説明

回路装置、回路装置のデータ保護方法及びフィスカルプリンター

【課題】複数の回路ブロック毎にバックアップ用バッテリーを配置した回路装置において、バックアップから正しく復帰できるようにする。
【解決手段】分割された回路ブロックを複数備えた回路装置であって、前記各回路ブロックには、各回路ブロックに個別のバックアップ用バッテリーと、前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する電圧監視手段と、いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段における電圧低下検出時に、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携手段と、前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるデータ退避手段とを備え、前記いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段の電圧低下の検出時に、前記データ退避手段が作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別のバックアップ用バッテリーでバックアップされる回路ブロックを複数備えた回路装置において、いずれかのバックアップ用バッテリーの電圧低下検出時に、全ての回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積された保護すべきデータを不揮発性メモリーに待避させる、回路装置、回路装置のデータ保護方法及び回路装置を備えたフィスカルプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
バックアップ電源を必要とする揮発性メモリーと、電気的に書き込み及び消去が可能でバックアップ電源を必要としないフラッシュメモリーと、前記バックアップ電源の電圧を検出し、電圧が所定値以下のときに前記揮発性メモリーのデータをフラッシュメモリーに転送する動作を行うバックアップ処理部とを備えたフラッシュメモリーによるデータバックアップ方式が知られている。(特許文献1参照)
【0003】
また、一般のプリンターのように単にテキストデータなどを印刷するだけでなく、商品等の販売取引に関する売上金額、課税額等の決済情報(フィスカル情報)を記憶保持する機能を備えており、POSシステムなどにおいてキャッシュレジスターのプリンターとして用いられる一方、各国の法律により定められたフィスカル情報をフィスカルメモリーと呼ばれる記憶部に記憶保持されるフィスカルプリンターが知られている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08−161236号公報
【特許文献2】特開2010−134580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の回路装置は、回路装置を単一のバックアップ用バッテリーでバックアップする構成であって、当該単一のバックアップ用バッテリーの電圧が所定値以下に低下した際に、揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップするものである。
しかし、回路装置によっては、回路装置全体を単一のバックアップ用バッテリーでバックアップするにはバッテリーの容量及び大きさ等の点で回路装置内の配置に適せず、回路装置を構成する複数の回路ブロックに分割し、個々の回路ブロック毎にバックアップ用バッテリーを配置することが必要になる場合がある。
この場合には、複数のバックアップ用バッテリーのバッテリー電圧はそれぞれの回路ブロックによって消費電流が異なりバックアップ用バッテリーの電圧の低下特性が相違するので、回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違するので、回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なるので、回路装置システム全体としてのバックアップ処理が正常にできず、バックアップから正しく復帰できない可能性があるという問題があった。
【0006】
特に、回路装置としてフィスカルプリンターに適用した場合には、個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックとして、リアルタイムタイムクロック回路ブロック、作業メモリーを管理する作業メモリー回路ブロック及びフィスカル改竄データを管理するフィスカル改竄データ回路ブロック等を備えるものが想定できる。
その場合は、それぞれの回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定電圧以下になった際にそれぞれの回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする方式を採用すると、リアルタイムタイムクロック回路ブロックの退避されたデータと、それ以外の回路ブロックにおける退避されたデータとの間で、退避された時刻に相違が生じて、フィスカル改竄データを退避させる際に、既にリアルタイムクロック回路のバックアップ用バッテリーの電圧が所定電圧以下となって正確な時刻の取得ができない状態となって、フィスカルプリンターとしての備えるべき機能が十分に達成できないという問題が生じる恐れがある。
【0007】
本発明の課題(目的)は、複数の回路ブロック毎にバックアップ用バッテリーを配置した回路装置において複数のバックアップ用バッテリーのバッテリー電圧はそれぞれの回路ブロックによって消費電流が異なりバックアップ用バッテリーの電圧の低下特性が相違するので、回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違して、回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なり、回路装置全体としてのバックアップ処理が正常にできず、バックアップから正しく復帰できないという問題を解決することにある。
【0008】
特に、回路装置としてフィスカルプリンターに適用した場合には、個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックとして、リアルタイムタイムクロック回路ブロック、作業メモリーを管理する作業メモリー回路ブロック及びフィスカル改竄データを管理するフィスカル改竄データ回路ブロックとなるが、リアルタイムタイムクロック回路ブロックの退避されたデータと、それ以外の回路ブロックにおける退避されたデータとの間で、退避された時刻に相違が生じて、フィスカル改竄データを退避させる際に、既にリアルタイムクロック回路のバックアップ用バッテリーの電圧が所定電圧以下となって正確な時刻の取得ができない状態となって、フィスカルプリンターとしての備えるべき機能が十分に達成できないという問題が生じないフィスカルプリンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明の回路装置は、分割された回路ブロックを複数備えた回路装置であって、前記各回路ブロックには、各回路ブロックに個別のバックアップ用バッテリーと、前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する電圧監視手段と、いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段における電圧低下検出時に、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携手段と、前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるデータ退避手段と、を備え、前記いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段の電圧低下の検出時に、前記データ退避手段が作動して、全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることを特徴とする回路装置。
【0010】
上記構成を備えることによって、分割された回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違して回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なっていても、いずれかの回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が最初に所定の電圧以下なった時刻に全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることができる。
【0011】
前記電圧低下連携手段は、前記各回路ブロック(1a〜1c)の電圧監視手段(14a〜14c)の電圧検出端子(14a1〜14c1)が接続されたベースと、接地されたエミッターと、前記回路ブロックのバッテリー電圧低下信号出力端子(BLOW)に接続されたコレクターとからなるトランジスター(15a〜15c)のコレクターを共通接続し、前記各回路ブロックのバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)がプルアップ抵抗(12a〜12c)を介して各回路ブロックのバックアップ用バッテリー(11a〜11c)の陽極に接続すると共に、前記バッテリー電圧低下信号出力端子(BLOW)と前記バッテリー電圧低下信号入力端(BLDET)とをダイオード(13a〜13c)を介して接続されていることを特徴とする。
【0012】
電圧低下連携手段を共通接続された複数のトランジスターで構成しているので、通信手段や複雑なソフトウエアも用いずとも安価で確実な動作を実現できる。
【0013】
上記課題を解決するための本発明の回路装置のバッテリー電圧低下時のデータ保護方法は、個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックを複数備えた回路装置の電圧低下時のデータ保護方法であって、いずれかの前記回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出するステップと、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携ステップと、全ての前記回路ブロックの揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
上記構成を備えることによって、分割された回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違して回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なっていても、いずれかの回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が最初に所定の電圧以下なった時刻に全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることができる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明のフィスカルプリンターは、個別のバックアップ用バッテリーを有する、リアルタイムタイムクロック回路ブロック、作業メモリーを管理する作業メモリー回路ブロック及びフィスカル改竄データを管理するフィスカル改竄データ回路ブロックの内の少なくとも2以上を含む複数の回路ブロック備えたフィスカルプリンターであって、前記各回路ブロックには、前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する電圧監視手段と、いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段における電圧低下検出時に、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携手段と、前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるデータ退避手段と、を備え、前記いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段の電圧低下の検出時に、前記データ退避手段が作動して、全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることを特徴とする。
【0016】
上記構成を備えることによって、フィスカルプリンターのリアルタイムタイムクロック回路ブロック、作業メモリーを管理する作業メモリー回路ブロック及びフィスカル改竄データを管理するフィスカル改竄データ回路ブロックいずれかのバックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出した時に、全ての前記回路ブロックの揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることができるので、リアルタイムタイムクロック回路ブロックの退避されたデータと、それ以外の回路ブロックにおける退避されたデータとの間で、退避された時刻に相違が生ることがなく、バックアップから正しく復帰できない可能性があるという問題がなくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、分割された回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違して回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なっていても、いずれかの回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が最初に所定の電圧以下なった時刻に全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることができるので、バックアップから正しく復帰できない可能性があるという問題がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本願発明の第1の実施の形態で回路装置をプリンターに組み込んだ例の主に電源回路の関係を示す図である。
【図2】図1における回路装置1の詳細な1例を示す図である。
【図3】本発明の個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックを複数備えた回路装置のバックアップ用バッテリーの電圧低下時のデータ保護方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本願発明の第1の実施の形態を示す図であって、本願発明の回路装置をプリンターに組み込んだ例の主に電源回路の関係を示す図である。
【0020】
図1において、プリンターは、回路装置1,プリンター制御回路2,プリンターのメカ構成部3及びメイン電源4を含み、メイン電源4には通常は図示しない商用電源からコンセント6及びACアダプター5を介して交流電源が供給されている。
ここで、プリンター制御回路2とプリンターのメカ構成部3とは通常のプリンターと同様であるので、その詳しい説明を省略する。
【0021】
また、プリンターがフィスカルプリンターである場合には、商品等の販売取引に関する売上金額、課税額等の決済情報(フィスカル情報)を記憶保持するフィスカルメモリー及びフィスカルメモリーへフィスカルデータの書込を制御するフィスカル制御部との機能を備えているが、本願発明ではフィスカルメモリーへの書込に特徴があるのではないので、フィスカルメモリー及びフィスカル制御部は省略している。
【0022】
図1の回路装置1は本発明の基本的な回路構成であって、複数の回路ブロック1a〜1cに対して、各回路ブロックに個別のバックアップ用バッテリー11a〜11cを備えている。
このような回路装置では、通常は単一のバックアップ用バッテリーで全ての回路ブロックに対してバックアップする構成とするのが普通である。
しかし、回路装置によっては、回路装置に含まれる回路ブロック全体を単一のバックアップ用バッテリーでバックアップするにはバッテリーの容量及び大きさ等の点で回路装置内に単一のバックアップ用バッテリーを配置することができないので、本発明の回路装置では複数の回路ブロック毎にバックアップ用バッテリーを配置している。
【0023】
商用電源とバックアップ用バッテリーとの関係は、通常のプリンターの使用時は、商用電源からACアダプター6を介して回路装置1及びプリンター制御回路2及びプリンターメカ機構3に電源が供給されてプリンターとして動作させる。
バックアップ用バッテリー11a〜11cは、商用電源の停電時や電源スイッチのオフ時及びコンセント6が外された時(プリンターの点検・修理・移動時)等のプリンターに対する商用電源の供給が停止した際に、各回路ブロックの揮発性メモリーのデータの保護を行うものである。
バックアップ用バッテリーの保護期間としては、回路ブロックの種類に応じた動作電流にもよるが、通常は半年〜1年位である。
【0024】
図1において、12a〜12cはBLDET=High時の電圧を各回路ブロックのバッテリー電圧とするためのプルアップ抵抗、13a〜13cは各回路ブロックのBLDET端子を電気的に分離するためのダイオード、VCCは電源端子、VBATはバックアップ用バッテリー入力端子、GNDは接地端子、BLDETは回路ブロックのバッテリー電圧低下信号入力端子、BLOWは回路ブロックのバッテリー電圧低下信号出力端子である。
【0025】
次に、図1における回路装置1の詳細な1例を図2を用いて説明する。
図2では、図1の回路装置1の詳細な1例として、回路装置1をフィスカルプリンターに適用した場合であって、回路装置1を構成する回路ブロックとして、回路ブロック1aとして作業メモリー(SRAM)を含む回路を、回路ブロック1bとしてリアルタイムクロック(RTC)を含む回路と、回路ブロック1cとしてフィスカルデータの改竄履歴の記録回路を含む回路を特定している。
【0026】
図2の回路ブロック1aには、揮発性の作業メモリー(ARAM)17a、不揮発性メモリー16aに対するデータの書き込み及び読み出しを制御する制御部(CPU)18a、回路ブロック1aのバックアップ用バッテリーの電圧の低下を検出するバッテリー電圧検出器(電圧監視手段)14a及び当該バッテリー電圧検出器の検出出力で動作するトランジスター15aが含まれる。
【0027】
図2の回路ブロック1bには、リアルタイムクロック(RTC)回路19b、回路ブロック1bのバックアップ用バッテリーの電圧の低下を検出するバッテリー電圧検出器14b及び当該バッテリー電圧検出器の検出出力で動作するトランジスター15bが含まれる。
【0028】
図2の回路ブロック1cには、フィスカルデータの改竄センサー20の出力に基づいてフィスカルデータの改竄の履歴を記録する改竄履歴回路19c及び不揮発性メモリー16c及び回路ブロック1cのバックアップ用バッテリーの電圧の低下を検出するバッテリー電圧検出器14c及び当該バッテリー電圧検出器の検出出力で動作するトランジスター15cが含まれる。
なお、フィスカルデータの改竄の履歴としては、フィスカルデータを読み出す処理を実行したり、プリンターのフィスカル基板を露出するように蓋を取り外すとか、フィスカル基板を取り外した時刻等の履歴が含まれる。
【0029】
次に図1及び図2を用いて、本願発明の回路装置を構成する回路ブロックのいずれかのバックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下した場合の動作を説明する。
【0030】
以下の説明は、回路ブロック1aのバックアップ用バッテリー11aの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したとする。
通常(バッテリー電圧が正常な時)は、バッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)の電位はプルアップ抵抗12aよってバックアップ用バッテリー11aの電圧に引き上げられてHigh状態にあって、CPU18aにはバッテリー電圧低下信号は与えられない。
【0031】
この状態から、回路ブロック1aのバックアップ用バッテリー11aの電圧(VBAT)が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下すると、バッテリー電圧検出器14aの電圧検出端子14a1からバッテリー電圧が低下した旨の信号がトランジスター15aのベースに印加される。
トランジスター15aは、ベースにバッテリー電圧が低下した旨の信号が印加されると、導通して回路ブロックのバッテリー電圧低下信号出力端子(BLOW)の電位が接地電位(Low)になる。
【0032】
トランジスター15aの導通によって、回路ブロック1aのBLOW端子の電位が接地電位(Low)になると、回路ブロック1aのバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)の電位もダイオード13aを介して同様に接地電位(Low)となるので、CPU18aにバッテリー電圧低下信号が与えられて、CPU18aによってSRAM17aのデータを不揮発性メモリー16aに退避させる。
【0033】
このとき、図2の回路ブロック1bは回路ブロック1aとバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)を共用しているので、同様にCPU18aによってリアルタイムクロック回路(RTC)19bのデータを不揮発性メモリー16aに退避させる。
【0034】
トランジスター15aの導通によって、回路ブロック1aのBLOWが接地電位(Low)になると、図1に示す如く、回路ブロック1b及び回路ブロック1cのBLOW端子が共通接続されているので、同様に接地電位(Low)となる。
【0035】
回路ブロック1aのバックアップ用バッテリー11aの電圧が低下した場合には、上述の如く、回路ブロック1cのバックアップ用バッテリー11cは電圧が低下していないが、上述の如く回路ブロック1cのバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)の電位が接地電位(Low)となるので、回路ブロック1cの改竄履歴回路19cに記録された改竄履歴データを不揮発性メモリー16cに退避させる。
【0036】
上述の如く、分割された複数の回路ブロックに個別のバックアップ用バッテリーのいずれかが、電圧が所定電圧以下に低下した際に、全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるものである。
【0037】
このいずれかの回路ブロックのバッテリー電圧の低下をバッテリー電圧検出器が検出した際に、他の回路ブロックのバッテリーも電圧の低下が生じたと同じ状態に移行させる手段を電圧低下連携手段と呼ぶ。
電圧低下連携手段は、図1及び図2の例ではトランジスター回路で実現しているが、他の実現手段として、通信手段やソフトウエア等で実現しても良い。
【0038】
なお、図2では、回路ブロック1bが回路ブロック1aとバッテリー電圧低下検出端子(BLDET)を共用しているので上述の動作をするが、回路ブロック1bと回路ブロック1aとのバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)を独立させても良いことは明らかである。
【0039】
次に、本発明の個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックを複数備えた回路装置のバックアップ用バッテリーの電圧低下時のデータ保護方法について、図3のフローチャートを用いて説明する。
図2の複数の回路ブロック1a〜1cのバッテリー電圧検出器14a〜14cは、それぞれの回路ブロックのバックアップ用バッテリー11a〜11cの電圧を監視していて、
いずれかの前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する。(ステップS1)
例えば、バックアップ用バッテリー11aの電圧が低下したとすると、バッテリー電圧検出器14aの電圧検出端子(14a1)からバッテリー電圧が低下した旨の信号がトランジスター15aのベースに印加されて導通することによって、回路ブロック1aのバッテリー電圧低下信号出力端子であるBLOWの電位が接地電位(Low)になる。
【0040】
トランジスター15aの導通によって、回路ブロック1aのBLOWが接地電位(Low)になると、図1に示す如く、回路ブロック1b及び回路ブロック1cのBLOW端子は共通接続されているので、同様に接地電位(Low)となり、回路ブロック1a以外の回路ブロック1b及び1cのBLOW端子の電圧も接地電位(Low)となる。
即ち、電圧低下連携手段によって、他の回路ブロックを電圧低下検出時と同じ状態に移行させる。(ステップS2)
【0041】
回路ブロック1a〜1cのBLOW端子の電位が接地電位(Low)になると、回路ブロック1a〜1cのバッテリー電圧低下信号入力端子(BLDET)の電位もダイオード13a〜13cを介して同様に接地電位(Low)となって、それぞれの回路ブロック1a〜1cに含まれる揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーに退避させる。(ステップS3)
【0042】
上記の手順によって、分割された回路ブロック毎にその回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が所定の電圧以下なる時刻(日時)が相違して回路ブロック毎に揮発性メモリーのデータを不揮発性メモリーにバックアップする時刻が異なっていても、いずれかの回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が最初に所定の電圧以下なった時刻に全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させることができる。
【符号の説明】
【0043】
1:回路装置,1a〜1c:回路ブロック,2:プリンター制御回路,3:プリンターメカ機構,4:メイン電源,5:ACアダプター,6:コンセント,14a〜14cバッテリー電圧検出器(電圧監視手段),14a1〜14c1:電圧監視手段の電圧検出端子
15a〜15c:トランジスター,16a:不揮発性メモリー,17a:作業メモリー(SRAM),18a:制御手段(CPU),Vcc:電源,BLOW:回路ブロックのバッテリー電圧低下信号出力端子,BLDET:回路ブロックのバッテリー電圧低下信号入力端子,VBAT:バッテリー電源,GND:接地

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割された回路ブロックを複数備えた回路装置であって、
前記各回路ブロックには、
各回路ブロックに個別のバックアップ用バッテリーと、
前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する電圧監視手段と、
いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段における電圧低下検出時に、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携手段と、
前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるデータ退避手段と、
を備え、
前記いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段の電圧低下の検出時に、前記データ退避手段が作動して、全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させる、
ことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
前記電圧低下連携手段は、
前記各回路ブロックの電圧監視手段の電圧検出端子が接続されたベースと、接地されたエミッターと、前記回路ブロックのバッテリー電圧低下信号出力端子に接続されたコレクターとからなるトランジスターのコレクターを各々共通接続し、
前記各回路ブロックのバッテリー電圧低下信号入力端子がプルアップ抵抗を介して各回路ブロックのバックアップ用バッテリーの陽極に接続すると共に、前記バッテリー電圧低下信号出力端子と前記バッテリー電圧低下信号入力端子とがダイオードを介して接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の回路装置。
【請求項3】
個別のバックアップ用バッテリーを有する回路ブロックを複数備えた回路装置の電圧低下時のデータ保護方法であって、
いずれかの前記回路ブロックのバックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出するステップと、
他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携ステップと、
全ての前記回路ブロックの揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるステップと、
を含むことを特徴とする回路装置のバッテリー電圧低下時のデータ保護方法。
【請求項4】
個別のバックアップ用バッテリーを有する、リアルタイムタイムクロック回路ブロック、作業メモリーを管理する作業メモリー回路ブロック及びフィスカル改竄データを管理するフィスカル改竄データ回路ブロックの内の少なくとも2以上を含む複数の回路ブロック備えたフィスカルプリンターであって、
前記各回路ブロックには、
前記バックアップ用バッテリーの電圧が予め設定されたバックアップ下限電圧まで低下したことを検出する電圧監視手段と、
いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段における電圧低下検出時に、他の全ての回路ブロックについても前記電圧監視手段が電圧低下を検出した時と同じ状態に移行させる電圧低下連携手段と、
前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させるデータ退避手段と、
を備え、
前記いずれかの回路ブロックの前記電圧監視手段の電圧低下の検出時に、前記データ退避手段が作動して、全ての前記回路ブロックに含まれる揮発性メモリーに蓄積されたデータを不揮発性メモリーに退避させる、
ことを特徴とするフィスカルプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−89151(P2013−89151A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231420(P2011−231420)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】