説明

回転するタイヤの機械的エネルギーから電力を発生するシステム及び方法

【課題】追加のハードウエアを必要とせず、低コストの、回転するタイヤの機械的エネルギーから電力を発生するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】一体化電力発生装置14を有するタイヤ組立体10は、1つ以上の圧電装置と電力調整モジュールを具備している。圧電装置はタイヤ又はホイールの組立体内に取り付けられ、地上走行するときに電荷は発生され、1つ以上のエネルギー蓄積装置に蓄積される。蓄積されたエネルギーは、タイヤの圧力、温度、識別変数のような情報を遠隔の受信機の場所に無線送信するタイヤ監視システムのような電子装置に電力を供給するために利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、通常のタイヤ回転による機械的エネルギーを圧電構造体に与えることによってタイヤに組み込んだ電子装置用の電力を発生させる装置および方法に関するものである。圧電技術を利用してタイヤの撓みに伴う機械的な歪みを電荷に変換し、得られた電荷を調整してエネルギー蓄積装置に蓄積し、こうして十分に蓄積されたエネルギーを用いて、各種の物理的タイヤパラメータを識別するための部品や無線(RF)送信装置を含む電子システムへ電力供給すなわち給電する。
【背景技術】
【0002】
電子装置を空気タイヤ構造体中に組み込むことで多く実用的利点が得られる。こうした電子装置には、各種物理的パラメータ、例えば温度、圧力、タイヤ回転数、車両速度等に関する情報を得るためのセンサやその他の部品が含まれる。これら性能情報はタイヤの監視・警報システムで有用であり、さらに、正しいタイヤ圧レベルに調整するためのフィードバックシステムで使用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
下記文献にはタイヤの撓み、タイヤ速度、タイヤ回転数等の情報を求めることができるタイヤ監視システムおよび方法が開示されている。
【特許文献1】米国特許第5,749,984号明細書(Frey達)
【0004】
下記文献には異常なタイヤ状態を警報する別のタイヤ電子装置システムの例が記載されている。
【特許文献2】米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)
【0005】
下記文献に記載のタイヤ電子装置の対象は自動車およびトラックのタイヤと一緒に用いる回転計である。
【特許文献3】米国特許第4,862,486号明細書(Wing達)
【0006】
タイヤ構造体中に電子システムを組み込むことによって得られるさらに他の用途は商業車両の追跡および性能評価ができる点にある。すなわち、商業用トラック、航空機および土木車両/採鉱車両の分野では本発明のタイヤ電子装置システムとそれに関連する情報送信の利点が利用できる。タイヤセンサによって車両の各タイヤの走行距離を求めることができ、商業用システムの整備計画の助けとなる。採鉱装置等のコストのかかる用途では車両の配置および性能を最適化させることができる。車両群全体を無線タグで追跡することができる。この例は下記文献に開示されている。
【特許文献4】米国特許第5,457,447号明細書(Ghaem達)
【0007】
タイヤに組み込まれたこの種の電子システムにはこれまで各種方法および各種電力発生システムから給電がされてきた。タイヤの運動からエネルギーを発生させる機械機構の例は下記文献に開示されている。
【特許文献5】米国特許第4,061,200号明細書(Thompson達)
【特許文献6】米国特許第3,760,350号明細書(Thomas達)
【0008】
しかし、上記文献に記載のシステムは複雑で大きく、現代のタイヤ用途で組み入れるには適していない。
或るタイヤに組み込まれたこの種の電子システムは、様々な圧電装置から給電されている。
【0009】
下記文献は、自己電力発生式タイヤ回転数カウンタを開示している。タイヤに取り付けられた圧電素子が設けられており、タイヤが回転しているときに、周期的な機械的応力を受けて、その周期的な機械的応力に応答して周期的なパルスを発生する。
【特許文献7】米国特許第6438,193号明細書(Ko達)
【0010】
下記文献にはタイヤ電子装置システムのためのさらに別の圧電装置の例が開示されている。この特許ではタイヤの半径方向中心線を中心とした対称なリード状圧電素子電源を用いている。
【特許文献8】米国特許第4,510,484号明細書(Snyder達)
【0011】
タイヤ電子装置システムへの他の形式の給電方法は再充電不可能な電池を使用するものである。しかし、この方法は定期的に電池交換をして電子システムを正しく動作させる必要があるため、タイヤの使用者にとっては不便なものである。また、従来の電池は環境汚染につながる重金属を含んでいることが多いため、電池を多量に使用する場合には廃棄の問題が生じる。さらに、複雑な機能の電子装置へ給電する場合には電池は蓄積したエネルギーを急速に消耗する。電池の蓄積エネルギーの消耗は遠距離通信、例えばトラックホイール位置からトラック車内の受信機までの遠い距離で情報を送信する電子システムでみられる。ホイール位置から上記位置よりも近い受信機位置へ送信する電子システムで電池を使用した場合でも、情報は一般に有線送信媒体を介して無線受信機位置から車内へ中継されるため、多くの場合、高価な追加の通信配線を車両内に設置する必要がある。
【0012】
タイヤ監視システム用の電力を得るため他の公知方法としては、タイヤとそれに組み込まれた電子機構に近接したインテロゲイションアンテナとを用いて無線周波数電力ビームを捕える方法がある。アンテナから放射されるエネルギーを捕捉して電子装置を給電するため、多くの場合、これらの電子装置は数マイクロワット以下の極めて特殊な超低電力電子装置にしなければならない。一般に、ビーム給電される電子装置と一緒に用いるインテロゲイションアンテナは送信範囲が制限されているため、各ホイールのかなり近くに配置しなければならない(約2フィート以内)。従って、一般に、車両一台に多数のアンテナが必要になり、設備コストが増える。また、各アンテナは道路の障害物によって損傷しやすい。こうした多くの理由からある種のタイヤ電子装置システムではこの方法が最も望ましい給電方法であるとはいえない。
【0013】
上記した全特許文献の開示内容の全てを、ここに引用することにより本明細書に組み込んで、本明細書の一部を成すものである。各種のタイヤ電子装置システムと、そのための電力発生システムとが既に開発されているが、以下に開示する本発明による所望特性を全て含んだ構成は知られていない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従来技術における問題に鑑みて、本発明は、タイヤ構造体に組み込まれる電子システムへ給電するための改良されたシステムおよび方法を提供せんとするものである。本発明では、タイヤの撓みに起因する機械的歪を電荷に変換するために圧電技術を用い、得られた電荷を調整して、1つ以上のエネルギー蓄積装置に蓄積する。十分に蓄積された蓄積エネルギーは、タイヤの様々な物理的なパラメータを識別するためのコンポーネントと無線 (RF)送信機とを含む電子装置へ給電される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の自己電力発生式電子装置が組み込まれた空気タイヤ構造体の一実施例の横断面図。
【図2A】本発明の電力発生装置に使用される圧電装置構造体の第1実施例の斜視図。
【図2B】本発明の電力発生装置に使用される圧電装置構造体の第2実施例の斜視図。
【図2C】本発明の電力発生装置に使用される圧電装置構造体の第3実施例の分解部品配列斜視図。
【図3】本発明の電力発生装置、特に電力調整モジュールに係る部分の実施例の概念回路図。
【図4A】本発明の電力発生装置とタイヤ電子装置システムとを含むタイヤ構造体に組み込まれた自己電力発生式電子装置と、それらの相互関係を示す一実施例のブロック図。
【図4B】本発明の電力発生装置とタイヤ電子装置システムとを含むタイヤ構造体に組み込まれた自己電力発生式電子装置と、それらの相互関係を示す別の実施例を示すブロック図。
【図5】本発明のタイヤ電子装置システムの一実施例を示すブロック図。
【図6】本発明の遠隔受信装置の一実施例を示すブロック図。
【図7】図7A、図7B、図7C及び図7Dは、本発明の電力発生装置に使用するための重ねて組合せた複数の圧電素子の配置例を示す図。
【図8】図8A及び図8Bは、本発明の電力発生装置に使用するための直列及び並列に組合せた複数の圧電素子の配置例を示す図。
【図9】図9A、図9B及び図9Cは、本発明の電力発生装置及びタイヤ構造体電子装置システムの実施例における1つ以上のエネルギー蓄積装置と1つ以上の電子応用装置モジュールに接続された複数の圧電素子の例を図示する図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の別の観点から、本発明の目的は、自己電力発生式の電子装置が組み込まれた空気タイヤを提供することである。その電子装置は、組み込まれた圧電構造体から得られたエネルギーから自己給電され、また、様々な電子応用装置に対応させることができる。典型的な電子応用装置の1つには、圧力及び温度等のタイヤ状態に関する情報並びにタイヤ回転数等の他の情報、または一般的なタイヤ識別変数を測定、検知および送信するように構成されたタイヤ監視システムがある。
【0017】
本発明のタイヤ電子装置システムおよび電力発生装置の各種機構および特徴には多くの利点がある。本発明は電池交換に依存しない自己電力発生式の電子システムを提供する。電池および電池式装置を本発明の観点と一緒に用いることはできるが、本発明を用いることによって電池のみによって給電されるタイヤ電子装置の場合の多くの複雑な問題はなくなる。
【0018】
本発明の別の利点は、従来のタイヤ監視システムよりも必要とする信号処理用ハードウェアの数が少ないタイヤ監視システムが提供される点にある。自己電力発生式のタイヤ監視システムを用いることによって捕捉アンテナや複数の受信機の配置が不要になり、追加のハードウェアも不要になる。本発明のタイヤ監視システムは車両の個々のタイヤ構造体中に組み込むことができ、単一の受信機(一般に車内に配置される)によって各タイヤに組み込まれた電子装置から送信された情報を受信することができる。
【0019】
本発明のさらに別の利点はタイヤおよびホイール組立体内で使用可能な電子設備の形式および数量に関する制約が少ない点にある。これに対して従来法で給電されるタイヤ電子装置は電力消費が著しく低い装置に制限されることが多い。本発明装置にはこうした極端な電力制限がない。この利点によってより多くの部品および/またはより高いレベルの設備を使用することができ、タイヤ電子装置のより良い動作をより容易に実行することができる。
【0020】
本発明のさらに別の利点は、本発明のシステムおよび方法を種々の既存の用途で使用することによって、電力を発生させ、得られた電力を利用することができる点にある。すなわち、本発明の測定法、監視および警報システム、車両フィードバックシステムおよび追跡システムは商業用トラック群、飛行機および採鉱車両/土木車両等の用途で使用できる。
【0021】
本発明の1つの典型的な実施例においては、電力発生装置が組み込まれた空気タイヤ組立体は、タイヤ構造体と、圧電装置と、エネルギー蓄積装置と、電子装置組立体とを具備している。タイヤ構造体は、地面と接触する外部トレッド部分を有するクラウン部分と、ホイールリムにタイヤを据え付けるビード部分と、各ビード部分とクラウン部分との間に延在する一対のサイドウォール部分とを有している。圧電装置は、タイヤ構造体が機械歪みを受けると、電荷を発生するように構成されている。エネルギー蓄積装置は、圧電装置に結合されており、圧電装置において発生された電荷の内の選択された量を受けて蓄積する。電子装置組立体は、そのエネルギー蓄積装置に結合されており、電子装置組立体の内の選択された構成要素が、エネルギー蓄積装置に蓄積されている電荷で給電される。
【0022】
本発明のもう1つの典型的な実施例においては、所定の物理的環境に組み込まれた電子装置組立体は、圧電装置と、少なくとも1つのセンサと、アンテナとを具備している。圧電装置は、少なくとも1つの圧電セラミックウエハを有しており、機械的な力を受けたときに電荷を発生するように構成されている。少なくとも1つのセンサは、その圧電装置内で発生された電荷で給電され、所定の物理的環境の予め選択した特徴についての情報を測定する。アンテナは少なくとも1つのセンサに結合されており、その予め選択した特徴についての測定した情報を表す無線信号を放射する。その予め選択した特徴についての測定した情報は、或る実施例では、圧力及び温度のような情報である。或る実施例では、マイクロコントローラを設けることができる。そのマイクロコントローラも、圧電装置において発生された電荷で給電され、少なくとも1つのセンサに結合されて、そのセンサから受けた情報を処理して、所定の物理的環境の予め選択した特徴を表す選択情報を発生する。更に別の実施例においては、無線送信機を設けることもでき、マイクロコントローラからの選択情報を受けて、その情報で搬送波信号を変調し、その情報をアンテナを介して遠隔受信装置位置へ送信する。
【0023】
本発明の更に別の実施例は、タイヤ構造体と、複数の圧電装置と、少なくとも1つのエネルギー蓄積装置とを具備している。タイヤ構造体は、地面と接触する外部トレッド部分を有するクラウン部分と、ホイールリムにタイヤを据え付けるビード部分と、各ビード部分とクラウン部分との間に延在する一対のサイドウォール部分とを有している。複数の圧電装置は、タイヤ構造体全体に分散した場所に組み込まれ又は一体化され、タイヤ構造体が機械的歪みを受けると電荷を発生するように構成されている。少なくとも1つのエネルギー蓄積装置は、複数の圧電装置に結合されて電荷を受け、受けた電荷の内の選択した量を蓄積する。或る実施例においては、各圧電装置ごとに1つのいエネルギー蓄積装置が設けられる。1つの集中型電子装置モジュール又は複数の分散型の電子装置モジュールに給電するように1つ又は複数のエネルギー蓄積装置を使用することもできる。
【0024】
本発明の特定の実施例においては、上記した圧電装置は、複数の圧電材料ファイバがエポキシマトリクス内に埋込まれたファイバ複合体構造にすることができる。又は、圧電装置は、圧電セラミックウエハが保護ケーシングによって実質的に囲まれて、圧電セラミックウエハに(例えば電極を介して)接続するための第1及び第2の電気リード線が埋込まれているものでもよい。更に別の実施例において、圧電装置は、圧電材料層の両面にそれぞれ導電層(例えば、アルミニウム層又はステンレス鋼層)がポリイミド接着剤(例えば、高温度熱可塑性ポリイミド)で接着されているものである。或る場合には、圧電装置は、直列又は並列に接続された複数の圧電素子を有していてもよい。そのような複数な圧電素子は、d33変位モード又はd31変位モードで、分極方向が同相に又は逆相すなわち反対となるように構成できる。
【0025】
本発明の上記以外の目的および利点は以下の本発明の詳細な説明から当業者には容易に理解できよう。また、本明細書に例示、言及、説明した特定の機構および操作は、本発明の技術思想および範囲を逸脱しない限り、本発明の各種実施例および用途で変更および変形することができるということは理解できよう。変形としては、例示、言及または説明した手段、機構または操作の均等物による置換および各種部分、機構、操作等の機能、動作、位置を逆にしたものが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の好ましい各実施例には本発明の機構、操作または要素あるいはそれらの均等物を種々組み合わせた形態が含まれることは理解できよう(図示せず、また、図面の詳細な説明に記載していない機構、部品、操作またはそれらの組み合わせを含む)。
【0026】
本項において必ずしも説明していない本発明の上記以外の例には、上記概要で述べた機構、部品または操作および/または本明細書の他の部分で説明する他の機構、部品または操作の特徴の種々組み合わせも含まれる。そうした実施例の機構および特徴は以下の説明からより良く理解できよう。
【実施例】
【0027】
添付図面を参照して本明細書において、当業者に向けた最良態様を含めて本発明を十分且つ実施可能に説明する。
本発明の同一又は同様な特徴又は要素を指示するために、本明細書全体及び全添付図面において同一の参照番号を使用する。なお、添付図面に示す様々な特徴は必ずしも正確なスケールで描いていないが、従って、特徴間の相互関係は本発明を限定するものではない。
【0028】
本発明の概要で述べたように、本発明はタイヤ構造体内に組み込まれる電子装置システムに給電するための改良システム及び方法に係るものである。この場合、電力発生装置は、圧電技術を利用して、タイヤの撓みに伴う機械的歪みを電流に変換し、この電流はエネルギー蓄積装置において調整され蓄積される。エネルギーが十分に蓄積されると、そのエネルギーが電子システムへ給電される。その電子装置システムの例には、各種の物理的タイヤパラメータを識別するための電子装置および無線(RF)送信機が含まれる。
【0029】
一般に述べるならば、本発明の電力発生装置は、2つの構成要素、すなわち、圧電構造体と、電力調整モジュール等の部品とを含む。図2A、図2Bおよび図2Cを参照して圧電構造体の様々な例を説明する。(エネルギー蓄積装置を有する)電力調整モジュールの例を図3を参照して説明する。電力発生装置における1つ以上の圧電素子の形状例に係る特徴は、図7Aから図7D並びに図8A及び図8Bに図解する。電力発生装置の出力は、タイヤまたはホイール組立体内の電子システムへの給電に使用される。センサ、マイクロコントローラ、無線送信装置を含むタイヤ電子装置システムの例を、図4A及び図4Bを参照して説明する。複数の圧電素子と1つ以上のタイヤ電子モジュールとの相互関係の例を図9A、図9B及び図9Cに図示する。タイヤ電子装置システムから送信された情報を得るための遠隔受信装置の実施例を図6に図示する。
【0030】
本発明の開示技術の上記の例を選択的に組み合わせたものが本発明の種々の実施例に対応する。しかし、本発明の対象は本明細書で説明する各実施例に限定されるものではないことは理解できよう。一つの実施例の一部で説明された機構または操作を別の実施例と組合されて使用することでさらに別の実施例ができる。さらに、特定の機構を同じまたは類似機能を果たす類似装置または機構と置換することができるということは理解できよう。すなわち、特定の操作段階を他の操作と置換または組み合わせて使用でき、それによって回転するタイヤの機械エネルギーから電力を発生させるさらに別の実施例が得られる。
【0031】
以下、本発明のタイヤまたはホイール組立体内に組み込まれる電子装置のための電力発生システムおよび方法の好ましい実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施例による自己電力発生式の電子装置12が組み込まれたタイヤ組立体10の全体の断面図である。電力発生装置(以下、Power Generation Deviceの略称として単にPGDと称する場合もある)14はタイヤ構造体16の内部に電子装置と一緒に設けられている。この電子装置はタイヤ組立体10内部で自己電力発生装置で駆動されるのが好ましい。
【0032】
以下で説明する圧電材料を用いた本発明の電力発生装置はタイヤ組立体内部で電力が供給される点で従来法に比べて多くの利点を有する。すなわち、上記の電力ビーム捕捉アンテナ技術はタイヤ電子装置へ給電法の中の制約の1つではなくなる。同様に、多くのタイプのタイヤ電子装置の機能上の可能性が一般に増加する。電力発生に電池を使用する方法が必須ではなくなり、従って、コストのかかる厄介な電池交換は不要になる。本発明の電力発生装置技術を用いることで電力ビーム捕捉アンテナ技術や電池を用いる方法は不要になるが、本発明の電力発生装置は圧電技術および/または電池および/または電力ビーム捕捉アンテナ技術を種々組み合わせてハイブリッドにしてホイール組立体内の種々の電子装置へ給電することができるということは理解できよう。
【0033】
典型的なタイヤ構造体16は外側トレッド部18を支持するクラウン15と、ビード部22まで延びたサイドウォール20とによって特徴付けられる。サイドウォール20は一般に断面線17と19との間にわたって延び、タイヤクラウン15は2つの断面線19の間にわたって延びている。タイヤビード22は一般にタイヤ構造体16をホイール組立体のリムに効果的に取り付けできるようになっている。内側クラウン表面24と内側サイドウォール表面26とを含むタイヤの内側表面は気密材料のインナーライナーで形成されている。カーカス23はサイドウォール部20とクラウン15とを越えてビード22の間に延び、タイヤ圧下でタイヤの形状を規定し、トラクション力とステアリング力とを伝達する。ベルトパッケージ21は一般にタイヤ構造体内部にクラウン15に沿って設けられている。
【0034】
図1のタイヤ組立体の実施例に示すように、PGD14はタイヤ構造体16の内側クラウン表面24上に取り付けることができる。この位置は一般に外側トレッド部18が地面に沿って移動した時にタイヤ構造体16が撓んだ時にPGD14内部の圧電装置を駆動させるのに適した位置である。タイヤの撓みはタイヤ組立体10が移動した時の全体的な機械的振動と組合され、電力発生装置14内部の圧電装置が電流を発生できるようにする。この電流はタイヤ電子装置12へのエネルギー蓄積装置で調整され、蓄積される。内側クラウン表面24は電力発生装置14を取り付けるための論理的位置であるが、PGD14を例えば内側サイドウォール表面26の位置に取り付けることもできるということは理解できよう。このように配置することによって特定用途の電子装置に十分な電力発生量を供給でき、しかも、本発明によるPGD14の内部の圧電装置に加わる歪みを低下させることができる。さらに、PGD14をタイヤ構造体16の内部(例えばカーカス23と表面24および/または26に沿って延びたインナーライナーとの間)に取り付け硬化することもできる。PGD14の様々な配置によれば、「組み込む」または「一体化」という用語は、電子装置のタイヤに対する全ての可能な配置位置が含まれ、例えばタイヤ構造体上への取り付けまたはタイヤ構造体内部への埋込が含まれる。
【0035】
一般に述べるならば、PGD14は、2つの主要部品すなわち圧電装置と電力調整モジュールとを有する。圧電装置は、(当業者には周知であるように)タイヤの回転で生じる機械的歪みを受けて、1つ以上の圧電素子中に電荷を発生させる。この電荷は、電力調整モジュールへ送られ、得られた電流が整流され、調整され、電子装置に給電するために蓄積される。
【0036】
圧電装置は、様々な圧電材料から構成できる。限定するものではないが、その圧電材料には、チタン酸バリウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)結晶、又はPZTファイバなどがある。本発明の電力発生装置で利用可能な圧電材料の例としては、例えば下記特許文献に記載の圧電材料ファイバ複合構造体が挙げられる。これらの特許文献の内容はここに引用して本明細書の一部を成す。
【特許文献9】米国特許第5,869,622号明細書(Hagood,IV達)
【特許文献10】米国特許第6,048,622号明細書(Hagood,IV達)
【0037】
本発明で利用可能なアクティブファイバ複合体(AFC)の例としては「Continum Control Corporation」からブランド名「PiezoFlex」で市販されている製品が挙げられる。
【0038】
図2Aは本発明の電力発生装置の実施例のAFC複合体(圧電素子)28の斜視図であり、この圧電AFC複合体28は複数の圧電材料ファイバ30を含み、これらの圧電材料ファイバは一方向に整合し、AFC複合体28を作動させ、この構造体に剛性を与えている。圧電材料ファイバ30はエポキシまたはポリマーの樹脂マトリックス32によって取り囲まれ、負荷伝達機構を介して損傷に対する許容度が与えられる。各圧電材料ファイバはそれらのほぼ平行な軸線方向配置を横切る共通ポーリング方向34を有する。
【0039】
圧電材料ファイバ/樹脂マトリックス形の2つの対向する表面に沿って、別々の各基板上に電極層を設けてAFC複合体28への電気の入力および出力を行うのが好ましい。図2Aの実施例では電極層36がフィンガ状電極が互いに向き合わせて交互に間に挿入されるように配置したインターディジット構造をしている。このようなインターディジット構造の電極層36は当業者に周知のスクリーン印刷技術と銀入りエポキシ樹脂等の導電性インクとを用いて別体の基板層(例えばポリイミドまたはポリエステル)上にエッチングで形成することができる。図2Aのインターディジット電極形構造はAFC複合体28の電気機械的応答の指向性を高め、高い電荷係数および結合係数を与えるように設計されている。より良い性能特性を得るためには電極36と圧電材料ファイバ30との間の樹脂マトリックス32の量は最小にするのが好ましい。
【0040】
AFC複合体中のタイヤ構造体に対する圧電材料ファイバの向きは本発明技術の一つの設計因子である。圧電材料ファイバをタイヤの周方向に沿って向けると一般に圧電材料ファイバが受ける引張歪は高くなるが、圧縮歪が低くなる。圧電材料ファイバの向きをタイヤの半径方向に沿って向けると一次エネルギーの回収と半径方向歪みとを結合させることができる。従って、本発明の電力発生装置の圧電装置パッチをタイヤ構造体に沿って半径方向と周方向のどちらに向けるかはパッチの寸法およびパッチが使用される特定のタイヤ環境に基づいて決定できる。特に、圧電AFC複合体の最適配置および向きは、各種の因子、例えばタイヤの1サイクルで所望の最大出力、半径方向取付対周方向取付でのピーク引張歪および圧縮歪、所定の時間内でのAFC複合体全体の歪の均一性に基づいて決定できる。
【0041】
図2Aの実施例のような圧電AFC構造の具体的な特性は、用途に合わせて調整できる。例えば、圧電材料ファイバとしては、PZT‐5A、PZT‐5H、PZT‐4、PZT‐8及びPMN‐33PTを含む様々なPZT材料がある。ほかの具体的な設計上の製薬としては、圧電材料ファイバの直径38があるが、それは、典型的には約3/1000(3ミル)インチから15/1000インチ(15ミル)の範囲内である。特定用途用に設計可能な他の特定寸法としては、インターディジット層36の電極フィンガの幅40とピッチ42の寸法がある。電極フィンガ幅40は例えば約25ミルであり、電極ピッチ42は例えば約20ミル〜約100ミルである。本発明で使用する圧電AFC複合体全体の特定の実施例では、電極フィンガピッチが45ミルで、直径が10ミルのPZT-5A圧電材料ファイバを有するインターディジット電極を有する。
【0042】
本発明の電力発生装置で使用される圧電AFC複合体の設計上のさらに別の制約は特定の用途でみられる。例えば、タイヤ構造体と一体化に適した圧電材料パッチの寸法と扱い容易性に係わる構成上の制約である場合もある。タイヤ最高点位置に沿って周方向に一体化された電力調整モジュールと一緒に圧電装置が設けられている本発明によるPGDを想定する。そのPGDは、タイヤ内部に貼り付けられる場合には、ゴム又はガラスファイバの基板に支持されたゴム又はエラストマーのケースに収容されて、更に保護されることがこのましい。そのゴムのケース又は基板は、PGDのタイヤ構造体への貼り付けを容易にする。
【0043】
上述したPGDの実施例のおいては、一般的に、圧電装置パッチの長さについての制約はないが、テストでは、長さが70mmを越えるパッチは失敗する傾向があることが示唆された。最大幅は約80mmが或る実施例では望ましい場合がある。又、或る実施例では、(電力調整モジュールなし)圧電装置パッチの最大厚さは、約700ミクロンとすることができ、(圧電装置パッチと電力調整モジュールとを含む)最大重量は、約20グラムが望ましい場合もある。タイヤ内部に接着するために圧電装置パッチをゴムパッチに接合するために、パッチは、約20バールの圧力下の約摂氏170度に約30分間耐え、更に約20バールの圧力下の約摂氏150度に約60分間耐えることができることが必要である。しかし、上記した具体的な制約は、適切な材料及び接着技術の進歩で変ってゆくことは理解すべきである。更に、本発明によるPGDは、約摂氏マイナス40度から約プラス125度の温度、時速125キロメートルの最大タイヤ速度、約10年又は70万マイルの耐久性などの運転条件に耐えることができることが好ましい。
【0044】
本発明の実施例のPGD14に使用される圧電装置パッチの別の形式としては、全体にソリッドな圧電セラミックウエハがある。そのような圧電セラミックウエハは、単結晶でも多結晶でもよい。圧電セラミックウエハには、限定するものではないがチタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のような多結晶強誘電体材料のウエハが含まれる。
【0045】
図2Bを参照するならば、本発明による電力発生装置14に使用するための圧電素子28’の更に別の実施例が図示されている。圧電素子28’は、ユニモルフ、バイモルフ、又は積層/サンドイッチ構造の1枚以上の圧電セラミックウエハであり、保護膜108内に封止される。一般に、ユニモルフ構造は、圧電材料の単一モジュール(すなわち、単一層)であり、或る実施例では、不活性基板に接合される。バイモルフ構造は、圧電材料の2枚のモジュール(すなわち、2つの層)であり、中心の金属シム層の両面にそれぞれ接合される。積層又はサンドイッチ構造は、3つ以上の圧電材料素子が互いに隣接して互いに結合される。バイモルフ構造及び積層構造が、或る用途では、ユニモルフ構造に比較して、発生電荷対機械的変位量の比が高い。
【0046】
再度図2Bを参照するならば、内部に1つ以上の圧電セラミックウエハが設けられている保護ケーシング108は、圧電セラミックウエハのための電気絶縁として、更に湿気及び過酷な汚染物質に対する防御として機能する。或る実施例では、圧電セラミックウエハは、PZT‐5A及び/又はPZT‐5HのようなPZT材料から形成できる。ニッケルのような材料から形成できる分布式電極110が、組立体の頂面及び底面に設けられ、予め貼り付けられた第1及び第2に電極リード線112及び114に接続される。リード線112及び114に接続するためのピンによって、コネクタ素子120に接続可能であり、かくして、ハンダ付けワイヤのない信頼性の高い素子を実現できる。コネクタ素子120に更にピンを設けて、圧電素子28’内の1つ又は複数の圧電素子をポーリングするための電気接続116及び118を設けることもできる。このような圧電装置の具体例が図2Bに図示されており、Mide Technology Corporationからブランド名「QuickPack」で販売されている製品(例えば、ACX QuickPack-PowerAct QP15W)が本発明において使用できる。
【0047】
本発明の電力発生装置に使用する圧電装置の更に別の例を図2Cに参照番号28”で示す。図2Cは、圧電素子28”の分解部品配列斜視図であり、複数の層が、それぞれ各層の頂面の上に重なられて積層構造に設けられている。圧電素子28”を構成する積層複合体の第1層は、金属基板層120であり、限定するものではないが、ステンレス鋼で形成されている。それに続く接着剤層は、内側の圧電材料の層124を囲んでいる。ある実施例では、その圧電材料層124は、PZTのような圧電セラミック材料である。或る実施例では、接着剤層122は、ポリイミド、又はより具体的には、高温熱可塑性ポリイミド(例えば、NASA's Langley Research Centerで開発されたブランド名「LaRCTM-SI」の材料)で構成できる。圧電素子28”の最上層126は、金属材料で形成されており、限定するものではないが、アルミニウムで形成できる。このような複数の層は、組立体全体を圧力釜の中に入れて、加熱して、一緒に圧縮して、昇温して、その後室温まで冷却して、一緒に結合できる。圧電素子28”は冷却し始めるとき、圧電セラミック層124に接合された基板層120は、圧電セラミック層124を圧縮状態に維持する一方、引っ張り状態に連続して維持される。このようにしてもたらされるプレストレス状態により、結果的に圧電装置は僅かに湾曲した形状に形成され、完成品は、従来の圧電装置に比較して、割れを生じることなく、大きな機械的な撓みを受けることができる。
【0048】
図2Cに示し本発明により使用できる圧電装置の型式の具体例としては、Face International Corporationから市販されているブランド名「THUNDER」の製品(例えば、Face Thunder Actuator 6R)がある。ここで、「THUNDER」製品には、「Thin Layer Unimorph Ferroelectric rivr and Snso devices」があり、内部プレストレスを生じるように複数の材料層が一緒に「サンドイッチ」型式に高強度接合材料で封止されている。圧電素子28”の接着剤122は、装置製造中に比較的高い内部応力が生じている様々な装置の層を一緒に保持する。
【0049】
本発明の電力発生装置に使用できる上記した圧電装置の例を変更や修正でき、そのような変更や修正が本発明の技術思想及び範囲に含まれることは、当業者には理解できる筈である。例えば、ここに開示した圧電素子は形状が矩形であるが、円形や正方形やそのほかの様々な形状の圧電素子を使用できることも当業者には理解できる筈である。圧電素子の幾何学形状、寸法、材料形式ほかの変更及び修正も当業者の知識の範囲内であると考える。
【0050】
複数の圧電素子の組み合わせに係わる本発明の他の構成例を、図7Aから図7D及び図8Aから図8Bを参照して以下説明する。図7Aから図7Dは、どのようにして複数の素子130がタイヤPGD内部に垂直に重ねるかを示した例を図示している。図7Aから図7Dには2つの圧電素子130しか図示していないが、3つ以上の圧電素子も使用可能である。圧電素子130は、単結晶又は多結晶の圧電セラミックウエハであり、その多結晶圧電セラミックウエハには、限定するものではないがチタン酸バリウム(BaTiO3)及びジルコン酸チタン酸鉛(PZT)のような多結晶強誘電体材料のウエハが含まれる。図7Aから図7Dには図示していないが、互いに隣接する圧電素子の間には、中央導電性シム層を設けることができ、これがバイモルフ又は積層構造の圧電装置構成の特徴である。
【0051】
図7Aから図7Dに図示されている様々な形状は、圧電素子130の組合体の様々なポーリング及び変位モードを図解している。各圧電素子130内の短い矢印132及び134は、各圧電素子でのポーリング方向を表しており、一般に、圧電素子130の製造中に高DC電圧が印加された正電極から負電極への方向を向いている。図7Aから図7Dに例示されているポーリング形態に限定されるものではないが、全ての圧電素子130は、基準軸3に大体平行な分極ベクトル132及び134が特徴である。図7B及び図7Dは、2つの圧電素子の分極ベクトル134が同相である形態を図解しており、図7A及び図7Cは、2つの圧電素子の分極ベクトル132及び134が逆相であるすなわち同相でない形態を図解している。図7A及び図7Bの圧電素子形態は両方共、d33モードであり、矢印136で表される変位力が、電界及びポーリング方向と同じ方向の膨張である。図7C及び図7Dの圧電素子形態は両方共、d31モードであり、矢印138で表される変位力が、電界及びポーリング方向と直角な方向の膨張である。
【0052】
図7Aから図7Dは、単一圧電素子と同じ範囲の歪み界に如何に多くの圧電材料を置くことができるかを図解している。かかる配置により、タイヤ又はホイールの組立体の回転毎に、圧電素子がそのタイヤの接触パッチを通るときに、より多くのエネルギーを出力できる。
【0053】
図8A及び図8Bを参照するならば、圧電素子140は、図8Aに描くように直列に接続することも、又は図8Bに描くように並列に接続することも、更に又は、3つ以上の圧電素子が組み合わされる場合には、それら組合せて接続することもできる。圧電素子を直列接続した場合、単一圧電素子の場合と比較して、電圧が大きく電流が小さい出力が得られる。図8Aに示すそのような接続は、圧電素子がタイヤ又はホイールの組立体の接触面を通るときにタイヤの回転を検出する場合のような検出の用途に特に効果がある。圧電素子を並列接続した場合、電圧が小さく電流が大きい出力が得られる。これは、エネルギー回収用途に特に効果がある。図8Bに示すそのような接続は、エネルギー漏洩を削減することに有用であり、電力調整電子装置を単純化できる。圧電素子140は、図2A、図2B及び図2Cに図示してそれぞれ参照して説明した圧電素子28、28’及び28”とすることができ、又別の実施例では、図7Aから図7Dに示した圧電セラミックウエハ130とすることもできる。
【0054】
圧電素子以外のPGD14の主要部、第2の主要部は、電力調整モジュールであり、その実施例が図3に図示されている。本発明の電力調整モジュールの主要な機能は圧電素子140内で発生した電荷を整流し、調整し、蓄積することにある。一般に、電力調整モジュールは、電力を必要とする各種電子装置に合わせて構成できる。本明細書のタイヤ監視システムの実施例では図3の電力調整モジュールが所定の動的エネルギー要求量に合わせて設計される。特に、図3の電力調整モジュールは、出力電圧44が一般に約5ボルト、出力電圧44の最大リップルが±10ミリボルト、出力電圧44の最小デューテーサイクルが約60秒、出力電圧44の最大デューテーサイクルが約5秒になるように設計されている。図3の電力調整モジュールの実施例が作動する追加の設計条件は、電子装置システムの最大エネルギー要求量が約4ミリジュールで、電子システムが動作可能な持続時間が約25ミリ秒から約200ミリ秒の間である。これは電子システムの機能によって変わる。
【0055】
図3の電力調整モジュール実施例では、圧電素子140が整流器(例えば全波整流ブリッジ整流器)46に並列接続されている。別の整流器の形態としては、倍電圧整流器またはN段電圧逓倍器がある。整流器46から出た整流された信号は、電解キャパシタ48に蓄積される。図3の電力調整モジュールでの使用に適した電解キャパシタ48の例は、容量が約47マイクロファラドのパナソニックTELシリーズのタンタルキャパシタである。他の電解キャパシタも本発明の電力調整モジュールのエネルギー蓄積要素として同様に適している。他のエネルギー蓄積要素としては,例えば再充電可能な電池又はスーパーキャパシタがあり、用途に応じてこれらを電力調整モジュール用のエネルギー蓄積装置として用いることができる。
【0056】
電解キャパシタ48(または他の適したエネルギー蓄積装置)に十分な量のエネルギーが蓄積された時に、FETトランジスタ50がスイッチの役目をしてキャパシタ48内に蓄積されたエネルギーを電圧調整器52に開放する。図3の実施例での使用に適した電圧調整器52の例は,デュアルモードの5ボルトのプログラマブルマイクロパワー電圧調整器であり、例えばMaxim Integrated Productsからブランド名「MAX666」で市販されている。この電圧調整器は、従来の電池駆動式電子システムに理想的であるので、キャパシタ48の電圧を調整された5ボルトの出力電圧44に効果的に変換することができる。図3の電力調整モジュールには、拡散金属酸化物半導体(DMOS)FETトランジスタ54と、ツェナーダイオード56とが設けられている。
【0057】
トランジスタ50および54は最初はオフであり、トランジスタ54のドレインのアースがフローティング状態であるので、出力電圧44は供給されない。キャパシタ48が十分な電圧レベル(ツェナーダイオード56とトランジスタ50のベース‐エミッター接合とによって決まる)まで充電すると、トランジスタ50がオンになり、トランジスタ54を作動させ、トランジスタ50をラッチングする。この時点でキャパシタ48は回路を通って5ボルトの調整出力電圧44を電子システムへ放電する。一般に、出力電圧44が供給される電子応用装置の有効動作が終了したときには、電子システムから信号が、信号経路58を通って抵抗60およびキャパシタ62を介して返され、電界効果トランジスタ(FET)50をオフにし、トランジスタ54をオフにする。それによって再度キャパシタ48にエネルギーが蓄積され始まる。
【0058】
本発明ではPGD14が発生したエネルギーを種々の装置または各種のタイヤ電子装置システム(Tire Electronics System、以下、TES)に与えることができる。図4Aおよび図4Bは,PGD14とTES12との間の相互関係の例を示している。
【0059】
図4Aでは、TES12で所望の機能を果たすのに十分な電荷が得られるまで、エネルギーがPGDのエネルギー蓄積装置(例えばキャパシタ48)に蓄積される。電力発生サイクルの間にはTES12には給電されないままである。すなわち、エネルギーがPGD14のエネルギー蓄積装置に蓄積される速度によってTES12がアクティブにされタイミングが制御される。PGD14に十分なエネルギーが蓄積されると、電源電圧Vddおよび接地電圧VssがTES12に達する経路64および66に供給される。TES12はTES12内の電子装置が現在動作していることを示す「アクティブ」信号を経路58で返す。TES12内の所定の電子装置がそれぞれの作業を終わると、「アクティブ」信号がローレベルとなり、PGD14内のエネルギー蓄積装置は再度エネルギーを蓄積し始める。このサイクルはタイヤ組立体が所定の閾速度(一般に時速約20キロメートル)またはそれ以上の速度で回転している限り繰返される。
【0060】
図4Bに示した相互関係の例では、PGD14は上記の電源電圧Vddおよび接地電圧Vssを、PGD14に蓄積されたエネルギーの量を表す「燃料計」信号と一緒にTES12に連続的に出力する。電力がTES12に加えられると、マイクロプロセサ、その他の適当な電子装置は周期的にそれ自身をアクティブ化し、PGD14からの「燃料計」信号を監視することができる。PGD14のエネルギー蓄積装置で十分な量のエネルギーが得られる場合には、TES12が特定の作業を行う。十分な量のエネルギーが得られない場合には、TES12は約1μA未満の電力を消費する低電力モードになる。その後、十分なエネルギーが蓄積されるまで燃料計信号が周期的にチェックされる。十分なエネルギーが蓄積されるのを待ち、特定の作業を行い、低電力モードに戻るというこのサイクルはタイヤが所定の閾速度またはそれ以上の速度で回転している限り、連続的に繰返される。
【0061】
既に述べたように、TES12はタイヤまたはホイール組立体に含まれる部品の種類に応じて種々の電子装置を含むことができる。タイヤ電子装置システム12の具体例として、図5を参照してタイヤ監視システムを以下に説明する。図5のタイヤ監視システムは、タイヤ構造体内の温度および圧力を測定し、その測定結果を無線(RF)送信機68によって遠隔受信機へ送信する。本発明で使用する送信機および受信機のモジュールの例は、Radiometrix Ltd.からブランド名TX2およびRX2で市販されているUHF FM データ送信機及び受信機のモジュールである。
【0062】
図4Aおよび図4Bで説明した5ボルトの電源電圧Vdd、接地電圧Vss、および「アクティブ」信号または「燃料計」信号は、PGD14からマイクロコントローラ70へ送られるのが好ましい。本発明で使用するのに適したマイクロコントローラの例は、「Microchip」ブランドのPIC16LF876 28-ピン CMOS RISCマイクロコントローラである。このマイクロコントローラ70は入力64に電力が加わると、アクティブ化される。次に、このマイクロコントローラ70は温度センサ72と圧力センサ74の両方(およびTES12内の任意の追加センサまたは適当な電子装置)に電力を供給する。本発明で使用するのに適した温度センサ72の例は、National Semiconductorから商品名LM50 SOT-23で市販されている単一電源摂氏温度センサである。本発明で使用するのに適した圧力センサ74の例は、ICSensors and Measurement Specialities Inc.から商品名Model 1471で市販されているPCボード装着可能な圧力センサである。追加センサ76、78、80を用いることによってタイヤ構造体またはそれに対応するホイール組立体の追加の特性をそれぞれ測定することができる。
【0063】
図5のTES12の実施例のさらに別の部品は再充電可能な電池81である。この再充電可能な電池はPGD14の圧電構造体28が発生する電荷を受けるためと、タイヤ電子装置のための追加のエネルギーを蓄積するように設計することもできる。再充電可能な電池81は一般にキャパシタ48のような他の蓄積装置よりも長期間エネルギーを蓄積することができる。再充電可能な電池81に蓄積されたエネルギーを圧電材料ファイバの作動によって発生する電力が十分でないときにマイクロコントローラ70へ送ることができる。このような状態は例えば車両が静止している時またはタイヤを車両から取外したときに起こり得る。例えば、地上整備員が旅客機の静止したタイヤの空気圧を検査するときにTES12へ給電するのに蓄積されたエネルギーが必要となることがある。また、車両からタイヤが取外されているときにタイヤの在庫または再生タイヤの管理のための情報を入手可能にするために再充電可能な電池81でTES12へ電力を供給することもできる。
【0064】
図5のTES12をさらに参照すると、マイクロコントローラ70は複数のセンサ72〜80からそれぞれの情報を受信し、その情報をデジタル情報に変換するアナログ・ディジタル(A/D)変換器を備えるのが好ましい。マイクロコントローラ70はさらに、タイヤまたはホイール組立体を識別するのに十分な情報を提供する唯一の識別タグを蓄積するメモリ、好ましくは不揮発性EEPROMを有するのが好ましい。これらの識別変数は商業用途のタイヤおよび車両、例えばトラック輸送群、旅客機等の追跡で使用できる。マイクロコントローラ70は、複数のセンサ72〜80からそれぞれ所望の情報を入手し、デジタル情報に変換した後、センサへの電力を遮断して、ライン82、84を介して無線送信機68へ電力を供給するのが好ましい。次いで、所望のデジタル化された情報がデータライン86を介して無線送信機68に出力され、ここでデータがFM搬送信号に変調され、アンテナ88を介して遠隔受信機へ送信される。
【0065】
本発明の自己電力発生式の電子装置を備えたタイヤ組立体を使用する車両は、各タイヤ組立体から無線送信された情報を得るための単一の受信機を備えるのが好ましい。図6は本発明による遠隔受信機90の例を表すブロック図である。受信アンテナ92を用いることによって各ホイール組立体から送信された情報の受信が容易になる。この情報は無線受信機94へ中継される。受信された情報はこの受信機で搬送信号から復調され、経路96を介して信号プロセサ98に出力される。無線受信機94から出力された搬送波検出信号は単一経路100を介して信号プロセサ98へ送られる。無線受信機94から出力されたデータおよび搬送波検出信号は信号プロセサ98で一緒に乗算されてスプリアスノイズのない信号を得るのが好ましい。誤り確率が低下したこのデータ信号は次にドライバ回路へ送られ、ドライバ回路ではこのデジタル信号をRS232インターフェース102を介したホストコンピュータ104への送信に適した電圧レベルの信号に変換するのが好ましい。ホストコンピュータ104では端末エミュレーションソフトウェアを用いてRS232インターフェース102を介して受信したデータを一般ユーザが使い易い情報、例えば表示モジュールで読むことのできる情報に変換するのが好ましい。
【0066】
本明細書に具体的に開示した以外の電子装置を本発明の電力発生技術では利用できるということは理解できよう。例えば、温度、圧力および識別情報以外の各種情報を遠隔位置に送信することが考えられる。その例としてはタイヤの回転数、タイヤの変位量及び車両速度が挙げられる。上記米国特許第5,749,984号明細書には本発明の対象と一緒に使用可能なタイヤ監視システムの他の例が開示されている。この特許の内容は本明細書の一部を成す。タイヤ電子装置システムを車両の正確な位置を示すための衛星航法システム(GPS)と組み合わせることもできる。また、圧電PGDを,ホイール組立体内の光組立体またはフィードバックシステムの給電に使用することもできる。本発明によって給電可能な電子応用装置は莫大な数にのぼり、本発明対象が特定な用途に限定されるものではない。
【0067】
本発明の電力発生装置及び方法の実施例は、タイヤ又はホイールの組立体1つ当たり1つの電力発生装置と1つのタイヤ電子装置モジュールを設けることに限定されるものではないことは、本発明から理解できよう。更に、ここの開示した複数の素子の選択的な組合せは、本発明の技術思想及び範囲においては限定されるものでもない。図9A、図9B及び図9Cを参照するならば、図1に示すタイヤ内又はホイール組立体内に組合せた本発明の様々な例が図示されている。
【0068】
図9A、図9B及び図9Cを参照するならば、複数の圧電素子140がタイヤ内又はホイール組立体内に設けることができる。それら圧電素子140は、タイヤ又はホイールの組立体内に互いに隣接して配置することもでき、又は、タイヤ又はホイールの組立体の全体において異なる位置に分散することもできる。圧電素子140は、或る実施例では、図2A、図2B及び図2Cに図示してそれぞれ参照して説明した圧電素子28、28’及び28”を具備することができ、又は別の或る実施例では、図7Aから図7Dに示した圧電セラミックウエハを具備することもできる。図9Aの各圧電素子140は、圧電素子が取り付けられたタイヤ又はホイールの組立体の接触パッチを通過するときに、エネルギーを発生する。
【0069】
特に図9Aを参照するならば、圧電素子140は、直列又は並列に電気的に接続され、中央エネルギー蓄積モジュール142に結合されている。エネルギー蓄積モジュール142は、図3に例を示したような電力調整回路を具備しており、その電力調整回路は、それぞれの圧電素子140が発生したエネルギーを蓄積するためのキャパシタ又は(2次)電池のようなエネルギー蓄積装置を有している。このエネルギー蓄積モジュール142は更に、TES12のような電子装置モジュールに接続されており、TES12内の電子応用装置が、エネルギー蓄積モジュール142に蓄積された電力を受けることができる。
【0070】
図9B及び図9Cを参照するならば、分散配置された圧電素子140が、直列又は並列に電気的に接続され、各々別々のローカルエネルギー蓄積モジュール142に結合されている。各エネルギー蓄積モジュール142は、図3に例を示したような電力調整回路を具備しており、その電力調整回路は、それぞれの圧電素子140が発生したエネルギーを蓄積するためのキャパシタ又は(2次)電池のようなエネルギー蓄積装置を有している。図9Bを参照するならば、複数のエネルギー蓄積モジュール142が、直列又は並列に接続されて、TES12のような中央電子装置モジュールにエネルギーを供給し、TES12内の電子応用装置が、エネルギー蓄積モジュール142に蓄積された電力を受けることができる。又は、図9Cにおいては、複数のエネルギー蓄積モジュール142の各々が、それぞれ別々のTES12のようなローカル電子装置モジュールにエネルギーを供給する。ここで、複数のローカル電子装置モジュール12は、タイヤ又はホイールの組立体全体の様々な場所に分散することができ、互いに同様な機能を遂行することも、又は互い異なる機能を遂行して、それぞれ別々の場所で異なるパラメータを測定することもできる。
【0071】
以上、特定な実施例を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明では上記実施例を変更、変形し、均等物に置換できるということは当業者には理解できよう。従って、上記の開示は単なる例であって本発明がそれに限定されるものではなく、本発明は変更、変形および/または追加を除外するものではないということは当業者には理解できよう。
【符号の説明】
【0072】
10 タイヤ組立体
12 タイヤ電子装置
14 電力発生装置(PGD)
16 タイヤ構造体
28、28’、28” 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一体化された電力発生装置を有するタイヤ組立体であって、
地面と接触する外部トレッド部分を有するクラウン部分と、ホイールリムにタイヤを据え付けるビード部分と、各ビード部分とクラウン部分との間に延在する一対のサイドウォール部分とを有しているタイヤ構造体と、
前記タイヤ構造体が機械歪みを受けると、電荷を発生するように構成されている圧電装置と、
前記圧電装置に結合されており、前記圧電装置において発生された前記電荷を受けて、前記電荷の内の選択された量を蓄積するエネルギー蓄積装置と、
前記エネルギー蓄積装置に結合されている電子装置組立体にして、当該電子装置組立体の内の選択された電子的な構成要素が、前記エネルギー蓄積装置に蓄積されている電荷で給電される電子装置組立体と、
を具備していることを特徴とするタイヤ組立体。
【請求項2】
前記圧電装置は、エポキシマトリクス内に埋込まれた複数の圧電材料ファイバを有するファイバ複合体構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項3】
前記圧電装置は、
少なくとも1つの圧電セラミックウエハと、
前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハを実質的に囲んでいる保護ケーシングと、 前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハに接続するための第1及び第2の電気リード線と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項4】
前記圧電装置は、
第1及び第2の対向面を有する1つの圧電セラミック材料層と、
前記1つの圧電セラミック材料層の前記第1及び第2の対向面に隣接して設けられて接着剤層によって前記第1及び第2の対向面に固定された第1及び第2の導電層と、
を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項5】
前記接着剤層は熱可塑性ポリイミドからなることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ組立体。
【請求項6】
前記第1及び第2の導電層は各々、ステンレス鋼及びアルミニウムからなるグループから選択された材料からなることを特徴とする請求項4に記載のタイヤ組立体。
【請求項7】
前記圧電装置は、直列又は並列に接続された複数の圧電セラミック素子からなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項8】
前記複数の圧電セラミック素子の分極方向が互いに同相又は逆相に構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ組立体。
【請求項9】
前記複数の圧電セラミック素子の変位が、d33モード又はd31モードであるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ組立体。
【請求項10】
前記圧電装置は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、水晶、硫化カドミウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなるグループの中から選択された材料からなる少なくとも1つの圧電素子を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項11】
前記圧電装置が発生した前記電荷からなる電流信号を整流し、その整流した電流信号を前記エネルギー蓄積装置に供給して、調整された電圧出力を発生させる電力調整モジュールが、前記エネルギー蓄積装置に関連して設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項12】
前記電子装置組立体は、再充電可能な電池を有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項13】
前記電子装置組立体は、前記タイヤ構造体の所定の特性を監視するための少なくとも1つのセンサを有していることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ組立体。
【請求項14】
前記電子装置組立体は、前記少なくとも1つのセンサによって監視された情報と、タイヤ識別情報とを遠隔の場所に送るための無線送信機を有していることを特徴とする請求項13に記載のタイヤ組立体。
【請求項15】
前記所定の特性は、温度、圧力、タイヤ回転数、車両速度、前記タイヤ構造体に作用する静的及び動的な力のレベルの内の少なくとも1つであることを特徴とする請求項13に記載のタイヤ組立体。
【請求項16】
所定の物理的な環境に組み込まれる電子装置組立体であって、
機械的な力を受けたときに電荷を発生するために、少なくとも1つの圧電セラミックウエハを有して構成されている圧電装置と、
前記圧電装置において発生された電荷から給電されて、前記所定の物理的な環境の所定の特性についての情報を測定する少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサに接続されており、前記少なくとも1つのセンサによって測定された前記所定の特性についての情報を表す無線信号を放射するアンテナと、
を具備することを特徴とする電子装置組立体。
【請求項17】
前記圧電装置は、
少なくとも1つの圧電セラミックウエハと、
前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハを実質的に囲んでいる保護ケーシングと、 前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハに接続するための第1及び第2の電気リード線と、
を有していることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項18】
前記圧電装置は、
第1及び第2の対向面を有する1つの圧電セラミック材料層と、
前記1つの圧電セラミック材料層の前記第1及び第2の対向面に隣接して設けられて接着剤層によって前記第1及び第2の対向面に固定された第1及び第2の導電層と、
を有していることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項19】
前記接着剤層は熱可塑性ポリイミドからなることを特徴とする請求項18に記載の電子装置組立体。
【請求項20】
前記第1及び第2の導電層は各々、ステンレス鋼及びアルミニウムからなるグループから選択された材料からなることを特徴とする請求項18に記載の電子装置組立体。
【請求項21】
前記圧電装置は、直列又は並列に接続された複数の圧電セラミック素子からなることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項22】
前記複数の圧電セラミック素子の分極方向が互いに同相又は逆相に構成されていることを特徴とする請求項21に記載の電子装置組立体。
【請求項23】
前記複数の圧電セラミック素子の変位が、d33モード又はd31モードであるように構成されていることを特徴とする請求項21に記載の電子装置組立体。
【請求項24】
前記圧電装置は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、水晶、硫化カドミウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなるグループの中から選択された材料からなる少なくとも1つの圧電素子を有していることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項25】
前記所定の環境は、タイヤ又はホイールの組立体であることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項26】
前記少なくとも1つのセンサは、前記所定の環境の中の温度及び圧力について情報を出力することを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項27】
前記前記少なくとも1つのセンサに接続されており、前記圧電装置において発生された電荷で給電されて、前記前記少なくとも1つのセンサからの情報を処理し、前記所定の環境の前記所定の特性を表す選択情報を発生するマイクロコントローラを更に具備していることを特徴とする請求項16に記載の電子装置組立体。
【請求項28】
前記マイクロコントローラに接続され、前記マイクロコントローラからの前記選択情報を受けて、当該選択情報で搬送波を変調して、当該選択情報を前記アンテナを介して遠隔の受信機の場所へ送信する無線送信機を更に有していることを特徴とする請求項27に記載の電子装置組立体。
【請求項29】
一体化された電力発生装置を有するタイヤ組立体であって、
地面と接触する外部トレッド部分を有するクラウン部分と、ホイールリムにタイヤを据え付けるビード部分と、各ビード部分とクラウン部分との間に延在する一対のサイドウォール部分とを有しているタイヤ構造体と、
前記タイヤ構造体全体の分散した位置で一体化されており、前記タイヤ構造体が機械歪みを受けると、電荷を発生するように構成されている複数の圧電装置と、
前記複数の圧電装置の選択した圧電装置に結合されており、前記複数の圧電装置の前記選択した圧電装置において発生された前記電荷を受けて、前記電荷の内の選択された量を蓄積する少なくとも1つのエネルギー蓄積装置と、
を具備していることを特徴とするタイヤ組立体。
【請求項30】
前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置に結合されている電子装置組立体を具備しており、当該電子装置組立体の内の選択された電子的な構成要素が、前記エネルギー蓄積装置に蓄積されている電荷で給電されることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項31】
複数のエネルギー蓄積装置を更に具備しており、当該複数のエネルギー蓄積装置の各々は、前記複数の圧電装置の1つに接続されており、前記複数の圧電装置の前記1つから電荷を受けて、受けた電荷の内の選択された量を蓄積することを特徴とする請求項30に記載のタイヤ組立体。
【請求項32】
複数の別々の電子装置モジュールを有しており、当該複数の別々の電子装置モジュールの内の選択した電子装置モジュールが、前記複数のエネルギー蓄積装置の内の選択したエネルギー蓄積装置に接続されており、前記複数の別々の電子装置モジュールの前記選択した電子装置モジュールが、前記複数のエネルギー蓄積装置に蓄積された電荷で給電されることを特徴とする請求項31に記載のタイヤ組立体。
【請求項33】
前記複数の圧電装置の内の選択した圧電装置は、エポキシマトリクス内に埋込まれた複数の圧電材料ファイバを有するファイバ複合体構造を有していることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項34】
前記複数の圧電装置の内の選択した圧電装置は、
少なくとも1つの圧電セラミックウエハと、
前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハを実質的に囲んでいる保護ケーシングと、 前記少なくとも1つの圧電セラミックウエハに接続するための第1及び第2の電気リード線と、
を有していることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項35】
前記複数の圧電装置の内の選択した圧電装置は、
第1及び第2の対向面を有する1つの圧電セラミック材料層と、
前記1つの圧電セラミック材料層の前記第1及び第2の対向面に隣接して設けられて接着剤層によって前記第1及び第2の対向面に固定された第1及び第2の導電層と、
を有していることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項36】
前記接着剤層は熱可塑性ポリイミドからなることを特徴とする請求項35に記載のタイヤ組立体。
【請求項37】
前記第1及び第2の導電層は各々、ステンレス鋼及びアルミニウムからなるグループから選択された材料からなることを特徴とする請求項35に記載のタイヤ組立体。
【請求項38】
前記複数の圧電装置の内の選択した圧電装置は、直列又は並列に接続された複数の圧電セラミック素子からなることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項39】
前記複数の圧電セラミック素子の分極方向が互いに同相又は逆相に構成されていることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ組立体。
【請求項40】
前記複数の圧電セラミック素子の変位が、d33モード又はd31モードであるように構成されていることを特徴とする請求項38に記載のタイヤ組立体。
【請求項41】
前記複数の圧電装置の各々は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、水晶、硫化カドミウム、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなるグループの中から選択された材料からなる少なくとも1つの圧電素子を有していることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。
【請求項42】
前記複数の圧電装置の各々内で発生した前記電荷からなる電流信号を整流し、その整流した電流信号を前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置に供給して、調整された電圧出力を発生させる電力調整モジュールが、前記少なくとも1つのエネルギー蓄積装置に関連して設けられていることを特徴とする請求項29に記載のタイヤ組立体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−126396(P2012−126396A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50776(P2012−50776)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2005−150240(P2005−150240)の分割
【原出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】