回路装置及び電子機器
【課題】電磁誘導を用いた機器において電荷蓄積部への効率的な充電を可能にする回路装置及び電子機器等の提供。
【解決手段】回路装置は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、電荷蓄積部Cに対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部32と、電流制御部32を制御して、充電電流を制御する制御部70を含む。制御部70は、電荷蓄積部Cの充電電圧VCHが高くなるほど充電電流ICHを小さくする制御を行う。
【解決手段】回路装置は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、電荷蓄積部Cに対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部32と、電流制御部32を制御して、充電電流を制御する制御部70を含む。制御部70は、電荷蓄積部Cの充電電圧VCHが高くなるほど充電電流ICHを小さくする制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている。この無接点電力伝送の適用例として、端末装置にかざすだけで電力を受電して情報を送受信できる非接触のICカードなどが提案されている。この非接触のICカードによれば、電子マネー、公共交通機関のプリペイカード、入出管理用IDカードなどの機能を持ったカードを実現することが可能になる。
【0003】
このような非接触のICカードにおける二次電池の充電回路の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。この特許文献1の充電回路は、電流値が一定である定電流で二次電池の充電を行い、充電電圧が規定電圧になったことを確認して充電を終了する回路構成となっている。
【0004】
しかしながら、従来の充電回路では、充電後のICカードの動作にどれくらいの電荷量が必要であるかを正確に把握することなく、多少大きめの容量の電荷蓄積部を設けて、充電電圧が規定電圧に達するまで充電を行うという手法を採用していた。このため、大きな容量の電荷蓄積部を実装するのに実装スペースが無駄に使われてしまうという問題があった。また、従来では、充電電圧に応じて充電電流を最適に制御する手法を採用していないため、電荷蓄積部の蓄電に無駄があり、充電効率が低いという問題があった。
【0005】
また、非接触のICカードでは、充電器からの受電時間が極めて短い。従って、この極めて短い受電時間で受電した電力により電荷蓄積部を蓄電する場合に、充電効率が低いと、十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積できなくなってしまう。このため、例えばICカードに対して、使用金額や残高等を表示する表示装置として、電気泳動方式のディスプレイであるEPD(Electrophoretic Display)などを設けた場合に、このEPDの表示書き換え処理を完了できないなどの問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−323683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、電磁誘導を用いた機器において電荷蓄積部への効率的な充電を可能にする回路装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力を受けて、電荷蓄積部に対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部と、前記電流制御部を制御して、前記充電電流を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど前記充電電流を小さくする制御を行う回路装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様では、電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力により、可変の充電電流を流して電荷蓄積部を充電する制御が行われる。そしてこの場合に、電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど充電電流が小さくするように、充電電流が制御される。このようにすれば、電磁誘導により受電するシステムにおいて、電圧が高い場合に、取り出せる電流が低くなるような特性がある場合に、この特性に対して、充電電圧と充電電流の特性をマッチングさせることが可能になる。従って、電磁誘導を用いた機器において電荷蓄積部への効率的な充電を実現できるようになる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記制御部は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0011】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保できる充電制御を実現することが可能になり、電源供給先デバイスの動作不具合等を防止できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0013】
このようにすれば、電源供給先デバイスの使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積する充電制御を実現することができ、無駄な蓄電が行われてしまうなどの事態を防止できる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行ってもよい。
【0015】
このようにすれば、ターゲット電荷量を超えた不要な電荷が電荷蓄積部に蓄積されてしまう事態を防止できるため、無駄な蓄電が行われる事態を防止できる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記制御部は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記ターゲット電荷量を設定してもよい。
【0017】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧に応じたターゲット電荷量を設定して、充電制御を行うことが可能になるため、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保しながら、無駄な蓄電が行われる事態も防止できるようになる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記ターゲット電荷量を設定してもよい。
【0019】
このようにすれば、使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積しながら、無駄な蓄電が行われる事態も防止できるようになる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部の充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された前記電圧情報に基づいて前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0021】
このようにすれば、既に蓄積されている電荷量等を測定・把握して充電制御を行うことが可能になるため、電荷蓄積部の効率的な充電が可能になる。
【0022】
また本発明の一態様では、前記制御部は、測定された前記電圧情報に基づいて、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量を求め、前記蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求め、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくとも前記ターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行ってもよい。
【0023】
このようにすれば、測定された電圧情報から蓄積電荷量を求め、その蓄積電荷量とトータル電荷量に基づいて、ターゲット電荷量を求めて、ターゲット電荷量に達するまで電荷蓄積部の充電を行う制御が可能になる。従って、より正確で効率的な充電制御を実現できる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記電源供給先デバイスを動作させるのに必要な前記トータル電荷量を設定してもよい。
【0025】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保しながら、使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積する充電制御を実現できるようになる。
【0026】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部に容量測定用電流を流す制御を行うことで、前記電荷蓄積部の蓄積容量を測定し、測定された前記蓄積容量と、前記動作下限電圧情報と、前記使用電力情報とに基づいて、前記トータル電荷量を設定してもよい。
【0027】
このようにすれば、蓄積容量が既知ではない場合にも、これに対応することが可能になる。
【0028】
また本発明の一態様では、前記電流制御部を有し、前記受電部からの電力を受けて、前記電荷蓄積部である第1の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第1の蓄積制御部と、前記受電部からの電力を受けて、第2の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第2の蓄積制御部と、前記第1の電荷蓄積部、前記第2の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイスに対して電源を供給する電源供給部と、を含み、前記第2の電荷蓄積部は、前記第1の電荷蓄積部よりも電荷の蓄積容量が小さいシステム起動用の電荷蓄積部であり、前記電源供給部は、前記受電部による受電開始後のシステム起動時には、前記第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給してもよい。
【0029】
このようにすれば、第1の電荷蓄積部の蓄積容量が大きい場合にも、システム起動用の第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイスに対して早期に供給できるようになる。従って、電磁誘導を用いた機器において短時間の受電期間でシステムの起動等を可能にする回路装置等の提供が可能になる。
【0030】
また本発明の一態様では、前記電源供給部は、前記受電部による受電終了後の期間においては、前記第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給してもよい。
【0031】
このようにすれば、受電部による受電終了後の期間においては、蓄積容量が大きな第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイスに対して供給できるようになる。
【0032】
また本発明の一態様では、前記システムデバイスは、画像を表示する電気泳動表示部の表示制御処理を行い、前記第1の蓄積制御部は、前記電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、前記第1の電荷蓄積部に蓄積する制御を行ってもよい。
【0033】
このように、第1の電荷蓄積部に蓄積される電荷の量を、電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷に限定すれば、第1の電荷蓄積部の蓄積容量を無意味に大きくしなくても済むようになる。これにより、第1の電荷蓄積部への電荷蓄積を短時間で完了させることが可能になり、短い受電期間等が要求される場合にも、これに対応できるようになる。
【0034】
また本発明の一態様では、前記電源供給部は、前記第1の電荷蓄積部の第1の蓄積ノードと接続ノードとの間に設けられ、前記第1の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第1のダイオードと、前記第2の電荷蓄積部の第2の蓄積ノードと前記接続ノードとの間に設けられ、前記第2の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第2のダイオードとを含み、前記電源供給部は、前記接続ノードの電圧に基づいて前記システムデバイスに対して電源を供給してもよい。
【0035】
このようにすれば、第1、第2のダイオードの整流機能を有効活用して、第1、第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源電圧を、システムデバイスに対して供給できるようになる。また、このように第1、第2のダイオードを用いれば、スイッチ動作用の制御信号を不要にできるため、システム起動前においてこのような制御信号の生成が困難な状況であっても、これに対応できるようになる。
【0036】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の回路装置の基本構成例。
【図2】本実施形態の回路装置を適用した電子機器の構成例。
【図3】電子機器の1つである非接触のICカードへの適用例。
【図4】図4(A)、図4(B)は電磁誘導を用いた機器における電荷蓄積部への充電についての問題点の説明図。
【図5】図5(A)、図5(B)は本実施形態の充電手法の説明図。
【図6】図6(A)〜図6(C)は本実施形態の充電手法の詳細例。
【図7】本実施形態の充電手法の詳細例の動作フロー図。
【図8】図8(A)は比較例の手法の説明図であり、図8(B)は本実施形態の手法の説明図。
【図9】図9(A)、図9(B)は本実施形態の手法の説明図。
【図10】本実施形態の回路装置の詳細な構成例。
【図11】図11(A)、図11(B)は本実施形態の詳細な構成例の動作説明図。
【図12】電流制御部の詳細な構成例。
【図13】システムデバイスの構成例。
【図14】図14(A)〜図14(C)は電気泳動方式の表示部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.回路装置、電子機器の基本構成
図1に本実施形態の回路装置の基本的な構成例を示す。この回路装置は、電流制御部32と制御部70を含む。なお回路装置の構成は図1の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0040】
受電部10は、電磁誘導により送電装置(相手側機器、端末装置、充電器)から電力を受電する。例えば、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)により電力を受電する。
【0041】
電流制御部32は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、キャパシターC(広義には電荷蓄積部)に充電電流(ICH)を流す制御を行う。即ち、電流値が可変の充電電流をキャパシターCに流す制御を行って、キャパシターCを充電する。
【0042】
具体的には、電流制御部32は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、電流出力ノードNCQとの間に設けられる。電流制御部32の電流出力ノードNCQと、キャパシターCの電荷蓄積ノードNAとの間には、逆流防止用のダイオードDI3が設けられている。また電力の入力ノードNIには、電位安定化用のキャパシターCCの一端が接続されている。
【0043】
制御部70は、電流制御部32を制御して、充電電流を制御する。例えば制御部70は、充電電流の制御信号ICTを電流制御部32に対して出力することで、充電電流の大きさ(電流値)を制御する。具体的には制御部70は、電荷蓄積ノードNAの充電電圧(VCH)を測定し、測定結果に基づいて、nビットの制御信号ICTの各ビットの信号レベルを設定することで、電流制御部32が流す充電電流の大きさを制御する。この制御部70は、演算処理を行うためのデジタル回路や、電圧情報との測定を行うためのアナログ回路などにより実現できる。
【0044】
そして本実施形態では制御部70は、キャパシターC(広義には電荷蓄積部)の充電電圧(VCH)が高くなるほど充電電流(ICH)を小さくする制御を行う。例えば制御部70は、充電開始時には大きな第1の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。そして、充電電圧が第1の電圧値を超えた場合には、第1の電流値よりも小さな第2の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。更に、充電電圧が、第1の電圧値よりも大きな第2の電圧値を超えた場合には、第2の電流値よりも小さな第3の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。このように制御部70は、キャパシターCの充電電圧(ノードNAの電圧)が高くなるにつれて、キャパシターCの充電電流を例えば段階的に小さくする制御を行う。このような充電電流の制御は、制御部70が電流制御部32に出力するnビットの制御信号ICTにより充電電流値を設定することなどで実現できる。
【0045】
また本実施形態では制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、充電電流の制御を行う。ここで、電源供給先デバイスは、キャパシターCの蓄積電荷に基づく電源の供給対象となるデバイスであり、例えば後述するシステムデバイスや表示部(EPD)などである。また動作下限電圧情報は、電源供給先デバイスの動作下限電圧を特定するための情報であり、動作下限電圧は、電源供給先デバイスが正常な動作を行うことが保証されている電圧である。
【0046】
更に制御部70は、動作下限電圧情報と、電源供給先デバイスの使用電力情報(使用電荷量情報)とに基づいて、充電電流の制御を行う。即ち動作下限電圧情報と使用電力情報の両方を用いて、電流制御部32を制御して、充電電流の制御を行う。
【0047】
ここで使用電力情報(使用電荷量情報)は、キャパシターCの蓄積電荷に基づく電源が供給されて動作するデバイスが使用する電力(電荷量)を特定するための情報である。例えば、受電終了後に、キャパシターCの蓄電電力に基づいて電源供給先デバイスが所定の動作(例えば後述する表示書き換え動作)を行う場合に、使用電力情報は、その動作に必要な電力(電荷量)を特定するための情報である。
【0048】
また本実施形態では、制御部70は、キャパシターCの蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。例えば蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、充電電流を流すように、電流制御部32を制御する。ここで、ターゲット電荷量は、キャパシターCの蓄積電荷量の蓄積目標となる電荷量である。なお、マージンを持たせるために、蓄積電荷量がターゲット電荷量を若干量だけ超えるまで、充電電流をキャパシターCに流すように、電流制御部32を制御してもよい。
【0049】
また、制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、ターゲット電荷量を設定する。更に具体的には、動作下限電圧情報と、電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、ターゲット電荷量を設定する。例えば動作下限電圧が高くなるほど、ターゲット電荷量も大きくする。また電源供給先デバイスの使用電力(使用電荷量)が大きくなるほど、ターゲット電荷量も大きくする。
【0050】
また制御部70は、キャパシターCの充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された電圧情報に基づいて充電電流の制御を行う。
【0051】
例えば図1に示すように制御部70は、A/D変換部72、タイマー74、演算処理部76を含む。A/D変換部72(電圧情報取得部)は、キャパシターCの充電電圧(VCH)をA/D変換することで、充電電圧の電圧情報を測定(取得)する。演算処理部76は、測定された電圧情報と、タイマー74により設定される時間情報に基づいて、充電電流の値を決める演算処理を行って、充電電流の制御信号ICTを電流制御部32に出力する。
【0052】
更に具体的には、制御部70(演算処理部76)は、測定された電圧情報に基づいて、キャパシターC(電荷蓄積部)の蓄積電荷量を求める。そして、求められた蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求める。そして、キャパシターCの蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。この場合に制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と使用電力情報とに基づいて、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量を設定(演算)する。更に制御部70は、キャパシターCに容量測定用電流を流す制御を行うことで、キャパシターCの蓄積容量を測定し、測定された蓄積容量と、動作下限電圧情報と、使用電力情報とに基づいて、トータル電荷量を設定(演算)してもよい。これらの制御部70の演算処理については、後述する図6、図7で詳細に説明する。
【0053】
なお、充電電圧を特定する電圧情報は、図1では、キャパシターCの電荷蓄積ノードNAの充電電圧そのものになっているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば充電電圧を特定する電圧情報は、キャパシターCの充電電圧の大きさを特定できるものであれば十分であり、例えば図1のノードNCQやNIの電圧の情報であってもよい。
【0054】
以上の構成の本実施形態の回路装置では、電荷蓄積部であるキャパシターの充電電圧が高くなるほど充電電流を小さくする制御が行われる。これにより、後に詳述するように、電磁誘導を用いて受電する機器において、電荷蓄積部であるキャパシターを効率的に充電することが可能になる。従って、必要な電荷量を短時間でキャパシターに充電することが可能になり、非接触のICカードなどに好適な充電を行える回路装置を提供できる。また、キャパシターとして、蓄積容量の小さなキャパシターを採用することが可能になり、省スペース化等を図れるようになる。
【0055】
また本実施形態の回路装置では、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて、キャパシターに蓄電すべきターゲット電荷量が求められ、充電電流が制御される。またキャパシターの充電電圧の電圧情報が測定されて、充電電流が制御される。従って、蓄電すべき電荷量を正確に把握して充電電流を制御できるため、短い時間で必要な分の電荷を効率良くキャパシターに蓄電することが可能になる。これにより、蓄電電力の無駄を防止できると共に、キャパシターを小容量化して、省スペース化等を図れるようになる。
【0056】
図2に本実施形態の回路装置を適用した電子機器の構成例を示す。図2の電子機器は、電磁誘導により電力を受電する受電部10と、本実施形態の回路装置90と、システムデバイス100と、表示部150(電気泳動表示部等)を含む。ここで回路装置90は、電源管理部20及び制御部70を有する。また電子機器は、ホストI/F18、2次コイルL2(受電コイル、2次インダクター)、キャパシターCB、キャパシターC1、C2等を含むことができる。2次コイルL2とキャパシターCBにより受電側の共振回路が構成される。
【0057】
なお、電子機器の構成は図2の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また本実施形態が適用される電子機器としては、ICカード、電子棚札、ICタグ等の種々の機器を想定できる。
【0058】
受電部10は、送電装置200(端末装置、充電器、相手側機器)から送電される電力を電磁誘導により受電する。具体的には、送電側に設けられた1次コイルL1(送電コイル、1次インダクター)と、受電側に設けられた2次コイルL2を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで、非接触での電力伝送(無接点電力伝送)が実現される。この受電部10は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部10が有する整流回路などにより実現できる。
【0059】
なお、1次コイルL1、2次コイルL2としては、例えば平面コイルなどを採用できるが、本実施形態はこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
【0060】
ホストI/F(インターフェース)18は、ホスト通信のためのインターフェースである。このインターフェースにより、送電装置200と受電部10との間のデータ通信が実現される。なお、送電装置200と受電部10との間のデータ通信は、電磁誘導用の1次コイルL1、2次コイルL2を用いて実現してもよいし、通信用の別コイルを設けて実現してもよい。
【0061】
電源管理部20は、第1、第2の蓄積制御部30、40、電源供給部50を含み、第1の蓄積制御部30は図1の電流制御部32を含む。この電源管理部20は、アナログ回路やデジタル回路により実現できる。なお、第1、第2の蓄積制御部30、40、電源供給部50の詳細については後述する。
【0062】
制御部70は、充電電流の制御を行ったり、本実施形態の回路装置90の種々の制御や、通信制御処理を行う。
【0063】
システムデバイス100は、電子機器のシステムとしての処理を実行するデバイスであり、例えばマイコン等により実現できる。このシステムデバイス100は、ホストI/F110、処理部120を含む。
【0064】
表示部150は、種々の画像を表示するためのものである。処理部120(プロセッサー)は、この表示部150の表示制御処理を行う。表示部150としては、例えば電気泳動表示部(以下、適宜、EPDと呼ぶ)などを採用することができ、処理部120は、このEPDの表示制御処理を行う。また処理部120は、システムの動作に必要な種々の制御処理を行う。
【0065】
表示部150の表示情報としては、通信による受信データの情報、センサー検出情報(圧力、温度、湿度等の情報)、ICカード内蔵のメモリーの固有情報・個人情報などが考えられる。
【0066】
ホストI/F110は、例えば制御部70を介して受電部10側のホストI/F18と通信接続される。これにより、システムデバイス100は、送電装置200との間でデータ通信を行うことが可能になる。
【0067】
図3は、電子機器がICカード190である場合の適用例である。ICカード190には、EPD等で実現される表示部150が設けられており、各種情報が表示可能になっている。またICカード190には、受電部10、回路装置90(IC)、後述するキャパシターC1、C2等がその内部に実装されている。
【0068】
そしてユーザーが、端末装置202(送電装置)にICカード190をかざすと、ICカード190は端末装置202からの電力を電磁誘導により受電して動作し、端末装置202とデータ通信を行う。そして、通信結果に応じた数字、文字等の画像が表示部150に表示される。電子マネーやプリペイカードを例にとれば、使用金額や残高等が表示部150に表示される。また端末装置202の表示部210にも各種情報が表示される。
【0069】
2.充電手法
次に本実施形態の充電手法について詳細に説明する。図4(A)は、無接点電力伝送における電圧と電流の関係を示す図である。図4(A)のVIは、図1の受電部10の出力電圧であり、IIは出力電流である。この電圧VIは、二次コイルL2のコイル端電圧を、例えば受電部10が有する整流回路により整流することで得られる電圧(DC電圧)である。
【0070】
図4(A)に示すように、電磁誘導で受電するシステムにおいては、電流IIが小さければ高い電圧VIを確保できるが、大きな電流IIを取り出そうとすると、電圧VIが低下してしまうという特性がある。
【0071】
一方、電源供給先デバイスの1つである図2のシステムデバイス100には、動作下限電圧が規定されている。ここで動作下限電圧は、システムデバイス100が正常な動作を行うことが保証されている電圧である。例えばシステムデバイス100がマイコンである場合には、マイコンの仕様などにより動作下限電圧が規定される。例えば動作下限電圧よりも低い電源電圧がシステムデバイス100に供給されると、システムデバイス100を構成するトランジスターに貫通電流が流れるなどの不具合が発生するおそれがある。従って、図1のキャパシターC(図2のC1)に蓄積された電荷に基づく電源をシステムデバイス100に供給する場合には、供給される電源電圧が動作下限電圧を下回らないようにする必要がある。
【0072】
そこで本実施形態では、受電部10の受電終了後、キャパシターC(C1)の蓄積電荷に基づく電源でシステムデバイス100等を動作させる場合に、キャパシターCの充電電圧が動作下限電圧を下回らないような量の電荷を、キャパシターCに充電する手法を採用している。
【0073】
ところが、このような手法を採用した場合に、蓄電用のキャパシターCの容量が大きいと、無駄な蓄電が行われる事態が生じてしまうことが判明した。
【0074】
例えば図4(B)において、キャパシターCの容量が大きい場合には、動作下限電圧の充電電圧を確保するために、電荷量QA1が必要になる。そして、受電後の電源供給先デバイスの動作に必要な電荷量QA2を、キャパシターCに蓄電すれば、電源供給先デバイスの動作期間において、キャパシターCの充電電圧を動作下限電圧以上に確保することができる。これにより、受電終了後の動作期間の間、キャパシターCの蓄積電荷に基づいて電源供給先デバイスを無事に動作させることが可能になる。
【0075】
そして、図4(B)において、キャパシターCの容量が小さい場合には、動作下限電圧の充電電圧を確保するために、電荷量QB1が必要になる。そして、受電後の電源供給先デバイスの動作に必要な電荷量QB2を、キャパシターCに蓄電すれば、受電終了後の動作期間の間、キャパシターCの蓄積電荷に基づいて電源供給先デバイスを無事に動作させることが可能になる。
【0076】
ここで、図4(B)に示すように、動作下限電圧を確保するための電荷量については、QA1>QB1の関係が成り立つ。受電後の動作に必要な電荷量については、QA2=QB2の関係が成り立つ。そして、動作下限電圧の確保に必要な電荷量QA1、QB1は、動作時には使用されない余剰な電力になるため、この電荷量が多いと蓄電電力の無駄になる。従って、このような無駄を軽減し、蓄電の効率化を図るためには、キャパシターCの容量はなるべく小さい方が望ましい。
【0077】
一方、図4(B)から明らかなように、キャパシターCの容量を小さくすると、受電後の動作に必要な電荷量QB2を蓄電するために、充電電圧を高くする必要がある。即ち、無駄な蓄電電力を軽減して、蓄電の効率化を図るためには、キャパシターCの容量を小さくして、充電電圧を高くする手法が望ましい。
【0078】
ところが、電磁誘導で受電するシステムにおいては、電圧VIと電流IIの間に図4(A)の関係が成り立つ。従って、キャパシターCの容量を小さくした場合に、キャパシターCの充電電圧を高くできなくなり、受電後の動作に必要な電荷量QB2をキャパシターCに蓄電することが難しくなるという課題がある。
【0079】
このような課題を解決するために、本実施形態では、図5(A)に示すように、キャパシターCの充電電圧が高くなるほど、充電電流を小さくする充電手法を採用している。別の言い方をすれば、キャパシターCの充電電圧が低いほど、充電電流を大きくする。具体的には、受電部10の受電が開始した初期の期間においては、キャパシターCの充電電圧(VCH)も低いため、図1の制御部70の制御の下で、電流制御部32が大きな充電電流(ICH)をキャパシターCに流す制御を行う。
【0080】
一方、受電の開始後、時間が経つにつれて、キャパシターCの充電電圧が高くなると、それに伴い充電電流を小さくする。即ち、制御部70の制御の下で、電流制御部32が小さな充電電流をキャパシターCに流す制御を行う。
【0081】
このようにすれば図5(B)に示すように、受電部側(コイル側)の電圧−電流特性(VI−II特性)と、キャパシター側の充電電圧−充電電流特性(VCH−ICH特性)をマッチングさせることが可能になる。従って、図4(B)に示すように、キャパシターCの容量を小さくして、蓄電の効率化と動作下限電圧の確保を両立できるようになる。また、キャパシターCの容量を小さくすることで、図3のICカード190のキャパシター(C1、C2)の実装スペースを小さくすることが可能になり、装置の小型化にも貢献できるようになる。
【0082】
次に図6(A)〜図7を用いて本実施形態の充電手法の更なる詳細例について説明する。図6(A)において、QTLは、トータルで必要なトータル電荷量である。QEPは、表示部150(EPD)の表示に必要な電荷量(少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷量)である。この電荷量QEPは、例えば図4(B)のQA2、QB2に相当する。QBAは、動作下限電圧確保に必要な電荷量である。この電荷量QBAは、図4(B)のQA1、QB1に相当する。QTGは、キャパシターCに貯めるべきターゲット電荷量である。QCHは、電流制御部32からの可変電流による任意時間分の電荷量である。
【0083】
図6(A)に示すように、表示に必要な電荷量はQEP=TEP×IEPと表される。TEPは、電源供給先デバイス(システムデバイス、表示部)の動作時間を表し、IEPは動作電流を表す。なお、各動作タイミングにおける動作電流IEPの大きさが異なる場合には、電荷量QEPは、IEPを動作時間で積分したものになる。
【0084】
また、動作下限電圧確保に必要な電荷量はQBA=C×VOLと表される。VOLは動作下限電圧である。なお、キャパシターCの名称とその容量を、同じ記号のCで表している。
【0085】
そして、トータル電荷量はQTL=QEP+QBA=TEP×IEP+C×VOLと表される。即ち、トータルで必要な電荷量は、表示に必要な電荷量QEPと、動作下限電圧確保に必要な電荷量QBAを足したものになる。
【0086】
例えば図6(B)に示すように、ターゲット電荷量をQTGとすると、QTL=QTG+C×V1となるため、QTG=QTL−C×V1になる。V1は、測定された現在の充電電圧である。そして図6(C)に示すように、電流制御部32からの可変電流の任意時間分の電荷量をQCHとすると、この電荷量QCHが蓄積されて行く。そして、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGに達するまで、可変電流による充電が行われ、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGに達すると、充電が終了する。なお、マージンを持たせるために、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGを若干量だけ超えるまで、充電動作を続けてもよい。
【0087】
図7は本実施形態の充電手法の詳細例の動作フローである。まず、初期電圧V0を測定する(ステップS1)。例えば、前回の充電による電荷がキャパシターCに蓄積されて残存している場合もあり、この初期電圧V0を、図1のA/D変換部72により測定する。そして、容量測定用電流IMで、TM期間の間、キャパシターCの充電を行う(ステップS2)。即ち、電流制御部32が、容量測定用電流IMを、期間TMの間、キャパシターCに流す制御を行うことで、キャパシターCを充電する。この場合の期間TMは、図1のタイマー74により設定される。
【0088】
次に、充電電圧VCH=V1を測定する(ステップS3)。即ち、容量測定用電流IMによる充電電圧VCH=V1を、A/D変換部72により測定する。そして、初期電圧V0、充電電圧VCH=V1等に基づいて、容量C=(IM×TM)/(V1−V0)を求める(ステップS4)。即ち、容量Cが既知ではない場合に、この容量Cを電流制御部32のハードウェアを有効活用して求める。
【0089】
次に、トータル電荷量QTLを算出する(ステップS5)。図6(A)で説明したように、トータル電荷量は、QTL=QEP+QBA=TEP×IEP+C×VOLの演算式により求めることができる。また、現在の蓄積電荷量Q0=C×V1を算出し(ステップS6)、ターゲット電荷量QTGを算出する(ステップS7)。図6(B)で説明したように、ターゲット電荷量は、QTG=QTL−Q0=QTL−C×V1の演算式により求めることができる。なお、図7のステップS4、S5、S6、S7等の演算処理は図1の演算処理部76により実行される。
【0090】
そして、図6(C)で説明したように、可変の充電電流ICHで、TCH期間の間、充電する(ステップS8)。即ち、電流制御部32が、充電電流ICMを、期間TCHの間、キャパシターCに流す制御を行うことで、キャパシターCを充電する。これにより、蓄積電荷量は、QCH(n)=QCH(n−1)+ICH×TCHに更新される。この場合の期間TCHは、図1のタイマー74により設定される。また、充電電流ICHの大きさは、図1の制御信号ICTを用いて可変に設定される。
【0091】
そして、現在の蓄積電荷量QCHが、ターゲット電荷量QTGに達したか否かを判断し(ステップS9)、達していない場合にはステップS8に戻り、可変の充電電流ICHで、TCH期間の間、再度、充電を行う。一方、QCHがQTGに達した場合には、充電が終了したと判断する(ステップS10)。なお、図7のステップS9では、QCH≧QTGかどうかを判断しているが、多少のマージンを持たせるために、QCH≧QTG+ΔQかどうかを判断してもよい。
【0092】
以上のように本実施形態では、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて、充電電流の制御を行う。具体的には、蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。この場合に、ターゲット電荷量QTGは、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて設定される。
【0093】
例えば図7のステップS5や図6(A)において、トータル電荷量QTLは、電源供給先デバイスの動作下限電圧により特定される電荷量QBAと、使用電力(使用電荷量)により特定される電荷量QEPとにより求められる。そして、ステップS7に示すように、ターゲット電荷量QTGは、トータル電荷量QTLに基づいて求められる。即ち、ターゲット電荷量QTGは、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて求められている。そして、ステップS8、S9に示すように、本実施形態では、キャパシターCの蓄積電荷量QCHが、ターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御が行われる。つまり、蓄積電荷量QCHが、動作下限電圧や使用電力の情報に基づき求められたターゲット電荷量QTGに達するまで、充電電流を流す制御が行われる。
【0094】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報により、目的となる適切なターゲット電荷量QTGを求めて、無駄の無い充電動作でキャパシターCを充電することができる。即ち、短い時間であっても必要な分の電荷を効率良くキャパシターCに蓄電することが可能になる。
【0095】
また、本実施形態では、キャパシターCの充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された電圧情報に基づいて充電電流の制御を行う。例えば図7のステップS3で、充電電圧VCHを測定して、測定結果に基づいて充電電流の制御を行う。
【0096】
具体的には、ステップS6に示すように、測定された電圧情報に基づいて、キャパシターCの蓄積電荷量Q0を求める。そしてステップS7に示すように、蓄積電荷量Q0と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量QTLとに基づいて、ターゲット電荷量QTGを求める。そしてステップS8、S9に示すように、キャパシターCへの蓄積電荷量QCHが、少なくともターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。
【0097】
このようにすれば、既に蓄積されている電荷量や、蓄えるべき電荷量を正確に測定・把握して、キャパシターCの充電が制御されるため、正確で無駄の無い充電制御を実現できる。
【0098】
この場合に、上述したように本実施形態では、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量QTLが設定される。このようにすれば、更に無駄ない充電制御を実現できる。
【0099】
更に、ステップS2に示すように、キャパシターCに容量測定用電流IMを流す制御を行うことで、蓄積容量Cを測定する。そして測定された蓄積容量Cと、動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて、トータル電荷量QTLを設定する。このようにすれば、蓄積容量Cが既知ではない場合にも、これに対応することが可能になり、利便性等を向上できる。例えばICカードの製品ごとに容量値が異なる場合にも、対応することが可能になる。また、カード面積により容量値が変わるなど、容量値が可変の場合にも対応可能になる。更に、容量値に製造バラツキがある場合などにも、これに対応可能になる。
【0100】
3.起動用キャパシター
次に、本実施形態の回路装置の電源管理部20の詳細な構成例について、前述の図2等を用いて説明する。図2に示すように電源管理部20は、第1、第2の蓄積制御部30、40と、電源供給部50を含む。第1の蓄積制御部30は、図1の電流制御部32を含む。なお図1のキャパシターCが、例えば図2のキャパシターC1に相当する。
【0101】
第1の蓄積制御部30(第1の蓄積動作部)は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、蓄電用のキャパシターC1(広義には第1の電荷蓄積部)に対して電荷を蓄積する制御(動作)を行う。第2の蓄積制御部40(第2の蓄積動作部)は、受電部10からの電力を受けて、起動用のキャパシターC2(広義には第2の電荷蓄積部)に対して電荷を蓄積する制御(動作)を行う。
【0102】
具体的には、第1の蓄積制御部30は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、第1の蓄積ノードNA1との間に設けられる。そして、蓄電用のメインのキャパシターC1を充電するための電流や電圧を制御して、キャパシターC1への充電制御を行う。
【0103】
例えばシステムデバイス100が、画像を表示する電気泳動表示部(EPD)の表示制御処理を行う場合を想定する。この場合には、第1の蓄積制御部30は、電気泳動表示部(不揮発性表示素子)の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、キャパシターC1に蓄積する制御を行う。このようにすることで、電磁誘電による受電後に、システムデバイス100の表示部を少なくとも1回だけ書き換えることが可能になる。これにより、例えばプリペイカードや電子マネーのICカードに適用した場合には、端末装置にICカードをかざした後に、使用金額や残高等をICカードの表示部に表示することが可能になる。
【0104】
ここで、少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷とは、例えば受電後に1画面分の画像の表示書き換えを行う場合には、1画面分の画像データを書き換えるのに必要な電荷である。或いは、受電後に1画面の一部分の画像の表示書き換えを行う場合には、その一部分の画像データを書き換えるのに必要な電荷である。これらの電荷の量は、設計や実測により予め知ることができる。従って、例えば第1の蓄積制御部30は、その電荷量の設計値や実測値におけるワーストケースデータに対応する電荷を、キャパシターC1に蓄積する制御を行えばよい。
【0105】
一方、第2の蓄積制御部40は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、第2の蓄積ノードNA2との間に設けられる。そして、起動用のサブのキャパシターC2を充電するための電流や電圧を制御して、キャパシターC2への充電制御を行う。
【0106】
電源供給部50は、電磁誘導の電力による電源をシステムデバイス100(及び制御部70)に対して供給する。例えば電源供給部50は、キャパシターC1、C2(第1、第2の電荷蓄積部)に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイス100に対して電源を供給する。具体的には、蓄積ノードNA1、NA2の電圧に基づく電源電圧を、システムデバイス100への電源の出力ノードNQに対して出力する。
【0107】
この場合に電源供給部50は、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)の蓄積電荷により得られる電源電圧が、システムデバイス100の動作下限電圧を超えた後に、システムデバイス100に対して電源を供給することが望ましい。ここで、動作下限電圧は、前述のように、システムデバイス100が正常な動作を行うことが保証されている電圧である。例えば動作下限電圧よりも低い電源電圧がシステムデバイス100に供給されると、システムデバイス100を構成するトランジスターに貫通電流が流れるなどの不具合が発生するおそれがある。この点、電源供給部50が、動作下限電圧を超えるまでシステムデバイス100に対して電源を供給しないようにすることで、このような不具合の発生を防止できる。
【0108】
システムデバイス100(広義には電源供給対象デバイス)は、電磁誘導による電源の供給対象となるデバイスである。このシステムデバイス100は、例えば画像を表示する表示部の表示制御処理などを行う。このシステムデバイス100は、例えば表示コントローラー内蔵のマイコンなどにより実現できる。
【0109】
そして本実施形態では、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)は、蓄電用のキャパシターC1(第1の電荷蓄積部)よりも電荷の蓄積容量(キャパシタンス)が小さいシステム起動用の電荷蓄積部となっている。一例としては、蓄電用のキャパシターC1の容量は、数十μF〜数百μF(例えば100μF程度)であり、起動用のキャパシターC2の容量は、1μF以下(例えば0.1μF程度)である。この蓄電素子となるキャパシターC1等としては、スパーキャパシターなどのコンデンサーを使用できる。従って、蓄電素子を薄型に構成できるため、ICカード等にも容易に内蔵することが可能になる。
【0110】
キャパシターC1の一端は、第1の蓄積制御部30の出力ノードである蓄積ノードNA1に接続され、他端は例えばGNDノードに接続される。またキャパシターC2の一端は、第2の蓄積制御部40の出力ノードである蓄積ノードNA2に接続され、他端は例えばGNDノードに接続される。なお、電力の入力ノードNIには、電位安定化用のキャパシターCCの一端が接続されている。
【0111】
そして電源供給部50は、受電部10による受電開始後のシステム起動時には、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイス100に対して供給する。即ち、システム起動時には、システム起動用の小容量のキャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源(ノードNA2の電圧に基づく電源電圧)を、システムデバイス100に対して供給する。
【0112】
一方、電源供給部50は、受電部10による受電終了後の期間においては、キャパシターC1(第1の電荷蓄積部)の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイス100に対して供給する。即ち、システムが起動してキャパシターが十分に充電された受電終了後の期間においては、蓄電用の大容量のキャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源(ノードNA1の電圧に基づく電源電圧)を、システムデバイス100に対して供給する。
【0113】
なお、受電終了後の期間にシステムデバイス100に供給される電源は、キャパシターC1、C2の両方の蓄積電荷に基づく電源であることが望ましい。また、キャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源は、受電期間のうちシステム起動時(受電期間の前半)にシステムデバイス100に供給されれば十分であり、例えば受電期間の後半において、キャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源がシステムデバイス100に供給されてもよい。
【0114】
以上の図2に示す本実施形態の回路装置では、受電部10による受電開始後に、起動用の小容量のキャパシターC2は短時間で充電されるため、システムデバイス100に対して迅速に電源電圧を供給してシステムを立ち上げることが可能になる。そして、その後に、キャパシターC2よりも大容量の蓄電用のキャパシターC1が充電され、受電期間終了後も、このキャパシターC1に充電された電荷に基づいて、システムデバイス100に電源を供給して動作させることが可能になる。
【0115】
例えば非接触のICカードに本実施形態の回路装置を適用する場合、短い時間で端末装置と通信を行い、蓄電する必要がある。ところが、蓄電されるキャパシターは大容量であり、その充電電圧の立ち上がりは遅く、システム(システムデバイス)のリセットが解除されずに、通信を開始できないという課題がある。
【0116】
この点、本実施形態では図2に示すように、蓄電用の大容量のキャパシターC1に加えて、起動用の小容量のキャパシターC2が設けられている。これにより、受電開始の直後は、このキャパシターC2の充電電圧でシステムデバイス100を動作させて通信等を行うことが可能になる。従って、蓄電用のキャパシターC1の容量に依存せずに、システムを立ち上げることができ、通信システムを早期に立ち上げて、蓄電及び通信時間を短くすることが可能になる。
【0117】
例えば、不揮発表示素子であるEPDは、表示情報を無電源状態で保持できるため、図3のようなICカード190の表示部150として好適な表示装置である。
【0118】
ところが、EPDは、液晶表示装置に比べて、表示情報の書き換えに長時間(例えば1秒)を要するという問題点がある。このため、図3のように、端末装置202にICカード190をかざすというタッチ&ゴー(Touch&Go)の操作で、電力を受電して、EPDの表示書き換えを行うのは困難であるという課題がある。
【0119】
例えば図8(A)の比較例の手法では、電磁誘導による受電期間TRの長さT1を長くし、A1に示すように受電期間TRの前半において、端末装置202(リーダー/ライター)からのデータ受信を行う。そして、A2に示すように受電期間TRの後半の表示書き換え期間TCにおいて、EPDの表示書き換えを行っている。この場合、表示書き換え期間TCの長さT2は、受電期間TRの長さT1よりも短くなる。
【0120】
しかしながら、図8(A)の比較例の手法では、受電期間TRの長さT1が長くなってしまうため、図3のようなタッチ&ゴーの操作(例えば0.1秒程度の長さの操作)を実現できなくなってしまう。
【0121】
そこで本実施形態では、図8(B)に示すように、受電期間TRの長さT1を短くする。そしてA3に示すように受電期間TRの間に、端末装置202からのデータ受信を行い、A4に示すように、その後の表示書き換え期間TCにおいてEPDの表示書き換えを行う。この場合に、受電期間TRの長さをT1とし、表示書き換え期間TCの長さをT2とした場合に、T2>T1の関係が成り立つようにする。
【0122】
このように、受電期間TRの長さT1を短くすることで、図3のようなタッチ&ゴーの操作で、ICカード190が電力を受電して動作することが可能になる。また、表示書き換え期間TCの長さT2を長くすることで、表示部150としてEPDを利用した場合にも、表示情報の書き換えが可能になる。即ち、EPDは、液晶表示装置に比べて、表示情報の書き換えに長時間(1秒)を要するが、T2が長くなることで、少なくとも1回分のEPDの表示書き換えが可能になる。
【0123】
この場合に、受電期間TRの長さT1が短いと、EPDの表示書き換えに必要な十分な電荷を蓄積できないおそれがある。
【0124】
そこで図2では、蓄電用のキャパシターC1として大容量のキャパシターを設けている。例えばキャパシターC1として、スパーキャパシターなどのコンデンサーを用いることで、EPDの表示書き換えに必要な十分な電荷を蓄積することができる。
【0125】
具体的には、第1の蓄積制御部30は、EPD(電気泳動表示部)の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、キャパシターC1(電荷蓄積部)に蓄積する制御を行う。
【0126】
そしてシステムデバイス100は、受電部10の受電期間TRにおいてキャパシターC1(電荷蓄積部)に蓄積された電荷に基づく電源が供給されて、受電後の表示書き換え期間TCにおいて、EPDの表示書き換え処理を行う。例えば受電期間TRにおいて端末装置202から受信したデータに基づいて、EPDの表示書き換え処理を行う。この場合に、上述のように、受電期間TRの長さT1と、表示書き換え期間TCの長さT2との間には、T2>T1の関係が成り立つ。
【0127】
即ち本実施形態では図8(B)に示すように、短い受電期間TRにおいて大容量の蓄電用のキャパシターC1に電荷を蓄積し、その後の長い表示書き換え期間TCにおいてEPDの表示情報の書き換え処理を行う。
【0128】
このようにすれば、タッチ&ゴーの操作が要求されるICカードに対して、表示情報を無電源状態で保持できるEPDを組み込むことが可能になり、EPDにより各種情報を表示可能なICカードを実現できるようになる。
【0129】
この場合に図8(B)に示すように受電期間TRを短くすると、その後の長い表示書き換え期間TCに亘って、システムデバイス100を動作させることが難しくなる。
【0130】
この点、本実施形態では、大容量の蓄電用のキャパシターC1を設けると共に、第1の蓄積制御部30での充電制御を工夫することで、短い受電期間TRであっても、長い表示書き換え期間TCに亘ってシステムデバイス100を動作させるのに必要な十分な電荷を蓄積することに成功している。特に、蓄電用のキャパシターC1に蓄積する電荷を、EPDの例えば1回分の表示書き換えに必要な電荷量に限定することで、受電期間TRを短くしても、長い表示書き換え期間TCに亘ってシステムデバイス100を動作させて、EPDの表示書き換えを行うことが可能になる。
【0131】
ところが、このように蓄電用のキャパシターC1を大容量にすると、システムデバイス100に供給される電源電圧が、なかなか立ち上がらずに、早期にシステムを起動できなくなってしまうという課題がある。
【0132】
そこで本実施形態では、蓄電用のキャパシターC1とは別に起動用のキャパシターC2を設けている。図9(A)のB1、B2に示すように、これらのキャパシターC1、C2は、受電部10からの出力電圧に基づいて、第1、第2の蓄積制御部30、40を介して充電される。
【0133】
そして図9(A)のB3に示すように、受電部10による受電開始後のシステム起動時には、起動用のキャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源が、システムデバイス100に対して供給される。即ち、起動用のキャパシターC2の容量は小さいため、C2の電荷蓄積ノードNA2の電圧の立ち上がりは早く、この電圧がB3に示すように電源電圧としてシステムデバイス100に供給される。
【0134】
一方、図9(B)に示すように、受電部10による受電終了後の期間では、蓄電用のキャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源が、システムデバイス100に対して供給される。即ち、蓄電用のキャパシターC1の容量は大きいため、C1の電荷蓄積ノードNA1の電圧の立ち上がりは遅い。しかしながら、受電開始後、時間が経過すると、この電圧は、システムデバイス100の動作下限電圧を上回るようになり、B4に示すように電源電圧としてシステムデバイス100に供給できるようになる。
【0135】
こうすることで、図8(B)のA5に示すように早期にシステム電源をオンにしてシステムデバイス100を動作させることが可能になる。これにより、A3に示すデータ受信処理を早期に完了させることが可能になり、タッチ&ゴーの操作を実現する短い受電期間にも対応できるようになる。
【0136】
即ち、タッチ&ゴーの操作を実現するためには、短い受電期間の間に、ICカード190と端末装置202との間のデータ受信を完了させる必要がある。ところが、大容量のキャパシターC1を用いることで電源電圧の立ち上がりが遅くなり、システムの立ち上がりも遅くなると、その分だけで、データ受信の開始が遅れてしまい、短い受電期間の間に、システムデバイス100がデータ受信処理を完了できなくなってしまう。
【0137】
この点、本実施形態では、小容量の起動用のキャパシターC2に基づく電源によりシステムデバイス100が早期に立ち上がって動作するため、短い受電期間であってもシステムデバイス100はデータ受信処理を完了することが可能になり、ICカード190のタッチ&ゴーの操作に対応できるようになる。以上のように本実施形態の電源供給手法は、EPDの表示部を備え、タッチ&ゴーの操作が要求される非接触のICカード等に好適な手法になる。
【0138】
4.回路装置の詳細な構成例
次に本実施形態の回路装置の詳細な構成例について図10等を用いて説明する。図10では、図1、図2の第1の蓄積制御部30は、電流制御部32により実現され、第2の蓄積制御部40は、起動用レギュレーター42により実現される。
【0139】
電流制御部32は、受電部10を構成する整流回路12からの電圧VINを受けて、逆流防止用のダイオードI3を介して、充電電流を、蓄積ノードNA1に出力する。
【0140】
起動用のレギュレーター42は、整流回路12からの電圧VINを受けて、電圧調整後の電圧VA2を、蓄積ノードNA2に出力する。例えば電圧調整により定電圧VA2を出力する。具体的には、例えば最大で15V程度の電圧が、レギュレーター42により例えば4.5V程度の定電圧VA2に降圧されて、起動用のキャパシターC2への電荷蓄積が行われる。
【0141】
図10では、電源供給部50は、第1、第2のダイオードDI1、DI2を含む。ここでDI1は、蓄電用レギュレーター32(第1の電荷蓄積部30)の蓄積ノードNA1と接続ノードNCとの間に設けられ、蓄積ノードNA1から接続ノードNCへと向かう方向を順方向とするダイオードである。また、DI2は、起動用レギュレーター42(第2の電荷蓄積部40)の蓄積ノードNA2と接続ノードNCとの間に設けられ、蓄積ノードNA2から接続ノードNCへと向かう方向を順方向とするダイオードである。そして電源供給部50は、接続ノードNCの電圧に基づいてシステムデバイス100に対して電源を供給することになる。
【0142】
このようなダイオードDI1、DI2により電源供給部50を構成することで、接続ノードNCから蓄積ノードNA1、NA2への電流の逆流を防止できると共に、蓄積ノードNA1、NA2の電圧VA1、VA2を、電源電圧VCとして接続ノードNCに出力できるようになる。
【0143】
図11(A)は、図10の回路装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【0144】
受電が開始して、受電部10からの電圧VINが供給されると、起動用のキャパシターC2の容量は小さいため、D1に示すように、キャパシターC2の蓄積ノードNA2の電圧VA2は早期に立ち上がる。そして、後に詳述するように、D2に示すようにシステムデバイス100の動作下限電圧に対応するしきい値電圧VTHを超えると、電圧VA2に対応する電圧が、電源電圧VCとしてシステムデバイス100に供給される。具体的には、ダイオードDI1の順方向電圧の分だけVA2から降下した電圧がVCとして供給される。
【0145】
一方、蓄電用のキャパシターC1の容量は大きいため、D3に示すように、キャパシターC1の蓄積ノードNA1の電圧VA1が徐々に立ち上がる。そして電圧VA1が立ち上がると、電圧VA1に対応する電圧が、電源電圧VCとしてシステムデバイス100に供給される。具体的には、ダイオードDI1の順方向電圧の分だけVA1から降下した電圧がVCとして供給される。
【0146】
受電開始後、受電期間が終了すると、キャパシターC1、C2の電荷が放電されるため、D4に示すように電源電圧VCは徐々に低下する。この場合に本実施形態では、キャパシターC1の容量は十分に大きいため、図8(B)のA4や図11(A)のD5に示すように、長い時間(例えば1秒)の表示書き換え期間を確保することが可能になる。
【0147】
なお図11(B)は、蓄積電流と放電電流の関係を示す図である。例えば受電期間においては、E1に示すようにキャパシターに電荷が蓄積される。またE2に示すように、システム起動等のためにキャパシターから電荷が放電される。そして表示書き換え期間では、E3に示すようにキャパシターから電荷が放電され、この放電された電荷に基づいて、システムデバイス100によるEPDの表示書き換え処理が行われることになる。
【0148】
なお、本実施形態の回路装置の構成は図10には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えがダイオードDI1、DI2、DI3に代わって、スイッチ・トランジスター回路等を設けてもよい。このようなスイッチ・トランジスター回路を用いれば、ダイオードの順方向電圧による電圧降下がないため、その分だけで電源供給効率を向上できるという利点がある。一方、図10では、ダイオードDI1、DI2により電圧のスイッチ動作が実現されるため、スイッチ動作用の制御信号が不要であるという利点がある。例えばシステム起動前では、このような制御信号を生成することは困難な状況になるが、図10の構成例によれば、このような状況にも対応できるようになる。
【0149】
5.電流制御部
図12に、図1の電流制御部32の詳細な構成例を示す。この電流制御部32は、演算増幅器OP1、OP2、トランジスターTB1〜TB5、抵抗RB1〜RB7、RCHを含む。なお電流制御部32の構成は、図12の構成に限定されるものではなく、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また、図12とは異なる回路方式の電流制御部を採用してもよい。
【0150】
トランジスターTB1、TB2、TB3は、図1の制御部70からの制御信号ICTによりオン・オフ制御される。例えば、制御信号ICTが3ビットの信号ICT1、ICT2、ICT3により構成される場合に、トランジスターTB1、TB2、TB3の各々は、これらの信号ICT1、ICT2、ICT3の各々によりオン・オフ制御される。そして、抵抗RB1、RB2、RB3の各々の一端は、トランジスターTB1、TB2、TB3の各々に対して接続される。そして抵抗RB1、RB2、RB3の他端は、ノードNB1に共通接続される。
【0151】
演算増幅器OP1の反転入力端子には、基準電圧VRが入力され、非反転入力端子にはノードNB1が接続される。そして、演算増幅器OP1の出力は、ノードNB2とNB1の間に設けられるトランジスターTB4のゲートに接続される。これにより、ノードNB1の電圧VB1が、基準電圧VRに設定されるように、演算増幅器OP1が動作することになる。そして、このようにノードNB1が、定電圧である基準電圧VR(例えば1.25V)に設定されれば、制御部70の制御によりトランジスターTB1、TB2、TB3をオン・オフ制御することで、抵抗RB4、RB5に流れる電流IBを可変に制御できるようになる。
【0152】
また図12では、演算増幅器OP2の非反転入力端子はノードNB2に接続され、反転入力端子はノードNB3に設定される。そして、演算増幅器OP2の出力は、ノードNIとNB4の間に設けられたトランジスターTB5のゲートに接続される。これにより、ノードNB2の電圧VB2とノードNB3の電圧VB3が等しくなるように、演算増幅器OP2が動作することになる。即ち、VB2=VB3になるように演算増幅器OP2が動作する。
【0153】
そして、RB6、RB7はダミーの抵抗であり、ノードNB5からNB3に対して電流は流れない。このため、抵抗RB6、RB7の両端の電圧は等しくなり、VB5=VB3=VB2になる。
【0154】
また、抵抗RB4、RB5の抵抗値を、同じ記号であるRB4、RB5で表せば、VB4=VB2+IB×(RB4+RB5)になる。
【0155】
従って、抵抗RCHの両端に対しては、VB4−VB5=VB2+IB×(RB4+RB5)−VB5=VB2+IB×(RB4+RB5)−VB2=IB×(RB4+RB5)の電圧差が印加されることになる。従って、抵抗RCHに流れる電流ICHは、ICH=IB×{(RB4+RB5)/RCH}となり、この電流ICHが、充電電流としてキャパシターC1に流れて、充電動作が行われるようになる。
【0156】
そして、上述のように電流IBは、制御部70からの制御信号ICT(ICT1〜ICT3)により可変に制御される。従って、充電電流ICH=IB×{(RB4+RB5)/RCH}も、制御信号ICTにより可変に制御されるようになる。
【0157】
例えば図12において、抵抗RB1、RB2、RB3は、各々、例えば5KΩ、10KΩ、20KΩというように異なった抵抗値になっている。そして、例えばトランジスターTB1、TB3がオフで、トランジスターTB2がオンになるような制御信号ICTを、制御部70が出力したとする。すると、ノードNB1の電圧はVB1=VR=1.25Vになるため、IB=125μAになる。そして、RCH=RB4+RB5とすると、ICH=125μAの充電電流が、キャパシターCに流れるようになる。
【0158】
このように図12の構成の電流制御部32によれば、制御部70からの制御信号ICTによりトランジスターTB1〜TB3のオン・オフを制御することで、充電電流ICHを可変に制御できるようになる。これにより、図5(A)、図5(B)で説明したような本実施形態の充電手法の実現が可能になる。そして図12の構成によれば、抵抗RCHの両端の電圧差を小さな電圧差に設定できるため、少ない電圧降下で充電電流ICHを可変に制御できるようになり、充電効率の向上等を図れる。
【0159】
6.システムデバイス
次に、システムデバイス100の構成例について説明する。図13にシステムデバイス100の詳細な構成例を示す。システムデバイス100は、ホストI/F110、処理部120、レジスター部130、波形情報メモリー140、画像メモリー142、ワークメモリー144を含む。なおシステムデバイス100の構成は図13の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えばメモリー140、142、144は外付けのメモリーであってもよい。
【0160】
ホストI/F110は、ホストとなる相手側機器(送電装置、端末装置、充電器)との間で情報の送受信を行うためのインターフェースである。このホストI/F110は、図2に示すように制御部70を介して受電部10側のホストI/F18と接続される。これにより、送電装置200(相手側機器)との間での情報の送受信が可能になる。この情報の送受信は例えばコイルL1、L2を用いた振幅変調処理(周波数変調処理)や負荷変調処理により実現できる。
【0161】
処理部120は、表示部150の表示制御処理や、システムの各種の制御処理を行う。この処理部120は、例えばプロセッサーやゲートアレイ回路等により実現できる。
【0162】
処理部120により表示制御される表示部150は、表示パネル152(電気光学パネル)と、表示パネル152を駆動する回路であるドライバー回路154を有する。ドライバー回路154は、表示パネル152のデータ線(セグメント電極)や走査線(コモン電極)を駆動する。表示パネル152は、例えば電気泳動素子等の表示素子により実現される。
【0163】
レジスター部130は、制御レジスターやステータスレジスターなどの各種のレジスターを有する。このレジスター部130はSRAMなどのRAMやフリップフロップ回路などにより実現できる
波形情報メモリー140は、EPDを駆動するためのウェーブフォーム情報やインストラクションコード情報などを記憶する。この波形情報メモリー140は、例えばデータの書き換え・消去が可能な不揮発性メモリー(例えばフラッシュメモリー)などにより実現できる。
【0164】
画像メモリー142(VRAM)は、表示パネル152に表示される例えば1画面分の画像データを記憶する。ワークメモリー144は処理部120等のワーク領域となるメモリーである。これらの画像メモリー142、ワークメモリー144は、SRAMなどのRAMにより実現できる。
【0165】
図14(A)に表示パネル152の構成例を示す。この表示パネル152は、素子基板300と、対向基板310と、素子基板300と対向基板310との間に設けられた電気泳動層320を含む。この電気泳動層320(電気泳動シート)は、電気泳動物質を有する多数のマイクロカプセル322により構成される。このマイクロカプセル322は、例えば正に帯電した黒色の正帯電粒子(電気泳動物質)と、負に帯電した白色の負帯電粒子(電気泳動物質)を分散液中に分散させ、この分散液を微少なカプセルに封入することで実現される。
【0166】
素子基板300はガラスや透明樹脂により形成される。この素子基板300には、複数のデータ線(セグメント電極)や、複数の走査線(共通電極)や、各画素電極が各データ線と各走査線の交差位置に設けられる複数の画素電極が形成される。またTFT(薄膜トランジスター)等により形成される各スイッチ素子が各画素電極に接続される複数のスイッチ素子が設けられる。またデータ線を駆動するデータドライバーや、走査線を駆動する走査ドライバーが設けられる。
【0167】
対向基板310には、共通電極(透明電極)が形成され、この共通電極にはコモン電圧VCOM(対向電圧)が供給される。なお透明樹脂層に透明な導電材料で共通電極を形成し、この上に接着剤等を塗布して電気泳動層を接着することで、電気泳動シートを形成してもよい。
【0168】
図14(A)の表示パネル152では、画素電極と共通電極の間に電界が印加されると、マイクロカプセル322に封入された正帯電粒子(黒色)及び負帯電粒子(白色)には、その帯電の正負に応じた方向に静電気力が作用する。例えば画素電極の方が共通電極よりも高電位である画素電極上では、共通電極側に正帯電粒子(黒色)が移動するため、その画素は黒表示になる。
【0169】
次に、図13の波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報について説明する。ここではEPD(電気泳動表示部)のウェーブフォーム情報を例にとり説明する。
【0170】
例えば液晶表示装置においては、図14(B)のF1に示すように、画素の階調を第1の階調から第2の階調に変化させる場合には、データ線(ソース線)のデータ電圧も、第1の階調に対応するデータ電圧VG1から第2の階調に対応するデータ電圧VG2へと、1フレームの期間で変化する。
【0171】
一方、EPDにおいては、図14(C)のF2に示すように、画素の階調を第1の階調から第2の階調に変化させる場合に、データ線のデータ電圧は、複数フレームに亘って変化する。例えば白に近い第1の階調から黒に近い第2の階調に変化させる場合に、複数フレームに亘って白、黒の表示を繰り返して、画素の階調を最終的な第2の階調に変化させる。例えば図14(C)のウェーブフォームでは、初めの3フレームではデータ電圧はVAに設定され、次の3フレームでは−VAに設定されるというように、データ電圧が複数フレームに亘って変化する。なお、ウェーブフォームは、現在の表示状態での画素の階調と、次の表示状態での画素の階調との組み合わせに依っても異なった形になる。
【0172】
波形情報メモリー140は、図14(C)のF2に示すようなウェーブフォーム情報を記憶する。処理部120は、画像メモリー142に記憶される画像データ(各画素の階調データ)と、波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報に基づいて、各フレームでのEPDの駆動電圧を決定して、EPD(表示部150)の表示制御処理を行う。
【0173】
そして図14(B)のF1と図14(C)のF2を比較すれば明らかなように、EPDでは、液晶表示装置等に比べて表示情報の書き換えに長い時間を要する。このため図8(B)の表示書き換え期間TCの長さT2を長くする必要があるという課題がある。
【0174】
この点、本実施形態では前述したように、蓄電用の大容量のキャパシターC1を設け、EPDの少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、受電期間TRの間にキャパシターC1に蓄電する。
【0175】
また、起動用の小容量のキャパシターC2を設けることで、図8(B)のA5に示すように早期にシステムの電源がオンになる。これにより、図13の処理部120は、A3に示すように、ホストI/F110を介して、ホストである相手側機器(送電装置、端末装置)から、表示情報などのデータを受信する。
【0176】
そして処理部120は、受電後の表示書き換え期間TCにおいて、図8(B)のA4に示すようにEPDの表示書き換え処理を行う。即ち、ホストI/F110を介して受信され、画像メモリー142に書き込まれた表示情報と、波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報に基づいて、図14(C)のF2に示すようなウェーブフォームで、EPDの表示書き換え処理を行う。
【0177】
このようにすることで、表示書き換え期間が長いEPDであっても、短い受電期間TRで受電した電荷に基づいて、表示情報の書き換えを実行できるようになる。従って、例えば図3に示すようなタッチ&ゴーの操作が要求される非接触のICカードに対して、無電源状態で表示情報を保持できるEPDの表示部150を組み込むことが可能になり、これまでに無いタイプのICカードを実現することが可能になる。
【0178】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(電荷蓄積部、第1の電荷蓄積部、第2の電荷蓄積部等)と共に記載された用語(キャパシター、蓄電用キャパシター、起動用キャパシター等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また回路装置、電子機器の構成・動作や、電流制御手法、充電手法、電源供給手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0179】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、CA、CB、CC、CP キャパシター、
C、キャパシター、C1 蓄電用キャパシター、C2 起動用キャパシター、
DI1、DI2、DI3 第1、第2、第3のダイオード、
OP1、OP2 演算増幅器、TB1〜TB5 トランジスター、
RB1〜RB7 RCH 抵抗、VR 基準電圧、
10 受電部、12 整流回路、18 ホストI/F、20 電源管理部、
30 第1の蓄積制御部、32 電流制御部、
40 第2の蓄積制御部、42 起動用レギュレーター、50 電源供給部、
70 制御部、72 A/D変換部、74 タイマー、76 演算処理部、
90 回路装置、100 システムデバイス、110 ホストI/F、
120 処理部、130 レジスター部、140 波形情報メモリー、
142 画像メモリー、144 ワークメモリー、150 表示部、
152 表示パネル、154 ドライバー回路、190 ICカード、
200 送電装置、202 端末装置、210 表示部、300 素子基板、
310 対向基板、320 電気泳動層、322 マイクロカプセル
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路装置及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている。この無接点電力伝送の適用例として、端末装置にかざすだけで電力を受電して情報を送受信できる非接触のICカードなどが提案されている。この非接触のICカードによれば、電子マネー、公共交通機関のプリペイカード、入出管理用IDカードなどの機能を持ったカードを実現することが可能になる。
【0003】
このような非接触のICカードにおける二次電池の充電回路の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。この特許文献1の充電回路は、電流値が一定である定電流で二次電池の充電を行い、充電電圧が規定電圧になったことを確認して充電を終了する回路構成となっている。
【0004】
しかしながら、従来の充電回路では、充電後のICカードの動作にどれくらいの電荷量が必要であるかを正確に把握することなく、多少大きめの容量の電荷蓄積部を設けて、充電電圧が規定電圧に達するまで充電を行うという手法を採用していた。このため、大きな容量の電荷蓄積部を実装するのに実装スペースが無駄に使われてしまうという問題があった。また、従来では、充電電圧に応じて充電電流を最適に制御する手法を採用していないため、電荷蓄積部の蓄電に無駄があり、充電効率が低いという問題があった。
【0005】
また、非接触のICカードでは、充電器からの受電時間が極めて短い。従って、この極めて短い受電時間で受電した電力により電荷蓄積部を蓄電する場合に、充電効率が低いと、十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積できなくなってしまう。このため、例えばICカードに対して、使用金額や残高等を表示する表示装置として、電気泳動方式のディスプレイであるEPD(Electrophoretic Display)などを設けた場合に、このEPDの表示書き換え処理を完了できないなどの問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−323683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の幾つかの態様によれば、電磁誘導を用いた機器において電荷蓄積部への効率的な充電を可能にする回路装置及び電子機器等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力を受けて、電荷蓄積部に対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部と、前記電流制御部を制御して、前記充電電流を制御する制御部と、を含み、前記制御部は、前記電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど前記充電電流を小さくする制御を行う回路装置に関係する。
【0009】
本発明の一態様では、電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力により、可変の充電電流を流して電荷蓄積部を充電する制御が行われる。そしてこの場合に、電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど充電電流が小さくするように、充電電流が制御される。このようにすれば、電磁誘導により受電するシステムにおいて、電圧が高い場合に、取り出せる電流が低くなるような特性がある場合に、この特性に対して、充電電圧と充電電流の特性をマッチングさせることが可能になる。従って、電磁誘導を用いた機器において電荷蓄積部への効率的な充電を実現できるようになる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記制御部は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0011】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保できる充電制御を実現することが可能になり、電源供給先デバイスの動作不具合等を防止できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0013】
このようにすれば、電源供給先デバイスの使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積する充電制御を実現することができ、無駄な蓄電が行われてしまうなどの事態を防止できる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行ってもよい。
【0015】
このようにすれば、ターゲット電荷量を超えた不要な電荷が電荷蓄積部に蓄積されてしまう事態を防止できるため、無駄な蓄電が行われる事態を防止できる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記制御部は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記ターゲット電荷量を設定してもよい。
【0017】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧に応じたターゲット電荷量を設定して、充電制御を行うことが可能になるため、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保しながら、無駄な蓄電が行われる事態も防止できるようになる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記ターゲット電荷量を設定してもよい。
【0019】
このようにすれば、使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積しながら、無駄な蓄電が行われる事態も防止できるようになる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部の充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された前記電圧情報に基づいて前記充電電流の制御を行ってもよい。
【0021】
このようにすれば、既に蓄積されている電荷量等を測定・把握して充電制御を行うことが可能になるため、電荷蓄積部の効率的な充電が可能になる。
【0022】
また本発明の一態様では、前記制御部は、測定された前記電圧情報に基づいて、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量を求め、前記蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求め、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくとも前記ターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行ってもよい。
【0023】
このようにすれば、測定された電圧情報から蓄積電荷量を求め、その蓄積電荷量とトータル電荷量に基づいて、ターゲット電荷量を求めて、ターゲット電荷量に達するまで電荷蓄積部の充電を行う制御が可能になる。従って、より正確で効率的な充電制御を実現できる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記電源供給先デバイスを動作させるのに必要な前記トータル電荷量を設定してもよい。
【0025】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧を確保しながら、使用電力情報に応じた必要十分な電荷を電荷蓄積部に蓄積する充電制御を実現できるようになる。
【0026】
また本発明の一態様では、前記制御部は、前記電荷蓄積部に容量測定用電流を流す制御を行うことで、前記電荷蓄積部の蓄積容量を測定し、測定された前記蓄積容量と、前記動作下限電圧情報と、前記使用電力情報とに基づいて、前記トータル電荷量を設定してもよい。
【0027】
このようにすれば、蓄積容量が既知ではない場合にも、これに対応することが可能になる。
【0028】
また本発明の一態様では、前記電流制御部を有し、前記受電部からの電力を受けて、前記電荷蓄積部である第1の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第1の蓄積制御部と、前記受電部からの電力を受けて、第2の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第2の蓄積制御部と、前記第1の電荷蓄積部、前記第2の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイスに対して電源を供給する電源供給部と、を含み、前記第2の電荷蓄積部は、前記第1の電荷蓄積部よりも電荷の蓄積容量が小さいシステム起動用の電荷蓄積部であり、前記電源供給部は、前記受電部による受電開始後のシステム起動時には、前記第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給してもよい。
【0029】
このようにすれば、第1の電荷蓄積部の蓄積容量が大きい場合にも、システム起動用の第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイスに対して早期に供給できるようになる。従って、電磁誘導を用いた機器において短時間の受電期間でシステムの起動等を可能にする回路装置等の提供が可能になる。
【0030】
また本発明の一態様では、前記電源供給部は、前記受電部による受電終了後の期間においては、前記第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給してもよい。
【0031】
このようにすれば、受電部による受電終了後の期間においては、蓄積容量が大きな第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイスに対して供給できるようになる。
【0032】
また本発明の一態様では、前記システムデバイスは、画像を表示する電気泳動表示部の表示制御処理を行い、前記第1の蓄積制御部は、前記電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、前記第1の電荷蓄積部に蓄積する制御を行ってもよい。
【0033】
このように、第1の電荷蓄積部に蓄積される電荷の量を、電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷に限定すれば、第1の電荷蓄積部の蓄積容量を無意味に大きくしなくても済むようになる。これにより、第1の電荷蓄積部への電荷蓄積を短時間で完了させることが可能になり、短い受電期間等が要求される場合にも、これに対応できるようになる。
【0034】
また本発明の一態様では、前記電源供給部は、前記第1の電荷蓄積部の第1の蓄積ノードと接続ノードとの間に設けられ、前記第1の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第1のダイオードと、前記第2の電荷蓄積部の第2の蓄積ノードと前記接続ノードとの間に設けられ、前記第2の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第2のダイオードとを含み、前記電源供給部は、前記接続ノードの電圧に基づいて前記システムデバイスに対して電源を供給してもよい。
【0035】
このようにすれば、第1、第2のダイオードの整流機能を有効活用して、第1、第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源電圧を、システムデバイスに対して供給できるようになる。また、このように第1、第2のダイオードを用いれば、スイッチ動作用の制御信号を不要にできるため、システム起動前においてこのような制御信号の生成が困難な状況であっても、これに対応できるようになる。
【0036】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の回路装置を含む電子機器に関係する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本実施形態の回路装置の基本構成例。
【図2】本実施形態の回路装置を適用した電子機器の構成例。
【図3】電子機器の1つである非接触のICカードへの適用例。
【図4】図4(A)、図4(B)は電磁誘導を用いた機器における電荷蓄積部への充電についての問題点の説明図。
【図5】図5(A)、図5(B)は本実施形態の充電手法の説明図。
【図6】図6(A)〜図6(C)は本実施形態の充電手法の詳細例。
【図7】本実施形態の充電手法の詳細例の動作フロー図。
【図8】図8(A)は比較例の手法の説明図であり、図8(B)は本実施形態の手法の説明図。
【図9】図9(A)、図9(B)は本実施形態の手法の説明図。
【図10】本実施形態の回路装置の詳細な構成例。
【図11】図11(A)、図11(B)は本実施形態の詳細な構成例の動作説明図。
【図12】電流制御部の詳細な構成例。
【図13】システムデバイスの構成例。
【図14】図14(A)〜図14(C)は電気泳動方式の表示部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0039】
1.回路装置、電子機器の基本構成
図1に本実施形態の回路装置の基本的な構成例を示す。この回路装置は、電流制御部32と制御部70を含む。なお回路装置の構成は図1の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0040】
受電部10は、電磁誘導により送電装置(相手側機器、端末装置、充電器)から電力を受電する。例えば、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)により電力を受電する。
【0041】
電流制御部32は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、キャパシターC(広義には電荷蓄積部)に充電電流(ICH)を流す制御を行う。即ち、電流値が可変の充電電流をキャパシターCに流す制御を行って、キャパシターCを充電する。
【0042】
具体的には、電流制御部32は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、電流出力ノードNCQとの間に設けられる。電流制御部32の電流出力ノードNCQと、キャパシターCの電荷蓄積ノードNAとの間には、逆流防止用のダイオードDI3が設けられている。また電力の入力ノードNIには、電位安定化用のキャパシターCCの一端が接続されている。
【0043】
制御部70は、電流制御部32を制御して、充電電流を制御する。例えば制御部70は、充電電流の制御信号ICTを電流制御部32に対して出力することで、充電電流の大きさ(電流値)を制御する。具体的には制御部70は、電荷蓄積ノードNAの充電電圧(VCH)を測定し、測定結果に基づいて、nビットの制御信号ICTの各ビットの信号レベルを設定することで、電流制御部32が流す充電電流の大きさを制御する。この制御部70は、演算処理を行うためのデジタル回路や、電圧情報との測定を行うためのアナログ回路などにより実現できる。
【0044】
そして本実施形態では制御部70は、キャパシターC(広義には電荷蓄積部)の充電電圧(VCH)が高くなるほど充電電流(ICH)を小さくする制御を行う。例えば制御部70は、充電開始時には大きな第1の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。そして、充電電圧が第1の電圧値を超えた場合には、第1の電流値よりも小さな第2の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。更に、充電電圧が、第1の電圧値よりも大きな第2の電圧値を超えた場合には、第2の電流値よりも小さな第3の電流値の充電電流でキャパシターCを充電するように、電流制御部32を制御する。このように制御部70は、キャパシターCの充電電圧(ノードNAの電圧)が高くなるにつれて、キャパシターCの充電電流を例えば段階的に小さくする制御を行う。このような充電電流の制御は、制御部70が電流制御部32に出力するnビットの制御信号ICTにより充電電流値を設定することなどで実現できる。
【0045】
また本実施形態では制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、充電電流の制御を行う。ここで、電源供給先デバイスは、キャパシターCの蓄積電荷に基づく電源の供給対象となるデバイスであり、例えば後述するシステムデバイスや表示部(EPD)などである。また動作下限電圧情報は、電源供給先デバイスの動作下限電圧を特定するための情報であり、動作下限電圧は、電源供給先デバイスが正常な動作を行うことが保証されている電圧である。
【0046】
更に制御部70は、動作下限電圧情報と、電源供給先デバイスの使用電力情報(使用電荷量情報)とに基づいて、充電電流の制御を行う。即ち動作下限電圧情報と使用電力情報の両方を用いて、電流制御部32を制御して、充電電流の制御を行う。
【0047】
ここで使用電力情報(使用電荷量情報)は、キャパシターCの蓄積電荷に基づく電源が供給されて動作するデバイスが使用する電力(電荷量)を特定するための情報である。例えば、受電終了後に、キャパシターCの蓄電電力に基づいて電源供給先デバイスが所定の動作(例えば後述する表示書き換え動作)を行う場合に、使用電力情報は、その動作に必要な電力(電荷量)を特定するための情報である。
【0048】
また本実施形態では、制御部70は、キャパシターCの蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。例えば蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、充電電流を流すように、電流制御部32を制御する。ここで、ターゲット電荷量は、キャパシターCの蓄積電荷量の蓄積目標となる電荷量である。なお、マージンを持たせるために、蓄積電荷量がターゲット電荷量を若干量だけ超えるまで、充電電流をキャパシターCに流すように、電流制御部32を制御してもよい。
【0049】
また、制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、ターゲット電荷量を設定する。更に具体的には、動作下限電圧情報と、電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、ターゲット電荷量を設定する。例えば動作下限電圧が高くなるほど、ターゲット電荷量も大きくする。また電源供給先デバイスの使用電力(使用電荷量)が大きくなるほど、ターゲット電荷量も大きくする。
【0050】
また制御部70は、キャパシターCの充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された電圧情報に基づいて充電電流の制御を行う。
【0051】
例えば図1に示すように制御部70は、A/D変換部72、タイマー74、演算処理部76を含む。A/D変換部72(電圧情報取得部)は、キャパシターCの充電電圧(VCH)をA/D変換することで、充電電圧の電圧情報を測定(取得)する。演算処理部76は、測定された電圧情報と、タイマー74により設定される時間情報に基づいて、充電電流の値を決める演算処理を行って、充電電流の制御信号ICTを電流制御部32に出力する。
【0052】
更に具体的には、制御部70(演算処理部76)は、測定された電圧情報に基づいて、キャパシターC(電荷蓄積部)の蓄積電荷量を求める。そして、求められた蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求める。そして、キャパシターCの蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。この場合に制御部70は、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と使用電力情報とに基づいて、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量を設定(演算)する。更に制御部70は、キャパシターCに容量測定用電流を流す制御を行うことで、キャパシターCの蓄積容量を測定し、測定された蓄積容量と、動作下限電圧情報と、使用電力情報とに基づいて、トータル電荷量を設定(演算)してもよい。これらの制御部70の演算処理については、後述する図6、図7で詳細に説明する。
【0053】
なお、充電電圧を特定する電圧情報は、図1では、キャパシターCの電荷蓄積ノードNAの充電電圧そのものになっているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば充電電圧を特定する電圧情報は、キャパシターCの充電電圧の大きさを特定できるものであれば十分であり、例えば図1のノードNCQやNIの電圧の情報であってもよい。
【0054】
以上の構成の本実施形態の回路装置では、電荷蓄積部であるキャパシターの充電電圧が高くなるほど充電電流を小さくする制御が行われる。これにより、後に詳述するように、電磁誘導を用いて受電する機器において、電荷蓄積部であるキャパシターを効率的に充電することが可能になる。従って、必要な電荷量を短時間でキャパシターに充電することが可能になり、非接触のICカードなどに好適な充電を行える回路装置を提供できる。また、キャパシターとして、蓄積容量の小さなキャパシターを採用することが可能になり、省スペース化等を図れるようになる。
【0055】
また本実施形態の回路装置では、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて、キャパシターに蓄電すべきターゲット電荷量が求められ、充電電流が制御される。またキャパシターの充電電圧の電圧情報が測定されて、充電電流が制御される。従って、蓄電すべき電荷量を正確に把握して充電電流を制御できるため、短い時間で必要な分の電荷を効率良くキャパシターに蓄電することが可能になる。これにより、蓄電電力の無駄を防止できると共に、キャパシターを小容量化して、省スペース化等を図れるようになる。
【0056】
図2に本実施形態の回路装置を適用した電子機器の構成例を示す。図2の電子機器は、電磁誘導により電力を受電する受電部10と、本実施形態の回路装置90と、システムデバイス100と、表示部150(電気泳動表示部等)を含む。ここで回路装置90は、電源管理部20及び制御部70を有する。また電子機器は、ホストI/F18、2次コイルL2(受電コイル、2次インダクター)、キャパシターCB、キャパシターC1、C2等を含むことができる。2次コイルL2とキャパシターCBにより受電側の共振回路が構成される。
【0057】
なお、電子機器の構成は図2の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また本実施形態が適用される電子機器としては、ICカード、電子棚札、ICタグ等の種々の機器を想定できる。
【0058】
受電部10は、送電装置200(端末装置、充電器、相手側機器)から送電される電力を電磁誘導により受電する。具体的には、送電側に設けられた1次コイルL1(送電コイル、1次インダクター)と、受電側に設けられた2次コイルL2を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで、非接触での電力伝送(無接点電力伝送)が実現される。この受電部10は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部10が有する整流回路などにより実現できる。
【0059】
なお、1次コイルL1、2次コイルL2としては、例えば平面コイルなどを採用できるが、本実施形態はこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
【0060】
ホストI/F(インターフェース)18は、ホスト通信のためのインターフェースである。このインターフェースにより、送電装置200と受電部10との間のデータ通信が実現される。なお、送電装置200と受電部10との間のデータ通信は、電磁誘導用の1次コイルL1、2次コイルL2を用いて実現してもよいし、通信用の別コイルを設けて実現してもよい。
【0061】
電源管理部20は、第1、第2の蓄積制御部30、40、電源供給部50を含み、第1の蓄積制御部30は図1の電流制御部32を含む。この電源管理部20は、アナログ回路やデジタル回路により実現できる。なお、第1、第2の蓄積制御部30、40、電源供給部50の詳細については後述する。
【0062】
制御部70は、充電電流の制御を行ったり、本実施形態の回路装置90の種々の制御や、通信制御処理を行う。
【0063】
システムデバイス100は、電子機器のシステムとしての処理を実行するデバイスであり、例えばマイコン等により実現できる。このシステムデバイス100は、ホストI/F110、処理部120を含む。
【0064】
表示部150は、種々の画像を表示するためのものである。処理部120(プロセッサー)は、この表示部150の表示制御処理を行う。表示部150としては、例えば電気泳動表示部(以下、適宜、EPDと呼ぶ)などを採用することができ、処理部120は、このEPDの表示制御処理を行う。また処理部120は、システムの動作に必要な種々の制御処理を行う。
【0065】
表示部150の表示情報としては、通信による受信データの情報、センサー検出情報(圧力、温度、湿度等の情報)、ICカード内蔵のメモリーの固有情報・個人情報などが考えられる。
【0066】
ホストI/F110は、例えば制御部70を介して受電部10側のホストI/F18と通信接続される。これにより、システムデバイス100は、送電装置200との間でデータ通信を行うことが可能になる。
【0067】
図3は、電子機器がICカード190である場合の適用例である。ICカード190には、EPD等で実現される表示部150が設けられており、各種情報が表示可能になっている。またICカード190には、受電部10、回路装置90(IC)、後述するキャパシターC1、C2等がその内部に実装されている。
【0068】
そしてユーザーが、端末装置202(送電装置)にICカード190をかざすと、ICカード190は端末装置202からの電力を電磁誘導により受電して動作し、端末装置202とデータ通信を行う。そして、通信結果に応じた数字、文字等の画像が表示部150に表示される。電子マネーやプリペイカードを例にとれば、使用金額や残高等が表示部150に表示される。また端末装置202の表示部210にも各種情報が表示される。
【0069】
2.充電手法
次に本実施形態の充電手法について詳細に説明する。図4(A)は、無接点電力伝送における電圧と電流の関係を示す図である。図4(A)のVIは、図1の受電部10の出力電圧であり、IIは出力電流である。この電圧VIは、二次コイルL2のコイル端電圧を、例えば受電部10が有する整流回路により整流することで得られる電圧(DC電圧)である。
【0070】
図4(A)に示すように、電磁誘導で受電するシステムにおいては、電流IIが小さければ高い電圧VIを確保できるが、大きな電流IIを取り出そうとすると、電圧VIが低下してしまうという特性がある。
【0071】
一方、電源供給先デバイスの1つである図2のシステムデバイス100には、動作下限電圧が規定されている。ここで動作下限電圧は、システムデバイス100が正常な動作を行うことが保証されている電圧である。例えばシステムデバイス100がマイコンである場合には、マイコンの仕様などにより動作下限電圧が規定される。例えば動作下限電圧よりも低い電源電圧がシステムデバイス100に供給されると、システムデバイス100を構成するトランジスターに貫通電流が流れるなどの不具合が発生するおそれがある。従って、図1のキャパシターC(図2のC1)に蓄積された電荷に基づく電源をシステムデバイス100に供給する場合には、供給される電源電圧が動作下限電圧を下回らないようにする必要がある。
【0072】
そこで本実施形態では、受電部10の受電終了後、キャパシターC(C1)の蓄積電荷に基づく電源でシステムデバイス100等を動作させる場合に、キャパシターCの充電電圧が動作下限電圧を下回らないような量の電荷を、キャパシターCに充電する手法を採用している。
【0073】
ところが、このような手法を採用した場合に、蓄電用のキャパシターCの容量が大きいと、無駄な蓄電が行われる事態が生じてしまうことが判明した。
【0074】
例えば図4(B)において、キャパシターCの容量が大きい場合には、動作下限電圧の充電電圧を確保するために、電荷量QA1が必要になる。そして、受電後の電源供給先デバイスの動作に必要な電荷量QA2を、キャパシターCに蓄電すれば、電源供給先デバイスの動作期間において、キャパシターCの充電電圧を動作下限電圧以上に確保することができる。これにより、受電終了後の動作期間の間、キャパシターCの蓄積電荷に基づいて電源供給先デバイスを無事に動作させることが可能になる。
【0075】
そして、図4(B)において、キャパシターCの容量が小さい場合には、動作下限電圧の充電電圧を確保するために、電荷量QB1が必要になる。そして、受電後の電源供給先デバイスの動作に必要な電荷量QB2を、キャパシターCに蓄電すれば、受電終了後の動作期間の間、キャパシターCの蓄積電荷に基づいて電源供給先デバイスを無事に動作させることが可能になる。
【0076】
ここで、図4(B)に示すように、動作下限電圧を確保するための電荷量については、QA1>QB1の関係が成り立つ。受電後の動作に必要な電荷量については、QA2=QB2の関係が成り立つ。そして、動作下限電圧の確保に必要な電荷量QA1、QB1は、動作時には使用されない余剰な電力になるため、この電荷量が多いと蓄電電力の無駄になる。従って、このような無駄を軽減し、蓄電の効率化を図るためには、キャパシターCの容量はなるべく小さい方が望ましい。
【0077】
一方、図4(B)から明らかなように、キャパシターCの容量を小さくすると、受電後の動作に必要な電荷量QB2を蓄電するために、充電電圧を高くする必要がある。即ち、無駄な蓄電電力を軽減して、蓄電の効率化を図るためには、キャパシターCの容量を小さくして、充電電圧を高くする手法が望ましい。
【0078】
ところが、電磁誘導で受電するシステムにおいては、電圧VIと電流IIの間に図4(A)の関係が成り立つ。従って、キャパシターCの容量を小さくした場合に、キャパシターCの充電電圧を高くできなくなり、受電後の動作に必要な電荷量QB2をキャパシターCに蓄電することが難しくなるという課題がある。
【0079】
このような課題を解決するために、本実施形態では、図5(A)に示すように、キャパシターCの充電電圧が高くなるほど、充電電流を小さくする充電手法を採用している。別の言い方をすれば、キャパシターCの充電電圧が低いほど、充電電流を大きくする。具体的には、受電部10の受電が開始した初期の期間においては、キャパシターCの充電電圧(VCH)も低いため、図1の制御部70の制御の下で、電流制御部32が大きな充電電流(ICH)をキャパシターCに流す制御を行う。
【0080】
一方、受電の開始後、時間が経つにつれて、キャパシターCの充電電圧が高くなると、それに伴い充電電流を小さくする。即ち、制御部70の制御の下で、電流制御部32が小さな充電電流をキャパシターCに流す制御を行う。
【0081】
このようにすれば図5(B)に示すように、受電部側(コイル側)の電圧−電流特性(VI−II特性)と、キャパシター側の充電電圧−充電電流特性(VCH−ICH特性)をマッチングさせることが可能になる。従って、図4(B)に示すように、キャパシターCの容量を小さくして、蓄電の効率化と動作下限電圧の確保を両立できるようになる。また、キャパシターCの容量を小さくすることで、図3のICカード190のキャパシター(C1、C2)の実装スペースを小さくすることが可能になり、装置の小型化にも貢献できるようになる。
【0082】
次に図6(A)〜図7を用いて本実施形態の充電手法の更なる詳細例について説明する。図6(A)において、QTLは、トータルで必要なトータル電荷量である。QEPは、表示部150(EPD)の表示に必要な電荷量(少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷量)である。この電荷量QEPは、例えば図4(B)のQA2、QB2に相当する。QBAは、動作下限電圧確保に必要な電荷量である。この電荷量QBAは、図4(B)のQA1、QB1に相当する。QTGは、キャパシターCに貯めるべきターゲット電荷量である。QCHは、電流制御部32からの可変電流による任意時間分の電荷量である。
【0083】
図6(A)に示すように、表示に必要な電荷量はQEP=TEP×IEPと表される。TEPは、電源供給先デバイス(システムデバイス、表示部)の動作時間を表し、IEPは動作電流を表す。なお、各動作タイミングにおける動作電流IEPの大きさが異なる場合には、電荷量QEPは、IEPを動作時間で積分したものになる。
【0084】
また、動作下限電圧確保に必要な電荷量はQBA=C×VOLと表される。VOLは動作下限電圧である。なお、キャパシターCの名称とその容量を、同じ記号のCで表している。
【0085】
そして、トータル電荷量はQTL=QEP+QBA=TEP×IEP+C×VOLと表される。即ち、トータルで必要な電荷量は、表示に必要な電荷量QEPと、動作下限電圧確保に必要な電荷量QBAを足したものになる。
【0086】
例えば図6(B)に示すように、ターゲット電荷量をQTGとすると、QTL=QTG+C×V1となるため、QTG=QTL−C×V1になる。V1は、測定された現在の充電電圧である。そして図6(C)に示すように、電流制御部32からの可変電流の任意時間分の電荷量をQCHとすると、この電荷量QCHが蓄積されて行く。そして、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGに達するまで、可変電流による充電が行われ、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGに達すると、充電が終了する。なお、マージンを持たせるために、蓄積電荷量がターゲット電荷量QTGを若干量だけ超えるまで、充電動作を続けてもよい。
【0087】
図7は本実施形態の充電手法の詳細例の動作フローである。まず、初期電圧V0を測定する(ステップS1)。例えば、前回の充電による電荷がキャパシターCに蓄積されて残存している場合もあり、この初期電圧V0を、図1のA/D変換部72により測定する。そして、容量測定用電流IMで、TM期間の間、キャパシターCの充電を行う(ステップS2)。即ち、電流制御部32が、容量測定用電流IMを、期間TMの間、キャパシターCに流す制御を行うことで、キャパシターCを充電する。この場合の期間TMは、図1のタイマー74により設定される。
【0088】
次に、充電電圧VCH=V1を測定する(ステップS3)。即ち、容量測定用電流IMによる充電電圧VCH=V1を、A/D変換部72により測定する。そして、初期電圧V0、充電電圧VCH=V1等に基づいて、容量C=(IM×TM)/(V1−V0)を求める(ステップS4)。即ち、容量Cが既知ではない場合に、この容量Cを電流制御部32のハードウェアを有効活用して求める。
【0089】
次に、トータル電荷量QTLを算出する(ステップS5)。図6(A)で説明したように、トータル電荷量は、QTL=QEP+QBA=TEP×IEP+C×VOLの演算式により求めることができる。また、現在の蓄積電荷量Q0=C×V1を算出し(ステップS6)、ターゲット電荷量QTGを算出する(ステップS7)。図6(B)で説明したように、ターゲット電荷量は、QTG=QTL−Q0=QTL−C×V1の演算式により求めることができる。なお、図7のステップS4、S5、S6、S7等の演算処理は図1の演算処理部76により実行される。
【0090】
そして、図6(C)で説明したように、可変の充電電流ICHで、TCH期間の間、充電する(ステップS8)。即ち、電流制御部32が、充電電流ICMを、期間TCHの間、キャパシターCに流す制御を行うことで、キャパシターCを充電する。これにより、蓄積電荷量は、QCH(n)=QCH(n−1)+ICH×TCHに更新される。この場合の期間TCHは、図1のタイマー74により設定される。また、充電電流ICHの大きさは、図1の制御信号ICTを用いて可変に設定される。
【0091】
そして、現在の蓄積電荷量QCHが、ターゲット電荷量QTGに達したか否かを判断し(ステップS9)、達していない場合にはステップS8に戻り、可変の充電電流ICHで、TCH期間の間、再度、充電を行う。一方、QCHがQTGに達した場合には、充電が終了したと判断する(ステップS10)。なお、図7のステップS9では、QCH≧QTGかどうかを判断しているが、多少のマージンを持たせるために、QCH≧QTG+ΔQかどうかを判断してもよい。
【0092】
以上のように本実施形態では、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて、充電電流の制御を行う。具体的には、蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。この場合に、ターゲット電荷量QTGは、電源供給先デバイスの動作下限電圧情報や使用電力情報に基づいて設定される。
【0093】
例えば図7のステップS5や図6(A)において、トータル電荷量QTLは、電源供給先デバイスの動作下限電圧により特定される電荷量QBAと、使用電力(使用電荷量)により特定される電荷量QEPとにより求められる。そして、ステップS7に示すように、ターゲット電荷量QTGは、トータル電荷量QTLに基づいて求められる。即ち、ターゲット電荷量QTGは、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて求められている。そして、ステップS8、S9に示すように、本実施形態では、キャパシターCの蓄積電荷量QCHが、ターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御が行われる。つまり、蓄積電荷量QCHが、動作下限電圧や使用電力の情報に基づき求められたターゲット電荷量QTGに達するまで、充電電流を流す制御が行われる。
【0094】
このようにすれば、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報により、目的となる適切なターゲット電荷量QTGを求めて、無駄の無い充電動作でキャパシターCを充電することができる。即ち、短い時間であっても必要な分の電荷を効率良くキャパシターCに蓄電することが可能になる。
【0095】
また、本実施形態では、キャパシターCの充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された電圧情報に基づいて充電電流の制御を行う。例えば図7のステップS3で、充電電圧VCHを測定して、測定結果に基づいて充電電流の制御を行う。
【0096】
具体的には、ステップS6に示すように、測定された電圧情報に基づいて、キャパシターCの蓄積電荷量Q0を求める。そしてステップS7に示すように、蓄積電荷量Q0と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量QTLとに基づいて、ターゲット電荷量QTGを求める。そしてステップS8、S9に示すように、キャパシターCへの蓄積電荷量QCHが、少なくともターゲット電荷量QTGに達するまで、キャパシターCに充電電流を流す制御を行う。
【0097】
このようにすれば、既に蓄積されている電荷量や、蓄えるべき電荷量を正確に測定・把握して、キャパシターCの充電が制御されるため、正確で無駄の無い充電制御を実現できる。
【0098】
この場合に、上述したように本実施形態では、電源供給先デバイスの動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量QTLが設定される。このようにすれば、更に無駄ない充電制御を実現できる。
【0099】
更に、ステップS2に示すように、キャパシターCに容量測定用電流IMを流す制御を行うことで、蓄積容量Cを測定する。そして測定された蓄積容量Cと、動作下限電圧や使用電力の情報に基づいて、トータル電荷量QTLを設定する。このようにすれば、蓄積容量Cが既知ではない場合にも、これに対応することが可能になり、利便性等を向上できる。例えばICカードの製品ごとに容量値が異なる場合にも、対応することが可能になる。また、カード面積により容量値が変わるなど、容量値が可変の場合にも対応可能になる。更に、容量値に製造バラツキがある場合などにも、これに対応可能になる。
【0100】
3.起動用キャパシター
次に、本実施形態の回路装置の電源管理部20の詳細な構成例について、前述の図2等を用いて説明する。図2に示すように電源管理部20は、第1、第2の蓄積制御部30、40と、電源供給部50を含む。第1の蓄積制御部30は、図1の電流制御部32を含む。なお図1のキャパシターCが、例えば図2のキャパシターC1に相当する。
【0101】
第1の蓄積制御部30(第1の蓄積動作部)は、電磁誘導により電力を受電する受電部10からの電力を受けて、蓄電用のキャパシターC1(広義には第1の電荷蓄積部)に対して電荷を蓄積する制御(動作)を行う。第2の蓄積制御部40(第2の蓄積動作部)は、受電部10からの電力を受けて、起動用のキャパシターC2(広義には第2の電荷蓄積部)に対して電荷を蓄積する制御(動作)を行う。
【0102】
具体的には、第1の蓄積制御部30は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、第1の蓄積ノードNA1との間に設けられる。そして、蓄電用のメインのキャパシターC1を充電するための電流や電圧を制御して、キャパシターC1への充電制御を行う。
【0103】
例えばシステムデバイス100が、画像を表示する電気泳動表示部(EPD)の表示制御処理を行う場合を想定する。この場合には、第1の蓄積制御部30は、電気泳動表示部(不揮発性表示素子)の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、キャパシターC1に蓄積する制御を行う。このようにすることで、電磁誘電による受電後に、システムデバイス100の表示部を少なくとも1回だけ書き換えることが可能になる。これにより、例えばプリペイカードや電子マネーのICカードに適用した場合には、端末装置にICカードをかざした後に、使用金額や残高等をICカードの表示部に表示することが可能になる。
【0104】
ここで、少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷とは、例えば受電後に1画面分の画像の表示書き換えを行う場合には、1画面分の画像データを書き換えるのに必要な電荷である。或いは、受電後に1画面の一部分の画像の表示書き換えを行う場合には、その一部分の画像データを書き換えるのに必要な電荷である。これらの電荷の量は、設計や実測により予め知ることができる。従って、例えば第1の蓄積制御部30は、その電荷量の設計値や実測値におけるワーストケースデータに対応する電荷を、キャパシターC1に蓄積する制御を行えばよい。
【0105】
一方、第2の蓄積制御部40は、受電部10からの電力の入力ノードNIと、第2の蓄積ノードNA2との間に設けられる。そして、起動用のサブのキャパシターC2を充電するための電流や電圧を制御して、キャパシターC2への充電制御を行う。
【0106】
電源供給部50は、電磁誘導の電力による電源をシステムデバイス100(及び制御部70)に対して供給する。例えば電源供給部50は、キャパシターC1、C2(第1、第2の電荷蓄積部)に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイス100に対して電源を供給する。具体的には、蓄積ノードNA1、NA2の電圧に基づく電源電圧を、システムデバイス100への電源の出力ノードNQに対して出力する。
【0107】
この場合に電源供給部50は、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)の蓄積電荷により得られる電源電圧が、システムデバイス100の動作下限電圧を超えた後に、システムデバイス100に対して電源を供給することが望ましい。ここで、動作下限電圧は、前述のように、システムデバイス100が正常な動作を行うことが保証されている電圧である。例えば動作下限電圧よりも低い電源電圧がシステムデバイス100に供給されると、システムデバイス100を構成するトランジスターに貫通電流が流れるなどの不具合が発生するおそれがある。この点、電源供給部50が、動作下限電圧を超えるまでシステムデバイス100に対して電源を供給しないようにすることで、このような不具合の発生を防止できる。
【0108】
システムデバイス100(広義には電源供給対象デバイス)は、電磁誘導による電源の供給対象となるデバイスである。このシステムデバイス100は、例えば画像を表示する表示部の表示制御処理などを行う。このシステムデバイス100は、例えば表示コントローラー内蔵のマイコンなどにより実現できる。
【0109】
そして本実施形態では、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)は、蓄電用のキャパシターC1(第1の電荷蓄積部)よりも電荷の蓄積容量(キャパシタンス)が小さいシステム起動用の電荷蓄積部となっている。一例としては、蓄電用のキャパシターC1の容量は、数十μF〜数百μF(例えば100μF程度)であり、起動用のキャパシターC2の容量は、1μF以下(例えば0.1μF程度)である。この蓄電素子となるキャパシターC1等としては、スパーキャパシターなどのコンデンサーを使用できる。従って、蓄電素子を薄型に構成できるため、ICカード等にも容易に内蔵することが可能になる。
【0110】
キャパシターC1の一端は、第1の蓄積制御部30の出力ノードである蓄積ノードNA1に接続され、他端は例えばGNDノードに接続される。またキャパシターC2の一端は、第2の蓄積制御部40の出力ノードである蓄積ノードNA2に接続され、他端は例えばGNDノードに接続される。なお、電力の入力ノードNIには、電位安定化用のキャパシターCCの一端が接続されている。
【0111】
そして電源供給部50は、受電部10による受電開始後のシステム起動時には、キャパシターC2(第2の電荷蓄積部)の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイス100に対して供給する。即ち、システム起動時には、システム起動用の小容量のキャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源(ノードNA2の電圧に基づく電源電圧)を、システムデバイス100に対して供給する。
【0112】
一方、電源供給部50は、受電部10による受電終了後の期間においては、キャパシターC1(第1の電荷蓄積部)の蓄積電荷に基づく電源を、システムデバイス100に対して供給する。即ち、システムが起動してキャパシターが十分に充電された受電終了後の期間においては、蓄電用の大容量のキャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源(ノードNA1の電圧に基づく電源電圧)を、システムデバイス100に対して供給する。
【0113】
なお、受電終了後の期間にシステムデバイス100に供給される電源は、キャパシターC1、C2の両方の蓄積電荷に基づく電源であることが望ましい。また、キャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源は、受電期間のうちシステム起動時(受電期間の前半)にシステムデバイス100に供給されれば十分であり、例えば受電期間の後半において、キャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源がシステムデバイス100に供給されてもよい。
【0114】
以上の図2に示す本実施形態の回路装置では、受電部10による受電開始後に、起動用の小容量のキャパシターC2は短時間で充電されるため、システムデバイス100に対して迅速に電源電圧を供給してシステムを立ち上げることが可能になる。そして、その後に、キャパシターC2よりも大容量の蓄電用のキャパシターC1が充電され、受電期間終了後も、このキャパシターC1に充電された電荷に基づいて、システムデバイス100に電源を供給して動作させることが可能になる。
【0115】
例えば非接触のICカードに本実施形態の回路装置を適用する場合、短い時間で端末装置と通信を行い、蓄電する必要がある。ところが、蓄電されるキャパシターは大容量であり、その充電電圧の立ち上がりは遅く、システム(システムデバイス)のリセットが解除されずに、通信を開始できないという課題がある。
【0116】
この点、本実施形態では図2に示すように、蓄電用の大容量のキャパシターC1に加えて、起動用の小容量のキャパシターC2が設けられている。これにより、受電開始の直後は、このキャパシターC2の充電電圧でシステムデバイス100を動作させて通信等を行うことが可能になる。従って、蓄電用のキャパシターC1の容量に依存せずに、システムを立ち上げることができ、通信システムを早期に立ち上げて、蓄電及び通信時間を短くすることが可能になる。
【0117】
例えば、不揮発表示素子であるEPDは、表示情報を無電源状態で保持できるため、図3のようなICカード190の表示部150として好適な表示装置である。
【0118】
ところが、EPDは、液晶表示装置に比べて、表示情報の書き換えに長時間(例えば1秒)を要するという問題点がある。このため、図3のように、端末装置202にICカード190をかざすというタッチ&ゴー(Touch&Go)の操作で、電力を受電して、EPDの表示書き換えを行うのは困難であるという課題がある。
【0119】
例えば図8(A)の比較例の手法では、電磁誘導による受電期間TRの長さT1を長くし、A1に示すように受電期間TRの前半において、端末装置202(リーダー/ライター)からのデータ受信を行う。そして、A2に示すように受電期間TRの後半の表示書き換え期間TCにおいて、EPDの表示書き換えを行っている。この場合、表示書き換え期間TCの長さT2は、受電期間TRの長さT1よりも短くなる。
【0120】
しかしながら、図8(A)の比較例の手法では、受電期間TRの長さT1が長くなってしまうため、図3のようなタッチ&ゴーの操作(例えば0.1秒程度の長さの操作)を実現できなくなってしまう。
【0121】
そこで本実施形態では、図8(B)に示すように、受電期間TRの長さT1を短くする。そしてA3に示すように受電期間TRの間に、端末装置202からのデータ受信を行い、A4に示すように、その後の表示書き換え期間TCにおいてEPDの表示書き換えを行う。この場合に、受電期間TRの長さをT1とし、表示書き換え期間TCの長さをT2とした場合に、T2>T1の関係が成り立つようにする。
【0122】
このように、受電期間TRの長さT1を短くすることで、図3のようなタッチ&ゴーの操作で、ICカード190が電力を受電して動作することが可能になる。また、表示書き換え期間TCの長さT2を長くすることで、表示部150としてEPDを利用した場合にも、表示情報の書き換えが可能になる。即ち、EPDは、液晶表示装置に比べて、表示情報の書き換えに長時間(1秒)を要するが、T2が長くなることで、少なくとも1回分のEPDの表示書き換えが可能になる。
【0123】
この場合に、受電期間TRの長さT1が短いと、EPDの表示書き換えに必要な十分な電荷を蓄積できないおそれがある。
【0124】
そこで図2では、蓄電用のキャパシターC1として大容量のキャパシターを設けている。例えばキャパシターC1として、スパーキャパシターなどのコンデンサーを用いることで、EPDの表示書き換えに必要な十分な電荷を蓄積することができる。
【0125】
具体的には、第1の蓄積制御部30は、EPD(電気泳動表示部)の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、キャパシターC1(電荷蓄積部)に蓄積する制御を行う。
【0126】
そしてシステムデバイス100は、受電部10の受電期間TRにおいてキャパシターC1(電荷蓄積部)に蓄積された電荷に基づく電源が供給されて、受電後の表示書き換え期間TCにおいて、EPDの表示書き換え処理を行う。例えば受電期間TRにおいて端末装置202から受信したデータに基づいて、EPDの表示書き換え処理を行う。この場合に、上述のように、受電期間TRの長さT1と、表示書き換え期間TCの長さT2との間には、T2>T1の関係が成り立つ。
【0127】
即ち本実施形態では図8(B)に示すように、短い受電期間TRにおいて大容量の蓄電用のキャパシターC1に電荷を蓄積し、その後の長い表示書き換え期間TCにおいてEPDの表示情報の書き換え処理を行う。
【0128】
このようにすれば、タッチ&ゴーの操作が要求されるICカードに対して、表示情報を無電源状態で保持できるEPDを組み込むことが可能になり、EPDにより各種情報を表示可能なICカードを実現できるようになる。
【0129】
この場合に図8(B)に示すように受電期間TRを短くすると、その後の長い表示書き換え期間TCに亘って、システムデバイス100を動作させることが難しくなる。
【0130】
この点、本実施形態では、大容量の蓄電用のキャパシターC1を設けると共に、第1の蓄積制御部30での充電制御を工夫することで、短い受電期間TRであっても、長い表示書き換え期間TCに亘ってシステムデバイス100を動作させるのに必要な十分な電荷を蓄積することに成功している。特に、蓄電用のキャパシターC1に蓄積する電荷を、EPDの例えば1回分の表示書き換えに必要な電荷量に限定することで、受電期間TRを短くしても、長い表示書き換え期間TCに亘ってシステムデバイス100を動作させて、EPDの表示書き換えを行うことが可能になる。
【0131】
ところが、このように蓄電用のキャパシターC1を大容量にすると、システムデバイス100に供給される電源電圧が、なかなか立ち上がらずに、早期にシステムを起動できなくなってしまうという課題がある。
【0132】
そこで本実施形態では、蓄電用のキャパシターC1とは別に起動用のキャパシターC2を設けている。図9(A)のB1、B2に示すように、これらのキャパシターC1、C2は、受電部10からの出力電圧に基づいて、第1、第2の蓄積制御部30、40を介して充電される。
【0133】
そして図9(A)のB3に示すように、受電部10による受電開始後のシステム起動時には、起動用のキャパシターC2の蓄積電荷に基づく電源が、システムデバイス100に対して供給される。即ち、起動用のキャパシターC2の容量は小さいため、C2の電荷蓄積ノードNA2の電圧の立ち上がりは早く、この電圧がB3に示すように電源電圧としてシステムデバイス100に供給される。
【0134】
一方、図9(B)に示すように、受電部10による受電終了後の期間では、蓄電用のキャパシターC1の蓄積電荷に基づく電源が、システムデバイス100に対して供給される。即ち、蓄電用のキャパシターC1の容量は大きいため、C1の電荷蓄積ノードNA1の電圧の立ち上がりは遅い。しかしながら、受電開始後、時間が経過すると、この電圧は、システムデバイス100の動作下限電圧を上回るようになり、B4に示すように電源電圧としてシステムデバイス100に供給できるようになる。
【0135】
こうすることで、図8(B)のA5に示すように早期にシステム電源をオンにしてシステムデバイス100を動作させることが可能になる。これにより、A3に示すデータ受信処理を早期に完了させることが可能になり、タッチ&ゴーの操作を実現する短い受電期間にも対応できるようになる。
【0136】
即ち、タッチ&ゴーの操作を実現するためには、短い受電期間の間に、ICカード190と端末装置202との間のデータ受信を完了させる必要がある。ところが、大容量のキャパシターC1を用いることで電源電圧の立ち上がりが遅くなり、システムの立ち上がりも遅くなると、その分だけで、データ受信の開始が遅れてしまい、短い受電期間の間に、システムデバイス100がデータ受信処理を完了できなくなってしまう。
【0137】
この点、本実施形態では、小容量の起動用のキャパシターC2に基づく電源によりシステムデバイス100が早期に立ち上がって動作するため、短い受電期間であってもシステムデバイス100はデータ受信処理を完了することが可能になり、ICカード190のタッチ&ゴーの操作に対応できるようになる。以上のように本実施形態の電源供給手法は、EPDの表示部を備え、タッチ&ゴーの操作が要求される非接触のICカード等に好適な手法になる。
【0138】
4.回路装置の詳細な構成例
次に本実施形態の回路装置の詳細な構成例について図10等を用いて説明する。図10では、図1、図2の第1の蓄積制御部30は、電流制御部32により実現され、第2の蓄積制御部40は、起動用レギュレーター42により実現される。
【0139】
電流制御部32は、受電部10を構成する整流回路12からの電圧VINを受けて、逆流防止用のダイオードI3を介して、充電電流を、蓄積ノードNA1に出力する。
【0140】
起動用のレギュレーター42は、整流回路12からの電圧VINを受けて、電圧調整後の電圧VA2を、蓄積ノードNA2に出力する。例えば電圧調整により定電圧VA2を出力する。具体的には、例えば最大で15V程度の電圧が、レギュレーター42により例えば4.5V程度の定電圧VA2に降圧されて、起動用のキャパシターC2への電荷蓄積が行われる。
【0141】
図10では、電源供給部50は、第1、第2のダイオードDI1、DI2を含む。ここでDI1は、蓄電用レギュレーター32(第1の電荷蓄積部30)の蓄積ノードNA1と接続ノードNCとの間に設けられ、蓄積ノードNA1から接続ノードNCへと向かう方向を順方向とするダイオードである。また、DI2は、起動用レギュレーター42(第2の電荷蓄積部40)の蓄積ノードNA2と接続ノードNCとの間に設けられ、蓄積ノードNA2から接続ノードNCへと向かう方向を順方向とするダイオードである。そして電源供給部50は、接続ノードNCの電圧に基づいてシステムデバイス100に対して電源を供給することになる。
【0142】
このようなダイオードDI1、DI2により電源供給部50を構成することで、接続ノードNCから蓄積ノードNA1、NA2への電流の逆流を防止できると共に、蓄積ノードNA1、NA2の電圧VA1、VA2を、電源電圧VCとして接続ノードNCに出力できるようになる。
【0143】
図11(A)は、図10の回路装置の動作を説明するための電圧波形図である。
【0144】
受電が開始して、受電部10からの電圧VINが供給されると、起動用のキャパシターC2の容量は小さいため、D1に示すように、キャパシターC2の蓄積ノードNA2の電圧VA2は早期に立ち上がる。そして、後に詳述するように、D2に示すようにシステムデバイス100の動作下限電圧に対応するしきい値電圧VTHを超えると、電圧VA2に対応する電圧が、電源電圧VCとしてシステムデバイス100に供給される。具体的には、ダイオードDI1の順方向電圧の分だけVA2から降下した電圧がVCとして供給される。
【0145】
一方、蓄電用のキャパシターC1の容量は大きいため、D3に示すように、キャパシターC1の蓄積ノードNA1の電圧VA1が徐々に立ち上がる。そして電圧VA1が立ち上がると、電圧VA1に対応する電圧が、電源電圧VCとしてシステムデバイス100に供給される。具体的には、ダイオードDI1の順方向電圧の分だけVA1から降下した電圧がVCとして供給される。
【0146】
受電開始後、受電期間が終了すると、キャパシターC1、C2の電荷が放電されるため、D4に示すように電源電圧VCは徐々に低下する。この場合に本実施形態では、キャパシターC1の容量は十分に大きいため、図8(B)のA4や図11(A)のD5に示すように、長い時間(例えば1秒)の表示書き換え期間を確保することが可能になる。
【0147】
なお図11(B)は、蓄積電流と放電電流の関係を示す図である。例えば受電期間においては、E1に示すようにキャパシターに電荷が蓄積される。またE2に示すように、システム起動等のためにキャパシターから電荷が放電される。そして表示書き換え期間では、E3に示すようにキャパシターから電荷が放電され、この放電された電荷に基づいて、システムデバイス100によるEPDの表示書き換え処理が行われることになる。
【0148】
なお、本実施形態の回路装置の構成は図10には限定されず、種々の変形実施が可能である。例えがダイオードDI1、DI2、DI3に代わって、スイッチ・トランジスター回路等を設けてもよい。このようなスイッチ・トランジスター回路を用いれば、ダイオードの順方向電圧による電圧降下がないため、その分だけで電源供給効率を向上できるという利点がある。一方、図10では、ダイオードDI1、DI2により電圧のスイッチ動作が実現されるため、スイッチ動作用の制御信号が不要であるという利点がある。例えばシステム起動前では、このような制御信号を生成することは困難な状況になるが、図10の構成例によれば、このような状況にも対応できるようになる。
【0149】
5.電流制御部
図12に、図1の電流制御部32の詳細な構成例を示す。この電流制御部32は、演算増幅器OP1、OP2、トランジスターTB1〜TB5、抵抗RB1〜RB7、RCHを含む。なお電流制御部32の構成は、図12の構成に限定されるものではなく、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また、図12とは異なる回路方式の電流制御部を採用してもよい。
【0150】
トランジスターTB1、TB2、TB3は、図1の制御部70からの制御信号ICTによりオン・オフ制御される。例えば、制御信号ICTが3ビットの信号ICT1、ICT2、ICT3により構成される場合に、トランジスターTB1、TB2、TB3の各々は、これらの信号ICT1、ICT2、ICT3の各々によりオン・オフ制御される。そして、抵抗RB1、RB2、RB3の各々の一端は、トランジスターTB1、TB2、TB3の各々に対して接続される。そして抵抗RB1、RB2、RB3の他端は、ノードNB1に共通接続される。
【0151】
演算増幅器OP1の反転入力端子には、基準電圧VRが入力され、非反転入力端子にはノードNB1が接続される。そして、演算増幅器OP1の出力は、ノードNB2とNB1の間に設けられるトランジスターTB4のゲートに接続される。これにより、ノードNB1の電圧VB1が、基準電圧VRに設定されるように、演算増幅器OP1が動作することになる。そして、このようにノードNB1が、定電圧である基準電圧VR(例えば1.25V)に設定されれば、制御部70の制御によりトランジスターTB1、TB2、TB3をオン・オフ制御することで、抵抗RB4、RB5に流れる電流IBを可変に制御できるようになる。
【0152】
また図12では、演算増幅器OP2の非反転入力端子はノードNB2に接続され、反転入力端子はノードNB3に設定される。そして、演算増幅器OP2の出力は、ノードNIとNB4の間に設けられたトランジスターTB5のゲートに接続される。これにより、ノードNB2の電圧VB2とノードNB3の電圧VB3が等しくなるように、演算増幅器OP2が動作することになる。即ち、VB2=VB3になるように演算増幅器OP2が動作する。
【0153】
そして、RB6、RB7はダミーの抵抗であり、ノードNB5からNB3に対して電流は流れない。このため、抵抗RB6、RB7の両端の電圧は等しくなり、VB5=VB3=VB2になる。
【0154】
また、抵抗RB4、RB5の抵抗値を、同じ記号であるRB4、RB5で表せば、VB4=VB2+IB×(RB4+RB5)になる。
【0155】
従って、抵抗RCHの両端に対しては、VB4−VB5=VB2+IB×(RB4+RB5)−VB5=VB2+IB×(RB4+RB5)−VB2=IB×(RB4+RB5)の電圧差が印加されることになる。従って、抵抗RCHに流れる電流ICHは、ICH=IB×{(RB4+RB5)/RCH}となり、この電流ICHが、充電電流としてキャパシターC1に流れて、充電動作が行われるようになる。
【0156】
そして、上述のように電流IBは、制御部70からの制御信号ICT(ICT1〜ICT3)により可変に制御される。従って、充電電流ICH=IB×{(RB4+RB5)/RCH}も、制御信号ICTにより可変に制御されるようになる。
【0157】
例えば図12において、抵抗RB1、RB2、RB3は、各々、例えば5KΩ、10KΩ、20KΩというように異なった抵抗値になっている。そして、例えばトランジスターTB1、TB3がオフで、トランジスターTB2がオンになるような制御信号ICTを、制御部70が出力したとする。すると、ノードNB1の電圧はVB1=VR=1.25Vになるため、IB=125μAになる。そして、RCH=RB4+RB5とすると、ICH=125μAの充電電流が、キャパシターCに流れるようになる。
【0158】
このように図12の構成の電流制御部32によれば、制御部70からの制御信号ICTによりトランジスターTB1〜TB3のオン・オフを制御することで、充電電流ICHを可変に制御できるようになる。これにより、図5(A)、図5(B)で説明したような本実施形態の充電手法の実現が可能になる。そして図12の構成によれば、抵抗RCHの両端の電圧差を小さな電圧差に設定できるため、少ない電圧降下で充電電流ICHを可変に制御できるようになり、充電効率の向上等を図れる。
【0159】
6.システムデバイス
次に、システムデバイス100の構成例について説明する。図13にシステムデバイス100の詳細な構成例を示す。システムデバイス100は、ホストI/F110、処理部120、レジスター部130、波形情報メモリー140、画像メモリー142、ワークメモリー144を含む。なおシステムデバイス100の構成は図13の構成には限定されず、その一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えばメモリー140、142、144は外付けのメモリーであってもよい。
【0160】
ホストI/F110は、ホストとなる相手側機器(送電装置、端末装置、充電器)との間で情報の送受信を行うためのインターフェースである。このホストI/F110は、図2に示すように制御部70を介して受電部10側のホストI/F18と接続される。これにより、送電装置200(相手側機器)との間での情報の送受信が可能になる。この情報の送受信は例えばコイルL1、L2を用いた振幅変調処理(周波数変調処理)や負荷変調処理により実現できる。
【0161】
処理部120は、表示部150の表示制御処理や、システムの各種の制御処理を行う。この処理部120は、例えばプロセッサーやゲートアレイ回路等により実現できる。
【0162】
処理部120により表示制御される表示部150は、表示パネル152(電気光学パネル)と、表示パネル152を駆動する回路であるドライバー回路154を有する。ドライバー回路154は、表示パネル152のデータ線(セグメント電極)や走査線(コモン電極)を駆動する。表示パネル152は、例えば電気泳動素子等の表示素子により実現される。
【0163】
レジスター部130は、制御レジスターやステータスレジスターなどの各種のレジスターを有する。このレジスター部130はSRAMなどのRAMやフリップフロップ回路などにより実現できる
波形情報メモリー140は、EPDを駆動するためのウェーブフォーム情報やインストラクションコード情報などを記憶する。この波形情報メモリー140は、例えばデータの書き換え・消去が可能な不揮発性メモリー(例えばフラッシュメモリー)などにより実現できる。
【0164】
画像メモリー142(VRAM)は、表示パネル152に表示される例えば1画面分の画像データを記憶する。ワークメモリー144は処理部120等のワーク領域となるメモリーである。これらの画像メモリー142、ワークメモリー144は、SRAMなどのRAMにより実現できる。
【0165】
図14(A)に表示パネル152の構成例を示す。この表示パネル152は、素子基板300と、対向基板310と、素子基板300と対向基板310との間に設けられた電気泳動層320を含む。この電気泳動層320(電気泳動シート)は、電気泳動物質を有する多数のマイクロカプセル322により構成される。このマイクロカプセル322は、例えば正に帯電した黒色の正帯電粒子(電気泳動物質)と、負に帯電した白色の負帯電粒子(電気泳動物質)を分散液中に分散させ、この分散液を微少なカプセルに封入することで実現される。
【0166】
素子基板300はガラスや透明樹脂により形成される。この素子基板300には、複数のデータ線(セグメント電極)や、複数の走査線(共通電極)や、各画素電極が各データ線と各走査線の交差位置に設けられる複数の画素電極が形成される。またTFT(薄膜トランジスター)等により形成される各スイッチ素子が各画素電極に接続される複数のスイッチ素子が設けられる。またデータ線を駆動するデータドライバーや、走査線を駆動する走査ドライバーが設けられる。
【0167】
対向基板310には、共通電極(透明電極)が形成され、この共通電極にはコモン電圧VCOM(対向電圧)が供給される。なお透明樹脂層に透明な導電材料で共通電極を形成し、この上に接着剤等を塗布して電気泳動層を接着することで、電気泳動シートを形成してもよい。
【0168】
図14(A)の表示パネル152では、画素電極と共通電極の間に電界が印加されると、マイクロカプセル322に封入された正帯電粒子(黒色)及び負帯電粒子(白色)には、その帯電の正負に応じた方向に静電気力が作用する。例えば画素電極の方が共通電極よりも高電位である画素電極上では、共通電極側に正帯電粒子(黒色)が移動するため、その画素は黒表示になる。
【0169】
次に、図13の波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報について説明する。ここではEPD(電気泳動表示部)のウェーブフォーム情報を例にとり説明する。
【0170】
例えば液晶表示装置においては、図14(B)のF1に示すように、画素の階調を第1の階調から第2の階調に変化させる場合には、データ線(ソース線)のデータ電圧も、第1の階調に対応するデータ電圧VG1から第2の階調に対応するデータ電圧VG2へと、1フレームの期間で変化する。
【0171】
一方、EPDにおいては、図14(C)のF2に示すように、画素の階調を第1の階調から第2の階調に変化させる場合に、データ線のデータ電圧は、複数フレームに亘って変化する。例えば白に近い第1の階調から黒に近い第2の階調に変化させる場合に、複数フレームに亘って白、黒の表示を繰り返して、画素の階調を最終的な第2の階調に変化させる。例えば図14(C)のウェーブフォームでは、初めの3フレームではデータ電圧はVAに設定され、次の3フレームでは−VAに設定されるというように、データ電圧が複数フレームに亘って変化する。なお、ウェーブフォームは、現在の表示状態での画素の階調と、次の表示状態での画素の階調との組み合わせに依っても異なった形になる。
【0172】
波形情報メモリー140は、図14(C)のF2に示すようなウェーブフォーム情報を記憶する。処理部120は、画像メモリー142に記憶される画像データ(各画素の階調データ)と、波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報に基づいて、各フレームでのEPDの駆動電圧を決定して、EPD(表示部150)の表示制御処理を行う。
【0173】
そして図14(B)のF1と図14(C)のF2を比較すれば明らかなように、EPDでは、液晶表示装置等に比べて表示情報の書き換えに長い時間を要する。このため図8(B)の表示書き換え期間TCの長さT2を長くする必要があるという課題がある。
【0174】
この点、本実施形態では前述したように、蓄電用の大容量のキャパシターC1を設け、EPDの少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、受電期間TRの間にキャパシターC1に蓄電する。
【0175】
また、起動用の小容量のキャパシターC2を設けることで、図8(B)のA5に示すように早期にシステムの電源がオンになる。これにより、図13の処理部120は、A3に示すように、ホストI/F110を介して、ホストである相手側機器(送電装置、端末装置)から、表示情報などのデータを受信する。
【0176】
そして処理部120は、受電後の表示書き換え期間TCにおいて、図8(B)のA4に示すようにEPDの表示書き換え処理を行う。即ち、ホストI/F110を介して受信され、画像メモリー142に書き込まれた表示情報と、波形情報メモリー140に記憶されるウェーブフォーム情報に基づいて、図14(C)のF2に示すようなウェーブフォームで、EPDの表示書き換え処理を行う。
【0177】
このようにすることで、表示書き換え期間が長いEPDであっても、短い受電期間TRで受電した電荷に基づいて、表示情報の書き換えを実行できるようになる。従って、例えば図3に示すようなタッチ&ゴーの操作が要求される非接触のICカードに対して、無電源状態で表示情報を保持できるEPDの表示部150を組み込むことが可能になり、これまでに無いタイプのICカードを実現することが可能になる。
【0178】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(電荷蓄積部、第1の電荷蓄積部、第2の電荷蓄積部等)と共に記載された用語(キャパシター、蓄電用キャパシター、起動用キャパシター等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また回路装置、電子機器の構成・動作や、電流制御手法、充電手法、電源供給手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0179】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、CA、CB、CC、CP キャパシター、
C、キャパシター、C1 蓄電用キャパシター、C2 起動用キャパシター、
DI1、DI2、DI3 第1、第2、第3のダイオード、
OP1、OP2 演算増幅器、TB1〜TB5 トランジスター、
RB1〜RB7 RCH 抵抗、VR 基準電圧、
10 受電部、12 整流回路、18 ホストI/F、20 電源管理部、
30 第1の蓄積制御部、32 電流制御部、
40 第2の蓄積制御部、42 起動用レギュレーター、50 電源供給部、
70 制御部、72 A/D変換部、74 タイマー、76 演算処理部、
90 回路装置、100 システムデバイス、110 ホストI/F、
120 処理部、130 レジスター部、140 波形情報メモリー、
142 画像メモリー、144 ワークメモリー、150 表示部、
152 表示パネル、154 ドライバー回路、190 ICカード、
200 送電装置、202 端末装置、210 表示部、300 素子基板、
310 対向基板、320 電気泳動層、322 マイクロカプセル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力を受けて、電荷蓄積部に対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部と、
前記電流制御部を制御して、前記充電電流を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど前記充電電流を小さくする制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、
電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御部は、
前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、
電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記ターゲット電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御部は、
前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記ターゲット電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された前記電圧情報に基づいて前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御部は、
測定された前記電圧情報に基づいて、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量を求め、前記蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求め、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくとも前記ターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記制御部は、
前記電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記電源供給先デバイスを動作させるのに必要な前記トータル電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部に容量測定用電流を流す制御を行うことで、前記電荷蓄積部の蓄積容量を測定し、測定された前記蓄積容量と、前記動作下限電圧情報と、前記使用電力情報とに基づいて、前記トータル電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記電流制御部を有し、前記受電部からの電力を受けて、前記電荷蓄積部である第1の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第1の蓄積制御部と、
前記受電部からの電力を受けて、第2の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第2の蓄積制御部と、
前記第1の電荷蓄積部、前記第2の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイスに対して電源を供給する電源供給部と、
を含み、
前記第2の電荷蓄積部は、前記第1の電荷蓄積部よりも電荷の蓄積容量が小さいシステム起動用の電荷蓄積部であり、
前記電源供給部は、
前記受電部による受電開始後のシステム起動時には、前記第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給することを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記電源供給部は、
前記受電部による受電終了後の期間においては、前記第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給することを特徴とする回路装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、
前記システムデバイスは、画像を表示する電気泳動表示部の表示制御処理を行い、
前記第1の蓄積制御部は、
前記電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、前記第1の電荷蓄積部に蓄積する制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかにおいて、
前記電源供給部は、
前記第1の電荷蓄積部の第1の蓄積ノードと接続ノードとの間に設けられ、前記第1の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第1のダイオードと、
前記第2の電荷蓄積部の第2の蓄積ノードと前記接続ノードとの間に設けられ、前記第2の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第2のダイオードとを含み、
前記電源供給部は、
前記接続ノードの電圧に基づいて前記システムデバイスに対して電源を供給することを特徴とする回路装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
電磁誘導により電力を受電する受電部からの電力を受けて、電荷蓄積部に対して可変の充電電流を流す制御を行う電流制御部と、
前記電流制御部を制御して、前記充電電流を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の充電電圧が高くなるほど前記充電電流を小さくする制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、
電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御部は、
前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくともターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、
電源供給先デバイスの動作下限電圧情報に基づいて、前記ターゲット電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記制御部は、
前記動作下限電圧情報と、前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記ターゲット電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部の充電電圧を特定する電圧情報を測定し、測定された前記電圧情報に基づいて前記充電電流の制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記制御部は、
測定された前記電圧情報に基づいて、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量を求め、前記蓄積電荷量と、電源供給先デバイスを動作させるのに必要なトータル電荷量とに基づいて、ターゲット電荷量を求め、前記電荷蓄積部の蓄積電荷量が、少なくとも前記ターゲット電荷量に達するまで、前記電荷蓄積部に前記充電電流を流す制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記制御部は、
前記電源供給先デバイスの動作下限電圧情報と前記電源供給先デバイスの使用電力情報とに基づいて、前記電源供給先デバイスを動作させるのに必要な前記トータル電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記制御部は、
前記電荷蓄積部に容量測定用電流を流す制御を行うことで、前記電荷蓄積部の蓄積容量を測定し、測定された前記蓄積容量と、前記動作下限電圧情報と、前記使用電力情報とに基づいて、前記トータル電荷量を設定することを特徴とする回路装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかにおいて、
前記電流制御部を有し、前記受電部からの電力を受けて、前記電荷蓄積部である第1の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第1の蓄積制御部と、
前記受電部からの電力を受けて、第2の電荷蓄積部に対して電荷を蓄積する制御を行う第2の蓄積制御部と、
前記第1の電荷蓄積部、前記第2の電荷蓄積部に蓄積された電荷に基づいて、システムデバイスに対して電源を供給する電源供給部と、
を含み、
前記第2の電荷蓄積部は、前記第1の電荷蓄積部よりも電荷の蓄積容量が小さいシステム起動用の電荷蓄積部であり、
前記電源供給部は、
前記受電部による受電開始後のシステム起動時には、前記第2の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給することを特徴とする回路装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記電源供給部は、
前記受電部による受電終了後の期間においては、前記第1の電荷蓄積部の蓄積電荷に基づく電源を、前記システムデバイスに対して供給することを特徴とする回路装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、
前記システムデバイスは、画像を表示する電気泳動表示部の表示制御処理を行い、
前記第1の蓄積制御部は、
前記電気泳動表示部の少なくとも1回分の表示書き換えに必要な電荷を、前記第1の電荷蓄積部に蓄積する制御を行うことを特徴とする回路装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれかにおいて、
前記電源供給部は、
前記第1の電荷蓄積部の第1の蓄積ノードと接続ノードとの間に設けられ、前記第1の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第1のダイオードと、
前記第2の電荷蓄積部の第2の蓄積ノードと前記接続ノードとの間に設けられ、前記第2の蓄積ノードから前記接続ノードへと向かう方向を順方向とする第2のダイオードとを含み、
前記電源供給部は、
前記接続ノードの電圧に基づいて前記システムデバイスに対して電源を供給することを特徴とする回路装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−66279(P2013−66279A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202794(P2011−202794)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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