説明

回転コネクタ装置

【課題】ステータに対するロテータの中立位置を仮固定することが容易に行えるようにするとともに、仮固定のための付勢状態が均等になるようにして、ロテータへのステアリングホイールの適切な着脱を可能にする。
【解決手段】ステータ21と、ロテータ31と、中立位置での仮固定をする仮固定機構41を備え、仮固定機構41が、中央穴42を有するとともにロテータ31の下部に一体に固定され、内蔵したばね部材43の付勢力で上動させた係止部材44の係止部47をステータ21の被係止部22aに係止して仮固定を行う回転コネクタ装置11において、係止部47と被係止部22aを、これらが係止し合ったときにロテータ31を中立位置に位置させる1箇所の中立位置と、これとは反対側の反対側位置に形成する。また係止部材44における前記ばね部材43の上端部が当接するばね当接面44aの近傍に、ばね部材43の上端部位置を規制する規制手段49を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、回転操作具と固定体との間で信号伝達や電力供給を行うために用いられる回転コネクタ装置に関し、より詳しくは、回転操作具の適切な装着が容易に行えるようにするような回転コネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転コネクタ装置は、固定体に固定される固定側部材と、これに対して相対回転可能に取付けられて回転操作具で回転される回転側部材を備える。自動車のステアリングホイール部分に備えられる回転コネクタ装置では、固定側部材は固定体としてのコンビネーションスイッチに固定され、回転側部材には、回転操作具としてのステアリングホイールが相対回転不可に装着される。
【0003】
ステアリングホイール部分に備えられる回転コネクタ装置では特に、回転側部材の回転が左右両方向に均等に行える必要がある。このため、固定側部材に対して相対回転可能な回転側部材は、固定側部材に対して左方向にも右方向にも偏らない均等な中立位置にした状態でステアリングホイールの装着をしなければならない。
【0004】
このような装着を容易にする回転コネクタ装置として、下記特許文献1に開示された装置を提案した。この回転コネクタ装置では、予め中立位置にした回転側部材の回転方向の向きを仮固定し、この状態の回転コネクタ装置に対してステアリングホイールを装着すると自動的に回転側部材の仮固定が解除されて、ステアリングホイールの適切な装着状態が得られるというものである。
【0005】
具体的には、固定側部材と、この固定側部材上で左右両方向に相対回転可能に取付けられ、中央の嵌合穴に嵌め込まれたステアリングホイールの回転に伴って回転する回転側部材と、この回転側部材を固定側部材上での中立位置に仮固定する仮固定機構を備える。この仮固定機構は、ステアリングホイールによって回転されるステアリングコラムを受け入れる中央穴を有するとともに前記回転側部材の下部に相対回転不可に固定され、前記中央穴を取り囲む状態に内蔵したねじりコイルばねからなるばね部材(戻しバネ18。符号は特許文献1におけるもの。以下、この項において同じ)の付勢力で上動させた係止部材(ロック体17)の係止部(ロック突起47)を前記固定側部材の被係止部(係止部66)に係止して前記仮固定を行う構成である。
【0006】
前記係止部は、前記ばね部材の下端部を受けるばね受け部材(ばね受けスリーブ16)に対して相対回転不能にすべく、ばね受け部材の一部を内から外に貫通するように外周方向に突出形成されている。形成位置は、中央穴の中心点を挟んで直線上に並ぶ2箇所に一対である。この係止部が係止する被係止部は、固定側部材における中央穴の外周部分に全周にわたって多数形成されている。
【0007】
また、前記係止部材における前記ばね部材の上端部が当接するばね当接面とその近傍は、一様な平面形状に形成されている。
【0008】
このような回転コネクタ装置をコンビネーションスイッチに固定したのち、ステアリングホイールを回転側部材に装着すると、仮固定機構の係止部材がばね部材の付勢力に抗して押し下げられ、係止部と被係止部の係止が外れて、ステアリングホイールが左右両方向に均等に回転可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−129187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述のように係止部の数に対して被係止部の数が多く、全周にわたって形成されているので、ばね部材の付勢力にまかせて係止部材を上動させたときには、係止部材が中立位置以外の位置で係止することがある。中立位置であるか否かは別の手段で判断しなければならず、正確な中立位置で簡単に仮固定することは容易ではなかった。
【0011】
このため、係止部と被係止部を一つずつ形成することも考えられるが、係止部を有する係止部材は、ばね受け部材との間で相対回転不可にする機能を有するとともに、ばね部材によって付勢されているので、均等に付勢されないと、係止部材が傾き、係止が外れるなどのおそれが生じる。係止が外れた場合には、中立位置に設定した作業が無駄になり、作業のやり直しが必要となる。
【0012】
また、係止部材を付勢するばね部材の上端部を受けるばね当接面が平面形状であるので、ばね部材の上端部のばね当接面に対する位置が安定しない。このため、ステアリングホイールを装着したり外したりしてばね部材が伸縮したときに、伸縮の中心位置がずれて、係止部材のばね当接面が均一に付勢されないことがある。このような場合には、前述と同様に、係止部材が傾き、係止が外れるおそれがある。
【0013】
そこで、この発明は、ばね部材による付勢が均等に行え、係止状態における付勢状態も、ばね部材の伸縮時における付勢状態もバランスがよく、回転操作具の適切な装着が容易に行えるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そのための手段は、固定体に固定される固定側部材と、該固定側部材上で左右両方向に相対回転可能に取付けられ、中央の嵌合穴に嵌め込まれた回転操作具の回転に伴って回転する回転側部材と、該回転側部材を固定側部材上での中立位置に仮固定する仮固定機構を備え、該仮固定機構が、前記回転操作具によって回転される回転軸を受け入れる中央穴を有するとともに前記回転側部材の下部に相対回転不可に固定され、前記中央穴を取り囲む状態で内蔵したばね部材の付勢力で上動させた係止部材の係止部を前記固定側部材の被係止部に係止して前記仮固定を行う回転コネクタ装置であって、前記係止部と前記被係止部が、これらが係止し合ったときに前記回転側部材を前記中立位置に位置させる1箇所の中立位置と、該中立位置に対して前記中央穴の中心点を挟んで反対側の反対側位置に形成されるとともに、前記係止部材における前記ばね部材の上端部が当接するばね当接面の近傍には、前記ばね部材の上端部位置を規制する規制手段が設けられた回転コネクタ装置である。
【0015】
この構成では、係止部材をばね部材の付勢力に任せて上動させても、係止部と被係止部が係止可能な向きは、回転側部材を固定側部材に対して中立位置にする適切な向きを含めた限定されたものとなる。また、係止部と被係止部は、中立位置と反対側位置に形成されているので、一つの係止部と被係止部を備えた場合と比較してばね部材による付勢力をバランスよく受けて上下動する。そのうえ、ばね部材の上端部の位置は、係止部材に設けられた規制手段によって規制され、ばね部材の伸縮時、すなわち回転操作具の着脱時にばね部材や係止部材が傾くことを抑制する。
【0016】
また、前記の構成において、前記規制手段を、ばね部材の上端部を嵌め込む嵌め込み溝で構成することができる。嵌め込み溝がばね部材の上端部を確実に規制するので、伸縮の安定性を良好に保てる。
【0017】
前記規制手段は、ばね部材の内周側に位置する筒状部であってもよい。この場合には、ばね部材の上端部の位置ずれを防止できるほかに、異物の混入を防ぐことができるようになる。
【0018】
さらに、前記筒状部の内径を、前記ばね部材を受けるばね受け部材の中央に設けられた中央穴の内径よりも大きく設定することもできる。この場合には、回転コネクタ装置の固定体に対する着脱時に、回転コネクタ装置が傾いても、係止部材が回転軸に接触して擦り上げられたりして、脱落したり破損したりするような不都合を回避できる。
【0019】
前記係止部と前記被係止部を、回転側部材を固定側部材に対する中立位置にする向きでのみ係止する構成にしてもよい。適正な向きでのみ仮固定できるようになるので、中立あわせ作業がより簡単になる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、係止部と被係止部の係止向きが中立位置を含めた限られた向きに制限されるので、中立位置に合わせることが容易で、回転操作具の適切な装着が容易である。そのうえ、係止部と被係止部の形成位置が中立位置と反対側位置である上に係止部材にはばね部材の上端部の位置を規制する規制手段を備えたので、係止状態における付勢状態も、ばね部材の伸縮時における付勢状態もバランスがよく、この点でも、回転操作具の適切な装着が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】回転コネクタ装置の係止部及び被係止部位置(図4のA−A部分)で切断した縦断面図。
【図2】回転コネクタ装置の斜視図。
【図3】回転コネクタ装置の分解斜視図。
【図4】回転コネクタ装置の平面図。
【図5】回転コネクタ装置のロテータを外した状態の平面図。
【図6】仮固定を解除する状態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、車両のステアリング部分に用いられる回転コネクタ装置11の縦断面図であり、回転コネクタ装置11において回転操作具の適切な装着が容易に行えるようにするという目的を、ロテータ31をステータ21上での中立位置に仮固定する仮固定機構41の係止部47と被係止部22aを、これらが係止し合ったときに前記ロテータ31を前記中立位置に位置させる1箇所の中立位置と、該中立位置に中央穴42の中心点を挟んで反対側の反対側位置に形成するとともに、係止部材44におけるばね部材43の上端部が当接するばね当接面44aの近傍に、前記ばね部材43の上端部位置を規制する規制手段49を設けるという構成にて実現した。
【0023】
まず、回転コネクタ装置11の全体の概略構造について説明する。
【0024】
図2は、回転コネクタ装置11を上面側から見た斜視図であり、図3は回転コネクタ装置11の分解斜視図である。これらの図に示すように、回転コネクタ装置11は、下面側に位置する固定側部材としてのステータ21と、上面側に位置する回転側部材としてのロテータ31と、これらステータ21及びロテータ31の間でのステータ21に対するロテータ31の中立位置(回転コネクタ装置11の中立位置)を保持する仮固定機構41を備える。
【0025】
前記ステータ21は、図1の縦断面図にも示すように、中央に円形の穴を有し略環状をなす固定側リング板部材22と、この固定側リング板部材22における外周側部位の上面に係合して一体化される平面視円形をなす外周筒部材23とで構成される。
【0026】
固定側リング板部材22は、固定体としての図示しないコンビネーションスイッチに固定する固定爪24等の固定手段を有する。また、外周筒部材23を固定する位置よりも外周側には、適宜外方に張り出すコネクタハウジング25が形成されている。
【0027】
外周筒部材23は、内外二重壁構造に構成され、内側に位置する内側壁部26の方が外側に位置する外側壁部27よりも高さが低くなるように形成される。また、外側壁部27の外周側であって、前記固定側リング板部材22のコネクタハウジング25に対応する部位には、その固定側リング板部材22のコネクタハウジング25と組み合わさるコネクタハウジング28が形成され、これらコネクタハウジング25,28内には、コネクタ29が内蔵されている。
【0028】
前記ロテータ31は、図2に示したように、前記ステータ21の固定側リング板部材22の上面側と外周筒部材23の内周側との間に、図示しないフレキシブルフラットケーブルを収容するための環状をなす収容空間Sを形成できるように、平面視リング状をなす天板部32と、この天板部32の内周縁から垂設された内周筒部33とを一体に有する。この内周筒部33の下端からは、内周方向に張り出す張り出し部33aが形成されている。
【0029】
天板部32の大きさは、前記外周筒部材23の内周壁部26の上端に被さるが、外側壁部27には接触しない大きさに設定されている。また、天板部32には、コネクタハウジング34が一体形成され、コネクタ35が内蔵されている。
【0030】
内周筒部26の内周面には、回転操作具としてのステアリングホイール51(図6参照)の回転を伝達できるようにするために、2個の係合突起36,37(図4参照)が一体に形成されている。これら係合突起36,37は、ステアリングホイール51における芯金のボス部52の側面に形成された係合溝(図示せず)に係合するものである。
【0031】
すなわち、ロテータ31の内周筒部33の内周側はステアリングホイール51を受ける受け部となり、上面側から前記ボス部52を挿入すると、前記係合溝と係合突起36,37が係合し合い、相対回転不可となる。
【0032】
前記収容空間Sには、フレキシブルフラットケーブルを収容するためのリテーナ61が回転可能に備えられている。リテーナ61は環状をなす板状で、上面に複数のローラ62を有する。1個のローラ62は、その他のローラ62と外観上識別可能にするため、色を違えており、前記中立位置にあるときに前記ロテータ31の上面に形成した窓部32aから透視できるように構成されている(図2、図4参照)。
【0033】
前記仮固定機構41は、ロテータ31をステータ21上での中立位置に仮固定するもので、図2に示したように、前記ステアリングホイール51によって回転される回転軸としてのステアリングコラム(図示せず)受け入れる中央穴42を有するとともに、前記ロテータ31の下部に相対回転不可に固定されている。仮固定機構41は、前記中央穴42を取り囲む状態で内蔵した前記ばね部材43の付勢力で前記係止部材44を上動させたときに前記ステータ21に係止して前記仮固定を行う一方、前記ばね部材43の付勢力に抗して押し下げたときに前記仮固定状態が解除される構成である。
【0034】
具体的には、仮固定機構41は、図3に示したように、前記ロテータ31の内周筒部33に、相対回転不可に垂設されるように固定一体化されるばね受け部材45と、このばね受け部材45によって下端が保持される圧縮コイルばねからなる前記ばね部材43と、前記ばね受け部材45と相対回転不可で、かつ前記ばね受け部材45に対して上下動可能であり、前記ばね部材43によって上方へ付勢される前記係止部材44を有する。
【0035】
前記ばね受け部材45は上側部分が内外二重筒状であり、外周縁に前記ステータ21の固定側リング板部材22の内周縁に下から当接する鍔部45aを有する。また、前記二重筒状をなす部分のうち外側の筒状部46の上端には前記ロテータ31に対する固定手段として複数の係止片46aが立設されている。これら係止片46aは、前記ロテータ31の内周筒部33の内周面に突設された係止爪33bに係止する。
【0036】
また、外側の筒状部46における中心点を挟んで対向する位置には、上下方向に延びる切欠溝46bが形成されている。この切欠溝46bに前記係止部材44の外周面に形成された係止部47が上下動可能に嵌まる。係止部47の先端は、切欠溝46bの外周面位置によりも外方に突出する大きさに形成されている。
【0037】
一方、前記係止部47が係止する被係止部22aは、ロテータ31を外した状態の平面図である図5に示したように、前記ステータ21における前記固定側リング板部材22の中央の円形穴の内周面から中心に向けて迫り出すように形成された環状の突片22bの一部を切り欠いて形成されている。前記突片22bは、図1に示したように、前記ばね部材43の付勢力で上へ押し上げられる係止部材44が上がりきったときにその係止部47と干渉する高さに形成されている。
【0038】
この被係止部22aと、前記係止部47及び前記切欠溝46bは、係止部47と被係止部22aが係止し合ったときに前記ロテータ31を前記中立位置に位置させる1箇所の中立位置と、この中立位置に対して前記中央穴42の中心点を挟んで反対側の反対側位置に形成される。
【0039】
前記ばね受け部材45における内側の筒状部48は、図1、図3に示したように、外側の筒状部46よりも低く形成され、下端部の内周には、コンビネーションスイッチに対する装着を容易にすべく下端側ほど大径となるテーパ面48aが形成されている。前記ばね部材43は、この内側の筒状部48の外側に保持される。
【0040】
また、ばね受け部材45の下面には、図示しない舵角センサに係合する舵角センサ係合部45bが形成されている。このため、ロテータ31と共に回転することによって、ロテータ31の回転を舵角センサに入力することになる。
【0041】
前記係止部材44は、略環状をなす板状に形成され、外周面の相対向する2箇所に前記係止部47が垂設されている。また、前記ばね部材43の上端部が当接するばね当接面44aの近傍には、ばね部材43の上端部位置を規制する規制手段49が設けられている。
【0042】
すなわち、前記規制手段49として、ばね部材43の上端部を嵌め込む嵌め込み溝49aと、ばね部材43の内周側に位置する筒状部49bが形成されている。
【0043】
前記筒状部49bは、前記ばね受け部材45の内側の筒状部48よりも外周側に後退した位置に形成される。換言すれば、図1に示したように前記筒状部49bの内径d1が、前記ばね受け部材45の中央に設けられた前記中央穴42の内径d2よりも大きく形成されている。
【0044】
また、前記筒状部49bは、前記ばね受け部材45の内側の筒状部48の長さや内外方向の形成位置、筒状部49bの移動距離等の条件に応じて、仮固定機構41の内部に異物が侵入するのを抑制できるように、長さ等が設定されている。
【0045】
このように構成された回転コネクタ装置11では、フレキシブルフラットケーブルを収容する組立時においては、ロテータ31をステータ21に対する中立位置にする中立合わせを実施する。
【0046】
このとき、ロテータ31と一体の係止部材44の係止部47と、ステータ21の被係止部22aは、1箇所の中立位置と、この反対側の反対側位置の2箇所に形成されているので、この2箇所以外で嵌まり合って仮固定状態となることはない。つまり、係止部材44をばね部材43の付勢力に任せて上動させても、係止部47と被係止部22aが係止可能な向きが、ロテータ31をステータ21に対して中立位置にする適切な向きを含めた2つのパターンに限定されたものとなる。このため、向きが適切か否かは窓部32aから視認すればよく、中立合わせ作業が容易である。
【0047】
そして、ロテータ21が中立位置で仮固定された回転コネクタ装置11を、ステアリングコラムに通しながらコンビネーションスイッチに固定した後、中立姿勢にした状態のステアリングホイール51を、図6に示したようにロテータ31に装着すると、ステアリングホイール51のボス部52が仮固定機構41の係止部材44をばね部材43の付勢力に抗して押し下げることになり、係止部47は被係止部22aから外れて、仮固定が解除される。すると、ステアリングホイール51が左右両方向に均等に回転可能となる。
【0048】
また、係止部47と被係止部22aは、中立位置と反対側位置に形成されているので、係止部47と被係止部22aを一組設けた場合と比較して、ばね部材43による付勢力をバランスよく受けて上下動することになる。その上、ばね部材43の上端部の位置は、係止部材44に設けられた嵌め込み溝49aと筒状部49bによって規制される。
【0049】
このため、ステアリングホイール51を装着してばね部材43を圧縮変形したときに、ばね部材43や係止部材44の傾きが抑制される。よって、係止部材44の下動時に移動の中心位置がずれることはなく、係止部材44のばね当接面44aが均等に付勢され、バランスがよく、ステアリングホイール51の適切な装着が容易に行える。この効果は、ばね部材43を伸張させて係止部材44を上動させる場合でも同様に得られるので、ステアリングホイール51を交換するときでも同様に、ステアリングホイール51の適切な着脱が容易に行える。
【0050】
前述の移動の中心位置がずれないという効果は、規制手段49を嵌め込み溝49aと筒状部49bとで構成されているので、より確実に得られる。
【0051】
また、その規制手段49を構成する筒状部49bは、係止部材44のばね当接面44aとばね受け部材45の内側の筒状部48との間の隙間を小さくすることができる。このため、この隙間を入り口として収容空間Sに砂や埃等の異物が入り込んでしまうのを抑制でき、この結果、ステアリングホイールの回転時に異音が発生することを抑えることができる。
【0052】
さらに、係止部材44の筒状部49bの内径d1が、ばね受け部材45の内径d2よりも大きいので、回転コネクタ装置11をコンビネーションスイッチに固定するときに、回転コネクタ装置11が不測に傾いた状態となっても、ステアリングコラムが係止部材44に接触して、係止部材44が擦り上げられるような事態を引き起こすことはない。このため、係止部材44の係止が外れて仮固定状態が解除されてしまったり、係止部材44が破損したりするおそれを低減できる。
【0053】
この発明の構成と、前記一形態の構成との対応において、
この発明の固定体は、コンビネーションスイッチに対応し、
以下同様に、
固定側部材は、ステータ21に対応し、
回転操作具は、ステアリングホイール51に対応し、
回転側部材は、ロテータ31に対応し、
回転軸は、ステアリングコラムに対応するも、
この発明は、前記構成のみに限定されるもではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0054】
例えば、係止部47と被係止部22aは前述の2箇所に形成するほか、それ以外にも形成して、合計4箇所以上の偶数箇所に形成してもよい。この場合には、前述のような適切な装着の簡単さという効果を確保すべく、係止態様が多くなりすぎないようにするのがよい。例えば6箇所程度まですることが好ましい。
【0055】
また、係止部47と被係止部22aが、ロテータ31をステータ21に対する中立位置にする向きでのみ係止するように、例えば係止部47と被係止部の大きさや形状に違いをつけることもできる。この場合には、中立位置を示すための手段を省略することが可能となる。
【0056】
さらに、前記規制手段49は、嵌め込み溝49aまたは筒状部49bのいずれか一方のみで構成することもできる。
【符号の説明】
【0057】
11…回転コネクタ装置
21…ステータ
22a…被係止部
31…ロテータ
41…仮固定機構
42…中央穴
43…ばね部材
44…係止部材
44a…ばね当接面
45…ばね受け部材
47…係止部
49…規制手段
49a…嵌め込み溝
49b…筒状部
51…ステアリングホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定体に固定される固定側部材と、該固定側部材上で左右両方向に相対回転可能に取付けられ、中央の嵌合穴に嵌め込まれた回転操作具の回転に伴って回転する回転側部材と、該回転側部材を固定側部材上での中立位置に仮固定する仮固定機構を備え、該仮固定機構が、前記回転操作具によって回転される回転軸を受け入れる中央穴を有するとともに前記回転側部材の下部に相対回転不可に固定され、前記中央穴を取り囲む状態で内蔵したばね部材の付勢力で上動させた係止部材の係止部を前記固定側部材の被係止部に係止して前記仮固定を行う回転コネクタ装置であって、
前記係止部と前記被係止部が、これらが係止し合ったときに前記回転側部材を前記中立位置に位置させる1箇所の中立位置と、該中立位置に対して前記中央穴の中心点を挟んで反対側の反対側位置に形成されるとともに、
前記係止部材における前記ばね部材の上端部が当接するばね当接面の近傍には、前記ばね部材の上端部位置を規制する規制手段が設けられた
回転コネクタ装置。
【請求項2】
前記規制手段が、ばね部材の上端部を嵌め込む嵌め込み溝である
請求項1に記載の回転コネクタ装置。
【請求項3】
前記規制手段が、ばね部材の内周側に位置する筒状部である
請求項1または請求項2に記載の回転コネクタ装置。
【請求項4】
前記筒状部の内径が、前記ばね部材を受けるばね受け部材の中央に設けられた中央穴の内径よりも大きく設定された
請求項3に記載の回転コネクタ装置。
【請求項5】
前記係止部と前記被係止部が、回転側部材を固定側部材に対する中立位置にする向きでのみ係止する構成である
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の回転コネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−73926(P2013−73926A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214792(P2011−214792)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【特許番号】特許第4974196号(P4974196)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)