回路構成体
【課題】小型化を図ることのできる回路構成体を提供することを目的とする。
【解決手段】回路構成体1には、素子搭載部13および互いに間隔を空けて並列された複数のバスバー11を備えるバスバー部10と、素子搭載部13および複数本のバスバー11を一体化するようにインサート成形された絶縁部21と、を含む基板部2が備えられ、素子搭載部13上には半導体スイッチング素子30が搭載されている。素子搭載部13を挟んで2列に並列されたバスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は基板部2の端縁部に配されて外部との導通接続を行う接続端子部12とされ、基板部2においてこの接続端子部12を含む端縁部は、接続端子部12が絶縁部21から露出され、かつ、平坦な一枚板状とされたカードエッジコネクタ部3とされている。このような構成によれば、小型化を実現することができる。
【解決手段】回路構成体1には、素子搭載部13および互いに間隔を空けて並列された複数のバスバー11を備えるバスバー部10と、素子搭載部13および複数本のバスバー11を一体化するようにインサート成形された絶縁部21と、を含む基板部2が備えられ、素子搭載部13上には半導体スイッチング素子30が搭載されている。素子搭載部13を挟んで2列に並列されたバスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は基板部2の端縁部に配されて外部との導通接続を行う接続端子部12とされ、基板部2においてこの接続端子部12を含む端縁部は、接続端子部12が絶縁部21から露出され、かつ、平坦な一枚板状とされたカードエッジコネクタ部3とされている。このような構成によれば、小型化を実現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて車載電装品の通断電を制御する電気接続箱として、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、バスバー及び電線にて所望の回路を構成した回路板をハウジング内に収容するとともに、ハウジングの周壁部にヒューズブロックやコネクタ等を設けた構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−27829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような構成では、回路仕様が複雑になるほど板厚方向に回路構成体の積層数が増加するため、電機接続箱が大型化してしまうという問題が生じていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化を図ることのできる回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る回路構成体は、素子搭載部と互いに間隔を空けて並列された複数のバスバーとが設けられたバスバー部と、前記素子搭載部および前記複数本のバスバーを一体化するようにインサート成形された絶縁部とを含む基板部と、前記素子搭載部に搭載されたスイッチング素子と、を備え、前記バスバーの端部のうち少なくとも一方が前記基板部の端縁部に配されて外部との導通接続を行う端子部とされ、前記基板部において前記端子部を含む端縁部が、平坦な一枚板状とされ、かつ、前記端子部が前記絶縁部から露出されたカードエッジコネクタ部とされているものである。
【0006】
このような構成によれば、コネクタ部がカードエッジコネクタ型となっているため、回路構成体を複数枚積層してもコネクタ部をあまり大きくせずに済み、小型化が図れる。また、外部接続のための端子部がバスバーと一体化しているので、従来のようなバスバーと端子との接続のためのはんだ付け等の工程が必要なくなり、組み立て工数やコストの削減が図れる。
【0007】
本発明の態様としては、以下の態様が好ましい。
【0008】
前記スイッチング素子と前記バスバーとがボンディングワイヤにより電気的に接続されていることが好ましい。
上記の態様によれば、スイッチング素子とバスバーとの接続回路が最短距離で構成できるため、回路構成体の小型化を図ることができる。また、発熱量を低く抑えることができる。
さらに、回路構成体の仕様変更に際し、ボンディングワイヤの配線パターンや実装するスイッチング素子の変更のみで容易に対応でき、柔軟な対応が可能となる。
【0009】
また、前記基板部には、前記絶縁部とともにインサート成形により形成されたものであって前記素子搭載部を囲って立ち上がる枠部が設けられ、前記枠部内には前記スイッチング素子および前記ボンディングワイヤを覆う充填材が充填されていることが好ましい。
上記の態様によれば、枠部が絶縁部と一体に成形されていることにより、液密が確保できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路構成体の小型化を図ることができ、ひいては、この回路構成体が収容される電機接続箱の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1における回路構成体の斜視図
【図2】実施形態1において打ち抜き形成されたバスバー基板の斜視図
【図3】実施形態1において樹脂成形部が形成された状態を示す斜視図
【図4】実施形態1においてバスバー部を枠体から切り離した状態を示す斜視図
【図5】実施形態1において半導体スイッチング素子を実装した状態を示す斜視図
【図6】実施形態1において半導体スイッチング素子とバスバーとをワイヤボンディングにより接続した状態を示す斜視図
【図7】実施形態1において半導体スイッチング素子とバスバーとをワイヤボンディングにより接続した状態を示す部分拡大断面図
【図8】実施形態1の回路構成体を配電ユニットに適用した様子を示す斜視図
【図9】実施形態1の回路構成体をジャンクションブロックに適用した様子を示す斜視図
【図10】実施形態2の回路構成体をヒューズボックスに適用した様子を示す斜視図
【図11】実施形態2において樹脂成形部が形成された状態を示す斜視図
【図12】実施形態2においてバスバー部を枠体から切り離した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図9によって説明する。
本実施形態の回路構成体1を図1に示した。この回路構成体1は、車両用のものであって、バッテリー等の電源と車載電装品との間に接続され、各種車載電装品の通断電制御を行うものである。なお、以下の説明においては、回路構成体1において半導体スイッチング素子30が搭載されている側の面を表面、それとは逆側の面を裏面とする。
【0013】
この回路構成体1は、導電性に優れた金属板を打ち抜くことにより形成されたバスバー部10を備える。このバスバー部10は、同一厚さの細長い板状に形成された複数のバスバー11と、半導体スイッチング素子30を搭載するための一対の素子搭載部13とを備えている。複数のバスバー11は、幅方向に互いに狭い間隔を空けて並列することで一組のバスバー群11Gを構成しており、このバスバー群11Gの2組が、バスバー11の長さ方向に沿う方向に並列されている。
【0014】
素子搭載部13は、幅広の板状に形成されており、その表面には、半導体スイッチング素子30の位置決めのための溝部14が複数(本実施例では1つの素子搭載部13につき5個ずつ)設けられている。各溝部14は搭載される半導体スイッチング素子30の外形に対応する長方形状をなし、それぞれ素子搭載部13の長さ方向に等間隔を空けて並列されている。
【0015】
一対の素子搭載部13は、その長さ方向に沿って間隔を空けて並列されており、その長さ方向がバスバー11の長さ方向と直交方向となる向きで、2組のバスバー群11Gの間に挟まれるように配置されている。なお、各バスバー群11Gを構成する複数のバスバー11のうち、両端に位置する各2本ずつのバスバー11は、その端部が素子搭載部13と連結されており、その他のバスバー11は素子搭載部13と隙間を空けて配されている。
【0016】
この素子搭載部13には、複数の半導体スイッチング素子30が搭載されている。各半導体スイッチング素子30は、それぞれ素子搭載部13上の溝部14に位置合わせして載置され、はんだ付け等により固着される。半導体スイッチング素子30の表面には、詳細には図示しないが、端子が設けられており、この端子はそれぞれボンディングワイヤ31を介してバスバー11と接続されている。
【0017】
複数本のバスバー11および素子搭載部13はすべて同一の厚さであり、かつ、同一平面上に配されている。各バスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は、それぞれ外部機器との接続のための接続端子部12とされている。
【0018】
バスバー部10には、インサート成形により樹脂成形部20が一体化されている。この樹脂成形部20は、隣り合うバスバー11間、およびバスバー11と素子搭載部13との間を絶縁する絶縁部21を備えている。絶縁部21は、隣り合うバスバー11の間、およびバスバー11と素子搭載部13との間に隙間なく埋め込まれるとともに、並列する複数のバスバー11のうち最も外側に位置するバスバー11の外側にも設けられてこのバスバー11の側面を覆っている。絶縁部21においてバスバー11の長さ方向に沿う方向の両端は、バスバー11における接続端子部12の先端部に揃えられている。また、絶縁部21の厚さはバスバー11および素子搭載部13の厚さに揃えられており、これにより、バスバー部10と絶縁部21とは表面に凹凸のない平坦な一枚板を形成している(以下、基板部2という)。
【0019】
この基板部2の表面には、素子搭載部13を囲って表面側に立ち上がる枠部22が形成されている。枠部22は、素子搭載部13の周縁よりもやや外側位置において、基板部2の表面から表方に向かって立ち上げられた4辺の壁部よりなり、基板部2の表面側から見て長方形状をなしている。枠部22の立ち上げ高さは、素子搭載部13に搭載される半導体スイッチング素子30の高さよりも高く設定されている。
【0020】
この枠部22内には、例えば合成樹脂からなる充填材24が充填され、半導体スイッチング素子30およびボンディングワイヤ31が充填材24中に埋没されている。これにより、半導体スイッチング素子30周辺部の防水が図られると共に、振動によるボンディングワイヤ31の揺れや外れが防止される。
【0021】
また、基板部2の裏面において、表面の枠部22で囲まれた領域に対応する領域には、バスバー11および絶縁部21の裏面を覆う底壁23が形成されている。
【0022】
基板部2において枠部22および底壁23が形成されている領域を除く両端部分、すなわち、バスバー11の接続端子部12を含む部分は、表裏面が平坦な一枚板状となっており、この部分は、カードエッジコネクタ部3とされている。このカードエッジコネクタ部3においては、接続端子部12の表裏面が絶縁部21から露出しており、エッジコネクタソケットの端子と接触可能とされている。
【0023】
次に、上記のように構成された回路構成体1の作製手順について説明する。
まず、材料となる金属板をプレス加工で打ち抜くことによりバスバー基板15を形成する(図2)。なお、打ち抜きの時点では、各バスバー11がばらばらにならないよう、各バスバー11の外側の端部(接続端子部12となる側の端部)が外側方向へ延設されて、このバスバー11を囲う外枠16に連結された状態となっている。
【0024】
次に、バスバー基板15を図示しない金型内に設置し、熱可塑性の合成樹脂材(例えばPPS)によってインサート成形を行うことにより、絶縁部21および枠部22を含む樹脂成形部20が形成される(図3)。このインサート成形により、各バスバー11が樹脂成形部20とともに一体化される。
【0025】
樹脂成形部20の形成後、バスバー11と外枠16との切り離しを行う(図4)。切り離しの際には、樹脂成形部20においてバスバー11の長さ方向に沿う方向の端縁部に沿って切断が行われる。(図3中、切断位置を破線で示す。)
【0026】
次に、素子搭載部13上に半導体スイッチング素子30を実装する。まず、素子搭載部13の溝部14に整合させてクリームはんだを塗布する。そして、半導体スイッチング素子30を、溝部14に位置合わせして素子搭載部13上に載置する。この状態で、リフロー処理を行なうことにより、半導体スイッチング素子30を素子搭載部13にはんだ付けする(図5)。続いて、半導体スイッチング素子30の表面の端子とバスバー11とをワイヤボンディングにより接続する(図6、図7)。
【0027】
実装が完了したら、枠部22内に液状の充填材を充填して固化させる。充填材は、半導体スイッチング素子30およびボンディングワイヤ31を覆う高さ位置まで充填する。充填材としては、例えばエポキシ樹脂を使用できる。
以上のようにして、回路構成体1が完成される。
【0028】
なお、本実施形態の回路構成体1は、例えば図8に示すような配電ユニット40に適用することができる。
【0029】
この配電ユニット40は、合成樹脂により箱状に形成されたケーシング41の内部に、上記の構成の回路構成体1を制御用基板42とともに収容したものである。制御用基板42は、樹脂材料製の絶縁性基板の表面上に銅箔によって回路パターンが形成され、制御用の半導体チップ43が実装されたプリント基板であって、その外形は回路構成体1の外形とほぼ等しい矩形状とされている。この制御用基板42において、回路構成体1と整合させて重ねたときに回路構成体1のカードエッジコネクタ部3と整合する位置には、表面にコンタクトパッド44が施されてカードエッジコネクタ部45が形成されている。回路構成体1と制御用基板42とは、その板厚方向において互いに適当な隙間をおいて重ねるようにして互いに略平行な姿勢で配置され、ケーシング41内に収容されている。このような構成の配電ユニット40では、回路構成体1および制御用基板42のカードエッジコネクタ部3、45を、このカードエッジコネクタ部3、45に対応するエッジコネクタソケットを備えた外部機器等に対して一括接続することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の回路構成体1は、例えば図9に示すようなジャンクションブロック50に適用することができる。
【0031】
このジャンクションブロック50は、合成樹脂により形成された箱型のケーシング51を備えている。このケーシング51の天井部には、回路構成体1を内部に差し込むための差込口52が開口されており、差込口52の周縁に沿って上方へ立ち上がる筒状のフード部53が設けられている。ケーシング51の底面には制御回路基板54が配設されている。この制御回路基板54は、樹脂材料製の絶縁性基板の表面上に銅箔によって回路パターンが形成されたプリント基板である。制御回路基板54の表面において、差込口52の直下位置にはエッジコネクタソケット55が設けられている。このエッジコネクタソケット55は、回路構成体1のカードエッジコネクタ部3を収容可能な合成樹脂製のコネクタハウジング56内に、接続端子部12に圧接する端子金具(図示せず)が収容された通常の構成のものである。
【0032】
ケーシング51の内部には、複数の回路構成体1が縦置きに収容され、回路構成体1における一方のカードエッジコネクタ部3がエッジコネクタソケット55に装着される。そして、他方のカードエッジコネクタ部3がフード部53内に臨んでいる。
【0033】
このような構成の配電ユニット40では、複数の回路構成体1のカードエッジコネクタ部3を、このカードエッジコネクタ部3に対応するエッジコネクタソケットを備える外部機器等に対して一括接続することができる。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、回路構成体1の基板部2は、素子搭載部13および互いに間隔を空けて並列された複数のバスバー11を備えるバスバー部10と、素子搭載部13および複数本のバスバー11を一体化するようにインサート成形された絶縁部21と、を備えている。そして、素子搭載部13上には半導体スイッチング素子30が搭載されている。素子搭載部13を挟んで2列に並列されたバスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は基板部2の端縁部に配されて外部との導通接続を行う接続端子部12とされている。基板部2においてこの接続端子部12を含む端縁部は、接続端子部12が絶縁部21から露出され、かつ、平坦な一枚板状とされたカードエッジコネクタ部3とされている。
【0035】
このような構成によれば、外部との接続を図るコネクタ部がカードエッジコネクタ型となっているため、回路構成体1を複数枚積層してもコネクタ部をあまり大きくせずに済み、小型化が図れる。また、外部接続のための接続端子部12がバスバー11と一体化しているので、従来のようなバスバーと端子との接続のためのはんだ付け等の工程が必要なくなり、組み立て工数やコストの削減が図れる。
【0036】
なお、従来よりプリント基板上にコンタクトパッドを施したカードエッジコネクタ型の基板は存在しているが、このものは信号用回路に用いられることを想定した小電流用のものであり、大電流回路に対応できるものはこれまで存在しなかった。本発明では、端子部を厚銅のバスバーによって構成することで、大電流回路に対応できるカードエッジコネクタ型の回路構成体を初めて提供したものである。
【0037】
また、本実施形態によれば、半導体スイッチング素子30とバスバー11とがワイヤボンディングにより電気的に接続されている。このような構成によれば、半導体スイッチング素子30とバスバー11との接続回路が最短距離で構成できるため、回路構成体1の小型化を図ることができ、また、発熱量を低く抑えることができる。さらに、回路構成体1の仕様変更に際し、ボンディングワイヤ31の配線パターンや実装するスイッチング素子の変更のみで容易に対応でき、柔軟な対応が可能となる。
【0038】
また、基板部2には、絶縁部21とともにインサート成形により形成され、素子搭載部13を囲って立ち上がる枠部22が設けられている。そして、この枠部22内には半導体スイッチング素子30を覆う充填材24が充填されている。このような構成によれば、枠部22が絶縁部21と一体に成形されていることにより、液密が確保できる。
【0039】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10〜図12によって説明する。本実施形態は、本発明の回路構成体をヒューズ端子付きモジュールに適用したものである。なお、以下の説明においても、回路構成体60において半導体スイッチング素子30が搭載されている側の面を表面、それとは逆側の面を裏面とする。
【0040】
本実施形態の回路構成体60は、導電性に優れた金属板を打ち抜いて形成したバスバー部61を備える。このバスバー部61は、それぞれ複数のバスバー62、64が幅方向に互いに狭い間隔を空けて並列したバスバー群62G、64Gと、半導体スイッチング素子30を搭載するための素子搭載部13とを備えている。
【0041】
2組のバスバー群62G、64Gのうち一方のバスバー群62G(図10中下側のバスバー群62G)を構成する複数のバスバーは、接続側バスバー62とされている。接続側バスバー62は、同一厚さの細長い板状に形成されており、その一方の端部は外部機器等との接続のための接続端子部63とされている。これに対し、他方のバスバー群64G(図10中上側のバスバー群64G)を構成する複数のバスバーはヒューズ側バスバー64とされている。ヒューズ側バスバー64は、接続側バスバー62と同一厚さの細長い板状に形成されるとともに、その一方の端部には、ヒューズ端子65が形成されている。ヒューズ端子65は、先端が二股に分かれた音叉状端子であって、ヒューズHに接続可能とされている。
【0042】
2組のバスバー群62G、64Gは、それぞれ接続端子部63およびヒューズ端子65が設けられた側とは逆側の端部が相手側のバスバー群62G、64Gと対向するようにして並列されている。
【0043】
2組のバスバー群62G、64Gの間には、素子搭載部13が配されている。素子搭載部13、およびここに搭載される半導体スイッチング素子30の構成は実施形態1と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
バスバー部61には、インサート成形により樹脂成形部66が一体化されている。この樹脂成形部66は、実施形態1と同様に、隣り合うバスバー62、64の間、およびバスバー62、64と素子搭載部13との間を絶縁する絶縁部67を備えている。絶縁部67は、隣り合うバスバー62、64の間、およびバスバー62,64と素子搭載部13との間に隙間なく埋め込まれるとともに、並列する複数のバスバー62、64のうち最も外側に位置するバスバー62、64の外側にも設けられて、このバスバー62、64の側面を覆っている。
【0045】
絶縁部21において接続側バスバー62側の端縁は、接続端子部63の先端部に揃えられている。一方、ヒューズ側バスバー64側の端縁は、ヒューズ端子65が形成されている部分よりもやや中央寄り(素子搭載部13側)に位置している。絶縁部21の厚さはバスバー11および素子搭載部13の厚さに揃えられており、これにより、バスバー部10においてヒューズ端子65部分を除く部分と絶縁部21とは表面に凹凸のない平坦な一枚板状の基板部70を形成している。
【0046】
この基板部70の表面には、素子搭載部13を囲って表面側に立ち上がる枠部22が形成され、その内部には充填材24が充填されている。また裏面には、底壁23が形成されている。枠部22、充填材24、および底壁23の構成は実施形態1と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
基板部70において接続端子部63側の端部から枠部22の端縁までの部分は、表裏面が平坦な一枚板状をなしており、この部分は、カードエッジコネクタ部68とされている。このカードエッジコネクタ部68においては、接続端子部63の表裏面が絶縁部67から露出しており、エッジコネクタソケット内の端子と接触可能とされている。
【0048】
上記のように構成された回路構成体60を作製するには、まず、金属板をプレス加工で打ち抜くことによりバスバー基板71を形成する(図11)。なお、打ち抜きの時点では、各バスバー62、64がばらばらにならないよう、各バスバー62、64の外側の端部(接続端子部63、およびヒューズ端子65となる側の端部)が外枠72に連結された状態となっている。
【0049】
次に、バスバー基板71を図示しない金型内に設置し、熱可塑性の合成樹脂材(例えばPPS)によってインサート成形を行うことにより、絶縁部67および枠部22を含む樹脂成形部66が形成される。
【0050】
樹脂成形部66の形成後、バスバー62、64と外枠72との切り離しを行う。なお、接続端子部63側の切断は、樹脂成形部66において接続側バスバー62の長さ方向に沿う方向の端縁部に沿って行われる(図11中、切断位置を破線で示す)。切り離し後、ヒューズ端子65部分の折り曲げ加工が行われる(図12)。
【0051】
次に、素子搭載部13上への半導体スイッチング素子30の実装、および枠部22内への充填材24の充填・固化を行う。実装及び充填・固化の手順は実施形態1と同様である。
以上のようにして回路構成体60が完成される。本実施形態の回路構成体60によっても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
なお、本実施形態の回路構成体60は、例えば図10に示すように、矩形箱状のケーシング81内に収容されてヒューズ端子付きモジュール80とすることができる。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、枠部22が絶縁部21、67とともにインサート成形により一体形成されているが、枠部が絶縁部21、67とは別体に形成されていても構わない。
(2)実施形態2においては、カードエッジコネクタ部68とされていない側の端子は音叉状のヒューズ端子とされていたが、カードエッジコネクタ部68とされない側の端子の形状には特に制限はなく、例えばタブ状の端子であっても構わない。
【符号の説明】
【0054】
1、60...回路構成体
2、70...基板部
3、68...カードエッジコネクタ部
10、61...バスバー部
11、62...バスバー
12、63...接続端子部(端子部)
13...素子搭載部
21、67...絶縁部
22...枠部
24...充填材
30...半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
31...ボンディングワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて車載電装品の通断電を制御する電気接続箱として、特許文献1に記載のものが知られている。このものは、バスバー及び電線にて所望の回路を構成した回路板をハウジング内に収容するとともに、ハウジングの周壁部にヒューズブロックやコネクタ等を設けた構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−27829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような構成では、回路仕様が複雑になるほど板厚方向に回路構成体の積層数が増加するため、電機接続箱が大型化してしまうという問題が生じていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化を図ることのできる回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る回路構成体は、素子搭載部と互いに間隔を空けて並列された複数のバスバーとが設けられたバスバー部と、前記素子搭載部および前記複数本のバスバーを一体化するようにインサート成形された絶縁部とを含む基板部と、前記素子搭載部に搭載されたスイッチング素子と、を備え、前記バスバーの端部のうち少なくとも一方が前記基板部の端縁部に配されて外部との導通接続を行う端子部とされ、前記基板部において前記端子部を含む端縁部が、平坦な一枚板状とされ、かつ、前記端子部が前記絶縁部から露出されたカードエッジコネクタ部とされているものである。
【0006】
このような構成によれば、コネクタ部がカードエッジコネクタ型となっているため、回路構成体を複数枚積層してもコネクタ部をあまり大きくせずに済み、小型化が図れる。また、外部接続のための端子部がバスバーと一体化しているので、従来のようなバスバーと端子との接続のためのはんだ付け等の工程が必要なくなり、組み立て工数やコストの削減が図れる。
【0007】
本発明の態様としては、以下の態様が好ましい。
【0008】
前記スイッチング素子と前記バスバーとがボンディングワイヤにより電気的に接続されていることが好ましい。
上記の態様によれば、スイッチング素子とバスバーとの接続回路が最短距離で構成できるため、回路構成体の小型化を図ることができる。また、発熱量を低く抑えることができる。
さらに、回路構成体の仕様変更に際し、ボンディングワイヤの配線パターンや実装するスイッチング素子の変更のみで容易に対応でき、柔軟な対応が可能となる。
【0009】
また、前記基板部には、前記絶縁部とともにインサート成形により形成されたものであって前記素子搭載部を囲って立ち上がる枠部が設けられ、前記枠部内には前記スイッチング素子および前記ボンディングワイヤを覆う充填材が充填されていることが好ましい。
上記の態様によれば、枠部が絶縁部と一体に成形されていることにより、液密が確保できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回路構成体の小型化を図ることができ、ひいては、この回路構成体が収容される電機接続箱の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態1における回路構成体の斜視図
【図2】実施形態1において打ち抜き形成されたバスバー基板の斜視図
【図3】実施形態1において樹脂成形部が形成された状態を示す斜視図
【図4】実施形態1においてバスバー部を枠体から切り離した状態を示す斜視図
【図5】実施形態1において半導体スイッチング素子を実装した状態を示す斜視図
【図6】実施形態1において半導体スイッチング素子とバスバーとをワイヤボンディングにより接続した状態を示す斜視図
【図7】実施形態1において半導体スイッチング素子とバスバーとをワイヤボンディングにより接続した状態を示す部分拡大断面図
【図8】実施形態1の回路構成体を配電ユニットに適用した様子を示す斜視図
【図9】実施形態1の回路構成体をジャンクションブロックに適用した様子を示す斜視図
【図10】実施形態2の回路構成体をヒューズボックスに適用した様子を示す斜視図
【図11】実施形態2において樹脂成形部が形成された状態を示す斜視図
【図12】実施形態2においてバスバー部を枠体から切り離した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図9によって説明する。
本実施形態の回路構成体1を図1に示した。この回路構成体1は、車両用のものであって、バッテリー等の電源と車載電装品との間に接続され、各種車載電装品の通断電制御を行うものである。なお、以下の説明においては、回路構成体1において半導体スイッチング素子30が搭載されている側の面を表面、それとは逆側の面を裏面とする。
【0013】
この回路構成体1は、導電性に優れた金属板を打ち抜くことにより形成されたバスバー部10を備える。このバスバー部10は、同一厚さの細長い板状に形成された複数のバスバー11と、半導体スイッチング素子30を搭載するための一対の素子搭載部13とを備えている。複数のバスバー11は、幅方向に互いに狭い間隔を空けて並列することで一組のバスバー群11Gを構成しており、このバスバー群11Gの2組が、バスバー11の長さ方向に沿う方向に並列されている。
【0014】
素子搭載部13は、幅広の板状に形成されており、その表面には、半導体スイッチング素子30の位置決めのための溝部14が複数(本実施例では1つの素子搭載部13につき5個ずつ)設けられている。各溝部14は搭載される半導体スイッチング素子30の外形に対応する長方形状をなし、それぞれ素子搭載部13の長さ方向に等間隔を空けて並列されている。
【0015】
一対の素子搭載部13は、その長さ方向に沿って間隔を空けて並列されており、その長さ方向がバスバー11の長さ方向と直交方向となる向きで、2組のバスバー群11Gの間に挟まれるように配置されている。なお、各バスバー群11Gを構成する複数のバスバー11のうち、両端に位置する各2本ずつのバスバー11は、その端部が素子搭載部13と連結されており、その他のバスバー11は素子搭載部13と隙間を空けて配されている。
【0016】
この素子搭載部13には、複数の半導体スイッチング素子30が搭載されている。各半導体スイッチング素子30は、それぞれ素子搭載部13上の溝部14に位置合わせして載置され、はんだ付け等により固着される。半導体スイッチング素子30の表面には、詳細には図示しないが、端子が設けられており、この端子はそれぞれボンディングワイヤ31を介してバスバー11と接続されている。
【0017】
複数本のバスバー11および素子搭載部13はすべて同一の厚さであり、かつ、同一平面上に配されている。各バスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は、それぞれ外部機器との接続のための接続端子部12とされている。
【0018】
バスバー部10には、インサート成形により樹脂成形部20が一体化されている。この樹脂成形部20は、隣り合うバスバー11間、およびバスバー11と素子搭載部13との間を絶縁する絶縁部21を備えている。絶縁部21は、隣り合うバスバー11の間、およびバスバー11と素子搭載部13との間に隙間なく埋め込まれるとともに、並列する複数のバスバー11のうち最も外側に位置するバスバー11の外側にも設けられてこのバスバー11の側面を覆っている。絶縁部21においてバスバー11の長さ方向に沿う方向の両端は、バスバー11における接続端子部12の先端部に揃えられている。また、絶縁部21の厚さはバスバー11および素子搭載部13の厚さに揃えられており、これにより、バスバー部10と絶縁部21とは表面に凹凸のない平坦な一枚板を形成している(以下、基板部2という)。
【0019】
この基板部2の表面には、素子搭載部13を囲って表面側に立ち上がる枠部22が形成されている。枠部22は、素子搭載部13の周縁よりもやや外側位置において、基板部2の表面から表方に向かって立ち上げられた4辺の壁部よりなり、基板部2の表面側から見て長方形状をなしている。枠部22の立ち上げ高さは、素子搭載部13に搭載される半導体スイッチング素子30の高さよりも高く設定されている。
【0020】
この枠部22内には、例えば合成樹脂からなる充填材24が充填され、半導体スイッチング素子30およびボンディングワイヤ31が充填材24中に埋没されている。これにより、半導体スイッチング素子30周辺部の防水が図られると共に、振動によるボンディングワイヤ31の揺れや外れが防止される。
【0021】
また、基板部2の裏面において、表面の枠部22で囲まれた領域に対応する領域には、バスバー11および絶縁部21の裏面を覆う底壁23が形成されている。
【0022】
基板部2において枠部22および底壁23が形成されている領域を除く両端部分、すなわち、バスバー11の接続端子部12を含む部分は、表裏面が平坦な一枚板状となっており、この部分は、カードエッジコネクタ部3とされている。このカードエッジコネクタ部3においては、接続端子部12の表裏面が絶縁部21から露出しており、エッジコネクタソケットの端子と接触可能とされている。
【0023】
次に、上記のように構成された回路構成体1の作製手順について説明する。
まず、材料となる金属板をプレス加工で打ち抜くことによりバスバー基板15を形成する(図2)。なお、打ち抜きの時点では、各バスバー11がばらばらにならないよう、各バスバー11の外側の端部(接続端子部12となる側の端部)が外側方向へ延設されて、このバスバー11を囲う外枠16に連結された状態となっている。
【0024】
次に、バスバー基板15を図示しない金型内に設置し、熱可塑性の合成樹脂材(例えばPPS)によってインサート成形を行うことにより、絶縁部21および枠部22を含む樹脂成形部20が形成される(図3)。このインサート成形により、各バスバー11が樹脂成形部20とともに一体化される。
【0025】
樹脂成形部20の形成後、バスバー11と外枠16との切り離しを行う(図4)。切り離しの際には、樹脂成形部20においてバスバー11の長さ方向に沿う方向の端縁部に沿って切断が行われる。(図3中、切断位置を破線で示す。)
【0026】
次に、素子搭載部13上に半導体スイッチング素子30を実装する。まず、素子搭載部13の溝部14に整合させてクリームはんだを塗布する。そして、半導体スイッチング素子30を、溝部14に位置合わせして素子搭載部13上に載置する。この状態で、リフロー処理を行なうことにより、半導体スイッチング素子30を素子搭載部13にはんだ付けする(図5)。続いて、半導体スイッチング素子30の表面の端子とバスバー11とをワイヤボンディングにより接続する(図6、図7)。
【0027】
実装が完了したら、枠部22内に液状の充填材を充填して固化させる。充填材は、半導体スイッチング素子30およびボンディングワイヤ31を覆う高さ位置まで充填する。充填材としては、例えばエポキシ樹脂を使用できる。
以上のようにして、回路構成体1が完成される。
【0028】
なお、本実施形態の回路構成体1は、例えば図8に示すような配電ユニット40に適用することができる。
【0029】
この配電ユニット40は、合成樹脂により箱状に形成されたケーシング41の内部に、上記の構成の回路構成体1を制御用基板42とともに収容したものである。制御用基板42は、樹脂材料製の絶縁性基板の表面上に銅箔によって回路パターンが形成され、制御用の半導体チップ43が実装されたプリント基板であって、その外形は回路構成体1の外形とほぼ等しい矩形状とされている。この制御用基板42において、回路構成体1と整合させて重ねたときに回路構成体1のカードエッジコネクタ部3と整合する位置には、表面にコンタクトパッド44が施されてカードエッジコネクタ部45が形成されている。回路構成体1と制御用基板42とは、その板厚方向において互いに適当な隙間をおいて重ねるようにして互いに略平行な姿勢で配置され、ケーシング41内に収容されている。このような構成の配電ユニット40では、回路構成体1および制御用基板42のカードエッジコネクタ部3、45を、このカードエッジコネクタ部3、45に対応するエッジコネクタソケットを備えた外部機器等に対して一括接続することができる。
【0030】
さらに、本実施形態の回路構成体1は、例えば図9に示すようなジャンクションブロック50に適用することができる。
【0031】
このジャンクションブロック50は、合成樹脂により形成された箱型のケーシング51を備えている。このケーシング51の天井部には、回路構成体1を内部に差し込むための差込口52が開口されており、差込口52の周縁に沿って上方へ立ち上がる筒状のフード部53が設けられている。ケーシング51の底面には制御回路基板54が配設されている。この制御回路基板54は、樹脂材料製の絶縁性基板の表面上に銅箔によって回路パターンが形成されたプリント基板である。制御回路基板54の表面において、差込口52の直下位置にはエッジコネクタソケット55が設けられている。このエッジコネクタソケット55は、回路構成体1のカードエッジコネクタ部3を収容可能な合成樹脂製のコネクタハウジング56内に、接続端子部12に圧接する端子金具(図示せず)が収容された通常の構成のものである。
【0032】
ケーシング51の内部には、複数の回路構成体1が縦置きに収容され、回路構成体1における一方のカードエッジコネクタ部3がエッジコネクタソケット55に装着される。そして、他方のカードエッジコネクタ部3がフード部53内に臨んでいる。
【0033】
このような構成の配電ユニット40では、複数の回路構成体1のカードエッジコネクタ部3を、このカードエッジコネクタ部3に対応するエッジコネクタソケットを備える外部機器等に対して一括接続することができる。
【0034】
以上のように本実施形態によれば、回路構成体1の基板部2は、素子搭載部13および互いに間隔を空けて並列された複数のバスバー11を備えるバスバー部10と、素子搭載部13および複数本のバスバー11を一体化するようにインサート成形された絶縁部21と、を備えている。そして、素子搭載部13上には半導体スイッチング素子30が搭載されている。素子搭載部13を挟んで2列に並列されたバスバー11において、外側(素子搭載部13側とは逆側)の端部は基板部2の端縁部に配されて外部との導通接続を行う接続端子部12とされている。基板部2においてこの接続端子部12を含む端縁部は、接続端子部12が絶縁部21から露出され、かつ、平坦な一枚板状とされたカードエッジコネクタ部3とされている。
【0035】
このような構成によれば、外部との接続を図るコネクタ部がカードエッジコネクタ型となっているため、回路構成体1を複数枚積層してもコネクタ部をあまり大きくせずに済み、小型化が図れる。また、外部接続のための接続端子部12がバスバー11と一体化しているので、従来のようなバスバーと端子との接続のためのはんだ付け等の工程が必要なくなり、組み立て工数やコストの削減が図れる。
【0036】
なお、従来よりプリント基板上にコンタクトパッドを施したカードエッジコネクタ型の基板は存在しているが、このものは信号用回路に用いられることを想定した小電流用のものであり、大電流回路に対応できるものはこれまで存在しなかった。本発明では、端子部を厚銅のバスバーによって構成することで、大電流回路に対応できるカードエッジコネクタ型の回路構成体を初めて提供したものである。
【0037】
また、本実施形態によれば、半導体スイッチング素子30とバスバー11とがワイヤボンディングにより電気的に接続されている。このような構成によれば、半導体スイッチング素子30とバスバー11との接続回路が最短距離で構成できるため、回路構成体1の小型化を図ることができ、また、発熱量を低く抑えることができる。さらに、回路構成体1の仕様変更に際し、ボンディングワイヤ31の配線パターンや実装するスイッチング素子の変更のみで容易に対応でき、柔軟な対応が可能となる。
【0038】
また、基板部2には、絶縁部21とともにインサート成形により形成され、素子搭載部13を囲って立ち上がる枠部22が設けられている。そして、この枠部22内には半導体スイッチング素子30を覆う充填材24が充填されている。このような構成によれば、枠部22が絶縁部21と一体に成形されていることにより、液密が確保できる。
【0039】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10〜図12によって説明する。本実施形態は、本発明の回路構成体をヒューズ端子付きモジュールに適用したものである。なお、以下の説明においても、回路構成体60において半導体スイッチング素子30が搭載されている側の面を表面、それとは逆側の面を裏面とする。
【0040】
本実施形態の回路構成体60は、導電性に優れた金属板を打ち抜いて形成したバスバー部61を備える。このバスバー部61は、それぞれ複数のバスバー62、64が幅方向に互いに狭い間隔を空けて並列したバスバー群62G、64Gと、半導体スイッチング素子30を搭載するための素子搭載部13とを備えている。
【0041】
2組のバスバー群62G、64Gのうち一方のバスバー群62G(図10中下側のバスバー群62G)を構成する複数のバスバーは、接続側バスバー62とされている。接続側バスバー62は、同一厚さの細長い板状に形成されており、その一方の端部は外部機器等との接続のための接続端子部63とされている。これに対し、他方のバスバー群64G(図10中上側のバスバー群64G)を構成する複数のバスバーはヒューズ側バスバー64とされている。ヒューズ側バスバー64は、接続側バスバー62と同一厚さの細長い板状に形成されるとともに、その一方の端部には、ヒューズ端子65が形成されている。ヒューズ端子65は、先端が二股に分かれた音叉状端子であって、ヒューズHに接続可能とされている。
【0042】
2組のバスバー群62G、64Gは、それぞれ接続端子部63およびヒューズ端子65が設けられた側とは逆側の端部が相手側のバスバー群62G、64Gと対向するようにして並列されている。
【0043】
2組のバスバー群62G、64Gの間には、素子搭載部13が配されている。素子搭載部13、およびここに搭載される半導体スイッチング素子30の構成は実施形態1と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
バスバー部61には、インサート成形により樹脂成形部66が一体化されている。この樹脂成形部66は、実施形態1と同様に、隣り合うバスバー62、64の間、およびバスバー62、64と素子搭載部13との間を絶縁する絶縁部67を備えている。絶縁部67は、隣り合うバスバー62、64の間、およびバスバー62,64と素子搭載部13との間に隙間なく埋め込まれるとともに、並列する複数のバスバー62、64のうち最も外側に位置するバスバー62、64の外側にも設けられて、このバスバー62、64の側面を覆っている。
【0045】
絶縁部21において接続側バスバー62側の端縁は、接続端子部63の先端部に揃えられている。一方、ヒューズ側バスバー64側の端縁は、ヒューズ端子65が形成されている部分よりもやや中央寄り(素子搭載部13側)に位置している。絶縁部21の厚さはバスバー11および素子搭載部13の厚さに揃えられており、これにより、バスバー部10においてヒューズ端子65部分を除く部分と絶縁部21とは表面に凹凸のない平坦な一枚板状の基板部70を形成している。
【0046】
この基板部70の表面には、素子搭載部13を囲って表面側に立ち上がる枠部22が形成され、その内部には充填材24が充填されている。また裏面には、底壁23が形成されている。枠部22、充填材24、および底壁23の構成は実施形態1と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。
【0047】
基板部70において接続端子部63側の端部から枠部22の端縁までの部分は、表裏面が平坦な一枚板状をなしており、この部分は、カードエッジコネクタ部68とされている。このカードエッジコネクタ部68においては、接続端子部63の表裏面が絶縁部67から露出しており、エッジコネクタソケット内の端子と接触可能とされている。
【0048】
上記のように構成された回路構成体60を作製するには、まず、金属板をプレス加工で打ち抜くことによりバスバー基板71を形成する(図11)。なお、打ち抜きの時点では、各バスバー62、64がばらばらにならないよう、各バスバー62、64の外側の端部(接続端子部63、およびヒューズ端子65となる側の端部)が外枠72に連結された状態となっている。
【0049】
次に、バスバー基板71を図示しない金型内に設置し、熱可塑性の合成樹脂材(例えばPPS)によってインサート成形を行うことにより、絶縁部67および枠部22を含む樹脂成形部66が形成される。
【0050】
樹脂成形部66の形成後、バスバー62、64と外枠72との切り離しを行う。なお、接続端子部63側の切断は、樹脂成形部66において接続側バスバー62の長さ方向に沿う方向の端縁部に沿って行われる(図11中、切断位置を破線で示す)。切り離し後、ヒューズ端子65部分の折り曲げ加工が行われる(図12)。
【0051】
次に、素子搭載部13上への半導体スイッチング素子30の実装、および枠部22内への充填材24の充填・固化を行う。実装及び充填・固化の手順は実施形態1と同様である。
以上のようにして回路構成体60が完成される。本実施形態の回路構成体60によっても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
なお、本実施形態の回路構成体60は、例えば図10に示すように、矩形箱状のケーシング81内に収容されてヒューズ端子付きモジュール80とすることができる。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態においては、枠部22が絶縁部21、67とともにインサート成形により一体形成されているが、枠部が絶縁部21、67とは別体に形成されていても構わない。
(2)実施形態2においては、カードエッジコネクタ部68とされていない側の端子は音叉状のヒューズ端子とされていたが、カードエッジコネクタ部68とされない側の端子の形状には特に制限はなく、例えばタブ状の端子であっても構わない。
【符号の説明】
【0054】
1、60...回路構成体
2、70...基板部
3、68...カードエッジコネクタ部
10、61...バスバー部
11、62...バスバー
12、63...接続端子部(端子部)
13...素子搭載部
21、67...絶縁部
22...枠部
24...充填材
30...半導体スイッチング素子(スイッチング素子)
31...ボンディングワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子搭載部と互いに間隔を空けて並列された複数のバスバーとが設けられたバスバー部と、前記素子搭載部および前記複数本のバスバーを一体化するようにインサート成形された絶縁部とを含む基板部と、
前記素子搭載部に搭載されたスイッチング素子と、を備え、
前記バスバーの端部のうち少なくとも一方が前記基板部の端縁部に配されて外部との導通接続を行う端子部とされ、
前記基板部において前記端子部を含む端縁部が、平坦な一枚板状とされ、かつ、前記端子部が前記絶縁部から露出されたカードエッジコネクタ部とされている、回路構成体。
【請求項2】
前記スイッチング素子と前記バスバーとがボンディングワイヤにより電気的に接続されている、請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記基板部には、前記絶縁部とともにインサート成形により形成されたものであって前記素子搭載部を囲って立ち上がる枠部が設けられ、前記枠部内には前記スイッチング素子および前記ボンディングワイヤを覆う充填材が充填されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【請求項1】
素子搭載部と互いに間隔を空けて並列された複数のバスバーとが設けられたバスバー部と、前記素子搭載部および前記複数本のバスバーを一体化するようにインサート成形された絶縁部とを含む基板部と、
前記素子搭載部に搭載されたスイッチング素子と、を備え、
前記バスバーの端部のうち少なくとも一方が前記基板部の端縁部に配されて外部との導通接続を行う端子部とされ、
前記基板部において前記端子部を含む端縁部が、平坦な一枚板状とされ、かつ、前記端子部が前記絶縁部から露出されたカードエッジコネクタ部とされている、回路構成体。
【請求項2】
前記スイッチング素子と前記バスバーとがボンディングワイヤにより電気的に接続されている、請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記基板部には、前記絶縁部とともにインサート成形により形成されたものであって前記素子搭載部を囲って立ち上がる枠部が設けられ、前記枠部内には前記スイッチング素子および前記ボンディングワイヤを覆う充填材が充填されている、請求項1または請求項2に記載の回路構成体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−199514(P2010−199514A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45994(P2009−45994)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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