説明

回転アトマイザー、および回転アトマイザーの噴霧体のモニタリング方法

本発明の目的は、加工対象物の連続的なコーティングのために用いられる回転アトマイザーの回転ベルプレート(1)の制御である。ベルプレート(1)の構造的な設計および/または回転アトマイザーの要素によって、および、ベルプレート(1)の回転によって空気の流れ成分(31、32、33)が生成されることでこれが実現され、空気の流れ成分は前記設計に対応し、要素は、ベルプレートに隣接し、同じものに対して固定される。空気の流れ成分が測定され、所定の参照値と比較される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転アトマイザーの回転する噴霧体をモニタリングする方法、具体的には噴霧体の固定をモニタリングする方法と、独立項のプリアンブルに係るそれに対応する回転アトマイザーと、に関連する。このタイプの回転アトマイザーは、とりわけ車体のような加工対象物の通常の静電連続コーティングに用いられ、塗装ロボットまたは同様の自動コーティング機に通常は実装される。
【背景技術】
【0002】
既知であり、加工対象物の自動連続コーティング用に一般的である、噴霧体としての機能を有する、静電回転アトマイザーのベルカップ(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4など)は、外部スレッドが設けられた円筒状のハブ部材を有し、そのハブ部材は、エアタービンからなる駆動モーターの中空シャフトの開放端面にねじ込まれ、たとえば、メンテナンス目的または新しいベルカップとの交換目的でネジが緩められ得る。たとえば、50000rpmを超える範囲のエアタービンの大きな回転速度のため、中空シャフト軸に対するベルカップの精密な位置決めおよびバランス取りが、この固定装置にとって重要であり、ベルカップのハブ部材は、位置決めコーンを形成する中空シャフトの内壁のそれに対応する円錐状の領域に対してもたれる円錐状の部分を有する。他の既知の回転アトマイザー(特許文献5)の場合、対照的に、ベルカップのハブ部材は内部スレッドを有し、中空シャフトの端において内部スレッドが外部スレッドにねじ込まれることを利用する。
【0003】
位置決めとバランス取りに加えて、装置のドライブシャフトにベルカップを固定するための装置は、特に素早く簡素な実装および取り外しの選択肢だけでなく、加速または停止の際の両方の回転方向におけるトルクの信頼性のある伝達用の信頼できる台座、小さなスペース必要性、たとえば塗料ミストや簡素な清掃等による低い汚染リスクのようなさらなる条件を満たさなければならない。
【0004】
既知の回転アトマイザーの場合、解除式の固定装置が、異常の場合に意図せずにそれ自体を緩め得るという問題が存在する。そのような異常は、タービンの摩耗、コーティングされる加工対象物とベルカップとの衝突による損傷、または、不適切な取り扱いによる損傷、損傷または不正確なねじ込みまたは汚染等によるベルカップの不均衡のような様々な原因を有し、それぞれの場合において、突然の急停止またはシャフトのロックに繋がり得る。表面または中にねじ込まれるベルカップの場合、ベルカップの意図しない緩みのリスクが、スレッドの方向(右または左)次第では、ベルカップの急加速の場合にも起こり得る。いずれの場合においても、大きな回転速度で回転し、その運動エネルギーによってそれ自体をネジから緩めるベルカップは、考慮すべき機械的損傷および事故のリスクという結果を伴って、アトマイザーから振り落とされ得る。
【0005】
ベルカップの振り落としを防止するためのさまざまな構造的な選択肢が特許文献6に記載されている。なかでも、コーティング作業の完全自動化の場合、言及された機械的損傷および事故のリスクは防止されるが、製造プロセス中に正しい位置から外れるベルカップによるコーティングエラーは除外され得ないので、それらは十分ではない。それらは完璧にはコーティングされてきていないので、アトマイザーの典型的な異常は、たとえば、欠陥がある加工対象物という結果を伴う不安定な噴霧ジェットまたは霧化の中断である。
【0006】
構成要素の存在または固定のモニタリング用の一般的な従来技術から知られる方法は、電気センサーおよび/または光学部品を用いる。静電アトマイザーに接続される絶縁対策の必要性を伴う静電アトマイザーにおける高い電圧によって、アトマイザーにおける電気的な接続および電気部品がここで考慮される目的に対しては用いられず、一方、アトマイザーによる塗料エアロゾルの生成によって、固定モニタリング用の光学部品もまた、その汚染検出感度のために不安定である。
【0007】
軸方向の磁力によってドライブシャフトに固定される回転アトマイザーのベルカップの不正確な固定の存在または検出をモニタリングする空気圧システムが特許文献7によって既知である。磁力を和らげるエアクッションがエアクッションの自身の圧縮空気源によって生成される軸方向の圧縮ベアリングをドライブシャフトは有し、そのエアクッションの圧力がセンサーを用いてモニタリングされる。特別な圧縮空気源の必要性のようなさまざまな問題がこのシステムとともに実際に生じ、それらはさらに、測定エラーを防ぐために精密に制御されなければならず、正圧の場合には磁力の固定を緩め得る。また、軸方向の圧縮ベアリングからセンサーへの精密かつエラーのない空気信号の伝達は困難であり、センサー通路の封鎖または空気ホースの曲がりによる機能的な欠陥が起こり得る。さらに、ベアリングから流れ出る圧縮空気は、たとえばブラシサイズのようなアトマイザーの機能を低下させ得る。なお、既知のシステムのいずれにおいても、回転検知は起こらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第4306799号明細書
【特許文献2】欧州特許第0715896号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102005015604号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第102006057596号明細書
【特許文献5】欧州特許第1266695号明細書
【特許文献6】欧州特許第1674161号明細書
【特許文献7】欧州特許第1789200号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここから、本発明は、具体的には既知のシステムの短所がなく、その固定が緩む場合において、ベルカップによって引き起こされるそれに対応するコーティングエラーを含む回転アトマイザーの異常を防ぐという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、請求項に記載の特徴によって実現される。
【0011】
本発明は、能動流れ構成要素が噴霧体および/または反対側またはそれに隣接して位置する固定された構成要素に設けられる場合に、回転するベルカップまたは回転アトマイザーの他の噴霧体の望まない緩みが容易かつ信頼性高く検知され得て、その構成要素によって定義可能な局地的な空気の流れが回転操作の場合にのみ生成され、その空気フローは噴霧体が緩む場合に変化し、ドライブシャフトの内側または外側に位置決めされ得て、センサーによってモニタリングされ得るという識見に基づいている。それゆえ、本発明は、噴霧体の回転によって、または噴霧体の回転の結果として、生成され、または、引き起こされる1つまたは複数の流れ成分にここで関係している。
【0012】
さまざまな回転アトマイザーおよび/または噴霧体またはベルカップ用の異なる能動流れ構成要素が設けられる場合、本発明によって、回転するベルカップのそれぞれのタイプを検知し、その後に測定結果を参照値と比較することによって不正確なベルカップを交換するという選択肢がさらに生まれる。実際、ある所定のタイプのベルカップのみがそれぞれの回転アトマイザーに対して用いられ得て、いかなる混合のリスクも除外されるということは、機能の品質を保証するために重要である。この態様に基づいて、本発明によって、それゆえに、信頼できるベルカップ検知が可能になる。
【0013】
好ましくは、本発明の全ての態様を伴って、ベルカップそれ自体が、少なくとも1つの能動流れの構造的設計を有する。
【0014】
本発明によれば、1つまたは複数の流れ成分が生成され、測定され得る。能動流れ構成要素は好ましくは他の理由のためにまだ設けられていない追加の要素であり得るが、所定の流れ成分の生成および測定のために他の理由で既に存在する要素の使用もまた可能である。
【0015】
それ自体は既知であるフローセンサーまたは圧力センサーが、たとえば、センサーとして用いられ得る。たとえば、能動流れ要素によって、および、もし適切であれば、具体的には異なるベルカップのタイプの上述の区別にとって好適であり得る特殊な圧力変動によって引き起こされる特殊な音波または音声パターンを検知する際に他の可能性が存在する。
【0016】
能動流れ要素はドライブシャフトの内側または外側に位置し、所定の流れ成分を直接生成する、または、所定の圧力均等化空気フローをも引き起こし得る。
【0017】
本発明の一態様によれば、回転するベルカップの外面における空気摩擦が、具体的にはベルカップの位置およびもし適切な場合には位置依存の圧力均等化によって決まる所定の空気流れによって、構成要素の意図された位置および/または形状または構造をモニタリングし、異常の状況を検出するために、遠心力に関連して用いられ得る。
【0018】
フロー生成要素は、具体的には、ベルカップの構造に一体化され得て、回転アトマイザーの固定部分に接続されて、または、外気と接して局所的な空気フローを生成し得る。好適な、現存するまたは追加の空気ガイドによって、空気フロー信号はセンサーに導かれ、それゆえに回転中にモニタリングされ得る。
【0019】
葉状、スプーン状、フィン状および波状だけでなく、羽根状、らせん状(Schnecken)、らせん状(Spiral)またはスレッド状のような全ての能動流れの変形例が、フロー生成設計要素として用いられ得る。ボアまたは他の能動流れの中空な形状、構造または窪みもまたあり得る。
【0020】
測定技術によって評価され得る所定の空気フローまたは局所的な圧力変化もまた、摩擦が影響する表面コーティングまたはマクロ構造によって生成され得る。
【0021】
ベルカップの開口周縁部において、アトマイザーの指向性のある空冷環と反対側のベルカップにおいて、塗料ノズルと反対側のベルカップにおいて、塗料パイプと反対側のベルカップにおいて、ベルカップの内面において、または、他の構成部分において、のようなベルカップの外面および内面の異なるセクションにおいて、能動流れ構成要素が実現され得る。
【0022】
生成された、または、圧力を均等化している空気フローがその相互位置によって決まるならば、すなわち、隣接する回転表面と固定表面との間のギャップ寸法のような、回転アトマイザーの固定された構成要素に対する噴霧ヘッドのそれぞれの位置が、測定された流れ成分から精密に測定され得る。所定の参照値と測定値との比較が不正確な位置を生むのであれば、適切な場合は許容可能な公差の範囲外で、好適な対策が自動的に即座に導入され得る。
【0023】
たとえばベルカップの円錐状の外部曲面のような、回転軸と同心である、少なくともおおよそ、または、少なくともいくぶんかは円錐面に能動流れ要素を設けることがとりわけ好適であり得る。一方、能動流れ構成要素もまた、たとえば、ベルカップの内面と、典型的には回転アトマイザーがベルカップに向けて延びる中央パイプおよびノズルボディとの間に位置決めされ得る。
【0024】
本発明は、たとえば、変えられなければならない従前の回転アトマイザーのドライブシャフトへのベルカップの実績のあるネジ固定なしで実現され得る。駆動モーターとして一般的であるエアタービンに磁力は損傷を与え得るので、これらのネジ接続は、たとえば、磁力による固定と比較して、それ自体が重要であるという利点を有する。また、具体的には前述の特許文献6に係る、ベルカップの振り落としを防止するための追加の構造的な安全対策が保たれ得る。他方、本発明に基づいて、ベルカップの緩みの始まりさえも検知され、アトマイザーが自動的に即座に停止され得るが、ベルカップが完全に緩む前に低い加速度においてはすなわち突然ではなくアトマイザーが停止され得るので、ある状況下ではそのような追加の安全対策は過剰であるかもしれない。
【0025】
異常な状態において対策が自動的に導入されると同時に、たとえば、コーティングプロセスを中断するために、異常信号によって異常な状態が示され得る。
【0026】
既に言及された利点に加えて、本発明によってさらなる重要な利点が生じる。それゆえ、本発明は、いかなる追加の空気供給部、たとえば、またはその調節および精密な制御、またはそれと接続される操作および制御の費用をも必要としない。外部ソースからいかなる追加空気も供給される必要がないので、テスト空気を逃がすことによる霧化機能の異常もまた除外される。さらに、流れ圧力の伝達が、典型的な回転アトマイザーに存在する塗料パイプを通って、または、ドライブシャフトを通って、または、ドライブシャフトとタービン固定子との間を通って、センサーに導かれ得るので、本発明によって生成された流れ成分はいかなる問題もなく測定され得る。回転するベルカップの場合、停止状態の場合とは完全に異なる測定値が生じなければいけないので、システムの自己制御の可能性がさらなる重要な利点である。たとえば、空気ガイドによってブロックされ、または、他の方法で遮断され、正確な固定として説明され得る制御エラーは、それゆえに起こり得ない。
【0027】
たとえば、電気的な測定方法と比較して、空気圧および流れ成分が高圧での絶縁にとって必要な距離を超えて、絶縁材料で作られた通路またはラインを通って、低いポテンシャルであり、たとえばそこでのみ電気信号に変換され得る領域に導かれ得るので、本発明は、システムが回転アトマイザーの高圧に敏感ではないという利点をさらに有する。光学的な測定方法と比較して、本発明は、光学的構成要素の機能を損ない得る、たとえば塗料ミストによる汚染に対して敏感ではないという利点を有する。
【0028】
冒頭部で既述されたように、ここで述べられた回転アトマイザーは、たとえば、通常の方法で、コーティングロボットまたは他の自動コーティング機の袖口に実装され得る。
【0029】
本発明は、図面に示される実施態様を用いて、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に不可欠な回転アトマイザーの一部の図である。
【図2】本発明に係る能動流れ構成要素のさまざまな実施態様の図である。
【図3】本発明によって生成され、評価され得る、可能な流れ成分の図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
コーティングされる加工対象物に対向する回転アトマイザーの前方部分が図1に模式的に簡素化された方法で図示され、回転アトマイザーは、通常の塗料分配ディスク2を伴うベルカップ1と、指向性のある空気のボア7の環状配置を伴う指向性のある空冷環3と、ベルカップの中央ボア8と中空シャフトとして構成されるドライブシャフト5に延びる塗料排出ノズル4を伴う中央塗料供給パイプ6と、から基本的に構成され、本図によれば前方端における円錐形状のその開放端に、ベルカップがネジ止めされる。本図によれば、ベルカップのそれに対応する円錐状のハブ部材は、ドライブシャフト5の円錐部分に嵌合する。ベルカップを締めるスレッドは、ベルカップまたはドライブシャフトの円筒状の表面上の9に位置する。10において、とりわけ洗浄の目的のため、ベルカップの後部からベルカップのボディに向けて軸方向に延びる内部の環状スペースをベルカップは有する。上述の部分の全てが、回転軸に対して、回転対称であり、同心である。ここで考慮されるタイプの高回転アトマイザーの場合、ベルカップ1は、概して、15000rpmと60000rpmとの間の回転速度で回転する。この点に関して、本回転アトマイザーは、たとえば、欧州特許0714896号明細書、特許文献3または特許文献4に係る従来技術と一致し得るので、さらなる説明は必要ではない。
【0032】
本発明によれば、ベルカップ1は一体化されたフロー生成要素を有し、それはさまざまなポイントA〜Fに模式的に示されるのみであり、一方、既知のベルカップの場合にはないものである。ベルカップの不均衡が引き起こされないように、少なくともそれらがベルカップに一体化される程度に、これらの要素もまた、回転軸に対して回転対称かつ同心に配置される。本図によれば、このタイプの要素は、たとえば、1つまたは複数の以下のポイントに設けられ得る:
ベルカップ1と指向性のある空冷環3との間の領域にあるAにおいて、具体的には、ベルカップの外側曲面12の後部円錐端部と、好ましくは、同じものの反対側に隣接して位置する、指向性のある空冷環3の少なくともおおよその、それに対応する円錐状の内面13との間の領域にあるAにおいて;
ベルカップのハブ部材15の内部スペース14の領域にあるBにおいて、すなわち、具体的には、ハブ部材の内側と、内部スペースに位置する塗料排出ノズル4の部分の外周との間の領域にあるBにおいて;
ベルカップの中央ボア8の領域にあるCにおいて、すなわち、その周縁部と、中央ボアに延びる塗料排出ノズル4の端部の外周との間の領域にあるCにおいて;
ベルカップの環状スペース10の領域にあるDにおいて、たとえば、本図によれば、環状スペース10の放射状の外部円筒表面と、固定された指向性のある空冷環3の軸方向の端面によって内部の端において環状スペース10が実質的に閉鎖され得ることが考慮に入れられた、環状スペースに延びるドライブシャフト5の端部の外周との間の領域にあるDにおいて、;
後部の領域にあるEにおいて、すなわち、ハブ部材15のアトマイザー側の端部、つまり、たとえば、本図によれば、環状のハブ端部材15’の内側と、その端にノズル4が位置する塗料供給パイプ6の外周との間の領域にあるEにおいて;および/または、
円錐状の外側曲面12と、回転アトマイザーの外側を取り囲む開口部との間の領域にあるFにおいて。
【0033】
本発明に係る好適な、フローを生成する構成要素に関するさまざまな例が図2に模式的に示される。示された要素が設けられ得る、対応する円筒状または非円筒状の内面または外面が、ベルカップ1のさまざまなポイントおよび/または回転アトマイザーの他の示された構成要素のさまざまなポイントに存在する。
【0034】
図2.1は、たとえば、らせん状に構成された円筒表面の円形の外部スレッドを示す。
【0035】
図2.2は、たとえば、円筒表面における台形の外部スレッドを示す。
【0036】
図2.3は、基本的に円錐状の構成要素上の外部スレッドを示す。
【0037】
図2.4は、固定された、または、回転する構成要素241の本質的に円錐状の凹部の周縁部にある内部スレッドを示す。
【0038】
図2.5は、フロー生成に好適な羽根状の要素251を伴う、その周縁部に設けられた円筒状の構成要素を示す。
【0039】
図2.6は、具体的には、固定された円筒状の外側部分261において回転する内側部分262の円筒状の外側に設けられ得るスレッド構造を示す。
【0040】
図2.7は、具体的には、固定された円筒状の内側部分271に対して回転する外側部分272の円筒状の内面に設けられ得るスレッド構造を示す。
【0041】
図2.8は、具体的には、回転アトマイザーの固定された内側部分281の円筒状の外面に設けられ得るスレッド構造を示す。本実施態様において、スレッド構造は、回転する外側部分282の円筒状の内側にある能動流れ構造と接触し、それはたとえば、回転するベルカップの部分282の円筒状の内面に挟まれる長軸方向の溝283によって、および/または、内面から突き出る長軸方向のバー284によって、本図に従って形成され得る。
【0042】
図2.9は、具体的には、回転アトマイザーの固定された外側部分291の円筒状の内面に設けられ得るスレッド構造を示す。本実施態様において、スレッド構造は、回転する内側部分292の円筒状の外側にある能動流れ構造と接触し、それはたとえば、ベルカップの部分292の円筒状の外面に挟まれる長軸方向の溝293によって、および/または、外面から突き出る長軸方向のバー294によって、本図に従って形成され得る。
【0043】
図2に示される実施態様の組み合わせおよび修正もまた可能である。たとえば、それぞれの場合において示された円筒表面の代わりに、多かれ少なかれ円錐表面が用いられてもよい。
【0044】
図3は、本発明によって生成され得るさまざまな流れ成分を模式的に示す。第1の選択肢によれば、31で表される流れ成分の通路はベルカップ1と塗料排出ノズル4との間を通り、特に具体的には、本図によれば、最初は分配ディスク2とベルカップの端面との間のベルカップの前方周囲から、ついで、そこのベルカップの内壁と、中央ボアに位置するノズル4の前方端部の外周との間の中央ボア8(図1)を通り、ついで、内部スペース14の外周面とノズル4の外周との間の内部スペース14(図1)を通り、そこから、中空シャフトとして構成されたドライブシャフト5の内側と、塗料供給パイプ6の外周との間の円筒状の環状ギャップを通る。
【0045】
第2の選択肢によれば、32で表される流れ成分の通路は、ベルカップ1と指向性のある空冷環3との間を通り、特に具体的には、本図によれば、ベルカップの外側曲面12の周囲から、表面12と、指向性のある空冷環の内面13(図1)との間に形成された円錐状の環状ギャップ内のベルカップ1に沿って、そこから、ドライブシャフト5の外周と、指向性のある空冷環3の円筒状の内面との間の円筒状の環状ギャップを通る。
【0046】
第3の選択肢は流れ成分33であり、それはまず、ベルカップ1の周囲と、外側曲面12との間を通る。そこから、流れ成分33はついで、たとえば、指向性のある空冷環3の円筒状の外周に沿って、回転アトマイザーにさらに向かうように導かれ得る。一方、流れ成分33の通路もまた指向性のある空気孔7を通る。たとえば、指向性のある空気が形成されている場合に加えて、指向性のある空気の形成が止まる場合にも、流れ成分33によって、その変化が測定され得る。
【0047】
本発明は示された流れ成分に限定されるものではない。これらは、他の通路を流れてもよいし、他の方向に流れてもよいし、反対方向に流れてもよい。それによって引き起こされる正の方向および負の方向の両方の流れ成分または圧力変化が測定され得る。
【0048】
それ自体は既知である、好適にはフローセンサーまたは背圧センサー等であり得る図3に示すセンサー34は、生成された流れ成分またはそれに対応するその空気信号を測定するために用いられ得る。1つまたは複数の異なる流れ成分またはそれに対応する空気信号を測定するための複数のセンサーを設けることもまた好適であり得る。センサー34は、たとえば、図示されない回転アトマイザーの後部に配置され得る。測定される流れ成分のセンサー34への伝達は、好ましくは回転アトマイザーを通して起こる。空気フローまたは圧力信号が塗料供給パイプ6またはドライブシャフト5を通って好適なホースまたはライン内のセンサー34に導かれる場合、それはとりわけ好適であり得る。
【0049】
たとえば、図2における図2.3に係るらせん形の表面構造が図1のAにおける円錐状の外側曲面12に一体化される場合、回転するベルカップおよび好適に選択された回転方向の場合、空気フローは閉鎖されたアトマイザー内部において生成され得て、それはたとえば図3における流れ成分32に従って、そこに正圧を生成する。この正圧は、ベルカップの回転の場合においてのみ生じる。正圧は、ベルカップと指向性のある空冷環との間の存在する空気ギャップを介して、周辺に向かって逃げ得る。これは、生成された正圧が、回転速度、および、ベルカップの隣接表面と指向性のある空冷環との間のギャップ寸法、すなわち、ベルカップの現在位置およびそれゆえのベルカップの固定によって決まることを意味する。これらの圧力値が検知され、所定の状況用に前もって蓄積され得るので、製造における後の使用の間に、現在の実測値の定期的な測定とそれに対応する設定値との比較が可能である。ベルカップの固定(ネジ接続)が緩んでいる場合においては、ベルカップの位置は、指向性のある空冷環から離れるように動く。ベルカップと指向性のある空冷環との間のより大きなギャップによって、より大きな内圧と周囲との間のより大きな圧力均等化が可能になる。すなわち、正圧が低下し、設定値との相違が形成される。許容誤差の限界を超えている場合、異常な状況が認識され、異常信号として表示され得て、危険防止のため、または、品質保証のための対策が導入され得る。
【0050】
言及された流れ成分用の少なくとも1つのセンサー34は、アトマイザー内に配置されてもよいし、アトマイザーの外側にも配置されてもよい。アトマイザーの外側に配置された場合、センサー34はたとえば、アトマイザーが実装される塗装ロボットまたはコーティング用ロボットの固定要素または構成要素に配置されてもよいし、コーティング装置の供給装置のような他の部位に配置されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物の連続的なコーティングのために用いられる回転アトマイザーの回転する噴霧体(1)をモニタリングする方法、具体的には噴霧体の固定をモニタリングする方法であって、
前記噴霧体(1)が、モーターによって駆動される前記回転アトマイザーのシャフト(5)に固定され、
前記噴霧体(1)の構造的設計、および/または、同じものに対して固定された前記噴霧体に隣接する前記回転アトマイザーの構成要素によって、および、前記噴霧体(1)の回転によって、前記構成に対応する空気の流れ成分(31、32、33)が生成され、
前記流れ成分(31、32、33)が測定され、所定の参照値と比較される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記回転アトマイザーの周囲からの前記流れ成分が、前記回転アトマイザーに向けられる、および/または、前記回転アトマイザーの中に向けられる、または、前記回転アトマイザーとは反対方向に向けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流れ成分が、以下の方向のうちの少なくとも1つ、または、その反対の方向のうちの少なくとも1つ、
a)前記噴霧体(1)の端面における中央開口部(8)から、その内部スペース(14)を通って、前記噴霧体に向けて延び、それに相対的に固定された中央ノズルおよびパイプ配置(4、6)に沿う方向;
b)前記噴霧体(1)の外周面(12)から、前記噴霧体(1)の前記駆動シャフト(5)の外側に向かう方向および沿う方向;
c)前記回転アトマイザーの外側の噴霧体(1)の周囲から、具体的には前記噴霧体(1)の円錐状の周面(12)に向かう方向および沿う方向;
に向けて生成される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
所定のタイプに対応して用いられる前記噴霧体(1)が、前記比較結果に基づいて測定される、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記流れ成分または前記流れ成分に対応する流れまたは圧力値が、中空シャフトとして構成された前記回転アトマイザーの前記ドライブシャフト(5)、または、その中央塗料供給バルブ(6)、または、その前記指向性のある空冷環(3)、を通って、センサー(34)に供給される、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
加工対象物の連続コーティング用の回転アトマイザーであって、
モーターによって駆動される回転可能な実装シャフト(5)に固定された、または、固定され得る噴霧体(1)を伴い、
空気の流れ成分(31、32、33)が生成され得ることによって、前記噴霧体(1)、および/または、同じものに相対的に固定された前記噴霧体に隣接する前記回転アトマイザーの構成要素、が構造的設計を有し、
前記流れ成分を測定する少なくとも1つのセンサー(34)が設けられた、
ことを特徴とする回転アトマイザー。
【請求項7】
前記空気の流れ成分(31、32、33)が、前記回転アトマイザーの周囲から、前記回転アトマイザーに向けられた、および/または、前記回転アトマイザーの中に向けられた、または、前記回転アトマイザーとは反対方向に向けられた、
ことを特徴とする請求項6に記載の回転アトマイザー。
【請求項8】
前記流れ成分を生成するための前記構造的設計が、前記回転アトマイザーの以下のポイントのうち少なくとも1つ、
a)前記噴霧体(1)の外面および/または前記回転アトマイザーによって生成された前記噴霧ジェットに方向づけられた指向性のある空気の流路(7)が通ずる、前記噴霧体(1)の前記外面(12)と、同じものに相対的に固定された環状体(3)の同じものに対向する表面(13)との間;
b)前記噴霧体(1)の内面と、前記回転アトマイザーの回転軸に沿って前記噴霧体(1)の内部スペース(14)に向けて延びる、前記回転アトマイザーのノズル配置(4)との間;
c)前記噴霧体(1)の中央の軸方向のボア(8)の前記表面と、前記ボア(8)に向けて延びる前記コーティング材料用のノズル(4)の外側との間;
d)前記端面から遠ざかるように対向する前記噴霧体の前記後部から、そのボディに向けて軸方向に延びる前記噴霧体(1)の内部環状スペース(10)の表面と、前記環状スペース(10)に隣接する前記噴霧体に相対的に固定された前記回転アトマイザーの構成要素(3)の表面との間;
e)前記噴霧体(1)のハブ部材(15)の内面と、前記ハブ部材(15)に向けて延び、それに相対的に固定された前記回転アトマイザーのパイプ体(4、6)の外側との間;
f)前記噴霧体(1)の外面(12)と、それに隣接し、前記回転アトマイザーの外側にある前記噴霧体の周囲との間;
に設けられた、
ことを特徴とする請求項6または7に記載の回転アトマイザー。
【請求項9】
前記流れ成分を生成する要素(図2)が、構造的設計として、前記噴霧体(1)の表面に設けられた、
ことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項10】
前記構造的設計が、前記噴霧体(1)の表面と、それに相対的に固定された前記構成要素との間に設けられ、
ギャップが形成された場所の間で、その幅または寸法が、前記噴霧体(1)の軸方向の位置の変化の際に、固定された前記構成要素に対して相対的に変化する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項11】
前記構造的設計が1つまたは2つの相互に対向する表面に設けられ、一方または両方の表面が前記回転軸に対して同軸であり、少なくとも略円錐状である、
ことを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項12】
以下の要素のうち少なくとも1つが、
a)スレッド、らせん状(Schnecken)、らせん状(Spiral)または波状の構造;
b)羽根状または葉状の構成;
c)前記噴霧体(1)または前記固定された構成要素の表面における1つまたは複数の凹部(Ausnehmungen)または窪み(Vertiefungen);
前記噴霧体(1)における前記流れ成分、および/または、それに相対的に固定された前記構成要素、を生成するために設けられた、
ことを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項13】
前記フロー生成要素が、円筒状または非円筒状、具体的には少なくとも略円錐表面に設けられた、
ことを特徴とする請求項6乃至12のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項14】
前記センサー(34)が前記回転アトマイザー内に配置された、
ことを特徴とする請求項6乃至13のいずれか1項に記載の回転アトマイザー。
【請求項15】
回転アトマイザーのベルカップであって、
その表面が請求項6乃至14のいずれか1項に記載の構造的設計を有するベルカップ。
【請求項16】
加工対象物の自動的な連続コーティング用のコーティング装置であって、
請求項6乃至14のいずれか1項に記載の回転アトマイザーを伴い、
前記センサー(34)が、前記アトマイザーが実装された、または、実装され得る前記コーティングロボットの一部において、または、前記コーティング装置の他の部分において、前記回転アトマイザー内または前記回転アトマイザーの外側に配置された、
ことを特徴とするコーティング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2013−505818(P2013−505818A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530161(P2012−530161)
【出願日】平成22年9月21日(2010.9.21)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005775
【国際公開番号】WO2011/035887
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504389784)デュール システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (54)
【Fターム(参考)】