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回路接続用接着剤及びこれらを用いた回路接続方法、接続体
説明

回路接続用接着剤及びこれらを用いた回路接続方法、接続体

【課題】低温速硬化性を有し、かつ実用的な保存安定性を持つ組成物からなり、被着体である金属基板や金属及び無機材質で構成される回路電極の腐食がなく、信頼性低下を防ぐことのできる回路接続用接着剤及びそれらを用いた回路接続方法、接続体を提供する。
【解決手段】エポキシ化合物(A)、光カチオン発生剤(B)、金属水酸化物または金属酸化物(C)及び反応調節剤(D)を含む接着剤組成物と、導電粒子とを含み、金属水酸化物または金属酸化物(C)が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種であり、更に反応調節剤(D)が、鎖状エーテル化合物または環状エーテル化合物である回路接続用接着剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路接続用接着剤及びそれらを用いた回路接続方法、接続体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体や液晶ディスプレイなどの分野で電子部品を固定したり、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。これらの用途では、ますます高密度化、高精細化がすすみ、接着剤にも高い接着力や信頼性が求められている。特に、回路接続材料としては、液晶ディスプレイとTCP又はFPCとTCPとの接続、FPCとプリント配線板との接続には接着剤中に導電性粒子を分散させた異方導電性接着剤が使用されている。また、最近では、半導体シリコンチップを基板に実装する場合でも、従来のワイヤーボンドではなく、半導体シリコンチップをフェイスダウンで基板に直接実装するいわゆるフリップチップ実装が行われており、ここでも異方導電性接着剤の適用が開始されている。
また、近年、精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅および電極間隔が極めて狭くなっている。このため、従来のエポキシ樹脂系を用いた回路接続用接着材の接続条件では、配線の脱落、剥離、位置ずれが生じるなどの問題点があった。さらに低コスト化のためには、スループットを向上させる必要性があり、低温(100〜170℃)、短時間(1時間以内)、換言すれば低温速硬化可能な接着材が要求されている。
【0003】
低温速硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低い熱潜在性触媒を使用する必要があり、室温付近での貯蔵安定性を兼備することが非常に難しいことが知られている。低温での硬化性を高め、かつ実用的な保存安定性を持たせるために紫外線に代表される活性光線の照射と低温での加熱を組合せた硬化方法が提案されている。例えば、エポキシ樹脂の光カチオン重合を用いる方法が開示されている(特許文献1、2)。これらは、エポキシ樹脂と光照射および加熱によって強酸を発生する潜在性硬化剤から構成されており、室温で光照射した後、低温加熱によって硬化を行う方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−60899号公報
【特許文献2】特開2002−97443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エポキシ樹脂を用いた場合、エポキシ樹脂中に残存する不純物イオンが、被着体の銅、アルミニウム等の金属やITO等の無機材質で形成される回路電極の腐食を引き起こし、結果的に接続体としての機能を低下させてしまう。
さらに、前記光カチオン重合の場合、重合触媒としてブレンステッド酸やルイス酸等の強酸を使用するため、被着体である金属基板や金属及び無機材質で構成される回路電極の腐食を促進し、接続体の信頼性を著しく低下させる。
本発明は、低温速硬化性を有し、かつ実用的な保存安定性を持つ組成物からなり、被着体である金属基板や金属及び無機材質で構成される回路電極の腐食がなく、信頼性低下を防ぐことのできる接着剤組成物、回路接続用接着剤及びそれらを用いた回路接続方法、接続体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エポキシ化合物(A)、光カチオン発生剤(B)、金属水酸化物または金属酸化物(C)を含む接着剤組成物に関する。
本発明は、[1]相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する方法に用いる回路接続用接着剤であって、エポキシ化合物(A)、光カチオン発生剤(B)、金属水酸化物または金属酸化物(C)及び反応調節剤(D)を含む接着剤組成物と、導電粒子とを含み、金属水酸化物または金属酸化物(C)が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種であり、更に反応調節剤(D)が、鎖状エーテル化合物または環状エーテル化合物である回路接続用接着剤に関する。
また、本発明は、[2]光カチオン発生剤(B)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、鉄−アレーン錯体から選ばれる少なくとも一種である上記[1]に記載の回路接続用接着剤に関する。
また、本発明は、[3]反応調節剤(D)が、12−クラウン−4、14−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、21−クラウン−7、24−クラウン−8、30−クラウン−7、ベンゾ−18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、トリベンゾ−18−クラウン−6から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の回路接続用接着剤に関する。
また、本発明は、[4]活性光線を照射した後、加熱温度60〜180℃、加熱時間0.5〜50秒間で硬化する上記[1]〜上記[3]のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤に関する。
また、本発明は、[5]上記接着剤組成物100体積に対して導電粒子を0.1〜30体積%含んでなる上記[1]〜上記[4]のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤に関する。
また、本発明は、[6]相対向する回路電極を有する基板間に上記[1]〜上記[5]のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤を介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続方法に関する。
また、本発明は、[7]上記[1]〜上記[5]のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤を用いて接続された接続体に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の接着剤組成物、回路接続用接着剤は、低温速硬化性を有し、かつ、実用的な保存安定性を有し、酸性の光カチオン発生剤を用いても回路電極の腐食が無く、しかも低温短時間で接着可能となり接続信頼性に優れる。また、これらを用いた回路接続方法、接続体により、低温硬化が可能で、配線の脱落、剥離、位置ずれが生じない接続体を得ることができ、また、低温短時間で接続できるため生産効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、エポキシ化合物(A)、光カチオン発生剤(B)、金属水酸化物または金属酸化物(C)を含む接着剤組成物である。
本発明に用いるエポキシ化合物(A)は、光カチオン発生剤(B)から活性光線の照射によって発生したカチオン種によって硬化するものであればよい。中でも、エポキシ基を2個以上有する化合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなるので好ましい。更に、分子中にエポキシ基を2〜6個有する脂肪族系又は脂環系化合物は、硬化性に優れており特に好ましい。
【0009】
上記エポキシ化合物(A)は、所望の特性を有する接着剤組成物を得るために、単独あるいは複数種を併用することもできる。本発明におけるエポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限なく、公知のものを使用しうる。例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールAやビスフェノールF等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂や、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組合せて使用される。
【0010】
上記エポキシ化合物のエポキシ当量は、43〜1000が好ましく、50〜800がより好ましく、73〜600が特に好ましい。エポキシ当量が43未満又は1000を超えると、後に説明する電極の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。これらのエポキシ化合物は、不純物イオン(Na+、Cl等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、腐食防止の観点から好ましい。
【0011】
本発明に用いるエポキシ化合物(A)の含有量としては、接着剤組成物全体に対して10〜90重量%とするのが好ましく、25〜75重量%とするのがより好ましい。含有量が10重量%未満の場合、硬化物の物性(ガラス転移温度、弾性率等)に乏しい接着剤組成物しか得ることができず、また含有量が90重量%を超えると、硬化収縮が大きく接着力が低下する。
【0012】
本発明で使用する光カチオン発生剤(B)は、主に180〜750nmの波長成分を含む活性光線の照射によりカチオン種を発生する化合物であれば、特に制限無く公知のものを使用することができる。このようなものとしては、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、脂肪族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、セレノニウム塩等のオニウム塩や金属アレーン錯体、シラノール/アルミニウム錯体等の錯体化合物、ベンゾイントシレート、o−ニトロベンジルトシレート等を用いることができる。この中でも特に、芳香族スルホニウム塩または脂肪族スルホニウム塩等のスルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩に代表されるヨードニウム塩、鉄−アレーン錯体はカチオン種発生効率が高いために好適である。また、これら光カチオン発生剤が塩構造である場合には、塩を形成する際の対アニオンとしてはヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が反応性の点で好適に用いられる。
【0013】
例えば前記光カチオン発生剤としては、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)−フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロフォスフェート、ビス[4−ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロアンチモネート等といった芳香族スルホニウム塩やη5−(シクロペンタジエニル)−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェート(1−)[(1,2,3,4,5,6−η)−(メチルエチル)−ベンゼン]−鉄(II)ヘキサフルオロフォスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロペニル)ボレート、ジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート及びこれらの混合物を用いることができる。これらと同一あるいは類似構造の光カチオン発生剤は、アデカオプトマーSP−150、アデカオプトマーSP−170(旭電化工業株式会社製商品名)、サイラキュアUVI−6990(ユニオンカーバイド社製商品名)、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L(三新化学工業株式会社製商品名)、イルガキュア261、イルガキュア250(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)社製商品名)、RHODORSIL PHOTOINITIATOR2074(ローディアジャパン社製商品名)といった市販品として入手することができる。
【0014】
本発明に用いる光カチオン発生剤(B)の使用量は、エポキシ化合物(A)100重量%に対して0.05〜30重量%とすることが好ましく、0.1〜15重量%とすることがより好ましい。この量が、0.05重量%未満では、硬化が不十分となる傾向があり、30重量%を超えると相溶性が低下する傾向がある。
【0015】
光カチオン発生剤(B)を使用する場合、単独あるいは複数種を併用することもできる。また、光カチオン発生剤のカチオン発生効率を高めるために、光増感剤を適宜組合せて使用することもできる。光増感剤としては、用いる励起光の吸収波長を有効に利用するためのものであれば特に制限されるものではなく、公知の化合物を使用することができ、具体的には、アントラセン、フェノチアジン、ペリレン、カルバゾール、ベンゾフェノン、チオキサントン、フルオレノン、アントラキノン等の化合物及びこれらの誘導体等を用いることができる。
【0016】
本発明に用いる金属水酸化物または金属酸化物(C)は、前記エポキシ化合物の硬化を阻害せず、かつ金属及び無機材質で構成される被着体への高接着力を維持し、さらに前記被着体の腐食を防止することを前提として添加されるものである。具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種であることが好ましく、さらに接着剤組成物への分散、被着体への高接着化、被着体の腐食防止能の観点から粒径が10μm以下であることがより好ましい。
【0017】
本発明に用いる金属水酸化物または金属酸化物(C)の使用量は、エポキシ化合物(A)100重量%に対して0.1〜60重量%とすることが好ましく、1〜30重量%とすることがより好ましい。この量が、0.1重量%未満では、十分な腐食防止効果が得られず、60重量%を超えると分散性が悪化する傾向がある。
【0018】
本発明に用いる反応調節剤(D)は、前記エポキシ化合物(A)の硬化挙動を制御する目的で使用される。このような化合物としては、鎖状エーテル化合物または環状エーテル化合物が好ましく、1分子中に2個以上のエーテル基を有するものであれば特に制限無く、公知のものを使用しうる。例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のポリエチレングリコール類と、それら末端水酸基をエーテル結合やエステル結合で官能化した誘導体、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシドなどの単官能エポキシ類の重合体、多官能エポキシの架橋体、単官能もしくは多官能のオキセタン類の重合体、単官能もしくは多官能のテトラヒドロフラン類の重合体、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、24−クラウン−8−エーテル、30−クラウン−7−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、トリベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ポリエチレングリコール類の環化物、エチレンオキシドやプロピレンオキシドやシクロヘキセンオキシドなどの単官能エポキシ類の重合体の環化物などが挙げられ、これらを単独で使用するほかに、複数種を併用することも出来る。
反応調節能の観点から特に環状エーテル化合物が好ましく、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、24−クラウン−8−エーテル、30−クラウン−7−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、トリベンゾ−18−クラウン−6−エーテルが好適である。
【0019】
本発明における(D)鎖状もしくは環状エーテル化合物の使用量は、光カチオン発生剤(B)に対して、0.05〜20化学当量とすることが好ましく、0.1〜10化学当量とすることが特に好ましい。添加量が0.05化学当量未満の場合、高接着強度が得られにくく、また、20化学当量以上の場合には、硬化を禁止し、結果として低架橋密度となる恐れがある。
【0020】
本発明の接着剤組成物を用いた場合の硬化方法は、接着剤組成物に対し、活性光線による照射処理後に加熱処理を行うことで、硬化することができる。ここで、活性光線を照射する目的は、これによって、光カチオン発生剤(B)から強酸成分(カチオン)を発生させるためである。使用する活性光線としては、紫外線、可視光、赤外光等が挙げられる。これらの活性光線の中でも、カチオン発生効率の点から紫外線、可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。紫外線の主たる波長が300nm以上であることが好ましく、350nm以上であることが特に好ましい。また、活性光線の他に、電子線、エックス線、γ線又はマイクロ波等のエネルギー線を用いることもできる。紫外線を照射する場合には、特に制限なく公知の光源を使用することができ、例えば超高圧水銀灯や低圧水銀灯に代表される水銀アークランプ、キセノンアークランプ、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ及び周囲の日光からの照射光により硬化させることができる。活性光線の照射量は、光カチオン発生剤(B)からカチオンを発生させ、その後の加熱で充分な硬化反応が進行する程度に照射すればよく、概ね1mJ/cm〜500,000mJ/cmである。更に、活性光線の照射は2回以上に分割して行うことができ、それぞれの活性光線の照射条件は同一でもよく、異なっていてもよい。更に、異なる光源を組み合わせて用いても良い。活性光線照射時の温度は40℃以下好ましく、35℃以下が更に好ましく、30℃以下が特に好ましい。温度が40℃を超えると、活性光線照射時に重合反応も進行しやすいからであり、活性光線を照射した後に基材同士を張り合わせるような場合は作業時間の裕度がなくなる傾向がある。
【0021】
加熱の処理の温度は、好ましくは60〜180℃、更に好ましくは70〜150℃であり、加熱の時間は、好ましくは0.5〜50秒間である。加熱温度が60℃未満であると硬化速度が遅く、180℃を超えると望まない副反応が進行しやすい。加熱時間が0.5秒未満では硬化反応が進行せず、50秒間を超えると硬化物の生産性が低下し、更に望まない副反応も進みやすい。
【0022】
上記硬化方法において、活性光線による照射処理と加熱による処理とのあいだに、所定の保持時間を挟んでもよい。その保持の時間は、24時間以内が好ましく、12時間以内がより好ましい。この保持時間が24時間を超えると接着力が低下する恐れがある。
【0023】
上記方法において、活性光線を照射し、次いで、0.01秒〜24時間保持し、その後60〜180℃で0.5〜50秒間加熱すると、活性光線を照射している間及びそのあとの保持している間は実質的な硬化反応はほとんど進行せず、その後の加熱により速やかに重合・架橋反応が進行する。このために、活性光線の波長域に透過性を持たない基材同士を接着する場合にも本発明の接着剤組成物を適用することができる。
【0024】
本発明に用いる導電粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核に前記金属、金属粒子やカーボンを被覆したものでもよい。導電粒子が、プラスチックを核とし、この核に前記金属、金属粒子やカーボンを被覆したものや熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。またこれらの導電粒子の表面を、さらに高分子樹脂などで被覆した微粒子は、導電粒子の配合量を増加した場合の粒子同士の接触による短絡を抑制し、電極回路間の絶縁性が向上できることから、適宜これを単独あるいは導電粒子と混合して用いてもよい。
【0025】
この導電粒子の平均粒径は、分散性、導電性の点から1〜18μmであることが好ましい。導電粒子の使用量は、特に制限は受けないが、接着剤組成物トータル100体積に対して0.1〜30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好ましい。この値が、0.1体積%未満であると導電性が劣る傾向があり、30体積%を超えると回路の短絡が起こる傾向がある。なお、体積%は23℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定されるが、各成分の体積は、比重を利用して重量から体積に換算することができる。また、メスシリンダー等にその成分を溶解したり膨潤させたりせず、その成分をよくぬらす適当な溶媒(水、アルコール等)を入れたものに、その成分を投入し増加した体積をその体積として求めることもできる。
【0026】
本発明の接着剤組成物には、発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤、強化材、着色剤、安定剤(熱安定剤、耐候性改良剤等)、増量剤、粘度調節剤、テルペンフェノール共重合体、テルペン樹脂、ロジン誘導体、脂環族系炭化水素樹脂等に代表される粘着付与剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、変色防止剤、抗菌剤、防黴剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、発泡剤、離型剤等を添加・混合することができる。上記着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料等の染料、カーボンブラック、マイカ等の無機顔料及びアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系、フタロシアニン系等の有機顔料等が挙げられる。また、上記安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系等の化合物が挙げられる。また、上記無機充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化珪素繊維、塩基性硫酸マグネシウム繊維、ホウ素繊維、ステンレス鋼繊維、アルミニウム、チタン、銅、真鍮、マグネシウム等の無機質及び金属繊維、銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金及び銀等の金属粉末、木粉、珪酸アルミニウム、タルク、クレイ、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ホウ珪酸塩、アルミノ珪酸塩、チタン酸塩、塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩及びその他の塩基性塩、ガラス中空球、ガラスフレーク等のガラス材料、炭化珪素、窒化アルミ、ムライト、コージェライト等が挙げられる。
【0027】
本発明の接着剤組成物は、増粘化やフィルム化を目的として、種々のポリマを適宜添加してもよい。使用するポリマは、エポキシ化合物(A)の硬化を阻害しないものであれば、制限なく公知のポリマを使用することができる。このようなポリマとしては、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ樹脂類、ポリメタクリレート類、ポリアクリレート類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリエステルウレタン類、ポリビニルブチラール類、SBS及びそのエポキシ変性体、SEBS及びその変性体、NBRおよびその水素化体、などを用いることができる。これらは単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。さらに、これらポリマ中にはシロキサン結合やフッ素置換基が含まれていても良い。これらは、混合する樹脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離が生じて白濁する状態であれば接着剤組成物としては好適に用いることができる。
【0028】
上記ポリマの分子量は大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接着剤としての流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。分子量は特に制限を受けるものではないが、一般的な重量平均分子量(GPCによる標準ポリスチレン換算)としては5,000〜150,000が好ましく、10,000〜80,000が特に好ましい。この値が、5,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向があり、また150,000を超えると他の成分との相溶性が悪くなる傾向がある。使用量としてはエポキシ化合物(A)100重量部に対して20〜320重量部とすることが好ましい。この使用量が、20重量部未満又は320重量部を超える場合は、流動性や接着性が低下する傾向がある。
【0029】
本発明の接着剤組成物は、室温(25℃)で液状である場合にはペースト状で使用することができる。室温で固体の場合には、加熱して使用する他、溶剤を使用してペースト化してもよい。使用できる溶剤としては、接着剤組成物及び添加剤と反応性がなく、かつ十分な溶解性を示すものであれば、特に制限は受けないが、常圧での沸点が50〜150℃であるものが好ましい。沸点が50℃以下の場合、室温で放置すると揮発する恐れがあり、開放系での使用が制限される。また、沸点が150℃以上だと、溶剤を揮発させることが難しく、接着後の信頼性に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0030】
本発明の接着剤組成物は加熱及び加圧を併用して接着させることができる。加熱温度は、特に制限は受けないが、60〜180℃の温度が好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限は受けないが、一般的には0.1〜30MPaが好ましい。これらの加熱及び加圧は、0.5〜50秒間の範囲で行うことが好ましい。
【0031】
本発明の接着剤組成物は、熱膨張係数の異なる異種の被着体の接着剤として使用することができる。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィルム等に代表される回路接続材料、CSP用エラストマー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ等に代表される半導体素子接着材料として使用することができる。
【0032】
以下に、本発明の接着剤組成物及び導電粒子を使用して作製した回路接続用接着剤(異方導電フィルム)と電極の接続の一例について説明する。接着剤組成物のフィルム(異方導電フィルム)を、基板上の相対時する電極間に存在させ、活性光線を照射後に、加熱加圧することにより両電極の接触と基板間の接着を得、電極との接続を行える。すなわち、相対向する回路電極を有する基板間に接着剤組成物(回路接続用接着剤)を介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続し、接続体を得る。電極を形成する基板としては、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、TCPやFPC、COFに代表されるポリイミド基材、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルスルホン等のフィルム上に電極を形成した基材、プリント配線板等のこれら複合の各組み合わせが適用できる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0034】
(参考例1)
エポキシ化合物(A)として脂環式エポキシ樹脂(セロキサイドCEL2021P、ダイセル化学工業株式会社製品名)、光カチオン発生剤(B)として鉄アレーン錯体(イルガキュア261、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製商品名)、金属酸化物(C)として粒径1μmの水酸化アルミニウム(Al(OH))を用いた。ポリマとしてフェノキシ樹脂(ZX-1356-2,東都化成株式会社製商品名)とアクリルゴム(HTR860P-3,帝国化学産業株式会社製商品名)用いた。また、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金を設けた平均粒径5μm、比重2.5の導電粒子を作製して用いた。固定重量比で表1に示すように配合し、さらに導電粒子を1.5体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが20μmのフィルム状の接着剤組成物を得た。
【0035】
(実施例2)
反応調節剤(D)として18−クラウン−6−エーテル(18−C−6、6重量部)を用いた以外は参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。なお、イルガキュア261と18−C−6の化学当量比は、1:4であった。
【0036】
(実施例3)
水酸化アルミニウムの代わりに金属水酸化物(C)として粒径1μmの水酸化マグネシウム(Mg(OH))を用いた以外は参考例1と同様な配合を用い、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。
【0037】
(実施例4)
水酸化アルミニウムの代わりに金属酸化物(C)として粒径1μmの酸化マグネシウム(MgO)を用いた以外は参考例1と同様な配合を用い、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。
【0038】
(実施例5)
イルガキュア261の代わりに光カチオン発生剤(B)としてスルホニウム塩であるアデカオプトマーSP−170(旭電化工業株式会社製商品名)を用いた以外は参考例1と同様な配合を用い、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。なお、SP−170と18−C−6の化学当量比は、1:14であった。
【0039】
(比較例1)
エポキシ化合物(A)として脂環式エポキシ樹脂(セロキサイドCEL2021P、ダイセル化学工業株式会社製品名)、光カチオン発生剤(B)として鉄アレーン錯体(イルガキュア261、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製商品名)、ポリマとしてフェノキシ樹脂(ZX-1356-2、東都化成株式会社製商品名)とアクリルゴム(HTR860P-3、帝国化学産業株式会社製商品名)用いた。そして、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。
【0040】
(比較例2)
反応調節剤(D)として18−クラウン−6−エーテル(18−C−6、6重量部)を用いた以外は比較例1と同様な配合を用い、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。
【0041】
(比較例3)
イルガキュア261の代わりに光カチオン発生剤(B)としてオニウム塩であるアデカオプトマーSP−170(旭電化工業株式会社製商品名)を用いた以外は比較例1と同様な配合を用い、参考例1と同様な方法でフィルム状の接着剤組成物を得た。なお、SP−170と18−C−6の化学当量比は、1:14であった。
以上の組成を纏めて表1に示した。
【0042】
【表1】

【0043】
[絶縁抵抗および腐食性の評価]
上記製法により得たフィルム状の接着剤組成物をコーニングガラス(厚み0.7mm)上に2×20mmの大きさでフッ素樹脂フィルムから転写した。これを高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置を用いて、25℃、照度17mW/cmの紫外線を3分間照射し、5分間放置した。これにライン幅100μm、ピッチ200μm、厚み18μmの銅回路を櫛型状に形成したフレキシブル回路基板(FPC)を被せ、熱圧着装置(加熱方式:コンタクトヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて140℃で20秒間の加熱加圧を行って、接続体を作製した。作製した接続体について接続直後の初期抵抗及び60℃、90%RHの条件で100時間、10Vの電圧を印加しながら高温高湿状態に曝した後の絶縁抵抗を評価した。絶縁抵抗の評価は、前記接続体に50Vの電圧を60秒間印加した後の抵抗値を絶縁抵抗計(株式会社アドバンテスト製R8340)で測定した。また、金属顕微鏡を用いて、接続直後と耐湿試験後の外観を観察した。その結果を表2に示した。
以上のようにして行った接続体の耐腐食性は、金属水酸化物もしくは金属酸化物を用いた参考例1及び実施例2〜5では接続直後と耐湿試験後で絶縁抵抗がほとんど変化せず、かつ電極の腐食は観察されなかった。一方、金属水酸化物もしくは金属酸化物を用いなかった比較例1〜3では、耐湿試験後に絶縁抵抗が低下し、さらに電極の腐食が発生し、樹状のデンドライトの発生が認められた。
【0044】
【表2】

【0045】
(実施例6、7)
[接続体の作製]
実施例2(フィルム2)および実施例3(フィルム3)で作製したフィルム状の接着剤組成物を0.2μmの酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1mm、表面抵抗20Ω/□)上に1×30mmの大きさでフッ素樹脂フィルムから転写した。これを高圧水銀灯を備えた紫外線照射装置を用いて、25℃、照度17mW/cmの紫外線を3分間照射し、30分間放置した。これにライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)を被せ、熱圧着装置(加熱方式:コンタクトヒート型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて140℃で20秒間の加熱加圧を行って接続体を作製した。この接続体の隣接回路間の抵抗値をマルチメータで測定した。
【0046】
また、この接続体の接着強度をJIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し、評価した。ここで、接着強度の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。以上のようにして測定した接続抵抗と接着強度の結果を表3に示した。以上の結果から、本発明の接着剤組成物であるフィルム2、3を用いた実施例6、7では、良好な接続抵抗と接着力を示すことが分かった。
本発明によれば、酸性の光カチオン発生剤を用いても回路電極の腐食が無く、しかも低温短時間で接着可能となり、接続信頼性に優れる接着剤組成物、回路接続用接着剤、回路接続方法およびこれを用いた接続体を得ることができる。
【0047】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する回路電極を有する基板間に介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する方法に用いる回路接続用接着剤であって、
エポキシ化合物(A)、光カチオン発生剤(B)、金属水酸化物または金属酸化物(C)及び反応調節剤(D)を含む接着剤組成物と、導電粒子とを含み、
前記金属水酸化物または金属酸化物(C)が、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも一種であり、
前記反応調節剤(D)が、鎖状エーテル化合物または環状エーテル化合物である、回路接続用接着剤。
【請求項2】
光カチオン発生剤(B)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、鉄−アレーン錯体から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の回路接続用接着剤。
【請求項3】
反応調節剤(D)が、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、24−クラウン−8−エーテル、30−クラウン−7−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、トリベンゾ−18−クラウン−6−エーテルから選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の回路接続用接着剤。
【請求項4】
活性光線を照射した後、加熱温度60〜180℃、加熱時間0.5〜50秒間で硬化する請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤。
【請求項5】
前記接着剤組成物100体積に対して前記導電粒子を0.1〜30体積%含んでなる請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤。
【請求項6】
相対向する回路電極を有する基板間に請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤を介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続する回路接続方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤を用いて接続された接続体。

【公開番号】特開2012−46757(P2012−46757A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213344(P2011−213344)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【分割の表示】特願2005−11436(P2005−11436)の分割
【原出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】