回路形成用カセット。
【請求項2】
真空中で用いられることを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項3】
回路が上記基板上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項4】
上記突起部がテーパー形状であることを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項5】
上記基板から上記ホルダーの方向に貫通しかつ当該基板を当該ホルダーの向きに導くための案内部材を、当該基板がさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項6】
上記突起部が、上記案内部材のうち上記基板から上記ホルダー側に突出している部分であることを特徴とする請求項5に記載の回路形成用カセット。
【請求項7】
上記案内部材が、上記突起部とは逆側に突出しかつ上記基板を上記ホルダーに固定する操作を行うための操作部をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の回路形成用カセット。
【請求項8】
上記基板を上記ホルダーに固定する操作を補助するための操作補助部材をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の回路形成用カセット。
【請求項9】
上記操作部が突起部を有し、上記操作補助部材には当該突起部が遊挿されるための溝が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の回路形成用カセット。
【請求項10】
上記操作部を回転させることによって上記基板が上記ホルダーに導かれることを特徴とする請求項7に記載の回路形成用カセット。
【請求項11】
上記操作補助部材を用いて上記操作部を回転させることを特徴とする請求項9に記載の回路形成用カセット。
【請求項12】
上記操作補助部材は真空中を直線および回転運動することができる搬送器具に接続されることを特徴とする請求項11に記載の回路形成用カセット。
【請求項13】
上記突起部および上記凹部は螺合することを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項14】
請求項1に記載の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続されたヒータを備える試料加熱器具。
【請求項15】
真空中で用いられることを特徴とする請求項14に記載の試料加熱器具。
【請求項16】
上記ヒータが板ばねによって上記基板上に固定されていることを特徴とする請求項14に記載の試料加熱器具。
【請求項17】
上記端子と接続された温度センサをさらに備えることを特徴とする請求項14に記載の試料加熱器具。
【請求項18】
上記温度センサが熱電対からなることを特徴とする請求項17に記載の試料加熱器具。
【請求項19】
請求項1に記載の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続された蒸着部を備える蒸着器具。
【請求項20】
真空中で用いられることを特徴とする請求項19に記載の蒸着器具。
【請求項21】
上記蒸着部は、蒸着源物質を挿入する坩堝であることを特徴とする請求項19に記載の蒸着器具。
【請求項22】
上記坩堝を加熱するためのヒーターをさらに備えることを特徴とする請求項19に記載の蒸着器具。
【請求項23】
上記ヒーターが板状であることを特徴とする請求項22に記載の蒸着器具。
【請求項24】
上記ヒーターが上記端子と電気的に接続されかつコイル支持体を挟んで当該坩堝を覆うコイルであることを特徴とする請求項22に記載の蒸着器具。
【請求項25】
上記坩堝の最外層が遮蔽体からなることを特徴とする請求項24に記載の蒸着器具。
【請求項26】
上記坩堝がアルミナ、タンタル、石英または窒化ボロンからなることを特徴とする請求項19に記載の蒸着器具。
【請求項27】
上記コイルがタングステン、モリブデンまたはタンタルからなることを特徴とする請求項23に記載の蒸着器具。
【請求項28】
請求項1に記載の回路形成用カセットの基板上に当該回路形成用カセットの端子と電気的に接続されたフィラメントおよび試料と接続された加速電圧配線を備えることを特徴とする電子ビーム加熱器具。
【請求項29】
真空中で用いられることを特徴とする請求項28に記載の電子ビーム加熱器具。
【請求項30】
上記フィラメントが、タングステンまたはモリブデンからなるコイルであることを特徴とする請求項28に記載の電子ビーム加熱器具。
【請求項31】
請求項1に記載の回路形成用カセットの基板上に設けた光ファイバー接合部を介してホルダーに接続された光ファイバーと接続可能なプローブを当該基板上に備えることを特徴とする光照射または光取り込みのための光ファイバー結合器具。
【請求項32】
真空中で用いられることを特徴とする請求項31に記載の光ファイバー結合器具。
【請求項33】
上記光ファイバーを用いて光照射することを特徴とする請求項31に記載の光ファイバー結合器具。
【請求項34】
上記光照射に基づく発光を検出するための検出手段をさらに備えることを特徴とする請求項33に記載の光ファイバー結合器具。
【請求項35】
試料から生じる光を上記光ファイバーを用いて検出することを特徴とする請求項31に記載の光ファイバー結合器具。
【請求項36】
上記試料から生じる光が透過光、散乱光または発光であることを特徴とする請求項35に記載の光ファイバー結合器具。
【請求項37】
請求項1に記載の回路形成用カセットの基板が、試料保持台を備え、かつ外部からの照射光および/または照射された試料の発する発光が通過する開口を有することを特徴とする発光検出器具。
【請求項38】
真空中で用いられることを特徴とする請求項37に記載の発光検出器具。
【請求項39】
上記基板が、試料保持台および走査ピエゾをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回路形成用カセット。
【請求項40】
請求項39に記載の回路形成用カセットを用いることを特徴とする走査型トンネル顕微鏡、走査型原子間力顕微鏡または走査型近接場顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−52993(P2006−52993A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233728(P2004−233728)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(504143441)国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 (226)
【出願人】(596066574)株式会社ユニソク (8)
【Fターム(参考)】